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2022-09

おと休パスで北海道のキハ40に乗ってきました--その3・帰り道の東北旅行を楽しむ。津軽鉄道と「ひたち」

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その2から

 今日は1月に「大人の休日倶楽部パス(JR東日本・北海道用)」で出掛けた北海道旅行の帰り,青森から東北旅行を楽しみながらの帰り道をお届けします。北海道のキハ40がなくなるという話を聞いて慌てて計画した旅行ですが,帰りはどうしましょう。そういえば北海道新幹線開業のときも,札沼線新十津川のお名残り乗車のときも,帰りはエアで,陸路で帰るのは久々です。昨年末最後の記事の「鉄道のイロハ(4)--鉄道の信号と標識・制作うら話」で触れましたが,鉄道の保安用具にスタフというのがあり,津軽鉄道では現役で使われているので,それを見たいとかねてから思っていました。

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今日の行程

 帰りのアクティビティ1はすぐに決まりましたが,それだけではせっかく会社を休んだ月曜日,早く帰り着いてしまいます。五所川原まで来たので五能線で日本海を楽しむのもよさそうです。もう一つ気になっているのが,一昨年(2020年)3月に復旧開業した常磐線北部を貫通して仙台~品川を結ぶ特急「ひたち」です。最近は乗り鉄だけでなく撮り鉄もやるので,五能線なら深浦あたりで真っ青な日本海を入れて写真が撮りたいです。一方,「ひたち」のほうは青春18きっぷでは乗れず,今日は大人の休日倶楽部パスなので,チャンスです。津軽地方の天気予報は雪で,青空は期待できないとなれば「ひたち」に決まりです。

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新青森のホテルからの朝の景色 2022.1.24

 (2022年)1月24日月曜日,目覚めてカーテンを開けると津軽の冬らしい重たい雲です。地表に近いところは空気が澄んで遠くの山が赤く染まってきれいです。ちょうど真北に近いと思いますが,下北半島の山々でしょうか,北海道まで見えているのでしょうか。また,この駅前のホテルですが,昨夜の部屋はトレインビュー,時間があれば何本か新幹線の写真を撮りたいところです。支度をしながら慌てて撮ったらシャッターが遅れ,失敗写真になってしまいました。

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朝の移動は「リゾートしらかみ」青池編成で @新青森

 8:00過ぎにホテルを出て,新青森駅に向かいます。列車は8:16の「リゾートしらかみ2号」秋田ゆきです。今日の目的1は津軽鉄道なので,五所川原に出ればよいのですが,列車がこれしかなく指定席でゆっくりします。大人の休日倶楽部パスは指定席も6回使えるので,お財布に優しいです。津軽新城を出れば線路は急な登りになり,大釈迦の峠を越えます。陸奥湾にそそぐ新城川と日本海にそそぐ浪岡川を隔てる分水があり,雪も深いですが,浪岡町が2005年に青森市と合併したため,市内の峠です。

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弘前では4分止まり,列車の進行方向が変わる

 8:44,弘前着,ここで4分止まって,列車の走る向きが変わります。今走ってきた線路を戻り,8:55,川部着,ここでも6分止まります。再び弘前までと同じ進行方向になり,五能線に踏み入れます。ところで,川部までのお客さんは,無駄に弘前までの往復に付合わされている訳ですが,その分の運賃は必要なのでしょうか。これは制度研究趣味の僕としては面白い話なので,文末に別記しました。

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リンゴ畑の向こうの岩木山は雪の中

 五能線に入ると列車の速度は下がり,リンゴ畑の中を軽やかに走ります。リンゴ畑の向こうには岩木山がきれいなはずですが,なだらかに延びた裾野が見えるだけで,津軽富士の山容は見えません。9:26,五所川原着,ここで津軽鉄道に乗換えです。ホームに降りれば下り列車のGV-E400系気動車が止まっているので,1枚写真を撮ります。

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五能線の新鋭GV-E400 @五所川原

 一旦改札を出てきっぷを買い,津軽鉄道のホームに行きます。行程を計画したときはストーブ列車の列車を選んだのですが,ストーブ車両券が500円するというのでたじろぎます。津軽鉄道のストーブ客車は30年以上前にふつうの営業列車として走っているときに乗ったと記憶しますが,熱燗とスルメでも付いていればよいですがエクストラを払って乗るようなものとも思えません。などと言い訳をしつつ,前側の一般の気動車21-102に乗り込みます。もう一つこのストーブ列車で残念なのは,牽引車がディーゼル機関車でなく,ふつうの気動車であることです。

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津軽鉄道のDC+PC列車 @津軽五所川原

 9:35,時間になれば,津軽中里ゆきの列車は発車します。津軽21形は新潟鐵工所製の軽快気動車で330PSですが,気動車1両でおまけの客車1両を引っ張りながらの起動です。いきなりパワーを上げると空転してしまうのか,慎重にノッチを進めつつ加速します。車内は平日の朝,通学輸送の戻りといった時間ですが,がらがらという訳でもありません。500円倹約して気動車に乗りましたが,せっかくなので運転台横でかぶりつきします。

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津軽飯詰駅。駅の入口と出口に小さなスノーシェッドがある

 津軽飯詰はスプリングポイントのスイッチのうえに小さなスノーシェッドがあり,雪国を感じます。また,この駅にはレイルウェイ・ライター種村直樹さんの名を冠した汽車旅文庫が去年の暮の12月19日に開館したそうです。自分の知る限りでは,種村さんは鉄道趣味--とくに今でいう乗り鉄--の先駆けですがご出身は京都のはずで,この地にどういう縁があるのか分かりません。次の毘沙門は鉄道防雪林に守られた線路に小さなホームがある駅で,この列車を含め幾本かの列車は通過です。

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毘沙門駅風景

 10:00過ぎ,腕木式の場内信号機を過ぎれば,沿線隋一の町の金木に着きます。金木では4分止まって,上り列車と交換です。金木は太宰治ゆかりの町で文学碑や銅像もありますが,1月の雪の時期では観光客も少ないです。金木から先は終点の津軽中里までで1つの閉塞区間でスタフ閉塞が用いられています。一般にスタフ閉塞の場合でも通行手形は金属製の円盤状のタブレットを使うことが多いですが,ここは杖状のスタフを使っています。それを見たくてはるばる横浜からやってきました。

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腕木式信号機が金木駅到着を知らせる

 ところで,自分はスタフのためにここまでやってきましたが,一般のタブレット閉塞も減っていて,津軽鉄道の金木以南のほかは秋田の由利高原鉄道と九州のくまがわ鉄道の3か所だけ(貨物鉄道を除く)だそうです。もう少し写真などを撮ってくればよかったです。また,上ではさらっと書いてしまいましたが腕木式信号機が現役なのも日本で津軽鉄道だけだそうです。

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金木でのスタフの授受風景

 金木から15分の乗車で列車は10:20,終点の津軽中里に着きます。金木以来スタフの写真を無断で撮っていて気が引けるので,運転士さんにお断りして,スタフの写真を撮らせてもらいます。折返しまでの28分間は駅の周辺でゆっくりします。津軽中里駅は伝統芸能の劇場や青森の短大のサテライトキャンパス併設の割と新しい建物ですが,駅待合室は広くありません。ストーブ列車で来た人も所在なげに改札を待っています。地方私鉄の常でいろいろなグッズを売っていますが,グッズ蒐集の趣味もないので,硬券の廃札セット100円ナリを1セットと入場券だけを買います。

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津軽鉄道の終点,津軽中里駅

 駅構内ではストーブ客車と気動車を切離し,機回し線経由機関車代用の気動車を前位に連結する作業が進みます。今日は僅かに雪がちらつく程度の天気ですが,集客と増収のためとはいえ,ストーブ列車の運転も大変です。一方,天邪鬼の僕は帰りもストーブ客車に乗る気が起きず,前位の気動車でかぶりつきです。

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津軽鉄道のストーブ客車 @津軽中里

 帰りも同じルートをたどり44分の乗車で,11:32,津軽五所川原に戻ってきます。今度は37分と多少時間があるので,駅の内外をゆっくり見分します。ホームからは機関区と大書きされた機関車庫が見え,茶色のDD13に似たディーゼル機関車が休んでいます。調べるとDD352--1959年新潟鐵工所製35t機--のようです。この機関車が牽いていたら少なくも片道は客車に乗ったと思われ,残念です。この稿を書きながら調べてもストーブ列車のDC牽引の記事や写真はあまりなく,この日は検査か不調かで臨時の措置だったのでしょうか。

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五所川原の機関区とDD352

 ホームでは駅員さんたちの人力による気動車と客車の入換えの作業が手際よく進みます。10分もかからず発車の準備は整い,ストーブ列車乗車のパッケージツアーのようなお客さんが続々やってきます。時刻表を見ると11:50に下りがあります。走りの写真を撮ろうと慌てて駅を出ますが,五所川原は市で,駅の近くは建込んでいて上手い撮影場所が見つけられません。今日は北海道で買った耐雪機能付きの靴なので足許は万全です。ストーブ列車の写真は空振りでしたが,五所川原の街をタウンウォークしながら駅に戻ります。

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手際よく進む気動車と客車の入換え作業

 地方の中小私鉄に行くと,駅務システムや券売機に設備投資する余裕がなく,昭和の頃と変わらぬ硬券が残っている鉄道事業者がときどきあります。津軽鉄道もその一つで経営はかなり厳しそうです。頑張って営業を続けているうちに,日本で最後の現役腕木式信号機や日本に幾つもないスタフ閉塞やタブレット閉塞,ロッド式機関車など博物館モノの鉄道システムが残る会社になってしまいました。

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津軽鉄道の本社と津軽五所川原駅

 会社の先輩にも弘前出身の人がいますが,津軽の人は長い冬と雪との闘いに鍛えられて辛抱強いようです。また,運転士さんや駅のスタッフは意外と活気がある印象でした。活きた鉄道博物館として今後も頑張ってほしいなと思いつつ,津軽鉄道を後にします。五所川原の接続は37分でしたが,ここでも押せ押せになり,スタンプを押して,列車の写真を撮ってで,列車に滑り込みます。

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五所川原からの帰りも「リゾートしらかみ」(橅編成) @五所川原

 五所川原からは往きとは逆で1回目は川部停車,弘前往復後の2回目は川部通過で,つごう川部~弘前間を1日に4回通って新青森に戻ります。1時間12分の乗車で青森に戻れば,31分の接続で新幹線「はやぶさ」です。今回の旅行では3連夜コンビニメシで,何かご馳走が食べたいです。31分でご馳走というのも強引ですが,駅構内の魚料理屋を探し,大間のマグロと陸奥湾のホタテの海鮮丼をいただきます。

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昼ご飯は31分で海鮮丼をいただく

 意外と食事は早く済み,新幹線ホームに上がります。やってきたのは,薄紫のラインのJR北海道の車両です。「はやぶさ」は全車指定席ですが,現在,グリーン車の隣の8号車を「新幹線オフィス車両」として定員外のフリースペースとして走っています。本来はPCを操作したり,遠隔会議をしたりの趣旨ですが,席の指定にとらわれずに好きな席に座れるので,今日は8号車利用です。

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「はやぶさ28号」はJR北海道もちでH5系 @新青森

 平日の昼下がりの東北新幹線はガラガラで文字通りゆっくりします。青森は雪混じりの重たい空でしたが,八甲田トンネルを抜けて南部地方に入ると青空が広がります。右手に秀麗な岩手山が見えれば,盛岡です。

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岩手山が見えれば盛岡も近い

 盛岡では「こまち」連結のため6分止まります。することもないのでホームで背を伸ばしますが,10,11号車の連結位置には家族連れやおと休パス風の旅行者などが集まります。盛岡を出て20数分も走ると車窓の雪は消え,冬の田んぼの風景になります。この季節の変化はすさまじく,さすが320km/hです。

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古川あたりで車窓から雪がなくなる

 15:29,時刻表どおり仙台着,ここでは42分の接続で「ひたち26号」に乗換えです。新幹線網の発達で在来線の長距離列車が少なくなった今では,仙台~品川間373.9kmは昼行特急で5位の長距離列車です。ちなみに1~4位は「にちりんシーガイア」(413.1km),「宗谷」(396.2km),「スーパーおき」(378.1km),「オホーツク」(374.5km)です。距離でトップクラスということは時間でもトップクラスで,夕食時間帯にまるまるかかってしまいます。さっき新青森で海鮮丼を食べたばかりですが,仙台でも牛タンで腹ごしらえです。

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仙台では牛タンとビールで腹ごしらえ

 42分で牛タンもかなり強引ですが,仙台駅には新幹線改札の程近くに牛タン横丁があり,世話がありません。わが家の近くの上大岡にも進出している利休はぞっとしませんが,空いていてすぐ入れそうなのは代えられません。ここでも意外と早くに食事が済んだので,家への土産の萩の月を求めて地下の売店に行き,またまた発車時刻の直前に滑り込みです。

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仙台からは常磐線特急「ひたち26号」で帰京

 16:11,時間になれば「ひたち26号」は品川に向けて出発です。暫くの間は窓の外を眺めますが,酔いも回ってきて眠くなります。単線の幹線を飛ばす特急,速いカタンコトンのレールの刻み音,乗り鉄冥利に尽きるひと時です。相馬あたりで陽はおちて,浪江,双葉,大野の3駅連続停車のあたりではもう真っ暗です。写真も撮れないので,旅行の記録の整理などしてゆっくり過ごします。

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品川からの帰りの列車2本まとめて

 東京駅で乗換えれば東海道線は多分座れると思いますが,せっかくの「ひたち26号」,終点まで乗りたいのはマニアのこだわりです。20:52,品川に着けば,あとは自宅に帰るだけです。東海道線のアクティ,根岸線を乗継いで,21:33,磯子着,今日も無事の旅行に感謝です。

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今日のGPS log

 この度の旅行は北海道のキハ40がなくなるという早とちりの情報から始まった旅行ですが,オフピーク,雪のある時期の北海道,東北旅行でした。1日だけ会社を休んで3泊3日の期間でしたが,鈍行あり,在来線特急あり,新幹線ありでたっぷり楽しむことができました。その1でも書きましたがかれこれ10年近く大人休日倶楽部の会員でいて初めて大人の休日倶楽部パスを使いました。指定席も使えて格安なので癖になりそうです。さて次の機会はどこに行こうかです。

「リゾートしらかみ」の運転形態と川部までの運賃の興味

 「リゾートしらかみ」は本文に書いたとおり川部~弘前間を往復しますが,弘前から青森方面に往くとき帰るときは川部駅は通過します。一方,弘前から五能線方面に往くとき帰るときは川部駅に止まります。つまり2回通るうちの必ず1回しか川部に止まりません。2回止まるのは無駄だし,五能線方面に対してはスイッチバックをするので止まらざるを得ないのは確かですが,制度上も1回は通過が必要なのです。なぜならば2回とも止まると,この区間を乗車するお客さんは往復乗車になり,川部~弘前間の運賃が必要になってしまうからです。青森から五能線方面へ行く人にとっては川部~弘前間の往復は全くの無駄で,約15分余計に時間がかかったうえ,運賃もとられたのではたまりません。それを救済するのが「分岐駅通過の区間外乗車特例(JRの旅客営業取扱基準規程(以下,基)151条)」で,青森方面から五能線に行きたいのに乗車列車が川部に止まらないから,川部~弘前間の運賃は免除されるルールです。

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青森から川部,8:00発を乗換え検索サイトで検索した結果 2022.5.20閲覧

 分岐駅通過の区間外乗車特例は五能線の藤崎方面へのお客さんを対象にしたものですが,当の川部駅で降りるお客さんはどうなるのでしょうか。今回調べて初めて知ったのですが,基151条には-2というのがあって「当該分岐駅に停車しない普通列車の場合について準用する」と明記されています。もちろん規定上は快速も普通列車に含まれるので,川部~弘前の運賃は請求されません。試みに青森から川部,8:00発を乗換え検索サイトやアプリで検索すると惨憺たる結果でした。ジョルダンは規則どおりで運賃590円です。駅すぱあとは青森~弘前~川部の営業キロ43.7kmを幹線の対キロ運賃表にあてたようで770円で,こんな運賃計算はしないはずです。NAVITIMEはそもそも「リゾートしらかみ」がヒットしませんでした。このような特例中の特例を織込むのはソフトウェア開発としては大変で,駅すぱあと以下がダメとは言いませんが,ジョルダンにポイント1です。本家本元のJR東日本アプリも770円で,おいおいしっかりしてくれよです。なお,上の比較は,たまたま「リゾートしらかみ」で青森~川部の運賃を検索した結果であって,それぞれのサイトの良し悪しを総合的に比較したものではないことに留意ください。(2022.5.21記)

タブレットやスタフなど古い閉塞の仕組みはこちらを参照ください:鉄道のイロハ(4)--鉄道の信号と標識
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あの日を追いかけてJR東日本懐かしの駅スタンプラリー・その1

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 (2022年)2月1日~3月6日の期間にJR東日本の首都圏地域では「あの日を追いかけて JR東日本 懐かしの駅スタンプラリー」なるスタンプラリーイベントが開催されました。僕は2日がかりで全50駅を踏破しましたが,今日はその1日目の行程をご報告します。

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スタンプ設置50駅

1.スタンプラリー前夜
 このスタンプラリーは1980年頃の国鉄をモチーフにその当時整備された「わたしの旅」のスタンプのミニチュアを集めるもので,JR東日本グループの概ね東京から70km圏内の50駅を巡るものです。スタンプの図柄は実際に「わたしの旅」スタンプとして整備された図柄と今回のイベント用に誂えたものが混じっています。順番は自由なので参加者のペースで巡ることができます。最初の10駅は案内ちらし兼用のスタンプ台紙に押捺し,10駅集めてゴール駅のNEWDAYSで500円の買い物をすると,50駅踏破用スタンプ帳と10駅賞と題した時刻表型のノートががもらえるルールです。

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10駅賞,50駅踏破賞の賞品

 更に50駅全駅のスタンプを押すと「50駅踏破記念証」がもらえます。記念証自体は紙のカードですが,印字されたシリアルを使ってネットで応募することで,抽選でヘッドマークのレプリカやスライスレールなどの賞品がもらえます。各種の賞品の製作費用だってかかっているので,コンビニでの買い物500円ぐらいは全然惜しくありません。最近のJR東日本のイベントはこういうルール設定が多いですが,参加費なしでちんけな賞品より,少しでも費用をとることで冷やかしの参加者の排除もでき,合理的なやり方と思います。また,今回の抽選で当たる商品はJR東日本の工場や保線の現場で製作しているようで,コストをかけずに参加者の喜ぶグッズを指向しているようで好もしかったです。

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ちらし兼用の仮台紙に先ずは10駅

 さて僕とこのイベントですが,職場が駅ナカにある奥がイベントの開始早々に台紙を持ってきてくれました。50駅・・・?これはちょっと回るの大変そうだな・・・休日おでかけパスを使ったとしても2,3日かかりそうで,交通費は幾らかかるんだと思って乗り気ではありませんでした。ある日,鉄道つながりの会社の友人がFacebookに10駅賞ゲットの記事をあげているのが目に留まり,彼もやっているのか~と眺めていました。2月23日の令和の天皇誕生日はとくにすることもなく,なにか有意義に過ごすことを考えたら,このイベントを思い出しました。それで急にやる気が出て,このイベントに参加したのでした。50駅全部は難しそうなので,1日で巡れる限りを回ってみよう位の軽い気持ちでスタートしました。

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早朝4:44の420B列車で出発 @磯子 2022.2.23(以下全て同じ)

 そうは言ってもこういうイベントは作戦が大事だし,時刻表を繰るのは3度のメシより好きなので,行程のプランニングに熱が入ります。一方,首都圏の頻繁運転の区間ではどんなに精緻に行程を組んでもその通りにはならないので,ある程度やわやわな行程を計画し,旅行を進めながら固い行程に煮詰める作戦をとります。先ず10駅を巡って10駅賞と50駅用のスタンプ帳をもらわなければなりません。調べると東京駅のNEWDAYSが6:00からなので,10駅のスタンプを押して6:00に東京駅に着く行程を考えます。手始めに房総方面から押し始める行程とすると,千葉,木更津を押して,成田から常磐線方面に抜ける行程が順当です。ところが,千葉駅の内房線から成田線の接続が恐ろしく悪く,東京駅を6:10の快速で出ても,7:08の快速で出ても,結局,千葉9:35の成田ゆきになってしまいます。そんなことなら慌てて行っても仕方ないので,わが家の最寄りの磯子駅の1番電車はやめて,24分後の3番電車で出発と決めます。

2.房総エリアまで
 以降は当日の行程に従い書き進めます。2月23日(水),磯子駅に着けば「休日おでかけパス」,2,720円を買って入場します。Suicaに書き込むICパスなら50円安いのは分かっていますが,紙のきっぷを用意するあたりはマニアのこだわりです。磯子4:44の420B列車に乗り,先ずは桜木町を目指します。スタンプはイベントのちらしの仮台紙のほか,いつものスタンプノート--B6サイズのメモ用紙--にも2つ押します。桜木町の次は鶴見,川崎,蒲田と3連続でスタンプ設置駅です。この辺りは5時台で列車の間隔も程よく,3駅とも次の列車までの時間は8分です。列車を降りて,ゆっくりスタンプを押して,ホームに戻ると次の列車が来る感じです。

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山手線まで来る頃には夜が明ける @有楽町
 
 スタンプラリーのイベントで要注意なのがスタンプの設置時間です。イベントによっては早朝深夜はスタンプを片付けてしまうことがありますが,今回のイベントでは一部の例外を除き,駅の開いている間は押捺が可能なようです。数少ない例外の一つが品川駅で,スタンプがみどりの窓口のフロアに置かれているため,6:00~22:00の設置です。只今の時刻は6:04,出発を24分遅らせたので,ちょうど開いたところです。この辺りはスタンプ設置駅の密度が高く,田町,浜松町,新橋,有楽町,東京と5駅連続です。当初はお茶の水か秋葉原に行く計画でしたが,品川が押せたので東京駅でちょうど10駅達成です。

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10駅達成でもらえる50駅踏破用スタンプ帳

 時刻は6:40頃,ゴール店舗の東京駅地下南口のNEWDAYSに到達なので概ね予定どおりの行程消化です。桜木町から東京までの10このスタンプを押した台紙を提示し,10駅賞のノートと50駅踏破用のスタンプ帳のセットをもらいます。500円の買い物はこれから食べる朝ごパンと今日の日中のおやつで,どっちにしろ必要なものなので負担感はありません。当座の行程としては東京駅7:08の君津ゆきに乗ればよいので,ゆっくり総武快速を下ることにします。発車案内を見ると次の総武快速は6:52の君津ゆきで,一瞬キラリとしますが,7:08でも結果は同じとスタディ済なので,あっさり馬喰町で列車を捨てます。

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馬喰町駅の長いエスカレーター

 馬喰町は僕の印象では日本一深い地下の駅で,スタンプラリーの復刻版スタンプのタイトルも「国鉄で一番低い駅」です。その後,京葉線の東京駅の方が2m低くJR No1は陥落,他の事業者も含めると半蔵門線住吉(海抜が最低)や大江戸線六本木(地表からの深さが最深)の方が地下は深いそうです(今は防災施設で駅ではありませんが吉岡海底は断トツで深い)。長いエスカレーターで改札口を往復して,12分後の成田空港ゆき快速に乗ります。この列車は東京始発なのでガラガラ,千葉までゆっくり過ごします。

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住宅地の向こうに富士山が見える @巌根付近

 千葉からは予定どおり東京駅を7:08に出てきた快速で木更津を目指します。右手の車窓は京葉工業地帯の工場群と住宅地ですが,その向こうには東京湾越しに富士山が見えています。今日は1日乗り鉄ですが,お天気はよさそうです。木更津ではスタンプを押して10分で折返しです。折返しも東京直通の快速列車で,E217系電車です。既にE235系による置換えが始まっていますが,本数が多いので,今の時点では滅多にE235系には当たりません。

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木更津へは往復とも快速電車 @木更津

 内房線の快速ですが,宅地化の進展で沿線人口が増え,段々停車駅が増えて,今や通過するのは巌根だけです。そんなことなら全部止めればよいではないかとも思いますが,そこそこ通過駅のある外房線とのバランスもあるのでしょう。千葉ではスタンプを押して,お手洗いなども済ませ,9:35の成田ゆきに乗換えです。

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成田線1439M @千葉

 10:07,時刻表どおり成田着。陽も高くなり,祝日でもあるのでスタンプラリーの旅行者が増えてきます。成田では10人位のスタンプラリー参加者がいて列をなします。また,140円旅行風の中学生くんなどもいて,祝日の近郊電車は行楽列車の趣です。

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成田線を行く上野直通の快速列車 @安食

3.常磐線エリア
 成田では成田線B?の我孫子ゆきに乗換えます。我孫子からの常磐線は,我孫子より遠くの近郊区間に取手,牛久,土浦の3駅,我孫子より内側の電車区間に柏,松戸,北千住の3駅のスタンプ駅があります。今日は「休日おでかけパス」を買ったので,なるべく遠いほうから攻めることとし,我孫子では下り列車に乗ることを考えます。ところがこの接続が悪く我孫子で11分も待つことなります。一方,上り方に進むことを考えると,乗っている列車は上野ゆきの直通列車,柏までそのまま行けます。その後,松戸を消化して,我孫子から土浦往復後,取手に戻って,関東鉄道で下館経由小山に出るルートなどとても面白そうです。夢は広がるのですが,ここは堅実に我孫子で列車を捨て,先ずは牛久,土浦を攻めることにします。

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土浦が近づくと筑波山がきれいに見える @土浦付近

 土浦では11:57着,12:00発の3分で折返すと後の行程が都合がよいのですが,そんなに上手くゆくものかです。とくに千葉より後はスタンプラリー族が増えてきて,駅でモタつくとすぐ10人位の行列ができてしまいます。各駅では階段ピッタリの位置にいることが効率のよいラリーの秘訣になりそうです。土浦は付属編成を切り離す位置の少し牛久寄りが階段などと記憶を呼び起こします。ところが特段の支障があった訳でもないのに列車は僅かに遅れ,土浦到着は11:58 30秒くらいです。改札を出たあとスタンプを探すのにもモタついて,スタンプには1等賞で辿り着きましたが,12:00の上り列車は乗れませんでした。慌ててスタンプを押したため,スタンプを縛るケーブルを噛んでしまい,押捺も失敗です。国破れて山河ありモードで,14分後の380Mで取手を目指します。

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禍あり,福ありだった常磐線。列車は1182M @松戸

 このあとの行程ですが,土浦で14分遅れたうえ,成田線からの列車が割込む時間帯にぶつかるため取手でも13分損をします。そんなこともあり,土浦12:00の列車に乗りたかったのです。などなど考えるうち藤代の交直切換えを通過し,列車は取手に着きます。取手到着の案内を聞くと,特急通過待ちのため5分止まると言います。これはしめたです。5分の間にスタンプが押せれば,土浦のロスを挽回できるばかりか,成田線の割込みについても,柏からその列車に乗ることができます。時刻表をよく読めば分かることですが,そこまでは見ていませんでした。大層なラッキーに大喜びで取手のスタンプを押します。

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常磐線松戸駅の降車位置情報 @https://wadattsu261.com/

 スタンプに早くに辿り着くことが大事と上に書きましたが,土浦のように何度も行ったことのある駅では経験がモノを言いますが,スタンプ設置駅すべてがそうではありません。いろいろネットサーフィンしていると駅降車位置情報をまとめた個人のブログに行きあたり,今日はこの情報を活用することにします。そんなこんなで柏,松戸を制覇し,日暮里に着きます。また,途中,北千住でも特急退避があったのですが,北千住がスタンプ駅だったことを失念していて,ミスりました。日暮里もスタンプ駅ですが,今日は先を急ぐので上野まで常磐快速で上ります。

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東北本線・高崎線エリアは1870Eでスタート @上野

4.東北本線・高崎線エリア
 東北本線・高崎線内では大宮までの電車区間の中では赤羽と浦和,近郊区間では東北本線が古河と小山,高崎線が熊谷だけとスタンプ駅は多くはありません。それでも小山と熊谷と,1999年の拡大前の東京近郊区間の最も遠くの駅です。この2線を攻めたあとは中央線を攻めるのでそのつながり考慮した行程を計画します。一つは,1日3本しかない大宮~八王子間を武蔵野線経由で結ぶ「むさしの」号で,18;22大宮発の2638Mがちょうどよい時間です。ただし,この列車を使うとスタンプ駅の1つ吉祥寺は通りません。もう1つは湘南新宿ラインで直接新宿まで戻る手です。実際には大した差ではないのですが,湘南新宿ラインに乗れば乗換えの数が減るので,随分得した気分になります。時刻表を繰ると,浦和を14:13の1594Eで出発すると,熊谷から17:21の湘南新宿ラインで戻ってきて,18:29に新宿に着くことが分かります。

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古河あたりでは昼前に見た筑波山を反対側から見る

 今日は郊外を攻めると決め,日暮里も上野もスタンプはパスし,上野から13:45の1870E高崎ゆきで浦和を目指します。浦和からは小山,古河を巡って大宮に帰ってきます。栗橋~古河間で利根川を渡るあたりから右側の車窓には筑波山が見えてきます。昼前に見た同じ山を別の角度から見ることになります。帰りの古河からの1589Eは古河からの始発列車で,何か得をした気になります。大宮では13分の乗継ぎの間に天ぷらそばを食べて,これからの旅程に備えます。

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高崎線1884E。この列車には1駅余計に乗った @大宮

 今日は朝からよい天気でしたが俄かに厚い雲が出て,雲の間からはうっすらと虹が見える不思議な天気です。関東平野の北西端,関東山地や上手くすれば富士山が見えるかという車窓を期待してきましたが,少々残念です。景色が面白くないので,新宿に戻った後の旅程の検討に熱が入ります。

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雲の間からうっすら虹の見える不思議な西の空 @鴻巣

 今日も大判の紙の時刻表を持参していますが,中央線以降の行程計画に没頭していると,「次は籠原...」と案内が入ります。なんと時刻表の検討に没入してしまい,居眠りしていた訳でもないのに熊谷で降りそこなってしまいました。熊谷からの帰りは湘南新宿ラインで新宿直行の行程で,この列車をミスったのは痛手です。慌てて時刻表を繰ると,籠原から4分の接続で熊谷に戻ると更に5分の接続で新幹線の「あさま」に乗れることが分かります。そもそも自分の失敗なので,隣の駅までの新幹線特定特急券880円の負担はやむなしとします。

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熊谷~大宮間は期せずして新幹線利用。列車は「あさま626号」 @熊谷

 熊谷から「あさま」に乗れば,新幹線の速達効果は絶大で17:47大宮着,なんと乗るつもりだった湘南新宿ラインの1本前の高崎線に間に合ってしまいます。ここで7分待てば予定の2851Yが来るのですが,先は長いので上野東京ライン,赤羽線と乗継いで新宿を目指します。赤羽,池袋とスタンプ設置駅を通りますが,今日は都内の駅はパスして18:26,2851Yの3分前に新宿に着きます。

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中央線は河口湖ゆきの中央特快1803Hでスタート @新宿

5.中央線エリア
 南にオフセットした埼京線ホームから中央線快速ホームに行けば,副本線の11番線は始発の青梅ゆきとの案内です。午後に西八王子で人身事故があった影響でダイヤが乱れているようです。12番線には先の発車の河口湖ゆき中央特快が来ると言うので,こちらを選択です。結局,11番線の青梅ゆきになるだろうとは思いますが,河口湖ゆきという響きに釣られます。吉祥寺でスタンプを押した後は,三鷹,国分寺と小刻みに乗継ぎ,高尾を目指します。というのも,三鷹から乗った1831Tが国分寺退避なのか,立川まで逃げ切るのか案内がなく,逃げ切れるものなら早くて空いている快速を使いたかったのです。

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横浜線は八王子みなみ野まで相模線直通の1970Fに乗車 @八王子みなみ野

 高尾では夜も19:30を過ぎスタンプ族もいなくなり,勝手をよく知った駅なので,4分でスタンプを押して折返しでも余裕です。1本後でも横浜線の行程は同じなのですが,高尾19:33の列車で折返せれば,八王子から相模線直通の茅ケ崎ゆきに乗れるのです。この1970F列車はE131系で運転されますが,3月のダイヤ改正以降は相模線からの八王子直通列車がなくなるので,たった4か月限りの貴重なシーンです。

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町田~小田原は小田急ロマンスカーでショートカット @町田

6.東海道線エリア
 八王子でも3分の乗換えを首尾よくこなし,19:43の茅ケ崎ゆきに乗ります。このまま茅ケ崎に行けば,横浜線で東神奈川を回るより1本早く小田原に着けるのですが,町田のスタンプがスキップになってしまいます。また,町田~小田原間は小田急でショートカットする計画で,これは今日の行程のポイントでもあります。時刻表を繰ると町田でちょうど「ホームウェイ9号」に乗れるタイミングで,小田原でもその後の急行より1本早い東海道線に接続します。今日は既に新幹線「あさま」にも乗ってしまったので「ホームウェイ」は控えようかとも思いますが,陽の高いうちから楽しみにしていた列車でもあり,運賃600円に特急券630円も投資します。

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夜21:30の小田原駅。乗る列車はあの籠原ゆき

 いささかお腹も空いてきたので町田ではパンと飲み物を買ってロマンスカーに乗ります。今日の行程はまだまだ続くので,階段で躓いたりしないようお酒は控えて,飲み物はコーヒーです。軽い食事とコーヒーでゆっくりすれば小田原までの44分は至福の時間です。21:30の小田原駅は人影まばらですが,NEWDAYSを覗けばお土産の蒲鉾があるので家に一つを求めます。21:30の東海道線上り列車は籠原ゆきで,籠原はもういいよと思います。24分の乗車で茅ケ崎着,ここでスタンプを押して,列車を1本おとします。6分後には国府津始発のこれまた籠原ゆきがあり,22:11大船に着きます。

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大船~逗子は新鋭E235系の1903S @逗子

 大船から根岸線に乗れば15分で自宅最寄りの磯子ですが,今夜はもう一仕事があります。東京23区の外で1こだけ残った逗子にスタンプを押しに行かなくてはなりません。横須賀線下りの8番ホームに行くとやってきた電車はE235系,たった3駅ですが新しい電車を楽しみます。さすがに22:00を過ぎると列車も減って,次の上りまで12分を逗子で過ごします。

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今日の〆は根岸線9001Aの折返しの2232B @大船

 逗子から大船に戻れば,根岸線も鶯谷駅での人身事故の影響でダイヤが乱れているようです。やってきた列車は9001A,どういう出自か分かりませんが,品川以南の折返し運転などで設定された臨時列車のようです。折返しは定期の2232Bのスジにのせて走るようですが,写真は列車番号を設定する前のものを載せておきます。遅れているので大船から磯子までを約14分で走り,23:11,今日のゴール磯子着です。

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今日のGPS log

 旅行に出発する前は,50駅踏破など到底無理と思って,できるところまでと思っていましたが,やってみると意外と回れて,結局,東京23区の外にあるスタンプは全部押すことができました。昔,昭和30~50年代に国鉄は東京5方面作戦といって,輸送力増強を強力に推し進めましたが,今日の行程は概ねその成果をおさらいした感じです。

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今日の行程表

 今日の行程表は旅行をしながら実績で書いたものですが,1日に44列車は多分自身の記録として「乗ったで降りたで」の最多です。B5サイズの用紙に1列車3行で書くのが僕の書き方で,1列が一杯になれば今日は乗ったなという気がします。詰めて1列車2行で書いてほぼ3列が一杯というのは,とてつもなく多いです。しかもスタンプは改札の外にあるのですべてのスタンプ駅で改札を出ており,きっぷの磁気記録の耐久テストのような気もします。今日スタンプを押せたのは36駅,残りは14駅で,ここまで来ると全駅踏破をしたくなります。続きはその2をお楽しみに。(2022.4.17記)

その2につづく

おと休パスで北海道のキハ40に乗ってきました--その2・北海道ディーゼル鈍行紀行

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その1から

 今日は1月に「大人の休日倶楽部パス(JR東日本・北海道用)」で出掛けた北海道旅行の中日(なかび),帯広から森,新青森までをお届けします。そもそもこの旅行は北海道のキハ40がなくなるという話を聞いて思い立ったもの,鈍行のディーゼルカーに乗るのが目的です。去年の暮,北海道に行ってディーゼル鈍行にたっぷり乗るのはどんな行程にしたものかペラペラ時刻表を繰っているうちに見つけた乗継ぎです。どの列車も下手をすれば2,3時間あいだがあく区間ですが,程よい接続でつながりました。行程を計画したときはどれもキハ40かと思ったのですが,実際のところは...読んでのお楽しみです。

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今日の行程

 (2022年)1月23日(日)朝は帯広6:49の2428D新得ゆきで出発です。駅からほど近いホテルで6:00過ぎに起床,6:30開始の無料の朝ご飯をかき込んでの出発です。昨日は新青森駅で油断して痛い目に遭ったので,今日は急いでいても慎重に歩きます。ホームに上がれば2428Dより3分先行する「とかち」は発車済で,後ろ姿も見えません。2428Dはキハ40ばかりの堂々の3両編成で,幸先よいスタートです。

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根室本線2428D @帯広 2022.1.23(以下,全て同じ)

 今日の帯広の日の出は列車の発車と同じ6:49,周囲の山々が朝焼けに染まってとてもきれいです。西帯広でデッキから写真を撮っていたら,芽室がきれいですよと運転士さんがおしえてくれます。7:09芽室着,朝の陽を受けた朱色1色塗りのキハ40,神々しい輝きの狩勝国境の山々の素晴らしい景色です。この景色を見ただけでも,今回北海道に来た甲斐あったと思います。

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朝陽を受け狩勝国境の山々が神々しく輝く @芽室

 芽室では下り列車と交換で3分ほど止まるので,ゆっくり写真を撮ることができます。今日は日曜日ですが,この列車は通学列車で学校がある時期は学生の乗り降りの時間をとってあるのだそうです。太陽が低いので跨線橋の影が残念ですが,太陽が低いからこそのオレンジ色の山々なので仕方ありません。上の写真も今日のとびらの写真も多少トリミングしていますが,思い出のキハ40などの写真コンテストに出したいような写真です。芽室の先,平野川信号場でも下り列車と交換で少し止まります。この時間になると朝焼けは消え,ふつうの荒涼とした野山の景色です。

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平野川(信)でも下り列車と交換

 ここ根室本線のキハ40を受け持つ釧路には3月のダイヤ改正に向けH100が投入されますが,まだ数が揃っておらず,運転の慣熟や検修の準備を急ピッチで進めなければいけないそうです。H100はメカ的に電車の部分もあるので,単なる新形式の気動車導入とは異なるカリキュラムも必要なようです。そうこうするうち帯広から1時間少しの行程で,7:54,時刻表どおり新得着です。

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新得~東鹿越間の代行バスは富良野バスが担当

 新得からは2016年から続く列車代行バスで東鹿越を目指します。鉄道の狩勝峠と並行して国道38号線にも狩勝峠がありますが,新狩勝トンネルより3kmぐらい北で分水を越えます。峠の近くにはサホロリゾートスキー場があり,4年半ぶりに代行バスに乗ったらスキー場まで乗り入れるよう路線が変わっていました。鉄道代行だけではガラガラ,リゾートの方も自前で送迎バスを出すより低コストなのか,win-winで少しでも経営に貢献できればよいと思います。

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狩勝峠1号目の案内標識

 国道の狩勝峠も難所で,1合目から10合目まで1号登るごとに大型の看板が出ています。今日はこれを全部撮るぞと意気込んでいましたが,走るバスからではなかなか上手く撮ることができません。昨日に続き今日もよい天気,十勝平野を望むよい眺めを期待しますが,雄大な景色を見晴らせる瞬間は限られています。

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狩勝峠頂上近くからの眺め

 鉄道は5,790mの新狩勝トンネルで峠を越えますが,国道は雪よけの覆道はありますが,長大なトンネルはなく峠を越えます。峠を越えた富良野側はカーブも少なく一直線に落合に向けて下ってゆきます。ちょうどこの途中で下りの代行バスとすれ違います。

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狩勝峠で下りの代行バスとすれ違う

 この先,落合,幾寅と駅に立ち寄りながら代行バスは東鹿越に向かいます。前回,この代行バスに乗った時は鉄橋が落ちたりしてひどい状態で怖かったという話を聞きました。今回は目を凝らして見ていましたが,雪もあって線路の状態はよく分かりませんでした。

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幾寅駅前には映画「鉄道員(ぽっぽや)」の撮影に使われたキハ12-23(キハ40-764)のモニュメントが残る

 幾寅も国道から分かれて駅前までバスは入ります。幾寅は高倉健さん主演の映画「鉄道員(ぽっぽや)」のロケに使われた駅で,駅前には撮影のためにバス窓風に改造したキハ40のモニュメントが置かれています。モニュメントは7m位の長さに短縮されていて,そんな面倒な事せずに1両まるごととっておけばよいではないかと思います。駅に列車が来なくなってかれこれ5年半,塗装などはかなり傷んできているようです。

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東鹿越からはまたキハ40の旅が続く

 幾寅駅の先で国道38号線は右折し幾寅峠のほうに向かいますが,代行バスは直進し,空知川に沿ったルートをとります。道路の右手はかなやま湖ですが,凍結した上に雪が積もって真っ白な雪原です。新得から1時間8分,快適なバスの旅で9:07,代行バスは東鹿越駅に着きます。ここからはまたキハ40で富良野,滝川を目指します。

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かなやま湖は真っ白な雪原 @東鹿越~金山

 東鹿越からの列車は例によって乗り鉄風のお客さんばかり7人,うち4人はおと休の雰囲気です。そういえば,帯広のホテルで朝ご飯をかき込んでいるときランチボックスに詰めていた女性がいましたが,このかたも鉄子さんのようで,この列車に乗っています。この先も線路は空知川に沿って下り,元々は大幹線の根室本線なので各駅とも立派な風情の駅舎だったり燃油庫が残っていたりで飽きません。39分の乗車で9:54に富良野に着きます。ここでは富良野線の列車を先に出し,10:07の発車まで13分止まります。

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山部駅の煉瓦積み燃油庫と倉庫

 富良野を出ると線路は再び空知川を渡ります。外の気温は何度か分かりませんが,河原の藪が樹氷になっていてきれいです(アメダスで確認すると-13.7度でした)。

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富良野を出ると線路は空知川を渡る @富良野~野花南

 空知川の左岸に出ると,列車は新しい長いトンネルに入ります。ここは空知川をせき止めた滝里ダム建設により1991年に線路が付替えられた区間で,島ノ下(2,839m),滝里(5,595m)のトンネルが連続します。周囲に人家はなく,北海道の大自然そのままで,頻繁に鹿が出没する地域です。今日もトンネルを出ると5,6匹の鹿が線路際で遊んでいて,列車は急減速です。

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滝里トンネル周辺で遊ぶ鹿たち @富良野~野花南(携帯で撮ったものをトリミング)

 滝里の谷あいを抜けると炭鉱の街,芦別です。芦別は人口12,376人(2022年2月末)で,町どころか村にも負けるような数です。一旦,市になると町に格下げという話は聞いたことがなく,法の缺欠(けんけつ,欠けていること)のような気もします。それでも車窓を見る限り家が増えた感じがするし,日曜の昼前なのでちょっとしたお出掛けの若い友達や家族連れが乗ってきます。

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滝川を前に大雪山系の山々がうっすらと見える @東滝川~滝川

 赤平を過ぎると,右手の車窓の正面には大雪山系の山々(?)がうっすらと見えています。一昨年も来た滝川の市内を快走すれば,列車は11:15,東鹿越から約2時間で滝川に到着です。滝川からは函館本線を岩見沢まで上ります。特急「カムイ20号」でもよいのですが,今日は鈍行にこだわり,5分後の11:38発の普通列車を選択です。

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滝川~岩見沢は電車で繋ぐ。2326M @滝川

 滝川からの2326Mは日曜日のお昼どきで車内はガラガラです。一番前の座席に陣取り,デッキ越しにかぶりつきです。複線電化の函館本線は行き会う列車も多いです。滝川~美唄は国道の直線区間日本一で,線路の方もひたすらまっすぐに南を目指します。

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函館本線の線路はひたすらまっすぐ @奈井江~茶志内

 12:17,時刻表どおり岩見沢着,ここでも28分の接続です。駅そばを期待してきましたが,新装なった岩見沢の駅舎内にそば屋さんはありません。少々度胸が要りましたが,昔ながらの駅前食堂を探し,速攻で天ぷらそばをいただきます。駅に戻り,ホームに鎮座する馬の像の写真を撮ったりで時間を過ごします。この馬の像ですが,タイトルを見れば「農業用馬 木彫」で,この地域の風物のばんえい競馬の像と長い間誤解していました。農業用輓馬(ばんば)に競争させたのが輓曳競馬なので,大した違いではないのですが。

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岩見沢駅ホームの「農業用馬 木彫」

 岩見沢からは室蘭本線で苫小牧を目指します。苫小牧ゆきの1468Dはキハ150の単行です。前回,4年半前に乗った時はキハ40でしたが,JR北海道でも着実に気動車の世代交代は進んでいるようです。

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室蘭本線はキハ150で行く @岩見沢

 12:45,岩見沢を出れば,真っ白な雪原の中を進みます。左手には北海道グリーンランドの観覧車,上志文スキー場のゲレンデなどが見えます。上志文からは万字線という運炭盲腸線が出ていて,好きな路線の一つでしたが,既に廃止されて37年が経ちます。

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志文から万字方面を望む

 志文の次は栗沢です。更に,栗丘,栗山と栗の字のつく駅が3駅続きます。どういう「いわく」があるのか分かりませんが,ちょっと楽しく,駅名標の写真を撮ります。ちなみにケーキはモンブランが好きです。

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自駅,あっちとこっちすべてに「くり」がつく栗丘の駅名標

 栗山,次の由仁は札幌と夕張を結ぶバス路線の結節点で,それなりの乗降があります。三川からは複線になり,ジャンクションらしい3連の信号柱が現れると追分です。追分は石炭輸送が盛んだったころには9600やD51,DD51が配置される機関区がありましたが,今はだだっ広い構内を持て余しているようです。近くには道の駅に併設されて「安平町鉄道資料館(道の駅あびらD51ステーション)」があるようで,今度は行ってみたいと思います。

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追分駅三川側の場内信号機。下は道の駅あびらD51ステーションの案内

 追分を出ると安平,早来,遠浅と駅は続きますが,駅前以外は原野で北海道らしい景色です。沼ノ端が近づくと右から迫ってきた千歳線が広々と用地を使った立体交差で合流します。沼ノ端を出ると今度は日高本線が左から合流し,3線のまま進んで,14:09苫小牧に到着です。苫小牧では次に乗る東室蘭ゆきまで40分の間に駅の裏口直結のメガドンキで買い物をします。詳細はその1に書いたので省略しますが,北海道の凍りついた道でも安心して歩ける靴を買いたいのです。ご購入の耐雪靴はその場で履いて,箱を貰って駅に戻ります。

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群線で休む真新しいH100 @苫小牧

 ホームに入ると構内の群線には真新しいH100気動車が休んでいます。光線の加減は絶好ですが,線路脇に積もった雪で足回りの一部が隠れてしまっているのが残念です。

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室蘭本線440D @苫小牧

 苫小牧~東室蘭の440Dはキハ143形の2両編成です。行程を計画したときはキハ40を期待していましたが,JR北海道でも気動車の世代交代は進んでいて,先ほどの岩見沢~苫小牧に続きキハ40は空振りです。この列車も車内はガラガラで1ボックス占拠できるのはよいのですが,ガラスの汚れがひどくて景色が見えないのは残念としか言いようがありません。この区間は太平洋の海を望むといっても波打際を走る訳ではないので,ついぼんやりと時間を過ごしてしまいます。

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キハ143の車端部。窓は結露している訳でもないのに何も見えない

 キハ143は元オハフ51で,EL牽引列車全廃で用途を失った客車にエンジン,変速機などの走行用機器を取付けた改造車です。一般に客車改造の気動車は重い車体に非力なエンジンで成功例は少ないそうですが,種車のオハ51系が軽量のオ級だったことと主機を大出力のN-DMF13HZD(450PS/2,000rpm)としたことで一定の成果の出た改造気動車ということになっているようです(Wikipediaキハ141系の項)。それでも原設計が気動車ではなかったので,ドア横に正体不明の立ち席スペースがあったりします。

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僕には珍しくグッズのお土産を購入

 15:55,東室蘭着,ここでは23分の接続で16:18の長万部ゆきに乗換えです。時間があるので駅のKIOSKに立ち寄りますが,意外と大きなお店です。北海道でしか買えないじゃがポックルなどを見ているうち,入り口近くに並んでるキハ40グッズが眼に止まります。この手の商品は大したものでもないのに値段ばかりは一人前なので滅多に買わないのですが,今回の旅行はキハ40に乗るのが目的なのでつい手が出てしまいます。キハ40列車カードセットなる商品で,トミーテックのサボコレのようなサボのミニチュアと車内貼付けの車号のミニチュアを台紙に載せたものです。図柄は上の写真の3種のほか釧路の「森の恵み」があり全4種類,それぞれ1,100円です。これらと共に苫小牧まで履いてきた靴も自宅に発送します。

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東室蘭では「北斗16号」を先に出す

 急いで買い物を済ませてホームに戻れば,先に通すはずの「北斗16号」が10分遅れとの案内です。長万部ゆきの480Dは元々「北斗」の10分後の発車だったので,「北斗」が出たあと信号が変われば発車です。この480DはH100形の2両編成で,またしてもキハ40は空振りです。尤も,H100も1回くらい乗ってみたいと思っていたので,これも善しです。車内に入れば房総地区の205系のような色使いのインテリア,日曜の夕方ですが部活の帰りか高校生が目立ちます。

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室蘭本線480D @東室蘭

 H100は窓の天地が高く,明るい雰囲気です。電気式なので電車のような静かな走行音を期待していましたが,H100はバッテリーを省略しているため,力行時にモーターを回す電気はリアルタイムにエンジンをふかして発生させます。このため,エンジン音を含め走行音は気動車然としています。伊達紋別に近づくと日も暮れて,お客さんも減ってきます。2両編成の気動車のうち後ろの車両は豊浦止まりで,列車は豊浦で解放作業のため暫く止まります。地方の線区では進路制御はCTC化で駅は無人,列車もワンマン運転なので,車両の解放のような作業も運転士さん自らが作業です。この列車の運転士さんと,豊浦から東室蘭に折返す列車の運転士さんで,2人で息を合わせての作業です。作業後,運転席に戻った運転士さんは暫くワイシャツ姿で運転していたので,ひと汗かいてしまうような作業のようです。

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豊浦では後ろの1両を解放

 豊浦を出た列車は内浦湾に沿った海岸沿いの線路を走ります。山がせり出した絶壁に線路を敷いた難所でしたが,幾度かの線路改良でトンネルも掘られました。今ではトンネルの間から海がチラ見えするような感もありますが,今日はもう夜で景色は楽しめません。代わりに1991年(平成3年)に撮った写真を1枚載せておきます。確か大岸で降りて適当に写真を撮りながら礼文まで歩きました。

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1991年の大岸海岸 @大岸~礼文 1991.7.28

 18:10ごろ,列車は少し遅れて長万部に着きます。長万部は函館本線から室蘭本線が分岐する結節点で,2面4線の長いホームを持つ駅ですが,昔から玄関ホームがなくジャンクションに徹した駅だと思っていました。ホームとは独立した駅舎は多分,僕が初めて北海道旅行をした40年前と変わらぬ佇まいです。新幹線の乗り入れできっと大きく変わるのでしょう。

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懐かしい長万部の跨線橋と駅舎

 長万部では所定では20分の接続で,函館ゆき822Dに乗換えです。最初に検討したときはこの列車で函館まで行く行程でしたが,明日の行程を考え,この列車は森で捨て,特急で新函館北斗に出て,今日のうちに新青森まで行ってしまう行程です。少々残念ですが,森までの1時間24分は最後のキハ40の乗車を楽しみます。822Dはキハ40-802の単行で,延命改造(1000をかぶせる改番)を受けていないキハ40は久しぶりです。特急がシカと接触したとかでダイヤが乱れており,822Dも10分くらい遅れての発車です。

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函館本線822D @長万部

 キハ40の列車には乗りたいですが,森からは後続の「北斗20号」に乗換える予定で,途中で退避になると今日の残りの行程に影響します。予定どおり822Dに乗るべきか,キハ40は諦め,長万部から「北斗」に乗るか悩ましいです。ここでもワンマン運転の運転士さんに相談すると,どうやら森まで逃げ切れそうです。昨日の2529Dに続き連夜の気を揉む乗り鉄行ですが,キハ40の旅を楽しむことにします。このとき運転士さんから聞いた話ですが,鹿との接触は意外と大変で,はね飛ばせばあまり問題ないが,巻き込んでしまったりしたら,人身事故同様に処理に苦労するそうです。一昨日(1/21)の千歳線では貨物列車が5,6頭の鹿に乗上げてしまい,連結が外れて何時間も止まったそうです。

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八雲では後続の貨物列車を退避

 森では所定では5分の接続で「北斗20号」に乗換えです。森といえば「いかめし」が名物ですが,今は駅構内では買えないはずで,駅前のいかめし屋まで行かなくてはいけません。5分あればギリギリという感じです。階段を登って駅出口に向かって歩いていると,いきなり「北斗」が来てしまいます。慌ててホームに戻って,1番後の自由席の5号車に滑込みます。特急に乗れば,30分もかからず新函館北斗に着きます。

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「北斗20号」 @新函館北斗

 「北斗20号」は約6分の遅れで新函館北斗に着きます。最後のひと区間は特急に乗ってしまいましたが,帯広から森まで代行バスも含め8本の乗継ぎで約500kmの北海道鈍行旅行ができました。思ったよりキハ40に乗れた区間は少なかったですが,JR北海道の一般型気動車の世代交代も実感できました。正味2日間と短い期間でしたが,冬の北海道旅行を堪能できました。後は,本州内でのアクティビティを楽しみながらの帰途の旅です。

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新函館北斗では巨大ルンバのようなお掃除ロボットが稼働中

 新函館北斗では30分くらい時間があるので,あわよくば北海道らしいもので夕食と思っていましたが,飲食店も売店も店じまいです。東室蘭で買ったキハ40列車カードですが,最後に離道前に買えばいいやと思っていたので,家への発送の都合で東室蘭で買ってよかったです。だがしかし,あのときは急いでいたのでおと休パス特典の10%引きを忘れていました,残念。などと考えながらコンコースを歩いていると,ここでは巨大ルンバのようなロボットが構内の掃除をしています。珍しいものを見るように観察し,写真を撮ったりで時間を潰します。

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「はやて98号」 @新函館北斗

 新幹線に乗れば1時間2分で,21:45,新青森着です。新青森も構内でやっているお店はなく,少し離れたコンビニで夕食を仕入れ,駅前のホテルに向かいます。21:45着はホテルに入る時間としては遅いですが,とくにすることもないので,早々に食事と風呂を済ませ明日に備えます。せっかくのおと休パス,明日も楽しみながら横浜へ帰ります。(2022.3.26記)

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今日のGPS log

その3につづく

おと休パスで北海道のキハ40に乗ってきました--その1・自宅から帯広へ

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 今日は1月に行った大人の休日倶楽部パスを使っての旅行の第1~2日目,自宅から帯広までの旅をお届けします。昨年末(2021年末)のことですが,高校の鉄道研究会の先輩から北海道のキハ40が今度のダイヤ改正でなくなるから乗りに行こうと思っているというメールをもらいました。いろいろ調べるとこの情報は実は正しくなく,北海道の各地にH100が投入されキハ40が淘汰されるけど,全てではありません。しかし,その情報を真に受けて旅行の計画を始めたら,北海道に行きたいモードになってしまいました。

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大人の休日倶楽部パス

 ところで,JR東日本ではシニア層の需要喚起のために大人の休日倶楽部という会員組織を作り,会員限定のパスを売っています。これが「大人の休日倶楽部パス(以降,おと休パスと書きます)」です。大人の休日倶楽部は男性50~64歳,女性50~59歳が対象で,それより上はJRグループ共通のジパング倶楽部に移行します。おと休パスはJR東日本の営業エリアの全線が4日間乗り放題,新幹線を含む特急(指定席も6回まで)も利用可で,15,270円という超が付くお買い得商品です。また,同様の条件でJR北海道用が17,400円,JR東日本,JR北海道両方用が26,620円です(この2つの有効期間は5日間)。ただし,閑散期の需要創出が目的なので,利用可能なのが1年に13日×3回と極端に少ないです。僕はパスの存在は昔から知っていて,50歳になると同時に大人の休日倶楽部に入会しましたが,パスはこれまで使ったことがありませんでした。

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1~2日目の行程表

 旅行の計画を始めると,正月に青春18きっぷで行くか,1月13日から25日の間におと休パスで行くか,あるいはエアをからめたパッケージに仕立てるかです。自分の住む神奈川県はまん延防止措置が発令されてもいるので,正月はちょっと出づらく,今回はほとんど迷うことなくおと休パス利用に決定です。おと休パスでキハ40の走る北海道に行くといってもどこに行くかです。詳細はその2で詳しく書きますが,時刻表をパラパラめくっていると,帯広を朝出て,狩勝峠の代行バスで富良野,滝川に出て,岩見沢から室蘭本線を延々長万部まで上り,そのまま函館まで鈍行で行けることが分かりました。今回の旅程はこれを軸に,往路の帯広までと函館からの帰りをくっつけることで計画しました。そんなことで出かけた,3泊3日の北海道旅行をご報告します。

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磯子~東京はちょっきりの列車番号の1700Aで @東京 2022.1.21

 さて出発は(2022年)1月21日金曜日です。この日は会社は在宅勤務で,17:00の終業と同時に家を出ます。18:00過ぎに磯子駅を出る列車に乗れば,東京駅19:20の最終の新函館北斗ゆきの「はやぶさ43号」に間に合います。1週間の仕事を終えた後の移動なので,深夜になるのは避けたく,今夜は新青森泊まりです。東京駅ではろくな弁当が買えないことが分かっているので,磯子駅への道中のスーパーマーケットで総菜や弁当を買込みます。そこで失敗,箸をもらってくるのを忘れました。店に戻る時間が惜しいので,更にもう1軒,駅前のスーパーに寄り,2貫180円也の寿司を買い,箸をもらって電車に駆込みます。

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東京駅の新幹線ホームは人影まばら 2022.1.21

 乗った列車は磯子始発の1700Aで,車内はガラガラ,ちょっきり番号で少しワクッとします。ところで今日の足許ですが,普段履いているランニングシューズでこれから北海道に行くには少し心許ないです。一方,僕の旅行では列車や駅からあまり出ないし,駅からホテルの間くらいしか雪道を歩くこともありません。できれば,雪対策のしっかりした靴を買いたかったですが,正月明けにそんな時間もなく出発の日になってしまいました。ネットで調べると東京駅のグランスタに靴のABCマートがあるようですが,新幹線とは反対側,エキナカ店舗なので品揃え豊富とも思えません。

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「はやぶさ43号」 @新青森 2022.1.21

 京浜東北線列車は時刻表どおり走り,19:00少し前に東京駅に着きます。東京駅での雪靴の購入は諦め,ABCマートとは反対の八重洲側に出て,飲み物を調達します。ビール系飲料は金麦党で,これを探しに行きますが,場所柄からか安い飲み物は見当たりません。たまたま入った酒屋さんで金麦はないか訊くと店では扱っていないがその先にコンビニがあるととても丁寧なご案内,お店の対応に感動し,そこでスーパードライ2本を買うことにします。そんなこんなで今日も発車時刻ギリギリにホームに上がります。金曜日の19:00過ぎといえば出張帰りや単身赴任の帰宅の人で大賑わいの時間ですが,東北新幹線のホームは人影まばらです。やっぱりこの時期に旅行など行っていてよいのか,不安になります。

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22:30過ぎの新青森駅前。人っ子一人いない 2022.1.21

 ガラガラの車内でゆっくり晩酌と食事を楽しんで,今夜の宿泊地の新青森に向かいます。「はやぶさ」は宇都宮~盛岡間の320km/h運転がウリですが,手許のGPSロガーで見ていると316,7km/hはコンスタントに出ていますが,320km/hで走ることはありません。今日のような日は運転上は穏やかで,余裕時分を上手く使いながら節電に励んでいるようです。22:30,列車は時刻表どおり新青森着,そそくさとホテルにチェックインし明日に備えます。

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朝起きればホテルはトレインビュー 2022.1.22(以下,特記以外同じ)

 明くる1月22日土曜日は津軽海峡を越えたあと北海道を横断して釧路の近くまで行き,折返して帯広泊まりの行程です。7:30過ぎにサービスの朝食をいただきホテルを出て,新青森駅に向かいます。この辺は2年半前に駅レンタカーを借りに来たので勝手は分かっているつもりで,新幹線の高架下の雪の少ないところを歩きます。雪がないので油断していたら凍結した路面に滑り,すってんころり,左胸と右手を強打してしまいました。転んだ当座はそこまでひどいとは思いませんでしたが,帰宅後に整形外科でレントゲン写真を撮ってもらったら肋骨骨折でしょうとのお見立てでした。聞けば,肋骨は柔らかい骨でポキッと折れることは少なく,少し撓んだようになっても診断上は骨折だそうです。

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「はやて93号」は最新のU46編成 @新函館北斗

 なかなか痛みが引かないなと思いながらホームに上がり7:56の「はやて93号」に乗ります。この列車は盛岡始発の北海道新幹線2番列車で,たしか北海道新幹線開業の日もこの列車だったと思います。今日の編成はU46,ネットの情報によれば2021年9月新製のピカピカの新車です。お約束の青函トンネルの案内放送,そして北海道に上陸して暫くは日本海側の重たい雲の景色ですが,新函館北斗が近づくと空は晴れてきて,右手のかなたに函館山が見えます。

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新幹線からの車窓。この辺りは明るく雪も少ない。下の町は七飯あたりか

 新函館北斗からは接続の「北斗5号」で南千歳を目指します。JR北海道はコロナ禍による利用減で列車を減らしていて,この「北斗5号」は水木運休で列車番号は6000番台を名乗ります。今日は上りの特急の踏切安全確認の影響で11分遅れでの発車です。新函館北斗を出るといきなり上り勾配になり,駒ヶ岳越えに挑みます。その昔,キハ82の頃は喘ぎながら牛歩のペースで登ってゆきましたが,キハ281は軽やかに走ります。途中,大沼の手前では,駒ヶ岳が優美な山容を見せてくれます。

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今日は駒ヶ岳がよく見える @大沼付近

 右手の車窓には内浦湾越しに室蘭やその向こうに日高山脈の山々も見えています。八雲が近づくと少し線路端の雪が増えます。鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)の事務所など新幹線工事の関連施設が見えると八雲に着きます。新幹線はこの駅には入らず裏山のトンネルの間に新八雲駅ができます。

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内浦湾越しに室蘭,日高を望む @野田生あたりか

 冬の北海道は何度も旅行していますが,今日は良い天気で右側の車窓からはどこまでも駒ケ岳が見えます。2つ上の写真の駒ケ岳はよく見ますが,下の姿はあまり見ません。

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八雲付近から見る駒ケ岳

 長万部が近づくといよいよ雪が深くなり,函館本線も山線の入口のイメージです。長万部を出ると次の静狩までは10km以上駅がありません。左の車窓にはニセコや羊蹄山方面の山々が見えます。

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こちらは左の車窓,ニセコ方面の山々か @静狩あたり

 この先も右手は内浦湾,太平洋,左手は後志,支笏・洞爺の山々を見ながらの旅は続きます。白銀に輝く樽前山を見れば苫小牧,それから16分の乗車で,12:18ごろ南千歳に着きます。太平洋岸は晴れていましたが,少し内陸に入った南千歳では雪がちらついています。南千歳では所定は17分でしたが,8分の接続で「おおぞら5号」に乗換えです。

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「北斗5号」。雪のちらつく南千歳で

 新函館北斗~南千歳が所定で所要2:54でしたが,この後の白糠までが3:07で今日の北海道横断旅行のほば中間点です。以前は,ここで苫小牧のまるいのお弁当を売っていましたが,今日はパッとしたものが見当たりません。やむなくKIOSKで昼食のパンやおにぎりを仕入れます。お店のお嬢さんに促されてパスを見せれば,KIOSKの買い物も10%引き,おっと危ない忘れるところでした。

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夕張の山々を行く @川端あたり

 南千歳から乗った「おおぞら」は1人で椅子1脚を占拠できる程度の乗りで,ガラガラです。この「おおぞら5号」は速達列車で,追分,新夕張とも止まらず,新得までの間でトマムしか止まりません。むしろ交換でもないのにトマムにだけ止まるあたり,トマムの発展に驚きです。インバウンドの外国人観光客はいませんが,今日も何組かが下車し,ホームに横付けされたリゾートホテルのシャトルバスに乗換えてゆきます。

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狩勝峠からの車窓 @トマム~新得

 トマムを出て少し走ると,左から富良野方面からの根室本線の線路が見え,トンネル内の上落合信号場で合流します。1981年の石勝線開業前はこの路線が札幌と十勝方面を結ぶメインストリートでしたが,石勝線開業後はローカル線に転落,災害で不通になっても復旧工事さえしてもらえない線路をさびしく眺めます。ちょっと時間がスキップしますが,1月28日には沿線の自治体がバス転換を受け入れたそうで,廃止は確定的です。長い新狩勝トンネル(5,790m)を抜けると,線路は十勝支庁側に出て,日本3大車窓の一つ,狩勝峠から見る十勝平野が広がります。1年ほど前に日本の車窓トップ20という記事を書き,そのとき狩勝峠の写真を随分探しましたが,何度も来ている割にはきれいな晴れの写真が見つかりませんでした。今日は雲一つない晴天の下,十勝平野が広がって見えます。何度もここでの写真は試みますが,実物の雄大さを感じられる写真を撮るのは難しいです。

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新得で「おおぞら5号」を捨てる

 ところで今日の行程ですが,「おおぞら5号」で白糠まで下り,上りの鈍行で帯広まで上る計画でした。本当は釧路まで行きたかったのですが,行程は成立しますが,帰りの列車が夜になり,景色は見えないし,ホテルに着くのも遅くなります。時刻表を眺めているうち,新得~白糠~帯広の行程を逆にして,先に鈍行で下れば明るいうちに鈍行の旅が楽しめることが分かりました。しかもその列車は僕のライフワークの長距離鈍行/長時間鈍行ランキング(興味があればこちらもどうぞ)の15位にランクインする2529Dです。その行程に気付かなかったのも迂闊でしたが,今気付いてよかったです。

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新得では48分の間に駅そばをすする。新聞は2020.12.21付朝日新聞(拡大はこちら

 新得では釧路ゆきの2529Dまで48分あります。明日もここで代行バスに乗換える予定ですが,時間もあるので駅の内外を眺めます。新得文化遺産カードなるカードを配布していて,駅で配るものは石勝線のキハ183の図柄だそうなので,1枚を所望します。また,新得の駅そばは全国の駅そばベスト10にも数えられるそうで,新聞のスクラップが飾ってあります。そもそも新得はそばの産地として有名で,駅周辺の蕎麦屋さんマップも掲出されています。この次は少し時間をとって,駅の外の蕎麦屋も訪れてみたいです。

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新得からの長時間鈍行2529Dはキハ40の単行。右下は車内

 時間があるので早めにホームに入れば,2529Dはキハ40の単行です。車内に入れば原形をよくとどめた紺色のモケットのボックスシートが並びます。また,冬の低い陽が車内に入り込んで,とても明るくポカポカです。14:35になれば列車は乗客3人--他の2人も乗り鉄風のかた--を乗せて発車です。次の十勝清水までは9.1km,時刻表上は9分かかります。次の御影までも10.5kmあり,途中の平野川信号場では6分止まって貨物列車と交換です。平野川(信)と御影の間には羽帯という駅がありましたが,利用が少なく2018年に廃止になりました。御影の先は上芽室信号場で上り列車と交換です(今日のとびらの写真)。

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左の車窓には十勝の山々 @十勝清水~平野川(信)

 芽室では上りの特急と交換で20分,西帯広貨物駅でもJR関係者の乗降の時間がとってあり30秒止ます。15:55,特急なら30分かからない新得から,1時間20分かかって帯広に着きます。帯広では16:33の発車まで38分の長い停車です。隣のホームを見れば,国鉄時代の2色塗りのキハ40が止まっています。キハ40は登場時から朱色5号--口さがないマニアはタラコ色と言うようです--の1色塗装で,2色塗装の時代はありませんでしたが,JR東海でも復刻塗装の例があり,意外と馴染むものです。

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国鉄の一般形気動車の2色塗装のキハ40

 今回の旅行は準備期間が短かったので,いろいろな装備が不足です。この38分を利用して,駅前のショッピングモールに行き,スタンプノートの台紙--といってもただのメモ用紙--とカメラ用の電池を調達します。また,東京駅で買いそこなった雪靴も欲しく,モールの中を物色します。靴はフィッティングが必要なので,営業時間だけを確認し,買うのは白糠から戻ってからにします。

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帯広で大休止の2529D

 駅に戻れば時刻は16:30,北の冬の太陽は傾いて,弱々しい明るさです。16:33,時刻表どおり帯広を発車,札内,幕別と止まり,利別との間で十勝川の本流を長い鉄橋で渡ります。17:02,列車はワインが名産の池田に着きます。駅の裏には池田ワイン城--地図によれば池田町ブドウ酒研究所--があります。僕が初めて池田に来たのは高校生のときで,ワインと言われても縁がありませんでしたが,今では健康のため晩酌はワインで,夜空に輝くワイン城がうらめしいです。池田は妙に大きな構えの駅舎ですが,昔は北海道を縦に貫く北見への池北線を分けるジャンクションでした。また,1980年代の根室本線には札幌~釧路間の夜行急行「まりも」と小樽~釧路間の夜行鈍行「からまつ」が走っていて,深夜の池田駅で折返す池田ターンという技もあり,この駅舎はとても懐かしいです。池田では「おおぞら7号」を先に通すダイヤですが,「おおぞら」は札幌付近の大雪の影響で相当遅れているようです。今日旅行した北海道の南側はどこも良い天気で,大雪と言われてもピンときません。結局,池田では28分止まっただけで,退避はなしで発車です。

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人気のない夜の駅にワイン城の明かりがまたたく

 池田から十弗,豊頃,新吉野までは線路は十勝川に沿って南東に進みます。新吉野の先で概ね東北東方向に進路を変え,昔は急行停車駅だった浦幌に止まります。浦幌から次の厚内にかけては人里離れた原野を進み,18.4kmの間,駅がありません。途中に2つ信号場があり,手前の常豊は元々の信号場,あとの上厚内は2017年に駅から信号場になったものです。車内を見るとお客さんは5人しかいなくて,全て乗り鉄かふつうの旅行者で,地元のお客さんはいません。厚内の先も原野で,直別,尺別と駅が廃止になった信号場が続き,駅はまたも15.0km先の音別です。この辺は鹿の線路侵入多発地域で,釧路の気動車はもともとのタイフォンをやめ,ピーッという高い音の出るホイッスル--シカ笛と言うらしい--を付けています。音別では少し止まり,上りの貨物列車と交換です。浦幌から白糠は時刻表ではたった3駅ですが,1時間以上かかります。

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音別では上りの貨物列車と交換。ブレブレですみません

 夜で景色が見えないので,古い写真を3枚ほど載せておきます。1枚は1983年(昭和58年)3月に石勝線を乗りに来た時のもので,新吉野で撮った急行「狩勝」です。石勝線の開業後,「おおぞら」は石勝線経由になりましたが,狩勝は滝川経由で札幌~釧路を結んでいました。キハ56系の北海道の急行然とした編成ですが,2両目にキハ40が挟まっています。向こうのホームにはスハ45の客車鈍行がいます。たしか421/422レといったと思いますが,滝川~釧路を1日がかりで結んでいました。

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1983年の急行「狩勝」 @新吉野 1983.3.3(?)

 厚内から白糠までの間は断続的に太平洋の海岸沿いを走ります。真っ青な海がきれいな区間と言いたいところですが,このあたりの海岸は霧の多い地域で,なかなかきれいな青い海にはお目にかかれません。下の尺別駅は駅の裏側はすぐ海です。

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今は廃止されてしまった(旧)尺別駅で 2015.5.3

 こちらは音別の先,2020年に廃止になった古瀬までの間で撮ったものですが,か細い線路が海岸線伝いに走る荒涼とした風景です。地域を隔てる峠がある訳でもないのに,人家が眼に入らない秘境地帯です。

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音別~(旧)古瀬の車窓 2017.8.2

 さて時間を今に戻しますが,音別と白糠の間も古瀬信号場をはさんで16.0kmあります。時刻表の根室本線のページは最長鈍行の2427D(2429D)が鎮座し,特急「おおぞら」が存在感を放っていましたが,最近は駅が減って高さが縮んだような印象です。いささか寂しい長時間鈍行の旅ですが,19:08,列車は白糠に着きます。

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2529D @白糠,左下は車内の銘板,ワンマン化と延命工事が改番を伴う改造

 さて今日の行程ですが,せっかくの長時間鈍行2529Dはここ白糠までで,「おおぞら12号」で帯広に帰る行程でした。ところが所定では池田で抜かれる「おおぞら7号」は約1時間半の遅れだそうで,まだ追いついてきません。「おおぞら12号」は「おおぞら7号」の折返しで,1時間半遅れだとすると,この駅で1時間半近く待つことになります。「おおぞら7号」の所定の釧路着は18:39で,1時間半遅れだとすると20:09着,この列車の所定の釧路着は20:06なのでギリギリ逃げ切れるような気もします。

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当日の関係のダイヤ

 時刻表を繰るとこの先,庶路まで行っても帯広ゆきの鈍行に乗換えることができ,「おおぞら12号」より早く白糠に戻ってこれそうです。ワンマン運転の運転士さんに相談すると,この駅で待つのも寂しかろうと親切に教えてくれます。時間的には微妙だけど,この先は退避できる駅がないので,白糠を出たら釧路まで逃げ切れる由です。長時間鈍行趣味の僕からすると,泣く泣くここで列車を捨てるのと,釧路まで乗り通すのとでは大違いです。若干賭けではありますが,白糠では降りずにそのまま釧路方面を目指すことにします。庶路と大楽毛の間の東庶路信号場では時刻表どおり帯広ゆき普通列車と交換です。もう「おおぞら12号」に乗るしか帯広に戻るすべはありません。

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釧路を前に。駅が随分減ったので運賃表示器は半分にも満たない

 20:06,列車は時刻表どおり釧路に着きます。急遽の行程変更で乗った2529Dですが,結局,5時間31分の全行程を乗り通すことができました。初めにこの行程に気付かなかったのも迂闊でしたが,瓢箪から駒でとんだ拾いものをしました。釧路に着けば,長時間鈍行の余韻に浸る間もなく,追いかけてきた「おおぞら7号」到着の案内が流れます。また,上りの「おおぞら12号」は7号到着後,準備ができ次第の発車との案内です。準備ができ次第といっても特急なので座席の回転,簡単な車内清掃があるので10分程度は止まるでしょう。今夜は帯広到着が遅くなるので,コンビニで夕食を調達します。JR北海道も構内コンビニはセブンイレブンが入っていて,クオリティの高いパンや総菜が揃い助かります。更にスタンプも押して,慌ててホームに戻れば,扉は開いて発車の準備も整いつつあります。

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今日は1時間20遅れの「おおぞら12号」 @釧路

 周囲を見ると3月のダイヤ改正で運用がなくなるキハ283系を撮ろうと多くのマニアがカメラを構えています。キハ283系(以降「系」は略します)はキハ281の後継として量産された気動車で,キハ281より車齢も若いのになぜ?と思ってしまいます。調べるとキハ281は27両,キハ283は63両と,製作数も283の方が多いです。キハ281はJR四国のキハ2000の制御付自然振子の成功を受け,その機構をJR北海道で初めて採用した気動車です。キハ283はそれを更に発展させ,台車は軌道への負担軽減のためボルスタ付き,また自動操舵機構も付いています。振子の角度もキハ281より1度深い6度とした大変意欲的な車両です。僕としては2011年に石勝線内で起きた脱線火災事故が印象深いですが,事業者が安心してお客さまを運ぶのに使えないと判断したのなら仕方ありません。車齢も20年そこそこでもったいないし,JR北海道としては代替車両の製作も経営上の負担でしょう。

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キハ283を目当てに隣のホームまでカメラの放列 @釧路

 20:22,「おおぞら12号」は1時間23分遅れで釧路を発車します。発車後の案内は各駅の到着見通し時刻を案内しますが,終点札幌到着はなんと日付が変わった0:21です。通路の向こうの紳士は千歳からの飛行機をキャンセルした由,僕は帯広到着が1時間半遅れるだけでかわいいものです。釧路を出れば,買込んだコンビニの食材で晩酌+夕食です。僕は旅先の食事は安い居酒屋--それも全国チェーンでない地場の--が多いですが,今回の旅行も居酒屋は自粛しコンビニ飯のつもりだったので,ホテルで食べるか車内で食べるかで大した違いではありません。困ったのは雪靴の調達で,夕方に行ったショッピングモールは21:00まで営業と確かめておいたのですが,今日も持ち越しです。今日は2529Dに全区間乗れたので,少々の不都合は気にしないことにします。

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283系「おおぞら」 @直別 2017.8.2

 食事が済めばすることもないので,ディーゼル特急の車内でゆっくりします。まもなく退役のキハ283ですが355PSの主機2台でも騒音はふつうのディーゼル特急並み,振り子角度は強めといってもそもそも根室本線のこの辺りは直線が多くとても快適です。危険なのはゆっくりし過ぎて,帯広で降りそこなうことです。上り最終の「おおぞら」のスジはたっているとみえ,1時間23分の遅れは殆ど挽回せず,22:05帯広着です。

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今日のGPS log

 少々遅くなってしまいましたが,食事も済んでいるので,ホテルに入れば風呂に浸かってゆっくり休むだけです。そういえば朝転んだ時の痛みは手の方は引きましたが,胸の方は何となく違和感があります。横浜に帰ったら医者に診てもらおうかと思います。今日は青森発,北海道を特急で横断して,更に新得~釧路間の長時間鈍行に乗った感じです(実際は新得~帯広間は特急では通っていない)。おと休パス旅行,実質1日目としては実りある1日でした。明日は帯広から鈍行を乗継いで,青森を目指します。(2022.3.13記)

その2につづく

オリンピック休みに少しの鉄分補給に出掛けてきました・その1--新広益線バスと益田市内

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 2021年,僕の勤める会社はオリンピック開催に伴う東京湾岸部の人流抑制に協力し,7月22日(木)~8月1日(日)の長い夏休みです。結局,オリンピックは無観客になったので人流抑制もヘチマもないのですが,労使合意した年間カレンダーを変えるのも容易ではなく,予定どおりの11連休です。一方,コロナ禍のほうは自分の住む神奈川県はまん延防止特別措置の対象区域に指定され,不要不急の県境跨ぎの移動がはばかられる状況です。そんな中,ここなら感染リスクは低かろうと選んだ先は島根県(NHK調べでは8/14時点で累計感染者数が47都道府県中最少)ですが,自分が東京横浜からウィルスを持込んでしまうリスクもあり,旅先の人達には迷惑な話です。ともあれ,11連休を家の中でじっとしていられず,最低限の2泊3日で鉄分補給の旅行に行ってきました。

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旅行のルート全体

 今回の旅行は山陰本線の益田~米子間の長距離(長時間)鈍行424D~324D~134D/Kと,以前から乗りたかった最長鈍行の敦賀~播州赤穂の新快速に乗るのを主眼に,青春18きっぷ利用を主体に組立てたものです。それぞれの列車についてはその2とその4で詳述するとして,旅程の検討のなかで考えた案を書いておきます。元来僕は長距離(長時間)鈍行には一家言あり,毎年ダイヤ改正ごとにランキングをつくっています(長距離/長時間鈍行列車ランキングはこちら)。いつかはこの表の列車の全てに乗りたいと思っていますが,列車によっては簡単には乗れない列車も多いです。段々にこれらの列車に乗るのが目的の旅行を計画するようになり,今回のように家族同行でないときはチャンスなのです。
(候補になったがボツになった案)
・高山本線1725Dに乗り,富山泊後,敦賀~赤穂の最長新快速3527M,岡山泊後,伯備線825Mなど
(夜と早朝ばかりでちっとも面白くない)
・敦賀~赤穂の最長新快速3207Mに乗った後,四国に渡り徳島線~牟岐線の464Dなど
(牟岐線に行くなら阿佐海岸鉄道のDMV開業後のほうがよい)
・南九州・日豊本線753Mと隼人~吉松~南宮崎間の2922D,日豊本線重岡~延岡間の1日1本しかない普通列車など
(九州に青春18きっぷで行くのはさすがにつらい,また,これも早朝深夜ばかり)

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山陰本線132K(今の134D/Kとほぼ同じ時間を走っていた) @宍道 2017.9.3

 数の減ってきたキハ40使用ということで山陰本線益田~米子間の鈍行に的を絞り計画すると,朝の米子発の下り列車はサンライズ出雲,夜行列車で行ってもギリギリアウトで間に合いません。朝,益田発の上り列車とすると前夜の益田泊は必須ですが,朝,品川始発の新幹線から1日2本しかない新広益線のバスに絶妙のタイミングで乗継げることが分かりました。益田には以前から行きたかった場所があり,更に夕方に少し鉄ちゃんをする(鉄道写真を撮る)時間もとれそうです。青春18きっぷでの旅行に新幹線使用はお財布に優しくないですが,それを補うに足りる絶好の行程です。

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広島県~島根県を結ぶ陽陰連絡のルート(バスは広島駅/バスセンター~島根県間のみ)

 広島~益田(実際は少し手前の美都)間は石見交通の新広益線というバスに乗ります。広島から島根県への陽陰連絡ルートはたくさんのバスのルートがあり,それぞれに歴史があって,以前から乗ってみたいと思っていたところです。最近ではバス路線の充実に伴って鉄道が廃れてしまい,三江線の廃止(2018年3月限り)は記憶に新しいですが,可部線(可部~三段峡,2003年11月限り)も同様です。三江線が1975(昭和50)年,可部線が1969(昭和44)年と開業が新しい線区に限って廃止されてしまいました。その他にも錦町~日原間の岩日線や三段峡~浜田の広浜線などの未成線や計画線(実現の見通しはありませんが)もあります。これらと旧国鉄バスの陽陰連絡路線,今の高速バスのルートを重ねたりすると興味は尽きず,これだけで1冊の本になりそうです。

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オリンピック開会式の朝 2021.7.23(以下同じ)

 さて旅行の出発ですが,(2021年)7月23日(金),東京オリンピックの開会式の朝です。祝日法の改正で今年だけの祝日,駅への道々のクルマも少ないです。磯子駅に着けば,乗る522B列車は電留線から出庫してくる始発列車で,いつもと違う向きで写真を撮ります。

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アプローチの列車2本。根岸線522B @磯子,横浜線543K @東神奈川

 東神奈川では3分の接続で列車があり,新横浜には5:44に着きます。乗車予定の「のぞみ79号」まで27分も時間がありますが,早朝で列車が少ないため,仕方ありません。ホームに上がれば副本線の4番線には新横浜からの今日の1番列車の「ひかり533号」が止まっています。

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朝の新横浜駅。自分以外に人影はない

 何気なく「ひかり533号」の車号を見ると747-502,えらく若い番号だな~と思います。発車を見送ろうともう一度車体を見たら,側面ロゴは金のS,N700Sでした。これは失敗,名古屋まででもこの列車に乗ればよかったと後悔です。

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1本前の「ひかり533号」はN700Sだった。残念

 品川始発の「のぞみ79号」は新横浜駅と同様にガラガラです。今朝は早かったので広島到着までゆっくりします。20分も走れば熱海ですが,7月3日の土石流災害の影響がまだ残っていて徐行で通過します。ところで,広島での新広益線バスは9:45発で,接続時間はたった7分です。広島駅新幹線口の勝手は大体分かっているので,所定の時間に着けば問題ありませんが,ちょっとでも遅れると今日の行程全体に影響します。初めからNGの行程を敢行するのは避けたいので,少々やり過ぎ感はありますが,2日前にJR東海のWeb問合せ窓口に確認しました。いわく,その他にも徐行箇所はあるが名古屋到着は所定の時間と要点を押さえた回答に感謝です。なお,行程としては,乗遅れたら10:20の浜田ゆきに乗れば14:16に益田駅に着くことができ,バックアッププランも準備しています。

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新横浜~広島は新幹線「のぞみ79号」で

 実際のところは,名古屋到着は1分延でしたが,新大阪までには回復,山陽新幹線区間は順調に走って,広島には9:38,時刻表どおりの到着です。新幹線車内でトイレも済ませ,駅に着けばバス乗り場にほぼ直行で,きっぷを買って,写真を撮ってもまだ十分に間に合うタイミングでした。

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石見交通新広益線のバス。行先表示にはR191の表示(写真では見えません)

 さて,新広益線のバスですが,広島駅を出ると広島バスセンターにも立ち寄ります。時刻表上は15分とっていますが,オリンピックの祝日でそんなにはかかりません。バスセンターの入口でしばらく時間調整をしてからの入場です。バスセンターを出れば,市内の新交通,アストラムラインの中筋駅に立ち寄り,広島インターから山陽道に入ります。高速道路から見ると,広島市は山が迫り,山の入口のような斜面にまでびっしり住宅が立ち並んでいるのが見えます。

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広島市北郊の住宅地

 山陽道~広島道~中国道と小刻みに高速道路をつないで,戸河内インターで高速道路をおります。ここからはバスの行き先表示にもあるように,ひたすら国道191号線を下ってゆきます。インターをおりて少し走ると太田川の開いた河岸段丘にいきなり可部線の廃線跡が姿を現します。1969年開業の鉄道公団製線路は真っすぐでコンクリート製の橋桁なども立派で,なんとも勿体ないことになっていると思います。

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無残に残る可部線の線路跡

 国道は三段峡の少し下で三段峡のある柴木川と別れ,県境の八幡原へと登ってゆきます。八幡原が分水嶺で瀬戸内海側の太田川水系から日本海側の匹見川の流域になり,出合原という所にある,道の駅匹見峡でバスは10分の休憩になります。

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出合原(道の駅匹見峡)で

 出合原を出た後は,銅ケ峠というトンネルのある峠を越え三隅川水系に入りますが,高原状で川筋がはっきりせずいろいろな水系を渡り歩いた後,美都(以前は美都町だったが,2004年に益田市に統合)からは益田川に沿うようになります。途中,美都温泉にある道の駅サンエイト美都では十割そばを出すようで,幟が眼につき,食指が動きます。今日は美都にちょっとした用事があるので,次の美都総合支所前でバスを降ります。

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美都郵便局

 旧道方面に少し下ると郵便局があるので写真を撮ります。郵便局に引続き旧道,その後は国道をもと来た美都温泉のほうに向かって歩きます。陽射しは暑いですが,車は少なく,国道上ではありますが,気持ちのよいハイキングです。それでも暑いので途中からはバスに乗ることにし,丸茂というバス停から二川ゆきのバスに乗り,美都温泉を目指します。

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美都温泉湯元館

 美都温泉のバス停前には湯元館なる温泉施設があり,うどんの幟がはためいています。ここでうどん+温泉にするか,坂を登った上にある道の駅でそばにするか悩ましいです。温泉に入るにはちょっと時間が短いのと,この後も午後のアクティビティで汗だくになること必定なので,昼ごはんは十割のそばに決めます。

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道の駅サンエイト美都の十割そばと驛そばの幟

 汗だくになりながら十割そばを頼めば,小さな冷奴もついた冷たい十割そばが700円,まずまず良心的な値付けと味に満足です。ただし,そばだけでお腹は一杯にならず,追加でおにぎりもいただきます。まだ時間はあるし,美都温泉の次の二川がバスの終点のようなので,ここを目指して食後の散歩をします。

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石見交通宇津川車庫

 いくらも歩かずに宇津川というバス停とバスが昼寝する車庫にたどり着きます。このバスは確か二川ゆき,目の前のバス停は宇津川,一体どういうことでしょう。更に奥に二川というバス停があって,ここから回送し,そこが始発で客扱いを始める...いろいろ考えますが,よく分かりません。時間になれば休憩していた運転手氏が出てきて,バスを始動,どうもここから発車のようです。この稿を書くにあたり調べても,小学校と郵便局の名前は二川,住所は宇津川でどうも釈然としません。

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キハ40-2076(広クチ)。形式写真風に撮ってみました

 益田ゆきのバスに乗れば40分ちょっとで,15:00過ぎに益田駅に着きます。途中の道々は,朝も早かったし,お腹もくちたしで,ぼんやり景色を眺めて過ごします。益田駅に着けばちょうど石見交通の案内所があるので,ちょっと覗いて路線図や時刻表をゲットします。まだホテルに入るには早いので,もう一仕事,山陰本線,海の見えるところで鉄ちゃんです。山陰本線は真っ青な日本海のきれいな写真をよく見るので期待をしますが,時間は夕刻なので,益田から遠くない所で見繕います。事前にネットでサーベイしたら,米子方面に1駅上った石見津田でも海沿いの写真が撮れるようです。

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益田で見かけたキハ40-2001

 ホームに入ると朱色(一説にはタラコ色というらしい)のキハ40が2両休んでいます。構内に留置されている方は文句なしの順光,向きは正しいか分かりませんが,形式写真のような感じに撮ってみます。もう1両はホームでアイドリングしていますが,車号を見れば2001番,暖地向けのトップナンバーです。石見津田まで1駅上る列車は益田~浜田間のローカル列車でキハ120の単行です。三江線のの列車がなくなったのでキハ120に余裕ができたのか,元々そんな程度の輸送量しかないのか,山陰本線の列車にも浜田鉄道部のキハ120が入っています。

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乗った気動車は残念ながらキハ120

 益田から石見津田は1駅といっても7.3kmもあり,列車で8分もかかります。益田駅は海から少し離れた内陸にあり,市街地をぐるりと巻いて海に出て,足場の悪そうな海沿いを走って石見津田に着きます。石見津田駅からは,インターネットで情報収集はしましたが厳密にそれに従う訳でもなく,適当に益田のほうへ線路沿いの道路を歩いてゆきます。30分くらい歩くと小さな石の橋があり,これまた小さな川(遠田川)が日本海に流れ出る河口から線路の海側に出ることができます。当初の想定とはずいぶん違いますが,海と共に列車の写真が撮れそうです。陽射しは概ね順光なので,今日はここで撮ることにして,何本か粘ります。

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山陰本線3453D。キハ126「石見神楽列車」 @石見津田~益田

 最初に来たのは「スーパーまつかぜ3号」,追いかけのうえに,あまり準備ができていなかったのですが,ちょうど雲間から陽射しが出て,一番良い出来のようでもあります(今日のとびらの1枚)。このときは松江からクルマで来たという親子連れもいて,ここはそれなりに有名なスポットなのかもしれません。次に来たのは「アクアライナー」のキハ126,「石見神楽列車」の黄色いラッピングです。これなら赤と青のキハ126オリジナル塗装のほうが好きで,なかなか上手くゆきません。その次は「スーパーおき5号」ですが,海をたくさん入れたら列車が小さくなってしまいました。なお,「石見神楽」と「おき」はほぼ同じ場所で,2つの構図を楽しむことができます。

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3005D「スーパーおき5号」 @石見津田~益田

 最後にもう1本粘りますが,来たのはキハ120の単行です。16.3mの短い車体にキハ40の主機換装車と同じ330PSのコマツSA6Dなので,軽快気動車の名がふさわしい感じです。波のタイミングで海が少し入ったのは良いですが,空が曇りがちになってきました。以前はこの先の岡見まで貨物が走っていて,DD51の貨物列車が撮れたそうですが,今は上の3種(とキハ40?)がメインです。約2時間の滞在でこれだけ撮れれば善しとしましょう。

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山陰本線433Dはキハ120の単行 @石見津田~益田

 石見津田からの帰りは20:00過ぎの列車を予定していましたが,だいぶ時間があります。そもそもこの暑いなかを石見津田の駅まで戻るのはぞっとしません。先ほど石見交通の案内所でもらってきた路線図と時刻表を見ると,ここはまだ益田の市内でバスの便もありそうです。原浜団地という所が時刻,場所共にちょうどよいので,ここまで歩くことにします。団地らしい4,5階建ての集合住宅を目指して歩くうち原浜団地入口の看板に行きあたり,携帯のナビも動員すれば,30分位で原浜団地の停留所にたどり着きます。

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原浜団地~益田駅のバス @原浜団地

 15分位あるのでバス停裏の公園でゆっくりして過ごします。この公園には公衆便所もあり助かります。バスに乗れば20分で益田駅に着き,列車で帰るのよりは随分早くホテルに帰り着きます。今夜のホテルはいつもの大規模チェーンではありませんが,駅の真横にあり,シティホテルなのに大浴場もあり快適です。

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ホテルの部屋から。翌朝の2021.7.24撮影

 今日も朝から1,000kmの移動のうえに田舎の里歩きと鉄ちゃんの1日で大満足です。明日からは長距離鈍行2.5本を絡めながら「乗り鉄」を楽しんで横浜へ帰ります。期待を胸に今夜は早寝です。(2021.8.15記)

その2につづく

晩秋の八高線,川越線に鉄分補給に行ってきました・後編

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前編から

 去年11月に行った八高線,川越線の旅,後編をお届けします。出掛けたのは(2020年)11月14日土曜日,午前中は八高線の明覚駅周辺でキハ110系の写真を撮り,12:08高麗川に戻ってきたところから後編・川越線の旅スタートです。高麗川駅は八高線と川越線のジャンクション,また日高市の代表駅ですが意外と小ぢんまりとした駅です。

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川越線の旅スタートの高麗川駅 2020.11.14(以下,全て同じ)

 前編で書いたとおり川越線は2020年に開業80周年を迎え,この時期はクイズラリーが催されていました。クイズラリーは川越線各駅の改札口近くに掲出されたクイズに答えるもので,自然と川越線の各駅を乗り降りできます。ただし,一部の駅は問題が同じなので,端折れば6駅に下車すれば全部の問題に回答することができます。

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高麗川駅のクイズラリーポスター

 さてスタートは高麗川駅ですが,ここでいきなり出鼻をくじかれます。クイズラリーは第1回11月1日~30日,第2回12月1日~25日の期間で,それぞれクリアファイルとボールペンが賞品でしたが,まだ14日だというのに3,000こ用意した賞品が既に引換え完了だそうです。貼り紙には第2回をよろしくと書いてありますが,磯子くんだりからわざわざもう1回出掛ける気にもなれず,残念なことです。賞品のクリアファイルはパンフの写真ではオレンジと黄緑の帯のE231系と埼京線のエメラルドグリーンの帯のE233系の写真で,秀逸な出来だけにもっと早くに来ればよかったです。オークションサイトを覗いてみると,クリアファイル1枚に2,000円弱の値が付いていますが,僕の辞書にはこういう強欲者を儲けさせる選択はありません。

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武蔵高萩駅前風景

 川越線乗ったで降りたでの最初は高麗川12:34の上りの川越ゆきに乗り,笠幡で降ります。笠幡では7分の間にクイズの確認などをしますが,幸い棒駅で仕事は簡単に済みます。笠幡からは下り列車で1駅戻り,武蔵高萩に行きます。ここもさほど大きな駅ではありませんが,第二次大戦中までは近くに航空隊の基地があったため,日光や黒磯のような貴賓室を備えていたそうです。今は小ぢんまりとした橋上駅舎ですが,駅前に残るトイレが昔の栄華をとどめているようです。

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武蔵高萩駅歴史紹介の写真パネル。線内あちこちにこのような手作り感あふれる展示があるのもよい

 家を出るときは川越線の全駅を乗ったで降りたですると意気込んで来たのですが,クイズラリーの賞品がないと分かると面倒になります。的場と西川越はクイズの問題が笠幡と同じなのでパスして,次は川越で降ります。

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武蔵高萩~川越間で乗った1274H(左),川越~南古谷間で乗った1390F(右)

 川越からは3分の接続で列車があるので,クイズの確認を早々に済ませ,13:25の快速新木場ゆきにとび乗ります。この列車はりんかい線の70系使用ですが,ホームの余裕が少なく,まともに写真が撮れませんでした。

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南古谷の駅名標。書体の新旧が面白い

 川越の次はまたも1駅の乗車で,南古谷で降ります。ホームに立つとこのホームと隣りのホームの2つの駅名標が見えますが,その字体の違いが興味をそそります。僕は鉄道誌はジャーナル党ですが,鉄道ジャーナル誌の「されど鉄道文字PLUS」という連載のネタになりそうです。手前のほうは角のしっかりしたコンピュータのフォントのようなゴシック体,向こうのホームのものは隅丸ゴシックの優しい手書きっぽい字体です。

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南古谷の駅舎

 川越より東は20分ヘッドの運転で,先ほどの武蔵高萩,笠幡のように2つ進んで1つ戻るには頻度が高すぎ,大人しく20分待つしかありません。クイズラリーのクイズを確認して,駅前を眺めて過ごすのですが,ここでまた残念です。賞品が引換え完了したので,クイズラリーのポスターを既に処分してしまったそうです。そんな要望は想定外かもしれませんが,賞品はなくてもポスターの写真くらい撮っておこうと頑張ってきたのでガッカリです。

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南古谷で見かけた80周年記念ポスター

 一方,駅舎内にはDD51+客車列車やキハ35が活躍していた頃の写真のポスターがあり,せめてもの慰みです。

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南古谷~日進間で乗った1368F(右)

 南古谷からは13:50の1368Fに乗りますが,指扇と西大宮はクイズの問題が同じなので,日進まで進みます。日進着14:03,まだ陽は高いですが,川越線の乗ったで降りたではここまでとします。また20分待つのも面倒なので,ここからは今日3番目のアクティビティの鉄道博物館に直行することにします。着く時間でいえば大宮に出て,ニューシャトルに乗ったほうが早そうですが,秋のよい日和なのでウォーキングも楽しそうです。

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日進の駅前の様子。最近整備されたようだ

 日進駅から30分くらい歩いて大宮の鉄道博物館に着きます。博物館ではコロナ感染対策で当日券の窓口販売はなく,チケットぴあなどで事前に入館券を準備されたしとの案内です。目の前にコンビニ・ミニストップがあるので,ここで入館券を買います。不便ではありますが,コロナ禍で入館者も少なく,入口ロビーのあたりも混雑はなく,ゆっくり見学できそうではあります。

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鉄道博物館の前に鎮座する167系の先頭部。記念撮影好適地だけど人影は少ない

 さて,鉄道博物館ですが,多分,僕は4回目です。大体,勝手は分かっているし,展示も見ているので,必要なものだけを見学します。今日の目的は,タブレット閉塞器とATS-Pの車載器の写真を撮ることです。それ以外は,実車を中心に,何度でも見たいお気に入りの展示物をさらりと流すつもりです。

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1号機関車とマッチ箱客車

 大宮,京都,名古屋の3大鉄道博物館はどれも見ていますが,ここは館内の車両展示が充実している印象です。鉄道創業時の1号機関車(鉄道記念物)から最新のE5系(ただしこれはモックアップ)まで,たくさんの車両展示があります。

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クモハ455,ED75-700

 僕の趣味になってしまいますが,少年時代に頻繁に旅行に行っていたのが東北地方だったので,仙台の455系,秋田のED75-700などに興味が集まります。

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タブレット閉塞器

 実はタブレット閉塞器の写真を撮りたくて,去年の夏に三重県の家城まで行きましたが,名松線は票券閉塞とスタフ閉塞でタブレット閉塞にはお目にかかれず大空振りでした。こんなに簡単に撮れるなら初めからここに来ればよかったです。箱には大滝温泉と十和田南とあるのでこの2駅の間の駅で使われていたもののようです。この2駅の間では,末広と十二所が交換可能だったようで,後まで交換可能だったのはどちらでしょうか。

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クハ103についていたATS-Pの車載器

 もう1つのATS-Pの車載器もクハ103の運転台で見つけましたが,撮影条件が悪く,これなら朝に八高線のキハ110で撮ったものの方がよい感じです。

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MARS1。国鉄~JRの座席予約発券システム,マルスの初代(?)中央処理装置

 その他,館内をぶらぶら歩けば,MARS(マルス)の初代のコンピュータなどが目に止まります。このブログでもよく扱うようにJRの制度や発券システムはとくに趣味の対象で,システムエンジニアでもある僕としては思わずじっくり眺めます。

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収蔵品庫,パングラフの裏あたりには万世橋の交通博物館で見たような品々もある

 今までこのエリアは行った憶えがないですが,今日は収蔵品庫を覗きます。いろいろな収蔵品が雑多に並んでいますが,棚に納められたもののいくつかは昔,万世橋にあった交通博物館で展示されていたものです。なんでそんなものを憶えているんだろうと思いますが,高校生の頃の記憶は今でも鮮明です。

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ホーロー板の駅名板は川越線のものが並んでいる

 ここも京都も同じですが,展示だけでなく走る列車が見れるのも,鉄道博物館の魅力です。かなり陽が傾いてきましたが,屋上の展望スペースで少しの時間を過ごします。東北本線,高崎線,川越線の列車が頻繁に来て,見ていて飽きないですが,写真を撮るのは難しいです。

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EH500牽引の貨物列車がやってきた 1105

 裏側は新幹線でここも頻繁に列車が来ますが,アンチ新幹線の僕としては,今日も一日よい天気,夕焼け富士の方が写材としては魅力があります。

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博物館の西側風景。新幹線E2系と夕焼け富士。架線の吊り金具からはかなりの望遠と分かります

 なんやかやで2時間半を博物館で過ごし,引上げにかかります。ニューシャトルはもったいないので大宮まで歩き,湘南新宿ラインの列車に乗れば横浜まで1直線です。17:30に大宮を出て,19:00前には自宅最寄りの磯子駅に帰り着きます。

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帰りの列車2つ。湘南新宿ライン2849Y @大宮,根岸線1775C @磯子

 秋たけなわの11月,好天の下,写真撮り,乗り鉄,そして博物館見学とたっぷり鉄道趣味を楽しんだ1日でした。せっかくの川越線80周年のクイズラリーは残念でしたが,また次回,どこかの線区での開催を楽しみに待ちましょう。

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今日の行程表

 鉄道博物館は短時間でポイントを絞っての見学でしたが,それでも十分楽しめました。このブログにはJR西日本の京都鉄道博物館,JR東海のリニア鉄道館の記事はありますが,大宮のJR東日本の鉄道博物館の記事はありません。こんどはゆっくり1日がかりで見学し,見学記を書かなければと思います。一方,大宮の鉄博は展示も幅広く,自分が書くとどうしても偏った内容になりそうで,躊躇もしてしまいます。(2021.4.11記)

東海道徒歩き(かちあるき)のおまけで三重県の私鉄巡り

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 去年(2020年)の10月31日から11月2日に東海道徒歩きで宮宿(名古屋市)から関宿(亀山市)を歩いたことは既にアップしましたが,その時の旅行で三重県の私鉄巡りもしたので,今日はその報告をします。旅行したのは11月2日(月),お天気はあいにくの雨です。

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近鉄四日市駅は大きなターミナル 2020.11.2(以下,全て同じ)

 まず最初は,泊まっていた四日市からその日の徒歩きのスタートの庄野宿への移動に乗った四日市あすなろう鉄道(以下,あすなろ鉄道)です。あすなろ鉄道は東海道の旧街道に沿う四日市~内部(うつべ)の内部線と途中の日永から分かれて西日野までの八王子線から成ります。徒歩きの記事でも書きましたが,内部線のほうは明治の鉄道開業の頃,煙をモクモク吐いて猛スピードで走る陸蒸気を忌避した街道沿いの人達が,後になって鉄道の便利さを知り,ナロー規格で鉄道を敷いたものではないかと思っています。八王子線のほうはたった1駅の盲腸線です。尤も,この枝線のおかげで四日市~日永間は日中約15分間隔が確保されています。年は下って2010年代に入り,近鉄はこの2線の廃止・BRT代替を提案しましたが,四日市市は鉄道存続の意向で,2015年4月から上下分離方式で再スタートを切りました。四日市あすなろう鉄道は近鉄75%,四日市市25%出資の第3セクターの第2種鉄道事業者,線路と車両は四日市市が第3種鉄道事業者として保有しています。

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四日市あすなろう鉄道の1日乗車券

 11月2日朝,今朝はほどほどの時間の出立で,サービスの朝食をかき込んで7時過ぎに近鉄四日市駅前のホテルを出発します。あすなろ鉄道線は元々近鉄線で近鉄四日市のターミナルから出ますが,南側のはずれで改札は別,ホームは番号がとんだ9,10番線です。駅北口に近いホテルからは遠回りをしてしまったせいもあり,近鉄四日市のターミナルを3/4周してたどり着きました。出札口を覗くと1日乗車券を550円で売っているので,これを買います。今日の行程では550円分乗りそうもありませんが,きっぷが記念になるのでその辺の無駄遣いは気になりません。

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あすなろ鉄道ク163。シースルー電車だ @あすなろう四日市

 7:19の西日野ゆき列車は土曜日の朝にも拘らず若干の立ち客もいる程度で四日市を発車します。西日野までは3駅たった8分の乗車です。西日野の折返し時間は3分,少々慌ただしいですが,乗ってきた電車で日永へ戻ります。この電車,ク163は「シースルー電車」で,台車の上の床板がアクリル板になっていて,台車越しに走り去る線路や枕木を見ることができます。不思議な趣向ですが,利用者に親しんでもらうためのアイディアと理解します。

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シースルー電車の床下見学窓

 日永での乗換えも2分しかないので,乗換えに便利な先頭に乗れば,朝の上り列車は通勤通学のお客さんでそこそこの混雑です。日永は内部線と合流するジャンクションですがこぢんまりした駅で,乗換えは1分もあればOKです。

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ジャンクションの日永駅

 日永からは7:35の内部ゆきに乗換え,終点内部を目指します。車窓に目を凝らすといっても,沿線は昨日歩いた街なので,昨日見たあれこれを思い出すばかりです。ところで,あすなろ鉄道の電車ですが見た目にはどの車両も新しく,第3セクター化で積極投資がされたようです。Wikipediaによれば,元々の近鉄260系は1982,3年製作ですが,3セク化以降にリニューアル,冷房化されたようです。また,260系の製作当初は新製は最小限に絞られ,一部のクは在来車でしたが,リニューアル時に新製のクに置換えられ,中間車も3セク化以降に製作されたものです。現在は在籍5編成中4編成が3両編成ですが,残る1本はこのままなのでしょうか。

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内部で

 12分の乗車で内部着,あすなろ鉄道は車両も小ぶりですが,乗るのもすぐです。最後に四日市に戻る列車の写真を撮って,あすなろ鉄道の旅は終わりです。こうして見ると車体が小ぶりな分,架線下のクリアランスを確保するためパンタグラフが妙に大きく見えます。

 内部からは庄野宿までバスで移動し,東海道を歩き,関西本線の関駅に着きます。(その間の記事はこちら

 この日の第2部は三重県の私鉄巡りです。元々は東海道を坂下宿まで歩く計画でしたが,午後からは雨のようなので急遽作った代案で,関西本線,近鉄名古屋線から西へ鈴鹿の山のほうを目指す盲腸私鉄に乗りに行くことにしました。朝から始めて最後は養老鉄道に乗って大垣から帰る案も検討しましたが,東海道徒歩きを進めておきたいので,午前中は歩いて午後から乗り鉄としました。

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午後のスタート関駅

 昼前,関西本線関駅に着けば,ここから三重の私鉄巡りスタートです。関駅は随分大きな駅舎ですが観光協会の案内所なども入居し,駅自体は無人で,きっぷの委託販売もありません。加太駅などたくさんあるスタンプを押して,11:59の亀山ゆきに乗ります。来たのは青いキハ120の単行,JR西日本の気動車です。

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JR西日本のキハ120で1駅上る(エンド交換後に撮影) @亀山

 亀山では19分の接続で,JR東海の名古屋ゆき快速列車に乗換えです。この間に帰りのきっぷを買いますが,関からの通しのきっぷを売ってもらえて,少し助かった気になります。関~亀山間を精算し亀山発で買う(272.2km4,070円)のと,関から通しで買うのと(237.9km4,070円)で値段は同じなので,精算した場合はその分まるまる190円を損することになります。無人駅発の旅客の精算なので当然といえば当然ですが,あまりこういう機会はありませんでした。

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亀山からの快速列車,2306G @亀山

 亀山はJRの会社境界,鉄道輸送上の節点ですが,雨模様の土曜のお昼でとても静かです。ホームは3面5線,機回し線もあり,手持ち無沙汰に広がる構内がかつての栄華を物語ります。

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妙に広い亀山駅の構内

 亀山から名古屋ゆきに乗れば,ものの30分弱で四日市に着きます。この間の車窓も概ね昨日と今日歩いてきた沿線なので,午後の行程表を作ったりで時間を過ごします。

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JRの四日市駅

 JRの四日市駅は貨物の詰所のような感じの平屋の大きな駅舎ですが,合理化の進んだ今は亀山の構内同様に持て余しているようです。JRの四日市と近鉄四日市の間は両駅を結ぶ大通りの1本道ですが,歩けば20分前後かかります。バス停をサーベイしてもこの時間にバス便はないようで,歩いて近鉄駅に向かいます。幸い雨は殆どあがり,傘がなくても歩けそうで助かります。

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近鉄湯の山線の列車。2545F。この電車で往復

 近鉄四日市に着くと時刻は13:15,お昼の時間です。今日はこの先,乗りっぱなしで食事の時間がとれそうにありません。かなり慌ただしいですが,駅ビル内のマクドナルドに行き,今売出し中のトリプルチーズバーガーなどでお腹を満たします。セットのコーヒーは持ち帰りにして,13:30の近鉄湯の山線電車に駆込みます。

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近鉄の路線案内。三重県は意外と私鉄が多い?

 湯の山線の列車は雨に煙った里山風景の中をのどかに進みます。25分で終点の湯の山温泉着。ここからバスとロープウェイを乗継げば御在所岳(1,212m)の山頂近くまで登ることができます。御在所岳は高さの割に見どころが多い山のようで,いつか天気のよい日に登ってみたいと思います。僕は国鉄~JR線の全線完乗のタイトルは維持していますが,最近は乗り鉄も市民権を得て,このタイトルホルダーは無数にいると思われます。次は私鉄や公営交通,3セクも含めた全鉄道路線完乗,その先にはロープウェイやリフトなどの鋼索線も含めた全線完乗があり,慌てず焦らずライフワークとして少しずつ乗ってみたいと思っています。その意味では,せっかくここまで来たのに御在所岳に登らずに帰るのはちょっと惜しくも思います。

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湯の山温泉駅のスタンプ

 列車は5分の折返しで,スタンプだけ押して,元来た線路を四日市に戻ります。スタンプの図柄には30000系新ビスタカーが描かれ,湯の山温泉が観光で賑わっていた昔を思い出させます。今日はコロナ禍で外出も制限され,雨の月曜日とあって,車内はガラガラ,僕の乗っている車両には他にお客さんがいません。

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雨に煙る湯の山線の車窓と周囲に誰もいない車内

 往きと同じに25分かかって四日市着,ここからはすぐの接続で三岐鉄道の接続する近鉄富田(以下,単に富田)を目指します。この間は1駅5分です。乗った電車は9000系,調べると1983年製だそうで,途中で更新はしているでしょうが,陳腐化しない意匠,かつきれいに使っている印象です。

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近鉄四日市~近鉄富田,1駅のちょい乗りの急行列車

 富田での接続は9分ですが,この間に1日乗車券を買ったり,トイレに行ったりで慌ただしく過ごします。三岐鉄道では地域共通クーポンが使えるというので1,000円分を消化するつもりでしたが,グッズのみが対象で,きっぷには使えない由です。

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三岐鉄道の1日乗車券。三岐線,北勢線共通で1,200円

 三岐線のホームに行けば電車は三岐鉄道オリジナル塗色の851系です。以前,近江鉄道訪問の記事にも書きましたが,僕の母は西武池袋線沿線の生まれで,子供の頃はよく西武101系にも乗りました。鼻筋の通ったパンダ顔は三岐としては比較的新しいぞなどと思い,1両目に乗り込みます。この稿を書くにあたって調べると,この851Fの西藤原方クハは脱線事故で解体され,部品取り用の予備車を復籍したため編成中の他車とは違う新101系顔のクハ1881で組成されているそうです。

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三岐鉄道三岐線の電車,クハ1881ほか3連

 富田を出て5駅目の保々では車両交換となり,またまた元西武の,三岐101系の2両編成に乗換えです。この電車は西武所沢車両工場・昭和39年製で製作後56年を経たオールドタイマーです。西武401系は使い勝手がよいのか近江鉄道でも主力となっています。この電車のような旧式な抵抗制御が地方の私鉄にとっては保守性がよく,近年のパワーエレクトロニクスの結晶のような制御装置は持てあましてしまうのかなどと思います。

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三里では貨物列車と交換

 徒歩きの記事でも書きましたが,三岐鉄道は藤原岳から産出する石灰石を使ったセメントやフライアッシュ輸送が盛んで,多くの貨物列車が走っています。この列車も三里でセメント列車と交換です。雨は本降りになり,写真になりませんが雰囲気のみです。今日の天気は残念ですが,三岐鉄道の雰囲気は気に入り,ぜひまた天気のよいときに貨物列車狙いで訪れたいと思います。

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東藤原駅の様子。帰りの列車で撮影

 15:25,列車は東藤原に着きます。ここは太平洋セメントの工場がある駅で,鉱山,工場と駅が一体化し,沿線随一の駅のようです。重連の機関車が休み,奥にはセメントプラント,手前の事務所はヨーロッパ風の赤レンガ積で風情ある景色です。東藤原を出ると消化試合モードになり,車内はガラガラです。

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西藤原の駅舎と入場券

 富田から49分,15:31に列車は終点西藤原に着きます。ここでの折返し時間は7分,スタンプを押したり,きっぷを買ったり,駅舎内外を見渡したりして過ごします。観察の深さにもよりますが,僕の場合は5分あれば,一通りのことはできると思っていまるので,7分あれば上等です。入場券を買って,入鋏を所望すれば,昔ながらの本物の改札鋏で,久々に目にする気がします。余程,使うことが少ないのか,突拍子もない所に鋏が入り,これもご愛敬?です。

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西藤原駅舎内の郵便局

 西藤原の駅舎は蒸気機関車のような意匠で,片方にはC11 1とナンバープレートまで付いています。また,駅舎内には西藤原簡易郵便局も同居しています。今回の旅行には郵便貯金の通帳を持ってきておらず,旅行貯金ができないのが残念です。

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西藤原駅構内のミニ博物館

 改札を通ってホームに戻ると,電車の反対側ホームには蒸気機関車 102号,凸型電機のED22 2,入換用のモーターカーが展示されています。あとで調べると駅前広場側からなら足回りも含めて写真が撮れそうなので,この次に来た時のお楽しみにとっておきます。15:38,時間になれば近鉄富田ゆきの上り列車は発車しますが,この列車もガラガラ,2両編成の電車に他のお客さんは全くいません。

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帰りの列車の車内。電車は昭和39年西武所沢車両工場製

 今日の予定は西藤原から伊勢治田(いせはった)まで戻って,ちょっと強引ですが北勢線の阿下喜(あげき)まで行く予定です。この間はGoogle mapによれば1.7km21分です。急いで行っても阿下喜からの列車は16:45までないので,1日乗車券の消化かたがた,伊勢治田の次の丹生川まで上ることにします。この列車の次は,西武の赤電カラーの電車のようなので,これに乗ることもできます。

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丹生川駅の貨物列車博物館--スタンプによれば世界初!!

 丹生川に着くと西藤原に続きここにも貨物列車博物館があり,いろいろなタイプの貨車の上回りが並べられています。遠くには蒸気機関車もあるようで,三岐鉄道は古い鉄道史料の保存,展示に熱心なようです。改札にまわれば,女性の駅員さんが執務し,スタンプもある由で,丹生川まで来て正解です。

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三岐鉄道線のスタンプ。丹生川と阿下喜

 丹生川には8分の滞在,15:59の下り列車に乗ります。この列車は思ったとおり西武の赤電カラーの1852の編成でやってきました。駅の入口は広々していてすっきりした構図ですが,お天気が悪くブレ気味の写真しか撮れませんでした。今日のトビラに載せましたが,再訪を期しての1枚です。

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三岐鉄道1852F @伊勢治田

 16:02,電車に乗れば3分で阿下喜に一番近いと思われる伊勢治田に着きます。再度,ホームで赤電の写真を撮ったり,駅舎を観察したりしながら,ゆっくり出場します。ここから阿下喜は1.7㎞,列車まで40分以上あるので十分間に合うでしょう。雨がひどければタクシーも考えていましたが,そこまですることもなさそうです。駅待合室にはいなべ市のコミュニティバスのチラシがあるので手に取ると,ガーン,16:05に駅前から阿下喜ゆきの便があったようです。列車のダイヤに合わせた設定なのでしょう,知っていればこのバスに乗れました。

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伊勢治田駅

 もともと歩くつもりだったので予定どおりですが,せっかくのバスを取り逃がし,少々,意気消沈です。強くはありませんが,雨は相変わらずです。下校の小学生の後を阿下喜駅に向け歩きます。河岸段丘上の伊勢治田駅から員弁川沿いの阿下喜駅へは下りのだらだら坂なので,歩き易いコースではあります。

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藤原岳とセメント工場が雨に霞む

 雨に霞むセメント工場などを見ながら歩けば,1.7kmはすぐです。員弁川を大きな橋で渡れば阿下喜の町内,改築整備されたばかりのような駅舎が迎えてくれます。

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阿下喜駅

 次の西桑名ゆきは16:45ですが,16:30前には駅に着き,ゆっくりすることができます。16:32,下り列車が着いて通学の高校生らを吐き出し,一段落したら入場します。ここにも226の車号を掲げた保存車が置いてあり,本当に三岐鉄道は史料の保存に熱心なことです。

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阿下喜駅風景。西桑名ゆきの電車と側線に並ぶ保存車226号

 時間になれば列車は西桑名に向けて発車します。四日市あすなろう鉄道に触発されたのか,ここの電車も最近更新されたようで,とてもきれいです。こんな形で近所の私鉄同士が競争,切磋琢磨すれば,利用者へのサービスも向上し,好循環が生まれると思います。

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今日の〆の北勢線電車 @阿下喜

 短い秋の陽は暮れ,景色が見えなくなってきます。今日は朝から乗り鉄に徒歩き,午後は短い区間の乗車を繰返し,いささかお疲れモードです。ぼんやり景色を眺めたり,車内を眺めたりで過ごします。夕方の上り列車ですが,こちらの方が沿線人口は多いと見え,お客さんは徐々に増えてきます。ここも小1時間,56分の乗車で終点の西桑名に着きます。桑名での乗継ぎはよく,4分の接続で関西本線の名古屋ゆきがあります。三重県の私鉄巡りを終えゆっくりしたいところですが,駅周囲の観察もほどほどに,お客さんの波にのってJRのホームへと急ぎます。

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関西本線は赤のクロスシートの211系 @名古屋

 ここからは横浜まで帰宅の旅ですが,桑名からの電車に乗ってびっくりです。東京周辺では見かけなくなった,211系オリジナルのクロスシートの電車です。JR東海にこんな電車がいたのかと調べると,JR発足の半年前の1986年10月にクモハ211-1,2を含む2本だけが製作され,名古屋地区に配置されていたことが分かりました。これは珍しいものにあたったと嬉しくなります。31分の乗車で列車は名古屋に着きます。

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帰りの列車4本 「ひかり518号」@名古屋,東海道線1462M @静岡,同3750M @大船,根岸線2270C @大船

 明日は11月3日文化の日ですが,僕の勤める会社はオリンピック対策で夏休みを長くとったので,振替出勤日です。今は青春18きっぷのシーズンではないので,帰路の一部は新幹線を利用して多少早めに帰ることにします。名古屋18:43の「ひかり518号」に乗れば,静岡までは2駅54分です。発車までの時間を利用して,名物のきしめんで軽い夕食,売店でビール,肴,夜食のマグロ丼と家への土産を買い込みます。新横浜までこの列車で帰れば速いのですが,東海道徒歩きの往復は大船回りと決めている?ので,静岡からは在来線で上ります。今日の1462Mは313系でトイレがあるので,ロングシートではありますが安心してビールが飲めます。熱海からは今日最後の快速アクティでちょっと得した気分になります。大船で乗換え,15分の乗車で自宅最寄りの磯子駅に無事,帰着です。

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今日の行程表

 元々は徒歩きのはずでしたが,雨のため急遽しつらえた三重県の私鉄巡りでしたが,なかなか楽しい乗り鉄の1日を過ごすことができました。四日市あすなろう鉄道,三岐鉄道北勢線はどちらもナローゲージの鉄道ですが,地域密着でお客さんも多く,元気な様子でした。

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今日のGPS log。茶色の部分が鉄道利用

 また,三岐鉄道は昔懐かしい西武の電車が活躍し,ホッパ車をたくさん繋いだ貨物列車が健在です。東武を始め私鉄の貨物列車も少なくなってきたので,藤原岳をバックにした貨物列車の写真を撮りにまた訪れてみたいと思います。(2020.12.12記)

2020年夏のアクティビティ2--京成沿線おでかけきっぷで京成ざんまいの1日

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 コロナ禍で外出もままならない2020年夏ですが,用心を重ねて少しずつの外出をします。2020年夏,京成電鉄は沿線の需要喚起に「京成沿線おでかけきっぷ」という企画券を発売しました。このきっぷをジュニアが見つけ,発売初日に買ってきたので,僕もご相伴にあずかり1枚を買います。このきっぷは京成線全線乗り放題のきっぷが3人日分でセットになったものです。JRグループの青春18きっぷと同様に,1人で3回使っても,3人一緒の旅行を1日してもよいルールですが,特急料金さえ払えばスカイライナーも利用可のところが青春18きっぷの「普通列車用乗車券」と違うところです。

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京成沿線おでかけきっぷ(見易いように編集してあります)

 さて,このきっぷを使ってどこに行くか,何をするかです。京成線はこれまでに大抵のところは行っていますが,金町は行った憶えがありません。この際なので再度,乗り直しをしようと全線に乗り,余った午後はどこか景色のよさそうなところで鉄ちゃん(僕は「鉄ちゃん」という言葉を狭義に使うことが多く,鉄道写真を撮ること)する計画をたてました。以前,西武線の1日全線完乗をしたときはさんざん乗継ぎを計画しましたが,京成線は全線といってもしれた量なので適当に時刻表をめくって計画しただけです。

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朝は京急線で泉岳寺まで上る @上大岡 2020.8.9(以下,特記以外全て同じ)

 (2020年)8月9日日曜日,朝は自宅最寄りの京急線屏風浦駅を6:42の列車で出発,上大岡で特急に乗換え東京に上ります。列車は青砥ゆきなのでこのまま乗っていてもよいのですが,往復とも押上線を通ってしまうと青砥~上野間が残ってしまうので,朝のうちに上野に行っておきます。品川~上野をJRで移動すると10.4km198円ですが,泉岳寺乗換えとすれば9.5㎞と10㎞以内に収まり168円です。気になりだすとこの0.9㎞が惜しくなり,今日は時間もあるので,泉岳寺~高輪ゲートウェイの乗換えにします。

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高輪ゲートウェイ駅の発車案内

 泉岳寺から高輪ゲートウェイは歩いて10分弱,近いとも遠いとも言いづらい距離です。高輪ゲートウェイの周辺は再開発・街づくりの最中で,1ブロックの区画割が大きいので歩くと遠くに感じるようです。また,東西方向は仕方ないとして,高輪ゲートウェイ駅がもう少し北にあればよいのにと思いますが,高輪ゲートウェイ~田町間で京浜東北線北行と山手線を交叉させる都合もあり,これ以上北に駅を設置できなかったのでしょう。高輪ゲートウェイでの山手線と京浜東北線は路線別複々線,駅入り口には東京,上野方面はどっちが先発かを示す大きなLED表示があります。

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京成上野駅と入口のモニュメント

 案内に従い,京浜東北線電車に乗れば20分で上野に着きます。不忍(しのばず)口改札を出て道路を渡れば,地下の京成上野駅(以下,駅名の「京成」は略)はすぐです。きっぷに使用日のゴム印をもらい入場し,801列車,8:05の臼井ゆきに乗ります。3500形は僕が高校生の頃の製造で随分古い電車,ある面,幸先のよいスタートです。写真を撮りそびれましたが,今では抜取り式のブレーキ弁も目にする機会が減りました。

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京成上野~高砂,801レ,3545F @上野

 京成線乗りつぶし,今日の列車は鈍行に限ると決めた訳ではないのですが,たまたま選んだ列車が1運行の普通列車です。最初の停車駅の日暮里はJR各線と接続するターミナル駅で,最近2階建ての高架になり趣が変わりました。更に3つ進んで千住大橋では特急の退避です。

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日暮里駅

 青砥では押上線からのアクセス特急を先に出し,京成唯一の複々線区間を進みます。ここで京成のフラッグシップのスカイライナーとすれ違います。今日1日,京成線を旅行しましたが,スカイライナーの写真はこの1枚だけでした。

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京成スカイライナー @高砂~青砥

 8:33,高砂着,ここでは金町線に乗換えです。高砂駅は変わったつくりで,本線の跨線橋の向こうに金町線ホームがあるのですが,間に改札外のコンコースがあります。

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高砂駅の2つの改札

 2つの改札を通って,金町線ホームに行けば8:37の金町ゆきは3600形3621Fで,またまた旧い形式の電車です。今度は運転台の写真を撮ろうと思いますが,3600形は見た目は3500形と似ていますが,運転台はワンハンドルマスコンで新しい造りでした。あとで調べると,この3621Fは6連の3600形を8連化した際に余剰になったクハをVVVF制御で電装した編成でした。この辺のやりくりは,京成の一時の財政状況の厳しさが表れています。

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金町線はこの編成で往復,871b~870b,3621F @金町

 金町線は高架の高砂を出ると地平に出て,高砂の車庫からの線路と合流します。東京の下町の住宅街を進み,次の唯一の中間駅,柴又で上り列車と交換します。柴又からも専用軌道の路面電車のような風情の景色の中を走って,終点金町に着きます。その間2.5kmはほとんどの部分が単線です。そして面白いのが列車ダイヤで,両端の高砂,金町とも棒線,交換できるのが中間の柴又だけのため,休日ダイヤでは5:49から21:40まで上りと下りの時刻表が全く同じです。僕はいろいろな時刻表を見てきましたが,これはかなり面白い時刻表と思います。金町では折返し間合いの10分の間に改札を出て,駅の周辺を軽く探検します。

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金町線の時刻表(見えないですね。拡大はこちら

 金町線から戻れば次は千葉線に乗りに津田沼を目指します。乗った列車は8A11という上野からの特急列車です。京成はロングレール化が進んでいないようで,軽快な短い刻み音を立てて走ります。江戸川,国府台と堤防上にあるような駅に挟まれた江戸川を渡れば千葉県です。海神の先でJR総武本線をくぐり,その海側をしばらく走れば津田沼です。

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高砂~津田沼は特急で,8A11,3791F

 津田沼からは千葉線に乗換え,ちはら台を目指します。千葉線は系列の新京成と一体で運用され,休日の日中は新京成線からの千葉ゆきと津田沼始発のちはら台ゆきが10分間隔で交互に走ります。次の列車は9B01,9:35のちはら台ゆきです。この列車は京成の主力,3000形の6両編成です。

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津田沼~ちはら台はこの編成で往復,9B01~10B00,3011F

 千葉線はJR総武本線と京葉線に挟まれ鉄道網が稠密な地域を淡々と進んでゆきます。対東京輸送はJRに分があるようで,京成の列車は全て各駅停車,ときどき上野直通の列車がダイヤに色を添える程度です。コロナ禍期間中の土曜の午前,列車はガラガラです。いかにも私鉄風な駅を小まめに止まって,9:52,千葉中央に着きます。

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ちはら台駅の駅前風景

 千葉中央から先は元千葉急行電鉄の線路を京成が引継いだ千原線です。千葉急行時代に一度乗ったと記憶しますが,今日は昼間に「乗り鉄」目的でゆっくりの乗車です。千葉市から市原市にかけての内陸に開けた住宅地を淡々と進みますが,新しい路線なので路盤などは立派ですが,商業地は少なく収入の基盤は脆弱そうです。また,線路は複線分の用地が確保されていますが,レールが敷いてあるのは1線だけで全線単線,これは今日まで知りませんでした。

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ちはら台から南を望む

 千原線の走る区間は,小湊鐡道が海土有木から千葉へ直結する構想で免許を受けていた区間ですが,1970年代に第3セクターの千葉急行電鉄が設立され,ニュータウンの開発が進んでいた千原台までを開業しました。その先の免許も千葉急行を救済した京成が引継いでいますが,具体的な延伸の話はないようです。ちはら台駅のホームに立つとまだ見ぬ南のほうへ掘割は続いていて,海土有木への夢を感じさせてくれます。こんな経緯もあって千原線はニュータウンの中心地から外れたところを走っており,これがまた利用客の伸び悩みを招いているようです。

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JR幕張車両センターでは新鋭E235系をチラ見

 ちはら台では8分の折返しで,乗って来た電車で津田沼へ戻ります。今朝も早かったので,帰りの車中はゆっくり過ごします。途中,幕張ではJRの線路越しに幕張車両センターが見えますが,総武・横須賀線用のE235系がちらりと見えます。そういえば,この京成3000系は運転席直後に2人掛けの座席があり,座ったままのカブリツキができます。京急の1000形もステンレス車からはカブリツキ席は省略の設計で,京成の電車のgood pointです。

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津田沼~ユーカリが丘の普通列車(左),911レ,3018F

 10:48,1時間ちょっとの千葉線,千原線の旅を終え,3面6線を有するターミナルの津田沼着。乗りつぶしとしては成田空港方面がまだ残っていますが,昼から午後にかけての暫くは鉄ちゃんで時間を過ごします。このきっぷを買った時,京成沿線でよい写真が撮れるところはどこかジュニアに尋ねたところ,挙げたのはユーカリが丘と大佐倉でした。ユーカリが丘は山万ボナの走る新興住宅地,大佐倉は確かに大手私鉄の沿線なのに田んぼが開けたところの印象です。若干忙しいきらいはありますが,これらの撮影地を2つとも訪ねることにします。

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京成線内で見る青い京急電車 606F @志津付近?

 津田沼では4分の接続で臼井ゆきの普通列車に乗換え,この列車も3000形6両編成です。3000形は6連29本,8連19本の48本が在籍し,すっかり京成の顔です。快適な3000形で暫くゆっくりし,11:09,ユーカリが丘に着きます。まだお昼には少し早いですが,今日は成田で鰻を食べる予定なので,駅のコンビニで菓子パンを仕入れます。余りお行儀はよろしくないですが,撮影場所までの道々で食べてしまいます。

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ユーカリが丘~臼井で。先ずは古参の3500形

 この撮影地ですが成田に向かって線路の右側ですが,その方向に歩いて行くと用水路がありこれを越えることができないようです。右に車の通る道が見えるのでこちらに迂回すると,今度は小高い丘のなかの道になってなかなか線路の近くに出ることができません。8月の炎天下を小1時間も歩いてようやくこのポイントにたどり着きました。

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ユーカリが丘~臼井で。こちらは主力の3000形

 このポイントで鉄ちゃんをしますが,来る列車はどれも京成の通勤車ばかり,今一つ変化がないのが残念です。ところで今回のカメラですが,安倍総理が10万円のお小遣いをくれると言うので,10万円以下で買える廉価版ですがデジタル一眼レフを新調しました。この練習も兼ねているので通勤車ばかりでも,撮影自体を楽しめます。露出をカメラ頼りにしたりマニュアルにしたり,連写モードで撮ってみたりと,いろいろな機能を試します。いろいろやってかなりデジタル一眼は習得できましたが,ある面,高倍率コンパクトデジカメはよくできているとも思いました。今日の写真のうち大佐倉の上はコンパクトデジカメで撮ったものです。なお,このブログの写真は解像度をおとしているので,差が出ないきらいはあります。

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ユーカリが丘から大佐倉への移動の列車。1163K,3721F @ユーカリが丘,12A01,3411F @佐倉

 炎天下のなかで小1時間粘って,ユーカリが丘~臼井の築堤を後にします。帰りは線路の反対側のルートを通り,ものの15分くらいで駅に着きました。来た列車は13:18の都営地下鉄からの快速・佐倉ゆきです。

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佐倉ふるさと広場の風車小屋

 佐倉の手前では印旛沼をかすめて走り,佐倉ふるさと広場の風車小屋も見えます。ここまで来ると京成線も田んぼの緑が美しい景色になります。佐倉では上野からの成田空港ゆき特急に乗換え,大佐倉には13:32に着きます。京成の列車の種別ですが特急を軸に,より停車駅の少ない快速特急,停車駅の多い通勤特急のほか,一段格下は快速で,ただの急行がなく,おもしろい設定です。

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大佐倉~酒々井で。線路の南側から。3700形

 今日2か所目の撮影ポイントは大佐倉の駅から東へ10分くらい歩いた,やはり築堤です。今日の2か所はジュニアから得たお立ち台情報ですが,どちらも田んぼの中を真っすぐに走る低い築堤です。わが家は団地・マンション住まいが長いので,ジュニアは緑の景色に憧れるのでしょうか。

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大佐倉~酒々井で。線路の北側から。3400形

 ユーカリが丘で予定より時間を使ったので,陽が反対側に回ってしまいました。幸い車道のトンネルがあるので,線路の北側にも回って幾本か撮ります。ここでも小1時間,鉄ちゃんをし,14:52の列車で大佐倉を後にします。

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大佐倉~成田の列車,13A09,3030F @大佐倉

 ここからはまた京成線乗りつぶしに戻って,成田を目指します。成田周辺にはJRと共用の成田空港と芝山鉄道の芝山千代田の2つの終点があり,帰りは成田空港からアクセス線~北総線経由で高砂に出ます。この予定をたてると,アクセス線のアクセス特急と芝山鉄道線がどちらも40分ヘッドの運転で,これら相互間の接続がおそろしく悪いのです。途中,成田で食事をする時間をとって,接続の悪いところをうまく吸収しました。

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京成電鉄駅めぐりスタンプ帳

 そう言えば,京成の主な駅にはシャチハタ式のかなり大きなスタンプが用意されています。またスタンプ帳も駅めぐりスタンプ帳なる冊子が用意されていて,駅で配布しています。駅により山積みになっている駅もあれば,お一人様1冊と厳しくしく制限して窓口で手渡しの駅もあります。28駅全駅完押を目指したくなるのですが,さすがに乗りつぶし+鉄ちゃん2か所をこなしたうえに28駅の途中下車はできません。スタンプは次回のお楽しみにとっておきます。

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芝山千代田往復の列車と運転台,1447レ~1446b,3517F @成田

 さて,成田周辺の乗りつぶしですが,先ずは15:12の列車で芝山千代田を目指します。電車は3500形の3517F,上野方は3501~3504のトップナンバーを含む編成です。ブレーキハンドルは付いていませんが,ここではゆっくり旧い2ハンドルの運転台の写真を撮ることができます。列車は成田を出ると空港に近い草地の中を結構なスピードで進みます。駒井野信号場で現在の成田空港駅に繋がる本線を左に分け,間もなく地下に入って東成田に止まります。ここは元の成田空港で人気(ひとけ)がありませんが,地図で見ると成田空港の第1ターミナルと第2ターミナルのほぼ真ん中に位置しています。

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芝山千代田駅

 京成の乗りつぶしとしては東成田まででよいのですが,せっかくここまで来たので日本一短い私鉄を謳う芝山鉄道にも乗っておきます。東成田から3分の乗車で15:21,芝山千代田に着きます。改札は交通系ICカードが使えず,精算の人が列を作っています。2.2km200円は賃率にしたら90円以上で,地方の3セク鉄道の数倍です。空港の騒音などの見返りに延ばした政策鉄道,いくらも客はいないけど乗入れ先の京成の都合で輸送力過剰など,経営的には厳しいのでしょう。子供には記念のカードのプレゼントもあるようですが,大人の趣味者がもらうのは少し恥ずかしくこらえておきます。

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駅前のエプロンには余剰となった飛行機が。フライングホヌもいる

 芝山千代田では15:37まで16分の折返し時間があるので,周囲を見て歩きます。今はコロナ禍で国際線の減便が著しく,空港じゅうに仕事をなくした飛行機が翼を寄せあって並んでいます。電車の中からはOne World塗装のJALのB777が眼を惹きましたが,地上からよく見るとANAのエリアにはフライングホヌも羽を休めています。こんな写真を撮っているうちに遅くなり,帰りの電車には駆込んで乗ることになってしまいました。そのうえ駅入り口の段差で転んで擦りむき,肘は血だらけです。

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京成成田駅前。書院風の造りが門前町らしい

 帰りは10分の乗車で,15:47,成田着です。今日はもともと成田で1時間以上の時間をとって鰻を食べる予定でした。2か所の鉄ちゃんで時間を使い過ぎてしまったので,鰻の代わりに駅前のそば屋で食事にします。

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JRの成田駅前。JRバス多古線のバスが集う

 食後はJRの成田のほうへ出向き,写真を撮ったり,土産を買ったりで過ごします。成田は空港以前に成田山新勝寺の門前町で,大きな参道の商店街があります。最近はインバウンドの観光客に人気のようで,去年のゴールデンウィークに来た時にはここは日本かと思うような賑わいでした。今日はそれらの賑わいはなく,静かな近郊のターミナルの夕方の街並みです。

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再度,本線の特急で成田空港へ,15A17,3421F @成田

 駅に戻れば16:23の列車で成田空港を目指します。先ほどと同じ線路を下り,駒井野信号場では左の本線に入ります。地下を少し走って空港第2ビル,その後も僅かの乗車で終点,成田空港です。成田空港では12分の接続で16:44のアクセス特急に乗換えです。本当は空港のデッキに出て飛行機の写真を撮ったりしたいのですが,コロナ禍のなか空港のロビーなどをうろつくのもリスクと自重します。ふつう8月の空港は夏休みの海外旅行でごった返しますが,今日は人影もまばらです。

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遠くに成田線の電車が見える @成田湯川~印旛日本医大

 列車は16:44,時刻表どおり発車します。今度はJRの線路と並行する線路を走り,新勝寺の裏あたりでJRの線路を分けると,スカイアクセス線のルートに入ります。ここからは高規格の都心への最短ルートを走りますが,アクセス特急は最高120km/hの運転です。ここの路線名のスカイアクセス線は旅客案内上の名前で,正式には高砂から成田空港まで全体で京成「成田空港線」です。ただし,京成は第2種事業者で線路の保有は北総鉄道,成田高速鉄道アクセスなどの第3種事業者4社です。そんな区間でもおでかけきっぷで乗れるのは良心的と言えますが,印旛日本医大以西の北総鉄道区間での途中下車はできず,通過利用に限るという制限が付いています。

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アクセス特急,1604K,3056F @青砥

 アクセス特急ですが,空港周辺の草地を抜けると,我孫子からの成田線を跨いだ先で成田湯川に止まります。その先は2つの印旛沼の間を抜け,田んぼの中を走って印旛日本医大に達します。その先は北総線と同じ線路となり,千葉ニュータウンの丘陵地を西に走ります。スカイライナーなら高速運転が楽しめそうですが,アクセス特急はここではただの北総線の優等列車,千葉ニュータウン中央,新鎌ヶ谷,東松戸と主要な駅に止まります。

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とうきょうスカイツリーが見えれば終点,押上は間もなく 

 矢切の渡しの近くで江戸川を渡り,17:25高砂着。続けて青砥にも止まり,本線から来た上野ゆき特急と接続をとります。この特急は成田駅を16:43に出てきた特急で,アクセス線の短縮効果は大きいような,たいしたことはないような,微妙です。青砥からは押上線に入り,乗りつぶしとしては今日は初めて乗る区間です。四ツ木~八広では荒川を渡り,この辺まで来るととうきょうスカイツリーが目の前に見えます。これを右に見て地下に入れば押上で,今日の京成線の旅は終了ですが,列車は羽田空港ゆきなのでそのまま都営浅草線に進みます。浅草線は通勤も含めよく乗りますが,一部の駅を通過するエアポート快速はなかなか乗る機会がないのです。泉岳寺まで地下鉄の優等列車を楽しんだ後は,後続の三崎口ゆき快速特急に乗継ぎます。これに乗れば,30分ちょっとで今日のスタートの屛風浦に帰着です。

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今日の行程表

 京成の沿線の旅客サービス,需要喚起のためのおでかけきっぷでしたが,ちょっと遠くの乗入れ先から利用し,旅客の入れ込みには貢献しました。僕の印象では京成は,成田空港の開業直後はスカイライナーも振るわず経営も厳しかったですが,今では優良な子会社も増え,しっかり利益も上がっているようです。金町線のところで書いた車両のやりくりなどは苦しい台所事情の表れのようですが,最近は3000形もコンスタントに増備を重ねています。今日は1日,全線完乗+鉄ちゃん2か所で元気な今どきの京成を楽しむことができました。

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オーソドックスな京成沿線の楽しみ 2020.8.14

 ところで,このきっぷの残り2人日分ですが,後日,家族3人で柴又帝釈天と成田山新勝寺へ行き,帰りには鰻も食べて,おでかけきっぷ本来の消化をしました。コロナ禍は早くの終息を祈るばかりですが,このような企画きっぷの発売が各社でも続くことを期待します。(2020.10.8記)

県外への外出解禁の6月,東京アドベンチャーライン(青梅線・五日市線)に行ってきました

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 (2020年)6月下旬,緊急事態宣言も解けたので,お天気は梅雨空でしたが青梅線,五日市線--最近は2つまとめて東京アドベンチャーラインと呼ぶらしい--に行ってきました。旅行の目的はちょっとワケあって,誘導信号により列車を併合するシーンの写真を撮りたかったのです。
 列車の併合シーンは福島駅の「やまびこ」+「つばさ」などいくらでもあるのですが,横浜の自宅から手軽に出掛けられるところを探したら拝島になりました。自宅の近くなら平塚や逗子でも増結車の解結はありますが,客扱いをしている列車同士となると見られる箇所は限られます。拝島では朝に青梅線から来た列車と八高線・高麗川から来た列車の,土休日の夕方にはホリデー快速,青梅線の「おくたま」号と五日市線の「あきがわ」号の併合が見られます。この2つが目的なので昼間の時間はフリーですが,せっかく奥多摩の近くに行くので有効に過ごすよう旅程を組みます。なお,使ったきっぷっは休日お出かけパスです。

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当日の行程表

 140円旅行に出掛けた次の週末,6月27日(土)の朝は5:29の根岸線上り列車で出発です。僕の旅行は早朝発が多いですが,すき好んでのことではなく,仕方なくの早起きです。八高線から直通の東京ゆきは土休日ダイヤでは高麗川発7:14の3718E~718Hの1本だけ,この列車の拝島着に合わせると,この時間になってしまうのです。途中,東神奈川,八王子で乗換え,箱根ヶ崎には7:24に着きます。

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箱根ヶ崎は瑞穂町の玄関 @箱根ヶ崎駅 2020.6.27(以下,全て同じ)

 箱根ヶ崎ではお目当ての3718Eの7:35まで11分あります。今日は140円旅行と違って改札から出られるので,駅の周囲を見分します。箱根ヶ崎は東京都西多摩郡瑞穂町にある唯一の鉄道駅なので,地方の市の玄関駅のような特産品の展示もあります。瑞穂町は南のほう1/8は横田基地で,僕のイメージは基地の町ですが,ダルマや狭山茶なども産するようです。

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八高線3718E。土休日ダイヤでは1本だけの高麗川からの青梅特快東京ゆき @東福生

 7:35,3718Eは時刻表どおり箱根ヶ崎を発車,途中,東福生でも交換で3分くらい止まります。東福生を出ると拝島駅の場内信号で一旦停車します。青梅線の下り列車が通り過ぎた後,お目当ての誘導信号が点灯します。ATS-Pのチンベルが鳴って,警笛一声のあと徐行運転で拝島駅に進入します。

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拝島駅の場内信号。八高線からは全てのホームに入れる配線で賑やか。「五場」の下の斜めの2灯が誘導信号

 拝島駅では併合する電車の5m位手前で一旦停車します。これは併合作業の常ですが,拝島では構内専門の運転士さんが乗ってきて,この残り5mを運転します。本線を運転する運転士さんがこの作業ができないということはないと思いますが,今のJR東日本でどういう役割分担のなのか,不思議な作業です。これらの一連の作業の写真を撮れば,朝のひと仕事は完了です。時間もあるのでこの青梅特快で立川まで上ります。

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既に先着列車のいるホームに向かい誘導の手旗に従ってしずしず進む @拝島

 立川では8分の接続で「ホリデー快速おくたま3号」に乗換え,今来た青梅線を奥多摩に向けて下ります。そういえば,この「おくたま」号は臨時列車,6月中の臨時列車は全て運休?とアナウンスされていたので,今日のこの列車が走るのか確認をしたときのこと書きます。僕の感覚では,この列車が走るかといった運転上の内容は沿線で運転を取扱う駅が一番と思い,拝島駅への確認を試みました。インターネットをかなり探し回りましたが,拝島駅の電話は西武の駅しか見当たらず,JR東日本の駅の電話は探し出せませんでした。仕方なく「JR東日本お問い合わせセンター」に電話をすれば,その列車は運転されますと大変丁寧な案内ですが回答をもらうのに6分半かかりました。拝島駅に直接訊けば1分はかからないだろうと思います。駅業務も効率化が進み,利用者のちょっとした時刻や運賃の照会などは集約した方が効率的なのでしょうが,これはばかりは何ともでした。

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「ホリデー快速おくたま・あきがわ3号」。昔はヘッドマークが付いたが今はカラーのLED表示のみ @立川

 青梅線は青梅あたりまでは会社の同僚の通勤圏だし,都バスの旅などでも訪れていますが,その先は久々の乗車です。県境越えの移動自粛が解禁になったといっても,まだ人出は戻っておらず,今日のホリデー快速は立川からでも座れる程度の入りです。奥多摩では3分の折返し,9:20の上り列車で1駅,白丸まで戻ります。

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白丸~数馬峡周辺~遊歩道案内図

 青梅から先の青梅線の車窓はずっと左手に多摩川が続きますが,白丸ダムの上流は数馬峡という渓谷になっています。鳩ノ巣~奥多摩には川沿いの遊歩道もありますが,今日は大雨の影響で通行止めです。川の北側を走る線路は景色はとてもよいのですが,写真を撮れる個所は少ないです。ネットでサーベイして訪れたのは白丸駅からも程近い,数馬峡に架かる橋(数馬峡橋)の上です。ここで数本の列車を撮った後,気持ちよい気候なので鳩ノ巣駅まで歩きます。

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奥多摩数馬峡をゆく青梅線電車 @鳩ノ巣~白丸

 道路は国道411号線,青梅街道ですが交通量は少ないです。白丸~鳩ノ巣には白丸ダムがあり,白丸湖や鳩ノ巣渓谷の景色も楽しめます。

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白丸ダムより下流,鳩ノ巣渓谷

 鳩ノ巣からは10:35の列車に乗る予定でしたが,せっせと歩いたので20分くらい早くに駅に着きます。駅入り口の踏切ではちょうど東京アドベンチャーラインのラッピング電車を撮ることができました。この電車はリスやモモンガなどの森の仲間のシート地に,床にもたくさんのシールが貼ってあり,車外のラッピングは控え目ですが,車内はかなり賑やかです。

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東京アドベンチャーラインのラッピング電車。青463編成とその車内 @鳩ノ巣

 鳩ノ巣駅は戦時中の1944(昭和19)年の青梅線奥多摩開業時に開業の駅ですが,ハイキング等の利用も意識したのか,木造の風情のある駅舎です。駅に入って跨線橋をおりれば,紫陽花(あじさい)がちょうど見頃です。先ほど写真を撮ったラッピング電車が戻ってきて,この電車に乗ることができます。

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鳩ノ巣風景。紫陽花が見ごろの上りホームと1944年築の駅舎

 約20分の乗車で10:54,次の下車駅の軍畑に到着です。軍畑はEF64,その昔はED16の時代から「軍畑の鉄橋」(正式な名前は奥沢橋梁)で有名です。この撮影地はアクセスがよく,軍畑駅で下りれば踏切を渡ってすぐです。駅近くで撮った写真が今日のとびらの1枚です。せっかくなのでもう少し足を延ばし,駅下の青梅街道の方へ歩いてみます。多摩川には新しく立派な軍畑大橋が架かり,ここからも鉄橋は見えますが,下の道路の電柱が少々うるさいです。

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軍畑の鉄橋。1980年4月の同じ場所はこちら。比べると随分森が深くなったようです

 青梅街道を歩いているとちょうど梅01系統,玉堂美術館方面のバスが来ます。このバスは土日しか走らず,去年,青梅の都バスに乗りに来た日は見ることもできませんでした。このバスの乗車もちょっと心が動きましたが,後の予定も大体計画済なので,写真だけにしておきます。

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青梅街道でたまたま見た梅01系統のバス。週末のみ1日8本のレアもの。バスはE代のエルガでかなり新しい

 軍畑には約1時間滞在し,11:54の上り列車で軍畑を後にします。

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軍畑の駅舎は最近改築されたようで新しい

 15分の乗車で12:09,青梅に着きます。青梅はなんとなくレトロ感が漂い,それを街のウリにしています。駅の本屋も1924(大正3)年築で元の青梅電気鉄道の本社ビル,改札内の地下通路も映画の広告を模した飾りで昭和の時代のようです。当初,青梅は沿線随一の町ですが...と書いたのですが,乗車人員数で見る限りは少し東京寄りの河辺の半分以下,最近は東青梅よりも少なくなっていて,沿線随一は当たっていないようです。

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青梅駅の地下道は昭和の時代のよう

 コロナ禍の感染予防を考えると昼食の摂り方を考えてしまいますが,駅を出るとすぐ横にモスバーガーが構えているので,思わずここに入ります。実はスパイシーモスチーズバーガーが好きなのです。

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青梅の駅舎。1924年に青梅電気鉄道30周年の事業で建てたものらしい

 さて,今日の午後のアクティビティですが,青梅まで来たので先ずは青梅鉄道公園を訪ねます。ここは鉄道開業90周年を記念して1962(昭和37)年に開園した施設で,実物の鉄道車両11両を保存展示しています。僕は多分今日が3回目ですが,初回は高校生のときです。当時の困窮した国鉄財政から展示物の整備もままならず,裏山の土砂崩れなどもありひどい状態だったと記憶します。前回はジュニアが子供のときの10数年前でした。勝手は大体分かっているつもりですが,今日は再度,実物の蒸気機関車に触れてみたいと思っての訪問です。

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入り口ではSLの代名詞D51が迎えてくれる

 青梅鉄道公園は青梅駅から直線では460mしか離れていませんが,永山の運動公園の坂を登る15分弱の行程はこの蒸暑い時期には結構きついです。公園に着けば東日本鉄道文化財団の職員とD51が迎えてくれます。コロナ禍対策で屋外展示のみで建物内のジオラマ等の見学はできないけどよいかと確認されます。建物内の展示は大したことはないので,外の実物の見学だけで十分で,入園券100円を買います。

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園内の1等地のクモハ40054

 入場口を通って園庭に出れば,先ほどのD51とクモハ40が視界が眼に入ります。クモハ40は戦前の1935(昭和10)年製の国電で,青梅線を含む各地で使用の後,国府津電車区の職員輸送用に使われていたもので2007年に青梅入りしたそうです。それまではこの場所(屋根付の1等地)には今,鉄道博物館にいるC51-5が展示されていたそうです。

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地方ローカル線で活躍したタンク機C11-1

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板谷峠,後には北陸本線の交直接続区間で活躍したE10-2

 クモハ40の裏に回ればタンク機が2両います。C11は381両も製作され,現在も各地に動態保存機のあるC11のトップナンバーです。E10は板谷峠に縁があるといえば僕的には興味はあるものの,たった5両しか製作されなかった稀少な機関車の1両です。少数機ゆえの使いづらさから第2の職場も追われ,たった14年で廃車になりましたが,たまたまその年にこの公園が開園したので命拾いしたようです。

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大正の名機8620。きざんだ番号ですがこれがトップナンバーのはず

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大正の名機9600。こちらは9600ではなく9608

 園の右手にはもう一かたまり蒸気機関車がいます。左側の2両に比べると古い機関車で,僕もよく分からないので古典機として括っています。ただ,8620と9600があったのは再発見です。これらは大正の名機といわれ,前者は旅客用,JR九州のあそぼーいなどの牽引機にもなっている8620のトップナンバーです。後者の9600は貨物用で,SLの本当の末期,北海道の追分機関区で最後まで運用されたのが大正生まれの9600だったと記憶します。

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その他の古典機たち。屋外ですが屋根付で保存環境としては悪くない

 古典機の一群の隣には電気機関車ED16があります。ED16は奥多摩から産出する石灰石輸送に活躍し,昭和の末期まで青梅線で活躍していました。元をたどれば,大正末期,電気機関車はたくさんの形式を少数ずつ輸入して技術導入が図られ,昭和初期には純国産で電気機関車を設計,製作できるようになりました。その嚆矢が1928(昭和3)年登場のEF52ですが,それに続いて1931(昭和6)年に製作された勾配線区用のD級機がこのED16です。そんな純国産の嚆矢という技術的価値から,重要文化財にも指定されています。

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ED16-1。国指定重要文化財/準鉄道記念物

 鉄道公園という場所柄,新幹線も必要と考えたのか,園の裏庭のような一段低くなったところには新幹線0系の先頭車が1両置かれています。僕にとってはあってもなくても変わらない存在ですが,やはり新幹線電車,今日来園の家族連れには人気のようです。

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新幹線0系22-75

 上の写真を撮りながら園内を一巡りして所要時間は20分強でした。ある程度分かっていたので駆け足で回りましたが,大正時代の古典機で収蔵品も思っていたより充実,そして何より各機関車の保存状態が良くなったことは喜ばしいです。滞在時間は短くても十分鉄道車両の展示施設としては堪能できました。入り口の係のかたにお礼を言って,鉄道公園を後にします。

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澤乃井園の近くでは多摩川の川縁まで下りられる

 元々の予定は3時ごろまで青梅でゆっくりでしたが,鉄道公園を速攻で片づけたので,もう1つアクティビティがこなせそうです。澤乃井は多摩地区では有名な日本酒のブランドですが醸造元の小澤酒造が沢井駅の近くでちょっとした観光施設をやっています。次はこの澤乃井園を覗いてみることにします。13:21の奥多摩ゆき列車に乗れば,13分で沢井に着きます。

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澤乃井園の園内。作りたての日本酒を試飲できる

 青梅線から見る多摩川は高い位置から見下ろすのが常ですが,ここ澤乃井園の近くは水面と地面が比較的近く,園の少し上流では川面まで下りることができます。多摩川の川面を眺めた後は澤乃井園に戻り,今日の土産に日本酒を買います。本当はできたての日本酒を一杯飲みたいところですが,帰りの行程が今日のミニトリップの主目的なので土産で我慢です。直売場に行けば純米酒,吟醸酒などなどおそろしく種類があって目移りしますが,値段とバランスのとれたあたりを見繕います。

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道路の反対側,澤乃井の醸造場

 道路の反対側には蔵元の工場があります。見学ツアーもあるようですが,今日は時間のかかるアクティビティはパスです。今度またじっくり見学したいと思います。駅に戻れば14:00過ぎ,まだ帰りの列車まで1時間くらいあります。

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御嶽駅前から見た多摩川

 14:04の列車に乗って,また更に1駅下り御嶽に行きます。ここは御嶽登山のケーブルカーへの接続駅です。駅前には多摩川に架かる橋があり,滔々と流れる多摩川を眺めることができます。上流側には雲取山などの奥秩父の山々が煙っています。以前から雲取山には登ってみたいと思っていますが,今年の夏シーズンはちょっと難しそうです。

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御嶽駅。左の社殿づくりの建物が駅舎

 タイトルには東京アドベンチャーラインと書きましたが,今日はアドベンチャーラインらしいことは何もしていません。今度は御嶽登山,多摩川べりでバーベキューなどやってみたいと思います。今日は朝から4つアクティビティをこなしているので,大満足で帰途に就きます。御嶽14:26の列車に乗れば14:43には青梅着,50分の東京ゆきがあるので予定より1本早いですがこの列車で拝島まで上ります。

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「ホリデー快速あきがわ2号」 @武蔵五日市

 拝島からは15:29の五日市線の列車で武蔵五日市を目指します。「ホリデー快速あきがわ号」は秋川地域のハイキングなどを対象にした臨時列車ですが,毎週末運転なので,ふつうに土休日ダイヤに組み入れられているようです。列車番号こそ8513Hとホリデー快速の送り込み列車ですが,拝島~武蔵五日市の様子はふつうの休日の行楽帰りの定期列車と変わりありません。

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再度,拝島での併合風景。線路の先には併合相手の「おくたま」号が見える

 武蔵五日市では8分の折返しで,この電車が「ホリデー快速あきがわ2号」になります。帰りはカブリツキの要があるので,場所確保のためにウロチョロせずにいます。4両編成の列車は新宿・東京直通の便利さもあり,10両編成の青梅線の列車より随分混んでいるようです。約20分で今日5回目の拝島に着きます。拝島では今日のミニトリップの目的の「あきがわ」号と「おくたま」号の併合の様子の写真を撮ります。朝と同様に5m位手前で停車,運転士さんが交代し,ガッシャン連結が済めば今日の目的は完了です。

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今日2度目の連結風景。手旗の誘導でしずしず進む

 拝島では前側の「おくたま号」に移り,座席を見つけます。立川からは南武線も横浜線もかったるいので,このまま新宿まで乗ってしまいます。新宿では3分の接続で湘南新宿ラインの列車,それも新宿~横浜間29分運転の最速の特別快速があり,これに乗れれば随分遠回りですが一番早く横浜に着くのです。

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桜木町駅新南口改札。IC専用改札なので,紙のきっぷの休日お出かけパスでは通れない

 幸い新宿から予定の特別快速に乗ることができ,17:30前には横浜に着きます。今日はもう一つ桜木町に寄って,今日オープンの新南口改札,駅ビル「CIAL桜木町ANNEX」にできた「旧横ギャラリー」を見ます。新南口改札ですが,IC専用改札口で,今日の紙のきっぷの休日お出かけパスでは出場できません。50円も余計に払って,不便を強いられるのは我慢ならないですが,JRとしてはそうまでしてでもIC化を推進したいのでしょう。

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新しい桜木町の駅ビル「CIAL桜木町ANNEX」

 従来の改札へ廻って,新しい駅ビルの1階のエントランスホールの「旧横ギャラリー」を覗きます。ここは鉄道発祥の地,初代横浜駅にちなんで整備され,鉄道記念物の110形蒸気機関車に牽かれた鉄道開業時のマッチ箱客車2両が展示されています。奇遇というか,この機関車は先ほど行った青梅鉄道公園に展示されていたものを整備して移設したものです。1872(明治5)年の鉄道開業に際し鉄道院は5形式10両の機関車を輸入しましたが,そのうちの1両,最も小柄な機関車だったそうです。なお,後ろに連結されている客車はこの度の展示に合わせてしつらえたレプリカです。

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「旧横ギャラリー」の110形+マッチ箱客車

 ギャラリーには車両のほか実物大の信号機,鉄道開業当時の駅のジオラマ,鉄道開業にかかわった人々の解説,ちょっとした用品や制服などの展示があります。博物館のような品揃えはありませんが,待ち合わせのついでなどにちょっと見る程度なら,誰でも楽しめる内容です。鉄道友の会の情報誌でも取り上げていましたが,専門の人が見ても評価が高いようです。

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CIAL桜木町ANNEX 1階の展示品など

 朝から夕方まで今日も一日楽しみました。途中にも書いたようにアドベンチャーラインらしいことはしていませんが,十分に楽しめた一日でした。この後は梅雨本番で外出しても面白くない気候,その後は感染症再拡大で外出もままならぬ毎日です。次はいつどこへ行けるのやら,感染症の終息と次の旅行の成果を祈りつつの6月27日の報告を終わります。(2020.8.16記)

相鉄・JR直通線開業の初乗りとその制度的楽しみ

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 2019年11月30日,相鉄・JR直通線が開業しました。国鉄・JR完乗タイトルを維持している僕としては,春のおおさか東線以来のJRの新線で,待ちに待った開業です。例によって初日に乗りに行ったので,今日はその報告と関連の話題です。

1.プロローグ
 今回開業の相鉄・JR直通線(以降,直通線と書きます)は,横浜から神奈川県の中央部,海老名と湘南台へ路線を延ばす相鉄にとっては念願の都心進出を果たす待望の路線です。自分の住む神奈川県内でもあるので,わが家のジュニアはそれをテーマに高校の卒業論文を書きました。ローカルな話題ではありますが,わが家としてはホットな話題でもありました。

 相鉄にとっては上にも書いたように待望の路線ではありますが,2022年度下期には新横浜,東急東横線・目黒線経由都心への直通計画もあります。JRと東急はどちらも直流1500Vの20m4扉車を運用しますが,車体の幅から信号保安方式,運転操作機器の設計などがまるで違います。決して大きくない私鉄の相鉄にとってそれら双方の基準に合わせた車両を準備するのは大変な負担だと思います。JRで行けば3年早く都心進出が図れる,その時間を買いたかったのかもしれません。

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相鉄・JR直通線、相鉄・東急直通線の概要 相鉄・JR直通線、相鉄・東急直通線サイトから

 一方,JRでは羽沢横浜国大となる横浜羽沢駅を含む羽沢貨物線は1980年から営業していました。貨物列車の他,最混雑時間帯の湘南ライナーなど僅かに旅客列車も走ります。今回の旅客営業開始で鶴見~西大井(厳密にはその先の蛇窪信号場)間の列車の本数が増え,とくに西大井から大崎に向かう列車は横須賀線の下り線を横切るので,輸送力の限界も近いと思われます。列車ダイヤをつくる担当者は相当苦労されたのではないでしょうか。

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蛇窪信号場。右に行く大崎方面の上り線が左の品川からくる下り線と交差する

 今回の新線開業は家から近いこともあり,妙に期待が膨らみます。10日前の会社帰りに相鉄の横浜駅を覗くと既に開業ダイヤの時刻表の配布が始まっていました。A5変形サイズ48ページ,もちろん全駅全列車掲載の立派なものです。冊子の時刻表を何年も作らない名鉄あたりには爪の垢の一つも煎じて飲んで欲しいところです。この時刻表は時刻の表示ポリシーが変わっていて,到着時刻の秒は切上げです(一般の時刻表は切捨て)。駅での無理な駆込み抑止には効果がありそうですが,実際は接続するのに,乗換えができないように表示されてしまうケースが稀にあります。右下の時刻表で,快速の2016レから特急の3134レは時刻表上接続しませんが,特急の到着が51分15秒,快速の発車が51分45秒(いずれも正しい時刻は分かりません)のようなタイミングで実際は接続をとるようです。2018年12月版の紙の時刻表,最新のWebで閲覧する時刻表には該当ページに注記が付いていますが,なぜか今回の紙の時刻表は注記を書いたペラ紙が挟んであるだけです。

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相鉄の無料時刻表。右は到着時刻が切上げゆえの矛盾の例

 もう一つの初乗りの事前の愉しみは用意するきっぷです。せっかくの直通運転の初日,相鉄~JRの連絡乗車券にしようと思いました。JRの駅の場合,昔はおなかに連絡社線の路線図に1.5cm大のボタンがたくさん配された券売機がありましたが,もう15年くらい見ていません。連絡定期券は発券できるので駅の有人窓口のマルス端末なら発券できそうと思いましたが,大都市近郊ではたくさんある連絡社線の条件を全てを設定するのが難しく,対応しない由でした。同様に,相鉄も旅客営業案内パンフレットに連絡乗車券は発売しないと明記しています。出鼻をくじかれてしまいましたが,ここは大人しくSuica乗車とふつうのきっぷを使うことにします。

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用意したきっぷ。当日朝,別のJR駅の指定券券売機で購入

2.開業初日の乗車記
 待ちに待った11月30日,土曜日なので朝一番の用事を済ませると,早々にわが家最寄りの磯子駅に赴きます。先ずは指定席券売機で羽沢横浜国大からのきっぷを買います。現地で買ってもよいのですが,自販機のペラ券でしょうから,大きくて記念になりそうな定期券サイズを用意します。乗った列車は7:39の大宮ゆき,横浜で相鉄に乗換えて直通線の起点の西谷には8:13に着きました。西谷からの直通線は8:18に武蔵浦和ゆきがありますが,事前の情報では,1日6本の新宿より北まで行く列車はJR持ちです。今日はせっかくなので相鉄車に乗ることにして,1本おとして8:38の新宿ゆきに期待します。

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西谷駅の様子 2019.11.30(以降,特記のあるもの以外同じ)

 西谷は横浜西郊の住宅街のふつうの駅で,特徴といえば新幹線が駅の真上を跨いでいることくらいです。この西谷がたまたまJRの横浜羽沢駅から近いので,無理やり線路をつなげることになりました。もともと対向ホーム2面2線だったと記憶しますが,用地を捻出するところから大変な事業だったろうと思います。駅の周りの雰囲気を見ようと東半分を巡りますが,狭い路地のふつうの住宅街です。路地の電柱には保土ヶ谷区役所があつらえた飾り(幟?ペナント?)がついていて,それが僅かばかりの開業祝いです。

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西谷駅の周囲の様子と開業祝いの電柱の飾り

 そうこうするうち時間になり,急いで駅に戻ると狭いホームは既にかなり混んでいます。ホームの先端は鉄ちゃんの少年,おじさん,相鉄社員に警備の巡査と,今から写真を撮りに行ける状況ではありません。仕方なく,隣のホームに入った電車の車内からで諦めです。幸い8:38の列車は相鉄車で12000系12004Fです。車内は開業初日なので珍しもの好きの老若男女が多いですが,混雑しているという程の乗りではありません。

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8:38の3128レは相鉄12000系 @西谷

 さて,ここからは初乗り区間,左右の車窓をじっくり見たいところです。列車は西谷のホームを出はずれると直ぐに下り勾配になり,西谷トンネルに入ります。西谷~羽沢横浜国大の営業キロは2.1kmですが,そのほとんどがトンネルで景色は見えません。

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西谷を出ると直ぐにトンネルになる(写真は下り列車)
 
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初乗り区間では停車駅案内など全てが楽しみ

 ものの2分くらいで羽沢横浜国大着。ここは西谷からのシールドトンネルの出口,ホームは地下,駅舎は地上という変わった位置にあります。せっかくの初乗りなのでここでも列車を捨て,しばらく時間を使います。

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羽沢横浜国大駅の西谷方。シールドトンネルの出口の雰囲気だ

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羽沢横浜国大駅の鶴見方。こちらは地上に向かって開いている

 新しい駅舎は落ち着いた色調ですが,採光もよく明るいコンコースです。今日は開業初日でたくさんの人がいますが,明日以降はどうなるのでしょうか。370万人都市横浜の市内で,国立大学のキャンパスも近いので今後は発展するのでしょうが,今朝はふつうのお客さんは少ないようです。精算機の横に行列ができているので何かと思えば,スタンプを押す人の列です。20人位並んでいましたが,私鉄であっても駅のスタンプは外せないので,10分位かかって一つ押します。

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羽沢横浜国大駅のスタンプ。開業の文字と日付入り

 改札を出るとコンコースは記念きっぷを買う人の列でごった返しています。列は記念入場券セット(相鉄全駅4,450円),硬券入場券(140円),出札補充券(180円)の3つがあり,駅舎の外まで続いています。硬券くらい買ってもよいと思いましたが,時間とお金の節約のため,全てパスです。ところで出札補充券とは出札窓口で常備券が用意できないときに売るきっぷと心得ていますが,どんなきっぷを売るのでしょうか,初めて聞きました。

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羽沢横浜国大駅の駅母屋の外観

 駅の入口では駅長と思しきかたが行列の整理,また別の駅員さんが3つの列の案内をしています。それをよそ眼に駅前の通りを渡って駅の写真を撮ります。返す刀で,陸橋の反対側の横浜羽沢(貨物)駅のほうも探検してみます。この駅ができたときにはまだ荷物列車が健在で,そのための上屋付の広いホームが残っているのが懐かしいです。荷物列車と言っても分かる人は少なくなってきたと思いますが,1986年までは国鉄ブランドで列車を使って宅配便のような事業を行っていたのでした(新聞輸送は今でも一部で残っている)。

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横浜羽沢駅では何やらセレモニーの準備中

 横浜羽沢駅を跨ぐ陸橋を歩いて行くと,ちょうどEF210が牽く貨物列車が入ってきます。これはラッキーとばかりカメラを構えますが,駅の入口のほうで止まってしまいます。着発線荷役で暫く止まって出てゆくのかと思うのですが,一向に動きません。そのうちに人の動きが慌ただしくなり,貨物の駅でも何やらセレモニーをやるようです。家に帰って調べると,横浜羽沢駅は直通線開業に合せてリニューアルし,今日から着発線荷役(E&S)を始めるとのことで,そのセレモニーの準備だったようです。

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横浜線から見た連絡線の線路。住宅地のため防音壁で覆われている 2019.12.14

 なんやかやで1時間以上を過ごし,9:48の新宿ゆき列車で羽沢横浜国大を後にします。この電車は埼京線のE233系7000番台です。雑誌(鉄道ジャーナル2019年12月号)の情報ではJRのE233系は直通線開業のために7本増備して38編成中6本使用,相鉄の12000系は6本を用意し4本使用だそうですが,見ているとE233系のほうが断然多いような感じがします。羽沢横浜国大駅は3年後開業の東横線への直通線が本命のようで,JRへの直通列車は分岐側の線路をしずしずと渡って,羽沢貨物線の本線に合流します。横浜羽沢駅を出るとほどなくトンネルに入り,またまた景色の見えない区間になります。車内では開業初日のため準備をしたのか,直通線や羽沢貨物線,新鶴見機関区などの沿線の案内が流暢に続いています。まさかこんな放送があるとは思わなかったので,録音しておけばよかったです。

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羽沢横浜国大からトンネルを抜けると鶴見は間近か

 大口あたりで横浜線と交差するはずですがコンクリートの防音壁で囲まれているため,景色はトンネル内と変わりません。横須賀線,京浜東北線,東海道線の下をくぐり,京急の生麦駅から花月園前駅のあたりで地上に出ます。

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鶴見駅の貨物線。ここを直通線から来た列車は通る 2019.5.24

 このあとは鶴見駅の東側をホームのない線路で通過し,東海道線,京浜東北線を大きな橋でオーバークロス,すぐまた横須賀線をアンダークロスと縦に複雑な線路を通って新鶴見信号場(元の新鶴見操車場)の西端の本線を進みます。

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新鶴見機関区。横須賀線とは反対の西側を通る

 その先はJR貨物の一大拠点の新鶴見機関区を右に見て走ります。区を抜けた後の留置線では交直流のEH500が休んでいるのが間近かに見えます。ここを過ぎると武蔵野貨物線のトンネルの入口を見て右にカーブし,新幹線と並行するようになります。この先で減速,ポイントを渡って横須賀線の本線と合流します。鶴見からここ(新鶴見信号場の武蔵小杉方出口)までは横須賀線が走る線路と今回新たに旅客定期列車が走るようになった線路の2つの複線があることになります。線路名称上は多分,どちらも東海道本線(品川~鶴見(品鶴線))なので,僕にとっては乗りつぶしの距離には影響しません。

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新鶴見信号場の出口を過ぎると武蔵小杉

 新鶴見信号場は広大で,本線に戻ると加速する間もなく武蔵小杉のホームが見えてきます。羽沢横浜国大から約16分,直通線初乗りの旅は完了です。武蔵小杉でも写真を撮るべく,ホームで暫く過ごします。ホームの出発案内を見ていたら,「横浜の真ん中と東京の真ん中を結ぶ...相鉄・JR直通線が今日からSTRAT!」のテロップが流れていました。横須賀線,湘南新宿ライン,直通線いずれも10~30分間隔で東京圏の鉄道としては頻度はそれほど高くないですが,3つ合わせると結構な頻度で,武蔵小杉のホームにいるとひっきりなしに列車が来る感じです。

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前面非貫通,クルマのラジエターグリルのようなお顔が異彩を放つ相鉄12000系 @武蔵小杉

 直通線の列車は全て10両編成ですが,ここを通る他の列車はラッシュ時は付属編成付の15両編成が多いです。月曜日にならないと分かりませんが,もれ聞くところでは武蔵小杉からの列車のラッシュはかなり激しいようなので,短い10両編成による混乱が心配されます。尤も,編成は短くても本数としては純増,グリーン車なしで10両まるまるが使えるので,輸送力は大きくなっているはずです。

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武蔵小杉の発車案内。くだんのテロップが流れているが,後半が上手く撮れなかった

 武蔵小杉からの帰りですが,最初は川越直通列車で川越,八高線経由,次は新宿まで行って八王子から大口で羽沢貨物線のトンネルの写真を撮って帰るなどを計画していました。今日はさんざん道草を食ってしまったので,蛇窪信号場の写真だけ撮って品川まわりで帰ることにします。品川~大崎間の復乗が認められるのは田町方面に行く場合に限られるので,大井町方面に下る場合は横須賀線を待たなくてはいけません。10:27の成田空港ゆきに乗れば10分ちょっとで品川着,京浜東北線に乗換え,鶴見を目指します。下の3.(2)のZ字ルートではなく右巻き「の」の字ルートですが,大都市近郊区間相互発着の大回り特例のおかげで,このルートでも羽沢横浜国大~鶴見の運賃は170円(この記事の運賃は全てきっぷ運賃)です。

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花月園踏切で

 鶴見到着後は,少し南の花月園踏切で何本か直通線の列車を鉄ちゃんして帰ります。開業初日の今日は近所の親子連れから大きなカメラの趣味者まで7~8人の先客がいます。少し割込ませていただいて,上の写真,とびらの写真,鶴見は間近かの写真などを撮ります。この場所は午後順光の場所で,あと2時間後くらいのほうが光線の加減はよさそうですが,午後は予定もあるので12時半過ぎ引上げます。

3.相鉄・JR直通線にかかわる制度の楽しみ
 以上が当日の乗車記ですが,制度研究好きの僕としては相鉄,JRにいろいろな特別な制度ができたのが興味深いです。
(1)相鉄の加算運賃
 瀬戸大橋線や京急の空港線など線路の建設費用の償却や施設のリース料に大きな費用のかかる路線にはその区間を通過する旅客に対し加算運賃が設定できることになっています。相鉄も加算運賃の老舗で,いずみ野線は1976年から設定しています。今回開業の西谷~羽沢横浜国大間も30円の加算運賃が設定されました。試みに海老名からの運賃を見ると,横浜までは24.6㎞320円ですが,西谷から羽沢横浜国大に抜けてしまうと19.8㎞で4.8㎞短くなり,通常なら290円です。ところが30円の加算により横浜までと同じ320円となり,西谷からJRに抜けられても減収にはならないよう上手く考えられています。

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西谷~羽沢横浜国大の乗車券。30円の加算運賃がのっている

(2)分岐駅の鶴見に止まらないことによる区間外乗車特例
 羽沢横浜国大から来た線路は鶴見で一旦,東海道本線と合流するので,運賃計算は鶴見から分岐することとして計算します。しかし,羽沢横浜国大から来た列車は武蔵小杉まで止まらないので,横浜方面に行く旅客は鶴見~武蔵小杉間を往復するしかありません。このためこの区間には特定の分岐区間の区間外乗車特例(詳しくはこちら)が設定されて,その分の運賃は不要です。

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羽沢横浜国大~鶴見の経路

 話を簡単にするために上では横浜方面と書きましたが,羽沢横浜国大から当の鶴見に行く場合はどうなるのでしょうか。武蔵小杉から乗った列車も鶴見には止まらず,次の停車駅は横浜です。この横須賀線の鶴見~横浜間にも区間外乗車特例が設定されているので,この区間の運賃も不要です。結局,羽沢横浜国大~鶴見間8.8kmの乗車券でZ字形に38.6㎞も乗ることになります。JR1お得というか,大変な無駄を強いられるというか,面白いきっぷです。尤も本当に用事のある人は,大人しく相鉄線で横浜を回るのでしょう。

(3)「の」の字乗車の不思議
 上の例で,武蔵小杉で降りた後,横須賀線で戻らずに南武線,川崎経由で鶴見に来たとしましょう。この場合は営業キロ27.6kmの片道乗車券の扱いになり,大都市近郊区間の選択乗車特例(140円旅行の根拠)でやはり羽沢横浜国大~鶴見間の170円の乗車券でよいことになります。ところが鶴見発で同じルートを逆向きに乗った場合は,相鉄線方面行きの列車で鶴見に戻ってきてしまうので,その時点で運賃の通算は終了,鶴見~川崎~武蔵小杉~鶴見ゆき18.8km310円ナリとなります。このほかに元々の鶴見~羽沢横浜国大の運賃170円が必要なので,計480円です。キツネにつままれたような話ですが,同じ区間でも向きによって運賃が異なるのは,「の」の字乗車の常です。

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鶴見駅に横須賀線ホームはない 2017.1.28

(4)羽沢横浜国大~東戸塚の扱い
 鶴見~横浜羽沢~東戸塚の羽沢貨物線のうち東側半分の羽沢横浜国大までは旅客線になりました。横浜羽沢と羽沢横浜国大は同一駅の扱いですが,後者の線路は相鉄線方面に抜けているので,東戸塚方へは抜けていません。このときの横浜羽沢~東戸塚の扱いですが,答えからいえば今までと変わりありません。時刻表の表示上は縦線2本の他線区経由ですが,運賃計算上は普通に横浜経由と同じ扱いだそうです。鶴見~東戸塚間には厳密に言えば東海道本線と横須賀線の通る線路が別々にありますが,ちょっと離れていますがそれと同様にもう1本の線路があると考えるようです。

 実際のJRの線路が延びた区間は横浜羽沢駅から羽沢横浜国大駅への渡り線だけでしたが,自分の住む横浜市内だったこと,運転形態から規則(旅客営業取扱基準規程)に新しいルールができたことでこの度の開業はとても楽しみでした。お天気にも恵まれ,初乗りも鉄ちゃんも気持ちよく楽しむことができました。JRの路線ではありませんが,3年後の東横線との直通を期して,今日の稿を終わります。(2019.12.1記,2019.12.14写真追加)

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