「東急西武線まるごときっぷ」で西武線全線乗りつぶし
先般ジュニアが東急のサイトで「東急西武線まるごときっぷ」(実際には「東急」は小さい文字なので,以下「西武線まるごときっぷ」と書きます)なるきっぷを見つけてきました。横浜発だと1,830円で東横線経由での渋谷往復に小竹向原までの副都心線と西武全線が1日限り乗り降り自由というものです。横浜からだと小竹向原まで往復するだけでも1,000円以上するので800数十円で西武線が乗り放題と破格のきっぷです。こういうのを見ると使ってみたくなり,どうせ使うならたくさん乗ってみたくなるものです。

「西武線まるごときっぷ」
僕は母の実家が練馬で,幼稚園前は鷺ノ宮に住んでいたので西武線の都心寄りのところは何度も乗っています。50年も生きていればそれなりに用事はあるもので,大学時代にもの珍しさでレオライナーと狭山・多摩湖線,E85の写真を撮りに横瀬や秩父,田無の工場の出張の帰りに多摩川線と,本川越と国分寺線以外は大体行ったことがありました。でも,どうせならよい機会なので全部乗ってみようということになりました。

西武線の路線図(西武かわら版から)。拡大はこちら
ここで問題です。西武線の全線に乗ろうとすると何時間かかるでしょう?
スタート,ゴール駅は自由,有料特急(レッドアロー号)の利用は不可,途中でJRやバスの利用は自由とします。
こんな問題に取組みだしたら止まらなくなって,ゴールデンウィークの連休前後に会社の知人まで動員して考えたら9時間弱で回れることが分かりました。順位づけも賞品もありませんが,我こそは西武通の乗り鉄と思うかたはチャレンジしてみてください。僕の考えた最速は9時間6分,会社の知人はもっと短い8時間52分を考案しました。ところで,西武の冊子型の時刻表は2013年3月の第25号以降発売がなく,行程を考えるのは専ら乗換案内などのウェブサイト頼りでした。我が家の近所の京浜急行などは毎年のダイヤ改正のたびに時刻表が発売されるので,それとはずいぶん様子が違います。

黄色い地下鉄乗り入れ用の6000系6157F。練馬,9:19
(2015年)5月17日日曜日,この日は何もない休日だったので,早速,考えたルートでの乗りつぶしをしてきました。時刻表をめくる机上旅行もよいですが,僕はやはりリアル旅行でないとダメな性分です。自宅最寄りの磯子駅を8:00ちょうどに出発,先ずは東急の横浜駅に向かいます。ここでその「西武線まるごときっぷ」を買い,トイレを済ませて,8:27発の,東横線は特急,副都心線は急行,西武線では快速急行と種別が目まぐるしく変わる小手指行きに乗車です。来た電車は6000系の6157F,4月中旬からラッピングされた黄色い電車で,幸先良いスタートです。東横線に乗入れる西武の電車はステンレスかアルミに銀塗装の6000系で,広域で運用されるのに1本しかないため,東横線に来るのは珍しいそうです。Facebookにアップしたら,東横線沿線に住む古い友人が写真を撮り行ったくらいです。

豊島線の電車。豊島園駅はローカルな雰囲気。9:37
9:19練馬着,折角の快速急行ですが,ここで列車を捨てて先ずは豊島園に行き,豊島線を制覇,折返しでそのまま池袋に向かいます。ここから急行で所沢へ。所沢は西武としては都心側ターミナル3駅に次ぐ要衝で,駅も最近再整備されたらしく開放的で明るく,エスカレータも多い1大ターミナルでした。今は駅構内のトコテラスというアトリウムで西武100周年の写真展をやっていましたが,自称最速乗継ぎにそんな余裕はなく,そそくさと本川越行きに乗換えです。本川越はトンボ返りで所沢に戻り,先ほどサーベイしておいた,おにぎり屋とパン屋で昼食を調達して,次は狭山線,山口線,多摩湖線の一連ルートです。

山口線は新交通システムでレオライナーの愛称がつく。西武球場前,11:46
レオライナーの山口線から多摩湖線への乗換えは1分の予定で,駅案内図でホーム横断だけなので大丈夫と判断していたのですが,この日はバラとガーデニングショウ2015というイベントが開催され,レオライナーに臨時列車があり大助かりです。この日は天気も良く,山口線から眺める多摩湖は都内なのにのどかでしたが,こちらはここくらいしかゆっくり食事のできるところがないので,写真を撮る暇もありませんでした。臨時列車のおかげで西武遊園地駅での乗継ぎは11分になっていましたが,10分前の列車に間に合ったので1本先行して国分寺を目指します。多摩地区の西武線ですが,久々に乗ったら真っ白シロ助のワンマンカーで合理化の進展を感じます。

西武遊園地駅の乗換えの様子。1分でも十分だ。12:00
国分寺駅はJR中央線連続立体交差化で高架になりましたが,多摩湖線の斜めに突っ込む線形は以前のままです。ここからは西武としては離れ小島の多摩川線に乗るために,JR中央線で3駅ばかり上ります。国分寺のJR・西武間は自動改札の連絡改札がありますが,京急と同じように,きっぷを入れてSuicaをタッチで通れるか分かりません。きっぷを改札機に喰われてしまうと面倒なことになるので,連絡改札を使わず,一旦改札外に出ての乗換えにしました。念のため駅員さんにも聞いてみましたが,はっきりと回答できる人がおらず,心配なら外を回ってくださいとの案内でした。

真っ白シロ助のワンマン電車。武蔵境,12:39
さて,離れ小島の多摩川線です。そもそも「西武線まるごときっぷ」で乗れるのかもちょっと怪しげでしたが,西武の武蔵境駅の駅員さんは明快で,乗れます,でも(連絡改札だけでなく西武の自社線のも含めて)自動改札は通れませんとのことでした。多摩川線の自動改札設置駅は武蔵境だけだそうで,まるごときっぷに対応するために複雑なロジックを追加するより,人が案内したほうが合理的と判断したとみました。休日の昼下がりなのでぎゅう詰めになることはありませんが,そこそこの乗客がいたのに感心しました。是政でも例によって3分の折返しでトンボ返りですが,ホーム内に水飲み器+手洗いがあったのがなぜか嬉しかったです。そういえば真新しい所沢駅のホームにも新設の水飲み器+手洗いがありました。すべての西武の駅に設置されているのか分かりませんが,最近,少なくなっているので西武のよい風習としておきます。

是政駅。時計の下の水飲み器+手洗いがいい(明度を加工済)。12:54
再度JR中央線で間をつなぎ,国分寺に戻って,今度は国分寺線で東村山を目指します。往路の時に書洩らしましたが,中央線は大月,甲府方面からの特急列車が数分の遅れを持って割り込んできて,2,3分の遅れはざらですので,行程を計画するとき,この区間は余裕を持っておくのがよいでしょう。国分寺からの列車はこれまたバラとガーデニングショウの臨時で西武園までの直通電車です。東村山から西武園に行く計画だったので,時刻は変わりませんが,乗換えが1回減って得した気分です。

国分寺線は西武園まで延長運転。国分寺,13:34
西武園を往復後は再度所沢に戻って,いよいよ秩父を目指します。所沢から乗った電車は西武の最新鋭30000系,スマイルトレインの愛称を持つこの電車は社内の女性も多数開発に参画したそうです。飯能まで20数分の乗車の間,最前部に乗っていろいろ観察することができました。丸っこい外観もかわいいですが,細やかな配慮がたくさん見受けられて好ましく感じました。また,非貫通の広々とした運転台は普通より中央に寄っていて,運転もしやすそうでした。

西武30000系。所沢,14:14。かぶりつきの展望も良好。
飯能~西武秩父間は50分近くかかるため,鉄道旅行の楽しみのビールも控えていたのですが,電車はライオンズカラーの4000系です。4000系は廃車になった101系の足回りに車体だけ新造した車両ですが,トイレがついているのはありがたいです。飯能では早速ビールとつまみを買い込み,乗りつぶしも半分を過ぎたので,秩父の山々を見ながら寛ぎのひとときです。

秩父線はボックスシートでトイレ付の4000系。飯能,14:38。秩父の山並みを行く。
せっかく来たので西武秩父ではゆっくりしたいところですが,折り返し時間はたったの5分です。アルコールも入ったのでホームでゆっくりしていようかとも思いましたが,きっぷも持っているので改札を出ようと駅舎へ。するとレッドアロー号のペーパクラフトがあるのでこれをもらい,ふと見るとスタンプが5種類もあるではないですか。時間が気になりましたが,なんとかこれを押して,列車に戻ります。途中の階段でその日の行程表を入れたクリアケースを忘れたことに気がついたのですが,その後がいけませんでした。クリアケース自体は百均商品だし,行程表はパソコンにデータがあるので,行程維持を優先することにしました。送ってもらうこともできるかもしれないし,またジュニアと来るかもしれないし,なくしてもそれほど惜しくもありません。列車に乗って落ち着いてから気づきました,今日は「西武線まるごときっぷ」をその中に入れていたのでした。とすると今は無札!?あわてて最初の停車駅,横瀬で降りて事情を話し,西武秩父駅に遺失物の照会をしてもらいました。行楽日和の日曜の夕方とあって秩父周辺の駅は多忙を極めており,忘れ物の発見はできませんでした。横瀬で対応していただいた駅員さんもご自分で行ってみたらと言うし,自分もそう思ったので,次の下り列車でまた西武秩父に行くことにしました。

忘れ物のリカバリに西武秩父~所沢間は特急を利用,所沢,17:23
結果からいえば西武秩父駅で忘れ物を回収することはできたのですが,西武秩父以降の行程はぐちゃぐちゃです。また,この時間はなぜか30分以上上りの各駅停車がない時間です。元の行程は西武秩父からの上り列車を東飯能で捨て,JR八高線で拝島へショートカットして,小平に出た後に未乗の東村山までの新宿線を制覇して,西武新宿へ戻る計画でした。今日は早く帰るように言われていたので,上のルートはやめて特急で所沢に戻り,小平経由で拝島に出て,トンボ返りで西武新宿を目指すルートに組替えました。これだと特急料金はかかりますがJRを使わないので差額は多くなく,20分くらい早く帰着できるのです。

拝島への往復でお世話になった西東京市のラッピング電車20056F。拝島,18:08
たった缶ビール1本なので酔っていたせいというよりは,時間がなく慌てていたせいなどと反省し,意気消沈して,16:21のレッドアローで所沢へ急ぎます。今日4度目の所沢では朝見た黄色い6000系を再度見ることができましたが,朝ほどの感慨もなく,新宿線に乗換え小平を目指します。小平からは西東京市のキャラクターのラッピングの20000系で拝島に向かいます。拝島は今日最後のチェックポイント的な感じもするので,JRの改札まで行くと,ここにも3つのスタンプがありました。無人化された駅の分も保管しているとのことで,拝島のほか,熊川,東福生--東福生のは電化開業記念--の3つです。少し気を取り直して,西武の拝島駅に戻り,最終行程で西武新宿を目指します。途中,田無で急行に乗換え,西武新宿に着いたのは18:55でした。

JR拝島でゲットしたスタンプ
当初の予定の9時間6分より36分余計にかかり,しかも途中に特急を使ってしまったので参考記録ですが,今日の西武線乗りつぶしの所要時間は9時間42分でした。いろいろありましたが,なんとか西武線全線完乗はできたのでに満足し,家路に着きます。帰りは副都心線の新宿三丁目まで歩いて東横線経由で自宅最寄りの磯子着は20:19,朝出発してから12時間19分でした。当初の予定だと12時間を切っていたので,これも残念ではあります。
数年前のいっとき,西武は外資系ファンドに買収されかけて経営的に不安定な時期がありました。今日は1日西武に乗りましたが,輸送の現場では運転士さん,車掌さん,駅員さんに服装の乱れた人は一人もおらず,皆さんキビキビと仕事をしていて安心しました。西武は池袋線,新宿線が2大幹線ですが,武蔵野地区には稠密な路線網があり,またこれらの線区も予想外に稠密に列車が走っています。今日は事前にたっぷり時刻を調べてタイムトライアルさながらの乗継ぎでしたが,時刻を調べないで行きあたりばったり,気に入った乗換駅で何本か列車をおとすような乗りつぶしも楽しそうです。多分,陽の長い時期なら,朝早くから始めれば陽のあるうちに全線完乗できると思います。うちのジュニアですが,今日は起きることができずに撃沈でした。また近い日にリベンジで同行できる日があるとよいと思います。最後に情報を一つ,この「西武線まるごときっぷ」ですが,渋谷以外の東急線各駅で売っており,代官山,中目黒発の1,620円が最安です。(2015.5.24記)

「西武線まるごときっぷ」
僕は母の実家が練馬で,幼稚園前は鷺ノ宮に住んでいたので西武線の都心寄りのところは何度も乗っています。50年も生きていればそれなりに用事はあるもので,大学時代にもの珍しさでレオライナーと狭山・多摩湖線,E85の写真を撮りに横瀬や秩父,田無の工場の出張の帰りに多摩川線と,本川越と国分寺線以外は大体行ったことがありました。でも,どうせならよい機会なので全部乗ってみようということになりました。

西武線の路線図(西武かわら版から)。拡大はこちら
ここで問題です。西武線の全線に乗ろうとすると何時間かかるでしょう?
スタート,ゴール駅は自由,有料特急(レッドアロー号)の利用は不可,途中でJRやバスの利用は自由とします。
こんな問題に取組みだしたら止まらなくなって,ゴールデンウィークの連休前後に会社の知人まで動員して考えたら9時間弱で回れることが分かりました。順位づけも賞品もありませんが,我こそは西武通の乗り鉄と思うかたはチャレンジしてみてください。僕の考えた最速は9時間6分,会社の知人はもっと短い8時間52分を考案しました。ところで,西武の冊子型の時刻表は2013年3月の第25号以降発売がなく,行程を考えるのは専ら乗換案内などのウェブサイト頼りでした。我が家の近所の京浜急行などは毎年のダイヤ改正のたびに時刻表が発売されるので,それとはずいぶん様子が違います。

黄色い地下鉄乗り入れ用の6000系6157F。練馬,9:19
(2015年)5月17日日曜日,この日は何もない休日だったので,早速,考えたルートでの乗りつぶしをしてきました。時刻表をめくる机上旅行もよいですが,僕はやはりリアル旅行でないとダメな性分です。自宅最寄りの磯子駅を8:00ちょうどに出発,先ずは東急の横浜駅に向かいます。ここでその「西武線まるごときっぷ」を買い,トイレを済ませて,8:27発の,東横線は特急,副都心線は急行,西武線では快速急行と種別が目まぐるしく変わる小手指行きに乗車です。来た電車は6000系の6157F,4月中旬からラッピングされた黄色い電車で,幸先良いスタートです。東横線に乗入れる西武の電車はステンレスかアルミに銀塗装の6000系で,広域で運用されるのに1本しかないため,東横線に来るのは珍しいそうです。Facebookにアップしたら,東横線沿線に住む古い友人が写真を撮り行ったくらいです。

豊島線の電車。豊島園駅はローカルな雰囲気。9:37
9:19練馬着,折角の快速急行ですが,ここで列車を捨てて先ずは豊島園に行き,豊島線を制覇,折返しでそのまま池袋に向かいます。ここから急行で所沢へ。所沢は西武としては都心側ターミナル3駅に次ぐ要衝で,駅も最近再整備されたらしく開放的で明るく,エスカレータも多い1大ターミナルでした。今は駅構内のトコテラスというアトリウムで西武100周年の写真展をやっていましたが,自称最速乗継ぎにそんな余裕はなく,そそくさと本川越行きに乗換えです。本川越はトンボ返りで所沢に戻り,先ほどサーベイしておいた,おにぎり屋とパン屋で昼食を調達して,次は狭山線,山口線,多摩湖線の一連ルートです。

山口線は新交通システムでレオライナーの愛称がつく。西武球場前,11:46
レオライナーの山口線から多摩湖線への乗換えは1分の予定で,駅案内図でホーム横断だけなので大丈夫と判断していたのですが,この日はバラとガーデニングショウ2015というイベントが開催され,レオライナーに臨時列車があり大助かりです。この日は天気も良く,山口線から眺める多摩湖は都内なのにのどかでしたが,こちらはここくらいしかゆっくり食事のできるところがないので,写真を撮る暇もありませんでした。臨時列車のおかげで西武遊園地駅での乗継ぎは11分になっていましたが,10分前の列車に間に合ったので1本先行して国分寺を目指します。多摩地区の西武線ですが,久々に乗ったら真っ白シロ助のワンマンカーで合理化の進展を感じます。

西武遊園地駅の乗換えの様子。1分でも十分だ。12:00
国分寺駅はJR中央線連続立体交差化で高架になりましたが,多摩湖線の斜めに突っ込む線形は以前のままです。ここからは西武としては離れ小島の多摩川線に乗るために,JR中央線で3駅ばかり上ります。国分寺のJR・西武間は自動改札の連絡改札がありますが,京急と同じように,きっぷを入れてSuicaをタッチで通れるか分かりません。きっぷを改札機に喰われてしまうと面倒なことになるので,連絡改札を使わず,一旦改札外に出ての乗換えにしました。念のため駅員さんにも聞いてみましたが,はっきりと回答できる人がおらず,心配なら外を回ってくださいとの案内でした。

真っ白シロ助のワンマン電車。武蔵境,12:39
さて,離れ小島の多摩川線です。そもそも「西武線まるごときっぷ」で乗れるのかもちょっと怪しげでしたが,西武の武蔵境駅の駅員さんは明快で,乗れます,でも(連絡改札だけでなく西武の自社線のも含めて)自動改札は通れませんとのことでした。多摩川線の自動改札設置駅は武蔵境だけだそうで,まるごときっぷに対応するために複雑なロジックを追加するより,人が案内したほうが合理的と判断したとみました。休日の昼下がりなのでぎゅう詰めになることはありませんが,そこそこの乗客がいたのに感心しました。是政でも例によって3分の折返しでトンボ返りですが,ホーム内に水飲み器+手洗いがあったのがなぜか嬉しかったです。そういえば真新しい所沢駅のホームにも新設の水飲み器+手洗いがありました。すべての西武の駅に設置されているのか分かりませんが,最近,少なくなっているので西武のよい風習としておきます。

是政駅。時計の下の水飲み器+手洗いがいい(明度を加工済)。12:54
再度JR中央線で間をつなぎ,国分寺に戻って,今度は国分寺線で東村山を目指します。往路の時に書洩らしましたが,中央線は大月,甲府方面からの特急列車が数分の遅れを持って割り込んできて,2,3分の遅れはざらですので,行程を計画するとき,この区間は余裕を持っておくのがよいでしょう。国分寺からの列車はこれまたバラとガーデニングショウの臨時で西武園までの直通電車です。東村山から西武園に行く計画だったので,時刻は変わりませんが,乗換えが1回減って得した気分です。

国分寺線は西武園まで延長運転。国分寺,13:34
西武園を往復後は再度所沢に戻って,いよいよ秩父を目指します。所沢から乗った電車は西武の最新鋭30000系,スマイルトレインの愛称を持つこの電車は社内の女性も多数開発に参画したそうです。飯能まで20数分の乗車の間,最前部に乗っていろいろ観察することができました。丸っこい外観もかわいいですが,細やかな配慮がたくさん見受けられて好ましく感じました。また,非貫通の広々とした運転台は普通より中央に寄っていて,運転もしやすそうでした。

西武30000系。所沢,14:14。かぶりつきの展望も良好。
飯能~西武秩父間は50分近くかかるため,鉄道旅行の楽しみのビールも控えていたのですが,電車はライオンズカラーの4000系です。4000系は廃車になった101系の足回りに車体だけ新造した車両ですが,トイレがついているのはありがたいです。飯能では早速ビールとつまみを買い込み,乗りつぶしも半分を過ぎたので,秩父の山々を見ながら寛ぎのひとときです。

秩父線はボックスシートでトイレ付の4000系。飯能,14:38。秩父の山並みを行く。
せっかく来たので西武秩父ではゆっくりしたいところですが,折り返し時間はたったの5分です。アルコールも入ったのでホームでゆっくりしていようかとも思いましたが,きっぷも持っているので改札を出ようと駅舎へ。するとレッドアロー号のペーパクラフトがあるのでこれをもらい,ふと見るとスタンプが5種類もあるではないですか。時間が気になりましたが,なんとかこれを押して,列車に戻ります。途中の階段でその日の行程表を入れたクリアケースを忘れたことに気がついたのですが,その後がいけませんでした。クリアケース自体は百均商品だし,行程表はパソコンにデータがあるので,行程維持を優先することにしました。送ってもらうこともできるかもしれないし,またジュニアと来るかもしれないし,なくしてもそれほど惜しくもありません。列車に乗って落ち着いてから気づきました,今日は「西武線まるごときっぷ」をその中に入れていたのでした。とすると今は無札!?あわてて最初の停車駅,横瀬で降りて事情を話し,西武秩父駅に遺失物の照会をしてもらいました。行楽日和の日曜の夕方とあって秩父周辺の駅は多忙を極めており,忘れ物の発見はできませんでした。横瀬で対応していただいた駅員さんもご自分で行ってみたらと言うし,自分もそう思ったので,次の下り列車でまた西武秩父に行くことにしました。

忘れ物のリカバリに西武秩父~所沢間は特急を利用,所沢,17:23
結果からいえば西武秩父駅で忘れ物を回収することはできたのですが,西武秩父以降の行程はぐちゃぐちゃです。また,この時間はなぜか30分以上上りの各駅停車がない時間です。元の行程は西武秩父からの上り列車を東飯能で捨て,JR八高線で拝島へショートカットして,小平に出た後に未乗の東村山までの新宿線を制覇して,西武新宿へ戻る計画でした。今日は早く帰るように言われていたので,上のルートはやめて特急で所沢に戻り,小平経由で拝島に出て,トンボ返りで西武新宿を目指すルートに組替えました。これだと特急料金はかかりますがJRを使わないので差額は多くなく,20分くらい早く帰着できるのです。

拝島への往復でお世話になった西東京市のラッピング電車20056F。拝島,18:08
たった缶ビール1本なので酔っていたせいというよりは,時間がなく慌てていたせいなどと反省し,意気消沈して,16:21のレッドアローで所沢へ急ぎます。今日4度目の所沢では朝見た黄色い6000系を再度見ることができましたが,朝ほどの感慨もなく,新宿線に乗換え小平を目指します。小平からは西東京市のキャラクターのラッピングの20000系で拝島に向かいます。拝島は今日最後のチェックポイント的な感じもするので,JRの改札まで行くと,ここにも3つのスタンプがありました。無人化された駅の分も保管しているとのことで,拝島のほか,熊川,東福生--東福生のは電化開業記念--の3つです。少し気を取り直して,西武の拝島駅に戻り,最終行程で西武新宿を目指します。途中,田無で急行に乗換え,西武新宿に着いたのは18:55でした。

JR拝島でゲットしたスタンプ
当初の予定の9時間6分より36分余計にかかり,しかも途中に特急を使ってしまったので参考記録ですが,今日の西武線乗りつぶしの所要時間は9時間42分でした。いろいろありましたが,なんとか西武線全線完乗はできたのでに満足し,家路に着きます。帰りは副都心線の新宿三丁目まで歩いて東横線経由で自宅最寄りの磯子着は20:19,朝出発してから12時間19分でした。当初の予定だと12時間を切っていたので,これも残念ではあります。
数年前のいっとき,西武は外資系ファンドに買収されかけて経営的に不安定な時期がありました。今日は1日西武に乗りましたが,輸送の現場では運転士さん,車掌さん,駅員さんに服装の乱れた人は一人もおらず,皆さんキビキビと仕事をしていて安心しました。西武は池袋線,新宿線が2大幹線ですが,武蔵野地区には稠密な路線網があり,またこれらの線区も予想外に稠密に列車が走っています。今日は事前にたっぷり時刻を調べてタイムトライアルさながらの乗継ぎでしたが,時刻を調べないで行きあたりばったり,気に入った乗換駅で何本か列車をおとすような乗りつぶしも楽しそうです。多分,陽の長い時期なら,朝早くから始めれば陽のあるうちに全線完乗できると思います。うちのジュニアですが,今日は起きることができずに撃沈でした。また近い日にリベンジで同行できる日があるとよいと思います。最後に情報を一つ,この「西武線まるごときっぷ」ですが,渋谷以外の東急線各駅で売っており,代官山,中目黒発の1,620円が最安です。(2015.5.24記)
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「はまなす」と最長鈍行2429Dに乗ってきました

ゴールデンウィークの連休,今年(2015年)は2泊3日の強行軍で北海道に行ってきました。目的は「はまなす」と日本最長鈍行の根室本線2429D乗車ほかです。わが家のかみさんはシフトがあって連休でも仕事,ジュニアは中学2年生ですが塾,僕の会社は8連休ですが,3人が共通に休めるのは5月2日(土)~4日(月)の3日間,朝5時半から深夜24時過ぎまで2泊3日をフルに使っての旅行です。北海道旅行といえば若い頃は最低でも1週間だったので,2泊3日では全く不足ですが,テーマを絞っての旅行です。
使ったきっぷはJTBのパッケージ商品です。鉄道旅行,JRの旅客営業制度研究好きの僕にとって,パッケージ旅行は旅行会社に魂を売るようなものでどうも好きではないのですが,安いのと使い勝手が良いこともあって,最近はパッケージ利用も増えています。今回は別稿でパッケージについても詳述したので,こちらもご参照ください。
5月2日(土)朝5:00前に起き,5:42磯子発の列車で東京駅を目指します。本来の行程なら東京駅9:36発の列車でよいのですが,パッケージ利用で列車が固定されてしまうので,東京駅6:56発の臨時の「はやぶさ63号」利用のため,超早起きになってしまいました。青森ではたっぷり時間があるので,駅からちょっと足を延ばして三内丸山遺跡を見学です。ここは以前にも行ったことがありますが,十数年ぶりに訪れると見学設備も充実し,とても満足です。

三内丸山遺跡
青森に戻り,市場で名物の「のっけ丼」の昼食の後はジュニアと2人で津軽線の旅です。津軽線は本州にいながら北海道のような荒野の景色が楽しめる線区ですが,今日は好天にも恵まれ,気持ちのよいレールハイクです。三厩では連休の臨時列車の「リゾートあすなろ竜飛」号がお昼寝中で,単行のキハ40と共によい写真が撮れました。三厩の折返し時間は19分で,スタンプを押したり写真を撮ったりして過ごすのに程よい時間です。上り列車は津軽二股で捨てて,隣接する海峡線の津軽今別から「白鳥17号」に乗ります。津軽今別駅は来年には新幹線の奥津軽今別駅になりますが,駅施設もかなり出来上がり,国道側のドライブインもリニューアルして,今日はたいそうな賑わいです。やってきた「白鳥17号」は古参の485系3000番台で,ジュニアいわくJR北海道の電車は燃えると怖い(冗談)のと,485系の列車も稀少になってきたので,喜んで古い電車に乗ります。

三厩にて。お昼寝中の「リゾートあすなろ竜飛」のハイブリッドディーゼルカーと古豪キハ40

485系「白鳥」。新幹線駅もかなりできている
函館では,パッケージのJR「北海道フリーパス」を引換えるとともに,旅行中に使う優等列車の指定席券を発券してもらいます。また,函館名物の「いか天」の駅そばを楽しみにしていたのですが,店じまいなのか連休のせいか分かりませんが,ホームの駅そば屋さんは閉まっていました。かみさんは五稜郭など函館観光をした後,最終の「北斗」で新札幌泊ですが,僕らは駅での用事が済んだら,江差線の鈍行で木古内へ戻ります。木古内から蟹田までの青函トンネル区間は普通乗車券での特急利用特例を使い,蟹田で途中下車後,今度は有償で特急に乗って青森に戻ります。
青森での夕食後は,今回の旅行の目玉のひとつの「はまなす」です。予め入線時刻は21:36と聞いていたので,その少し前にホームに行き写真を撮ります。青森駅は北斗星騒ぎの頃にマニアが押しかけて大変だったのでしょうか,そこらじゅう立ち入り禁止でまともに写真の撮れる場所はありませんでした。今夜は発車まで時間もあり,写真を撮る人も数名しかおらず不安全や混乱とは無縁だったので,ちょっと失礼して写真を撮らせていただきました。

急行「はまなす」,青森で。赤い電機+青い客車,僕にとっては最高の組み合わせだが,これもあとわずか
青森を出た後は一番後ろの自由席車でしばらくゆっくりします。この14系座席車は十和田,おが,まりも,大雪,利尻...と多くの夜行列車でお世話になった車両で,青春の日を思い出します。トンネルに入る前には寝台車に移り,長かった一日を終わります。夕食時のほか,車内でも一杯飲んだので,ぐっすり眠れましたと言いたいところですが,車内が寒く途中で何度か目を覚ましました。先般の北斗星の時もそうでしたが,乗客のエアコンに対する注文が厳しくなったのか,以前のような暖房がガンガンに効いた車両は少なくなったようです。
翌3日(日),札幌に到着しお約束の列車写真を撮った後,新札幌に引返し,かみさんの待つ新札幌のホテルで家族3人揃っての朝食です。パッケージでホテルも手配されているのに「はまなす」に乗って来たのですが,もったいないので,せめて朝食だけでもという訳です。さすが元シェラトンだけあって美味しい朝食の後は,7:54の列車で札幌に戻り,8:25の特急で滝川に向かいます。

2429D,滝川で。いざ,8時間半300kmの鈍行列車の旅に出発

2429D用特製サボ
滝川からは根室本線の鈍行で釧路に向かいますが,この列車-2429D-は日本最長距離(308.4km)かつ最長時間(8時間27分)の鈍行列車です。以前は,山陽本線に岡山から下関まで384.7kmを走る普通列車が走っていたのですが,徐々に運転区間が短縮され,岡山~新山口間(315.8km)を経て,岡山~徳山間(271.5km)になり,今年3月のダイヤ改正からは,距離,時間共に最長(長距離長時間鈍行ランキングはこちらを参照)になりました。近年はJR北海道もそれをウリにしていて,「日本一長~い距離を走る定期普通列車(2429D)」という特製のサボ(行き先板)を誂えたり,全区間乗りとおした人に完乗証を配布したりしています。ちなみに「日本一長~い...」ですが,岡山~新山口間は時刻表の見た目上は294.1kmですが,これは岩国~櫛ヶ浜間をショートカットする岩徳線経由で,実際には山陽本線の海線回りの315.8kmを走っていたので,今年の3月までは山陽本線371Mのほうが距離は長かったのです。JR北海道もこの間違いに気付いて「日本一運行時間の長~~い定期普通列車(2429D)」にサボを誂え直したようですが,371Mのほうがちょん切られて,今は念願(?)の日本一の長距離になった訳です。

富良野からは2両編成。落合で
さて,滝川からの2429Dですが,なんとキハ40-1742番の単行です。キハ40は国鉄末期に設計,生産され,重い車体の割にエンジンが非力で鈍重な感じは免れない気動車ですが,1742番と聞いてもJR北海道の気動車の改造は複雑で簡単には車歴は分かりません。主機を換装してパワーアップを図ったことは感じられるし,上から見たところは,水タンクや警笛も換装されたようです。連休中なのでお客さんは多く,30~40人はいる感じです。僕も鉄道旅行と思しき青年と相席ですが,通路に座り込んでいる人,運転席後ろに立っている人などがいて,ローカル列車らしからぬ混雑です。また,一見鉄道旅行者風の人も大勢いて,この列車の人気の高さに驚きです。9:36定時に滝川発,単行ディーゼルはワンマン運転で,車掌さんの長々とした案内放送もなくあっけないスタートです。石狩平野の外延部を淡々と走って,10:44富良野着。意外にも富良野観光のお客さんが多く,車内も一段落です。ここでは19分止まって,後ろにディーゼルカー1両を増結します。この増結車はキハ40の777番,良い番号であると同時にだいだい色の一色塗装です。初めてこの色の気動車を見たときは,国鉄も末期で手を抜いたなと思ったものですが,今では首都圏色などと呼ばれるリバイバルカラーで珍重されているようです。

日高山脈の山々には雪が残る

金山駅の駅舎
富良野からは石狩山地と日高山脈に挟まれた空知川に沿って,谷あいを登ってゆきます。山部,金山,幾寅などの駅は無人になっても駅舎自体は立派で,かつての根室本線の栄華を伝えています。石狩側の最後は落合駅で,ここで20分の大休止です。サミットの新狩勝トンネルの近くでは,遠くの山々だけではなく,線路端にもごく僅かですが雪が残っていました。昭和41年に付替えられた新トンネルを抜けると,十勝平野が見下ろせる雄大な景色のはずですが,今日はあいにくの曇りでぱっとしません。落合~新得はかつては国鉄線で駅間距離が最長の区間でしたが,今は石勝線の新夕張~占冠が最長だそうです。帯広周辺での下校時刻にあわせるための時間調整かこの辺は妙に長時間停車が多く,落合に続き新得でも12分止まります。ちょうど新得そばの看板が目についたので,ここで昼食にします。

とんがり屋根がかわいい新得駅と新得そば
新得から十勝地方,帯広の経済圏に入り,芽室からは部活帰りの高校生が大挙乗ってきて,にわかに活気づきます。14:13着の帯広は北海道には珍しい高架の駅で,ここでまた22分の停車です。帯広は高架の下に改札内コンコースがなく,ホームからの階段を降りるといきなり改札があって,線路方向に自由通路があり,反対側のホームに上るにも再度改札を通らないと行けないという,変わった作りです。ここではお菓子や飲み物を補充して,最長鈍行の旅,後半戦に備えます。帯広から程ない池田はワインが有名な街ですが,ここでは30秒の短い停車しかありません。池田から暫くは,十勝川と浦幌川の河口域の湿った原野を走ります。住む人も少なく,駅も要らないので,信号所がいくつかあります。その一つ常豊信号所で,上りの貨物列車と交換です。この辺の車窓で目につくもので,線路沿いの新しいフェンスがあります。こんなところに鉄ちゃんよけの金網など要るまいにと思ったのですが,帰りに乗った「おおぞら」ではエゾシカなどの動物と衝突を避けるため急ブレーキをかけることがありますとも言っていたとおり,ここはエゾシカ等の野生動物の多く住む地域のようです。帰って調べたら,気動車の警笛の換装ですが,これもシカ対策で,俗称シカブエだそうです。この電気機関車のようなピーという高い音は澄んでいて,気動車本来のポワーンというタイフォンよりは相当よい音色だと思います。

高架の帯広にて

常豊では貨物列車と交換
また,ここは帯広経済圏と釧路経済圏の境に位置するため,人の流動は少なく,2429Dは2両の気動車にお客さんがたった7人(うち自分も含め4人は鉄道趣味者風の人)になってしまいました。厚内を出ると線路は太平洋に沿って走り,天気がよければ青い海がきれいな区間ですが,今日は海霧が立ち込め暗く寒々しい景色です。直別で普通列車,尺別で「おおぞら」と2駅連続でゆっくり止まりますが,天気はご覧のとおりで,よい写真は撮れませんでした。

海霧の立ち込める尺別にて

尺別で上りの特急と交換。霧をついて「おおぞら」がやってきた
17:20過ぎ白糠に着くとここはもう釧路経済圏です。徐々にお客さんも増え,終点釧路を目指します。大楽毛では最後の長時間停車で4分くらい止まって,上り列車を待ちます。そして定刻の18:03,2429Dは8時間半の旅を終わって釧路に着きました。釧路ではこの列車に通しで乗った乗客に完乗記念証を配布していると聞いていましたが,どうやら自己申告のようで,北海道フリーパスを提示したら下の記念証をいただくことができました。釧路では,予め調べておいた定食屋で夕食を摂り,19:02の「スーパーおおぞら12号」で札幌へトンボ返りです。

釧路着。東京よりずいぶん東なので陽がおちるのが早い

ぎっしり47駅の運賃が並んだワンマン用運賃表示器

2429D完全乗車証明書
翌4日(月)はもう帰る日ですが,家族は2日連続の早起きと長時間の乗車でお疲れモードです。遠くへは行きたくないと言うので,札幌からあまり離れず,小樽の運河,余市のニッカウィスキーの工場,札幌に戻って羊ヶ丘展望台を巡って,21:25のANA便で帰京です。確かにまる3日動きどおしでヘトヘトですが,充実の2泊3日の北海道旅行でした。(2015.5.6記)
北海道旅行とパッケージ商品
2015年の5月連休の北海道旅行はJTBの「サンキューチョイス北海道」なるパッケージ商品を使って行ってきました。僕は普段の旅行はきっぷは一般販売のJRきっぷ,宿は自分で手配するのが常でしたが,最近はかみさんの影響もあって,パッケージ商品を活用することが増えています。JRの場合,丸に「契」と書かれた契約乗車票(マル契乗車票)は,乗車変更等に制約もあり,全くの偏見ですが僕としては一段格下に見ていたものです。今回は以下にパッケージのメリット,デメリット,パッケージ選択のポイントなどを書いてみます。

今回の商品,JTBの「サンキューチョイス北海道」パンフ
メリットの第1は何といっても安いこと,今回は都区内発で往路は「はやぶさ」+「白鳥」利用で函館までの運賃料金,復路のANAの航空運賃,2泊の札幌のホテル(1泊は朝食を食べたのみですが),JRの北海道フリーパス(特急指定席まで利用可)が全部セットで1人あたり59,300円でした。いちいち検算はしませんが,バラで買うよりは随分安いと思います。
メリットの第2は,実はこれが決定的だったのですが,ゴールデンウィーク期間中でも北海道フリーパスが使えることです。JR北海道の一般販売の北海道フリーきっぷは超繁忙期のゴールデンウィーク期間中は利用不可なので,これについては比較のしようがありません。しかしながら,一般販売の北海道フリーきっぷと違い,海峡線(木古内~中小国)が使いえないとか,本州直通列車が使えないというという制約があります。反対に,指定券の発行枚数がJRの一般販売では6枚(以前はこんな制限はなかった)なのに対し,パッケージのオプションでは無制限という違いもあります。
デメリットとしてはやはり指定席の変更の制限です。今回の場合でも,本来は9:36の「はやぶさ11号」に乗ればよかったのですが,手配した時点で6:56の「はやぶさ63号」しか空きがなく,やむなくこの列車を使うことにしました。尤もこのおかげで,三内丸山遺跡や青森の市場を見ることができた訳ですが。一般販売なら,新幹線なら前日の朝作戦ででも3席確保できたと思うし,最悪でも仙台と盛岡で席を切る技を使えば,何とかなったと思います。しかしながら,パッケージでは変更は原則,発券営業所の営業時間に限られるので,こんな芸当はできません。今回の乗車票の場合,乗り遅れたら「はやぶさ」より格下の「やまびこ」も含め,自由席または立席が利用可なので,確信犯で乗り遅れることも考えましたが,朝の苦手なジュニアも頑張って早起きして,杞憂に終わりました。なお,パッケージによっては指定列車以外は全く変更不可の乗車票の場合もあり,この場合は乗り遅れたらその分のお金はパー,自分できっぷを買い直さなければいけないので,パッケージを選択するときに注意が必要です。
もう一つのデメリットは,上述のように本州直通列車は使えないことですが,今回の僕のように「はまなす」に乗りたいなどというのはレア中のレアなケースでしょうから諦めるしかありません。ちなみに「ご利用できる列車及び設備:特別急行列車の普通車指定席・自由席,普通・快速列車の指定席・自由席」となっていて,「はまなす」は今や唯一となった定期急行列車なので,狙い撃ちされた如くNGなのです。東京での出発前にはフリーパス交換用のクーポンしか渡されず,道内の駅でクーポンと交換でパスを渡されるので,パス入手前に無札状態で本州からの直通列車で北海道内を乗られるのは困るという意図と思われます。今回のように,一旦,函館に来て,クーポン引き換え後に木古内~青森の往復運賃を払って,青森に戻るケースは想定外なのでしょう。無駄遣い感たっぷりですが,北海道フリーパスがあるのに木古内~札幌の運賃も払って,「はまなす」に乗ったのでした。

今回の旅行の契約乗車票一式
こんなレアなケースはおくとして,もう少し一般的なパッケージのお話を続けます。今回はJTBの商品を使いましたが,JTB以外でも日本旅行や近畿日本ツーリスト(KNT)などでも似たような商品はあります。仕入力やブランド力の違いで各社微妙に値段が違います。また,同じ旅行会社でも,フリータイプの北海道旅行に何種類かの商品があって,これまた微妙に値段が違います。例えば,上に書いたような列車乗り遅れ時の条件や,航空や新幹線利用時の時間帯別の条件が違うのです。今回のJTB「サンキューチョイス北海道」の場合,ベースで北海道滞在中のレンタカー代が含まれているので少々高めですが,レンタカーの代わりにJRの北海道フリーパスをつけても8,500円アップというのが魅力です。旅行の本文で書いたような行程なら,道東フリーパスでほぼまかなえるので,これだとたったの3,500円でした。
また,パッケージ商品は列車・航空の席や宿泊施設の需給と密接に関連するので,出発日によって値段が変わります。これが一般販売のJRきっぷと違って一物一価でないので,何か不透明感があり,馴染めなかったのかもしれません。経験的に,類似の商品の中で廉価版にあたる商品は出発日による価格変動が大きく,比較的オプションが豪勢で高価な商品は出発日による価格変動が少ないように感じています。この点は,あくまでも僕の感覚なので,あたっているかどうかは分かりません。
いずれにしても,パッケージ商品は種類が多く,内容も微妙に違うので,パンフレットを集めて詳細にサーベイして決めることが大事だと思います。今回の北海道旅行を元に書きましたが,九州でも山陽山陰四国でも状況は大体同じです。今までパッケージ商品を使ったことのなかったかたに少しでも参考になれば幸いです。(2015.5.6記)
もともとの旅行記はこちら

今回の商品,JTBの「サンキューチョイス北海道」パンフ
メリットの第1は何といっても安いこと,今回は都区内発で往路は「はやぶさ」+「白鳥」利用で函館までの運賃料金,復路のANAの航空運賃,2泊の札幌のホテル(1泊は朝食を食べたのみですが),JRの北海道フリーパス(特急指定席まで利用可)が全部セットで1人あたり59,300円でした。いちいち検算はしませんが,バラで買うよりは随分安いと思います。
メリットの第2は,実はこれが決定的だったのですが,ゴールデンウィーク期間中でも北海道フリーパスが使えることです。JR北海道の一般販売の北海道フリーきっぷは超繁忙期のゴールデンウィーク期間中は利用不可なので,これについては比較のしようがありません。しかしながら,一般販売の北海道フリーきっぷと違い,海峡線(木古内~中小国)が使いえないとか,本州直通列車が使えないというという制約があります。反対に,指定券の発行枚数がJRの一般販売では6枚(以前はこんな制限はなかった)なのに対し,パッケージのオプションでは無制限という違いもあります。
デメリットとしてはやはり指定席の変更の制限です。今回の場合でも,本来は9:36の「はやぶさ11号」に乗ればよかったのですが,手配した時点で6:56の「はやぶさ63号」しか空きがなく,やむなくこの列車を使うことにしました。尤もこのおかげで,三内丸山遺跡や青森の市場を見ることができた訳ですが。一般販売なら,新幹線なら前日の朝作戦ででも3席確保できたと思うし,最悪でも仙台と盛岡で席を切る技を使えば,何とかなったと思います。しかしながら,パッケージでは変更は原則,発券営業所の営業時間に限られるので,こんな芸当はできません。今回の乗車票の場合,乗り遅れたら「はやぶさ」より格下の「やまびこ」も含め,自由席または立席が利用可なので,確信犯で乗り遅れることも考えましたが,朝の苦手なジュニアも頑張って早起きして,杞憂に終わりました。なお,パッケージによっては指定列車以外は全く変更不可の乗車票の場合もあり,この場合は乗り遅れたらその分のお金はパー,自分できっぷを買い直さなければいけないので,パッケージを選択するときに注意が必要です。
もう一つのデメリットは,上述のように本州直通列車は使えないことですが,今回の僕のように「はまなす」に乗りたいなどというのはレア中のレアなケースでしょうから諦めるしかありません。ちなみに「ご利用できる列車及び設備:特別急行列車の普通車指定席・自由席,普通・快速列車の指定席・自由席」となっていて,「はまなす」は今や唯一となった定期急行列車なので,狙い撃ちされた如くNGなのです。東京での出発前にはフリーパス交換用のクーポンしか渡されず,道内の駅でクーポンと交換でパスを渡されるので,パス入手前に無札状態で本州からの直通列車で北海道内を乗られるのは困るという意図と思われます。今回のように,一旦,函館に来て,クーポン引き換え後に木古内~青森の往復運賃を払って,青森に戻るケースは想定外なのでしょう。無駄遣い感たっぷりですが,北海道フリーパスがあるのに木古内~札幌の運賃も払って,「はまなす」に乗ったのでした。

今回の旅行の契約乗車票一式
こんなレアなケースはおくとして,もう少し一般的なパッケージのお話を続けます。今回はJTBの商品を使いましたが,JTB以外でも日本旅行や近畿日本ツーリスト(KNT)などでも似たような商品はあります。仕入力やブランド力の違いで各社微妙に値段が違います。また,同じ旅行会社でも,フリータイプの北海道旅行に何種類かの商品があって,これまた微妙に値段が違います。例えば,上に書いたような列車乗り遅れ時の条件や,航空や新幹線利用時の時間帯別の条件が違うのです。今回のJTB「サンキューチョイス北海道」の場合,ベースで北海道滞在中のレンタカー代が含まれているので少々高めですが,レンタカーの代わりにJRの北海道フリーパスをつけても8,500円アップというのが魅力です。旅行の本文で書いたような行程なら,道東フリーパスでほぼまかなえるので,これだとたったの3,500円でした。
また,パッケージ商品は列車・航空の席や宿泊施設の需給と密接に関連するので,出発日によって値段が変わります。これが一般販売のJRきっぷと違って一物一価でないので,何か不透明感があり,馴染めなかったのかもしれません。経験的に,類似の商品の中で廉価版にあたる商品は出発日による価格変動が大きく,比較的オプションが豪勢で高価な商品は出発日による価格変動が少ないように感じています。この点は,あくまでも僕の感覚なので,あたっているかどうかは分かりません。
いずれにしても,パッケージ商品は種類が多く,内容も微妙に違うので,パンフレットを集めて詳細にサーベイして決めることが大事だと思います。今回の北海道旅行を元に書きましたが,九州でも山陽山陰四国でも状況は大体同じです。今までパッケージ商品を使ったことのなかったかたに少しでも参考になれば幸いです。(2015.5.6記)
もともとの旅行記はこちら