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2023-12

梅雨の合間に西湘で写真撮り--箱根登山あじさい電車と石橋・玉川橋梁

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 今年(2023年)の6月は週末の天気が良く,6月25日日曜日もまずまずのお天気です。ちょっと出かけてみようと箱根・小田原方面に写真を撮りに行ってきました。目的は2つ,箱根登山鉄道のあじさい電車と東海道線の石橋・玉川橋梁です。2019年はこの2つそれぞれに出かけましたが,今回は勝手が分かってきたので掛け持ちで1回で済ませます。

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今日のGPS log

 玉川の橋は午後順光と分かっているので,午前中にあじさい電車を撮って,昼から石橋山に回る行程を計画します。出発は朝7:30頃,今回は足はプリ子(愛車のプリウス)です。夏の湘南は渋滞が激しいのでさっさと出発し,往路は少々遠回りでも高規格道路の保土ヶ谷バイパス~横浜新道経由です。トラスコ湘南大橋の手前で海岸に出て,西湘バイパスをとばして,1時間20分位で塔ノ沢駅近くの函嶺洞門の駐車場に着きます。駐車場に止めて初めて知りましたが,この周辺の橋や洞門などの国道1号線の道路施設は国指定の重要文化財だそうです。

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函嶺洞門ほかの道路施設の案内板 2023.6.25(以下全て同じ)

 あじさい電車をどこで撮るかと昨晩,インターネットで情報収集したところ,塔ノ沢駅と大平台駅がよいとの情報です。それならばと先ずは塔ノ沢駅を目指します。塔ノ沢は箱根湯本から登山電車で最初の駅ですが,道路のアクセスが悪く,ある面秘境駅です。国道1号線から人しか通れない道を5分ほど歩いて駅に着きます。塔ノ沢駅は新神戸や田浦よろしくホームの両端がトンネルの谷間の駅です。とくに箱根湯本側は,列車の3両化にあたりトンネルを拡げ,分岐を移設するなどの大工事をしたそうです。

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最初に来たのは旧型のモハ1,2形 @塔ノ沢

 最初に来たのは旧型のモハ1,2形の編成です。昔ながらの登山電車を感じる電車ですが,この編成は台車を平行カルダン駆動のTS330Aに更新しています。箱根登山もこの1本は昔の登山電車として大切にしているようで,今のところ引退の話は聞きません。もう暫くの活躍を期待します。

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「氷河特急」カラーの2000形2005F @塔ノ沢

 次に来たのは下り(箱根の山に対して。運行系統では上り列車。このスレッドの箱根登山の列車の向きは全て同じ)の列車で提携先のスイスのレーティッシュ鉄道の「氷河特急」に似せたカラーリングの電車です。

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新鋭3000形 @塔ノ沢

 この時間は朝の時間帯から日中の頻繁運転のダイヤへの切替わりどきで,下りの列車が続きます。次に来たのは新鋭3000形です。この電車は3両固定編成で計画され,ドア部分をはじめガラスを多用した明るそうな電車です。

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ロマンスカーカラーの1000形1003F @塔ノ沢

 塔ノ沢での最後は1000形ベルニナ号で,この1003,4の編成は小田急のロマンスカーの伝統色のオレンジ系の塗色です。ホームのあじさいの花は白いものが多く,見ごろとしては終盤です。全般に今年は季節の推移が早く,2019年のときより3週間くらい早い印象です。

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こちらは大平台駅での3000形

 やっとこさ歩いて駅まで来たので電車に乗り,一つ上の大平台駅に移動します。途中には早川の谷や国道を跨ぐ出山の鉄橋やスイッチバックも一つあります。大平台駅の前後は急勾配で,駅を出たところには71.4パーミルの勾配標も見えます。新鋭の3000形は右の車号の上に小さな「箱根あじさい電車」の名札?を付けています。

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71.4パーミルの坂を3000形が登ってきた @大平台

 大平台はインターネットで情報収集してきたのですが,なかなか写真の撮り易い場所がありません。スイッチバックを1こ登った上大平台信号所に向けてあじさいの小径があるので少し歩けばよいのかもしれません。こちらは塔ノ沢から電車で登ってきたので,駅撮りを決め込みます。大平台駅構内では上の2枚がよいところのようなので,一旦,引揚げにかかります。降りた後のことも考え,帰りはバスにします。スイッチバックもないので電車で14分のところ6分で走り切りますが,運賃のほうも330円で倍以上です。

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小涌谷~彫刻の森間で

 情報収集した割には消化不良なので,以前にも来て勝手を知っているもう少し上の撮影地に行ってみます。踏切の名前は古いままでで二ノ平と呼びますが,彫刻の森の駅前の踏切です。また,ここから線路の東(谷)側に並行した道路があり,一つ下の牛乳屋踏切という細い踏切まで,何か所か道路から写真を撮れるところがあります。

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二ノ平踏切で

 二ノ平踏切と牛乳屋踏切の間は300mちょっとしか離れておらず,途中に保線資材置き場があります。どちらかというと,二ノ平踏切は登ってくる列車向き,牛乳屋踏切は坂を下ってくる列車向きです。2つの踏切の間を走り回っていたので,各コマの撮影位置は今一つ憶えが定かでありません。また,二ノ平踏切から見えるあじさいの株はかなり見ごたえのある株ですが,今年は少し時期が遅く,しおれかけていたのが残念です。

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小涌谷~彫刻の森間,保線資材置き場近くで

 踏切の間を行ったり来たりしている間に列車が来てしまったのが上の1枚です。あじさいのきれいな所と上手く架線柱がかわせるところを探しますが,架線柱をかわしきれませんでした。下は牛乳屋踏切近くで撮ったもので,画面の左下に急に割込んでカメラを出す観光客がいたのですが,トリミングでごまかしています。

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小涌谷~彫刻の森間,牛乳屋踏切近くで

 二ノ平踏切から100m位下ったところがベストな場所と思いますが,定員2人位の狭い場所でなかなか入り込むことができません。ちょうどそこにいた人が引き揚げたのでさっそく行って撮ったのが,今日のとびらの写真です。

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出山の鉄橋を行くモハ1,2形

 二ノ平から引き上げる途中,国道は出山の鉄橋の下をくぐりますが,そう言えばここで写真を撮ったことがないことに気付きます。あまり時間はありませんが,列車上下1本ずつくらい立ち寄ることにします。出山の鉄橋の直下には金乃竹塔ノ澤というお高そうなホテルの私道?の吊り橋があり,そこからの撮影が簡単です。吊り橋の近くは敷居が高くてプリ子の置き場に困りますが,私道を避け,国道が少し広くなったところを探してじっとしていてもらいます。

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出山の鉄橋を行く「氷河特急」色の2000形

 皆なが出山の鉄橋と呼ぶ早川橋梁ですが,実はセコハンで,もともと東海道本線の天竜川橋梁に使われていたものの払下げを受けて,転用したものです。調べれば1888年(明治21年)製で135歳,国指定登録有形文化財であるばかりか,現存する最古の鉄道用鋼橋だそうです。と聞くと,列車なしで橋だけでも価値がありそうですが,縦横1カットずつ,電車も古いのと新しいのを載せておきます。

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早川~根府川間を行くE231系電車。4枚とも米神踏切近く

 そんなこんなで遅くなってしまいましたが,次は東海道線の早川~根府川間の石橋・玉川橋梁に行きます。時間が押しているので昼ご飯は適当にコンビニでパンを仕入れ列車の待ち時間にでも食べることにします。東海道線の小田原~熱海は箱根や伊豆山が海に迫り,山の斜面の隙間に線路が敷かれた区間です。東海道本線という線名と列車が頻繁に走ることから難所の感じはしませんが,景色もよく,実はお気に入りの区間でもあります。

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早川~根府川間を行く「サフィール踊り子」号

 前回は,2019年秋に「スーパービュー踊り子」号の末期に来ましたが,そのときは貨物列車の写真が撮れなかったので,今日は貨物の撮れる時間帯を狙います。また前回は南側の斜面からの撮影でしたが,背景が今一つなので,今日は北側の斜面に挑戦しようと思います。プリ子のナビも一生懸命考えてくれますが,北側の斜面はどうにもプリ子では行きづらいようで,橋の袂をあちこち巡ります。

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早川~根府川間を行く貨物列車。機関車は先週に続きEF210-1

 そうこうするうち通りかかったのが米神踏切で,時間もないので列車数本はここで撮ることにします。後から調べると米神踏切も有名撮影地のようで,怪我の功名です。ここはきついSカーブで,列車が身をくねらせて走ってくるのはよいのですが,長大な貨物列車や湘南電車の15両フル編成には向きません。一方,非常に行きづらい所のせいか鉄ちゃん除けの柵の類がなく,開放的な雰囲気で撮れるのがよいです。下り列車の写真ばかり上げましたが,上り列車も悪くなく,下のような感じで撮ることができます。

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根府川~早川間を行く上りのE233系電車

 狙いの貨物列車はここでは2本が撮れましたが,後の1本はEF210-1号機の牽引です。この機関車は先週も八丁畷で見ておりご縁を感じます。「サフィール」は僕にとってはおまけですが,貨物も撮れて満足したので,玉川の橋の見える場所に移動します。撮影地の近くは道路も多少広くて数台を駐車できるのですが,途中の道が強烈に狭く,慎重に運転して登って行きます。

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この場所からは並行して走る新幹線もよく見える

 撮影地に着けばまずまず視程もよく,小田原の市街の先に丹沢方面の山も見えます。最初に来たのはE231系の湘南電車です。ここも開放的に線路は望めるのですが,トンネルがあることもあり,15両のフル編成全体は入りません。貨物も然りで,下の写真でもコキ車の9両目までしか入りません。

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早川~根府川間の石橋・玉川橋梁を行くE231系電車

 最後はEF210の貨物で〆て,今日の撮影行は終了です。夏の湘南で帰りは渋滞必至ですが,プリ子とのんびり帰ることにしましょう。みかん山から海岸に降りれば,蒲鉾の鈴廣の売店があり,家への土産もばっちりです。

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早川~根府川間の石橋・玉川橋梁を行くEF210+コンテナ貨物

 これだけ見てもあまり参考にならないと思いますが,GPSのログを念のためつけておきます。玉川橋梁の近くは道路が細く基本的には農作業と生活のための道路なので,居住者以外の車の乗入れはあまりお薦めできません。ふつうの週末ならとくに問題ないと思いますが,何か特別な臨時が走るような日は車ではなくバスまたは歩きでの移動をお薦めします。

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今日のGPS log。小田原周辺の詳細

 お天気に誘われて神奈川県内での軽いドライブと撮影行でしたが,成果や達成感では大満足です。箱根登山はあじさい電車が2回続いてしまいましたが,様子も分かったので,この次は秋の紅葉のときに訪れたいと思います。(2023.8.15記)
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ゴールデンウィークに秩父へ行ってきました2023

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 連休は旅行の費用が嵩むので大きな旅行はしないのはわが家の常で,日帰りでちょこちょこ出歩くのが連休の過ごし方です。今年は4月,ゴールデンウィークを前に肺炎に罹ってしまい,連休は散々でした。ちょこちょこどころか殆ど家から出ず,連休も終わり間近かの5月4日に秩父鉄道に行ったのが外出らしい外出で,今日はその秩父行をご報告します。

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出発は磯子駅7:23の708A列車 @磯子 2023.5.4(以下,特記以外同じ)

 秩父鉄道へは去年(2022年)の5月にも行っており(その時の記事はこちら),新緑の季節にSL列車に貨物列車と楽しめたので今年もそれを期しての旅行です。病み上がりではあっても,こればかりは欠かせないと頑張ります。(2023年)5月4日木曜日,出発はわが家最寄りの磯子駅を7:23の根岸線列車です。

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今日のきっぷ

 去年は秩父までの足はJR,休日お出かけパス利用でしたが,現地でいろいろ情報収集するといろいろな割引ききっぷがあることが分かりました。今日は東武と秩父鉄道がコラボレーションした「SAITAMAプラチナルート乗車券」利用です。このきっぷは東武の東上線,越生線全線と秩父鉄道のふかや花園以西がフリー乗車できて1,900円です。東上線がフリー乗車できてもあまりメリットは感じず,途中下車ができるのが魅力といったところですが,価格1,900円はかなり安い設定です。なお,横浜から池袋は10円玉の差ですが少し安いので東急東京メトロパス,980円を使います。

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SAITAMAプラチナルート乗車券のちらし(拡大はこちら

 横浜に着けば,地下の東横線乗り場に行き,東急東京メトロパスを買い入場します。乗る列車は7:50の急行・和光市ゆきです。次の列車はSトレイン西武秩父ゆきで,その列車に乗れば10:05には西武秩父に着きます。Sトレインは急行料金が事業者ごとにかかるため割高なのと,SLを撮る行程からはそんなに慌てて秩父に行かなくてもよいのです。一方,僕は高校時代は東京都民でしたが,東上線の志木まで通ったので,東上線は懐かしさもあり,久し振りに乗ってみたいのです。

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横浜駅の発車案内。Sトレイン西武秩父ゆきが眼を惹く

 途中,東新宿でSトレインに抜かれ,小1時間かかって8:42池袋着です。ここで今日のパスとお昼ごパンを買って,東上線の小川町ゆきに乗ります。僕が高校生の頃は,平日は1日1本だけ秩父鉄道に乗入れ三峰口ゆきの特急「みつみね」が走り,1限の授業が休講のときにちょうどの時間で,何度か乗ったことがあります。休日には三峰口ゆきの「みつみね」のほか,上長瀞ゆきの「ながとろ」,東上線内ですが小川町ゆきの「さだみね」もあり,セイジクリーム1色の4扉車が大きなヘッドマークを掲げて走り,東上線も秩父~都心間の輸送を担っていました。今日の小川町ゆきは「快速急行」で,その頃にはない種別,多分ですが当時の特急よりだいぶ速く走り切るのでしょう。

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東上線は小川町まで快速急行で下る。エンドチェンジ後 @小川町

 車内はガラガラですが懐かしさもあり,半分かぶりつき,半分車窓を眺めたりで忙しく過ごします。全般として,ときわ台から成増あたりは昔とあまり変わっていない印象,成増から志木は地下鉄乗入れと複々線化で昔の面影なし,志木以北は宅地化で随分景色が変わった印象です。東松山より先になると緑も増えて東上線らしい景色が展開しますが,メトロの10000系などが走ってくると場違いな感じです。

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1977年11月の東武特急「みつみね」号 @池袋

 小川町の手前,嵐山信号場からは単線になり,10:08,時刻表どおり小川町着です。3分の接続で寄居ゆきに乗換えです。小川町~寄居間は輸送量が大きく落ちるので,電車は8000系4両編成です。8000系は1963年から1983年まで21年の間に712両も製作され,この私鉄で最大の製作数の記録は多分破られることはないでしょう。更新により顔立ちが変わっていますが,上の「みつみね」号と同じ系列がいまだに走っているのは驚きです。ただし,まだ残っているのは最終ロットに近い車両で,番号が足らなくなって5桁の車号の119Fは最後から2番目の製作です。

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小川町から先は8000系のチョン行電車 @寄居

 小川町~寄居間は八高線と並行に進み,緑の濃い山の中を走ります。みなみ寄居は2020年開業の新設駅,副駅名にホンダ寄居前を名乗りますが,ホンダの工場の通用口以外何もないところです。鉢形~玉淀間で荒川を渡れば,寄居はもうすぐです。

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鉢形~玉淀間で荒川を渡る

 寄居では7分の接続で10:34の長瀞ゆきの普通列車に乗換えです。去年も行った樋口駅近くのポイントで,貨物1本とSLを撮る予定です。ところが寄居駅がSLの指定券を買う人でごった返しているのと,SLパレオエクスプレス35周年記念スタンプラリーの台紙が眼に入り,乗換えをモタついてしまいます。致命的だったのは,7分の乗継ぎと10:34発を混同し,列車の時刻を10:37発と勘違いしたことです。ホームに降りれば10:34の列車はちょうど出たところです。

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期せずして寄居駅でSLパレオエクスプレスを見る

 あちゃー,やらかしてしまいました。幸い次の下りは10:58で,SLの発車(11:07)より9分早く,列車の速度も違うので10分位早く樋口に着けそうです。樋口駅から撮影地までは去年も歩いているので見当はつきますが,10分はギリギリ辿り着くかどうかです。などとリカバリ策を練っているうちにSL列車が入ってきます。この時間にここにいる予定ではなかったのでうっかりしていましたが,SL列車は寄居で鈍行に抜かれるのです。分かっていればホーム端などのもう少し気の利いたところで撮れたのですが,列車到着の案内放送で気付いて慌てて撮ったので,上の写真がいいところでした。SLに続いて影森ゆきの普通列車が入ってきて,こちらはすぐに発車します。

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返空の貨物列車。今日はこのアングルの写真が多い @野上~樋口

 樋口に着けば一目散に撮影ポイントを目指します。このポイントは以前は有名なお立ち台だったようですが,線路端に看板が2つも建ったせいで,今日も空いています。学生さん風の撮影者2人の先客がいますが,何とか邪魔にならない所に構えさせてもらいます。この看板2つは確かに目障りですが,完璧を求めなければ,これで十分と思います。ここで撮ったのが今日のとびらの写真です。

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秩父鉄道オリジナルカラー復刻塗装の急行がやってきた @樋口~野上

 SLに続いて急行が来るのでもう暫くここで構えます。やってきたのは秩父鉄道オリジナル塗色の6000系で,これもまずまず満足の出来です。ここではもう1本上りの貨物も撮っていますが,これは残念な1枚です。寄居10:34の列車に乗っていれば,機関車が先頭の向きで撮れたのに・・・です。

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駅への途中でもう1本。もと東急8090系の7500系 @野上~樋口

 樋口駅へ戻り,11:48の三峰口ゆきでSL列車を追いかけます。SL列車のダイヤは寝転んでいて,鈍行で追いかけても秩父で追いつき,終点の三峰口には15分ほど早く着きます。三峰口の1つ手前の白久駅の先が正面順光で程よいカーブになっているので,先回りしてもう1ショットです。白久には時刻表どおり12:37に着きます。

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樋口から白久まで普通列車でSLを追いかけ,先回りする @樋口

 白久に着けばまた,せっせと歩いて撮影地を目指します。同じ列車から5人位同じことを考える人がいて競争です。土手を登って踏切横で撮る人,下の道から撮る人に分かれますが,僕は土手上のほうを目指します。撮影地に着いて幾分もしないうちにSL列車はやってきます。終点,三峰口へ向けラストスパートの区間で煙も十分ですが,側面は逆光です。

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今日2回目の下りのSLパレオエクスプレス @白久~三峰口

 SL列車の写真を撮れば白久駅に戻り,12:59の上り列車で秩父の中心部を目指します。SLの通過が12:52頃だったと思うので,全く忙しい話です。去年は逆光覚悟で白久駅の近くで上りのSLを撮りましたが,今回は秩父の中心部で予定をたててきました。

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白久からの帰りはまたまた7500系 @白久

 羽生ゆきの列車は影森で交換の待合せで8分止まります。影森は秩父鉄道の運転上の一大拠点で,貨物列車が走るのはここまで,旅客列車もここでスジが切れている列車が多数あります。駅の南東には武甲山がそびえ,たくさんの留置線があり,電車も幾本か休んでいます。

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影森の留置線に休む電車たち。急行用の6000系(もと西武101系)と普通用の5000系(もと都営6000系)

 次に行くのは秩父と大野原の真ん中あたりですが,今日は秩父から行くことにします。撮影地に着けば,ここは樋口や白久のようなお立ち台とは違うので,ゆっくりとできます。練習かたがた来る列車を何本か撮ります。ここは基本的には下り列車が順光のポイントで,少々望遠がきつい感じですが,下のようになります。

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秩父鉄道の主力7500系電車。もと東急8090系 @大野原~秩父

 SLはもともと下のような感じで武甲山バックで撮ろうと思っていたのですが,SLの時間になると同好のかたがみえ,線路の向こうのブロック塀のあたりで写真を撮ろうとしています。仕方がないので,自分も線路の反対側で撮ることにします。

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武甲山をバックに5000系(もと都営6000系)の鈍行がゆく @秩父~大野原

 場所は殆ど変わりませんが,上の武甲山バックか,下の逆光の秩父の山並みバックか,どっちがよいかは微妙です。SLの手前の紫色の花はドイツの国花にもなっているヤグルマギクだそうです。架線柱の処理もこちらの方がきれいで,もともとこのアングルを目指してきたのですが,山バック好きの僕は武甲山も捨てがたいと思います。

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秩父の山並みを背にSL列車がゆく @秩父~大野原

 ここではもう1本,急行列車まで粘ります。このときはヤグルマギクを案内してくれたかたが帰った後なので,元々想定していた,秩父の山並みをたっぷりと入れたアングルで撮ります。写真を撮りながら観察すると,この場所はどう見ても秩父の方が近そうなので,帰りも秩父駅まで歩きます。

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秩父の山並みを背景にもう1本。6000系(もと西武101系)の急行列車 @秩父~大野原

 せっかく秩父まで来たので,午後のこれからの時間は貨物列車を追いかけて過ごします。秩父から電車に乗り,先ずは和銅黒谷駅を目指します。和銅黒谷駅は,この近くで採掘された自然銅が和銅開珎(かいちん/かいほう)にゆかりがあるということで,ホームには巨大な和同開珎のモニュメントがあります。ホームで見ていると,たくさんの観光客がこの前で写真を撮っています。

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和銅黒谷駅の和同開珎のモニュメント

 和銅黒谷では武甲山をバックに貨物列車の写真を1本撮ります。これが下の写真ですが,貨物の時刻が分からずホームのベンチでゆっくりしていたら列車が来てしまい,ホームの手すりが入ってひどい写真になってしまいました。秩父に来るとレタッチソフトを使いたくなる?という癖になってしまい,大々的にレタッチソフトを使って手すりを消してしまったのが,下の写真です。画像編集する前の写真も付けておきます。手すりをかわすと,武甲山が半欠けになりそうですが,今度はもう少しよいアングルで撮りたいと思います。

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武甲山をバックに貨物列車がゆく(上)レタッチあり(下)オリジナル @和銅黒谷

 和銅黒谷ではもう1本,もと東急8500系の7000系の下り列車を撮ります。僕は元来,東急8500系のような食パン顔の電車が好きで,秩父では7500系より7000系の方が好みなのですが,7000系は2本しかなくなかなかお目にかかれません。この7202は中間車に元々の先頭車に似せたお顔をつけたもので,貫通扉の窓がオリジナルより一回り大きいような気がします。

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もと東急8500系の7000系は2本の少数勢力 @和銅黒谷

 続いては和銅黒谷から貨物列車を求めて,数駅を上ります。今日に備えて秩父鉄道の列車ダイヤを作ってきたのですが,貨物の情報はアテにならず難儀なことです。貨物時刻表には秩父鉄道の貨物列車の時刻が収録されていますが,駅は貨物列車の運転に係わる三ヶ尻,武川,武州原谷,影森だけです。一方,秩父鉄道の旅客列車は全駅・全列車掲載の時刻表がダウンロード用に提供されていますが,単線の割には意外と頻度が高いです。結果として,ダイヤはネットダイヤに近く,貨物列車のスジは旅客列車のスジを支障しないように作られているので,交換や退避の駅を正しく特定することができません。こんなもんだろうと長瀞まで上りましたが,既に下りの貨物は到着済で,走りの写真は撮れません。

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下りの貨物は到着済 @長瀞

 あら残念,次はどに行こうかとなりますが,先ほどの和銅黒谷が気に入ったので,長瀞から下り列車で先ほど来た線路を戻ります。14分の乗車で和銅黒谷着,なんとここも貨物列車は到着済です。到着済どころか,上りのホームにも川側の退避線にも貨物列車が来ていて,大賑わいです。泣く泣く今日3回目の貨物列車の発車シーンの追いかけ撮りです。今度来るときは,もっとよくダイヤを調べて,ちゃんとした写真を撮りたいと思います。

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和銅黒谷でも貨物列車は到着済 @和銅黒谷

 よく解釈すれば貨物列車の時刻が分かったので,へんに移動せず,この界隈の絵になるポイントで待っていれば上り下り1本ずつの貨物列車が撮れるということです。夕方5時も過ぎたので,引揚げにかかります。和銅黒谷17:10の列車に乗れば,17:38に寄居に着きます。

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帰りの列車はもと都営6000系の5000系 @和銅黒谷

 寄居からは来るときのルートの逆で,先ずは東上線末端部のチョン行で小川町に出て,東上線経由池袋へ上ります。東上線末端のチョン行列車は今度は8000系のオレンジとベージュの復刻塗装車です。この2色塗装は僕が小学生頃の塗色で,練馬の祖父の家への道々で見たことはありましたが,馴染みのある色ではありません。

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東上線末端部はオレンジとベージュの復刻塗装の8000系 @寄居

 小川町では4分の接続で18:14の川越特急池袋ゆきに接続です。この列車は50000系のTJライナー用L/Cシート装備の50091Fです。せっかくのL/Cシート装備車で,東武としては指定席料金を取りたいところですが,休日の上りでガラガラ,料金を徴収するより快適性をアピールして,下りのTJライナーの利用増に期待というところでしょうか。いずれにせよ,TJライナーの送込みの川越特急は快適で,約1時間で池袋に着きます。

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東上線は川越特急で快適に過ごす @小川町,右下は車内

 池袋からは新都心線~東横線と直通し横浜に出て,根岸線に乗換え磯子に帰ります。東横線で安全確認があり,10分程度横浜着が遅れましたが,大勢に影響はなく,20:45,自宅最寄りの磯子駅着です。病み上がりではありましたが,今日は秩父界隈のあちこちで写真を撮りまわり,充実の1日です。欲を言えば,もう少し貨物列車を撮りたかったですが,作って持って行ったダイヤが不完全だったので仕方ありません。次回はもう少し時刻をサーベイして,出かけたいと思います。都心から1番近いSL列車は秩父鉄道のキャッチですが,SLだけでなく味のある貨物列車やセコハンの電車も走り,癖になってしまいそうです。(2023.7.9記)

白石川の一目千本桜をバックに写真撮り2023

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 今日は4月に行った船岡,白石川の一目千本桜での鉄ちゃん(鉄道写真を撮ること)を中心にご報告します。去年,4月8,9日の週末に南東北に鉄ちゃんに行った小旅行はこのブログにもアップ済(その時の記事)ですが,青春18きっぷの有効期間内(4月10日まで)に行こうとケチったばかりに船岡の桜はまだ2,3分咲きで残念な結果になりました。今年は桜の満開の時期を狙って,少々窮屈ですが,金曜日の終業後に出て,土曜日のうちに帰ってくる撮影行に出掛けました。

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3月31日桜木町駅の川村屋は終業 2023.3.31

 今年の桜は去年より10日位早いそうで,出発は(2023年)3月31日金曜日です。在宅勤務での仕事の終業後,自宅最寄りの磯子駅を17:44の根岸線列車に乗り,一旦桜木町駅で下車します。今日は年度末,いろいろなものが終わりになりますが,桜木町駅の駅そばの川村屋も終業です。ここは独立系の駅そば屋で,鰹出汁のきいたつゆは,名店の味でした。時間があれば川村屋のそばを一杯すすってと思って降りたのですが,名残を惜しむ人で長蛇の列です。仕方なく,横浜駅のいろり庵きらくで天ぷらそばを掻込んで,福島への旅に出ます。18:42の高崎線列車に乗れば,浦和で上野始発の宇都宮ゆき快速ラビットに接続します。

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福島ゆきの最終列車2157M @郡山 2023.3.31

 この時間になると列車の接続はよく,宇都宮4分,黒磯5分,新白河2分の絶妙な乗継ぎです。黒磯~新白河の4147Mはロングシート,ボックスシートが選べるE531系の5両編成,少々遅いですが,がらがらの車内で持参の葉山丼のお弁当をいただきます。23:59福島着,仕事の後に6時間15分かかって「前のり」の移動完了です。

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福島駅前風景。老舗デパートが終業 2023.4.1(以降全て同じ)

 翌4月1日は,前夜が遅かったので6:30前に起床,東横インの6:30からの朝食を食べてからの出発です。福島駅は高校時代以来東北ワイド周遊券1枚を握り締めて旅行したり,山形新幹線開業前の板谷峠に通ったりでとても懐かしい駅です。駅前の中合百貨店は江戸時代からの老舗ですが,デパート業界の経営環境は厳しく2020年8月に閉店し,暫くは市民プラザなどが入居していましたが,取壊しの工事が始まったようです。

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東北本線573M。昨晩の2157Mと同じ編成 @福島

 7:00前に駅に着き,仙台ゆきの普通列車に乗ります。後ろに701系の2両ユニットが増結されていますが,仙台のP34編成は昨晩,新白河から乗ってきた列車と同じ編成です。天気は雲1つない快晴で,今日の写真の成果を期待します。列車は福島盆地の中を暫く進み,藤田あたりからは急な坂を登って越河峠(国見峠)を越えます。福島盆地の景色といえば奥羽本線で赤岩(赤岩駅は廃止されたので今なら板谷)から峠道を下ってきて庭坂への途中から見下ろす車窓が好きですが,ここ藤田~貝田間で後ろを振返る車窓も遠くに吾妻連峰が見えて悪くありません。

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藤田~貝田では福島盆地越しに吾妻連峰を望む

 峠を越えれば沿う川は斎川で,阿武隈川の支流の白石川のまた支流です。福島以南も槻木以北も阿武隈川の拓いた平地を進むのにわざわざ峠を越えて別の川沿いを進み面倒な話です。阿武隈川に沿った現在の阿武隈急行のルートを通したかったが,明治の昔のこと,養蚕農家に煙を吐く汽車を忌避され,やむなくこのルートになったそうです。東北本線には十三本木峠などの難所がありますが,ここもSL時代は難所の一つでした。白石まで降りれば白石川と合流,景色も開けて左手には蔵王連峰がきれいです。

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白石を過ぎれば蔵王がきれい @白石~東白石

 大河原を過ぎると白石川沿いになり,川の両岸に一目千本桜の景色が展開します。列車は仙台への通勤時間帯にあたるので減速サービスは「なし」ですが,桜の景色をお楽しみくださいとの案内です。7:53,時刻表どおり船岡着,これからひと暫く鉄ちゃんを楽しみます。桜のほうも昨日は5分との情報でしたが,昨晩から今朝にかけても暖かくほぼ満開です(10分では最初のほうが散り始めるので8分ぐらいが満開らしい)。

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船岡駅からしばた千桜橋の間で

 去年も来ているので勝手は分かっており,船岡城の城山を登るよりしばた千桜橋からのほうがアクセスが良い気がします。また,歩いている間にも貨物が来そうなので,駅の陸橋で線路を渡り,堤防上の道を行きます。道中は満開の桜並木で,無理をしてでも来た甲斐あったと思います。貨物列車が来たら写真を撮ろうと準備して歩いていたつもりでしたが,いきなり来た1本は撮りそこなってしまいます。EH500の若番号の黒帯車だったので,残念なことをしました。旅客列車は時刻が分かるので,側面逆光ですが,桜が入るところで構えて撮ったのが上の写真です。

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EH500の牽く貨物列車。しばた千桜橋で

 しばた千桜橋に着けばたくさんの人が写真を撮りに来ていますが,割込む余地がない程ではありません。自分の好きなアングルを選ぶことはできませんが,下の写真程度ならなんとか割込むことができました。そういえば,今年の貨物時刻表はおまけの1時間目ダイヤがついていません。このため写真に列車番号はつけていません。

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EH500の牽く貨物列車。船岡城址公園・樅ノ木は残った展望デッキで

 橋の上から貨物列車2本が撮れたので,橋を渡って船岡城址公園に移動します。橋を渡り5分も登れば樅ノ木は残った展望デッキに着きます。ここは鉄ちゃんをする場所というよりは花見の場所で,土曜日の朝ですがそんなには混雑していません。周囲の人や工事の足場の鉄棒などを避けつつ場所を決めます。今年の場所は機関車の後ろに僅かに木立ちが入いる,列車全体が入らないのが残念ですが,残雪をいただく蔵王の山もきれいで上等です。

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しばた千桜橋の様子

 参考まで,しばた千桜橋の様子を載せておきます。もう少し左向きに撮ればよかったですが,ぎゅうぎゅうに混雑している訳ではないことが分かると思います。土曜日の朝なのでこれから,また,日曜日は人が出て来るのかもしれません。鉄ちゃんの視点でいえば,午前の真ん中8:00~10:00頃が順光で貨物列車も多いです

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しばた千桜橋より船岡駅側の様子

 僕は山バックが好きなので蔵王が入る側で撮りますが,昼前からはこちら側が順光になります。白石川と桜だけなら,この向きも悪くありません。

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縦位置での写真。旅客列車は4~8連

 最後にこの場所で撮った旅客列車を1枚付けておきます。スズキの看板が少々うるさいですが,絵葉書にしたいような写真です。

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白石川の一目千本桜は植樹100周年だそう

 そんなに長時間いた訳ではないですが満足な写真が撮れたので船岡を後にします。帰りはお花見かたがた船岡城址公園のだらだら坂を下ります。途中で上の看板を見かけましたが,河川敷の桜はまだ100年だそうで意外と新しいです。

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船岡駅ホームで

 駅に着けば,ホームから見る線路も桜満開です。多少,早めに着いたのでホームをぶらぶらしているとちょうど下りの貨物列車がやってきます。架線柱やら下草が邪魔ですが,駅撮りとしては悪くありません。

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船岡駅横にはED71-37+オハフ61-2527が保存されている

 去年は気づかなかったのですが,船岡駅の母屋の南側にはED71-37とオハフ61-2527が保存されています。ED71は東北地区に初めて投入された交流機の量産形式です。ED75世代の僕にはよいイメージはありませんが,歴史的には価値があるのでしょう。ED71-1が利府に保存されていましたが,近年解体されてしまったので,現存するED71はこれ1両です。なお,PCBや水銀対策で中の機器を取り出したのか線路側の車体には大きな開口跡があるので,写真を撮るなら駅前広場側のほうがきれいです。

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白石駅の煉瓦積み燃油庫

 去年は船岡の桜の後,北白川~東白石でもう1か所鉄ちゃんをした後,水郡線まわりで帰りました。北白川~東白石のポイントはやはり蔵王バックでSL時代からの撮影名所ですが,足場が悪く,今年はやめにします。代わりに東北本線の交流区間で2か所のポイントを選び,鉄ちゃんしながら帰ります。途中,乗換えの白石にはランプ時代の煉瓦積み燃油庫が残り,ホーム越ですが写真を撮ります。以前は,週末限定で内部を公開していたと思いますが,今日は扉が閉まっています。いつか覗いてみようと思っていたので,公開やめであれば残念です。

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東福島~福島を行く貨物列車

 途中の撮影地1は福島市内,福島交通飯坂線の美術館図書館駅の近くです。福島ではお昼ご飯にミスタードーナツを買って,福島交通の列車に乗ります。福島のミスドですが,たしか昔は道路の向かい側にあり,24時間営業だった時期もあり,さんざんお世話になった僕としては馴染みのお店です。

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卸町~福島を行く阿武隈急行の列車

 電車で2駅,美術館図書館駅でおりれば,撮影地はすぐ近くです。踏切脇の用水路に電力会社の事情で蓋がしてあり,スペースは広くないですが安全に写真が撮れます。市内なのでこれはという背景はありませんが,ほぼ直線で長大編成の貨物列車でもすっきりと撮れます。また,阿武隈急行の列車と福島交通飯坂線の列車も撮ることができます。ただし,線路間にロープが張ってあり,これが玉にキズです。

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美術館図書館~曽根田を行く飯坂線の列車

 福島交通は単線の15分ヘッド運転なので頻繁に列車が来ます。1980年代以降は自社発注の電車はなく,代々旧東急車が運用され,5000系青蛙,ステンレスカーの嚆矢の7000系に続き今は3代目の1000系です。

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なぜか紫帯の701系が来ました

 JRの旅客列車は福島・宮城の県境を挟む区間のため概ね1時間ヘッドで多くはありません。今日は郡山工場の入場車か試運転か紫色の帯の701系がやってきます。ここは上り列車主体のポイントで,下り列車は手前側の線路を通るため下のようになってしまいます。曇りの日なら踏切の反対に行けば似たような写真が撮れると思われます。

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同じ場所で下りの貨物

 この近辺では東北新幹線は320km/hのトップスピードで走る区間が多く,その写真を撮ろうと去年は桑折や藤田まで撮影地を探しに行きましたが,なかなか良い場所はないようです。今日は写真を撮っていると,遠くの高架を200系のリバイバル塗装をまとったE2系が走って行くのが見えます。上りの貨物を1本しか撮れなかったのが残念ですが,1時間ちょっとをこの場所で過ごし,引揚げにかかります。

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遠くの新幹線高架を200系塗装のE2系が行く

 来るときは電車に乗りましたが,美術館図書館駅より南に来ており,また駅に戻るのもぞっとしません。歩いても約1.5km20分と見たので150円の電車賃節約も兼ねて,福島駅まで歩くことにします。途中,曽根田駅の駅前を通りますが,この駅は約1年前に「古き良きものを残していこう」という考えのもと1942年(昭和17年)の建築当時の姿にできる限り改修したそうです。これは記事を書きつつ調べたことですが,構内にある7000系電車は「お休み処ナナセン」だそうで,今度はゆっくり訪ねようと思います。

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福島交通の曽根田駅

 目論見どおり20分くらいで福島駅に着けば,飲み物を買って新白河ゆき2140Mに乗ります。年度の変わり目で人の動きは多く,ぼつぼつ混んだ列車で東北本線を2時間弱上り新白河に着きます。

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新白河の乗換えは縦に並んだ平面乗換え

 新白河は新幹線開業前は磐城西郷(にしごう)といって何もない西郷村所在の駅でしたが,40年でだいぶ変わりました。白河市の中心の白河駅が1面2線の小規模な施設のこともあり,数年前からは白河越えの交直流電車と以北の交流電車の結節点になりました。以前の中線を真ん中で仕切って2つのホームとし,階段なしで乗換えられるようになっています。そういえば赤いカミナリマークの架線終端標識がないので,架線は繋がったままなのでしょうか。

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黒磯~新白河の交直接続区間はE531系3000番台の5両編成 @白坂

 交直両用のE531系に乗換え,最初の停車駅,白坂で降ります。今日最後のポイントは白坂~豊原間です。インターネットで探してあたりをつけ,この辺かなと思われるところを歩き回りますが,景色が開けて貨物列車が撮れるような場所には行きつけません。以前にもこの近辺ではレンタカーまで借りて撮影地探しをしましたが,たどり着けなかったことがありました。北斗星が走っていた頃はたくさんのマニアが来たようですが,機関車列車は貨物しかなくなり,マニアの来訪数も減ったようです。とくに鉄道写真の撮影地探しに限れば,下草の繁茂など現況が変わることは多いです。結局,30分位さまよった後,諦めて駅に戻ります。

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EH500-8の牽く貨物列車 @白坂

 貨物時刻表の情報ではここで2本撮れるはずだったのですが,上りの貨物は1本しか来ません。前面窓下に黒い部分のある1次形だったのでまあ善しとしましょう。朝は快晴でしたが,この辺りでは那須方面の西の空は雲が出てきました。陽も暮れてきたので,今日の鉄ちゃんはおしまいにします。

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白坂駅

 白坂からは先ほど乗ってきた列車の1本後の黒磯ゆきに乗り,東北本線を上ります。黒磯では軽く晩酌をしようとNEWDAYSに行きますが,営業時間は平日の6:30~10:30と驚きの設定です。先ほどの新白河とは対照的で,黒磯は新幹線が止まらなくて寂れた駅の代表格です。5分の接続の宇都宮でビールと肴を仕入れ,帰りも浦和,横浜乗換えで21:09,磯子に帰着です。
 最後の白坂はちょっと失敗でしたが,今年は満開の桜と共にEH500の牽く貨物列車も撮れ,いわゆる1泊1日の撮影行でしたが,まずまず満足です。黒磯~白河の那須高原~白河越えの区間は好きなエリアなので,よく下調べをしてまた行ってみたいと思います。(2023.6.11記)

2022年夏のアクティビティ1--武蔵野線で貨物列車の写真を撮る140円旅行

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 2022年の夏休みは北海道旅行を計画しましたが,重症化するケースは少ないもののこれまでにない新型コロナの感染拡大が続いているので,予約は全部キャンセルで家の周囲で大人しく過ごしました。小粒な記事が多いのがこの夏ですが,夏のアクティビティ1として,7月2日土曜日に行った武蔵野線への貨物列車の撮影行をお届けします。少し前の6月18日に行った千葉方面の140円旅行の帰りに武蔵野線をまわって帰ったこと,貨物列車の写真撮りに行きたくなったことを書きましたが,2週間後にさっそく実行です。

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今日のきっぷ

 武蔵野線は元々は国鉄時代に東京都心部への貨物列車の集中を緩和するためのバイパスルートとして貨物列車主体で計画された線区です。僕が高校生の頃は本当に武蔵野の風景で,緑豊かな丘陵地を101系電車がモーター音を唸らせて,ピョンピョン跳ねるように走っていました。今は東京近郊のベッドタウンが拡大し,武蔵野線の沿線にも多数の戸建て住宅やマンションが建つようになりました。それを受け武蔵野線の電車も増発が続き,今では10分間隔が基本のダイヤになっています。また,西船橋側では京葉線と接続され,東京駅への直通列車も運転されています。更に,沿線人口が増えたり,大きな商業施設ができたりして,駅間の広かった区間では中間に駅が新設されました。

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武蔵野線の旅客列車。209系500番台 @新座 2022.7.2(以下全て同じ)

 発展著しい武蔵野線ですが,貨物列車のバイパスルートの役割は変わっておらず,東北本線から東海道線に直通する列車など多数の貨物列車が走っています。一方,計画時と今では貨物列車の輸送体系が変わり,操車場で貨車を解結,組成,継送する方式から,編成単位で直行する方式になりました。武蔵野線上にはいくつかの大きな操車場がありましたが,新鶴見が信号場になってしまったのを筆頭に,消滅,再開発に供されています。今の列車ダイヤを見ると,10分間隔で並ぶ旅客列車の隙間に1本ずつ遠慮がちに貨物列車を挿し込んでいるようで,JR東日本,JR貨物間のダイヤの調整も大変だろうと思われます。

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武蔵野線の旅客列車。E231系1~ @吉川美南

 さて,当日7月2日土曜日はぼつぼつ起き出して,自宅最寄りの磯子駅を8:22の横浜線直通列車で出発です。武蔵野線に乗るので西国分寺に出ればよいのですが,駅間が短くちんたら走る南武線を嫌い,直通列車にも恵まれた横浜線経由を今日は選びます。磯子駅に着くと,ダイヤが乱れていて8:14の大宮ゆきがまだ来ていません。8:20過ぎにこの列車が出てゆき,更に8:19の南浦和ゆきもあるのですが,ここは発車順が変更され,次が8:22の八王子ゆきのようです。

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磯子からは八王子ゆきの直通列車を利用(左)。発車順を変えての発車

 遅れていた大宮ゆきが出ると直ぐに八王子ゆきが入線,この列車は僅かな遅れでの発車です。横浜線へダイヤ乱れの影響を持込まない配慮と思いますが,意外と柔軟に運転の調整をするものです。また,列車のすぐ前には大宮ゆきがいるはずですが,東神奈川まで頭を押さえられることもなく,順調に走ります。新幹線以外では山手線,京浜東北線,根岸線にしかないデジタルATCの威力と思います。

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八王子では東京メトロ18000系の甲種回送を見かける

 横浜線を乗り通し八王子に着けば,南側の機関区跡の構内に東京メトロの18000系が止まっています。甲種回送のようで珍しいものを見ることができました。八王子では12分の接続で,八王子と大宮を武蔵野線経由で結ぶ「むさしの号」に乗換えです。時刻表をペラペラめくっているうちに気付いた乗継ぎですが,磯子から東所沢まで乗換え1回は絶妙の乗継ぎです。このような乗継ぎは紙の時刻表があるからこそと思います。

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八王子からは武蔵野線直通の「むさしの号」利用

 武蔵野線各駅は先般6月18日に来た時にロケハンしたつもりですが,夜でもあり不十分なので,かぶりつきで乗って,気に入った駅で降りる計画です。今日は140円旅行なので途中下車・改札から出ることはできず,全て駅撮りです。尤も,武蔵野線は殆どの部分が高架で,防音のため壁は高く,写真を撮りづらい路線です。インターネットでお立ち台を探しても,駅間のこれぞ!というところは少なく,意外と駅撮りのポイントが多いのが特徴です。

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立川~新小平は保線の社員も同乗

 八王子から「むさしの号」でかぶりつき乗車をしていると,立川から保線の社員が乗ってきて,ビデオカメラをセットし線路の様子を録画します。小型のビデオカメラが普及し,小さく軽くて持ち運びも便利になりました。この作業をしているのは女性の社員で,保線=力仕事=男の職場という固定観念も変えないといけないようです。国立から新小平の間は定期列車も少ないので,この列車がビデオ撮り列車に白羽の矢が立ったようです。新小平駅自体は僅かな明り区間ですが,国立の先でトンネルに入ってから,新秋津の近くまで随分長いトンネル区間です。

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各駅ホーム端には写真撮影者向けの注意掲示が。吉川美南駅のもの

 新秋津を過ぎれば線路は高架が主体になり,写真も撮り易くなります。先ずは東所沢で降りますが,なかなか気に入った構図になりません。早々に引上げ,1駅乗って新座で降ります。ここは上り方はいい感じにカーブ,下り方はほぼ直線ですが少し遠くにカーブがあり,両側ともよい写真になりそうです。駅撮り写真家が多いのかホームの端には,撮影者向けの注意書きが掲出されています。武蔵野線の各駅はどこも似たような掲示がある所が多いです。見本かたがた1駅だけ,吉川美南駅のものを載せておきます。

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4095レ(東京(タ)~千葉(貨)) @新座
(列車番号は貨物時刻表からの読取りなので正しくない場合があります)

 ここからひと暫く,新座駅で撮った写真を載せます。探せば他にもよい駅はあるのでしょうが,今日はこの駅が気に入り,なんやかんやで2時間以上滞在します。ふつうの旅行者なら気に入らなければ10分に1本列車があるので戻ればよいのですが,今日は140円旅行なので順方向に進むだけで,戻ることはできません。なので,滞在する駅の選択は慎重になります。

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3064レ(札幌(タ)~東京(タ)) @新座

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列車番号不詳 @新座

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3093レ(根岸~倉賀野) @新座

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3078レ(小牛田~新座(タ)) @新座

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75レ(東京(タ)~隅田川) @新座

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2088レ(酒田~東京(タ)) @新座

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8765レ(東京(タ)~倉賀野) @新座

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4074レ(倉賀野~川崎貨物) @新座

 12:50,たっぷり写真を撮ったので,次の撮影地に向かって出発します。北朝霞で降りて周囲を見ますが,あまり気に入らず,次の電車で西浦和に移動します。途中で貨物列車とすれ違いますが,この列車は機関車次位に回送のEF210を連結しています。西浦和は与野・大宮方面からくる短絡線が合流し,下り側ホーム端が撮影ポイントのようですが,今日は列車と縁がありませんでした。ところで武蔵野線の貨物列車ですが,東北本線から東京貨物ターミナルゆきや東海道線へ抜ける列車が多く,西浦和より東の区間では列車の数が圧倒的に減ります。国鉄が武蔵野線を計画したときは常磐線も東北本線のバイパスルートとして機能し,新松戸には馬橋や北小金から南流山への短絡線がありますが,ここを走る列車は多くありません。ゆえに,量をこなすなら新秋津から西浦和の間がお薦めということになります。

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8764レ(倉賀野~東京(タ))機関車次位にEF210を連結 @北朝霞~西浦和

 西浦和に続き,南浦和へ電車で2駅移動し,降りたついでに駅そばでお昼にします。南浦和も写真は撮れそうですが,ビルが建込んでいて,背景が今一つです。電車に乗って次は南越谷に向かいます。南越谷も電車は降りましたが気に入らず,次の電車で越谷レイクタウンを目指します。越谷レイクタウンはなかなかよい感じなのと,もたもたしていると貨物列車が来てしまうため,1本はここで撮ることにします。武蔵野線の電車は10分に1本とはいえ,今日は一度もかぶることなく,写真を撮れています。次に来るのは東邦亜鉛の専用ホッパ車を繋いだ安中貨物ですが,ここで大かぶりになりそうです。ほとんど諦めモードだったのですが,貨物列車はえらくゆっくり走って来てくれて,下のように上手くかわすことができました。なお,越谷レイクタウン駅ですが,反対の上り側もすっきりとした写真が撮れるようです。

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5094レ(小名浜・泉~安中) @越谷レイクタウン

 越谷レイクタウンの次は電車に2駅乗って,吉川美南で降ります。ここは2012年開業の新設駅ですが,2面4線のホームを持ちます。構内が広いせいかゆったりとした雰囲気の写真が撮れそうです。最初のほうに載せたE231系電車の写真がここで撮ったものです。ここでは電車2本をおとしましたが,これは失敗でもう1本待てばよかったです。武蔵野線東側の貴重な貨物列車とすれ違ってしまいました。

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89レ(隅田川~南松本) @吉川美南~新三郷

 新三郷はスキップし,次は三郷で降ります。ここは下り方は江戸川の鉄橋と接していて,鉄橋を渡ってくる列車を撮ることができます。鉄橋の造作がうるさいと思う向きもありそうですが,好みの分かれるところです。

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1094レ(神栖・鹿島スタジアム~東京(タ)) @三郷

 この1094レの後は1時間近く貨物列車はありません。今日の収穫に満足して,引上げにかかります。三郷から東京ゆきの電車に乗れば少々遠回りですが52分で東京駅まで帰れます。最初に書いたように,新松戸から先は少し遅れて開業した部分ですが,貨物列車は少なく7:00~17:00の撮影有効時間帯に7本しかありません。西船橋で少し止まって時刻を調整後,列車は京葉線に入ります。

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帰りの武蔵野線列車,1527E @西船橋

 土曜日の夕方ですが,車内は空いていて,ゆっくり景色を眺められます。舞浜まで来ればディズニーランドのランドスケープも見えてきます。ディズニーリゾートからの帰りのお客さんも少なく,車内は全員が座れる程度の入りです。17:00,東京駅着,いつもの長い通路を通って京浜東北線に乗換え,ひとまずは東神奈川を目指します。今日の140円旅行は磯子を出て,八王子から武蔵野線をぐるりと一回りし,2度目の東神奈川に来るまでが「往路」です。

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今日はゆっくりディズニーランドを見られた

 東神奈川では無効印をもらって出場し,すぐまた帰りのきっぷで入場します。19分の乗車で18:15,スタートの磯子駅に帰着です。140円旅行には違いありませんが,今日は武蔵野線内の9駅で,乗ったで降りたでと写真撮りをしました。すべて駅撮りなのでこんなもんでしょうという程度の写真ばかりですが,力強い電気機関車各形式の牽く貨物列車の写真が撮れました。今度は逆回りにも挑戦したいと考えています。(2022.8.5記)

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今日のGPS log。武蔵野線内の乗り降りした駅でマーカーを置きました(一部忘れあり)

2022年5月連休のアクティビティ2--新緑の秩父で写真撮り

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イメージ。画像編集しています。詳細は本文参照

 2022年のゴールデンウィークはカレンダーの並びがよく,僕の勤める会社では10連休になりました。また,世間では2年ぶりの行動制限のないゴールデンウィークということで,行楽地は賑わったようです。わが家はこういう時期は混雑するし,費用も高いので出控えモードですが,10日間家から出なくては蒸れかえってしまうので,1日は秩父鉄道に鉄ちゃん(僕はこの言葉を狭義に使っていて鉄道写真を撮ること)に行ってきました。

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秩父鉄道・昭和ヒストリー記念乗車券(第二弾)タブレット型乗車券

 さる4月4日から秩父鉄道は昭和ヒストリー記念乗車券(第二弾)のタイトルで,タブレットを模した記念乗車券を売りました。このきっぷは昔の鉄道の安全のかなめのタブレット閉塞装置で使われたタマを模したもので,秩父鉄道いわく「亜鉛合金製で重厚感のあり,限りなく本物に近いように仕上げ(ママ)」たものです。なお,券種は秩父鉄道の旅客営業区間全線にあたる羽生~三峰口間の往復乗車券です。たまたまネットサーフィンしていて見つけて1こを買ったのですが,2,140円もする記念乗車券,使わないともったいないので今回の秩父行を決めました。

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秩父鉄道のフリーきっぷの品揃え

 秩父への足ですが,横浜からだと東急線西武線まるごときっぷ(東横線,副都心線経由の往復と西武線フリー乗降で横浜から1,850円)が使えるので,当初は西武線経由で計画しました。しかし,秩父鉄道も地方の中小鉄道事業者で,往復乗車券でカバーされない区間を行ったり来たりする費用が高いことが分かりました。結局,そんなことならJRの休日お出かけパスで寄居や熊谷からアクセスした方がよいとなりました。一方,現地に行ってみると,秩父鉄道はフリーきっぷの品揃えが充実しています。参考まで上に簡単にまとめましたが,次回はこれらを使うのがよさそうです。そもそも今回は記念乗車券の消化が目的ですが,この記念乗車券はネット通販限定商品で,実際の使用には消極的だったようです。

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今日の出発は磯子駅6:58の636B

 出かけたのは5月3日火曜日です。わが家最寄りの磯子駅6:58の列車に乗れば,東神奈川乗換えの横浜線で8:16に八王子に着きます。八王子からは8:31の八高線873Eで高麗川を目指します。3日前にも140円旅行で通った区間ですが,拝島から高麗川の何駅かは,天気がよければ富士山も見え,基地の縁を走ったかと思えば茶畑のなか,多摩川と荒川水系入間川の分水を越えたりと変化に富む区間です。

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箱根ヶ崎~金子の茶畑のなかを行く

 高い築堤から入間川を越えれば西武線をオーバークロスして東飯能,次はもう乗換えの高麗川です。僕の憶えでは通常は川越ゆき列車は高麗川で駅舎前の1番線に着きますが,今日の列車は3番線着です。高崎ゆき233Dは2分の接続で,短い乗換えの便が図られているようなホーム使用に好感です。ところが高崎ゆきの233Dは連休の行楽かひどい混雑で,立っている人が50人位の乗りです。これで高崎まで行くならやれやれですが,今日は寄居までなので我慢です。越生で多少の降り乗りがあり着席でき,高麗川から42分の乗車で10:02,寄居着です。

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高麗川では同一ホーム上乗換え

 寄居で降りれば先ずは今日のSL列車,パレオエクスプレスの席の確保です。ところが一般には連休の初日,上り,下りともSL列車は満席です。秩父鉄道のSL列車はマルスのような立派なSRS(座席予約システム)は持たず,パソコンの簡単なアプリで,全座席をこのシステムで販売します。ユーザ登録などが面倒で手を抜いたのが失敗でした。一方,SLに乗るといっても,SL初体験の子供連れとはわけが違うので,乗れなきゃ写真撮りに専念と頭を切り換えます。また,このあとレポートしますが,パレオエクスプレスはダイヤが寝ていて鈍行に抜かれるので,写真はたくさん撮れるのです。

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秩父鉄道の急行列車

 寄居からは今日の第1の撮影地,樋口~野上の緩カーブに向かいます。10:16の急行で野上まで行って戻るか,10:30の普通列車で樋口に出るかが選べます。10:30の列車のすぐ後に貨物があるので,なるべく早くに撮影地に着きたいです。この3月12日からPASMO導入記念と称して急行料金免除中です。面倒な急行料金収受の仕組みの開発投資をケチったのだろうと勘ぐってしまいますが,秩父鉄道の急行は短距離の利用も多そうで助かります。ありがたく100円得した気になり,10:16の急行を選択です。列車に乗れば,樋口の先は車窓に目を凝らしロケハンに励みます。今日はSLが走るのでここと思しき所には既に2,3人がカメラを構えています。

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露払いの貨物。僕にとっては準本命

 野上に着けば,国道沿いに今通ってきたルートを歩いて戻ります。せっせと歩いて小汗が滲むころ,先ほど確認した撮影地に着きます。途中で寄居発10:30の列車と行き会ったので,着く時間は大差なく,沿線をロケハンできた分よしとしましょう。列車から見たときより人数が増えて10数人の先客でいますが,ご挨拶して仲間に入れてもらいます。

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本命のSL,パレオエクスプレス

 この場所は以前は線路の反対側からアウトカーブの構図で撮るのが順光で王道だったのだと思います。「危険!線路に近付かないで」などの看板が建ったので,今は側面逆光ですがこちらから撮るのが主流のようです。背景の山もきれいで,ここでも文句はありません。黒いSLの露出は難しく,僕にはこんな程度が限界です。

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線路の反対,順光アウトカーブ側で。元都営6000系の5000系

 順光のアウトカーブ側にもカメラを構えている人がいるので近くの人に行き方を尋ねると,野上側でも樋口側でも少し歩けば踏切があり,意外と簡単に行けるそうです。警官が見張っているので線路を横断するのはNGで,先般も中学生が捕まって保護者が呼び出されたとの情報もいただきます。SL列車が行ってしまうと線路のこちら側の皆さんは引き揚げてしまいましたが,僕は貨物狙いなのでもう少し粘ります。せっかくなので少し樋口側に進んで踏切を渡り,順光アウトカーブ側に足を延ばします。先客の2人は縦位置で引っ張って看板をかわすそうですが,看板は意外と小さいので,強引に看板ごと王道のアングルに挑戦します。上の5000系がそのアングルで撮った写真ですが,個人で楽しむ分にはこれでも十分と思います。画角に入る位置に看板が建ったという情報は来る前から知っていましたが,野建ての広告看板でも建ったのかと思い,こんな注意の看板とは思いませんでした。このブログの写真はネット表示用に解像度を下げているので少々のアラはごまかせます。今日のとびらの黄色い機関車の写真はここで撮ったもので,レタッチソフトで邪魔な看板を消してしまいました。こんな所作は初めての挑戦でしたが,意外と簡単--5分もかからない--で,癖になりそうです。

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樋口駅へ帰る道々,踏切の近くで元東急8090系の7500系

 機関車がド派手な黄色なのが少し残念ですが,まずまずの成果が得られたので,この場所は引揚げにかかります。途中,上りの電車が来るので,先ほど渡った踏切の近くで軽く鉄ちゃんします。僕は1972年~86年頃東横線沿線に住んでいたので,秩父鉄道の電車は東急OBも多く,懐かしいです。

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ED500+ヲキ列車

 約2時間をこの界隈で過ごし,樋口12:38の下り列車でSL列車を追いかけます。羽生~樋口間を放棄した形になり勿体ないですが,この区間は記念乗車券の往路の位置づけです。列車を待っていると,反対の野上側から貨物列車がやってきて川側のホームのない線路に停車します。秩父鉄道の旅客列車は2両か3両ですが貨物列車は編成長が長く,各駅は長い貨物列車を収容するため独特な構内配線です。

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樋口~三峰口~白久は元東急8090系の7800系

 やってきた電車は元東急8090系の7800系です。先ほど駅への途中で見た7500系は8090系オリジナルのお顔をしていましたが,こちらは8590系似のブラックフェイス,貫通扉なしの改造先頭車です。この電車に小1時間の乗車で,13:29,終点の三峰口に着きます。家を出るときは帰りはSL列車の計画でしたが,今日は満席なので,帰りもSL列車の写真を撮りながらの行程です。電車賃の節約を考えると近くのほうがよいので,先ずは三峰口から1駅下った白久駅にします。

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SL発車前の三峰口駅の賑わい

 出札窓口はSL列車のきっぷを買う人で渋滞している--発券のシステムがしょぼいので,一人当たりの処理時間がかかるのです--ので,不本意ですが自動販売機で170円のペラ券を買い,三峰口滞在18分で上り列車に乗ります。改札口を入れば,隣のホームではSL列車が発車の準備を整えています。

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秩父鉄道のSL列車,パレオエクスプレス。白久駅構外の踏切で

 先ほど乗ってきた元東急の懐かしい電車で1駅上り,白久で降ります。ホームに立てば今通ってきた線路が見渡せ,よい感じにカーブしていますが,残念ながら完全に逆光です。インターネットの情報では逆光なので曇りの日向きと書いてありましたが,そのとおりです。せっかくきっぷを買ったので,無人の改札を通り,ホームの後ろを回って駅横の踏切の近くで構えます。新緑の秩父の谷あいを行くSL列車はあいにくの逆光ですが,こればかりは何ともなりません。今日もたくさんの趣味者が繰り出していたようですが,皆なよく知っていて,こんな場所でも僕1人しかいません。

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白久~樋口も元東急8090系の7500系。こちらは白久駅のホーム撮り

 もう1本,自分の乗る列車を撮って,白久を後にします。この列車は長瀞でSL列車に追いつくので,その先,SL列車の終点の熊谷までのどこかで,もう1回SL列車を撮るチャンスがあります。どこでもよいのですが,持っているきっぷは途中下車前途無効なので駅から出ることができません。一方,早めの駅だと下りの貨物の期待もあります。少々安直とは思いますが,午前中に写真を撮った樋口なら野上方のホーム端から写真を撮ることはできそうです。

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秩父鉄道標準塗装のELの牽くホッパ列車 @樋口

 15:16頃,樋口着。ホームに降りてSL列車の写真を撮る準備をしていると,反対方向から貨物列車がやってきます。これはしめたで撮ったのが上の写真で,駅撮りにしては上出来です。続いて本命のSL列車は相変わらず逆光ですが,今来た貨物の機関車も入って秩父鉄道らしい写真になります。

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再び秩父鉄道のSL列車,パレオエクスプレス @樋口

 SL列車の後には急行列車も来るので,これも撮って,帰途に就きます。秩父鉄道の急行列車ですが元西武101系の6000系で運転されます。この電車は中央扉を埋め,シートはどこかの発生品のリクライニングシートがボックス(4人掛け),ロマンス(2人掛け)混在の固定配置に交換されています。外から見ると4連の2段窓の間に大きな固定窓が配され,キョーレツな改造車の印象です。

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6000系で運転される急行「秩父路」 @樋口

 急行に続き,上長瀞で急行に抜かれた普通の羽生ゆきが来るのでこの列車に乗ります。秩父鉄道の線路はほとんどの駅が交換や退避が可能で,樋口の写真でも分かるように,有効長の長い通過線は上下両方向に使え,融通がきく線路施設です。考えようによっては贅沢な設備でもあり,経営上は負担かもしれません。

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樋口~羽生は元都営6000系の5000系 @樋口

 寄居を過ぎると車窓は急に開けて,関東平野のただなかを走るようになります。深谷ネギの畑などを見ながら走り,貨物列車のヤードが広がれば武川です。武川ではEL達が夕方の陽を浴びて休んでいます。石原では今日の仕事を終えて引揚げてきたSL列車と交換,16:43に熊谷に到着です。ここから高崎線で帰れば早いのですが,手にしているきっぷは羽生ゆき,せっかくなのでこのまま羽生まで乗ります。

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武川に休む秩父鉄道のELたち

 熊谷を出ると列車は熊谷,行田,羽生の市街地を走り,郊外電車の風景です。めぼしい車窓風景がある訳でもないので,SL列車が熊谷止まりなのも分かる気がします。自分の記憶でも熊谷以西は何度か乗ったことがありますが,この区間は初めてかもしれません。左の車窓の遠くには赤城山も見えて,僕は3日前にも来たばかりですが,ふつうなら群馬が近いなと感じることでしょう。

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秩父鉄道の起点羽生で。元都営6000系の5000系

 17:07,列車は時刻表どおり終点の羽生に着きます。ふつうならきっぷに無効印をもらって出場ですが,今日のきっぷは金属製のタブレット,回収はあり得ないので,断ってそのままいただいて帰ります。羽生から510円払って熊谷に帰るのももったいないので,東武に乗換え久喜まわりで帰ることにします。東武伊勢崎線もこの辺まで来ると列車が減り,次の列車は19分の接続で久喜ゆきです。

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羽生からは久喜まわりで帰る。電車は東武10000系 @羽生

 久喜では10分の接続で,湘南新宿ライン回りの逗子ゆきに乗換えます。今日は1日たっぷり秩父鉄道で遊び,成果もあったので,帰りの列車では軽く晩酌です。この連休は行動制限なしらしいので,しばらく控えていた(?)車内の一杯も復活です。一杯飲んで,今日の反省をして,メモやお小遣い帳をまとめれば1時間半の乗車はあっという間で,19:22,横浜着です。根岸線に乗換えれば,15分の乗車で自宅最寄りの磯子に帰着です。

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帰りは湘南新宿ラインで久喜~横浜一直線。列車は2549Y @大宮

 タブレットのタマが欲しくて買った記念乗車券ですが,それを使いに三峰口まで行き,たっぷり秩父鉄道を楽しむことができました。記念乗車券以外の区間も何区間か秩父鉄道に乗り,少しは北埼玉地域にお金も落としました。まんまと秩父鉄道に乗せられたような気もしますが,楽しい1日でした。秩父鉄道は列車の頻度もそこそこあり,貨物列車も走っていて楽しめる鉄道と印象を新たにしました。

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今日のGPS log

 今年の夏はどこにも遠出の予定がないので,夏休みの間にまた秩父へ鉄分補給に行ってみたいと思います。(2022.5.28記)

青春18きっぷで春の南東北へ小撮影行

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 今日は4月に行った南東北(東北本線金谷川~船岡)への小撮影行について書きます。コロナ禍はなかなか終息せず,不要不急の遠出は憚られますが,緊急事態宣言が出ている訳でもなく,取材のためなどと口実をつけての旅行です。そういえば,2021年7月に山陰から敦賀,10月に東海道徒歩き,2022年に入って1月に北海道とちょうど3か月ピッチで旅行に出ています。どうやら僕は3か月大人しくしていると鉄分の補給が必要なようです。

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今回の行程表

 旅行の計画を始めたのは2月頃,今回行く場所は以前から行きたいと思っていた撮影地2か所です。1日目の金谷川の高架橋はバックの吾妻連峰がきれいなところで,1年半前に行って,今度は山に残雪がある時期に来たいと思っていました。2日目の船岡の一目千本桜は超有名なお立ち台ですが,同時にお花見スポットでもあります。40年以上前の高校生の時から訪れたいと思っていましたが,桜の時期は学生にせよサラリーマンにせよ新年度が始まったばかりで休みがとりづらく実現していませんでした。最後の北白川は,船岡の桜が空振りだったので急遽押込んだのですが,4年前に列車に缶詰めにされた場所です。旅行計画時は東京~東北本線~岩沼~常磐線~日暮里の一筆書ききっぷで4/15(金)~16(土)で計画していたのですが,船岡の桜の中期開花予想を見ると4/10(日)が満開とのことなので,1週繰上げました。1週早い4/8(金)~9(土)だと青春18きっぷが使えるので,圧倒的にお財布に優しいのです。

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出発は我が家最寄りの磯子駅6:13の560A @磯子 2022.4.8(以下,特記あるまで同じ)

 出発は(2022年)4月8日金曜日です。新年度が始まったばかりですが,現在の会社の部署は年度初めだからといって繁忙になることはなく,お休みもとり易いので,金曜土曜の1泊2日の旅行です。出発は我が家最寄りの磯子駅を6:13の560Aです。朝一番の東北本線の快速ラビットで行程を組み始めましたが,宇都宮,黒磯での接続が悪く,1本後の1524Eでも金谷川着は変わらないのです。宇都宮からは今度のダイヤ改正で投入されたE131系使用のワンマン列車です。従来の205系の4両編成から3両編成に輸送力が減りましたが,なんとか座ることができます。左の車窓は残雪をいただいた日光~那須の山々がきれいです。

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宇都宮で並ぶ黒磯~新白河のE531系と宇都宮~黒磯のE131系

 黒磯では駅近くのヨークベニマルに行って,お昼ごパンとおやつなどを買います。黒磯のこのお店は僕の東北方面の鈍行旅行では定番の補給基地です。黒磯からの直交接続区間は,以前は閑散時間帯に気動車列車もありましたが,今はE531系電車に統一されています。2M3Tの5両編成は若干,輸送力過剰のきらいはありますが,ボックスシートの車両も選べてとても快適です。左の車窓は那須岳で,山としては那須塩原あたりから見えるのは前座で,この辺りから見るのが那須5岳の中心と思います。

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この辺から見えるのが那須5岳の中心 @黒田原~豊原

 新白河で交流電車に乗換え,お隣の白河ではお城が見えます。昔の白河の記憶にお城はなかったので調べると,現在の天守は1991年に木造で再建されたものです。正しくは白河小峰城といい,盛岡城,(会津)若松城とならび東北3名城の一つだそうです。駅から見える二の丸にはまだ時期が早いようですが桜もあり,花見の時期は賑わうのでしょう。

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白河小峰城は駅からも程近い @白河

 新白河からの2131Mは福島ゆきで,郡山での乗換えがないだけ楽ができます。須賀川から先は中通り地方の中心部になり,郡山,本宮,二本松と古くからの市が続きます。左手の車窓には安達太良山がきれいです。12:17,列車は時刻表どおり金谷川に着きます。

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郡山の先では安達太良山がきれい @本宮~杉田

 金谷川では43-10の改正に合わせて整備された上り線用の高架橋で写真を撮ります。2020年夏にも来たので勝手は分かっており,駅前の県道の坂道を松川方面に下り,ガソリンスタンドのある大きな信号から脇道に入って高架橋の右側の坂道を登ります。駅からの所要時間は15~20分です。坂道は保線作業などにも使われると思いますが,民有地なのか柵などはなく,20人位は収容できそうな撮影場所です。場所によっては叢が邪魔になることはありますが,足元が坂なので列車を拝むような高さから俯瞰のような高さまで,高さを調整することもできます。今日は僕一人なので自由に設定できますが,人気の臨時が走る日は混みあってそうはゆかないのでしょう。今は他に誰もいませんが,何日か先の場所取りでしょうか三脚がセットされていて,雨をかぶらないように雲台がしっかりビニール袋で覆われています。

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EH500+コンテナ列車,3050レ @金谷川~松川(以下5枚同じ)
(貨物列車の列車番号は貨物時刻表の付録のダイヤからの推定なので不正確です)

 以下ここでの成果です。今日は着いたのが12:30過ぎですが,この時間では少し遅く,お顔に陽があたりません。前回は6:00過ぎから8:00まででお顔はピーカンですが側面にはほとんど陽が回りませんでした。陽射しだけを考えれば10:00頃がよいのだと思いますが,この時間帯は列車が少なく,効率のよい撮影はできません。

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EH500+コンテナ貨車の回送

 上より少し低い位置で,僕はこのくらいの視線が好みです。

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EH500+タンカー列車,5090レ

 この時間にはお顔は完全に蔭です。

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EH500+コンテナ列車(トヨタロングパスエクスプレス?),4052レ

 前面窓下が黒の1次車が揃ったコンテナを牽いてきました。今日で一番の列車ですが後ろ半分は空車です。

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E721系電車,1136M

 狙いは力強い機関車に牽かれた貨物列車ですが,電車も来れば撮ります。そんなこんなで今日はこの場所で3時間以上ねばりました。その間で2,30分の間だけは近くに住むご夫婦連れが写真を撮り来ました。挨拶かたがた会話をすれば,EH500の全号機制覇を目指して撮りためているそう,また,明日はE655系「なごみ」が走るそうです。よい情報が得られたと同時に,場所取り三脚の謎も解けます。

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帰りの金谷川駅。列車は1139M

 往きと同じ道を登って金谷川駅に着けば,ちょうど大学の4限が終わった時間で福島大学の学生でごった返しています。福島までは2駅ですが12分かかり,郡山盆地から福島盆地に向けての坂をかけ下りてゆきます。金谷川を出た少し後,南福島への車窓はなかなかのものです。

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福島~仙台を結ぶ新幹線代行の臨時快速 @福島

 ところで,この旅行は計画より1週間繰上げたことは最初に書きましたが,青春18きっぷが使えてお財布に優しい他,もう一つこの週末に南東北に来たい理由があります。被災されたかたがたには迷惑な話ですが,3月16日の令和4年福島県沖地震で東北新幹線が不通になっていて,東北本線(在来線)に臨時の快速が走っているのです。この列車は初めは郡山~仙台の運転でしたが,新幹線の復旧により福島~仙台になり,4月14日には速度制限はあっても新幹線が走れるようになるので,その前日で運転終了です。僕は福島から仙台の近くへ移動しなければならず,こういう臨時列車には是非とも乗ってみたいです。

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臨時快速,先頭7号車近影と誰もいない6号車の車内

 車両は新潟車両センターの「いなほ」用のE653系で,1号車のクロは開放グリーンです。まだ発車の1時間近く前で,他の車両には1人もお客さんがいない状況ですが,クロだけは既に1人掛け席は埋まっています。仕方なく,2人掛け席の窓側に座り発車を待ちます。16:58に「やまびこ319号」が着くと一斉に乗継ぎのお客さんが来て,普通車もぼつぼつ席が埋まります。17:23,臨時快速は仙台に向け発車します。臨時快速は90km/hくらいのゆったりとした速度で夕方の東北本線を下ります。新幹線の代行なのだからもっと一生懸命走ればよいではないかと思いますが,在来線も地震の影響で速度制限をしているのか,軌道を傷めないよう速度を落としているのか,種別が「快速」だからなのかは分かりません。昔の「ひばり」が1時間かからずに走っていた79.0kmを1時間15分かけて走り,18:38,時刻表どおり仙台に着きます。

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塩釜往復の列車。東北本線1533M,仙石線2022S

 今夜のホテルは仙台の駅近くですが,夕食をどうするかです。青春18きっぷがあるし時間も早いので,少し足を延ばして漁港の街,塩釜に出掛けます。仙石線よりも東北本線の松島ゆきのほうが早そうなので,この列車に乗換えます。ところが仙台車両センターの横を走っているときに踏切障検が作動したとかで緊急停車,運悪くセクション内停車で車内は停電です。こんなことなら大人しく仙石線にしておけばよかったと後悔です。少し前の話ですが,僕が通勤で利用する根岸線でセクション内停車があり,停車後の処置が悪く,何時間も不通になったことがありました。今日は「確認」とやらで10分くらい止まりましたが,それ以上のトラブルはなくすんなり起動できました。交流と直流で違うのか,根岸線の事故の教訓で復旧手順の訓練を積んでいるのか分かりませんが,その程度で済んでよかったです。塩釜に着けば本線の塩釜は随分山側の寂れた所にあり,20分位かかって本塩釜に辿り着き,それからまた15分位かかって盛り場に着きます。漁港の近くで活きのよい青魚の刺身でもと思って塩釜に来ましたが,なかなか気に入った店が見つからず,結局,仙台牛タンの焼き肉になります。この焼き肉店ですが入ったものか迷っていたら,ちょうど幼稚園くらいの子供を連れた家族が出てきました。こういうお客さんが来る店ならOKで,おいしい和牛の焼き肉をいただけました。塩釜で2時間くらいを過ごし,22:00前に仙台に戻り,漸くホテル着です。

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船岡駅ホームの啄木歌碑 2022.4.9(以降,全て同じ)

 明くる9日土曜日は船岡の一目千本桜で写真撮りです。無料の朝食をいただき,仙台駅に行き,7:01の福島ゆきに乗ります。常磐線を分ける岩沼を出ると,列車は槻木,船岡,大河原とそこそこ大きな駅が続きますが,今日は真ん中の船岡で下車です。船岡は1956年(昭和31年)に槻木町と船岡町が合併してできた,郡と同じ名前の柴田町の中心です。江戸時代以前からの城下町でもあり,駅舎は人口38,000人の町の玄関以上に立派な印象です。またホームには啄木の歌碑もあり,今日のアクティビティに期待が高まります。

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船岡の駅前風景

 船岡城址は船岡駅のやや大河原寄りにあり,この城山が桜の名所です。また,城山に登って見渡すと,目の前を流れる白石川の両岸が桜並木です。中期予想では明日が満開の予報でしたが,前の週は寒気が入り全国的に寒い天気,結局,今日は「開花」にしかなりませんでした。一目千本桜と呼ばれる見事な桜を期待してきた僕としては残念な景色ですが,満開だったらさぞやきれいだろうと想像はできます。案内板に従い樅ノ木は残った展望デッキに行けば,眼下に桜のパノラマが開けます。遠くには残雪をいただいた蔵王がきれいです。

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EH500+コンテナ,4081レ @大河原~船岡(以下5枚同じ)

 今日はまだ新幹線代行の臨時快速が走っており,勝田の国鉄特急色の編成でやってきす。

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新幹線代行臨時快速

 約1時間粘った後は少し山を下りて,県道と線路を一跨ぎする「しばた千桜橋」に場所を変えます。

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EH500+コンテナ,3089レ

 通勤時間帯でもあるので,701系やE723系の旅客列車は頻繁に来ます。

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E721系の旅客列車,493M。朝の通勤通学輸送の時間なので6連です

 普段は陸羽東線の快速「ゆけむり号」で走っているキハ110系鉄道150年レトロラッピング車が先週と今週末は快速「花めぐり号」で仙台~郡山間を走ります。

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9570D快速「花めぐり号」

 元々はここで午前中一杯を過ごす予定でしたが,桜が残念なので,場所を変えることにします。前々から気になっていた蔵王がきれいなポイントで,それなりに有名な撮影ポイントの北白川~東白石を訪ねることにします。実はここは4年前に自分が乗っていた列車が人身事故になって1時間40分缶詰めにされた場所です。人身事故といっても飛込みではなく,不注意な老人が線路を横断して,列車に接触したという事故です。船岡を10:30の上り列車に乗れば,8分で北白川に着き,Google mapを見ながら歩いてゆきます。現地に着けばそこは第4種踏切はおろか,路盤と田んぼの間に水路があるような場所で,なんでこんなところの線路を渡っていたのか全く理解ができません。ちなみにそのおじいさんは大きな竹だか葦だかの束を担いでいて,自分は避けたけど持っていた植物が電車に接触したようでした。

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EH500+コンテナ,3085レ @東白石~北白川(以下4枚同じ)

 そんな場所なので,自分も自然と身が引き締まります。ちなみにその時の記事を見ると意識はあって,救急車で運ばれたとあるので,霊が出てくることはないと思います。直線区間からカーブの入口なので,直線で撮っても,カーブに入って少し首をかしげた所で撮っても,絵になります。ただ,ここはちょうどエアセクションでトランスを積んだ太い架線柱が少々目障りです。後ろの蔵王をたくさん入れようとするとその架線柱が入り込んでしまい,架線柱を避けると山が寂しくなってしまいます。上のコンテナ列車は架線柱は構わず,山たくさんのアングルです。

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EH500+コンテナ,4051レ(トヨタ・ロングパスエクスプレス)

 こちらは同じ場所ですが,架線柱を避けるようトリミングしています。この場所での写真も着くのが遅く,お顔が陰になってしまいました。

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E721系電車,445M

 仙台都市圏なので旅客列車は多く,1時間に2本ピッチでやってきます。また,新幹線代行の臨時快速も走って彩を添えます。この列車のときは準備ができていなくて,慌ててサブカメラで撮ったので,トーンが違います。

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新幹線代行の臨時快速。勝田の波動用E653系使用列車

 ここでの撮影も満足したので引上げにかかりますが,今日は大きなカメラを持った趣味者が目につきます。そういえば,昨日,「なごみ」が走ると聞いたので,挨拶かたがた「なごみ」の撮影ですかと声を掛けます。すると,もうすぐ来ますよとの返事です。帰りの乗継ぎを考えたうえでの引上げでしたが,「なごみ」が来ると聞くと気になります。速攻でネットを調べると仙台着13:20頃だそうです。逆算するとここの通過は12:50頃で本当に直ぐです。慌てて土手を登り,先ほどのかたの邪魔にならないか確認しながら撮ったのが下の写真です。左の草がちょっと邪魔ですが,予定していた訳ではないので,大収穫です。

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E655系「なごみ」

 大きなおまけの収穫に大満足で帰途に着きます。往きは北白川から来たので,帰りは東白石に抜けることにして,来たときとは逆方向に歩いて行きます。東白石側に少し歩くと踏切があり,県道は線路と川の間に出ます。線路はトンネルでショートカットしますが県道は川沿いに進み,内親堰という堰のところに来ます。雪解け水をたたえた川と残雪をいただく蔵王のパノラマが広がります。

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白石川内親堰で

 再度,踏切を渡って暫く行くと東白石駅で,「なごみ」を撮ったところからゆっくり歩いて20分ちょっとです。東白石は滔々と流れる川以外何もない駅で,川を眺めながら30分位列車を待ちます。ちょうど下り列車が来たので列車を入れて川沿いのホームの写真を撮ったり,通過する貨物列車を撮ったりで時間を過ごします。

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東白石駅での4景

 13:43の442Mに乗れば,あとは帰途の旅です。まっすぐ帰るのではつまらないので,今日は郡山から水郡線経由で帰る計画です。白石で仙台の近郊電車から福島の近郊電車に乗換え,福島,郡山を目指します。

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白石では新幹線代行臨時快速とすれ違う

 越河~貝田間で県境を越え福島県に入ります。槻木~白石間の東北本線が沿う白石川は阿武隈川の支流,福島県側は阿武隈川の本流の拓いた土地で,県境は小さな分水になっていますが,不思議な地形です。分水からしばらく走ると福島盆地が一望できる景色になります。福島盆地一望は板谷~庭坂間に軍配が上がりますが,ここからの車窓もなかなかです。
 
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福島盆地を望む車窓 @貝田~藤田

 福島では13分の接続,14:39の1136Mで南を目指し,15:26,郡山に着きます。今日のこれからの行程は乗継ぎが結構よいので,郡山で食事にします。食事といっても乗換え込みで29分しかないので,駅そばかファーストフードか,選択は限られます。結局,駅近のマクドナルドになり,イートインでゆっくりする時間はなし,車内でパクつくのはこのご時勢憚られるので,駅裏のベンチで速攻でお腹に流し込みます。今日は既にふた仕事したので,夕酌のビールと肴も買って水郡線の気動車に乗り込みます。

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今日の帰りは水郡線。330D @郡山

 水郡線は一昨年の3月にも乗っており,再度の訪問です。というのも一昨年は2019年の台風19号の被害で常陸大子~西金間がバス代行だったので,復旧成った新しい線路で再乗車の目的もあります。15:55,時間になれば列車は発車し,最初の1駅は東北本線を上ります。安積永盛で左に折れ,阿武隈川の本流を渡り,しばらくは谷田川に沿って走ります。

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水郡線は安積永盛~磐城守山間で阿武隈川本流を渡る

 谷田川の先で大きく右に曲がると今度は川東のあたりで阿武隈川に大接近します。その先は暫く阿武隈川に沿って進み,福島空港に近い泉郷に着きます。ここは市区町村でいえば玉川村で,なんでこんな所に空港を作ったのだろうと思います。この辺りは阿武隈川が拓いた土地で,意外と平らで広々としています。

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泉郷駅の玉川村の案内板

 野木沢の近くからは阿武隈川の支流の社川に沿うようになり,16:39,磐城石川に達します。その先も時刻表の索引地図から想像するよりは開けた所を走り,磐城棚倉に達します。この磐城浅川~磐城棚倉間に実は分水があり,仙台湾にそそぐ阿武隈川水系から水戸,大洗の方へ流れる久慈川水系に変わります。駅名はどちらも磐城がつき,もちろんまだ福島県内で,大きな分水の割に峠を越えた感じがしません。

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磐城棚倉からは久慈川水系を下り,駅名標にも奥久慈清流ラインの文字が入る

 不思議な分水だと思って調べると,この辺りでは急な流れの川が緩い流れの川をもぎ取ってしまう河川争奪という現象が起きたそうです。ここでは奪った急な流れが久慈川,奪われた緩い流れが阿武隈川です。磐城棚倉からは概ね上菅谷まで久慈川に沿った清流下りの旅です。

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磐城塙では下り列車と交換

 17:09発の磐城塙では下り列車と交換,その先の矢祭山~下野宮間でやっと県境を越えます。17:39,列車は水郡線の車両や乗務員の基地の水郡線統括センター(2022年のダイヤ改正から水郡線営業所を改称)のある常陸大子に着きます。

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常陸大子駅前のSL C12

 常陸大子では9分止まるので,車外に出て背を伸ばします。僕の場合は車外どころか,駅の外の駅前広場まで足を延ばします。ここはSL時代からの鉄道運行の拠点でSL C12が保存されています。JRの拠点がある町の玄関だけに手入れも行き届き,看板の主は大子町なので,行政の支援もあるようです。常陸大子を出ると2年前は代行バスで通った区間で,一部の線路はある面初乗りになります。水害でいくつかの橋が流されるような場所だけに,川面の近くを走りとても景色のよいところです。

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常陸大子~袋田の車窓

 水郡線には奥久慈清流ラインの愛称がついていますが,山方宿あたりまではその名のとおりの清流沿いを下ります。この辺りで山の間に陽はおちて景色も見づらくなってきます。また,夕酌のお酒も回ってきて,朝からの疲れも加わり,うとうとします。19:06,列車は時刻表どおり水戸に着き,水郡線の旅は終わりです。水郡線は乗る用事もなく全線完乗で乗って以来ずっとご無沙汰だったのですが,ここ5年で3回も乗ってしまいました。長くて退屈な面もありますが,地形や川の流れを見ていると面白く,好きになりました。

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帰りの列車4本まとめて。常磐線588M @石岡,常磐線1246M @土浦,東海道線1945E @上野,根岸線2021A @磯子

 水戸では4分の接続で常磐線の上り588M土浦ゆきがあり,買い物をする余裕はありません。588Mはエメラルドグリーンの帯の少数派E501系ですが,オールロングシートの車内見付けはE531系と比べると見劣りします。土浦でも8分で品川ゆき1246Mに接続とよい具合に列車があります。続いて,上野,横浜で乗換え,22:31にわが家最寄りの磯子駅に帰着です。

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この2日の行程。青春18きっぷ2人日分で約840kmの道のり。意外と水郡線は南北に近い向きです

 前から行きたかった東北本線の撮影地3か所を制覇し,新幹線の代行臨時快速にも乗れた1泊2日の旅でした。お天気にも恵まれましたが,顔にはマスクの跡,そして髪の毛が減って薄くなった脳天は真っ赤になりました。1週間後くらいには皮がむけることでしょう。2日間たっぷり楽しめたので,今日もお天気と旅の神様に感謝です。一方,一目千本桜は交通費をケチったばかりに残念な結果でした。来年こそは,満開の桜の傍らを行くEH500+フレートライナーを撮りに行きたいと思います。(2022.5.13記) 

東海道徒歩き(かちあるき)のおまけで三岐鉄道の写真撮り

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 2014年夏に始めた東海道徒歩きは2020年秋に三重県に達したことは紹介済ですが,その帰りに訪れた三岐鉄道がとても気に入りました。2021年の徒歩きの際,スタート地点の関への道中で寄り道して写真を撮る計画をたてました。僕は列車の旅は客車党でしたが,客車を使った旅客列車がなくなってしまった今,興味の対象は貨物列車で,三岐鉄道は日本で数少ない貨物列車が走る私鉄です。前回訪問時は雨で写真が撮れなかったので,今回は貨物列車の写真を撮ることを主眼に計画をたてました。

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手製の簡易ダイヤ。行違いの待合わせなどは気にせずに引いている

 最近では「貨物時刻表」に三岐鉄道の列車が収録されているので,便利になったものです。今回は旅行の準備の時間がたっぷりあったので,手製のダイヤを作ってみました。午後の遅い時間は前回の徒歩きで端折ってしまった関宿を見ることにすると,有効時間帯には上り2本,下り1本の貨物列車があります。これらの準備をする時間がまた楽しいのです。

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自宅最寄りの磯子を401Aで出発 2021.10.21(以下全て同じ)

 出発は(2021年)10月21日木曜日です。今回も2泊3日の行程ですが,2日のお休みをいただき木金土の3日を使い,日曜日は休養日の計画です。Covid-19禍も少し感染数が減ってきてはいますが,こんな時期に出歩いてよいものか,今度も人目をはばかりながらの旅行です。出発は自宅最寄りの磯子駅を6:03の大船ゆきです。なぜか東海道徒歩きの移動では新横浜に出るのを嫌って,大船から小田原に出るルートをとります。今回も新幹線特急券代節約のため静岡まで在来線利用です。

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小田原で。323M(右)は727M(左)に追いつかれる

 大船では5分の待合せで,JR東海直通の沼津ゆき323Mに乗換えです。この列車は面白いダイヤで,小田原で11分停車し,品川を14分遅く出た後続の727Mを待ちます。当初は磯子発をもう1本遅い6:12の列車で計画していましたが,目が醒めてしまったので,安全サイドの乗継ぎを選択です。朝の東海道線は下り列車でも結構混んでいて,323Mは大船から乗って空席を探すのに苦労する程度の入りです。

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左手の正面には房総半島の島影が

 小田原を過ぎると列車は相模湾沿いを走るようになり,左手の車窓には青い海の遠くに房総半島がうっすら望めます。小田原から湯河原にかけてのこの区間は東海道線随一の絶景区間と思います。車内のほうは小田原を過ぎると多少空席がありますが,熱海からは静岡県内の通学の高校生も大勢乗ってきます。沼津では静岡ゆき2745Mに5分で乗継ぐ予定ですが,三島~沼津間で踏切安全確認のための緊急停止があり,沼津には6分遅れての到着です。

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今日のきっぷ。当初は熱海から新幹線で計画していたので新富士経由。また,新富士で切れている蘊蓄はこちらを参照

 2745Mは,発車時刻を過ぎていますが323Mから乗換えのお客さんを待っての発車で,6分遅れて8:15に沼津を発車です。この先,終点,静岡での乗継ぎもよく,5分の接続で静岡停車の「ひかり503号」に乗換える計画です。ところが静岡まで乗る2745Mは始発駅を出た時点で6分の遅れを抱えており,朝のラッシュ時間帯の列車なので遅れの挽回は難しそうです。通勤通学のお客さんを乗せた2745Mですが,運転士さん車掌さんは挽回する気があるのかないのか,駅々での停車,客扱い,発車の動作は自分が焦っているせいかひどく緩慢に見えます。それでも2分30秒くらいを回復し,静岡には3分30秒遅れの9:05 30"位に到着します。幸い階段も近く,新幹線改札は敢えて有人改札を走り抜けて,何とか9:07の「ひかり503号」に滑り込みます。階段下には駅員さんが白旗を持って立ち,積残しのないようウォッチしているようで,僕のほかにも何人かこの列車に駆け込んだ人がいたようでした。

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ひかり503号 @浜松

 さて,今日は朝から沼津と静岡で5分の乗継ぎで,リスキーな旅程でした。仮にこの「ひかり503号」に乗れなかった場合,後続の「こだま」で追いかけて,名古屋着は36分遅れ,4分で近鉄電車に駆け込めれば,以降の予定に影響はなし。この近鉄電車に乗れないと,予定していた撮影地まで辿り着けずに,上り下り各1本の貨物はどこか別の場所で撮影ということになります。そんな訳でバックアップがあるような,ないようなの行程でしたが,予定の行程に間に合って一段落です。沼津といい,静岡といい,なかなかJR東海もやるもんだと見直しました。

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名古屋ではお約束のきしめんで腹ごしらえ

 10:01,「ひかり503号」は時刻表どおり名古屋に着きます。次に乗るのは10:21の近鉄の急行列車です。名古屋の近鉄線ホームはJRの在来線ホームの直下あたりで乗換えは便利なので,その間にホームのスタンドで軽くきしめんをいただくことにします。この後は撮影行になるので,あまり食事の時間はとれそうにありません。今日の目的地は三岐線の三里(みさと)ですが,一つ手前の大安(だいあん)までなら連絡きっぷが売れるというので,これを買って入場します。

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近鉄の急行列車はL/Cカー5800系 @近鉄富田

 近鉄のホームに行けばほどなく10:21の松坂ゆき急行は出発します。近鉄の電車はあまり縁がありませんが,5800系というのかロング/クロス転換式の座席を備えたL/Cカーです。最近は首都圏で,西武40000系などロング/クロス転換式の座席の電車が急に増えましたが,この仕組みは近鉄の採用が早く(試用ベースでは国鉄・JRに複数の先行例がある),1990年代末からの運用されているそうです。

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近鉄富田で。たまたま来たアーバンライナー

 快適なL/Cカーで29分の乗車で三岐線乗換えの近鉄富田に着きます。次の西藤原ゆきまで24分あるので,三岐線の情報収集をするつもりでしたが,近鉄富田駅の名古屋方の線路がいい感じにカーブしているので,ここでいくつか写真を撮ります。

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手作り感あふれる三岐線のご案内

 続いて三岐線のホームに行けば,手作り感あふれる写真付のご案内が目を引きます。今日は藤原岳をバックにした写真を撮りに行くつもりですが,藤原岳登山もしてみたくなります。11:14の西藤原ゆきは元西武新101系の751系で,2009年入線のこの編成は三岐線で一番新しい電車だそうです。

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三岐線で一番新しい751系 @近鉄富田

 時刻表どおり出発した列車は途中,保々で車両の交換をして,三里には11:39に着きます。今日の撮影地はインターネット等で情報収集した三里と丹生川のほぼ中間地点です。適当にGoogle Mapで目的地設定をし,途中ロケハンしながら歩きますが,結局は誰もが撮るような場所での撮影になります。今日はよい天気の予報でしたが,段々に雲が出てきて,青空の部分が少なくなってしまい,鉄ちゃん(鉄道写真撮影)には少々残念な天気です。以降はこの周辺で撮った三岐線の列車達です。

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撮影地へ向かう途中で撮った1枚。電車は801系 @三里~丹生川(以下,5枚同じ)

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お目当ての空車返送のセメント列車1。この場所は見通しがよく2カット撮れました

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お目当ての空車返送のセメント列車2

 その次が今日のとびらの1枚に使った本命の藤原岳バックのセメント列車です。ここには線路をまたぐ陸橋があり,多少俯瞰気味に撮った写真を多く見かけますが,僕は地平から撮ったアングルのほうが好きです。

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陸橋から三里側を見て撮った101系の復刻塗装車

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線路の反対から撮った751系は先ほど乗ってきた列車の折返し

 もう1本の貨物列車は三岐名物のフライアッシュ/炭酸カルシウム用貨車ですが,編成両数が短くなることを失念していて,少々バランスの悪い構図です。

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フライアッシュ列車は2両の貨車を重連で牽く

 そんなこんなで2時間半の鉄ちゃんを楽しみ帰途に着きます。地図を見ると丹生川への道のほうが真っ直ぐで分かり易いのと,丹生川には貨物列車博物館があるのとで,帰りは丹生川駅に出ることにします。帰り道は線路伝いなので,最後に1本上り列車を撮ります。三岐線の今日運用中の電車が一巡したようで,また復刻塗装の101系です。

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最後は再度101系復刻塗装車

 丹生川駅に着けば,駅に併設の貨物列車博物館を見学します。博物館といっても古い機関車や貨車を展示しているだけですが,これらを解体せずに客寄せの資源に活用しているのを好感します。

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貨物列車博物館の保存車両たち。もと東武39号ほか

 上の39のナンバープレートを掲げたSLは1898年(明治31年)英国のシャープ・スチュアート社製,日本鉄道(東北本線の前身)~官営鉄道(国有化による,5650形)~東武(39号)~昭和鉄道高校(保存機)を経て2002年に三岐に来たそうです。一応,屋根付の場所にある一連の展示物のほか,駅に近い側線にもう一群の展示貨車があります。三菱瓦斯化学の銘のある1両は形式タム8000の8000番,もしかするとトップナンバーかもしれません。

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貨物列車博物館の保存車両たち。こちらは主に二軸のタンク貨車

 貨物列車博物館も見学し,たっぷり三岐鉄道を楽しみ,14:25に丹生川を後にします。やってきた電車は801系の801番,懐かしい西武の湘南顔の電車です。丹生川ではたくさんの通学の小学生が降りてきましたが,彼らのいなくなった車両はなんと僕一人,ちょっとびっくりです。この電車に乗ること32分,14:57に近鉄富田に着きます。

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丹生川~近鉄富田の電車。この車両には他に誰もいない

 これで三岐鉄道の撮影行は終了ですが,この度の旅行は東海道徒歩きの旅,今回のスタートの関宿へ移動です。まずは近鉄富田からJRの富田へ歩きます。この界隈は去年歩いたので大体様子は分かるつもりです。名古屋のきしめん以来何も食べていないので,コンビニでパンでも買いたいですが,両富田の駅の間には古い商店街はありますが,コンビニは見当たりません。JRの富田駅の向こうには大きなイオンのショッピングモールがありますが,そこまで行っている時間はなさそうです。やむなく,少々ジャンクではありますが,手近なたこ焼き屋でとりあえずの空腹をしのぎます。電車の中での食事ははばかられるご時勢ゆえ,富田駅のホームのはずれで速攻でお腹に転がし込みます。

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富田駅の旧三岐線ホーム。電車が来なくなって久しい様子

 たこ焼きを食べながら周囲を見ると,かつて三岐鉄道が乗入れていたときのホームが残っています。歴史を紐解くと三岐鉄道の富田は元々こちらで,1970年に近鉄富田との連絡線が開業したそうです。連絡線の開業後も暫くは国鉄・JR駅にも旅客列車が残りましたが,旅客輸送としては近鉄のほうが優勢なので1985年に近鉄富田発着に統一したそうです。歩いて両富田駅間を行き来する人がなくなるので商店街が反対したというのはWikipedia日本語版の記事(2022.1.10閲覧)です。

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四日市で見かけたワイドビュー南紀

 富田から15:24の四日市ゆきに乗れば7分で四日市着,続いて15:41の亀山ゆきに乗継ぎます。四日市では10分の接続で,地方の緩急接続としてはまあまあと思いますが,この間が結構忙しいです。上りのホームに名古屋ゆきの「ワイドビュー南紀」が来たので,まずはこの写真を撮ります。キハ85はカミンズの350PSエンジンを備えたJR世代気動車と思っていましたが,世代交代がアナウンスされました。この非貫通のほうの先頭車は眺望もよくなかなかの傑作と思います。

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四日市で見かけたDD200

 反対側の貨物の側線を見ればJR貨物の新しい入替機DD200が午後の日差しを浴びて,写真撮って~と言っています。標識灯が点いていますが申し分ない光線状態で,新しいディーゼル機関車の写真を撮ります。短いほうのボンネットは実は後ろ向きで,公式の写真は長いほうのボンネット側から撮るもののような気もするので,反対(1エンド)側の写真も載せておきます。DD200はDE10似の前後非対称の車体と,ほぼ同じ出力の1,217PSの主機を持ちますが,メカ的には全く違う電気式ディーゼル機関車です。2017年から量産が始まり,現在20両(JR他社,臨海鉄道含む,2021.6現在)が全国で活躍しています。ふと伊勢鉄道のホームを見ると,滅多に見ない伊勢鉄道の気動車がいるので,こちらも写真を撮りに行きます(ただのNDCなので掲載省略)。
 
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亀山~関はJR西日本の気動車

 四日市から亀山は所要27分,前回の徒歩きを思い出しながら,ゆっくり過ごします。亀山でも接続はよく,3分で16:11発の加茂ゆきがあります。亀山から関は1駅ですが5.7kmあり,JR西日本のディーゼルカーで7分もかかります。関は東海道の宿場町で,かつては関町でしたが平成の大合併で亀山市に吸収され,今は亀山市の一部です。関町は東海道関宿の街並み保存に熱心で,電線の地中化など徹底した策が奏功し,今では大きな観光資源になっているようです。

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関の街並み。志ら玉屋前田製菓前で

 さて,僕の徒歩きですが,前回(2020年11月2日)は雨が降ってきたのと関西本線の列車の都合で,関まで辿り着きましたが,東の追分にあたる伊勢街道分岐の一里塚までしか来ていません。その時の情報から関の街並みは見ておきたいと思ったので,今日は夕方ですが,ゆっくり街並みを見学することにします。関駅を出て,駅前の道をまっすぐ進めば旧街道まで5分もかかりません。日本橋からここまで46の旧宿場を見てきましたが,確かにここの街並みは見事です。

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関の街並み。御食事処山石前で

 僕の興味は街並みの保存状態とか街並み自体で,そこにある名所旧跡などをつぶさに見学する趣味はありません。全く興味がない訳ではありませんが,徒歩きの途次ではそんな時間はとれないことが多いので,それが習慣づいてしまったのでしょう。関の街並みをゆっくり見ながら西へと進みます。今日は平日,夕方でもあるので,地方の町家の店じまいは早く,夕食の支度にかかっているようです。そんななか街道の茶屋のような前田屋さんが開いていたので,ちょっと覗いて名物の志ら玉餅と饅頭をいただきます。片付けを始めようとしていた女将さんも手を休め,二三街道歩きの世間話などをして,休憩させていただきます。

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関宿の夜。少しカメラの向きが違いますが上の山石前とほぼ同じ場所で

 陽も傾いてきたので引揚げにかかりますが,夕食をどうするかです。亀山の駅前には大したお店がないことは分かっているので,レトロな雰囲気の関で食べたいですが,開いているお店が少ないです。駅近くの山石なるお店に入って3桁の値段のとんかつ定食をいただきましたが,ソースやサラダのドレッシングは自家製のようで満足です。お腹もくちて駅に戻れば満月がきれいで,まだ18:00過ぎだというのに人っ子一人いません。

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関駅で。人っ子一人いない構内に満月が光る

 18:26,時刻表どおり亀山ゆきの気動車がやってきます。気動車に乗ると入口にはイコカの端末が設置されて,入場記録のタッチをするよう促されます。いつからこのような方式になっているのか知りませんが,自分の周りの京浜地区では見かけない方式です。以前から無人駅の多い線区では,車両の側にICカード端末を置いたらよいと思っていたので,その実現にちょっと嬉しい気がします。

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関西本線の気動車は車載型イコカ端末を設置

 18:32,列車は亀山に着きますが,ホテルに帰って寝るにはまだ少し早いです。亀山といえば,昔はローソクでしたが,ちょっと前は液晶ディスプレイで世界の亀山でした。鴻海の傘下に入って往時の輝きはありませんが,そのシャープの亀山工場を見に行こうと思います。半導体や液晶デバイスの工場は生産設備がマル秘なので当然中には入れませんが,世界の...と自分で言う位なので,どんなものかと思います。

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亀山からはちょっとシャープの工場へ

 亀山駅からシャープ亀山工場に行くバスは三重交通の91系統,1日10本の運転は亀山駅発着便で最多の本数ですが,通勤バスなので休日は運休です。亀山の駅前から19:13のバスに乗れば,東名阪自動車道の亀山IC,亀山工業団地内を巡って12分で終点,シャープ亀山工場に着きます。高速道路のインターチェンジから近く物流の便もよい場所で,ここに工業団地をつくりシャープやほかの企業を誘致した行政も慧眼ではあります。バスは駅からの所要時間よりも長い18分で折返しますが,僕もここで18分を過ごします。ちょっと歩けばすぐによそ様の工場の敷地になってしまうので,工業団地内の基幹道路周辺を歩くくらいしかやることはありません。

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「世界の亀山モデル」を作るシャープ亀山工場

 19:43の戻り便で工場を後にしますが,帰りは亀山IC近くの朝明山という停留所でバスを降ります。今日のホテルはインターチェンジと工業団地の間にあるシティホテルです。目の前にコンビニもあるので夜食と明日の朝食を買って準備は万端です。フロントの担当に聞けば,シャープの工場関係のビジネス客も多いそうです。未だ21:00前ですが屋上の大浴場にゆっくり浸かり,明日からの徒歩きに備えて早寝します。1年前から楽しみにしていた三岐鉄道が曇りだったのが残念ですが,東海道徒歩きの前哨戦としてはまずまずの成果ある1日でした。(2022.1.10記)

晩秋の八高線,川越線に鉄分補給に行ってきました・前編

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 外出が制限されるこの時期に...というのが枕詞になっていて,嫌なご時勢です。ちょっと古新聞ですが,去年の秋の終わりに八高線,川越線界隈に鉄分補給に行ってきました。写真撮り,乗り鉄,クイズラリーイベントに博物館見学と盛りだくさんな1日でした。少々慌ただしいですが,以下にレポートします。

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川越線80周年のパンプレットの表紙

 埼玉県中央部を東西に走る川越線は去年(2020年)の7月22日に開業80周年を迎えました。たまたま記念パンフレットが自宅の近くの磯子駅にも来ていたのですが,ページをめくると秀逸な出来で,川越線に行ってみたくなりました。周年誌なので開業から現在までの歴史に見開き2ページ,沿線案内も見開き2ページ,記念イベントやクイズラリーの案内などで2ページのパランスがよく,沿線のJR社員の手作り感もあって,僕としては評価が高かったです。

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川越線80周年の歴史のページ(拡大はこちら

 クイズラリーで各駅で乗り降りしたとしても,30.6㎞11駅しかないので半日もかかりません。周辺で気になることを探してみると,かなり気が早いですが八高線のキハ110がそろそろ更新,その他にブログ記事の関係で鉄道博物館で写真を撮りたいものがあったな...ということで,これら3つをまとめて消化となりました。

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11月中旬の朝6:00前。今日は良い天気になりそうだ 2020.11.14(以下全て同じ)

 出掛けたのは11月14日土曜日,出発は自宅近くの磯子駅を5:57の根岸線上り526Bです。東神奈川では6:18の横浜線,八王子では7:18の八高線に乗換えます。八高線は高麗川を境に,南は電化され川越線と一体化された運転系統で4両編成の電車,北は非電化のままでキハ110系気動車での運転です。東京近郊区間の140円旅行で気動車に乗れるのはここだけで,ときどき訪れているので大体勝手は分かっています。

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往路の列車一括。根岸線~京浜東北線526B@磯子,横浜線637K@東神奈川,八高線761E(右)と231D(左)@高麗川

 八王子からの761Eは土曜日の朝なので,通学や部活の高校生,ちょっとした用務客に通勤客といった具合で座席定員より少し多いくらいの入りです。北八王子,小宮で列車行違いの後,小宮~拝島間で多摩川を渡ります。あまり人の手の入っていない川のかなたには奥多摩の山々が朝日を浴びていまです。拝島を過ぎると八高線は米軍横田基地の脇をかすめて走り,東福生~箱根ヶ崎では基地の中のようなところを走ります。

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小宮~拝島で多摩川を渡る

 西多摩郡瑞穂町にある箱根ヶ崎まで途中の5駅すべてで上り列車と交換し,ローカル線としては列車が多い印象です。分水嶺を越えた感じはしませんが多摩川水系から荒川水系に入り,台地上の金子は初めて交換なしですぐの発車です。

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茶畑の向こうに富士山がきれい @箱根ヶ崎~金子

 金子からは下り勾配になり,入間川の鉄橋近くからは秩父の山並みがきれいに望めます。一度跨いだ西武線の線路が近づいてきて東飯能に停車,次は川越線と接する高麗川です。列車は川越方面に直通しますが,午前中は八高線で鉄ちゃん(鉄道写真を撮ること)の予定なので,僕は高崎ゆきの気動車に乗換えです。

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入間川の鉄橋近くから @金子~東飯能

 今日の午前中は八高線のキハ110の写真撮りまでは決めていますが,どこで撮るかです。寄居までは東武東上線も走るので更に北,用土とか松久で最初は検討しました。ところが八高線の非電化区間は意外と列車が少なく,小川町以南の方が区間運転の列車があり有利なことが分かりました。あまりお立ち台(列車の写真を撮る名所)などの情報はありませんが,とりあえず明覚駅の近くで見繕うことにしました。

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八高線226D。典型的な晩秋の里山をゆく @明覚~越生

 越生~明覚間はじっくり車窓を見てロケハンします。右手の車窓は刈入れの済んだ田んぼで,障害物もなくなかなかよさそうな印象です。8:37明覚着,ここで3時間ほど滞在し,上下2本ずつの列車を撮ることにします。

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下り列車は少々逆光です。263D @越生~明覚

 ここと思った場所に行くと,何と呼ぶのか知らないのですが,刈りとった稲を束にして干してあり,いかにも秋らしい景色です。また,線路端には1本の柿の木があって,色づいた柿がまた秋の色です。埼玉県の真ん中あたりですが,晩秋の里山の典型のような景色です。そう思っていると,今日は土曜日,兼業農家は土曜日も仕事をするのか田んぼの主が軽トラで現れて,干していた稲穂を荷台に積み始めます。せっかくの借景が...片付け終わる前に最後の上り列車が来ましたが,列車と共に稲の束を片付ける農家のかたも写って,それはそれで田舎らしい写真になりました。

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八高線228D @明覚~越生

 八高線は2両編成主体でいろいろなアングルが楽しめそうですが,最後の1本は欲を張って,遠景(上)と近景(下)で2カット撮ってみました。

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八高線228D @明覚~越生

 僕はゴルフはしませんが,この辺りはゴルフ場銀座で,この近くにも越生,日本カントリー,武蔵の杜カントリーと3つのコースがあります。そのせいかは分かりませんが,線路沿いの道路には「丘の上パン工房」なる,ベーカリーがあって焼きたてのパンを売っています。列車は概ね1時間に片道1本ずつくらいしか来ないので,時間を見つけて早昼食のパンをいただいてゆっくりします。

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丘の上パン工房,周囲の景色と商品

 撮れた写真は上の4枚程度ですが,お昼前,十分満足して明覚駅に引上げます。明覚駅はときがわ町にありますが,その町を僕は知りませんでした。位置的には東武東上線と西武秩父線の間ですが,どちらもときがわ町内はかすってもいません。八高線だけが町内を通る鉄道路線で,駅は明覚だけです。2006年に玉川村と都幾川(ときがわ)村が合併してときがわ町になり,人口は10,500人(2021年2月)だそうです。

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明覚駅前にあるときがわ町の案内板(拡大はこちら

 駅は無人ですが,街の代表駅だけあってとんがり屋根の意匠がおしゃれです。

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明覚の駅前風景

 改札をとおり跨線橋を上ると,高崎側はちょっとした林の中を通り抜けるようになっているので,これから乗る列車を橋の上から1枚撮ります。反対側はとんがり屋根の駅舎の向こうに秩父の山々が望め,こちらもまたよい景色です。

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八高線2266D。緑濃い林のなかを進む @明覚駅

 ところで,今日,用意したきっぷは「休日おでかけパス」です。140円旅行ではこう自由な乗り降りはできないので,やはり途中下車のできるきっぷがあるっていいなと実感します。

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明覚駅での離合。遠くには秩父の山々が見える

 ときがわ町は東京から程近いのにとてものどかな所で気に入りました。今日は後の予定が盛り沢山なので,11:49の列車で高麗川に戻りますが,また訪れたいところです。今日のスレッドは川越線のクイズラリーと鉄道博物館まで3つまとめて1本のつもりで書き始めましたが,八高線でつっかかってしまい,残りは次回にまわします。取材のための外出が制約されるので,ネタは大事に使いたい意図も少しありますが,悪しからずです。(2021.3.28記)

後編につづく

盛徳寺跨線人道橋再び--185系「踊り子」号の写真を撮りに,ほか

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 富士山をバックに185系の「湘南ライナー」の写真を撮りに年末に辻堂に行ったことは既に書きました。未だ撮り足りない気がしていたので,1月の週末,戸塚駅の近くに写真を撮りに行ってきました。行った場所は盛徳寺跨線人道橋,6年前に記事を載せましたが,それなりに有名なお立ち台です。今日はその時の成果と多少のおまけをご報告します。この日のこの場所にいた同好の士は3~4人,そこそこ落ち着いて写真撮りができました。ここはお昼過ぎからが順光ですが,湘南ゼミナールの看板が邪魔だと思うのは僕だけでしょうか。

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「踊り子9号」 @戸塚~大船 2021.1.30

 (2021年)1月30日土曜日,朝起きてカーテンを開けるとバッチリ富士山が見えます。今日は鉄ちゃん日和だとばかり,急遽,置換え間近の185系「踊り子」号の写真を撮りに行こうと思い立ちます。自宅を10:00過ぎに出発,戸塚駅には10:40過ぎに着きます。戸塚から線路沿いに10分ぐらい大船方向に下ると盛徳寺跨線人道橋に着きます。最初にやってきた列車は東京駅を10:30に出た「踊り子9号」です。この列車は185系7+5両の12両編成,まだ若干時間が早く,側面まで陽があたっていません。

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桃太郎牽引の貨物列車。1068レ @大船~戸塚 2021.1.30

 次に来たのは桃太郎牽引のフレートライナーです。逆光ではありますが上りの「踊り子2号」を撮ろうと構えていたら,たまたまやってきた貨物列車,ありがたい拾いものをしました。

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EF210の貨物,もう1本はトヨタロングパスエクスプレス @大船~戸塚 2021.1.30

 貨物の時刻なので詳細は分かりませんが,この日は東海道線の上り列車が多少遅れていたようで,1068レの行った後,5分もしないうちにもう1本貨物列車がやってきました。水色の揃いのコンテナがきれいなトヨタロングパスエクスプレスです。

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ようやく来ました「踊り子2号」 @大船~戸塚 2021.1.30

 2本の貨物を追うようにようやく「踊り子2号」がやってきました。どうやら7分くらいの遅れのようですが,おかげで貨物2本が撮れたので遅れに感謝です。土曜日の朝1番の上り列車とあって,身軽な7両編成です。

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「サフィール踊り子1号」 @戸塚~大船 2021.1.30

 次の写材は「サフィール踊り子1号」です。E261系は2020年3月登場の全車グリーン車のリゾート用電車で,自分にはあまり縁がないのですが,せっかくの機会なのでしっかり写真に収めます。この写真のときは思い切り引っ張って湘ゼミの看板を排除してみました。

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5075レは大かぶり @戸塚~大船 2021.1.30

 次に来たのは貨物の5075レです。今日は「踊り子」号狙いなのであまり気にしませんが,貨物列車狙いだったらがっかりの1枚です。

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「踊り子11号」は携帯で動画(こちら)を撮ってみました @戸塚~大船 2021.1.30

 この後は185系の「踊り子」号が続くので,1本は携帯で動画を撮ってみます。この11号は運転日の少ない臨時で,短い7両編成での運転です。185系が引退となるとMT54モーターの音を聞く機会はいよいよ減り,JR西日本やしなの鉄道の115系くらいです。その次がド本命の「踊り子13号」で堂々の15両編成,今日のとびらの写真です。

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西濃運輸のカンガルーエクスプレス @戸塚~大船 2021.1.30

 今日の予定は大体完了と落ち着いていたらEF66の牽く西濃カンガルーエクスプレスがやってきました。EF66はEF210よりも出力が大きく好きな機関車ですが,JR貨物になってからの増備車の100番台はサメなどと呼ばれ,どうも間の抜けた顔立ちです。

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今日の最後は横須賀線のE217系 @戸塚~大船 2021.1.30

 横須賀線~総武快速線にはE235系の投入が始まり,E217系にも廃車が出始めました。最後になると葬式鉄という人達が繰り出してきて大騒ぎになるので,そうなる前に数枚の写真を撮っておきます。

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今日もベストのポジション近くにはライン引きの作業車が 2021.2.28

 上の写真を撮ってからほぼ1か月後の2月28日(日),この日も絶好の鉄ちゃん日和だったので,懲りずに185系の写真撮りに出掛けてきました。こうなると僕も完全に葬式鉄です。1月30日の経験から盛徳寺はあまり早く行っても側面に陽があたらないと分かったので,昼前は辻堂に行き「踊り子2号」1本を富士山バックで撮ることにします。前回,年末に辻堂に行ったときは沿線火災に巻込まれ,ベストと思わる場所で写真を撮ることができませんでした。今日,その場所に行くと,今度は道路のライン引きの作業車が止まっていて,よくよくこのポイントには縁がないようです。

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「踊り子2号」 @茅ヶ崎~辻堂 2021.2.28

 この時間だと陽が側面に回り込んで,お顔にはわずかにしか当たっていませんが,まずまずの出来で満足です。

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EF210+フレートライナー1068レ @茅ヶ崎~辻堂 2021.2.28

 この日は「踊り子」号の他に貨物1本を撮ることができました。もう少し粘れば貨物があと2本来るのですが,今日は盛徳寺へハシゴする予定なので泣く泣く辻堂を引き上げます。

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辻堂駅の入口で。架線柱がちょっと邪魔です 2021.2.28

 ところで東海道線と富士山のコンビネーションならあまり歩き回ることもなく,辻堂駅西口を出たところでも写真は撮れます。僕はあまり俯瞰は好まないのですが,この程度なら世話要らずです。写真を撮ったその列車に乗って,戸塚を目指します。

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堂々の15両フル編成の「踊り子13号」 @戸塚~大船 2021.2.28

 ダイヤ改正まであと2週間,盛徳寺のポイントは30人位の先客がいてごった返しています。ところが,なんとなく雰囲気が重く,期待を込めて列車を待つ風でありません。近くの人に声をかけると,しばらく前に警察官が来て通行の妨げにならぬよう,指導があったそうです。道理で歩道橋に陣取る人や三脚を立てる人がいません。歩道橋の袂のちょっと広くなった所で手持無沙汰に待機していて,列車の来る2,3分前になると蜘蛛の子を散らす如く思い思いのポジションに散って,カメラは手持ちで撮るというあまり見ないお立ち台風景です。

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ついでに撮ったE257系の「踊り子15号」 @戸塚~大船 2021.2.28

 3月13日のダイヤ改正からはふつうの「踊り子号」は全てE257系になりましたが,自分としてはE257系は辰野で仕事をしていた1年間,毎週お世話になった電車です。天下の東海道本線の特急が他線区からのセコハンでよいのか...というのが僕の新「踊り子」号感です。183系が老朽・陳腐化していたので早々に置き換えたかったのでしょうが,そもそもなんで中央本線に振り子なしのE257系なんか入れたのかと思います。こうしてみると特急用車両と言えども儲からない列車にはお金をかけない,JR東日本も厳しい経営をするものです。

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戸塚駅北側で撮った「踊り子17号」 @東戸塚~戸塚 2021.2.28

 ここは混雑が激しいうえに雰囲気も重く気づまりなので,今日はこの辺で引上げることにします。戸塚まで歩いてきたら,次の17号がもうすぐ来そうなので,バスターミナル脇で場所を見繕って撮ってみます。光線の加減だけはバッチリの写真が撮れました。

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おまけ1:185系使用のライナー列車「おはようライナー新宿22号」 @大船 2021.3.4

 このほか3月4日(木)も在宅勤務の始業前に辻堂に行ってみました。この頃は朝6時ではまだ暗く,富士山が見えるのかよく分かりません。ままよと家を出てはみたもののあいにくの曇り空,2本だけを大船駅で駅撮りしました。

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おまけ2:富士山バックの貨物列車 @茅ヶ崎~辻堂 2021.3.14

 ダイヤ改正翌日の3月14日(日)は良い天気で,うちから富士山がバッチリ見えます。せっかくのお天気なのでこの日も辻堂に出掛けますが,密を避ける意味もあって足はプリ子(うちのプリウス)です。コロナ禍で人出も少なかろうと,春先の行楽日和の湘南を甘く見ていました。11時前後に幾本かある上りの貨物を狙って出かけましたが,道路が混んでいて大遅刻,撮れたのはこの1本だけでした。往復3時間がかりで収穫はこれだけ,やっぱり週末の湘南はクルマで行くものではありません。(2021.4.17記)

富士山をバックに185系湘南ライナーを撮りに行く

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 少し前の話になりますが年末の(2020年)12月24日(木)はお休みをもらえたので,今度の全国ダイヤ改正で置換えがアナウンスされた185系の湘南ライナーの写真を撮りに行ってきました。今度もコロナ禍の折からマスクによる防護と人との接触を避けることを徹底しての外出です。冬の朝,狙いは富士山バックで,以前,藤沢~辻堂間の踏切(多分,鵠沼第二踏切)に行ったことがありますが,ここはスペースが狭く複数人が押し掛けると落ち着いて撮れそうにありません。今回は線路沿いのスペースが広そうな辻堂~茅ヶ崎で撮る計画です。

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E217系トップナンバー(付属編成ですが)とE235系の後ろ姿 @大船駅 2020.12.24(以下,同じ)

 今日も5:00の早起きですが,ライナー狙いなので仕方ありません。富士山バックが狙いなので起きたら先ず天気を確認しますが,真っ暗で景色は見えません。西の空にも星が見えるので,予定どおり決行と決め,自宅最寄りの磯子駅5:50の根岸線下り列車に乗ります。大船では6:23の沼津ゆきまで17分あるので駅構内をブラブラします。そういえば3日前の12月21日から横須賀線のE235系の運用が始まったななどと思ってふと見ると,E217系のトップナンバーが止まっています。更には当のE235系も入換えでホームに顔を出していて,どちらもまともな写真は撮れませんでしたが,幸先のよいスタートです。

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acureの自販機に掲出されたメモリアル185 @大船駅

 この時間は上り貨物列車のラッシュで,これらの列車の写真を撮りたいのですが,夜が明けておらず光量が足りません。ホームの飲み物,acureの自販機に目をやれば,メモリアル185なる宣伝が貼ってあります。階段の降り口には横浜支社版の特急踊り子のポスターもあり,今日のアクティビティのやる気が湧いてきます。

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特急 踊り子のポスター @大船駅

 沼津ゆき321Mに乗れば,10分もかからず辻堂に着きます。もたもたしているとライナー2号が来てしまうので,ともかく海側の線路沿いの道を茅ヶ崎方面に歩きます。駅前の商店街を抜けると,胸の高さ位のコンクリート柵が道路と線路を隔てているだけで,どこでも写真は撮り放題です。ここなら100人来ても大丈夫だななどと思いますが,駅の近くは線路の位置が若干高めで,少し見上げるような構図になります。

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そうこうするうちライナー2号が来る

 線路沿いに続く道をロケハンしながら進むうち,向こうから電灯色のシールドビームの電車がやってきます。あのライトは185系でしょう。まず貨物線を新宿に上るおはようライナー新宿22号が来ますが,これは失敗。続いて3分後,ゆっくり構図を決める間もなく撮ったのが上のライナー2号の写真です。富士山は見えていますが,パンタグラフの陰です。

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練習列車は頻繁に来る。列車は辻堂6:54の1830E

 今ここを通る列車の東京着は8:00前,そろそろラッシュアワーで,上り列車は頻繁に来ます。富士山とのバランスなど,こんなものかなと準備を進めます。下のライナー4号は富士山とのバランスはそこそこですが,尻切れでこれも失敗です。

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貨物線を走るライナー4号。カメラの水平がボロボロでかなり回転の編集してます。下がきびしいのはそのせい

 あれこれ迷いながら歩くうちに線路と道路が並走する茅ヶ崎方の終点まで来てしまいました。さて,どこが一番よかったかななど考えながら元来た道を引返します。すると左手の線路端から何か煙のようなものがたっています。おや?と思いながら進むと,煙は見る間に激しくなり,通りがかりのお嬢さんが携帯を手に立っています。煙の元を見ると,線路端の枯れ草と踏切障検のセンサー(受光器と書いてある)の配線箱から火が出ているよう,沿線火災です。

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ちょうど現場に来た1834E

 お嬢さんに通報を頼み,自分は列車に知らせるべく線路を見ると,辻堂駅に進入する上り列車が来るところです。150mくらい先に踏切があるのでそこの非常ボタンを押せば列車は止まるでしょうが,そこまで行っている時間がありません。持っている荷物--踏み台を入れた白い大きなビニール袋--を慌てて振ると,運転士さんも気づいたようで現場の30m位手前で止まりました。反対を見ると貨物列車が走ってくるので,これも袋を振って合図します。

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こちらは下りの貨物列車。西濃カンガルーライナーのよう

 その間にも通勤途上の男性が線路端にあった木っ端--なぜか近くに落ちていた用地標のような赤杭--で火元をたたいて消火を試みています。しかし,煙は強まり,炎も出始めました。続いて自転車で通りがかった通勤途上の男性が町内会の消火器を持ってきて消火します。最も盛んだった時で腰くらいまで火勢はあったと思いますが,これでなんとか火は消えました。多分,煙に気づいてから,5分のうちの出来事です。また,消火活動にあたった2人の男性は,先を急いでいたのか,早々にこの場を立ち去ってゆきます。

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集まった緊急車両(撮影はしばらく後)

 お嬢さんのほうは警察に電話したら,消防署に電話するよう案内され,消防に現場の場所などを説明していますが,なかなかにもどかしそうです。自分のほうは道路から柵越しに1834Eの運転士さんに状況を伝え,列車指令経由の手配を試みます。また,状況を理解した運転士さんは,電車備付けの消火器を持出して,まだくすぶっていた燃え痕に徹底的に消火剤を撒きます。自分も知りませんでしたが,町内会の消火器はピンクの薬剤であっという間に出終わってしまいましたが,電車の方は白い薬剤で噴出する時間もずっと長いようです。火はこれで鎮火しましたが,まだ現場検証が必要で,列車も止まったままです。こちらは列車が動かないことには商売にならないので,検証対応は引受けたつもりでしたが,なかなか消防車もパトカーも来ません。火がメラメラ燃えていればすっ飛んでくるのでしょうが,鎮火後の検証だけとなると,随分スピード感が違います。通報から10分位して消防署が,更にその後5分位で警察が来て,現場検証を始めます。

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この日はたくさんのE231/E233系の写真も撮りましたが,そのうちのベスト?

 自分らは第1発見者,通報者ということで,言葉使いはとても丁寧ですが,調書をとられます。これ自体は仕方のないことと思いますが,日本のお役所は縦割りで,全く同じことを消防と警察に2回しゃべることになりました。2回目の警察の方は面倒臭くなって端折ってしゃべり,それを察知したかメモを取る方も簡単で,実際は1.7回というところです。各庁署にもそれぞれ言い分はあるでしょうが,これは改善してもらいたいところです。
 
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湘南ライナーといえばこの215系もダイヤ改正後の処遇が心配です

 発煙から小1時間後の8:00前になり,ようやく列車は運転再開になります。くだんのお嬢さんも同様で,出勤の途上に小1時間付き合っています。現場の近くには茅ヶ崎方,辻堂方,両方に踏切がありますが,これらも小1時間開かずのままでした。上にも書いたとおり,火災自体は約10分で消えているので,残りの約40分は検証のための運転見合わせです。発火していたのはJRの信号関係の機器だし,消火をしたのも運転士さん,沿線火災には間違いないと思いますが,こんなに大袈裟なことになってしまい,列車を止めてよかったのかと思います。尤も,自分が止めなくても,早晩,沿線火災で運転見合わせにはなっただろうと自身を納得させます。

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このときの列車走行位置の表示

 検証や調書作成が終わって自分の拘束は解かれましたが,たくさんの緊急車両が止まっていて列車写真どころではありません。その辺でウロチョロしているとただの迷惑な野次馬と間違われそうです。少し場所を移して,写真撮りの続きを始めます。しかし,列車ダイヤはぐちゃぐちゃです。文明の利器の列車の走行位置表示を見ても,どうもライナーは表示の対象外のようです。線路には列車がひしめき順々にやってくるしかないので,こちらも腹を括って来るものを撮る態勢で臨みます。

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185系のおはようライナー新宿なので多分26号。30分くらいの遅れ

 三々五々消防や警察の人たちも引上げますが,JRの人だけは焼けたつなぎ箱の復旧作業を進めます。場所が線路際なので,列車監視員が付き,旅客線の下り列車のみ速度規制がかかっているようです。貨物線を走る「おはようライナー新宿26号」に続き,185系15両編成の「湘南ライナー12号」がやってきます(今日のとびらの写真です)。火事の前の一群は暗くて今イチでしたが,火事の後は陽も高くなり,踏切中継の特発がちょっと邪魔ですが富士山もバッチリです。特発といえば,この道路は100人来ても大丈夫と上に書きましたが,これは大ウソです。線路には架線柱,信号機のほか受光器の支持棒,特発の支持棒などなどいろいろな縦の障害物があって,本当にすっきり撮れる場所はとても少ないです。帰り道もしっかりロケハンして帰りましたが,上の1830Eの写真の場所がベストかもしれません。JRのかたが作業をしていて近づき難かったですが,火災の現場(56kmポスト付近)より少し伍仁原踏切のほうへ下ったあたりだったと思います。

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上りの貨物列車。富士山の光の当たり具合はこの時がベスト?

 ところで,今日はライナー狙いでしたが,自分は列車写真は貨物列車派です。貨物列車が好きな訳ではなく,力強そうな機関車牽引の列車が好きなのですが,今や機関車牽引=貨物列車の時代です。東海道線の早朝は関西,山陽方面から東京に上ってくる貨物列車のラッシュアワーです。ライナーの走る時間帯では遅いのですが,下りはそこそこ列車があり,それらの写真も楽しみます。

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福山通運貸切の福山レールエクスプレス

 最近はモーダルシフトの波に乗り,佐川のスーパーレールカーゴを始め,通運会社の貸切列車が増えました。これらの列車はコンテナ列車でも同じデザインのコンテナが並んで編成美もあります。以前の記事で書きましたが,EF66の3,900kWに対し,EF210は3,390kW(30分定格は3,540kW)で,古いEF66の方が性能的には勝っています。このEF66も国鉄時代に製作された機関車は27号機1両だけ,JR移行後の100番台の最終製作グループでも今年(2021年)で30年になります。後継の機関車が楽しみですが,JR貨物は出力ダウンでも優秀な汎用機EF210の増備でしのぐのでしょうか。

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トヨタ貸切のトヨタロングパスエクスプレス

 そうこうするうちライナーの時間帯は終わり,下りの「踊り子」号の初便が15分くらい遅れてやってきました。自分も朝からトイレに行っていないので,引上げることにします。

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「踊り子3号」。追いかけですみません

 元来た道を辻堂駅に引返し,大船に出ます。往くときには,帰りの大船ではE217系の写真でも撮りたいと思っていましたが,本格的に鉄ちゃんをした後では駅撮りをする気になりません。一服のコーヒーを買おうとNEWDAYSを覗くと,185系40年の記念パッケージのお菓子があるので,迎春バージョンと合わせて,家へのお土産にします。

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今日のお土産。185系40年と2021年迎春の横浜ハーバー

 今日の午前は富士山バックの185系の湘南ライナーの鉄ちゃんのつもりでしたが,いろいろなことがありました。元々の目的の写真は上のとおりで,一とおりの成果は得られました。沿線火災の現場に居合わせるとか,自分で列車を止めるなどという体験はもちろん初めてです。また,消防や警察の調書作成に立ち合うのも初めてで,よい経験をしました。振返ると,その時の会話はけっこう密で,今日は人との接触リスクは少ないと考えて来ましたが,何が起こるか分かりません。

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185系登場の頃の記念入場券

 よい場所も憶えたので,陽が長くなったらダイヤ改正前にもう一度,この辺りへ出かけたいと思います。神奈川県では数日前に緊急事態宣言が発出されたので,またまた不要不急の外出はしづらくなってしまいました。別の用事があって家のきっぷを整理していたら,185系「踊り子」号の運転開始の記念入場券が出てきました。最後にそれをつけて,今日の稿を終わります。(2021.1.10記)

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