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2023-09

旅心をそそる長距離鈍行列車・長時間鈍行列車リスト/2023年3月18日改正ダイヤ

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 今年(2023年)も3月18日にJRグループほかのダイヤ改正が実施されます。今年は関西と関東で小規模ながら新線の開業があります。関西のうめきた新駅は以前から期待していたのですが,既設路線の線増や大阪駅のホーム増設の扱いで線路戸籍としては変わらずのようです。関東の東急/相鉄新横浜線はJRグループのダイヤ改正と同じ3月18日に開業で,現地では話題になっていますが民鉄の路線です。ダイヤ改正全般としては,昨年に引続き,コロナ終息後のニューノーマルに照準を合わせた減量や整理が目立つ内容です。また,ダイヤ改正に合わせて実施される運賃改定もお財布には痛いです。

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おおさか東線の列車 @新大阪と開業を祝う飾付け @大阪駅うめきたエリア 2023.3.18

 長距離/長時間鈍行列車に目を向ければダイヤ改正全般の減量や整理の影響を受け,2つの路線がランキング圏外に転落,それ以外でも本数減などがあります。列車ダイヤの強靭性,回復のし易さを考えると不必要に長い列車によいことはなく,「列車の直通」のカギ印で繋がっていたところで分割された列車も多いです。

 先ずは明るい話題で,2011年夏の豪雨被害からバス代行が続いていた只見線が11年ぶりに復旧し,会津若松~小出間135.2kmを4時間30分以上かけて走る列車が設定されました。滔々と流れる只見川に沿ってのんびり走るローカル列車はぜひとも乗りたいですが,全線復旧開業フィーバーのほとぼりが冷めるまで待った方がよいかもしれません。

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只見線423D @只見 2022.10.15

 続いて下のランキングで行がバッサリなくなったのは去年8位だった日豊本線延岡~鹿児島中央と同16位だった羽越本線新津~酒田です。どちらもスジはほぼそのまま残っていて,前者は南宮崎で分割です。後者は12分のスピードアップにより時間が4時間19分になったので,ダイヤとしては改善です。

 減量で目立ったのは上野東京ラインで,去年は宇都宮~黒磯間ワンマン化に伴う短縮がありましたが,今年は両毛線の前橋乗入れ列車が大きく減り,表に載っていた熱海~前橋間219.6kmの1878Eは高崎ゆきになりました。この結果,高崎線系統の北行列車は,伊東,沼津始発も前橋ゆきもなくなり,ふつうの熱海~高崎間209.8kmの列車ばかりになってしまいました。

 また,四国地区では長時間停車をしながら1本の列車だった予讃線の多度津~伊予市間列車や土讃線の多度津~伊野間列車が分割されて表からなくなりました。現地に行ってみれば,時刻表上は切れていてもそのまま乗車できて,1本の列車と変わらないということもありそうです。同様に三陸鉄道でも上下1往復が分割され,全線を直通する列車は下り1本,上り2本になってしまいました。

 最後に毎年,番外として付けている山陽新幹線の「こだま」ですが,今回の改正で整理され,運転時間5時間以上の超遅「こだま」はなくなりました。最も遅い上りの854Aは博多南からの時間で4時間43分,下りの841Aは博多南までで4時間37分の運転になりました。抜かれる列車も若干減って,5月5日の841Aで「のぞみ」9本,「ひかり」1本,「みずほ」1本,「さくら」3本の計14本です。これでもほれぼれの抜かれっぷりではあります。

 これらを除けば2022年版と変わり映えしませんが,2023年版の長距離鈍行列車/長時間鈍行列車ランキングをお届けします。

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拡大はこちら

 以下は上位から順のご紹介で,内容は去年と同じものも多いですが悪しからずです。一部の写真のキャプションは乗車記へのリンクになっています。興味があればこちらもご覧ください。

 今年も1位は関西のアーバンネットワーク,敦賀から米原経由で播州赤穂まで275.5kmを走る3323M~3523Mです。2016年のダイヤ改正で赤穂線に乗入れる新快速が激減し,敦賀発の西行はこの1本だけが残りました。東行は播州赤穂発は長浜ゆきが最長になり,敦賀まで行く列車の西端は姫路,この他に網干~近江塩津間の列車もあります。なお,この列車の敦賀発の車両は姫路どまりで,播州赤穂まで行く車両は米原で連結するので,全区間を走る車両はありません。

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敦賀で発車を待つ3207M~3407M。3323M~3523Mと同じ区間を走るが土休日のみの運転 2021.7.25

 2位は北海道,宗谷本線の旭川~稚内間259.4kmを走る321D~4323D~4325Dです。長時間停車のうちに2回列車番号が変わりますが,実態として1本の列車です。新旭川~稚内は長大な盲腸線,一度乗ったら同じ線を戻ってくるという乗りづらさも魅力的です。以前は14位の根室本線のほか,函館本線や石北本線にも長時間鈍行がありましたが,今ではこの列車が北海道を代表する鈍行列車になりました。

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宗谷本線の4323D~4325Dとサボ @幌延 2017.8.3

 3位は中央本線(東線)・篠ノ井線の高尾~長野間245.0kmを走る441Mです。この列車は比較的新しく2017年の設定で,これまた下りのみ片道の運転です。長野がたが夜にかかってしまいますが,関東山地や南北アルプスの山の景色に日本3大車窓の姨捨とたっぷり楽しめ,首都圏発の鈍行列車を楽しむ旅行にはぜひお薦めの列車です。

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中央本線441M。東京からの鈍行列車を楽しむにはお薦めの1本 @高尾 2018.3.10

 4位は上野東京ラインの沼津~宇都宮間235.9kmを走る322M~1542Eです。この区間を走る列車も平日は北行のみで,南行の宇都宮~沼津間の列車は土休日ダイヤにしかありません。上野東京ラインも北側が東北本線と高崎線系統,南側が伊東線とJR東海・沼津まで乗入れとバリエーションがあるのでまとめ方に苦労します。なぜか南行優勢で,高崎線系統の北行は沼津発,伊東発,前橋着の熱海~高崎間より長い列車が1本もありません。この系統の長距離鈍行は東海道線と東北本線・高崎線のスジを繋ぎ合わせたもので,車両運用の都合から朝と夜の乗りづらい時間帯に偏っているのも特徴です。また,JR東日本の首都圏エリアのグリーン料金は51km以上青天井なので,これらの列車に乗るときはグリーン車利用がお得です。

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茅ヶ崎~辻堂を行く322M~1542E。この日は沿線火災で東京ゆき 2020.12.24

 5位と8位は2位と4位のバリエーションといえる列車です。5位は関西のアーバンネットワークの北陸本線~山陽本線の列車ですが,湖西線でショートカットするため,距離的には短くなります。また,8位の湘南新宿ラインは,上野東京ラインより運用範囲が一回り小さいため前橋~小田原間の208.3kmが最長です。今年の改正で前橋乗入れ列車がバサバサ短縮されるなか,早朝のこの列車と上野東京ラインの1839Eは生き残りました。

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湘南新宿ライン2825Y @大宮 2021.6.13

 6位は東海道線の早朝の静岡~岐阜間の列車で,これも下りのみの設定です。浜松と豊橋を突き抜けて走る列車は菊川,掛川~岐阜間の列車が幾本かありますが,静岡からのものはこの1本だけです。変な推測ですが,静岡地区がトイレのない211系ばかりだった昔,酔った客の多い夜遅くの名古屋/浜松方面からの列車にトイレ付きの編成を充当し,その戻りの運用が今も残っているのでしょうか。

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東海道線3109F @静岡 2019.3.23

 7位は飯田線を全通する列車で,諏訪地区の利便のため上諏訪まで乗入れる列車もあり,ランキングでは豊橋~上諏訪間としています。距離では200㎞そこそこですが,運転時間は6~7時間かかり,南アルプス・中央アルプスの山々と天竜川の車窓,人里離れた秘境地帯とたっぷり楽しめます。岡谷から入っても,豊橋から入っても,首都圏から青春18きっぷで回ることができます。

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距離では7位だが時間では1位になった飯田線544M(旅行記は519M) @伊那市(?) 2010.8.15

 9位は四国の予讃本線の高松~松山間の県都を結ぶ列車です。194.4kmと200kmを下回っていますが,ここからは時間(4時間30分以上)でのランキング入りです。四国随一の幹線なので複数の列車が同区間を走ります。以前は高松を4:53に出る101Mが本当に各駅に止まる松山ゆき鈍行でしたが,2020年改正で高松~多度津間が切られてしまいました。幹線なのに訪問の機会がなく,ここだけは写真も乗車記もありません。

 10位は山陰本線で米子~益田間を走る列車がランクインしました。山陰本線は昔から長距離鈍行の多い線区で,今でもランキングに載せた列車以外にも長距離や長時間の鈍行が多いです。米子~益田間のほか昨2022年改正では快速「とっとりライナー」,「アクアライナー」の廃止を受けて出雲市~鳥取間にも長時間鈍行が誕生し,今改正では微妙な時刻の修正があり上りのみですが西出雲~鳥取間列車もこの一党としています。

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益田~米子間を走る山陰本線424D~324D~134D(当時) @江津 2021.7.23

 以降,写真や旅行記がないので飛び飛びになります。
 12位はJR九州で唯一のランクインで,早岐~門司港間を走る4920M~2824Mです。昨年秋の西九州新幹線開業に伴うダイヤ改正で廃止を予想して前日に乗りに行きましたが,どっこい生き残り,2023年ダイヤでも健在です。夏場なら明るい時間だし,鹿児島本線内ではたくさんの快速に抜かれ,鈍行を楽しめる列車の1本です。JR九州といえば,その昨年秋のダイヤ改正で熊本~門司港間196.6kmを4時間15分かけて走る列車が設定されました。距離も時間もぎりぎり足らずランキングには乗らないのが残念です。

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基山で快速を退避する4920M~2824M 2022.9.22

 14位は北海道の根室本線新得~釧路間の2529Dです。芽室33分,帯広46分,池田24分の長時間停車が奏功して,運転時間5:29になっています。根室本線の鈍行は滝川~釧路間308.4kmの運転で全国1,2位を争う列車だったのが,2016年8月の台風の被害で線路が不通になり運転区間が短縮されたものです。JR北海道は不通区間を含む富良野~新得を「当社単独では維持することが困難な線区」とし,昨年1月28日には沿線の自治体もバス転換の受入れを表明したので,実質的に廃止の方向が確定しました。

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帯広で大休止する根室本線2529D 2022.1.22

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かつての最長鈍行根室本線2429Dと専用サボ @落合 2015.5.3

 16位は第3セクター鉄道の三陸鉄道です。2019年のダイヤ改正時にJR東日本山田線・宮古~釜石間の移管を受け,盛~久慈間を全通する列車が設定されました。このランキングでは民鉄・3セクは見ていなかったのですが,時刻表で本文中に掲載されることでもあり掲載しています。それ以前は民鉄・3セクにそんな長距離/長時間列車はありませんでした。古くを遡ると,東武~野岩鉄道~会津鉄道の浅草~会津田島間に4:30超えの快速列車が走っていたそうです(サイト訪問者の情報による)。この三陸鉄道の列車ですが,運転時間が4:31と4:35でぎりぎりでの基準クリアなので,今後のダイヤ改善で圏外にならないか心配です。

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三陸鉄道5205D~5009D~5111D @盛 2019.7.14

 18位は冒頭に書いた,只見線の会津若松~小出間の列車なのでここでは省略します。

 毎年,3月号の時刻表が出るとこの記事のために隅から隅まで目を通し,いろいろなことに気付きます。東海道本線,東北本線,高崎線の近郊列車ですが,前橋乗入れが減ったのは上に書いたとおりですが,それ以外のところは時刻の微修整があった程度で本数は変わっていません。ところが,たった1本だけは例外で下りのアクティ(2022年ダイヤの3753M)がバッサリなくなっています。出自を辿れば以前の通勤快速で,そこだけ妙に密度が高かったところです。ふつうに時刻表を見ていたのでは,なかなか1本の列車の削減までは気づくことはできず,このライフワークのおかげです。

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たった2本残っていたアクティは1本が普通列車に,もう1本は廃止に @東京 2023.3.9

 最後にリストの掲載基準ですが,距離で200km以上,時間で4時間30分以上,掲載順は距離順です。対象は定期列車だけですが,土休日運休の列車は対象,土休日のみ運転の列車は対象外です。また,同一区間を運転する列車が条件を満たせば,反対方向の列車も載せています。僕が時刻表を手繰って確認しただけなのでヌケやモレがあってもご容赦ください。(2023.3.5記,3.21 写真1枚追加)

2013年版はこちら
2014年版はこちら
2015年版はこちら
2016年版はこちら
2017年版はこちら
2018年版はこちら
2019年版はこちら
2020年版はこちら
2021年版はこちら
2022年版はこちら
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旅心をそそる長距離鈍行列車・長時間鈍行列車リスト/2022年3月12日改正ダイヤ

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 今年(2022年)も3月12日にJRグループのダイヤ改正が実施されました。今年も新線の開業はなく,新型コロナウィルス感染症のまん延による輸送量減に対応し,山手線でも最混雑時間帯の列車が10%ほど削減されるような,減量の目立つダイヤ改正になりました。長距離鈍行/長時間鈍行としての動きもダイヤ改正の全体の動きに連動した形になりました。

 大きな動きの最初はJR東日本の最長鈍行だった熱海~黒磯間の1662Eが宇都宮~黒磯間のワンマン運転導入を受けて,熱海~宇都宮間に短縮されました。上野東京ライン関係ではそれ以外は細かい時刻の修正が行われただけで,最長鈍行は区間が西にシフトし,沼津~宇都宮間235.9kmを走る322M~1542E(同じ区間の列車が他に2本あり)になりました。運転距離が32.2km減ったことにより,順位は2つ後退しました。

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熱海~黒磯間だったころの1586E @東京 2017.7.31

 次の大きな動きは山陰地区で,鳥取~米子間の「とっとりライナー」,米子~益田間の「アクアライナー」が削減され,この区間の普通列車もいろいろな見直しがありました。以前からスジとしては存在し,去年のダイヤ改正で所要時間増となって12位にランクインしていた米子~益田間列車はなくなってしまいました。たまたま同じ区間を走る別の列車が所要時間増となって区間としては増減なしです。また,「とっとりライナー」に代わり出雲市~鳥取間に設定された列車も所要時間が4:35で長時間鈍行の仲間入りです。この列車の扱いは悩みましたが,区間の4割が重なっているので,元々あった山陰本線の括りの中に押込んでしまいました。

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山陰地区は昔から長距離鈍行の宝庫でした @(旧)餘部橋梁 1985.7.27

 反対に今改正で消えた長距離/長時間鈍行は次の2つです。一つは伯備線の出雲市~岡山間を走っていた列車で,時刻はあまり変わっていませんが新見で分割されました。反対方向の倉敷~西出雲間の列車は,上述の山陰地区の普通列車の見直しで,米子以西が廃止されてしまいました。

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今改正で消えた長距離鈍行の一つ,倉敷~西出雲間の825M~283M @出雲市 2021.7.24

 もう一つは四国で,去年の改正で設定された阿波池田~阿波海南間の列車がたった1年でなくなってしまいました。もともと気動車の運用のはずみで設定されたような列車なので,スジ自体に変わりはなく,分割されてほぼ同じ時刻で走っています。いろいろ技術的な難関があって開業が延びていた阿佐海岸鉄道のDMVがようやく開業したので,それと併せて乗りに行こうと思っていたのに残念です。

 今改正の動きとしてはあと1点,リストの最後の土讃本線で,去年は下りのみの片道掲載でしたが,今年は上り列車も設定されました。JR四国は,車両の運用上継続して使用できる場合は,一つの列車として案内することに積極的なようです。この列車はたった115.3kmで,途中,土佐山田で31分,大歩危で18分,阿波池田で58分の長時間停車があり,表定速度は23.9km/hでリスト中最遅です。

 これらを除けば2021年版と変わり映えしませんが,2022年版--なんと10年目です!--の長距離鈍行列車/長時間鈍行列車ランキングをお届けします。今年も一部の写真のキャプションは乗車記へのリンクになっています。興味があればこちらもご覧ください。

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拡大はこちら

 今年も1位は関西のアーバンネットワーク,敦賀から米原経由で播州赤穂まで275.5kmを走る3323M~3523Mです。2016年のダイヤ改正で赤穂線に乗入れる新快速が激減し,敦賀発の西行はこの1本だけが残りました。東行は播州赤穂発は長浜ゆきが最長になり,敦賀まで行く列車の西端は姫路,この他に網干~近江塩津間の列車もあります。なお,この列車ですが敦賀発の車両は姫路どまりで,播州赤穂まで行く車両は米原で連結するので,全区間を走る車両はないそうです。

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敦賀で発車を待つ3207M~3407M。3323M~3523Mと同じ区間を走るが土休日のみの運転 2021.7.25

 2位は北海道,宗谷本線の旭川~稚内間259.4kmを走る321D~4323D~4325Dです。長時間停車のうちに2回列車番号が変わりますが,実態として1本の列車です。新旭川~稚内は長大な盲腸線,一度乗ったら同じ線を戻ってくるという乗りづらさも魅力的です。以前は15位の根室本線のほか,函館本線や石北本線にも長時間鈍行がありましたが,今ではこの列車が北海道を代表する鈍行列車になりました。

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宗谷本線の4323D~4325Dとサボ @幌延 2017.8.3

 3位は中央本線(東線)・篠ノ井線の高尾~長野間245.0kmを走る441Mです。この列車は比較的新しく2017年の設定で,これまた下りのみ片道の運転です。長野がたが夜にかかってしまいますが,関東山地や南北アルプスの山の景色に日本3大車窓の姨捨とたっぷり楽しめ,首都圏発の鈍行列車を楽しむ旅行にはぜひお薦めの列車です。

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中央線441M。東京からの鈍行列車を楽しむにはお薦めの1本 @高尾 2018.3.10

 4位は上野東京ラインの沼津~宇都宮間235.9kmを走る322M~1542Eです。この区間を走る列車も平日は北行のみで,南行の宇都宮~沼津間の列車は土休日ダイヤにしかありません。上野東京ラインも北側が東北本線と高崎線系統,南側が伊東線とJR東海沼津まで乗入れとバリエーションがあるのでまとめ方に苦労します。この系統の長距離鈍行は東海道線と東北本線・高崎線のスジを繋ぎ合わせたもので,車両運用の都合から朝と夜の乗りづらい時間帯に偏っているのも特徴です。また,JR東日本の首都圏エリアのグリーン料金は51km以上青天井なので,これらの列車に乗るときはグリーン車利用がお得です。

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茅ヶ崎~辻堂を行く322M~1542E。この日は沿線火災で東京ゆき 2020.12.24

 5位と9位は2位と4位のバリエーションといえる列車です。5位は関西のアーバンネットワークの北陸本線~山陽本線の列車ですが,湖西線でショートカットするため,距離的には短くなります。また,9位の湘南新宿ラインは,上野東京ラインより運用範囲が一回り小さいため前橋~小田原間の208.3kmが最長です。

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湘南新宿ライン2825Y @大宮 2021.6.13

 6位は東海道線の早朝の静岡~岐阜間の列車で,これも下りのみの設定です。浜松と豊橋を突き抜けて走る列車は菊川,掛川~岐阜間の列車が幾本かありますが,静岡からのものはこの1本だけです。変な推測ですが,静岡地区がトイレのない211系ばかりだった昔,酔った客の多い夜遅くの名古屋/浜松方面からの列車にトイレ付きの編成を充当し,その戻りの運用が今も残っているのでしょうか。

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東海道線3109F @静岡 2019.3.23

 鈍行列車そのものと景色を楽しむなら,7位の飯田線を全通する列車がお薦めです。距離では200㎞そこそこですが,運転時間は6~7時間かかり,南アルプス・中央アルプスの山々と天竜川の車窓,人里離れた秘境地帯とたっぷり楽しめます。岡谷から入っても,豊橋から入っても,首都圏から青春18きっぷで回ることができます。

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距離では7位だが時間では1位になった飯田線544M(旅行記は519M) @伊那市(?) 2010.8.15

 以降,写真や旅行記がないので飛び飛びになりますが,11位は山陰本線米子~益田間を走る145D~335D~437Dほかです。山陰本線は昔から長距離鈍行列車が多い線区で,リストに掲載以外でも本線筋の鈍行列車を楽しめる列車が多数あります。

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益田~米子間を走る山陰本線424D~324D~134D(当時) @江津 2021.7.23

 15位は北海道の根室本線新得~釧路間の2529Dです。芽室21分,帯広46分,池田25分の長時間停車が奏功して,運転時間5:24になっています。元々は滝川~釧路間308.4kmの運転で全国1,2位を争う列車だったのが,2016年8月の台風の被害で線路が不通になり運転区間が短縮されたものです。JR北海道は不通区間を含む富良野~新得を「当社単独では維持することが困難な線区」とし,この1月28日には沿線の自治体もバス転換の受入れを表明したので,実質的に廃止の方向が確定しました。

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帯広で大休止する根室本線2529Dnewマーク 2022.1.22

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かつての最長鈍行根室本線2429Dと専用サボ @落合 2015.5.3

 16位の羽越本線831Dは,新津~酒田の運転時間が4:30を超えたり,切ったりしている列車です。今年は4:31の運転で基準を何とかクリアです。2020年のダイヤ改正から車両が電気式ディーゼルのGV-E400系になって大幅スピードアップが図られ陥落を予想していましたが,たった4分しかスピードアップできませんでした。単線・複線の混じる区間の下校時間帯の列車なので,よほどダイヤの調整が難しいのでしょう。

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写真がないので831Dと似た区間を走る9822M「きらきらうえつ」 @羽後本荘 2019.7.15
(臨時列車ですがこの日は秋田~新潟273.0㎞所要4:24の長距離列車でした)

 18位は第3セクター鉄道の三陸鉄道です。2019年のダイヤ改正時にJR東日本山田線・宮古~釜石間の移管を受け,盛~久慈間を全通する列車が設定されました。このランキングでは民鉄・3セクは見ていなかったのですが,時刻表で本文中に掲載されることでもあり掲載しています。それ以前は民鉄・3セクにそんな長距離/長時間列車はありませんでした。古くを遡ると,東武~野岩鉄道~会津鉄道の浅草~会津田島間に4:30超えの快速列車が走っていたそうです(サイト訪問者の情報による)。この三陸鉄道の列車ですが,運転時間が4:41と4:35でぎりぎりでの基準クリアなので,今後のダイヤ改善で圏外にならないか心配です。

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三陸鉄道5205D~5009D~5111D @盛 2019.7.14

 ところで,リストの掲載基準ですが,距離で200km以上,時間で4時間30分以上,掲載順は距離順です。対象は定期列車だけですが,土休日運休の列車は対象,土休日のみ運転の列車は対象外です。また,同一区間を運転する列車が条件を満たせば,反対方向の列車も載せています。僕が時刻表を手繰って確認しただけなのでヌケやモレがあってもご容赦ください。

 蛇足になりますが関連で時刻表の話題を2つです。従前,僕は時刻表はJTB党でしたが,去年のダイヤ改正から普段使いの時刻表をJR版に変えました。ところがこれには行政の区割りの参考情報の市の代表(中心)駅(JTB版では索引地図に二重円表示)がありません。このブログの記事では行政や市町村についてしばしば言及しますが,僕にとってはこれは重要な情報です。JR時刻表に変えたのは失敗で,今年はJTB時刻表に戻しました。ところが話はまだ先があります。

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JR時刻表とJTB時刻表の830D~1574D

 幻の長距離鈍行と言えば,ダイヤ上は設定されたが線路が不通で乗れない根室本線の2427Dが有名でしたが,今改正で幻の長時間鈍行が誕生しました。というのも,山陰本線下関~長門市の830Dと長門市~益田の1574Dは別の列車ですが,JR版時刻表では直通列車として案内されていたのです。我が家のジュニアは時刻表はJR党で,親父の道楽の手伝いをしてくれ,下関~益田間5時間3分運転の列車ができたと知らせてくれました。ダイヤの施行前では検証が難しく,乗換案内の検索サイトで調べても1本の列車で案内されるので,本記事も当初は1本が正として書きました。その後,たまたま気づいた点なのでJTBパブリッシングにお知らせしたところ,その列車はJRからの資料では当初は直通列車だったが,その後訂正があって別列車になったとの回答でした。別列車が正?,残念な気持ちいっぱいでJR西日本に確認したところ,やはり別列車が正で,JR版時刻表も修正予定だけど,実際のところ継続してご乗車いただけますとの丁寧な回答でした。実はこの直通列車のカギ矢印は微妙です。東北本線の郡山~小牛田間の仙台のE721系で運用される列車は時刻表では福島,白石,仙台で見事にぶつ切りですが,そのまま直通する例に幾度か当たったことがあります。これを1列車と言い出すときりがないので,この記事ではあくまでも時刻表等で1本の列車として案内されるものに限っています。

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福島~仙台の3571Mがそのまま小牛田ゆきの2537Mに化ける @仙台 2017.5.4

 話がとびましたが,写真のキャプションから分かるように2021年もこのリストに載っている列車の幾本かに乗りました。ブログの維持に不可欠な取材などと口実を付けて,コロナ禍のなか用心に用心を重ねての旅行です。2022年はもう少しおおらかに鈍行列車旅行が楽しめるようになるよう祈念します。(2022.3.5記,山陰本線830D~1574D関連部分2022.3.19修正)

最新版はこちらから参照ください。
また,最新版の一番後ろに各年版へのリンクがあります。

旅心をそそる長距離鈍行列車・長時間鈍行列車リスト/2021年3月13日改正ダイヤ

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 今年(2021年)も3月13日にJRグループのダイヤ改正が実施されます。今年も新線の開業はなく,新型コロナウィルス感染対策で深夜を中心に列車を減らす異例の改正です。JR東日本ではGV-E400系の投入が続き,鈍重なキハ40系の置換えに伴うスピードアップも予想され,長距離鈍行にとっては厳しいダイヤ改正を予想していました。フタを開けてみれば,なくなった列車は1か所だけ,むしろ新規に設定された列車が3区間と嬉しい内容のダイヤ改正になりました。

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昔の山陰本線の客車鈍行 @(旧)餘部鉄橋 1985年夏休み

 全般的な動きは少ないので,先ず最初に動きのあったところをご紹介します。このリストとして新規の区間で,12位に山陰本線米子~益田間の列車がランクインしました。山陰本線は,門司港~福知山の最長鈍行824レや寝台車連結で京都~出雲市間の「山陰」などたくさんの長距離鈍行が走っていました。今でも鳥取~出雲市間の「とっとりライナー」や米子~益田間「アクアライナー」など比較的長距離の快速列車も走ります。以前から気になっていた「アクアライナー」と同じ米子~益田間を走る134D(土休日は134K)が今回の改正で所要時間増となり,晴れて4時間半超えの長時間鈍行になりました。

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山陰本線132K(今の134D/Kとほぼ同じ時間を走っていた) @宍道 2017.9.3

 もう一つの新規の区間は2020年改正に続き四国で,阿波池田~阿佐海南間の列車です。以前から徳島線から牟岐線に乗入れる列車はありましたが,今回の改正で5時間近くをかけて両線区を全通する列車が設定されました。起点・終点とも「阿波」がつき,徳島県内でクローズする列車です。

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徳島駅の賑わい 2019.2.11

 このほか四国では,11位の予讃線に括ってしまいましたが,多度津~伊予市間を5時間以上かけて走る列車も設定されました。反対に表から落ちたのは,広島~府中間を三次経由で走っていた列車です。もともと130.3km,県内クローズの列車で,三次での1時間超の長時間停車でランクインしていたものでしたが,芸備線広島口の列車の整理の影響で設定がなくなりました。

 長距離鈍行列車と言えば,千葉の外房線の上総一ノ宮と内房線の木更津の間138.4kmを3時間半で走る列車,西行(上総一ノ宮~木更津)7本,東行(その逆)9本が新たに設定されました。房総半島末端部の輸送力過剰の解消とワンマン運転化のため,E131系電車の投入によるものです。140円旅行でも行けるし,東京湾の内海と太平洋の大海原の2つの海が楽しめ,季節の花もきれいな路線なので,外出の制限が緩んだら乗りに行きたいと思います。残念ながら,距離も時間も下のランキングの表に載るには程遠いです。

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房総半島南部内房線の列車 @館山駅 2019.7.30

 これらを除けば2020年版と変わり映えしませんが,2021年版の長距離鈍行列車・長時間鈍行列車ランキングをお届けします。今年も一部の写真のキャプションは乗車記へのリンクになっています。興味があればこちらもご覧ください。

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拡大はこちら

 今年も1位は関西のアーバンネットワーク,敦賀から米原経由で播州赤穂まで275.5kmを走る3327M~3527Mです。2016年のダイヤ改正で赤穂線に乗入れる新快速が激減し,敦賀発の西行はこの1本だけが残りました。東行は播州赤穂発は長浜ゆきが最長になり,敦賀まで行く列車の西端は姫路,この他に網干~近江塩津間の列車もあります。なお,3327M~3527Mですが敦賀発の車両は姫路どまりで,播州赤穂まで行く車両は米原で連結するので,全区間を走る車両はないそうです。

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敦賀で発車を待つ播州赤穂ゆきの新快速列車。写真と乗車記は休日運転の3207M 2021.7.25

 2位は上野東京ラインの熱海~黒磯間268.1kmを走る1662Eです。この区間を走る列車も平日は北行のみで,南行の黒磯~熱海間の列車は土休日ダイヤにしかありません。平日ダイヤでの東北本線の北限は氏家始発という1日1本しかない列車です。上野東京ラインも北側が東北本線と高崎線系統,南側が伊東線とJR東海沼津まで乗入れとバリエーションがあるのでまとめ方に苦労します。この系統の長距離鈍行は東海道線と東北本線・高崎線のスジを繋ぎ合わせたもので,車両運用の都合から朝と夜の乗りづらい時間に偏っているのも特徴です。また,JR東日本の首都圏エリアのグリーン料金は51km以上青天井なので,これらの列車に乗るときはグリーン車利用がお得です。

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熱海~黒磯間268.1kmを走っていた1586E(2019年ダイヤで消滅)と同区間のグリーン券 @東京 2017.7.31/2015.3.22

 3位は北海道,宗谷本線の旭川~稚内間259.4kmを走る321D~4323D~4325Dです。長時間停車のうちに2回列車番号が変わりますが,実態として1本の列車です。新旭川~稚内は長大な盲腸線,一度乗ったら同じ線を戻ってくるという乗りづらさも魅力的です。以前は16位の根室本線のほか,函館本線や石北本線にも長時間鈍行がありましたが,今ではこの列車が北海道を代表する鈍行列車になりました。

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宗谷本線の4323D~4325Dとサボ @幌延 2017.8.3

 4位は中央本線(東線)・篠ノ井線の高尾~長野間245.0kmを走る441Mです。この列車は比較的新しく2017年の設定で,これまた下りのみ片道の運転です。長野がたが夜にかかってしまいますが,関東山地や南北アルプスの山の景色に日本3大車窓の姨捨とたっぷり楽しめ,首都圏発の鈍行列車を楽しむ旅行にはぜひお薦めの列車です。

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中央線441M。東京からの鈍行列車を楽しむにはお薦めの1本 @高尾 2018.3.10

 5位と10位は1,2位のバリエーションといえる列車です。5位は関西のアーバンネットワークの北陸本線~山陽本線の列車ですが,湖西線でショートカットするため,距離的には短くなります。また,10位の湘南新宿ラインは,上野東京ラインより運用範囲が一回り小さいため前橋~小田原間の208.3kmが最長です。

 7位は東海道線の早朝の静岡~岐阜間の列車で,これも下りのみの設定です。浜松と豊橋を突き抜けて走る列車は菊川,掛川~岐阜間の列車が幾本かありますが,静岡からのものはこの1本だけです。変な推測ですが,静岡地区がトイレのない211系ばかりだった昔,酔った客の多い夜遅くの名古屋/浜松方面からの列車にトイレ付きの編成を充当し,その戻りの運用が今も残っているのでしょうか。

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東海道線3109F @静岡 2019.3.23

 鈍行列車そのものと景色を楽しむなら,8位の飯田線を全通する列車がお薦めです。距離では200㎞そこそこですが,運転時間は6~7時間かかり,南アルプス・中央アルプスの山々と天竜川の車窓,人里離れた秘境地帯とたっぷり楽しめます。岡谷から入っても,豊橋から入っても,首都圏から青春18きっぷで回ることができます。

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距離では8位だが時間では1位になった飯田線544M(旅行記は519M) @伊那市(?) 2010.8.15

 18位は第3セクター鉄道の三陸鉄道です。2019年のダイヤ改正時にJR東日本山田線・宮古~釜石間の移管を受け,盛~久慈間を全通する列車が設定されました。このランキングでは民鉄・3セクは見ていなかったのですが,時刻表で本文中に掲載されることでもあり掲載しています。それ以前は民鉄・3セクにそんな長距離・長時間列車はありませんでした。古くを遡ると,東武~野岩鉄道~会津鉄道の浅草~会津田島間に4:30超えの快速列車が走っていたそうです(サイト訪問者の情報による)。この三陸鉄道の列車ですが,運転時間が4:41と4:35でぎりぎりでの基準クリアなので,今後のダイヤ改善で圏外にならないか心配です。

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三陸鉄道5205D~5009D~5111D @盛 2019.7.14

 16位の羽越本線831Dは,新津~酒田の運転時間が4:30を超えたり,切ったりしている列車です。今年も4:32の運転で基準を何とかクリアです。去年のダイヤ改正から車両が電気式ディーゼルのGV-E400系になって大幅スピードアップが図られ陥落を予想していましたが,たった4分しかスピードアップできませんでした。単線・複線の混じる区間の下校時間帯の列車なので,よほどダイヤの調整が難しいのでしょう。

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写真がないので831Dと似た区間を走る9822M「きらきらうえつ」 @羽後本荘 2019.7.15
(臨時列車ですがこの日は秋田~新潟273.0㎞所要4:24の長距離列車でした)

 毎年,時刻表をチェックといえば,15位の根室本線の新得~釧路間列車も2016年ダイヤでは滝川~釧路間の最長鈍行だっただけに気になる存在です。JR北海道は「当社単独では維持することが困難な線区」を公表し,この3月末で日高本線を廃止しますが,根室本線の富良野~新得も該当です。去年版では台風被害の復旧と運転再開を期しますと書きましたが,夢のまた夢のようです。また,このランキングを作るための時刻表のチェックですが,大判の時刻表を一とおり目を通す必要があり,ふつうでは気づかない発見ができるのも,辛くても年中行事にしている理由です。

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根室本線の長距離鈍行と専用サボ(いずれも2429D時代のもの)@落合 2015.5.3

 最後にリストの掲載基準ですが,距離で200km以上,時間で4時間30分以上,掲載順は距離順です。対象は定期列車だけですが,土休日運休の列車は対象,土休日のみ運転の列車は対象外です。また,同一区間を運転する列車が条件を満たせば,反対方向の列車も載せています。僕が時刻表を手繰って確認しただけなのでヌケやモレがあってもご容赦ください。また,後半の内容は毎年同じで申し訳ありません。(2021.3.6記)

 2021年ダイヤの鈍行の目玉?の南房総の鈍行に乗ってきました。その時の記事をアップしたので,よろしかったらご笑覧ください。(2021.6.23追記)(2022.1.8 3207Mに写真を差替え,リンク貼付け)

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外房線3239M~内房線3138M @上総一ノ宮

最新版はこちらから参照ください。
また,最新版の一番後ろに各年版へのリンクがあります。

旅心をそそる長距離鈍行列車・長時間鈍行列車リスト/2020年3月14日改正ダイヤ

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 今年(2020年)も3月14日にJRグループのダイヤ改正が実施されます。今年は新線の開業はありませんが2011年3月の東日本大震災から区間運休・バス代行が続いていた常磐線富岡~浪江間が復旧,列車の運転を再開します。復興の一歩前進をお祝いしたいと思います。そのダイヤですが,水戸か勝田発で仙台ゆき列車が設定されれば200km超えの長距離鈍行などと期待していましたが,蓋を開けてみれば東北本線福島~盛岡間のようなぶつ切りダイヤです。輸送量と輸送力のバランスや車両運用の単純化,ダイヤ乱れの波及の抑制という意味でこの方が効率的なのですが,長距離鈍行マニアとしては少し残念です。

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ひと足先の2016年12月10日復旧区間の山下駅 2018.3.25

 さて,長距離・長時間鈍行列車ですが,長年にわたり表の末尾にランクインしていた宮崎から隼人へ吉都線~肥薩線回りで走っていた列車が,吉松で分断されて圏外になりました。同区間を走る上りは残っていますが所要時間4:03で基準を満たしません。36分も後に出た普通電車に追いつかれてしまう鈍足ぶりと,南九州の山あいを辿るルートから1度乗りたいと思っていたので,残念です。反対に,芸備線~福塩線の1840D~1730Dと土讃線の4243D~4247D~4757Dが今年新たにランクインしました。芸備線~福塩線の列車は三次で1時間9分,土讃線の列車は阿波池田と高知でそれぞれ32分の長時間停車があり,表定速度は20km/h台です。こんな列車でもこのご時世に新規のエントリーは嬉しいものです。

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昔の土讃線の鈍行列車 1983.2

 これらを除けば2019年版と変わり映えしませんが,2020年版の長距離鈍行列車・長時間鈍行列車ランキングをお届けします。今年も一部の写真のキャプションは乗車記へのリンクになっています。興味があればこちらもご覧ください。

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拡大はこちら

 今年も1位は関西のアーバンネットワーク,敦賀から米原経由で播州赤穂まで275.5kmを走る3327M~3527Mです。2016年のダイヤ改正で赤穂線に乗入れる新快速が激減し,敦賀発の西行はこの1本だけが残りました。東行は播州赤穂発は長浜ゆきが最長になり,敦賀まで行く列車の西端は姫路,この他に網干~近江塩津間の列車もあります。なお,3327M~3527Mですが敦賀発の車両は姫路どまりで,播州赤穂まで行く車両は米原で連結するので,全区間を直通する車両はないそうです。

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敦賀で発車を待つ新快速列車。今のダイヤなら3193Mに相当 2015.7.20

 2位は上野東京ラインの熱海~黒磯間268.1kmを走る1644Eです。この区間を走る列車も平日は北行のみで,南行の黒磯発は土休日ダイヤにしかありません。平日ダイヤでの東北本線の北限は氏家始発という1日1本しかない列車です。上野東京ラインも北側が東北本線と高崎線系統,南側が伊東線とJR東海沼津まで乗入れとバリエーションがあるのでまとめ方に苦労します。この系統の長距離鈍行は東海道線と東北本線・高崎線のスジを繋ぎ合わせたもので,車両運用の都合から朝と夜の乗りづらい時間に偏っているのも特徴です。また,JR東日本の首都圏エリアのグリーン料金は51km以上青天井なので,これらの列車に乗るときはグリーン車利用がお得です。

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熱海~黒磯間268.1kmを走っていた1586E(2019年ダイヤで消滅)と同区間のグリーン券 @東京 2017.7.31/2015.3.22

 3位は北海道,宗谷本線の旭川~稚内間259.4kmを走る321D~4323D~4325Dです。長時間停車のうちに2回列車番号が変わりますが,実態として1本の列車です。新旭川~稚内は長大な盲腸線,一度乗ったら同じ線を戻ってくるという乗りづらさも魅力的です。以前は15位の根室本線のほか,函館本線や石北本線にも長時間鈍行がありましたが,今ではこの列車が北海道を代表する鈍行列車になりました。

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宗谷本線の4323D~4325Dとサボ @幌延 2017.8.3

 4位は中央本線(東線)・篠ノ井線の高尾~長野間245.0kmを走る441Mです。この列車は比較的新しく2017年の設定で,これまた下りのみ片道の運転です。長野がたが夜にかかってしまいますが,関東山地や南アルプスの山の景色がたっぷり楽しめ,首都圏発の鈍行列車を楽しむ旅行にはぜひお薦めの列車です。

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中央線441M。東京からの鈍行列車を楽しむにはお薦めの1本 @高尾 2018.3.10

 5位と10位は1,2位のバリエーションといえる列車です。5位は関西のアーバンネットワークの北陸本線~山陽本線の列車ですが,湖西線でショートカットするため,距離的には短くなります。また,10位の湘南新宿ラインは,上野東京ラインより運用範囲が一回り小さいため前橋~小田原間の208.3kmが最長です。

 7位は東海道線の早朝の静岡~岐阜間の列車で,これも下りのみの設定です。浜松と豊橋を突き抜けて走る列車は菊川,掛川~岐阜間の列車が幾本かありますが,静岡からのものはこの1本だけです。変な推測ですが,静岡地区がトイレのない211系ばかりだった昔,酔った客の多い夜遅くの名古屋/浜松方面からの列車にトイレ付きの編成を充当し,その戻りの運用が今も残っているのでしょうか。

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東海道線3109F @静岡 2019.3.23

 鈍行列車そのものと景色を楽しむなら,8位の飯田線を全通する列車がお薦めです。距離では200㎞そこそこですが,運転時間は6~7時間かかり,南アルプス・中央アルプスの山々と天竜川の車窓,人里離れた秘境地帯とたっぷり楽しめます。岡谷から入っても,豊橋から入っても,首都圏から青春18きっぷで回ることができます。

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距離では8位だが時間では1位になった飯田線544M(旅行記は519M) @伊那市(?) 2010.8.15

 18位は第3セクター鉄道の三陸鉄道です。去年のダイヤ改正時にJR東日本山田線・宮古~釜石間の移管を受け,盛~久慈間を全通する列車が設定されました。このランキングでは民鉄・3セクは見ていなかったのですが,時刻表で本文中に掲載されることでもあり掲載しています。それ以前は民鉄・3セクにそんな長距離・長時間列車はありませんでした。古くを遡ると,東武~野岩鉄道~会津鉄道の浅草~会津田島間に4:30超えの快速列車が走っていたそうです(サイト訪問者の情報による)。この三陸鉄道の列車ですが,運転時間が4:38と4:33でぎりぎりでの基準クリアなので,今後のダイヤ改善で圏外にならないか心配です。

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三陸鉄道5205D~5009D~5111D @盛 2019.7.14

 16位の羽越本線831Dは,新津~酒田の運転時間が4:30を超えたり,切ったりしている列車です。近年は毎年チェックしていて,今年は4分スピードアップされましたが,基準を何とかクリアです。車両が電気式ディーゼルのGV-E400系になって大幅スピードアップが図られ,今年は陥落と予想していました。たった4分しかスピードアップできなかったのは,単線・複線の混じる区間でダイヤ修正が難しかったか,沿線の学校などとの調整が間に合わなかったか,そんなことはないと思いますがJRのご担当が手を抜いたか,どうしてでしょう。

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写真がないので831Dと似た区間を走る9822M「きらきらうえつ」 @羽後本荘 2019.7.15
(臨時列車ですがこの日は秋田~新潟273.0㎞所要4:24の長距離列車でした)

 毎年,時刻表をチェックといえば15位の根室本線の新得~釧路間列車も気になる存在です。2016年ダイヤでは最長鈍行だっただけに,台風被害の復旧と運転再開を期します。また,このランキングを作るための時刻表のチェックですが,大判の時刻表を一とおり目を通す必要があります。今年の例でいえば東海道線の早朝の品川~小田原間に列車が1本増発されました。ふつうでは気づかない発見ができるのも,辛くても年中行事にしている理由です。

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根室本線の長距離鈍行と専用サボ(いずれも2429D時代のもの)@落合 2015.5.3

 最後にリストの掲載基準ですが,距離で200km以上,時間で4時間30分以上,掲載順は距離順です。対象は定期列車だけですが,土休日運休の列車は対象,土休日のみ運転の列車は対象外です。また,同一区間を運転する列車が条件を満たせば,反対方向の列車も載せています。僕が時刻表を手繰って確認しただけなのでヌケやモレがあってもご容赦ください。また,一部の写真が毎年同じで申し訳ありません。(2020.3.7記,2020.3.14誤記修正)

最新版はこちらから参照ください。
また,最新版の一番後ろに各年版へのリンクがあります。

旅心をそそる長距離鈍行列車・長時間鈍行列車リスト/2019年3月16日改正ダイヤ

 今年(2019年)も3月16日にJRグループのダイヤ改正が実施されます。今年は新線のおおさか東線が開業,1週間後の3月23日(一般営業は3月24日から)には三陸鉄道が復旧開業するなど,「乗り鉄」には楽しみなニュースもあります。長距離鈍行列車に関しては長年上位にランクインしていた山陽本線の369Mが227系の勢力伸長により陥落し,上位は京阪神と首都圏の近郊電車ばかりになってしまいました。JR山田線の移管を受け南北統合を果たした三陸鉄道にも長時間鈍行が誕生します。それでは,2019年版の長距離鈍行列車・長時間鈍行列車リストをお届けします。今年も一部の写真のキャプションは乗車記へのリンクになっています。興味があればこちらもご覧ください。

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 昨年の1位だった山陽本線の369Mは心配していたとおり,広島地区の完全227系化で岩国で分割,2本の列車になってしまいました。今回の地区ごとの分割は見事で,糸崎・三原間,岩国・南岩国間をまたいで運転される列車は朝夕の例外的な列車,数本になってしまいました。369M以外にも岡山地区から岩国地区まで通しの200km,4時間超の列車が幾本かありましたが,これらも全滅です。しかも,スジは切れていても,時刻は改正前とほとんど変わっていません。ふつうに旅行するのであれば変わりがないだけに,1本の列車にこだわるマニアにはとても残念です。

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ありし日の広島地区の鈍行列車 @八本松~瀬野 2012.8.26 

 369Mに代わって長距離鈍行列車1位になったのは,関西のアーバンネットワーク,敦賀から米原経由で播州赤穂まで275.5kmを走る3527Mです。2016年のダイヤ改正で赤穂線に乗入れる新快速が激減し,敦賀発の西行はこの1本だけが残りました。東行は播州赤穂発は長浜ゆきが最長になり,敦賀まで行く列車の西端は姫路,この他に網干~近江塩津間の列車もあります。なお,3527Mですが敦賀発の車両は姫路どまりで,播州赤穂まで行く車両は米原で連結するので,列車番号は1つでも全区間を直通する車両はないそうです。

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敦賀で発車を待つ新快速列車。今のダイヤなら3193Mに相当 2015.7.20

 以下,1つずつ順位が繰上がり,2位は上野東京ラインの熱海~黒磯間268.1kmを走る1644Eです。この区間を走る列車も平日は北行のみで,南行の黒磯発は土休日ダイヤにしかなく,平日は氏家発という変わった列車です。また,去年の2018年ダイヤまでは熱海11:32,黒磯16:17の1586Eという列車もあり,日中の旅行が楽しめたのですが,今改正で宇都宮ゆきに短縮されてしまいました。上野東京ラインも北側が東北本線と高崎線系統,南側が伊東線とJR東海沼津まで乗入れとバリエーションがあるのでまとめ方に苦労します。また,JR東日本の首都圏エリアのグリーン料金は51km以上青天井なので,これらの列車に乗るときはグリーン車利用がお得です。

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熱海~黒磯間268.1kmを走っていた1586Eと同区間のグリーン券 @東京 2017.7.31/2015.3.22

 3位は北海道,宗谷本線の旭川~稚内間259.4kmを走る321D~4323D~4325Dです。長時間停車のうちに2回列車番号が変わりますが,実態として1本の列車です。新旭川~稚内は長大な盲腸線,一度乗ったら同じ線を戻ってこないといけないという乗りづらさも魅力的です。以前は15位の根室本線のほか,函館本線や石北本線にも長時間鈍行がありましたが,今ではこの列車が北海道を代表する鈍行列車になりました。

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宗谷本線の4323D~4325Dとサボ @幌延 2017.8.3

 4位は中央本線(東線)・篠ノ井線の高尾~長野間245.0kmを走る441Mです。この列車は比較的新しく,2017年の設定で,これまた下りのみ片道の設定です。長野がたが夜にかかってしまいますが,関東山地や南アルプスの山の景色がたっぷり楽しめ,首都圏発の鈍行列車を楽しむ旅行にはぜひお薦めの列車です。

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中央線441M。東京からの鈍行列車を楽しむにはお薦めの1本 @高尾 2018.3.10

 5位と10位は1,2位のバリエーションといえる列車です。5位は関西のアーバンネットワークの北陸本線~山陽本線の列車ですが,湖西線でショートカットするため,距離的には短くなります。10位は首都圏の湘南新宿ラインですが,上野東京ラインより運用範囲が一回り小さいため,前橋~小田原間の208.3kmが最長です。首都圏の長距離鈍行はE231,E233系の車両運用の関係で設定されたものが多く,早朝や夜の列車が多く,乗りづらいし,景色も見えない列車が多いです。

 鈍行列車そのものと景色を楽しむなら,飯田線を全通する幾本かの列車がお薦めです。距離では200㎞そこそこですが,運転時間は6~7時間かかり,南アルプス・中央アルプスの山々と天竜川の車窓,人里離れた秘境地帯とたっぷり楽しめます。岡谷から入っても,豊橋から入っても,首都圏から青春18きっぷで回ることができます。

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距離では8位だが時間では1位になった飯田線544M(旅行記は519M) @伊那市(?) 2010.8.15

 冒頭でも触れましたが,三陸鉄道に盛~久慈間を全通する列車が設定され,長距離・長時間鈍行の仲間入りをしました。このリストはJRを対象とし,民鉄・三セクは見ていなかったのですが,時刻表では本文中に掲載されることでもあり,三陸地方の復興支援もあり文句なしに掲載です。そもそも今までJR以外には下に書く基準をクリアする鈍行列車はなかったものと思います。ただし,運転時間4:38と4:33でぎりぎりでの基準クリアなので,今後のダイヤ改善で圏外にならないかが心配です。

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35年前,開業初年の三陸鉄道 @田野畑 1984.7.31

 16位の羽越本線831Dは新津~酒田の運転時間が4:30を超えたり,切ったりしている列車です。近年は毎年チェックしていて,表に載ったりおちたり,今年は掲載復活です。毎年,時刻表をチェックといえば15位の根室本線の新得~釧路間列車も気になる存在です。2016年ダイヤでは最長鈍行だっただけに,台風被害の復旧と運転再開を期します。尤も,被害は甚大で,JR北海道は独力での復旧は難しいとしています。

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根室本線の長距離鈍行と専用サボ(いずれも2429D時代のもの)@落合 2015.5.3

 最後にリストの掲載基準ですが,距離で200km以上,時間で4時間30分以上,掲載順は距離順です。対象は定期列車だけですが,土休日運休の列車は対象,土休日のみ運転の列車は対象外です。また,同一区間を運転する列車が条件を満たせば,反対方向の列車も載せています。僕が時刻表を手繰って確認しただけなのでヌケやモレがあってもご容赦ください。また,一部の写真が毎年同じで申し訳ありません。(2019.3.16記)

最新版はこちらから参照ください。
また,最新版の一番後ろに各年版へのリンクがあります。

旅心をそそる長距離鈍行列車・長時間鈍行列車リスト/2018年3月17日改正ダイヤ

 今年(2018年)も3月17日にJRグループのダイヤ改正が実施されます。今年は新線の開業もなく,昨年にもまして地味なダイヤ改正です。長距離鈍行列車の1,2位を長年争ってきた北海道の根室本線の2427Dが台風被害の影響で運転区間を短縮,距離は130kmながらも時間のほうでランクインしていた三江線は線区自体が3月31日限りで廃止と寂しいニュースがありました。一部の線区では掲載基準の4時間30分をクリアしませんが,何本か新しい列車が設定されました。明るいニュースなので,今年はそれらの列車も※を付けて載せました。それでは,2018年版の長距離鈍行列車・長時間鈍行列車リストをお届けします。また,今年は関連の旅行記のリンクもつけたので,興味のあるかたはご参照ください。

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 昨年の1位だったJR北海道の名物列車の根室本線2427Dは,ダイヤ上は不通区間も含む滝川~釧路間で設定されて「幻の最長鈍行」でしたが,今年は不通区間より西の部分がちょん切られて走行距離172.1㎞に短縮されました。幸い上下とも時間のほうでランクインしていますが,今年の順位は16位です。なお,今年も2427Dは残っていますが,2529Dのほうが所要時間が長いので表はそちらで書いてあります。運転区間が同じなのに百番台が異なるのはなぜでしょうか,興味は尽きません。

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根室本線の長距離鈍行と専用サボ(いずれも2429D時代のもの)@落合 2015.5.3

 1位になった369Mのほうも元々は岡山~下関384.7㎞の運転だったものが,去年から糸崎からに短縮されたものなので,どうも残念な列車です。広島地区の227系の増備いかんでは広島や岩国で分断される可能性があり,今後も目が離せません。こうしてみると山陽本線は長距離鈍行のメッカで早朝と深夜に似たような列車が設定されています。これらは運転区間が微妙に異なるので,まとめるのに苦労します。

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広島地区で増備の続く227系電車(写真:ジュニア)

 そして2,3,6,7位と上位は首都圏と関西の近郊電車が顔を並べます。これらの電車は日ごろ目にしているので,旅心という面ではちょっとです。JR東日本では普通列車用グリーン券が51㎞以上青天井なので,もし乗るならグリーン車がお薦めです。これらの列車は本数が多く運転区間や経路が複雑なので,表をまとめるのはたいへん苦労します。

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上野東京ライン1586E。熱海~黒磯間268.1kmで今年は3位 @東京 2017.7.31

 今年は北海道の宗谷本線を全通する鈍行が1つ順位を上げて4位になりました。この列車は途中で2回も列車番号が変わりますが,サボの表示も「稚内~旭川」で,実態としては一つの列車です。2014年までは石北本線や函館本線にも妙に長時間停車する長距離というか長時間鈍行がありました。それらの運転区間が短縮されてしまった今では,この列車が道内で唯一の200㎞超えの長距離鈍行です。乗りにくさでもピカ一なので,今後はJR北海道の看板列車,乗り鉄のあこがれの列車になるかもしれません。

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宗谷本線の4323D~4325Dとサボ @幌延 2017.8.3

 昨年1位だった2427Dは時間でも1位でしたが,今年は時間の1位は飯田線の544Mになりました。飯田線は200㎞に満たないですが駿遠三にまたがる秘境地域をのんびり日がな1日かけて走るのは,鈍行列車の醍醐味の味わえる列車です。

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距離では9位だが時間では1位になった飯田線544M(旅行記は519M) @伊那市(?) 2010.8.15

 5位は東京からも程近い中央東線で,去年設定された高尾~長野間の441Mです。この列車は走る時間帯も景色もよいので,ぜひ乗ってみたい列車の一つです。長野の211系のうち高尾口に運用される列車はロングシートの車両が多いので,そこだけが難点です。

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中央線441M。東京からの鈍行列車を楽しむにはお薦めの1本 @高尾 2018.3.10

 17位の三江線ですが,去年に予告したとおり,3月31日で線区自体が廃止です。廃止を前に乗り納めのお客さん救済のためか,2017年ダイヤでは切れていた中間部分に日中の列車が増発され実質4往復になりました。また,その増発列車は山陰本線益田始発となり,距離も40㎞強伸びました。

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三江線の普通列車。残念ながらこれは線内でクローズする429D @江津 2017.8.31

 冒頭にも書きましたが,今回の改正ではいくつかの線で4時間超の長距離列車がいくつか設定されました。五能線では去年までは東能代~弘前を全通する列車は「リゾートしらかみ」を除くと片道1本でしたが,下りにもう1本と上りには快速が増えました。また,日豊本線でも延岡~鹿児島中央間を走る列車は上りのみの片道1本でしたが,上りにもう1本と下りが設定されました。日豊本線のこれらの列車は殆どが夜間なので,景色を見ることができないのが残念です。
 長距離・長時間鈍行とは少し変わりますが,日豊本線のこの少し北の県境に跨る重岡~延岡間は1日に下り1本,上り2本しか普通列車の設定がなくなりました。その昔の石北本線白滝シリーズのような鈍行で行きづらい区間が九州にできたのは驚きです。

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五能線と日豊本線は写真がないので恐ろしく古い写真ですが悪しからず
五能線の混合列車 場所不詳 1978.7 と日南くずれの鈍行列車 @門石(信) 1980.9.16

 最後にリストの掲載基準ですが,これまでと同じで,距離で200km以上,時間で4時間30分以上,掲載順は距離順です。対象は定期列車だけですが,土休日運休の列車は対象,土休日のみ運転の列車は対象外です。今年は五能線や日豊本線で基準に満たない惜しい列車が増えたので,ペアになる列車が条件を満たせば,運転時間4時間30分未満でも載せています。僕が時刻表を手繰って確認しただけなのでヌケやモレがあってもご容赦ください。また,写真が毎年同じで申し訳ありません。

追:根室本線の2427Dについて
 僕は時刻表はJTB党ですが,今年のリストはJR版を使って編集しました。昨年の1位から16位になった根室本線の2427Dですが,JR版では東鹿越以西は9627Dと別の列車扱いですが,JTB版では未だに2427Dで掲載されています。一体どうなっているのでしょう。なお,滝川から9627Dに乗った場合,富良野から一部の駅を通過する直行便の代行バスに乗ると新得で2427Dに接続します。9627Dに東鹿越まで乗って接続する各駅停車便の代行バスは新得からの2427Dには接続しないので要注意です。(2018.3.3記)
 JTBの時刻表ですが,4月号はJRと同じように代行バス時刻が掲載されています。どうして1か月遅れになってしまったのか理由は分かりませんが,時刻表は正しいダイヤが命ですので奮起を期待します。(2018.3.22追記)(2018.4.8 441Mの写真差替え)

最新版はこちらから参照ください。
また,最新版の一番後ろに各年版へのリンクがあります。

旅心をそそる長距離鈍行列車・長時間鈍行列車リスト/2017年3月4日改正ダイヤ

 今年(2017年)も3月4日にJRグループのダイヤ改正が実施されました。一昨年,昨年は北陸新幹線,北海道新幹線の開業という目玉がありましたが,今年は比較的地味な全国ダイヤ改正でした。鈍行列車では長距離鈍行列車の1位が入替わるなど動きがありました。2017年版の長距離鈍行列車・長時間鈍行列車リストをお届けします。

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長距離鈍行1位に返り咲いた2427Dと専用サボ(いずれも2429D時代のもの)

 去年の1位だった山陽本線の岡山~下関間の369Mが糸崎でチョン切られて順位をおとし,去年2位だった根室本線の2427Dが1位に返り咲きました。以前は上下ペアの列車でしたが,2016年の改正から上りは同じ区間の列車がなくなってしまいました。現在,根室本線の東鹿越~新得間は去年の台風の被害でバス代行となっており,復旧されないまま恒久的にバス代行による営業になる可能性もあるようです。また,北海道では宗谷本線の稚内~旭川間の上り列車,もともと下りしかなかった石北本線の上川~網走間の列車がなくなってしまいました。旅客の減少と気動車の高齢化にあえぐJR北海道の厳しい経営を反映した形ですが,寂しい限りです。

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広島地区で増備の続く227系電車(写真:ジュニア)

 2位になった369Mのほうも,広島地区の227系の増備いかんでは広島や岩国で分断される可能性があり,来年以降も目が離せません。表のコメントのとおり,休日のみの運転ですが,2年ぶりに呉線にも長距離鈍行が復活しました。鈍行列車とは違う話題ですが,広島地区では可部線の可部~あき亀山間が開業しました。国鉄・JR全線完乗のタイトルがかかっているので夏休みにでも出掛けようと思います。

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中央線446M。441Mの写真は間に合わないのであしからず

 中央東線では2015年改正で以前の長野~甲府間列車と甲府~大月間列車がくっつき200km超の長距離鈍行446Mが誕生しました。下りは立川~松本間の197.9kmが最長でしたが,今改正で高尾~長野間の441Mが設定され,6位に躍進しました。走る時間帯も景色もよいので,ぜひ乗ってみたい列車の一つです。長野の211系のうち高尾口に運用される列車はロングシートの車両が多いので,そこだけが難点です。

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上野東京ライン1586E。熱海~黒磯間268.1kmで4位にランクイン

 上野東京ラインは運転系統が複雑で表の載せ方が悩ましいのですが,今年は少し念入りに調べ,10本を掲載しました。不思議と北行列車のほうが不作で,沼津,伊東から前橋,高崎への列車は平日の設定がありません。この他,関西のアーバンネットワークの列車も掲載数を増やしたので,表が冗長になってしまいました。

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距離では11位だが時間では2位の飯田線544M

 これで5年,このリストを作っています。乗ってみたい長距離・長時間鈍行列車を探すのが「はじまり」でしたが,最近はこのリストを作ることで新しい時刻表を満遍なく眺められるのもメリットと感じています。
 最後にリストの掲載基準ですが,これまでと同じで,距離で200km以上,時間で4時間30分以上,掲載順は距離順です。対象は定期列車だけですが,土休日運休の列車は対象,土休日のみ運転の列車は対象外です。僕が時刻表を手繰って確認しただけなのでヌケやモレがあってもご容赦ください。また,写真が毎年同じで申し訳ありません。(2017.3.4記)

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旅心をそそる長距離鈍行列車・長時間鈍行列車リスト/2016年3月26日改正ダイヤ

 今年(2016年)も3月26日にJRグループのダイヤ改正が実施されました。今改正の目玉は北海道新幹線開業でしたが,鈍行列車でも動きがありました。今年は時刻表の発売から改正実施までのリードタイムが短く,改正後のアップになってしまいましたが,2016年版の長距離鈍行列車・長時間鈍行列車リストをお届けします。

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拡大はこちら

 去年,広島地区に新しい227系電車が導入され,山陽本線の列車体系が岩国で分断されてしまいましたが,そこを通して走る列車として岡山~下関間の列車が復活,369Mが長距離鈍行列車第1位になりました。去年1位だった北海道の2429D(今年は2427D)は日本一を謳った特製のサボを作るなどして,JR北海道も積極的にPRしていただけにちょっと可哀そうです。稼働可能な気動車の不足による減量ダイヤで,上り列車は新得~滝川間が運転取り止めになり,下りだけの設定になりました。

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去年の長距離鈍行第1位2429Dと専用サボ

 東海道本線の関係でも長距離の列車が整理され,赤穂線への乗入れ,JR西日本車の大垣乗入れがなくなり,ちょっと寂しくなりました。大垣乗入れがなくなったため,この関係では米原~網干間が最長になりましたが,2位の3523Mに包含されてしまうので表からは消滅です。2014年版で妙に長時間停車をしながら基準値ギリギリの4:32をかけて小樽~旭川間を走っていた2151Mは2015年ダイヤ(2147M)で5分スピードアップし選外になりましたが,今改正では片端から滝川で分断されて,長距離鈍行は夢のまた夢という感じです。去年新たに加わった羽越本線の新津~酒田間を走る831Dは,来年はどうなるか分かりませんと書いたとおりで,スピードアップし4:18の運転となり,選外になりました。

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第4位の上野東京ライン1586E。この列車も熱海~黒磯の運転

 長距離鈍行列車と直接は関係ありませんが,今改正で時刻表にも変化がありました。最長鈍行の369Mの載る山陽本線岡山~小倉のページが,JTBの時刻表では岡山~岩国と岩国~小倉に分断されました。確かに岩国の東西を直通する列車は少ないので,分けて掲載--上下が同じページ--のほうが合理的なのですが,最初に見た時は驚きました(JR版は岡山~小倉で1ページのまま)。また,4月号から国際線の航空の時刻表の掲載がなくなったのも実質的値上げで不便になりました。また,鈍行ではありませんが長距離列車といえば,最長の昼行特急が距離413.1kmの「にちりんシーガイア」になったそうです。日本海縦貫線時代の「白鳥」や「みちのく」を知る世代からすると隔世の観です。

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距離では9位だが時間では3位の飯田線544M

 最後にリストの掲載基準は,これまでと同じで,距離で200km以上,時間で4:30以上,また掲載順は距離順です。僕が時刻表を手繰って確認しただけなので,ヌケやモレがあってもご容赦ください。(2016.4.2記)

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旅心をそそる長距離鈍行列車・長時間鈍行列車リスト/2015年3月14日改正ダイヤ

 今年(2015年)も3月14日JRグループのダイヤ改正が実施されます。北陸新幹線金沢開業に上野東京ラインの開業と久々に大きな話題のあるダイヤ改正になりました。新線開業の陰で北海道新幹線の開業準備と車両の老朽化のため「トワイライトエクスプレス」と(定期列車としての)「北斗星」の運転終了も話題になりました。長距離鈍行列車に関しても今回の改正では動きがあり,これで3年目,ライフワークとなりつつありますが,長距離・長時間鈍行列車リストをまとめました。

 広島地区に新しい電車227系が導入されたのは利用者にとっては朗報ですが,車両運用が岩国で分断され,去年まで1位だった371Mをはじめ山陽本線の列車が軒並み順位を落としました。反対に東京地区では上野東京ラインの開業により200km越えの列車が多数新設され,この確認にひと苦労しました。また,妙に長時間停車をしながら基準値ギリギリの4:32をかけて小樽~旭川間を走っていた2151M(新ダイヤでは2147M)が5分スピードアップし選外になりました。新たに羽越本線の新津~酒田間を走る831Dが表掲載になりました。同区間を走る823Dが3:16で走破する区間に4:31かかるので,来年はどうなるか分かりません。

 上野東京ラインをはじめ,似たような列車をずらずら並べても面白くないので,類似性の強い区間を走る列車はまとめてしまいました。また,表掲載の基準はこれまでと同じで,距離で200km以上,時間で4:30以上です。僕が時刻表を手繰って確認しただけなので,ヌケやモレがあってもご容赦くださいも例年どおりです。

長距離・長時間鈍行ランキング(運転距離200km,運転時間4時間30分以上)2015年3月14日改正ダイヤ

Excelで作った表を無理やり取り込んだので見づらいですが,ご容赦ください。

拡大はこちら

(オリジナル:2015.3.7記)
 2015年版をアップしたところ2件のぬけのご指摘をいただきました。大変ありがとうございました。1件は山陽本線相生~広島の列車。3位の山陽本線の一党ですが区間が東に寄っているので表の中に書いておくべきでした。この列車,呉在勤時代に乗ったこともあります。もう1件は高山本線岐阜~猪谷間の列車。2013年版にあった区間なので確認もしたのですが見落としました。くやし~い!!お詫びして,補足します。(2015.3.11追記)
 さらにもう1件,篠ノ井線~中央本線(東線)長野~大月行きのご指摘も頂戴しました。以前はクモニやクモユニを従えた新宿~長野の列車などがあったので,うれしい復活です。こうして見ると,今回の改正は長距離鈍行の当たり年のようです。(2015.3.12追記)
 お待たせしました。これら3点のご指摘を表本体に反映しました。(2015.3.21追記)

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旅心をそそる長距離鈍行列車・長時間鈍行列車リスト/2014年3月15日改正ダイヤ

 今年もJRグループのダイヤ改正の季節がやってきた。今回は目玉となる路線の開業などもなく,愛好家の間では「あけぼの」がなくなるのがニュースだった感じもする。去年の3月に「旅心をそそる長距離鈍行列車・長時間鈍行列車リスト」をアップしたけど,本改正でどうなったかをお知らせしたい。この手のものは,最初を作るのは大変だが,2回目からは前回との差分のみを注意すればよいので,随分楽な作業ではある。

 JRグループもいろいろな面で合理化が進み,こういう長距離鈍行列車も減っているのは確かだ。とくに今回は山陰本線~伯備線~赤穂線を走る824Mがなくなったのは残念だ。元々,性格の異なる列車が,たまたま岡山区の車両運用の都合でくっついただけで,そう長くはないと思っていたが,2年しかもたなかった。呉に住んでいるうちに乗っておきたかったが,西端の出雲市~米子が休日運休なのでとても乗りづらく,実現できなかった。その他でもランキングの表でいえば高山本線に岐阜~猪谷の鈍行があったのだが,これも消えてしまった。普通,列車は往復セットで設定されるものだが,この表では不思議と片道のみ設定のものが多い。2位の根室本線,5位の宗谷本線,10位の飯田線のように列車として位置づけが明確なものはよいが,先の824Mのようにたまたまくっついただけの列車は改正のたびに増えたり減ったりするのだろう。時刻表趣味者としては,ダイヤ改正のたびにそれらの動きに一喜一憂するわけだが,これがまた楽しいのである。

 JRの側でも最近は根室本線の2429Dなどは日本一長~い長距離鈍行をアピールしているようで,サボは特製のものだし,終点の釧路駅では完乗証明書を配付しているそうだ。今年の夏休みは去年よりは時間が取れそうなので,この中のどれか1本くらいは乗りに行きたい。

長距離・長時間鈍行ランキング(運転距離200km,運転時間4時間30分以上)2014年3月15日改正ダイヤ
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 なお,今回も僕がページを繰って見ただけで洗い出したものなので,モレや抜けがあるかもしれない。距離は200km,時間は4時間30分を基準としてそれを超えるものを抽出した。200km4時間30分を超える列車でもより上位の列車に運転区間が含まれてしまうものや運転区間の大部分が重複するものは除外した。そんなわけで独断とちょっと偏見によるリストではある。また,Excelで作った表を無理やり取り込んだので見づらいのも,ご容赦お願いしたい。(2014.3.15記)

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