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2021-03

知って楽しいJRの営業規則13--特別車両券・グリーン券と寝台券

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 知って楽しいJRの営業規則,今日は運賃と料金に大別したうちの料金券の仲間,特別車両券(グリーン券)と寝台券についての解説を試みます。先ずタイトルの特別車両券という言葉からして馴染みがないですが,一般的にいうグリーン券を規則のなかでは特別車両券と呼びます。以前,鉄道が陸上輸送の主役だった昔は多数の夜行列車が運転され,寝台車にもいろいろな種類がありましたが,今はサンライズエクスプレスだけ,それだけで1稿にする程でもないので,料金券の仲間ということでまとめて扱うことにします。

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昔のグリーンきっぷ。グリーン車が利用できる企画券は大きくGと書かれ地紋が緑だった。国鉄名の常備券ですがJR化後に買ったもの

1.等級制と特別車両券
 日本の鉄道でもかつては等級制で1等,2等,3等があり,車両もそれぞれの等級のものが用意されていました。等級制のもとでは,「A駅からB駅まで1等で」というきっぷの買い方になり,運賃も等級ごとに決まっていました。3等を基本とすると2等運賃はおおよそ2倍,1等運賃はそのまた2倍でした(急行料金にも等級による差があり,2等,1等はそれぞれ3等の2倍,3倍)。A駅からB駅までという形態なので支線のローカル列車にも2等車が連結されていて,2等旅客は起点から終点まで今でいうグリーン車のような上等な設備の車両で旅行できました。貧富の格差が大きい世の中では上流階級と庶民を乗る車両まで区別していた訳ですが,日本総中流の世の中になるとそんな差をつける合理性が乏しくなってきました。車両を用意する国鉄も全ての区間の列車に2等車を用意するのは大変だし,適切な等級の車両がないときの異級乗車の取扱いも煩わしいです。そんなことから展望車を連結した客車の「つばめ」,「はと」から,電車特急「こだま」に変わった1960年に1等はなくなりました。その後,等級制のもとで特別車両制のような特ロを経て,1969年に等級制を廃止し,今のグリーン車=特別車両券が必要な車室の制度になりました。なお,ヨーロッパなどでは今でも等級制が残っています。

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ヨーロッパの列車。前から2両目の前半分と5両目が1等車(窓上の黄色い帯が目印) スイスの氷河特急 1992.5

2.グリーン料金の通則(旅客営業規則(以下,規)58条(発売),175条(効力),12条)
 グリーン料金も急行料金と同じで,基本的には乗る列車単位に買う必要があります,ただし,JR東日本の首都圏と,急行券でも通算が認められる区間では複数列車にまたがって利用することができます。急行券でも通算とはJRの輸送上の都合で列車体系が切れている,岡山~窪川の高知乗継ぎや高松~宇和島の松山乗継ぎなどのことで,当然のことではあります。また,グリーン券の有効期間は当日限りの1日です。グリーン車は大人のための設備という考えなのか,グリーン料金には小人料金の設定はありません。
 グリーン車のように追加の料金が必要な車両には入口にその旨の表示をするルールで,気付かずに乗ってしまったという言い訳はできないようになっています。

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グリーン車入り口のマーク サロE257 2020.12.24

 グリーン車はゆったり旅行するための料金なので,自由席の場合で満席では困ります。自由席のグリーン券を買って乗った列車のグリーン車が満席の場合は,車掌(アテンダント)から不使用証明書をもらえば,手数料なしで払戻しを受けることができることになっています(規290条2)。なお,デッキであってもグリーン車であり,グリーン券が必要です。不使用証明書をもらったら,早々に他の車両に移動する必要があります。また,不使用証明書の様式は見たことがありませんが,規定の文面からは区間が書けるようになっているようです。東海道線や横須賀線の通勤時間帯のグリーン車は混んでいて,満席になるのは日常と聞きます。6.(1)の区間では,グリーン券払戻しの取扱いをしないと聞いたような気がするのですが,いろいろ探してもそれらしい規定は見つかりませんでした。これらの線区の朝夕ラッシュ時のグリーン車は普通車との間の貫通扉を締切りにしますが,この規定との関係で,一歩でもグリーン車に乗ったなら払戻しはさせないぞという意図もあるのでしょうか。

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グリーン車締め切りの案内 東海道線 2020.12.24

 今,そんな運用があるのか分かりませんが,昔は列車の運用の都合で,グリーン車の車両にグリーン券なしで乗れる場合がありました。何十年も前の話ですが,上野から宇都宮ゆきの最終列車は仙台運転所の455系12両編成で,サロ2両連結ですがシートカバーが外され普通車として利用でき,開放グリーンと呼んでいました。一方,サロやキロを連結してはいますが,扉を締め切るなどして営業しない場合もありました。このような車両に居座ることもできましたが,非営業の車両なので車掌が来れば退去を命ぜられるし,基本的には不正乗車です。

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急行「なすの2号」。前夜の宇都宮ゆき最終列車が翌朝にこの列車で戻る

 このほかに元グリーン車を格下げして使っているケースもあり,これらは格下げグリーン車と呼ぶこともありますが,乗ってお得な車両には違いありません。キロ25の格下げのキハ26-400やサロ455格下げのクハ455-600などは結構数もあって,比較的乗る機会も多かったと思います。最近はJR各社とも車両の画一化が進んで,このような変わった車両が減ってきたのは寂しいです。 

3.AグリーンとBグリーン
 特別車両券(料金)は昔から特急・急行用と快速などを含む普通列車用が分かれていて,それぞれAグリーン,Bグリーンと呼んでいます。空調完備で足置きも付いた特急・急行用のサロとシートピッチが広くちょっとリクライニングするだけの普通列車のサロで設備の格差があるから分けたのでしょうか。そうでなければ,距離帯の区分が長距離列車と近郊電車で違うのでテーブルを分ける意図でしょうか。

4.会社別のAグリーン料金(規130条)
 国鉄の分割民営化で全国一律の運賃は崩れましたが,グリーン料金もまた然りで,JR発足時は同じだったと思いますが,今では下のように旅客会社別に3本建てになってしまいました。JR東日本はグリーン料金を安くして利用促進を図る一方,高級志向に対してはグランクラスを用意する戦略のようです(グランクラスは9.に詳述)。なお,グリーン車利用時の特急料金は530円引きで,結果的に自由席特急券と同額です。これはグリーン料金には座席指定を含むので,単純に特急料金とグリーン料金を足し算すると指定席分が2重どりになってしまうとの考えからです。

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JR各社のグリーン料金とグランクラス料金

5.Bグリーン料金(規130条)
 普通列車用のBグリーン料金はAグリーン料金のようなことにはならず,下の表のとおりで,JR東日本の首都圏とJR九州を除き全国同じ体系です。そもそもJR東日本の首都圏以外ではグリーン車を連結した普通列車がほとんどないので,議論にすらならないのでしょう。なお,Bグリーンには指定席(時刻表のグリーン車マークが塗りつぶしてある)と自由席(同塗りつぶしてない)がありますが,値段は原則,同じです。

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Bグリーン料金

6.JR東日本の首都圏のグリーン料金
(1)近郊電車のBグリーン券
 JR東日本はグリーン車の利用促進に熱心で,首都圏の中距離電車の殆ど全ての列車にグリーン車を2両ずつ連結しています。基本編成が6両と短い中央線方面も,快速電車のE233系へのグリーン車連結がアナウンスされました,現在ホーム延伸や車両の製作などの準備が行われていますが,地上側の工事が難航していて,2020年度サービス開始が2023年度末に延期されました。

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首都圏の近郊電車は2階建てグリーン車2両連結が標準

 JR東日本の首都圏のBグリーン料金は平日・休日の別と車内でグリーン券を買う場合と事前にグリーン券を買う場合の2×2のマトリックス形式になり,代わりに距離帯は50km以下と50km超の2種類に簡略化されました。欧米に比べ日本はタダ乗りに対する罰則が緩いので,あわよくば...という輩も多く,実際に車内でグリーン券を買う場合は車掌さん(アテンダントさん)の手間もかけているので,車内料金を割高に設定するのはヒットだと思います。一方,距離帯の方は50km超無制限なので,長距離を利用する場合は割安です。なかには200km超の区間を走る列車もあるので,そんな旅行ではぜひグリーン車を利用したいものです。

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熱海~黒磯間268.1kmを走っていた1586E(2019年ダイヤで消滅)と同区間のグリーン券 @東京 2017.7.31/2015.3.22

 JR東日本の割安なBグリーン料金適用の区間は現在のところ,下の図の区間で自由席の場合です。臨時列車などで指定席が設定される場合は,5.の本則どおりになります。また,この区間内では同一方向であれば複数列車を乗継ぐこともできます。同一方向とは,宇都宮から熱海ゆきのグリーン券で,乗った列車が横須賀線の逗子ゆきであれば大宮から大船のいずれかの駅で高崎線方面から来た熱海ゆきに乗継ぐことができます。

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割安かつ乗継ぎが可能なグリーン料金のエリア(JTB 時刻表2020年3月号)

 上では簡単に同一方向と書きましたが,実際の規定(規58条4)や時刻表の案内では乗継ぎができないパターンを11ケース羅列しています。グリーン券は1こ列車に限るというルールがあるばかりに直通する列車しか乗れないのでは著しく利便を損なうので合理的な規定です。なお,なぜか大船駅での東海道線藤沢方面から横須賀線北鎌倉方面はNGリストになく,乗継ぎ可能です。

(2)全車指定制特急列車のAグリーン券
 JR東日本は首都圏発着の特急列車を全車指定席制に変えてきていますが,これらの列車では普通車利用時の特急料金とグリーン車利用時の特急料金のように案内することが多いです。特急料金は50km刻みで小人半額,Aグリーン料金は100km刻みで小人も同額のため,合計の料金にするとへんに波打ってしまうので,このように案内するようです。初めてこのテーブルを見たときは特別の包括料金を設定したのかと思いましたが,これは全車指定席制特急列車の割安な特急料金にAグリーン料金を足して530円を引いた金額です。

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特急「踊り子」の2021年3月の料金改定案内チラシから。()内はこども料金

7.急行くずれの列車のグリーン券(規58条5,130条3,175条3)
 外房線の特急「わかしお17号」の勝浦以南のように,急行列車が途中から普通列車になることがあり,俗に「わかしおくずれ」と呼んだりします。このような列車に直通して乗るときは,急行列車の区間のAグリーンの料金で,普通列車の区間も乗れるルールになっています。急行,普通の別でそれぞれのAグリーン,Bグリーン券が必要とすると極めて割高になってしまうので,末端区間の分はいただきませんという趣旨です。国鉄~JRの規定のなかで,このようにすっぱり要りませんという規定は少ないと思います。なお,例に引いた「わかしお17号」はE257系でグリーン車は不連結,2020年3月ダイヤをさらっと眺めましたが,全国でもグリーン車を連結したまま普通列車になるケースはないようです。規定は削除されずに残っているので,このような列車が設定されないか,今後に期待です。

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長野~軽井沢間(74.4㎞)普通列車だった「信州8号」の急行券・グリーン券。料金は軽井沢~上野の150kmまで(142.3km)の距離帯

8.お座敷列車などの料金
 お座敷客車やバブル時代のリゾート列車(ジョイフルトレインと呼ばれることもあります)は設備のグレードが高いのでグリーン車扱いのオロやモロなどです。これらの車両に乗る機会は少ないですが,臨時列車で座席を一般販売するときはグリーン車として発売されます。中央線の行楽列車は毎シーズン運転され,特急と遜色ないダイヤで走ることも多いですが,グリーン料金と特急料金が併課されると割高になってしまうので,最近は快速列車として走るようです。また,「リゾートやまどり」などの比較的新しい改造車両は豪華な設備でも普通車扱いです。

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千葉の和風電車「ニューなのはな」で運転の行楽臨時列車 @甲府 2013.10.16

9.グランクラスとプレミアムグリーン
 JR東日本はグリーン車の利用促進に熱心で割安なBグリーン料金を設定する一方,高級志向に対しては新幹線にグランクラスを,在来線特急の「サフィール踊り子」にプレミアムグリーン車を設定しています。
 グランクラスは輸送サービスだけではなく,著名料理人監修の軽食,飲み物のサービスが付いた包括料金です。グランクラスはE5系,E7系で運転される列車に連結されますが,運用列車の拡大で有効時間帯にかからない列車もあるため「グランクラス(飲料・軽食なし)」として運用される列車もあり,時刻表ではグランクラスのマークの塗りつぶしなしで識別されます。なお,グランクラスは乗入れ先のJR西日本の北陸新幹線やJR北海道の北海道新幹線でも同様に営業されます。JR東日本,JR西日本とJR北海道でグランクラスの料金が違ったり,グランクラス非連結の列車との乗継ぎなどのケースがあるため,昔の異級乗車のようなこまごまとした料金が決められていますが,ここでは省略します。

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サフィール踊り子号 @戸塚~大船 2021.1.30

 一方,プレミアムグリーン車はシートピッチ1250㎜,1+1の1列2席配置でゆったりした座席がサービスで,供食サービスはありません。
 通常のグリーン車が駅で利用しやすい4,5号車に連結されるのに対し,グランクラス,プレミアムグリーン車は関係者以外の無用な立入りを避けるため,列車の下り寄り先頭車両になっています。デッキの扉に窓がなく,グランクラス券購入者以外の立入りお断りの掲示もあり,おそろしく入りづらい印象です。

10.寝台券(規60条(発売),136条(料金),178条(効力))
 寝台券は,以前は寝台の設備ごとにたくさんの区分がありましたが,今は寝台の設備を持つ定期列車は「サンライズ出雲」,「サンライズ瀬戸」(あわせてサンライズと呼びます)だけ,設備ごとに5つの区分があるだけです。

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サンライズの寝台料金(JTB 時刻表2020年3月号)

 寝台券は横になって寝るための設備の料金です。このため朝6時を過ぎた後にその列車が運転打切りになっても,寝台料金の払戻しはありません。反対に朝6時を過ぎた後の区間では,俗にヒルネといいましたが,区間を指定して寝台車を指定席車として使用していました。ヒルネの指定席を発売する車両は,それまでに寝台の利用者が降車するよう寝台券の発券もコントロールしていました。なお,「サンライズ出雲」は30分後(出雲市到着では12分後)に「やくも」の始発が走るので,ヒルネの設定はありません(ノビノビ座席を利用することは可能)。

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サンライズ瀬戸・出雲 @横浜 2019.1.3

 また,1つの寝台を大人と小人で利用することが認められていて,そのときの小人には特急券が必要です。わが家では「富士」の廃止直前に14系の70cm幅の寝台に奥と当時8歳のジュニアが添い寝しましたが,20系以前の52cm幅の寝台での添い寝はさぞかしきつかったろうと思います。

 夜行列車が多数運転されていた頃の寝台料金は,グリーン車にあたるA寝台のほかにB寝台が星の数1つから3つで区分されていました。下はその後,客車3段式(星1つ)がなくなった後の料金表です。

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かつての寝台料金(JTB 時刻表2005年1月号)

 また,僕が時刻表を見始めたころの時刻表にはA個室寝台の見取り図があり,いつか乗ってみたいと思っていましたが,実現せぬまま20系ロネはなくなってしまいました。

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1等寝台の見取り図(日本交通公社 時刻表1968年10月号,復刻版)

 昔話をし始めるときりがなくなるので,この辺で今日の解説は納めようと思います。グリーン券,寝台券ともに個室に関する様々な規定もあるのですが,ここでは省略させていただきました。(2020.12.20記)


知って楽しいJRの旅客営業制度バックナンバー
1.大都市近郊区間と140円旅行
2.きっぷの有効期間と途中下車
3.乗車券の経路と種類
4.運賃計算の基本と割引き,加算
5.区間外乗車のいろいろ・その1
6.区間外乗車のいろいろ・その2
7.特定市内駅と駅に関わる規則
8.新幹線と周辺の乗車券の規則
9.急行券・特急券と周辺の規則
10.新幹線特急券に関する規則
11.急行料金の割引き(乗継割引き)
12.指定席券とライナー券などの乗車整理券に関する規則
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日本の鉄道車窓トップ20

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(Engilsh is here)

 今日はこのブログ初めての試みで,日本の車窓トップ20をお送りします。「日本の」と冠しましたが,選定の範囲はJR線のなかから選んでいます。なぜこんなランキングを載せることにしたかですが,それは昔,初めてのヨーロッパ旅行の計画で,広いヨーロッパ,さてどこに行ったらよいのだろうと思ったとき,トーマスクックのヨーロッパ版時刻表に「編集長が選ぶ景勝路線」という記事がありました。とりあえず,そこに挙がっていた路線を訪れる行程で旅行したら,確かに景色もよく成果のある旅行ができました。こんな経験から,初めて日本で鉄道旅行を計画するかたの参考になればと考えた次第です。

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釧網本線オホーツク海岸 @北浜あたり 2017.8.2

 そもそも景色がよいといっても,その尺度は人によって異なるし,乗った列車の種別や時間や季節でも変わります。例えば,自分がこれまでで最高と思っている車窓は,冬の興浜南線(1985年廃止),流氷のオホーツク海の向こうから曙光が射してくる瞬間です。そんな訳でこのランキングは絶対のものではなく,人それぞれの意見があることと思います。そもそも僕は鉄道旅行作家でもないので,頻繁に車窓の記憶を更新できる訳もなく,1位にあげた矢岳越えも15年以上のご無沙汰です。

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冬の興浜南線 @栄丘 1984.3

 それでも多少は客観性を持たせようと,詳細は省略しますが,景色のきれいさだけでなく,景色のきれいな区間の長さ(長く楽しめる方が高得点)と列車の頻度(本数が少ない方が高得点)なども加味しています。写真は全区間分を揃えようと探しましたが,難しかったです。走る列車からの写真はブレてしまったり,天気が悪くてとても景勝路線の写真には使えなかったりです。仕方がないので,各ジャンルから1点ずつを見繕ってみました。

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サイト管理者が選ぶJRの景勝路線トップ20

 ジャンルや所在がなるべく分散するように配慮したつもりですが,やはり僕の趣味も出てしまって,北海道が多くなっています。一方,四国や九州は訪れづらさから,相対的に選出数が減ってしまいました。

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サイト管理者が選ぶJRの景勝路線トップ20の所在

 車窓トップ20を考えるきっかけとなったのは姨捨からの車窓で,ここは肥薩線矢岳,根室本線・石勝線狩勝峠と並び日本3大車窓と言われます。3大というのは3つの素晴らしいなのか,3つの雄大ななのか判然としません。そんな訳で,雄大という訳ではないが,きれいな車窓風景を選んでみようと考えたのでした。矢岳は随分ご無沙汰だし,狩勝峠はここ3年間で3回訪れていますが,いずれも夜,雨,代行バスで,これはという写真がありませんでした。これらと限らず,奥羽本線庭坂あたり,仙山線の北仙台など山から平地に向かって降りて行く所はとくに夜景がきれいです。

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篠ノ井線姨捨から善光寺平を見下ろす。遠くには妙高山も @姨捨 2020.1.3

 山から見下ろす眺めがよいのは上の3大車窓ですが,山自体を眺めて楽しむのが山の景色です。今日のとびらの写真の中央本線(東線)から望む南アルプスなどが代表です。下には東海道線の伊吹山をつけましたが,この山は風景のなかでの存在感と周囲の田畑の景色で,昔から気に入っている車窓風景です。記事を書いていて気づきましたが,ランキングに富士山が入ってないのは失敗でした。東海道線ばかりか新幹線から見る富士山もきれいです。日本は山国(やまぐに)なので,山の景色はあげだすとキリがありません。

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東海道線関ケ原から見る伊吹山 @近江長岡あたり 2018.8.4

 山と来れば,反対は川です。川は鉄道の母で,川に沿って遡り,分水嶺の峠をトンネルで越える路線はたくさんあります。それらのなかから4つを選んでみました。釧路湿原はよく分かりませんが,それ以外は昔から川に沿った街道も開けた所です。5月の端午の節句の時期になると,清流の両岸を渡すように鯉幟が架けられたりするのも,日本の川の風物詩です。

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飯田線は天竜川とともに走る。飯田線名物の渡らない鉄橋です(川は支流の水窪川) @城西あたり 2018.7.30

 ジャンル分けの最後は海です。日本は島国で海に囲まれ,海の景色がきれいな所もたくさんあります。その中から6つを選びました。山が迫った狭い土地に国道と鉄道が並走し,家も立ち並ぶ場所が多く,長い時間にわたって海を見はらせる車窓は少ないです。この他,鶴見線の海芝浦なども好きな所ですが,一瞬で終わってしまうので時間のポイントが伸びずに選外です。

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羽越本線笹川流れの区間。優等列車では車窓案内もはいる @今川あたり 2019.7.15

 今日の記事はいつもより短めですが,かかった時間は最大級です。最初にも書きましたが,とくに用事はなく,車窓を楽しむために出かけるかたへの一助となれば幸いです。コロナ禍が終息し,誰に気兼ねすることなく,乗り鉄を楽しめる日が来るのを期待して筆をおきます。(2021.1.3記)

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選にもれてしまった新幹線から見た富士山 @新富士あたり 2020.10.31

Top 20 scenic view from train in Japan

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(Japanese is here)

 For the first time in this blog, I will send the top 20 scenic view from train in Japan. Although I titled "in Japan", the selection was made from JR lines. When I was planning my first trip to Europe, I was wondering where to go in the vastness of Europe, and I found an article in Thomas Cook's European timetable titled "Chief editor's recommend of scenic routes". I made a trip to visit the routes listed in the article, and it turned out to be a very scenic and successful trip. Based on this experience, I thought it would be helpful for those who are planning to travel by train in Japan for the first time.

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Okhotsk Coast from Semmo Line @ Kitahama 2017.8.2

 In the first place, the scale of scenic beauty varies from person to person, depending on the train you take, the time of day, and the season. For example, the best view from train I've ever seen is the moment when the dawn light shines from across the Sea of Okhotsk, which is covered with drift ice, on the Kohin-south Line (discontinued in 1985) in winter. For this reason, this ranking is not absolute, and each person has his or her own opinion. I'm not a professional travel writer, so I can't visit the these places frequently, and I haven't visited Yatake for more than 15 years.

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Kohin-south Line in winter @ Sakaeoka 1984.3

 In order to have objectivity, I took into account not only the beauty of the scenery, but also the length of the scenic section (the longer the section, the higher the score) and the frequency of trains (the fewer the trains, the higher the score). I tried to find photos of all the sections, but it was difficult. Photos taken from running trains were too blurry, or the weather was too bad to be used for scenic view photos. I selected one photo from each category.

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Top 20 scenic view from train selected by the site manager

 I intended to disperse the categories and locations, but my taste also came into play, and Hokkaido has increased. On the other hand, the number of Shikoku and Kyushu has decreased relatively, beccause Shikoku and Kyushu are difficult to visit.

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Places with top 20 scenic view from train selected by the site manager

 The begining for the selection was the view from Obasute, which is said to be one of the three great views from train in Japan, along with Yatake on the Hisatsu Line and Karikachi Pass on the Nemuro Line. It is not clear whether the three great views are the three majestic views or the three wonderfull views. So I thought about choosing a beautiful view from train, though it wasn't majestic. It's a long time since I've been to Yatake. And I've been to Karikachi Pass three times in the past three years, but all of them were at night, in the rain, and on a substitute bus. Not only these places, but also the Niwasaka of the Ou Line and the Kita-Sendai of the Senzan Line, which descend from the mountains to the plains, have beautiful night views.

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Looking down Zenkoji-daira from Obasute on the Shinonoi Line @ Obasute 2020.1.3

 The above are good view from the mountains, but we can also enjoy scenery of the mountains themselves. The Southern Alps seen from the Chuo (East) Line in today's top picture is a typical scenery. Mt. Ibuki on the Tokaido Line is attached below, I have always liked the mountain. That has a presence in the landscape and the scenery of the surrounding fields. I realized when I was writing this article that it was a mistake not to include Mt. Fuji from the Shinkansen and Tokaido Line. Japan is a mountainous country, so there is no end to the scenery of the mountains.

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Mt. Ibuki seen from Sekigahara on the Tokaido Line @ Omi-Nagaoka 2018.8.4

 After the mountains, the opposite is the river. Rivers are the mother of railroads, and there are many lines that follow rivers and tunnel over watershed passes. I have selected four of them. I'm not sure about Kushiro Marsh, the road along the river has been opened for a long time. It is also a Japanese custom that carp banners(Koinobori) are hung across both banks at the time of the Tango no Sekku in May.

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The Iida Line runs along the Tenryu River. This bridge is famous as non-crossing bridge @ Shironishi 2018.7.30

 The last of the category is the sea. Japan is an island country surrounded by the sea, and there are many places with beautiful seascapes. I chose six of them. In many places, national roads and railroads run side by side in narrow mountainous areas, and houses stand side by side, so there are few places where we can see the ocean for a long time. I also like Umishibaura on the Tsurumi Line, but since it is over in an instant, it was not selected because of few the time point.

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Sasagawa Nagare on the Uetsu Line. There is also a scenery guide from train conductor @ Imagawa 2019.7.15

 This article is shorter than usual, but the time taken is one of the longest. As I mentioned at the beginning, I hope it will help those who want to enjoy the view from train in Japan. I hope that the Corona disaster will be over soon, and we will be able to enjoy riding trains without worrying anything else. (Translated by automatic translation site,2021.1.24)

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Mt. Fuji from the Shinkansen that have not been selected top 20 @ Shin-Fuji 2020.10.31

富士山をバックに185系湘南ライナーを撮りに行く

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 少し前の話になりますが年末の(2020年)12月24日(木)はお休みをもらえたので,今度の全国ダイヤ改正で置換えがアナウンスされた185系の湘南ライナーの写真を撮りに行ってきました。今度もコロナ禍の折からマスクによる防護と人との接触を避けることを徹底しての外出です。冬の朝,狙いは富士山バックで,以前,藤沢~辻堂間の踏切(多分,鵠沼第二踏切)に行ったことがありますが,ここはスペースが狭く複数人が押し掛けると落ち着いて撮れそうにありません。今回は線路沿いのスペースが広そうな辻堂~茅ヶ崎で撮る計画です。

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E217系トップナンバー(付属編成ですが)とE235系の後ろ姿 @大船駅 2020.12.24(以下,同じ)

 今日も5:00の早起きですが,ライナー狙いなので仕方ありません。富士山バックが狙いなので起きたら先ず天気を確認しますが,真っ暗で景色は見えません。西の空にも星が見えるので,予定どおり決行と決め,自宅最寄りの磯子駅5:50の根岸線下り列車に乗ります。大船では6:23の沼津ゆきまで17分あるので駅構内をブラブラします。そういえば3日前の12月21日から横須賀線のE235系の運用が始まったななどと思ってふと見ると,E217系のトップナンバーが止まっています。更には当のE235系も入換えでホームに顔を出していて,どちらもまともな写真は撮れませんでしたが,幸先のよいスタートです。

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acureの自販機に掲出されたメモリアル185 @大船駅

 この時間は上り貨物列車のラッシュで,これらの列車の写真を撮りたいのですが,夜が明けておらず光量が足りません。ホームの飲み物,acureの自販機に目をやれば,メモリアル185なる宣伝が貼ってあります。階段の降り口には横浜支社版の特急踊り子のポスターもあり,今日のアクティビティのやる気が湧いてきます。

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特急 踊り子のポスター @大船駅

 沼津ゆき321Mに乗れば,10分もかからず辻堂に着きます。もたもたしているとライナー2号が来てしまうので,ともかく海側の線路沿いの道を茅ヶ崎方面に歩きます。駅前の商店街を抜けると,胸の高さ位のコンクリート柵が道路と線路を隔てているだけで,どこでも写真は撮り放題です。ここなら100人来ても大丈夫だななどと思いますが,駅の近くは線路の位置が若干高めで,少し見上げるような構図になります。

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そうこうするうちライナー2号が来る

 線路沿いに続く道をロケハンしながら進むうち,向こうから電灯色のシールドビームの電車がやってきます。あのライトは185系でしょう。まず貨物線を新宿に上るおはようライナー新宿22号が来ますが,これは失敗。続いて3分後,ゆっくり構図を決める間もなく撮ったのが上のライナー2号の写真です。富士山は見えていますが,パンタグラフの陰です。

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練習列車は頻繁に来る。列車は辻堂6:54の1830E

 今ここを通る列車の東京着は8:00前,そろそろラッシュアワーで,上り列車は頻繁に来ます。富士山とのバランスなど,こんなものかなと準備を進めます。下のライナー4号は富士山とのバランスはそこそこですが,尻切れでこれも失敗です。

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貨物線を走るライナー4号。カメラの水平がボロボロでかなり回転の編集してます。下がきびしいのはそのせい

 あれこれ迷いながら歩くうちに線路と道路が並走する茅ヶ崎方の終点まで来てしまいました。さて,どこが一番よかったかななど考えながら元来た道を引返します。すると左手の線路端から何か煙のようなものがたっています。おや?と思いながら進むと,煙は見る間に激しくなり,通りがかりのお嬢さんが携帯を手に立っています。煙の元を見ると,線路端の枯れ草と踏切障検のセンサー(受光器と書いてある)の配線箱から火が出ているよう,沿線火災です。

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ちょうど現場に来た1834E

 お嬢さんに通報を頼み,自分は列車に知らせるべく線路を見ると,辻堂駅に進入する上り列車が来るところです。150mくらい先に踏切があるのでそこの非常ボタンを押せば列車は止まるでしょうが,そこまで行っている時間がありません。持っている荷物--踏み台を入れた白い大きなビニール袋--を慌てて振ると,運転士さんも気づいたようで現場の30m位手前で止まりました。反対を見ると貨物列車が走ってくるので,これも袋を振って合図します。

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こちらは下りの貨物列車。西濃カンガルーライナーのよう

 その間にも通勤途上の男性が線路端にあった木っ端--なぜか近くに落ちていた用地標のような赤杭--で火元をたたいて消火を試みています。しかし,煙は強まり,炎も出始めました。続いて自転車で通りがかった通勤途上の男性が町内会の消火器を持ってきて消火します。最も盛んだった時で腰くらいまで火勢はあったと思いますが,これでなんとか火は消えました。多分,煙に気づいてから,5分のうちの出来事です。また,消火活動にあたった2人の男性は,先を急いでいたのか,早々にこの場を立ち去ってゆきます。

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集まった緊急車両(撮影はしばらく後)

 お嬢さんのほうは警察に電話したら,消防署に電話するよう案内され,消防に現場の場所などを説明していますが,なかなかにもどかしそうです。自分のほうは道路から柵越しに1834Eの運転士さんに状況を伝え,列車指令経由の手配を試みます。また,状況を理解した運転士さんは,電車備付けの消火器を持出して,まだくすぶっていた燃え痕に徹底的に消火剤を撒きます。自分も知りませんでしたが,町内会の消火器はピンクの薬剤であっという間に出終わってしまいましたが,電車の方は白い薬剤で噴出する時間もずっと長いようです。火はこれで鎮火しましたが,まだ現場検証が必要で,列車も止まったままです。こちらは列車が動かないことには商売にならないので,検証対応は引受けたつもりでしたが,なかなか消防車もパトカーも来ません。火がメラメラ燃えていればすっ飛んでくるのでしょうが,鎮火後の検証だけとなると,随分スピード感が違います。通報から10分位して消防署が,更にその後5分位で警察が来て,現場検証を始めます。

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この日はたくさんのE231/E233系の写真も撮りましたが,そのうちのベスト?

 自分らは第1発見者,通報者ということで,言葉使いはとても丁寧ですが,調書をとられます。これ自体は仕方のないことと思いますが,日本のお役所は縦割りで,全く同じことを消防と警察に2回しゃべることになりました。2回目の警察の方は面倒臭くなって端折ってしゃべり,それを察知したかメモを取る方も簡単で,実際は1.7回というところです。各庁署にもそれぞれ言い分はあるでしょうが,これは改善してもらいたいところです。
 
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湘南ライナーといえばこの215系もダイヤ改正後の処遇が心配です

 発煙から小1時間後の8:00前になり,ようやく列車は運転再開になります。くだんのお嬢さんも同様で,出勤の途上に小1時間付き合っています。現場の近くには茅ヶ崎方,辻堂方,両方に踏切がありますが,これらも小1時間開かずのままでした。上にも書いたとおり,火災自体は約10分で消えているので,残りの約40分は検証のための運転見合わせです。発火していたのはJRの信号関係の機器だし,消火をしたのも運転士さん,沿線火災には間違いないと思いますが,こんなに大袈裟なことになってしまい,列車を止めてよかったのかと思います。尤も,自分が止めなくても,早晩,沿線火災で運転見合わせにはなっただろうと自身を納得させます。

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このときの列車走行位置の表示

 検証や調書作成が終わって自分の拘束は解かれましたが,たくさんの緊急車両が止まっていて列車写真どころではありません。その辺でウロチョロしているとただの迷惑な野次馬と間違われそうです。少し場所を移して,写真撮りの続きを始めます。しかし,列車ダイヤはぐちゃぐちゃです。文明の利器の列車の走行位置表示を見ても,どうもライナーは表示の対象外のようです。線路には列車がひしめき順々にやってくるしかないので,こちらも腹を括って来るものを撮る態勢で臨みます。

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185系のおはようライナー新宿なので多分26号。30分くらいの遅れ

 三々五々消防や警察の人たちも引上げますが,JRの人だけは焼けたつなぎ箱の復旧作業を進めます。場所が線路際なので,列車監視員が付き,旅客線の下り列車のみ速度規制がかかっているようです。貨物線を走る「おはようライナー新宿26号」に続き,185系15両編成の「湘南ライナー12号」がやってきます(今日のとびらの写真です)。火事の前の一群は暗くて今イチでしたが,火事の後は陽も高くなり,踏切中継の特発がちょっと邪魔ですが富士山もバッチリです。特発といえば,この道路は100人来ても大丈夫と上に書きましたが,これは大ウソです。線路には架線柱,信号機のほか受光器の支持棒,特発の支持棒などなどいろいろな縦の障害物があって,本当にすっきり撮れる場所はとても少ないです。帰り道もしっかりロケハンして帰りましたが,上の1830Eの写真の場所がベストかもしれません。JRのかたが作業をしていて近づき難かったですが,火災の現場(56kmポスト付近)より少し伍仁原踏切のほうへ下ったあたりだったと思います。

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上りの貨物列車。富士山の光の当たり具合はこの時がベスト?

 ところで,今日はライナー狙いでしたが,自分は列車写真は貨物列車派です。貨物列車が好きな訳ではなく,力強そうな機関車牽引の列車が好きなのですが,今や機関車牽引=貨物列車の時代です。東海道線の早朝は関西,山陽方面から東京に上ってくる貨物列車のラッシュアワーです。ライナーの走る時間帯では遅いのですが,下りはそこそこ列車があり,それらの写真も楽しみます。

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福山通運貸切の福山レールエクスプレス

 最近はモーダルシフトの波に乗り,佐川のスーパーレールカーゴを始め,通運会社の貸切列車が増えました。これらの列車はコンテナ列車でも同じデザインのコンテナが並んで編成美もあります。以前の記事で書きましたが,EF66の3,900kWに対し,EF210は3,390kW(30分定格は3,540kW)で,古いEF66の方が性能的には勝っています。このEF66も国鉄時代に製作された機関車は27号機1両だけ,JR移行後の100番台の最終製作グループでも今年(2021年)で30年になります。後継の機関車が楽しみですが,JR貨物は出力ダウンでも優秀な汎用機EF210の増備でしのぐのでしょうか。

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トヨタ貸切のトヨタロングパスエクスプレス

 そうこうするうちライナーの時間帯は終わり,下りの「踊り子」号の初便が15分くらい遅れてやってきました。自分も朝からトイレに行っていないので,引上げることにします。

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「踊り子3号」。追いかけですみません

 元来た道を辻堂駅に引返し,大船に出ます。往くときには,帰りの大船ではE217系の写真でも撮りたいと思っていましたが,本格的に鉄ちゃんをした後では駅撮りをする気になりません。一服のコーヒーを買おうとNEWDAYSを覗くと,185系40年の記念パッケージのお菓子があるので,迎春バージョンと合わせて,家へのお土産にします。

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今日のお土産。185系40年と2021年迎春の横浜ハーバー

 今日の午前は富士山バックの185系の湘南ライナーの鉄ちゃんのつもりでしたが,いろいろなことがありました。元々の目的の写真は上のとおりで,一とおりの成果は得られました。沿線火災の現場に居合わせるとか,自分で列車を止めるなどという体験はもちろん初めてです。また,消防や警察の調書作成に立ち合うのも初めてで,よい経験をしました。振返ると,その時の会話はけっこう密で,今日は人との接触リスクは少ないと考えて来ましたが,何が起こるか分かりません。

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185系登場の頃の記念入場券

 よい場所も憶えたので,陽が長くなったらダイヤ改正前にもう一度,この辺りへ出かけたいと思います。神奈川県では数日前に緊急事態宣言が発出されたので,またまた不要不急の外出はしづらくなってしまいました。別の用事があって家のきっぷを整理していたら,185系「踊り子」号の運転開始の記念入場券が出てきました。最後にそれをつけて,今日の稿を終わります。(2021.1.10記)

机上旅行--日高本線と五能線のキハ40

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 時刻表の愛読者は「時刻表」でいろいろな線区の時刻表を眺めるだけで旅行気分に浸ることができ,これを机上旅行と言ったりします。僕も時刻表は3度の飯より好きですが,机上旅行はあまりしません。時刻表を眺めているうちに旅行に行きたくなり,本当に必要なものは実際に出かけるからです。必要なお金も時間も何とか工面できるだけ,ありがたいことだと思います。ところが昨今のコロナ禍では旅行に出かけることができません。そこで今日は最近,計画した北海道旅行の机上旅行をご披露します。

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日高本線の急行「えりも」 @浜厚真 1980.3.13

 今回計画したのは,この(2021年)3月末で廃止になる日高本線のお名残り乗車旅行です。日高本線鵡川~様似間は昨年10月末に2021年11月1日付で鉄道事業の廃止の届け出がされました。この際に4月1日付へ廃止繰上げのオプションがついていましたが,繰上げが認められ,今年1月5日に正式に4月1日に廃止する届け出がされました。この旅行の行程を計画するうち,秋田地区に残っていたキハ40もGV-E400系の投入により,3月のダイヤ改正で廃止のニュースも耳に入りました。日高本線は廃止といっても災害による不通区間の発生でバス代行中,キハ40のほうも鈍重で低加速でお世辞にも好きな形式ではないのですが,なくなると聞けばもう一度乗っておきたいと思います。僕も完全に葬式鉄といわれる人種のようです。

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登場から間もないころの五能線のキハ40 @大間越~岩館,陸奥岩崎 1974.3.20ごろ

 旅行の最初の計画はお正月休みです。今年の正月はカレンダーの並びがよく,僕の勤める会社は10連休です。12月27日(日)までに出れば,年内に帰ってこれて,お正月は家で家族と迎えることができます。青春18きっぷで北海道まで行くのは正直しんどいですが,他によい手段もありません。青春18きっぷで2日がかりで帯広まで行く行程がこれです。

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横浜~帯広1/2。八戸まで

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盛岡~八戸間バス八盛号。岩手県北バス便 2019.12.28

 実は一昨年の年末にも札沼線新十津川に行くためにこれとほぼ同じ行程を旅行しています。そのときの記事はこちらを参照ください。このときは八戸~苫小牧航路で夜行便を使っていますが,船旅を楽しみたいので,今回は八戸泊まりで計画しました。東横インのGO TOトラベル料金が2,903円とキョーレツに安かったのもこの行程にした理由です。また,盛岡~八戸間の高速バスを使うのもこの行程のポイントです。単調になりがちな青春18きっぷの旅,並行在来線の第3セクターに高い運賃を払うよりは楽しそうです。ただし年末の雪道,事故に遭うおそれもありますが,そのリスクは受容です。一昨年末は実際,東北縦貫道で車がぶつかっていました。

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横浜~帯広2/2。八戸~帯広

 八戸~苫小牧間でたっぷり昼間の船旅を楽しんだ後は,翌日のスタートになる帯広までの移動です。新夕張~新得間はその区間内の乗車に限り青春18きっぷで乗れますが,初めてその特例を活用します。また,苫小牧から室蘭本線の下り列車があり,追分での接続もよく,「おおぞら9号」の前に新夕張に着くことができます。

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八戸~苫小牧は船旅を楽しむ。対向の商船三井フェリーから 2017.7.31

 新得~帯広間はそのまま「おおぞら」で行きたいところですが,まずまずの接続で普通列車があるので,節約のためこちらにします。

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とんがり屋根が瀟洒な新得駅。列車は当時の日本最長鈍行2429D 2015.5.3

 旅行の目的は日高本線ですが,代行バスで往復するのもパッとしません。少々お金がかかりますが,ここは帯広からぐるりと襟裳岬を回るコースに迷いはありません。

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襟裳岬縦貫ルートの3日目

 帯広~広尾間は愛国や幸福を通る国鉄広尾線の転換バスです。広尾~様似間はJRバス日勝本線ですが,久しぶりに時刻を眺めたら随分,便数が減ってびっくりしました。今のダイヤでは平日3便,土休日2便ですが,昔は10便とは言わないまでも6,7便あったと記憶します。少なくも,1便おとして写真を撮ろうと思う程度には走っていました。

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JRバス日勝本線 1988.7(左),1984.3(右)(国鉄バス時代)

 様似からは旅行のメインイベントの日高本線の代行バスです。一昨年の年末にも清畠までは来ている(そのときの記事はこちら)ので,今回は様似~清畠間は目を皿にしていたいと思います。また,ここの代行バスはJR北海道バス以外の地元の貸切バスへの委託便もあるようで,どんなバスが来るか楽しみです。この日の晩は新日本海フェリーに泊まるつもりです。新日本海フェリーの苫小牧は苫小牧東港という埠頭で,地図で見ると浜厚真駅から近いようです。Google mapで調べると,1.6km20分弱と出ますが,冬の北海道,暗いし足元も悪そうで,タクシーがいたら利用したくなります。苫小牧からフェリーに乗れば,翌朝には秋田に着きます。鵡川からの列車に苫小牧まで乗った場合,最終の新青森ゆき「はやて100号」に接続し,弘前(0:23着)までたどり着くことができますが,特急券代がもったいないので夜行の海路を選択しました。

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旅行4日目は五能線の鈍行を楽しむ

 秋田から奥羽本線を小1時間下れば東能代~弘前間153.5kmを4時間25分かけて走る長距離鈍行に接続します。ところが11/26にJR東日本秋田支社からリリースされた情報ではこの列車は12/12からGV-E400系が先行投入されるそうで,キハ40のお名残り乗車にはなりません。真新しい気動車で五能線の日本海を楽しむか,時間は窮屈になりますが,別の列車にするか微妙です。

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五能線の車窓 2016.3.21

 15:24に弘前に着けば,あとはつらい青春18きっぷで帰宅の旅です。青森・秋田県境の陣馬越えの列車がなく,恐ろしく接続が悪いですがその日は湯沢まで上ることができます。

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旅行5日目湯沢から帰宅の旅

 旅行5日目は湯沢から鈍行乗継ぎで横浜の自宅へ帰宅の旅です。湯沢から横浜ぐらいは鈍行でも何でもない距離で,多少の寄り道をしながら南下の行程です。そういえば大曲~新庄の狭軌のまま取り残された奥羽本線,雄勝峠の区間に乗るのは随分久しぶりです。

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奥羽本線雄勝峠越えの客車鈍行 @三関 1980.6

 奥羽本線といえば米沢~福島の板谷峠が好きなのですが,去年の夏にかじっているので,今回は仙山線に行ってみることにします。仙山線は奥羽山脈南部をトンネルで貫いて宮城・山形の県都を結ぶ線ですが,山間で地名が少ないのか,線路名称も列車の愛称もトンネルの名前も「仙山」です。高速バスに対抗して,いっときは途中ノンストップの「仙山」もありましたが,やり過ぎ感があったのか,今は主要駅停車になりました。仙台からは大人しく東北本線を上る行程ですが,宇都宮で2時間弱がとってあるのは餃子でも食べるかという時間です。

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特別快速「仙山」 @山形 1991.7

 記事は青春18きっぷを利用の前提で書きましたが,JR東日本には北海道&東日本パス11,330円という商品もあります。この商品は鈍行しか乗れないのと利用できる期間は青春18きっぷと同じですが,有効期間が「連続する7日間」です。また,北海道新幹線のオプション券がありますが,北海道新幹線のほかJR北海道の特急列車も1日間利用可能です。上に書いたうちの浜厚真から弘前へ陸路で抜ける行程の場合はこのきっぷを使った方が便利なようです

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北海道,東日本パスのちらし(拡大はこちら

 正月休み用にたてた計画は新型コロナの感染拡大で外出のお許しが出ず,お蔵入りになりました。懲りない僕は,次なる案として「大人の休日倶楽部パス(以下,おと9パス)」利用の行程を計画しました。出かけるのは1月21日(木)~24日(日)の4日間です。おと9パスは50歳以上が入会条件の会員限定で,JR東日本およびJR北海道のエリアを新幹線・特急も含めて乗り放題というお得なきっぷです。東日本と北海道の両エリアが有効なパスは26,620円で5日間有効です。ただし,利用期間が超が付くような閑散期に限られているのが難点です。僕もこのパスが使いたくて,50歳になったら日をおかずに大人休日倶楽部の会員になりましたが,残念ながらまだ1度も使ったことがありません。

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大人の休日倶楽部パスのちらし(拡大はこちら

 さて,おと9パスは新幹線,特急が使えますが,この効果は絶大で磯子~帯広が余裕で日着できます。自分でもこれは乗り飽きるだろうと思いますが,これはこれで惚れ惚れする行程です。

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おと9パス利用,横浜~帯広日着の行程

 旅行のポイントとなる2日目は,上の青春18きっぷ利用と同じなので省略します。3日目は新日本海フェリーの船旅を新潟まで楽しむことにします。新潟上陸後は,翌日の五能線に備えて秋田まで下っておけばよいのですが,この行程が驚きです。新潟~秋田は「いなほ」で約3時間半なので,15:30に新潟港に着けば余裕と思いましたが,なかなか思うような行程が組めません。酒田までは17:15の「いなほ9号」があり,そこそこの時間に着きますが,その先の列車が2時間以上なく,新潟を1時間40分後に出る「いなほ11号」でも同じです。

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おと9パス利用,新潟~秋田の行程

 新潟港から駅の新幹線ホームまで39分で移動する必要がありますが,16:09の速達の「Maxとき332号」に乗れれば大宮乗換えで,羽越本線経由より2時間も早く秋田に着くことができます。これなどは机上旅行ゆえの行程のような気もしますが,おと9パスなら値段を気にすることはないので,実際やってみたくなります。

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おと9パス利用,秋田から五能線に乗って,横浜に帰る行程

 翌朝は6:15発と少々早い出発です。東能代には7:11に着き,7:23の弘前ゆきに間に合います。この列車は東能代~弘前間を4時間32分かけて走る長距離鈍行で,僕独自の長距離鈍行の集計でも全国19位(興味があればこちらもどうぞ)です。今のところはこの列車にGV-E400系が充当されるという話は聞いていないので,キハ40の旅も楽しめそうです。
※ 実際にキハ40乗車を目的に旅行するときは,いつから新車を使い始めるか分からないので,ご自身でよく確認ください。

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ありし日の五能線のキハ40 @鯵ヶ沢 1984.3.6頃

 弘前からはその日のうちに帰ればよく,新幹線が使えるのでどうということのない行程です。せっかくなので花輪線で盛岡に出る行程にします。花輪線は今はキハ110で運転されますが,勾配線区に重点投入されたJR第1世代の気動車で,そろそろ更新の話も出てきそうです。

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ありし日の花輪線風景 @十和田南? 1984.3.7頃

 コロナ禍のほうは2度目の緊急事態宣言も発出され,1月下旬実行のつもりで計画したこの旅行もお蔵入りです。JR東日本のアナウンスによれば,3月4日~16日にもう1度おと9パスの期間を臨時に設定するそうです。この時までには緊急事態宣言も終息し,多少の移動や旅行ができるようになっていることを切に希望します。会社では年度末ですが,旅行ができるようになっていれば今度こそ実現したいものです。それまではとにかく人との接触を減らし,忍の1字です。(2021.1.21記)

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