Bトレインショーティー--キハ85系
さる(2013年)2月8日,Bトレインショーティーのキハ85系が日車夢工房ブランドで発売された。BトレとしてはE3系以来の注目の新製品だ。

キハ85系6連完成写真
キハ85系はJR発足直後に名古屋運転区のキハ82の代替のために開発された気動車で,カミンズ製(注)の高出力(350馬力)エンジンを備えた高性能が売りだった。名古屋のキハ82は古いにも拘らず手入れが行き届いていたのが好印象で,「南紀」の置換えの時にはわざわざ写真を撮りに出かけたくらいなので,その仇(?)でもある。実際に乗ったのは,登場して間もないころの「ひだ」の下呂~名古屋間くらいで馴染みは多くない。ワイドビューのサブネームがあるだけあって,天地寸法が広く明るく広々とした車内だった印象がある。そんな程度の接点しかないが,なぜか僕はキハ85系が好きで,フルサイズのNゲージ模型も持っている(JR型の電車・気動車で唯一!)。
そんなキハ85系のBトレが出たのだから,買わない訳にいかない。うっかりしていて発売初日は逃したが,早々にAセット2個,Bセット1個を通信販売で買った。キハ85系は両端にワイドビューの先頭車がほしいし,貫通型のキハ85も1両はほしいのでこの組合わせになった。セットの内容だが,Aセットはキロ85,キハ84(各種番台が製作可能),Bセットはキハ85-100番台(貫通型),キロハ84の各2両の組合わせだ。ここで問題なのが最も標準的といえる非貫通のキハ85がないということだ。組立て説明によれば,キハ85-100の側面にキロ85の前面をつければキハ85が製作可能ということになっている。
経済的に余裕のない僕としては,2両分の部品を使って1両しか組めないのは困る。残りを組合わせればキロ85-100番台とでも言いたくなる貫通型のキロが組めるのだが,こういうフリーランスはあまり好きではないのだ。パーツをよく見ると,キハ84はいろいろなバリエーションが組めるよう側面+窓が2セット入っていて,-1~の窓のうち2.5窓分を使えばキハ85とほぼ同等の窓配置となることが分かった。また,キハ85系では連窓風の窓配置のため,窓割りを変える改造は比較的やり易そうなのが救いでもある。という訳で,この製作記は無理やり改造して作るキハ85の製作が主体になる。また,編成中にグリーン車が1.5両もあっても仕方ないので,少々もったいない気もするがキロハ84は作らず,余剰パーツを使ってもう1両キハ84-200を作ることにした。結果としては,キロ85+キハ84-200+キハ84-1~+キハ85-100+キハ84-200+キハ85の6連になった。
さて,実際の製作としては問題のキハ85の製作準備にかかる。まず,側板だがキハ85(窓2.5枚分)とキロ85(窓長尺2枚分)用で全体の長さが同じなのだが開口部の長さが異なる。開口部の長さを同じとして窓だけ2種類用意し,キハ,キロ両対応とすれば簡単なのだが,それをせずにきっちり作り分ける開発ご担当のこだわりが嬉しい。販売戦略上Bセットが売れなくなるから,敢えて避けたのかもしれないが。
工作は窓から始めることとし,乗務員室と客用の扉の窓はキロ85のものを使い,扉間の窓部分はキハ84-1~の窓を使う。キハ85-100の窓は扉間に2.5枚なので,キハ84-1~の窓(3.5枚の連窓)から2.5枚分を切り取らないといけない。窓2.5枚分をとって柱の部分でカッターで切断後,隅部のRを出しながら,ヤスリがけして適切な長さに成形する。キハ85系の窓は天地寸法が大きく窓が上部のアングル部分にかかっていて切継ぎは難しそうなので,強度は落ちるが乗務員室扉,扉間の窓,客用扉で3分割とし,接着剤で屋根,側板に接着することにした。屋根にはめるボスやガラス部品下部の床板の受けは,強度保持と位置決めのために残したかったが,前側のボスは取れてしまった。なお,先頭になるキハ85-1~のほうが見た目と強度のうえで改造車でないほうがよいので,組み立ての際にキハ85-100オリジナルの側板に非貫通型の先頭部を,改造で作った側板に貫通型の前面をつけている。

加工中の窓と側板。左:窓部品は3分割。右:側板の開口部の違い(上:キロ,下:キハ)
側板はキロ用を使うがキハ用より若干開口部の長さが短い。長い場合は埋めたり塗装したりという作業が必要になるが,短い場合は広げるだけなので苦はない。キハ85-100用の側板を治具にして罫書きをし,ヤスリで適切な大きさに広げていく。削りすぎるとアウトなので,先に用意したそこにはまるべき2.5窓分の窓部品をはめながら現物合わせで削った。切断面は本当はこげ茶色に塗装したいところだが,塗料を用意するのが大変なので,黒マジックでプラの地色のグレーを隠す程度のことをしてある。これらの部品を接着して,改造キハ85製作の準備は整った。
もう一つは,キロハ84改めのキハ84-200だ。こちらはキハ85のような難易度の高い改造は不要で,単に部品を組換えるだけだ。実態からいえばキロハ84から改造というよりは,キハ84の余剰部品からキハ84-200を作り,組立てないことにしたキロハから妻面だけ拝借するといったほうがよい。なお,BトレWikiの記事によれば,それはタイプモデルとの由だが,妻面の機器箱の位置だけなので気にしないことにする。
これだけ準備ができれば後は組立てるだけだ。わが家流の組立てかたについては既に2度(185系,E233系)アップしているので詳しくは書かない。組立て前に部品を並べた状態だけ,写真を載せておこう。また,このキットで高評価の点がもう一つある。それは台車のモールドで,若干Bトレ用の台車としては大きい感じもするが,複雑なつくりのC-DT57台車をとてもシャープに再現している。反対に難点は嵌めが硬いことで,このことはBトレWikiの記事にも出ている。前面といわず,側板下部といわず,ものすごく嵌めが硬く,僕の場合はティッシュペーパーで保護しながらラジオペンチで押し込んだ。

組立て前の部品集結

3種の先頭車,右からキロ85,キハ85,キハ85-100
かくしてキハ85系6連完成だ。なお,気付いたかたもいると思うが,この方法でキハ85を作る場合はAセットだけでできる。例によって,BトレをBトレとして組立てる製作記だったが,同様の製作を検討しているかたのお役にたてれば幸いです。
(注)カミンズは元々米国の企業だが,日本で使われているのはスコットランド・ショッツ工場製だそうだ(Wikipediaによる)
(2013.2.24記)

キハ85系6連完成写真
キハ85系はJR発足直後に名古屋運転区のキハ82の代替のために開発された気動車で,カミンズ製(注)の高出力(350馬力)エンジンを備えた高性能が売りだった。名古屋のキハ82は古いにも拘らず手入れが行き届いていたのが好印象で,「南紀」の置換えの時にはわざわざ写真を撮りに出かけたくらいなので,その仇(?)でもある。実際に乗ったのは,登場して間もないころの「ひだ」の下呂~名古屋間くらいで馴染みは多くない。ワイドビューのサブネームがあるだけあって,天地寸法が広く明るく広々とした車内だった印象がある。そんな程度の接点しかないが,なぜか僕はキハ85系が好きで,フルサイズのNゲージ模型も持っている(JR型の電車・気動車で唯一!)。
そんなキハ85系のBトレが出たのだから,買わない訳にいかない。うっかりしていて発売初日は逃したが,早々にAセット2個,Bセット1個を通信販売で買った。キハ85系は両端にワイドビューの先頭車がほしいし,貫通型のキハ85も1両はほしいのでこの組合わせになった。セットの内容だが,Aセットはキロ85,キハ84(各種番台が製作可能),Bセットはキハ85-100番台(貫通型),キロハ84の各2両の組合わせだ。ここで問題なのが最も標準的といえる非貫通のキハ85がないということだ。組立て説明によれば,キハ85-100の側面にキロ85の前面をつければキハ85が製作可能ということになっている。
経済的に余裕のない僕としては,2両分の部品を使って1両しか組めないのは困る。残りを組合わせればキロ85-100番台とでも言いたくなる貫通型のキロが組めるのだが,こういうフリーランスはあまり好きではないのだ。パーツをよく見ると,キハ84はいろいろなバリエーションが組めるよう側面+窓が2セット入っていて,-1~の窓のうち2.5窓分を使えばキハ85とほぼ同等の窓配置となることが分かった。また,キハ85系では連窓風の窓配置のため,窓割りを変える改造は比較的やり易そうなのが救いでもある。という訳で,この製作記は無理やり改造して作るキハ85の製作が主体になる。また,編成中にグリーン車が1.5両もあっても仕方ないので,少々もったいない気もするがキロハ84は作らず,余剰パーツを使ってもう1両キハ84-200を作ることにした。結果としては,キロ85+キハ84-200+キハ84-1~+キハ85-100+キハ84-200+キハ85の6連になった。
さて,実際の製作としては問題のキハ85の製作準備にかかる。まず,側板だがキハ85(窓2.5枚分)とキロ85(窓長尺2枚分)用で全体の長さが同じなのだが開口部の長さが異なる。開口部の長さを同じとして窓だけ2種類用意し,キハ,キロ両対応とすれば簡単なのだが,それをせずにきっちり作り分ける開発ご担当のこだわりが嬉しい。販売戦略上Bセットが売れなくなるから,敢えて避けたのかもしれないが。
工作は窓から始めることとし,乗務員室と客用の扉の窓はキロ85のものを使い,扉間の窓部分はキハ84-1~の窓を使う。キハ85-100の窓は扉間に2.5枚なので,キハ84-1~の窓(3.5枚の連窓)から2.5枚分を切り取らないといけない。窓2.5枚分をとって柱の部分でカッターで切断後,隅部のRを出しながら,ヤスリがけして適切な長さに成形する。キハ85系の窓は天地寸法が大きく窓が上部のアングル部分にかかっていて切継ぎは難しそうなので,強度は落ちるが乗務員室扉,扉間の窓,客用扉で3分割とし,接着剤で屋根,側板に接着することにした。屋根にはめるボスやガラス部品下部の床板の受けは,強度保持と位置決めのために残したかったが,前側のボスは取れてしまった。なお,先頭になるキハ85-1~のほうが見た目と強度のうえで改造車でないほうがよいので,組み立ての際にキハ85-100オリジナルの側板に非貫通型の先頭部を,改造で作った側板に貫通型の前面をつけている。

加工中の窓と側板。左:窓部品は3分割。右:側板の開口部の違い(上:キロ,下:キハ)
側板はキロ用を使うがキハ用より若干開口部の長さが短い。長い場合は埋めたり塗装したりという作業が必要になるが,短い場合は広げるだけなので苦はない。キハ85-100用の側板を治具にして罫書きをし,ヤスリで適切な大きさに広げていく。削りすぎるとアウトなので,先に用意したそこにはまるべき2.5窓分の窓部品をはめながら現物合わせで削った。切断面は本当はこげ茶色に塗装したいところだが,塗料を用意するのが大変なので,黒マジックでプラの地色のグレーを隠す程度のことをしてある。これらの部品を接着して,改造キハ85製作の準備は整った。
もう一つは,キロハ84改めのキハ84-200だ。こちらはキハ85のような難易度の高い改造は不要で,単に部品を組換えるだけだ。実態からいえばキロハ84から改造というよりは,キハ84の余剰部品からキハ84-200を作り,組立てないことにしたキロハから妻面だけ拝借するといったほうがよい。なお,BトレWikiの記事によれば,それはタイプモデルとの由だが,妻面の機器箱の位置だけなので気にしないことにする。
これだけ準備ができれば後は組立てるだけだ。わが家流の組立てかたについては既に2度(185系,E233系)アップしているので詳しくは書かない。組立て前に部品を並べた状態だけ,写真を載せておこう。また,このキットで高評価の点がもう一つある。それは台車のモールドで,若干Bトレ用の台車としては大きい感じもするが,複雑なつくりのC-DT57台車をとてもシャープに再現している。反対に難点は嵌めが硬いことで,このことはBトレWikiの記事にも出ている。前面といわず,側板下部といわず,ものすごく嵌めが硬く,僕の場合はティッシュペーパーで保護しながらラジオペンチで押し込んだ。

組立て前の部品集結

3種の先頭車,右からキロ85,キハ85,キハ85-100
かくしてキハ85系6連完成だ。なお,気付いたかたもいると思うが,この方法でキハ85を作る場合はAセットだけでできる。例によって,BトレをBトレとして組立てる製作記だったが,同様の製作を検討しているかたのお役にたてれば幸いです。
(注)カミンズは元々米国の企業だが,日本で使われているのはスコットランド・ショッツ工場製だそうだ(Wikipediaによる)
(2013.2.24記)
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