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2023-12

HOゲージ/16番--EF64の製作

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 春の行楽日和の今日この頃ですが,今日は冬のまん延防止等重点措置期間に作ったHOゲージ模型,EF64の製作をお送りします。年末にブラブラとネットオークションを見ていたら,HOゲージのEF64の仕掛品を発見,落札しました。僕のHOゲージ模型製作は半田付のウデがないため,ボデーが組み上がったものである必要があるため,とても間口が狭いのです。そんな中,勾配線区用のEF64は好きな形式で,オークションの商品説明を見るとちょっと引くものがありましたが勇気を出して買ってみました。

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オークション画面

 商品説明いわく40~50年前程度の年代物とのことですが,モノが着いてみれば去年作ったEF71やED75と変わらない状態で,これなら問題ない感じでした。ただ,オークションの写真を見た時点で中間台車の枕梁がなさそうで,この部品は調達しないといけません。

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オークションの商品説明

 模型を作るとなると実車の情報も必要で,随分前に買ったRail MagagineにEF64の特集があるのを思い出し,さっそくこの本を引っ張り出します。この本によれば,おでこに避雷器を載せ,電暖付きというと,5次増備型以前が該当のようで,プロトタイプも決まります。

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参考資料。Rail Magagine 2014年10月号,特集はEF64!

 ここでEF64という電気機関車についておさらいをしておきましょう。EF64は1964年,勾配線区用に発電ブレーキ付として開発された新性能の直流電気機関車です。最初の投入線区は,今は交流電化になっている奥羽本線,福島~米沢間です。1966年からは中央本線への投入が始まり,まず甲府,後に稲沢2区,篠ノ井へと増備されてゆきます。1968年に奥羽本線が交流電化に転換されると福島にいた12両も稲沢2区に転出しました。主電動機は1時間定格425kWのMT52,機関車計で出力2,550kW,台車はDT120(両端)/DT121A(中間)を履き,79両が製作されました。1980年からは大幅な設計変更を行った,1000番台に移行しました。現在は1~の車両は全車廃車となり,1000番台が最後の活躍をしています。元々は勾配線区用のはずですが,中央本線や上越線にはEH200が投入されたので,EF65やEF210に混じってEF64が東海道線などを走る姿は僕にちょっと違和感があります。

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甲府番でスタンバイするEF64-39号機 @甲府 2013.9.23

 模型製作のほうは大したことはしていないので,古い写真を引っ張り出してEF64 1~の活躍の頃を懐かしんでみます。最初の1枚は甲府駅構内でスタンバイする39号機です。盆と彼岸に墓参りに行く甲府の駅にはいつもJR東日本高崎2区の機関車が滞留しています。勾配の多い中央本線内での車両故障などに備えて,スタンバイしているという説がありますが真偽の程は分かりません。

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寝台特急「あけぼの」牽引の任に就くEF64-37号機 @上野 2010.2.12

 EF64 1~は比較的地味な存在の機関車ですが,長岡在籍中は寝台特急「あけぼの」などの先頭に立って,上野駅に姿を見せていました。とくに37号機は一時期,茶色1色に塗装されて茶ガマと親しまれていました。

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青梅線の石灰石輸送列車 @奥多摩 1984.4.24

 青梅線といえば僕らの世代ではED16ですが,ED16の置換え後しばらくの間,EF64が石灰石列車を担当していた時期がありました。1~の最終増備の77~79号機が立川配置になっていたようです。77号機は国鉄最後のお召列車を牽引しましたが,写真の機関車は77号機のようにも見えます。

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篠ノ井線を行くタンカー列車 @坂北~聖高原 1995年

 山線のEF64の普段の姿です。1994年10月から1996年5月まで僕は長野県の辰野の工場に出張しました。松本平には頻繁に写真を撮りに出かけ,この日は少し遠出して篠ノ井線を訪れたときの1コマです。

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12系+ムーミンことEF55を従えた晴れの日 @信濃川島~辰野 1995.11.3

 今は交通博物館にいるEF55が動態保存機だったときに運転された「ムーミンすわ」号です。これも辰野在勤中に撮ったもので,本来なら1995年しか分からないのですが,インターネットは便利なものでこの列車が走ったのは11月3日と分かりました。

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中央本線善知鳥越えルートを行く @小野~塩尻 @1995年

 最後は中央本線善知鳥越えルートを行く26号機です。貨物を牽いていたか単コロだったか忘れましたが,犬走りを歩いていて,いきなり来た列車に驚きました。夕陽を受けた姿はきれいですが,車体はかなり汚れているようです。

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オークションの商品到着 2021.12.5

 さて,以降は本題の模型製作です。オークションの商品が到着すれば,部品の確認です。中間台車の枕梁はやっぱりありません。台車側だけでなく車体側も不足で,ほかの物は随分懇切に揃っているのに不思議な話です。キット本体はとうの昔に廃業してしまったひかり模型の製品ですが,随分懇切な部品構成です。というのも,車号の切抜き文字のほか,甲府,稲二,篠ノ井の区名標と標さしのほか,電暖表示灯のレンズまでセットされています。

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先頭部近影 2021.12.5

 また前所有者様は結構,部品を買い足していて,エアホースなどはロストワックス製部品が取付済です。その他,パンタグラフ下の碍子なども追加購入の部品が入っていました。また,車体製作のほうもしっかり組まれており,少なくも僕のウデではこうは組めないでしょう。

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古文書のような説明書 2021.12.5

 そして組立図と部品表と組立説明が一体になった組立図が1枚。A3よりも大きく判型は特殊サイズです。最近のキットは冊子形式の懇切な組立説明書が付くのがふつうのようですが,至って簡単で,初めての人がこれだけで組むのは難しそうです。僕の場合は車体の組立ては済んでいるので,部品表の参照程度しか使いません。

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自分で購入の追加部品一式 2021.12.8

 部品の過不足の確認が済めば次は追加部品の調達です。在宅勤務が続き1か月ぶりに出社した帰り,二子玉川のいさみやロコワークスと横浜の井門をハシゴします。いさみやは昔から馴染みの店で,親爺さんいわくちゃぶ台モデラ―の味方ですが,枕梁のような部品が欲しいときは助かります。また,メーカーズプレートも3枚組の用意があり,なんでも親爺さんのストックから出してきてくれたものでした。

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最初の作業はママレモンのお風呂 2021.12.17

 製作の作業の第1は塗装前の洗浄です。何十年も前のものなので塗料が適切にのるかは心配なところで,去年作った2両よりも念入りに食器用の中性洗剤で洗います。とくに手垢の脂肪分を念入りに落とすのが大事です。

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先ずはサフェーサーを吹く 2021.12.19

 洗浄を済ませ,十分に乾燥させたら,次はサフェーサーを吹きます。交流機のときは下が透け易いので,ピンクや黒のサフェーサーを使いましたが,今回はふつうのグレーのサフェーサーを使います。今度も塗装の作業は近所の公園に行って,自称森の工房で作業です。冬場のスプレー作業は温度が低く,適切に乾くか,発色が悪くなったりしないか心配でしたが,とくに問題はありませんでした。

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下回りの塗装 2021.12.26

 車体の下塗りに続き下回りの黒も吹きます。そういえば今回のキットは車体の内側に青い塗料がついていて気持ち悪かったので,車体の内側も黒を吹いてあります。

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スカートと避雷器の塗装 2021.12.31

 次はスカートと避雷器にグレーを吹きます。写真のプロパティを見れば大晦日,こんな事をしていてよいのでしょうか。今年は奥が通信制の大学の卒業論文提出,年末は大掃除どころではない,それをいいことにこちらは趣味を楽しませてもらいます。

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警戒色のクリーム色を吹く 2022.1.1

 明くる元旦は警戒色のクリーム色を吹きます。森の工房に行くのが面倒になり,自宅マンションの屋上で,今度は富士山の見える工房です。ところで国鉄直流機の塗装ですが,車体の青と前面の警戒色のクリーム色でどちらを先に吹くものなのでしょう。塗装のセオリーからいえば薄い色が先,濃い色が後なので,クリーム色,青の順です。塗装の面積からいえば,先ず全体の青を塗って,マスキングをしてクリーム色です。気持ちとしては青を先に吹きたいところですが,マスキングをする際,手すりとステップが邪魔になります。これが教科書どおりか分かりませんが,今回はクリーム色を先に吹くことにしました。

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前面警戒色のマスキング 2022.1.2

 クリーム色に続き青を吹きますが,その間に塗分けにあわせてマスキングをします。前面窓下の手すりやステップは隠す必要がないので,そこは楽にマスキングができます。厄介なのはテールライト横の縦の握り棒でこれは下側の付け根からクリーム色です。ステップは後から青を筆塗りすると決め,握り棒は下の付け根からマスキングします。

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青を吹く前の準備作業 2022.1.2

 順番が前後しますが,EF64の屋根のモニター部は国鉄時代は青でしたが,JRで検修をするようになって黒塗装になりました。また,ランボードは今はグレーに塗られていますが,模型の製品写真を見ると国鉄時代から一部がグレーだったようです。この辺の塗分けは面倒なので,このEF64は国鉄時代の再現と決めました。これでJRマークや列車無線アンテナも省くことができます。こんな訳でクリーム色を吹く前にランボードのグレー部分のマスキングしました。また,EF64の屋根上のブロワーなどは形が複雑でスプレーが行き渡らない惧れがあるので,事前に青の鉄道カラーを筆塗りしてあります。邪道なのかプロの技かは分かりません。

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車体の青のスプレー 2022.1.3

 1月3日,三賀日中ではありますが,天気もよいので塗装のメインの青のスプレー作業をします。前回のクリーム色のときが気持ちよかったので,この日も富士山の見える工房--自宅マンションの屋上--で作業します。さて,問題は前面のマスキングと塗分けです。毎度同じことを書きますが,塗装が終わってマスキングテープを剥ぐ瞬間が緊張です。今回は青がきれいに吹けているので,テープの剥がし始めが難しいです。縦の握り棒の盛り上がっているところにカッターを入れ,ここから丁寧に剥がしてゆきます。

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マスキングを剥いだ後のお顔 2022.1.3

 結果は上の写真のとおりで,片方のエンドは上出来ですが,もう一つは多少の染込みがあります。評価はまちまちでしょうが,自分としては実力どおりといったところです。失敗のほうも傷は浅いので,他の部分と一緒に修整の筆塗りをすればある程度形になるでしょう。ここまでできるとある程度形になり,あとは細かい作業が続きます。会社の新年が始まったこともあり,この後の作業は約1か月の期間を置くことになりました。

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Hゴム塗装前のマスキング 2022.2.11

 2月11日,建国記念の日は少し時間がとれるので,細かい筆塗りの作業にいそしみます。先ずは窓回りのHゴムの塗装です。前作のED75のHゴムはグレーが明るすぎて実感的でないので,少し黒を混ぜて濃い色調にすることにします。黒の塗料は固まりやすく,ドボッと入ってしまいかなり濃い色になってしまいました。上の写真でも分かりますが,実際のEF64のHゴムは濃い色のものも多いようです。しかし,横着な僕とすれば黒ならばマジックペンで色差しすればよい訳で,このHゴムの色がこのEF64の一番の失敗ポイントです。

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色差しを終えた先頭部 2012.2.12

 Hゴムに続き,前面窓,モニター窓のサッシの桟の銀,スカートに付いているエアホースの黒,スプレーのはみだし部分の修整などの塗装をします。近くで見れば乱れが気になりますが,遠くで見れば,前面の握り棒とステップのあたりもなんとかそれらしくなりました。幸いにして老眼も進んできたので,細かいことは気にしないことにします。

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窓ガラス部品一式 2012.2.13

 塗装を終えたら次は窓ガラスの取り付けです。今どきのHOゲージ模型は車体が金属(天賞堂やカツミなどの高級品)でもプラ(KATO,TOMIXの廉価版)でもHゴム一体成型の透明プラ部品がピタッとついています。このキットは4,50年前のものなので昔ながらの手法で,0.3mm厚のプラの帯板を適切な大きさに切って接着します。前回ED75を作ったときの前面窓回りの寸法をとっておいたので,それに合わせてプラの帯板から切り出します。折曲げはロウソクの炎にかざして柔らかくなったところでさっと曲げるのですが,これだと曲げの瞬間のとり方が難しいです。手許にあったオイルヒーターの放熱板がちょうどよい温度で,これに暫くくっつけることでプラ板が柔らかくなります。この方法だと熱を直線的にあてられるので,縦に真っすぐに曲げられるメリットもあるのですが,ヒーターを片付けてしまう夏場はどうしましょう。

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窓ガラスの取付け状態 2022.2.13

 窓ガラスの取付けは僕の場合は木工用ボンドです。僕は白ボンドと呼んでいますが,この接着剤は固まるのに時間がかかりますが,少々はみ出しても目立たず,取り去ることも容易なので窓ガラス以外の小物部品の取付けにも多用しています。車体内部の見えない所なので,半田付でいうならイモ付で,見た目より接着強度重視です。ところでこのキットですが,屋根上のモニター部分が半田付されていて,ガラス部品を取付けることができません。モニター窓がガラスなしの素通しなのは僕としては不満ではありますが,前所有者様のポリシーのようなので,諦めます。

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台車の組立てと取付け 2022.1.1

 ところで,ここまで車体回りを中心に書いてきましたが,下回りに目を向けます。このEF64もディスプレイモデルなので,下回りの工程は簡単です。年末の塗装作業のときに下回りの黒はまとめて吹いてあるので,枕梁に台車枠をネジ止めし,輪軸をはめるだけです。この車両の輪心ですが,前所有者様がグレーに塗ってくれていたので,これはそのまま使っています。最初にも書いたように中間台車の枕梁はいさみやで買ってきたものです。HOゲージの機関車の中間台車は左右動を許す長穴があいているのが一般的ですが,さすがのいさみやにもこの長穴の枕梁の品揃えはありませんでした。本来は枕木方向に補強材を置いて穴を拡大するのでしょうが,この作業は省略です。台車が左右に動けなくても,ディスプレイモデルと決めてかかれば,曲線の線路上でのディスプレイができないだけでさしたる問題ではありません。これらの台車を車体側のボルスターを介して,床板に取付ければ大体形になります。

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スカートまわりの部品取付け 2022.2.12

 次は先頭部の付属品でスノープラウとステップです。実は部品調達の際にチョンボをしてしまい,最初は安達の金属製のED61,2用のスノープラウを用意しました。前作のED75もこの部品を使っているのですが,実車の写真を見ると,ED75,EF71などの交流機とEF64やEF65などの直流機ではステップの付き方が違います。交流機のステップはスノープラウに植えられているのに対し,直流機のステップはスノープラウではなくスカートに取付けられています(ED61,62はここでいう交流機方式)。

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ここまでできるとだんだんそれらしくなってきます 2022.2.13

 ネットサーフィンをしていたら,KATOの分売パーツでEF81のスカートセットが眼に止まりました。スカート,ステップと前面排障器,スノープラウ,連結器が組立てられた状態になっています。このステップとスノープラウがEF64にぴったりなので,会社の帰りに上落合のホビーセンターKATOに寄って調達しました。ちなみに安達のは金属製,KATOのはプラ製でスカートもろとものユニットですが,値段はどちらも1,200円です。スカートユニットはばらして,必要なステップとスノープラウを白ボンドで取付けます。なお,ステップ部品のカプラーポケットはボスを切取り,穴を明ける小加工をしています。ボンド作業ついでにテールライトのレンズも取付けます。

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ヘッドライトのレンズはSWAROVSKIのクリスタル。右は取付け完成後 2022.2.19,20

 テールライトに続き,次はヘッドライトです。ヘッドライト用にはエコーモデルのライトレンズ2.2mm径(見た店のなかで最小)を買ってあるのですが,このキットはライトカバーのつらら除け部分が大きく張りだしていて,上手く付きそうにありません。あれこれ考えているうち立ち寄った近所の手工芸材料店でよい商品を見つけました。SWAROVSKIといえばオーストリアのクリスタルのブランドですが,手工芸材料のダイヤモンドカットのビーズなどがあります。径は2mmと3mmしかありませんが,透明なクリスタルのほかオパール,パール,その他各種の色があり,値段も20こ143円と魅力的です。

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ヘッドライトレンズの組立て 2022.2.19

 懸案のヘッドライトの方向性が固まったので,最後の仕上げの小部品の取付けにかかります。先ずはそのヘッドライトですがレンズのタマだけではしっくり固定できないので,爪楊枝を適当な長さに切って,その先端にくだんのレンズを接着し,それをライトケースに白ボンドで固定します。

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トレジャータウンの切抜き数字インレタ 2022.2.19

 次は車号のインレタです。この機関車は冒頭に書いた本の情報では5次増備型ですが,さて何号機にするかです。強い思い入れがある訳ではありませんが,一時,茶色で活躍し,JR東日本で最後まで残っていた37号機と決めます。切抜き数字はキットにもセットされていましたが4,50年前のもので接着剤の劣化も考えられるので,手持ちのトレジャータウンのインレタを使います。このインレタは収録形式数が多く,これで2両目ですが,まだまだ使えそうです。そう考えれば1,200円も安いものなのですが,取説の字が細かいのが玉にキズです。

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その他の小部品。区名標,製造銘板,電暖表示灯のレンズ 2022.2.19

 次はキットに同梱の区名標を取付けます。真鍮エッチングに塗装まで済んだ部品ですが,これを上手く切出すのが難しいです。ふつうの図工用のハサミで切出しますが,どうしても歪んでしまいます。ラジオペンチで歪みをなおして,断面は青で軽くレタッチしてから白ボンドで接着します。併せて,メーカーズプレートも接着します。EF64のこのロットは東洋電機/汽車会社製で,字が多い銘板です。続いて,電暖の表示灯のレンズを接着しますが,恐ろしく小さな部品で,どこかに飛ばしたら見つかりそうもなく,慎重に取扱います。

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先頭部のクローズアップ 2022.2.20

 最後にパンタグラフをネジ止めして完成です。このパンタグラフですが取説には別売と書いてあるので,前所有者様が誂えてくれたものです。線も細く銀色塗装済のうえにシューは別物で,意外とよい部品です。多少華奢な感じもしますが,ディスプレイモデルなので,見た目重視で構いません。途中に挟む碍子も白のプラ製のものが同梱されていたので,これを使います。避雷器は僕が買ったものですが,模型は上から見る機会が多いので,この辺が充実していると見映えもよくなります。なお,車体中央部の高圧電線の引込みは屋根の塗装後に取付けてあります。

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HOゲージEF64完成 2022.2.20

 車体の組立てには手をかけていないので,約2か月半でEF64完成です。側窓のHゴムが車体にとけこんでしまっているのが残念な点ですが,ディスプレイモデルとしては上々の出来です。ところで,今度もケースは透明堂のイージーオーダーで用意しました。透明堂は埼玉のアクリルケースのメーカーですがインターネットのオーダーで自由なサイズを作ってくれ,僕は重宝しています。このケースに入れれば素人づくりの模型でも,それなりに見えます。

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ケースに納めればさらに見映えはよくなる 2022.2.20

 これでHOゲージのディスプレイ機関車模型は3両になりましたが,まだまだ製作意欲は旺盛です。一方,キット本体はネットオークションで仕入れるので,これといった出物がないと調達ができません。従って,形式のほうも思ったとおりにはならないのですが,気持ちとしては屋上の賑やかな交流機を探しています。前回のED75は宮沢の廉価版だったので,せめてカツミ製の1000番台でもと,今日もネットオークションをエクスプロアしています。(2022.2.20記)
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HOゲージ/16番--ED75の製作・後編

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前編から

 巣ごもり生活の楽しみの模型製作記,今日は2両目のED75の後編をお届けします。
 ここでED75の実車について少し触れます。交流電気機関車は1955年からの仙山線での試作機による実車テストを経て,1957年の北陸本線敦賀電化でED70が実用化されました。その後,1959年の東北本線白河電化でED71が,1961年の鹿児島本線久留米電化でED72,ED73と短期間の間に多くの形式が開発,制式化されました。これらの形式の実績を踏まえて1963年の常磐線平電化を機に登場したのがED75で,国鉄の交流機の決定版といえる機関車です。東北本線・常磐線で活躍した一般形,1次,2次,3次合わせて160両のほか,九州用60Hz仕様の300番台11両,奥羽・羽越本線用の700番台91両,高速型の1000番台39両,またサイリスタ制御および北海道電化の試作機500番台1両の302両が製作されました。302両という製作数は交流機としては断トツで,直流を含めてもEF65の308両に次ぐ2位です。JR貨物はEH500等の新形式に移行しましたが,JR東日本では5両が秋田と仙台に残り,工臨やイベント等の臨時列車に最後の活躍をしています。

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仙台に残る757号機。塩害対策でスッキリした屋上がサイリスタ制御機のようだが,700番台はED75本来の低圧タップ制御 @会津若松 2020.8.20

 さて模型製作ですが前編に書いたように台車と輪軸の相性が悪く苦労しましたが,何とか幅の狭い枕梁を買って来て,何とか形になりました。実際は,今度は幅が狭すぎて転がりが悪いので,台車枠と枕梁の間に0.5㎜真鍮線で作ったスペーサーを入れて,適度な幅を確保しています。この辺はディスプレイモデルなので多少雑でも問題はありません。台車ができれば,絶縁材やボルスターと共にセンターピンで固定,スカート,スノウプラウと連結器もネジ止めして,下回りは出来上がりです。

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台車枠と輪軸 2020.7.24(以下,年は省略)

 この先は専らボデー側の部品の取付けです。最初に付けたのはワイパーです。ワイパーは太さがオーバースケール,目立ちすぎるので要らないと思っていたのですが,ある時ふらりと寄った模型屋で衝動買いしてしまいました。ワイパーの取付けは本来もっと後の仕上げの工程と思いますが,窓ガラスを取付けた後だとアタリがでそうなので,今のうちに付けてしまいます。既に済んでいる塗装を傷めないように慎重に取付け穴をあけ,接着はここも白ボンドです。穴が若干大きかったようで,多少下に引かれてお辞儀したような向きになってしまいました。

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ワイパーの取付け 9.3

 ワイパーに続き運転台の窓ガラス,機械室の明り窓のガラスを取付けます。このキットはガラス部品はご丁寧に折曲げ済のものがセットされています。しかし,運転台窓のすぐ上にはライトが,下には手すりがありそのままでは取付けられません。当たる部分をカットする必要がありますが,折曲げ済ではこの作業がやりづらく,窓は自分で適切な形に切ったものを折曲げて作りました。機械室の明り窓はキット付属のものを使っていますが,屋根の肩への当たりを避けるため,幅を少し縮めてから白ボンドで接着します。

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運転台窓の製作 9.10

 さてこれからがED75製作の白眉,屋上器具の製作と取付けです。このキットの避雷器は挽き物の部品をピカピカのメッキ仕上げで,こんな色の避雷器は見たことありません。面倒ではありますが,真ん中を白,上下を黒で筆塗りします。また,主ヒューズ用に7段碍子が用意されているので,これもついでに白で筆塗りします。

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避雷器の塗装 9.12

 次に屋上の部品の中で比較的大物を取付けます。先ほど塗装した避雷器のほか空気遮断機,計器用変圧器を取付けます。また,主ヒューズ用の碍子も取付けますが,ここでうっかり先ほど塗装した7段碍子のことをすっかり忘れて,ふつうの6段碍子を取付けてしまいました。

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主ヒューズは家にあった針金から作る 9.13

 ところで,このキットですが主ヒューズは台座はオーバースケールなくらい立派ですが,上物(うわもの)はふつうの高圧配線の一部で特別な部品はありません。これは寂しいのでロストかホワイトメタルの部品を探しますが,主ヒューズというタイトルの部品は現在売られていないようです。もし在庫があれば出向こうと二子玉川のいさみやに照会すると,昔,天賞堂のパーツがあったが,今はどこも用意していないそうです。最近は,完成車で実際に使っているものでも,手間ばかりかかって儲けにならないからか,どこのメーカーも部品の分売には消極的です。仕方がないので主ヒューズは自宅にある針金から自作します。道具箱をあさると1.5㎜位のステンレス線と2㎜位のビニール被覆線が出てきました。悩んだ結果,細い1.5㎜のほうの先端に被覆だけを巻いて,空洞部分をパテで埋めるという,とても手の込んだものになりました。また,トミックスのパンタ用のプラ製碍子が余っていたので,取付け穴を太くしてなかに挿してあります。自分では気に入っていますが,実際のところは相当オーバースケールのようです。

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屋上器具の取付けその1・大物部品 9.12

 ここまで取付けたところで,おかしなことに気が付きました。パンタから断路器までの高圧配線の支持台が妙に少なく,間隔が広いのです。参考書「ED75のメカニズム」を見ると,空気遮断機の横あたりに支持台があるのですが,これがありません。5㎜位の真鍮製の台ですが,ここに至っての不足は困ります。困り果てて屋根の上を見ると,計器用変圧器が妙に高い下駄を履いています。既にこの辺の作業は完了済ですが,この下駄を使うことに決め,半田付けをドライバーでこじってバラします。この下駄に1.5㎜の穴をあけ,空気遮断機脇のそれらしいところに取付けます。本当は1.2㎜のネジを切るのが正ですが,わが家にはタップがないので,ここだけはネジを屋根板まで貫通させナットで止めています。下駄を失った計器用変圧器は,ペーパーで約4㎜角の台座を作って載せてありますが,この方が実際に近い感じがします。

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屋上器具の取付けその2・高圧配線を除く部品。空気遮断機脇の支持台をリカバリ 9.18

 屋上に並ぶ各機器をを取付けたら,最後にパンタグラフを取付けます。このパンタグラフは何度見ても関節の作りが不細工ですが,予算もあるので我慢を決込みます。最後に高圧配線を0.4㎜燐青銅線を折曲げて,配線します。市販の模型は多分0.5㎜を使っていると思いますが,オーバースケールの嫌いがあるので,一回り細いものを使っています。また,交流機の屋上は見どころなので手を抜かず,計器用変圧器から断路器の近くへの配線や空気遮断機と主ヒューズの間の配線も作ってあります。

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屋上器具の取付けその3・高圧配線の取付け 9.19

 ここでも参考書「ED75のメカニズム」は参考になりました。こうして自分で作ってみると,完成品はある程度,作業性を重視していることが分かりました。主ヒューズや空気遮断機などの大物部品を取付け,基幹となる配線は引き回しますが,細かい配線は目をつぶっているようです。このキットにはご丁寧にも折曲げ済の高圧配線がセットされていますが,これも使いませんでした。もったいない事ではあります。

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完成した屋上回り。キット付属の配線は使わず仕舞い 9.19

 一連の屋上機器の完成後は仕上げに入り,車体の小物部品の取付けです。先ずはヘッドライトとテールライトのレンズです。これらもキットの部品をそのまま利用します。テールライトは元々ダミーのレンズだけが付いていましたが,ヘッドライトは点灯する仕様で12V米粒球です。この米粒球が経年劣化で一部が断線しているので,もったいない気はしますが,全て導線を切って球だけの形で取付けます。

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ヘッド&テールライトのレンズ。これらをつけると顔が活き活きして見える 9.21

 次は前面の飾り帯と車号ほかです。これらの部品も車号印刷済の飾り帯のステッカーが同梱されていたのですが,経年でどんな粘着面だか分からない,安っぽいテカテカの印象のため使っていません。飾り帯は台所のアルミフォイルに両面テープを貼付けて,適切な大きさに切って貼付けます。安いことでは負けませんが,本物の金属なので質感はなかなかよいです。なお,アルミフォイルは表を使うか裏を使うか迷いましたが,裏を使っています。

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アルミフォイルから飾り帯を作る 9.21

 ナンバーは市販の金属製インレタです。このトレジャータウンの切抜き文字は1,200円といい値段をしますが,EF58,EF64,EF65,EF71,EF81,DD51などの形式も収録されており,1両だけで使うのはもったいないです。さて,ED75の1次量産型は3号機から49号機まで製作されましたが,何号機にするかです。前回のEF71用に買った「東芝」のメーカーズプレートが余っているのですが,東芝にはこのグループの発注はなかったようです。もったいないですが,新たに「日立」のメーカーズプレートを買い,日立製の機関車を調べると34号機が該当なのでこれにします。3,4と隣り合って転写し易そうなのと,最初の配置が福島だったのが決め手です。買いたてで新鮮なインレタは転写性もよく,気持ちよく作業ができます。おそろしく字の小さい取説によればクリアスプレーでの保護が望ましいようですが,そこまではしません。車号のインレタに続き,メーカーズプレートを貼付ければ,完成まであと一歩です。

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先頭部近影 9.21

 最後に解放てこを取付け,ボデーと下回りをネジ止めすれば完成です。今回は解放てこはボデーとは別に黒く塗ってありますが,この方が締まった感じがします。一方,スカートまわりは手を抜いて,キットオリジナルのジャンパ栓が並ぶだけで少々寂しいです。出来上がった機関車は今度も透明堂のアクリルケースに入れて飾っています。

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ちょっと贅沢ですがオーダーメイドのアクリルケースで保存 9.22

 これでED75は完成ですが,かかった期間は2か月と少し,時間は約38時間,今度も楽しい模型製作でした。前回のEF71,このED75を作って分かったことですが,昔に比べて基本的なパーツの分売が少なくなって,キットを作るよりもパーツ探しに時間がかかるようになりました。今後もゆっくりしたペースでHOゲージの模型製作に取組みたいですが,あらかじめ必要なパーツの揃ったものを選ぶのが確実のようです。それを念頭に,お手頃なキットを探しに今日もネットオークションを覗いています。(2020.10.3記)

HOゲージ/16番--ED75の製作・前編

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 巣ごもり生活の2020年夏,思いたってHOゲージのEF71の製作を始めたことはひと月くらい前にアップしました。それも完成していないのに今度はED75の生地キットをネットオークションで見つけ,また落札しました。これには理由があり,5月から組立てているEF71は台車の車体側の引っ張り棒を受ける足がなかったので,ED75の部品が揃ったキットを入手すれば,車体足も入手できると考えたのでした。また,ED76以前の形式の交流機は屋上機器が賑やかで,上から見る機会の多い模型では見映えがするのと,作りでがあるのもED75が欲しくなった理由です。

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オークション画面

 今回落札したのは宮沢模型のED75生地キットです。生地キットとは真鍮製のボデーは組んである未塗装のキットで,半田付けの腕はないけど,キットの製作を楽しみたい僕には最も適した形態です。値段も15,000数百円とEF71の30,000円に比べると随分お手頃です。EF71はきちんとした鉄道模型の専門店,こちらは不用品買取り業者ですが,ネットオークションなので全ての条件が叶う訳ではありません。

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キットの部品全体 2020.7.16(以下,年は省略)

 ものが届けば部品を改めます。大体の部品は揃っていますが,なぜかインサイドギヤと車輪がなく,添付の部品表にはその行に鉛筆書きでED78と書いてあります。今一つ釈然としませんが,ネットオークションなので細かい点は目をつぶるしかありません。そもそも僕はこのキットをディスプレィモデルとして作るつもりだったので,インサイドギアはあまり興味がありません。ただ,ギアと同時に輪軸も不足になるので,こればかりは自分で調達するしかありません。

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最初の作業は不足部品の調達 7.17

 前回のEF71と違いこのED75は生地キットなので,欠品のインサイドギアを除けば一通りの部品は揃っています。このため別途調達すべき部品は少ないのですが,宮沢模型は廉価版の会社なので,見始めるとあれこれ交換部品が欲しくなります。結果,以下の部品を買い揃えました。
・屋上器具用の碍子。IMONの白焼付け塗装仕上げのものに交換
・スノープラウ。ステップの形が違いますが安達のED61,62用
・解放てことてこ受けの割ピン。ボナファイド,いさみや
・電気機関車用ボックス輪軸。この際なので4軸まとめて新調。エンドウ
・信号炎管。安達(後から買ったので上の写真になし)

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ED75 1次量産型 @一ノ関 1978.7

 これらの他,パンタグラフ下の空気碍管が欲しいのですが,現在,その部品がないことはEF71のときに確認済です。機関士席の上に載っている笛(AW-5タイフォン)の箱は東北の交流機に共通の特徴なのでぜひ欲しいと思うのですが,これも部品なしでした。ところがよく調べると,ED75でも2次量産型の中頃の83号機以前の機関車にはこの笛は付いていないことが判りました。ひさし(ツララ切)が付いていないことと,丸みを帯びたスカートの裾からこの模型のプロトタイプは1次量産型のようで,笛の箱はないのが正と後から分かりました。

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参考書:資料 ED75のメカニズム SHIN企画/機芸出版社 1998年5月刊 

 今回,キットを組むにあたり参考にした本があります。月刊の「鉄道模型趣味」を出している機芸出版社の本で,その名も「資料 ED75のメカニズム」です。昔から東北の赤い電気機関車が好きだったので,こんなこともあるかと買っておいた本ですが,ようやく陽の目を見ることになりました。

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EF71用にレジンでコピーした車体足(歩留まりが悪く,端までお湯が廻っていないものもあり)7.18

 この機関車の製作に入る前に一仕事しなければなりません。この機関車の車体足からEF71用の車体足をコピーして作るのです。レジンモールドの詳細はEF71(2)の記事で書いたので割愛しますが,モールド作業のついでに車端側の車体足も作っておきました。

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おでこの周辺の小物部品 7.21

 前置きが長くなりましたがED75の製作,最初のステップはおでこ周辺の小物部品の取付けです。宮沢もしなのマイクロもHOゲージ模型から撤退または倒産して久しいですが,宮沢は比較的廉価版でつくりも雑,しなのはマニア向けに作り込むタイプの印象です。このED75ですが,前回組んだEF71に比べるとデティールは圧倒的に手を抜いています。信号炎管,解放テコなど最近はNゲージ車両にも付いている部品がありません。先ずは信号炎管とおでこの雨樋を取付けます。おでこの雨樋は0.5㎜の真鍮線をEF71にて準じてそれらしく曲げて取付けます。ふつうなら半田付けですが,ウデがないので接着剤(多用途ボンド)でつけただけです。

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碍子台の製作 7.19

 おでこの部品として碍子の台は是非とも欲しいのですが,行きつけの模型屋に手頃なパーツがないので,3㎜角の小片をペーパーから切出して,白ボンドで接着します。更に足元で,解放てこ受けの取付穴をあけ,割ピンを片方だけ接着します。解放てこは,全体を取付けてしまうと車体から下に出っ張るので,この後の諸々の工程で邪魔になるのです。塗装後の半田付けは厳しいので,接着剤付ゆえにとれる工法です。

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洗浄後の車体ほか 7.24

 今回のキットは生地キットなので,上の部品を取付ければボデーはほぼ完成です。次のステップは塗装準備の洗浄です。このキットは見たところ30年位お蔵に入っていたようで,真鍮なので赤錆こそ出ていませんが,半田付けの跡が酸化して白くなっています。どれだけの効果があるかは分かりませんが,台所の食器洗い用洗剤をたっぷり溶いた水でボデーの各部を洗います。

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塗装は隣りの公園--森の工房で 7.26

 ところで,僕の会社は今年はオリンピック対応の変則カレンダーで7月23日から8月2日までの11連休です。この間にどれだけ進捗するか,あまり出歩くこともできないので,精力的に製作に取組みます。洗浄の済んだボデーはさっそく下塗りに進みます。前回のEF71は赤の発色がよいのにつられてピンクのプライマー入りサフェーサーを使いました。出来上がりは赤が明る過ぎる印象だったので,今度は黒のプライマー入りサフェーサーを使うことにしました。塗装の作業は前回からおなじみの森の工房--わが家のお隣の公園です。いつもの切り株を新聞紙で養生すれば,塗装台の出来上がりです。

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その他,下回り部品の塗装 7.26

 梅雨も明け,作業が捗るので,森の工房へ出たついでに床下器具,床板,レジンで作った車体足など,下回りの部品も塗装してしまいます。黒のサフェーサーでもよさそうですが,一応,これらは半艶のセミグロスブラックという色を使っています。また,下回りの一部ですがスカートもねずみ色1号を吹いてしまいます。

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ボデーに赤2号を吹く--森の工房にはときどき珍客が 8.2

 約1週間のインターバルをおき,次は赤2号を吹きます。この日もよい天気でスプレー塗料はぐんぐん乾きます。ここは横浜市の南部ですが,山を切り開いた団地の中の公園にはリスも住んでいます。上の写真は早朝の散歩で撮ったもの,真っ昼間にシンナーの匂いのするような場所には出てきません。

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屋根上の黒を吹く前にちょっと小細工 8.7

 次は屋根上と床下の黒を吹きますが,その前にちょっと小細工です。屋根上に並ぶ4つの通風機はホワイトメタル製で,劣化が著しく白っぽくなっていて,塗料ののりが今ひとつ心配です。また,開口部の整風板はやや下を向いていてここをスプレーで吹くのは至難です。このためマスキングが済んだ段階で,一旦,黒を筆塗りしておきます。また,床下のほうはコピーの母型に使った車体足を白ボンドで車体に取付けます。スカートの内側に隠れる車端側の車体足ですが,前作のEF71と違い,スカートが鋳物部品で肉厚だったり,ネジ穴があったりで取付けるペースがありません。せっかく余分に作った車体足はお蔵入りです。

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屋根上の黒を吹く。マスキングをはがす時が緊張のとき 8.8

 次の週の週末も好天で,3ステップの塗装作業の最後,黒を吹きます。前の晩にマスキングまでしてあるので,早朝から森の工房でひと仕事です。スプレーが済めばマスキングのはがしの作業です。これが緊張の瞬間で,染み出しや吹きまわりがなく,きれいに塗り分けられれば塗装作業も楽しくなります。

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ネジなどの小物の塗装 8.8

 黒を吹くついでに,屋上器具を止めるネジと解放てこも黒でスプレーします。交流機の高圧配線の留め具は多分銀色だと思いますが,僕は昔からなぜかこれらを黒く塗っています。そのため,ネジも黒く塗装します。EF71のときは黒染めのネジを使ったのですが,今回は所要量も多いので,キット付属のネジで費用節約です。また,解放てこはボデーに取付けてしまうと塗装が大儀ですが,今回はボデーの赤ではなくちゃんと黒く塗ることができます。ところが,この作業の最中に部品が飛んでしまい,叢(くさむら)の中を30分くらい探し回りました。この解放てこはボナファイド製ですが,考えてみればただの真鍮の針金細工,1両分700円は質量あたりの単価でいえばトップクラスの貴重な部品です。こんな所でなくしてしまったらトホホです。

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家に帰れば補正の筆塗り 8.8

 この日は朝早くから作業を始めたので時間があり,午後は家に帰って作業を続けます。ねずみ色,赤,黒のスプレー作業が済んだので,細かい部分を筆塗りします。塗装のなかで一番神経を使うのが,前面のHゴムの色差しです。模型メーカーの完成品はとてもきれいに仕上がっていますが,プロの腕はさすがです。尤も最近は一回り大きくプレスで抜いて,プラ製の窓部品のほうにHゴムをモールドしてある部品構成が多く,これなら誰でも間違いなくHゴムが表現できます。このHゴムの色ですが,灰色9号という色を使っていますが,塗ってしまうとほとんど白のように見えて,もっと暗い色のほうがよかったと思います。この機関車は機械室の明り窓もプレスで表現してあるので,Hゴムの色差しをすれば完了です。数が多く少々面倒ですが,EF71(こちらはHゴム部品がなかったばかりに散々苦労しました)のようなことにはならず助かります。最後にスプレー,手塗りを問わず,塗料のはみ出した個所の補正の筆塗りをして,この日の作業は完了です。

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パンタグラフの塗装 7.24

 話が前後しますがこのキットはパンタグラフも付いていますが,宮沢のPS101はメッキ仕上げのピカピカなものです。これをそのまま付けるのはぞっとしないので,EF71のパンタを塗装したついでにこのキットの分も塗ってしまいます。色はそれなりになりましたが,関節の造作なども雑なつくりで,予算があればもう少し高級な部品に交換したいです。

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長い軸と短い軸 7.28

 ところで,このキットの台車ですが1台分の輪軸は付いていましたが,もう1台分はインサイドギヤごと欠品でした。この際なので,4軸とも交換してしまおうと,行きつけの模型店でエンドウの14㎜ボックス車輪と車軸をセットで買いました。家に帰ってみると,宮沢の台車枠(幅が広い)にエンドウの車軸(短い)だとスコスコで軸が落ちてしまいます。輪軸の欠品などどうということはないと思っていたのですが,意外とややこしいことになりました。

 このあと暫くはEF71の製作に注力したのでED75の製作はしばらくお休みになりました。続きはまたのち程アップします。(2020.9.22記)

後編につづく

HOゲージ/16番--EF71の製作・後編

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前編から

 今年(2020年)の夏,巣ごもり生活対策で始めたEF71の製作,その後編をお届けします。後編は課題だった車体足の製作,側面の明り窓の製作,屋上機器などの最後の組立てが中心です。

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現役時代のEF71 @福島駅 1989.8.4頃

 ここでEF71という機関車の実機について触れておきます。1963年登場のED75は国鉄の交流電気機関車としては完成の域に達し,九州向けのSG搭載型のED76とともに増備が進められました。1965年にはED93という試作機で全サイリスタ制御の実用化が図られました。この全サイリスタ制御をED75にフィードバックしたものがED75-500ですが,残念ながらこのタイプは北海道電化の試験用に1両だけの製作にとどまりました。これに代えサイリスタ位相制御の機関車は,SG付の北海道向けのED76-500,ED93を量産化し軸重可変機構付の中間台車を履き低規格路線向けのED77,回生ブレーキと急勾配対策の諸装置を付加し板谷峠向けのED78,更にその動軸増加のパワーアップ版のEF71が製作されました。EF71は1968年と1973年に計15両が製作され,38パーミルの急勾配区間のある奥羽本線の福島~山形間で使用されました。この区間が交流電化に変更された1968年10月(ヨンサントオ)のダイヤ改正から,1991年8月の山形新幹線開業準備のための改軌までの約23年間活躍しました。用途廃止後は1号機が利府の新幹線総合車両センターに保存されていましたが,最近(2019年12月)解体され現存する車両はありません。

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新幹線開業を前に最後の活躍 @峠~大沢 1991.7

 さて,模型の製作記に戻りますが,先ずは車体足の製作です。このEF71の製作に触発され,僕はED75のキットもオークションで買ってしまいました。この落札には理由があり,もちろんED75も欲しかったのですが,それ以上にED75の台車の車体足が欲しかったのです。ED75のDT129系の足回りは完成されたもので,EF71もDT129M/N台車を履きます。厳密にはEF71のものには急勾配上で停車した際の保安装置であるシリンダロック機構が付いているのですが,模型では無視です。ED75のキットを買えば,なくて困っていた車体足も入手できると考えたのでした。落札したED75のキットは宮沢模型製で,その車体足は台車から伸ばしたステーで支持する変わった方式でした。本物のように車体側に固定すると台車と当たる可能性があるので,走行性を重視するならこの方式も頷けます。想定と違ったのは確かですが,これで晴れてEF71にも車体足が付けられます。

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ED75の部品を使って車体足の型をとる 2020.7.18(以下,年は省略)

 ED75のダイキャストの車体足のコピーを作るのは,Bトレインショーティの改造で身につけたレジンキャストを使います。今日の記事では明り窓のほうでたっぷりレジンキャストの解説はするので,ここでは簡単に済ませます。レジンキャストは鋳物のようなものなので,型さえ作ってしまえば2つ作るも4つ作るもあまり変わりありません。このため,EF71用の車体足はスカートの内側に隠れてしまう車端側も用意します。まだまだ技術不足で歩留まりも悪いですが,ものによってはスカート内側の狭い箇所に取付けるため,多少の不良は目をつぶります。むしろ幅が狭い方が都合がよいのです。

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出来上がった車体足。まだまだ技術不足でお湯がまわっていないものもある 7.18

 せっかくできた自作の車体足,さっさと取付けてしまいます。接着剤は木工用の白ボンドです。白ボンドは乾くのに時間がかかりますが,その分微調整がしやすいので僕は愛用しています。車端側の車体足はスカートの内側,スノープラウのステーもあって窮屈な場所ですが,お湯のまわりが悪くて前後寸法の短いものを選んで接着します。この機関車は僕の技術の範囲でしかできていないので,取り立てて取り柄はないですが,車端側の車体足がちょっとしたチャームポイントです。

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車端側の車体足。チャームポイントなどといっても完全に自己満足 8.9

 次の工程は側面に並んだ明り窓です。キットの仕様は窓部分はプレスで抜いてあり,Hゴム部分を別のエッチング部品を半田付するようです。ところが前所有者殿はHゴムの半田付を端折っていました。数も多く面倒な作業なので,端折りたくなるのも分かります。そのままプラのガラスを貼っただけでは殺風景なので,Hゴム支持の様子を作り込まねばなりません。

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真鍮線で作ったHゴム部品とそのコピー 8.9

 当初は真鍮線でHゴムと縦の桟を表現したものを作って,それをレジンでコピーしようと考えました。真鍮線をラジオペンチで慎重に曲げれば,それなりに母型として使えそうなものもできました。1こ作るのに20~30分かかるので,最初は3つ,5回モールドすれば15こできると考えました。やっているうちに歩留まりが悪いことが分かったので2こ追加で作り,3回のモールドで15こを用意できると計算しました。

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Hゴム部品を作るための失敗作の山 7.30

 さてキャスティングですが本格的なレジンキャスティングは準備が大変なので,百均で売っているUV硬化レジンで済ますことを考えました。ところが上の写真のような繊細な部品はUV硬化レジンには馴染まないようで,これは失敗でした。次は型を取るのが大変,また型どり用シリコンは1㎏缶で,実際使うのは僅かなのでもったいないと考えました。会社の帰りに大きな工芸用品店を覗くと2,000円くらいで100gの型とりシリコンがあったので,これを使ってみました。この商品は水色の弾力のあるシリコン型になるのですが,どうも思った太さに鋳れません。そうこうするうち,HO模型製作の大先輩と会話し,そんなの透明レジンでキャスティングすれば簡単とのアドバイスをもらいました。結局この案採用で,透明レジンで作業を進めます。

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レジンの明り窓1--母型をつくる 7.24

 最初はHゴム部分のみの部品製作でしたが,今度はHゴム+窓ガラスに範囲を変えて取組みます。先ずは現物を使って母型を作ります。窓をプラの帯板とマスキングテープで塞ぎ,内側から粘土を圧入して1日待ちます。車体の外側にはみ出さないよう注意していても,窓のまわりは真っ白け,塗装が傷まないか心配になります。幸いなことに,外側にはみ出した粘土は廃歯ブラシで優しく払えばきれいにとることができました。

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レジンの明り窓2--シリコン型の型どり 7.26

 粘土で作った母型を使ってシリコン型をとります。大枚をはたいた手芸用シリコンは使い物にならず,改めて,模型用のシリコン1㎏を用意します。ここでまた失敗,石粉粘土で作った母型は油粘土のグリップが甘かったか軽くてシリコンの液のなかに流れ出てしまいます。母型は窓5こ分をとって,3こと2こに分けてセットしたのですが,3この方はお釈迦,2この方だけかろうじて片面の型がとれます。明り窓の所要は14こですが,2こずつの注型では生産性が悪いです。先ずはこの片面しかとっていない型を使って,母型を4つコピーします。

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レジンの明り窓3--シリコン型A面の製作,今度は流れ出ないようしっかり固定 7.28

 ここまでえらく遠回りしてしまいましたが,ここからが通常のレジンキャスティングの工程です。先ずは型どりブロックの中に敷いた油粘土の上に母型とレジンを流すランナーを組合せて配置します。実はこの設計と配置が大事なのですが,僕も初心者なのでこんなもんだろうという感じに配置します。シリコン型は6~8時間でできますが,僕は大事をとって半日弱寝かせます。

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レジンの明り窓4--シリコン型B面の製作 7.28

 片面ができれば,今度はできた面を下にして,もう反面の型を作ります。このとき離型剤をしっかり塗って,キャスティング作業時のあわせのためのダボ穴を作ります。本当は1面目の型を作る前にダボ穴の準備をするのが正しい作り方ですが,今回はその作業を失念したのでした。

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レジンの明り窓5--お湯の通り道を整形してシリコン型を完成 7.29

 両面の型ができればキャステイングに入る前に型の調整をします。主なところはランナーを配置しましたが,部材にお湯(レジン)がまわるよう,お湯の通り道を彫刻刀やカッターで調整します。また,僕の場合は漏斗状のお湯の流し口や上に向かって空気抜き兼様子確認用の通路も用意します。最後に後から作ったB面の型にも離型剤を塗って,鋳型の製作は完了です。

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レジンの明り窓6--キャスティング作業 7.29

 型ができれば,次は実際のキャスティング作業です。キャスティングといっても実際に鋳る部材は明り窓8枚だけなので,大した量ではありません。キャスティングはA液とB液を化学反応させて凝固・硬化させるので,混合比が正確でないと正しい鋳造品は得られません。一般には0.1gまで測れる秤を使えと言われていますが,僕の場合は,百均の金属製の計量スプーンを使っています。ただし,A液B液の混合比は重量比で表示されますが,計量スプーンで正確に測れるのは体積です。このため取説に書いてある比重を使って体積比を求め(要は逆数をとる),この割合で2液を混合します。2液を混ぜたら素早く型に流し込み,20~30分待ちます。

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レジンの明り窓7--透明レジンのキャスティングの成果物 7.29

 今回,僕が作っているのはELの明り窓の部品で,形としては薄っぺらなものです。透明レジンにとって薄い形状のものは不利だそうで,実際,透明な鋳造品は得られません。湿度が嫌い(当日の湿度は67%)だとか型をドライヤーで温めるとよいという情報を得て,いろいろ試してみますが,どうしても改善しません。最悪,また冬に挑戦するとして,今回の製作はこのまま進めます。

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レジンの明り窓8--ようやく明り窓部品の完成(灰色塗装後に撮影) 8.8

 出来上がった明り窓はHゴム部分も含んだサイズなので,Hゴム部分に灰色9号を筆塗りします。またレジンのガラス部分は白いままだと客車の洗面所の曇りガラスのようで見栄えが悪いので,裏から黒を塗っています。人によりとらえ方は違うと思いますが,白よりはこの方が見栄えがすると思います。サッシの縦桟の部分は幅0.5㎜×厚さ0.2㎜の洋白帯材を2㎜に切って貼ってあります。これがまたクセモノで,質感はとても良いのですが,小さすぎて取り回しが難儀です。

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レジンの明り窓9--自作の明り窓部品への色差し 8.8

 ところで,レジンキャスティングでの自作と並行して,明り窓部品の調達も諦めた訳ではありませんでした。別のスレッドで詳しく書きますが,会社の夏休みのある日,模型屋巡りもしました。東京・落合のKATOのショウルームで分売パーツを当たったところ,明り窓だけの取扱いはありません。最近KATOではHOのEF81を売り出したばかりで,分売パーツのEF81ボデー(7,000円)は明り窓14こも付いた状態で売られていました。僕の価値観では明り窓だけのためにボデーをまるまるは買えません。しかし,これまでにかかった時間,出来あがった部品の品質,かかった費用のどれをとってもEF81のボデーを部品取りにするほうに分があり,残念です。

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さんざん苦労して作った明り窓。出来はイマイチだけど洋白製の桟で一矢か 8.12

 また,明り窓に格闘している間にパンタグラフを塗装します。パンタグラフは一般には銀色に塗装しますが,全検出たてホヤホヤを除き,そんな銀色のパンタグラフの機関車など見たことありません。僕の印象ですが,洗車という観点では福島機関区の機関車は特にひどかったと思います。そんな訳で,この機関車のパンタは一旦銀に塗った後,佐世保海軍工廠色という濃い目のグレーを吹いています。こうしてしまえば,上側金属,下側プラのTOMIXのパンタでもそこそこ見栄えがするようになります。

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パンタグラフの塗装。ED75のものとまとめて作業 7.24

 模型製作の続きですが,明り窓部品ができれば,早速車体に取付けます。取付けは例によって白ボンドです。ボンドがある程度乾いたら,ずっと保留にしていた,屋上部品,パンタグラフの取付けです。屋上といってもEF71は2つのパンタからの高圧配線が1本あるだけなので,碍子7こをねじ止めするだけで簡単です。パンタグラフはTOMIXのプラ製なのでネジはありません。付属の碍子を通して車体に取付ければ,結構固くはまります。元々は昔のプラモデルのように取付足の先を溶かして固定しようと思っていたのですが,その要はなさそうです。

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桟をつけた明り窓と屋上部品,パンタグラフの取付け 8.12

 EF71製作も最終段階です。碍子,パンタの次は屋上の高圧配線です。これは0.4mmの燐青銅線を配線のとおりに曲げ,ネジの頭のくぼみにはめてゆきます。はめただけでは弱いので,少量の白ボンドで補強します。燐青銅線は見た目は銅に似ており,この配線のリアリティは抜群です。碍子をねじ止めした際に黒塗装が剥げてしまったところ,配線の補強の白ボンドのアタマに黒を筆塗りして補修します。最後にメーカーズプレートを接着すれば完成です。

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16番EF71完成 8.12

 巣ごもり対策で始めた模型いじりですがようやく1両完成です。Bトレ用の小物部品を買いに模型店を覗くと20万円近くするHOの機関車が目を引きます。いつも眺めるだけでしたが,今回ようやく手に入れることができました。非電装,よく見るとアラも目立ちますが,自分で手をかけただけに愛着もあります。なお,手元の集計ではかかった時間は約80時間でした。
 ところでせっかくの鉄道模型,どうやってしまうかが問題です。ネットを探すとアクリルケースを1㎜単位でオーダーできることが分かりました。一緒に入れてある架線柱に高さを合わせたのがちょっと失敗でしたが,ジャストサイズのケースに納めれば見た目もよいです。その名も透明堂,3辺をmm単位で指定して,ネットバンクで送金すれば約1週間でケースが届きます。ちなみにこのEF71用は送料込みで3,810円,某有名模型店の車両ケースよりは相当安かったです。

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ケースに入れれば馬子にも衣裳で見た目もよくなる 8.12

 明り窓で足踏みしてまるまる1か月半くらいを無駄にしたおかげで,3か月がかりの製作でしたが,今年の夏は巣ごもりなのでそれもまた佳しです。キットの基本部分だけならそんなに高いとは思いませんでしたが,その他の部品代や塗料を考えると結構お金を使ってしまいました。巣ごもりで旅行に行けないので,その代わりと考えればトントンです。家にはまだ作りかけのED75もありますが,当分はHOのキット製作がマイブームになりそうです。(2020.8.10記)

HOゲージ/16番--EF71の製作・前編

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 今年(2020年)の初夏はCOVID-19禍で巣ごもり生活でしたが,家でも楽しめることを探すうち,鉄道模型の製作を思いたちました。4年近く前にNゲージのED72のキットを組んだ記事を載せましたが,その時から16番の電気機関車の製作意欲はあったのです。16番のEF71の製作記を今日から2回に分けてお届けします。

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現役時代のEF71 @福島駅 1982.7.30頃

 5月のある日,オークションサイトを覗くとEF71の組立て済キットの出品があります。しなのマイクロ製,注記には「ボデーキット組立品(しっかりと組んでいます)」とあります。このレベルの商品で30,000円は相場より若干高い気がしましたが,EF71は交流機のなかでもとくに好きな形式です。またボデー自体が組んであるのが大きなポイントで,僕の場合は半田付けの腕がないので,このバラキットをバラの状態から組める自信がないのです。とりあえず入札すると,幸いなことに,他者と競ることもなく落札することができました。やっぱり多少高かったかもしれませんが,大阪のほうの売り主のショップ殿は中古のモーターと保管用の新品の箱をつけてくださいました。

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オークション画面のコピー

 しなのマイクロは僕が高校生,大学生の頃,盛んに国鉄電気機関車のバラキットを売り出していて,垂涎の的でした。その頃僕はHOのED72,ED76を作ったところで,HOゲージはお金がもたないと,Nゲージに転向したところでした。そんな時代について行けずに,しなのマイクロは1990年ごろ倒産したようです(しなのマイクロのNゲージのブランドのマイクロエースは今も有井に引継がれています)。

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EF71着荷時の状態 2020.5.23(以下,年は省略)

 ものが届けば,中味を改めます。前回のNゲージED72と比べると,さすが16番1/80の模型は違います。前面周辺からスカートまわりのディティールは惚れ惚れです。また,ボデー自体は確かにしっかり組まれており,半田作業はしなくて済みそうです。一方,以下の点が気になりましたが,オークションで買った商品なので目をつぶることにします。そもそも折角ここまで組んだのに完成させずに手放すのが,僕には理解できません。それぞれ事情があってのことでしょうから,理解はできなくてもとても助かっているので,深くは詮索しません。

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前面周辺のディティールはさすが16番 5.23

・2エンド側ステップに並ぶ2連のジャンパ栓受がない
・車号がブロック式になったのは14,15号機だけなのだけど,ナンバーが洋白製の一体もの

 また,台車はカツミ製のDT129がインサイドギアも含めて付いていますが,車体足がありません。DT129系の台車には芯皿がなく,台車で発生した牽引力は引っ張り棒,車体足を介して伝達されます。交流機好きの僕にとってはED74~79の各形式とEF71のトレードマークみたいなもので,これがないと床下が寂しいです。

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DT129系台車の車体足は国鉄交流機のトレードマーク?(取付け後に撮影) 7.30

 交流機は屋根上が賑やかですが,上から見る機会の多い模型では見栄えもするし,作り甲斐もあります。この辺の部品は含まれていないので,自分で買い揃えます。6段碍子,パンタグラフ,高圧配線のための燐青銅線などです。この他,メーカーズプレート,連結器などの小物部品も揃えます。前面のジャンパ栓受,パンタ下の空気碍管も用意したかったのですが,前者は気に入ったものなし,後者はそもそも部品自体がなしでした。また車体足は,台車ごと交換も含めて,調達できませんでした。

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各種部品を買い揃える 5.30

 部品が揃えばさっそく組立てに入りたいところですが,ボデー本体が組んであるので,あまり手をかけるところがありません。買った部品を検分するとパンタグラフの取付け孔が合わないことに気づきました。元々の孔をパテで埋め,買ってきたTOMIX製のパンタの足に合わせて孔開けします。最近のTOMIXのHOゲージ進出はすさまじく,製作数15両のEF71のような形式も製品化されています。模型が欲しいならこれを買った方が余程早いのですが,作ることを楽しむのが今回の模型製作の目的です。TOMIXのPS101パンタですが,下枠がプラ製でチープな印象は避けられませんが,値段の魅力には勝てず,IMON製の3分の1の値段のパンタを使っています。TOMIXのEF71には並とプレステージ版があり,後者のパンタは下枠も金属らしいのですが,このパンタの分売がないのが残念です。

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パンタの取付け孔の開け直し 5.30

 続いての作業は塗装です。このブログでは毎度書いていますが,塗装は僕の苦手な作業で,どの作品でも苦労しています。30年以上前の製品ということもあり,今回は洗浄を念入りに行いました。お菓子の缶に水を張り,食器用の中性洗剤をたっぷり入れ,このなかで廃歯ブラシでこすって洗います。正直なところ見た目はあまり変わりませんが,手で触ったところの脂分などはとれて,塗装の下地はできたことにします。

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中性洗剤のお風呂で洗浄 5.29

 僕はマンション住まいですが,塗装の作業場所にはいつも苦労します。何年か前からパソコンを買った時の段ボール箱を塗装ブースに使っていますが,その周囲の養生も面倒です。今回は一計を案じ,自宅の目の前の少し大きめの公園に出向いて塗装をすることにしました。公園に行けば塗装台に手頃な切り株もあり,公園を散策中の皆さんには迷惑ですが,臭気も大気中に拡散で作業性はよいです。一方,公園なのでときどき来る野次馬,羽虫は注意が必要です。

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自称・森の工房 5.31

 交流電機の赤色は意外と透き通る色で,サフェーサーなどによる下地処理も大事です。サフェーサーを買おうとネットを覗くと,最近は赤塗装のためのピンクのサフェーサーという商品があります。金属の下地処理のプライマーの成分も含まれているようなので,これを2,3度吹きます。

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下塗りの完了した車体。機器覆いを外したら手作り感満載の文字が出てきた 5.31

 森の工房に出たついでに他のできる部分の塗装作業を進めます。下回りは少し分解し,スカートとスノープラウを外します。下地処理のメタルプライマーを吹いた後,床下器具を含む下回り全体とスノープラウを黒,スカートをねずみ色で吹いて完成です。台車も黒色ダイキャストの地のままだったので下回りと同じ黒に塗ってしまいます。

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下回り一式の塗装 5.31

 模型製作にあたっては,自分で撮った実機の写真も参考にしますが,機器室の屋根に載る大きな通風機がありません。こんな大きな機器を省略するのは随分手抜きと思いますが,元々キットになかったのか,前所有者殿が端折ったかは分かりません。実機の写真を元にそれらしいものを作って載せてあります。最初は車体製作用ペーパーの積み重ねで作り始めましたが上手くゆかず,木製マドラーから削り出し,周囲をペーパーで巻いてあります。もう1点はパンタの碍子を載せる台です。屋根に直付けはヘンなので模型店であれこれ探しましたが,単なる3㎜四方の板だけのパンタ台の商品が見当たりません。仕方がないので,これもペーパーから切り出して自作です。

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なぜか足りない屋上の通風機とパンタの碍子台(写真は後から撮ったもの)はペーパー他から自作 6.7,7.19

 次は塗装工程その3でボデーの赤2号を吹きます。その前に洋白板の飾り帯をマスキングしますが,これが細かい作業で面倒です。また,このボデー全体の赤と屋上の黒はどちらを先に吹くべきか悩ましいです。このEF71の場合,屋上の機器覆いがネジ止めで外すことができたため,後のマスキングが楽なメリットをとり,先に赤を吹きます。こう書くとどんどん進んでいるようですが,塗装は1週間ピッチでの作業です。

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赤2号を吹くと急にそれらしくなる 6.6

 続いて塗装工程その4で屋上の黒を吹きます。先に塗ってある赤の部分をマスキングしますが,概ね屋根の部品の線で塗分ければよいので簡単です。ただし,ステップと屋根板の間がくぼんでいるので,そこだけは滲まないようよくマスキングします。工程間の間隔は十分とったつもりですが,今回もここで少し失敗があり,数か所の赤がはがれてしまいました。

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マスキングをして黒を吹いて塗装は概ね完了 6.12

 塗装の最後は,マスキングテープの痕の修復のほか,こまごまとした箇所を筆塗りで色差しします。ロスト製のエアホース,ボックス動輪の輪芯:黒,ステップの縁:白,運転室窓のHゴム:灰色などです。側面に並ぶ明り窓のHゴムも灰色に塗りたいところですが,ここはHゴム自体がまだついていないので保留です。

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下回りの色差し 6.12

 続いては車体周辺の小物部品の取付けです。この模型は当初の計画は非電装のディスプレイモデル,電気系統の配線はしないのでライト類も当然ダミーです。ヘッドライト,テールライトのレンズを少量の接着剤で取付けます。

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レンズ類は極小部品 6.30

 また,運転室のガラスはプラの帯材から切り出して,前面の形状に合わせて90度曲げます。前面は窓の上にライト,下に手すりの真鍮線があるので,高さを縮め,乗務員室扉の部分も手すりの真鍮線と干渉するところは現物合わせで逃げ穴を作ります。また,曲げのほうは,適切な曲げの手法を知らないので,40年前のプラモデルを思い出して,ロウソクであぶりながら慎重に曲げます。

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運転室ガラスの製作 6.30

 これらを取付ければ,保留にした明り窓を除けば,車体は概ね完成です。さて保留にした明り窓ですが,これが意外と難題です。パンタグラフや高圧配線などの屋上機器を付けてしまうと作業性が悪くなるので,これらの部品も未だつけずにおきます。

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1か月がかりでここまでできました 6.30

 見た感じでは,かなり完成に近づきましたが,実はこの後明り窓の製作で散々苦労することになります。今回はほぼ順調な部分で前半を終わりとします。(2020.7.30記)

後編につづく

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