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2017-01

知って楽しいJRの旅客営業制度1--大都市近郊区間と140円旅行

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まさにイメージ。昔は「東京近郊区間路線図」でしたが,今はこの図と東京近郊区間は関係ありません。

 JRの旅客営業制度に「大都市近郊区間」に関する規定があります。今日はこの制度とその応用編の140円旅行について書いてみます。そもそもきっぷ(乗車券)というものは実際に乗車する経路どおりでなければならない(旅客営業規則,以下「規」67条)ものですが,線路網と列車が稠密な大都市近郊では実際の乗車経路を確認しながらきっぷを売るなどということはできません。

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大宮~八王子の経路はいろいろ

 例えば大宮から八王子に行くことを考えます。距離が短いのは武蔵野線経由ですが,その経路で行きたい人もいれば,南浦和,西国分寺と各駅停車しか止まらない駅での乗換えを嫌って,都心の新宿まわりで行きたい人もいるでしょう。ホームに行って時間を見て考える人もいるかもしれません。この区間の運賃をみると埼京線,武蔵野線経由では47.9km800円
(このスレッドの運賃は全てきっぷ運賃),一方,新宿経由では64.5km1,080円です。お客さまに経路を確認しながらきっぷを売るのは現実的でありませんが,経路は最短経路でなければならないとすると,大回りをした善意のお客さまが不正乗車になってしまいます。この矛盾を解決するために旧国鉄の制度担当は知恵を絞ったのでした。

  第157条 選択乗車...(略)
  2 大都市近郊区間内相互発着の普通乗車券及び普通回数乗車券(併用となるものを含む。)を所持する旅客は,その区間内においては,その乗車券の券面に表示された経路にかかわらず,同区間内の他の経路を選択して乗車することができる。
  3 前項の場合,普通乗車券を所持する旅客が,他の経路を乗車中に途中駅において下車したときは,区間変更として取り扱う。

 ある一定の範囲に限っては,運賃は最短の経路で計算しておきますので,お客さまの好きな経路を通って構いませんというルールを作ったのでした(規157条2)。この一定の範囲が「大都市近郊区間」で,東京,大阪,福岡に設定されていましたが,2004年と2014年に新潟と仙台が追加されて,現在は5つが設定されています(規156条(2))。これらの区間内でクローズするきっぷに限っては,最短経路で運賃計算する代わりに,有効期間は1日限り,途中下車はできませんという制約がつけられているのです。この3つのルールは大都市近郊に住んでいる者からするとほぼ電車利用の常識ですが,制度のたてつけからすると例外なのです。乗車券の通則は,指定された経路どおりにしか乗れない,有効期間は概ね200km伸びるごとに1日加算され1日限りということはない,途中下車もできる,です。この辺については後日,時間を割いて説明したいと思います。

 さて,話を大都市近郊区間に戻して,今度は東京近郊区間について見てみます。現在の東京近郊区間は下のとおりです。

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東京近郊区間(2017.1.20現在)(JR東日本の「きっぷあれこれ」ページから)

以前は東海道線なら平塚,以下,中央線-大月,高崎線-熊谷,東北線-小山,常磐線-土浦,総武線方面-成田,成東,茂原,木更津までの概ね東京駅から70km圏が東京近郊区間でした。ストアードフェアシステム(当時はSuicaはまだなくイオカード)の進展に伴い,1999年に東京から100km圏に拡大されました。大都市近郊区間の,経路を指定しない,当日限り,途中下車できないの3点セットがSuicaの仕組みと親和性が高いので,その後はSuica利用可能エリアの拡大に合わせて,逐次拡大されてきました。そして今では上の図のとおりで,松本とか常陸大子のような,ここが東京近郊か?というところまでが含まれるようになりました。

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八高線まで行くと気動車にも乗れる @高麗川 2016.10.10

 この「大都市近郊区間相互発着の場合は最短経路で運賃計算する」というルールを「大都市近郊区間から出なければ大回りしても構わない」と拡大解釈したのが140円旅行です。例えば,東京駅から140円のきっぷを買って,相模線,八高線,両毛線,水戸線から房総方面をぐるりと回って隣の神田で降りるのはルール違反ではないというものです。大都市近郊区間内ならどう乗っても構わないという訳ではなく,運賃計算には同じ駅に戻ってきたら運賃計算を終了する(規68条4)というルールもあるので,同じ駅を通らない一筆書きのルートである必要があります。規則を作った側からすれば,最短経路で運賃計算するけど,大回りしてよいのはその方が時間が短い,便利である,など順路である場合に限るとの趣旨でしょう。しかし,何をもって順路とするかとか,チェックのしようがないということもあり,このような拡大解釈も可能になっているのです。

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大網今昔。1980年夏頃の大網風景と2014年5月の大網駅。あまり変わらい!?

 僕が高校生の頃は高麗川や大網が当時の80円で行けるmaxでしたが,非電化の相模線や,房総の田舎の東金線などに行ったものでした。この頃は旧国鉄の現場がすさんでいた時代で,車掌に見つかり不正乗車扱いされたとか,不正乗車ではないからお金はとられなかったけど自分の乗務する列車から降りろとつまみ出されたとか,いろいろな逸話があります。今ではJRの接客マナーは格段に改善され,ある駅のお客さま相談窓口のご担当いわく,140円旅行のルールを知らない係員はいません,いたらモグリですという時代になりました。実際,最近は,きっぷに表示の区間とは全く異なる所で車内改札がきても,140円旅行で大回り中ですと答えてイヤな思いをしたことはありません。

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行程表の例(下の5.のときのもの)。これは「やり過ぎ」でメモで十分

 そうはいっても,規則の網の目をくぐるような乗り方には違いありませんので,実際に140円旅行をするときは,こちらもそれなりに準備をして行くのがよいと思います。1つは行程表で,今日はこのようなルートで旅行中ですということを簡単に説明できます。僕の場合は乗った電車の車号を書込んだりするので,これ以上のアリバイはありません。もう一つはきっぷで,Suicaで乗っても規則的にはOKですが,僕のような古い人間はどうも電子では証拠力に劣るような気がします。たった7円の違いなので,紙のきっぷのほうが,後日の思い出や記録に残ること請合いです。

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きっぷの例(下の5.のときのもの。この時は帰りの分も含め往復乗車券を用意した)

 ここで140円旅行の例をいくつか挙げておきます。僕の場合は,大都市近郊区間のルールを使った大回り乗車を140円旅行と呼んでいるので,実際にはもっと高いものもあります。なお,最長ルートは1035.4kmだそうで,この距離になると1日では乗り切れず,俗説では終夜運転のある大晦日から元旦に決行するらしいです。ネットで「大都市近郊区間 大回り」などで検索すると,先人の旅行記がたくさんヒットするので,これらも参考になります。

1.山手線を反対回りに乗って,隣の駅で降りる。--140円旅行の初歩中の初歩です。ちなみに,降りた駅から出発駅に戻るにはもう140円要るので,山手線1周は280円というのはちょっとした鉄道雑学です。
2.ちょっと房総を一回りの140円旅行
3.行ってみたい所へ,ポイントを絞った140円旅行
4.たった3駅だけどSL列車にも乗れる140円旅行
5.朝から深夜まで東京近郊区間を乗りたおす140円旅行(その1その2その3
6.東京近郊区間の最長ルート(周回ルート)の140円旅行(その1その2その3その4追補
7.新潟近郊区間の140円旅行
8.仙台近郊区間の140円旅行

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工夫次第でこんな列車も乗れる。EL&SLみなかみ,リゾートやまどり藤まつり

 最後に「大都市近郊区間」と140円旅行の今後です。ルールの経緯は上のとおりなのでJRとしてはなくしたいのだろうと思いますが,うまい代案もなく,当面はこのまま続くのではないでしょうか。ごく僅かなヒマ人に大回り乗車をされたところで,大きな損失がある訳でもなく,そのためのルールやチェック機構を開発してもむしろ過剰投資になってしまいます。将来,GPSや車内・駅構内LANなどのテクノロジーが進化して,お客さまの乗った経路がトレースできるような時代になると,きっぷのルールも大きく変わると思います。それまでは,鉄道や旅行愛好家へのちょっとしたお楽しみとしてルール存続をお願いしたいところです。(2017.1.20記)(2018.6.16リンクを一部追加)
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年の瀬に始発から終電まで「ぐんまワンデー世界遺産パス」で群馬の鉄道旅行

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 本来,家の大掃除をしなければならない12月30日,この2年は飯山線只見線に青春18きっぷで雪見の旅に行っています。今年もかみさんの許しを得て旅行には行けるのですが,青春18きっぷの手持ちがありません。そこで考えたのが,「ぐんまワンデー世界遺産パス」を使っての群馬の鉄道の旅です。群馬ではJR高崎支社と地場の私鉄,3セク各社に大手民鉄の東武も参加して,県内1日乗り放題の「ぐんまワンデー世界遺産パス(以下,ぐんまパス)」を発売しています。嬉しいことに値段も2,100円と安く,アクセスに「休日お出かけパス」2,670円をつけても,交通費は5,000円でお釣りがきます。群馬の私鉄は,30年以上前にやはり日帰りで大体乗っているので,乗りつぶしではなく,気の向くところをたくさん乗る方針で行程を組みました。せっかくのワンデーパスを最大限使いたおそうと,わが家最寄りの磯子駅を始発電車でスタートし,帰りは最終電車という強行軍です。では,その長い1日をご報告しましょう。なお,今回は細かい説明はつけていませんが,乗った電車は全てこのページの写真に登場しています。

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根岸線磯子発の始発電車,4:22発の416B

 スタートは毎度の磯子駅,これまでも早朝の列車は幾度も乗っていますが,4:22の上りの始発は初めてです。人っ子一人いない駅を想定していましたが,帰省シーズンということもあり,お客さんがちらほらいるのは驚きでした。5:22,ちょうど1時間で上野着です。この間はトイレに行けないので,バナナの朝食はとっても,起きてから1滴の水分も摂らずです。

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東北本線は2番電車の小金井行き,523M。@上野

 上野駅ではNEWDAYSもまだ開いてないので,駅ソトのコンビニまで出かけ,待望の缶コーヒーと若干の食べ物で腹ごしらえをします。久喜あたりから空が白み始め,古河あたりからは筑波山がよく見え,今日も良いお天気に恵まれそうです。

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朝焼けにつくばねが浮かぶ。両毛線の車内から

 6:50小山着,両毛線の接続は6:56の高崎行きです。小山駅の両毛線ホームは新幹線の高架下の奥まったところにあり,ふつうに乗換えるのでも6分は忙しいですが,今日は小山駅でぐんまパスを買うことにしており,朝からひとっ走りです。このパスは群馬県内のパスですが,JRはおおらかで両毛線は小山まで全区間がフリー区間になっています。ぐんまパスの発売駅はフリー区間内の指定席券売機などとなっていて,この先の栃木や佐野でも買えそうですが,入手できないと今日の旅程がパーになるので,なるべく早くの小山で買っておくことにしました。

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両毛線432M。@栃木

 両毛線は最近,運用に就き始めた211系の5両編成です。5両編成は輸送力列車としてラッシュ時を重点に運用されているようで,朝方以外は115系が多いようでした(たまたま?)。211系は随分長いこと新前橋に留置されていたものを整備したもので,なんでさっさと置換えなかったのだろうと思います。また,211系は車両によりセミクロスシートの車両とロングシートの車両がありますが,この日見たのはロングシートの車両ばかりでした。確かにセミクロスではラッシュ時の収容力に難がありますが,中央線の高尾口ともども,115系の置換えならセミクロスの車両を重点的に使えばよいのにと思うのはマニア的思考でしょうか。

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東武佐野線の電車,614レ。モハ855-1。@館林

 30分の乗車で7:26に佐野に着きます。ここからはぐんまパスを使って東武のローカル線の旅です。佐野線は,伊勢崎線の館林と石灰石鉱山のあった葛生を佐野経由で結ぶローカル線ですが,ぐんまパスで乗れるのは佐野以南のみです。佐野からはモハ855-1というヘンな車号の電車です。8000系の中間電動車モハ8200に運転台をつけて3両固定編成にしただけの割には車号が随分違うので違和感があります。

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小泉線用切欠きホームで発車を待つ8000系2連。@館林

 16分の乗車で館林着。ここは本線の伊勢崎線から佐野線と小泉線が分岐するジャンクションです。ローカルといえども大手私鉄でそれなりに頻度も高く,それらの列車を捌くために東武の駅は切欠きホームが多いようです。ここ館林では,佐野線は駅舎側の1番線,小泉線は3番線と同居の4番線といずれも短い切欠きホームを使っています。

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西小泉風景。駅前と2つのホームに列車が並ぶ朝の賑わい。
右の8579Fが乗ってきた715レと東小泉~太田間乗車の904レ,左の8561Fがこれから乗る720レ

 館林からは小泉線に乗換え,まさしく盲腸の終点,西小泉を目指します。西小泉の先は利根川を渡って熊谷までの路線の計画もありましたが,南岸の熊谷~妻沼間が廃止されて久しいです。小泉線はY字型をした路線ですが,どん詰まりの西小泉へ行く列車は館林からの列車で,太田から来る列車は三つ又の東小泉止まりが主体になっています。朝に1本だけ8:43西小泉発太田行きの列車があり,今日はこの列車に乗れるので何か得した気分です。このことに気づいたのは現地で時刻表を見たときでした。今回の行程は横着をして,通勤の電車のなかで乗換え検索ソフトで組立てたものです。乗換え検索ソフトは便利でよいのですが,このように列車ダイヤを俯瞰的に見ることができないのが難点です。

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太田駅前風景。熊谷行きのバスは本数も多い

 小泉線西半分に乗って8:58太田着,この駅も東武伊勢崎線の一大ジャンクションです。乗換え時間に余裕があるので駅の内外を見て歩きます。最近,高架化されたらしい駅はホームは3面ですが,長い本線ホームは区切られていて10番線まであり,構内の有効活用好きな東武の面目躍如です。駅の外に出ると熊谷行きのバスが止まっており,30分間隔で走っているようでした。太田と熊谷が鉄道でつながると,熊谷経由新幹線のほうが東京へのアクセスが速くなるため,東武としては面白くなく熊谷線を早々に廃止したのでしょうか。

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太田駅の構内案内。運転系統が分断されても階段を使わずに乗換えられるのがメリットか

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東武桐生線の電車,813レ。@太田

 太田からは東武桐生線で約30分の乗車で,10:07に終点赤城に着きます。ここは上毛電鉄との接続駅で,浅草直通の特急りょうもう号のターミナルにもなっています。駅舎もこじんまりとしていて,昔ながらの仲の良い共同使用駅の趣です。最近は,第三セクター化で別の駅舎を構えたり,ICカード化で無理矢理,連絡改札を設けたりする駅が多いですが,ここは東武用のICカードタッチ端末はありますが,とても馴染んでいるように感じました。

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上毛電鉄の駅2題。赤城(左下)と西桐生(右上)

 赤城からは上毛電鉄で,10:27の電車で一旦,西桐生に行き,折返して中央前橋を目指します。上毛電鉄は元京王井の頭線3000系改めの700形に形式統一され,いまいち面白味がありませんが,一般の利用者から見ればステンレスの冷房車で好評なのでしょう。去年の5月に訪ねた岳南鉄道や北陸鉄道でも京王3000系は使われていて,譲渡車としての人気は高いようです。とくに北陸鉄道は同じ電車つながりで,上毛電鉄とタイアップしたスタンプラリーも開催されているようです。

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上毛電鉄700形。@西桐生

 上毛電鉄は絹織物で栄えた群馬県東端の桐生と県都前橋を結ぶ25.4kmの私鉄で,日中は30分間隔の運転です。平凡な関東平野の北辺をのんびりと走りますが,今日は冬の陽が暖かく,南の窓側では熱いくらいです。北側の窓からは,いかにも雪雲をブロックしているかのように赤城の山々が見えます。

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赤城の山々の景色と中央前橋駅の風景

 11:38,中央前橋着。この駅はJRの前橋駅から徒歩で17分ほど離れていますが,上毛電鉄の電車に合わせて,両駅の間を100円のシャトルバスが結んでいます。日本中央バスという名前だけは壮大な地場のバス会社が運行していますが,以前はなかった便利なサービスです。電車に合わせてのサービスのため,スタンプを押したり,写真を撮ったり,モタモタしていたら,行ってしまいました。11:56前橋発の電車に乗りたかったので,ポカポカの陽気のなかを汗ダクになりながら小走りして,結果は100円の倹約になりました。

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両毛線630M。午後は115系三昧の旅です。@前橋

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高崎で。名物のだるまもここでは等身大の超大型

 15分の乗車で高崎に出た後は,今日いちばんの42分の大休止です。ところが買い物の必要が発生し,食事は駅そばをかき込み,食後は百均ショップを探したりで大忙しになってしまいました。午後のかかりは,群馬のもう一つの私鉄,上信電鉄です。上信電鉄の高崎駅は,かつては玄関ホームの1番線とつながった便利な位置でしたが,今は駅が橋上駅になって一旦駅ソトを経由する不便なロケーションです。

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佐野のわたしで。遠くに白銀の浅間山が見える

 12:53,元西武のクモハ153で下仁田を目指します。上信電鉄も上毛電鉄と似たような関東平野の北辺を淡々と走ります。富岡製糸場が世界遺産になったことで脚光を浴びていますが,今日は年末の休館日なので,お出掛けの家族連れが目立つ車内はのんびりした空気が流れています。上信電鉄の信は信濃の信で,明治の昔は山を越えて佐久の方へ延伸する計画でした。このためか最後の1駅間だけは国境の山に一歩足を踏み入れた風で,車窓の趣が異なります。

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下仁田駅の様子。駅の外も中も昭和の昔と変わらい佇まい

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下仁田駅の様子,その2。妙義,荒船の山が背後に迫る。サファリパークのシマウマ柄の電車が今日お世話になったクモハ154

 下仁田での折返し時間は19分で,トイレに行って,駅前をブラブラ歩いて,写真を撮って,ちょうどよい時間です。帰りも約1時間の乗車で,15:14高崎に戻ります。この後は15:23の上越線水上行きを振出しに,JRで115系の旅です。115系は以前は直流電化区間なら全国どこでも見られましたが,最近は数を減らしています。新潟地区もどんどんE129系に置換わり,あとはJR西日本の下関か,ここ高崎かという感じです。毎度書きますが,年末の上越線は人の移動が多く,どの列車に乗ってもかなり混雑しています。今日も何とか座れましたが,車内には立っている人が多数います。

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上越線741M。@高崎。乗り鉄のスナップのお手本のような構図

 高崎は雲一つない晴天ですが,上越国境はどんな天気でしょうか。迷惑な話ですが,去年も一昨年も雪見の旅だったので,一目くらいは雪が見たいと思っているのです。沼田を過ぎて,上牧あたりから沿線に雪が残り始め,期待も高まります。終点水上では高崎の天気がウソのようで,湿り気が多いですが,雪も降っています。水上からは降雪期のみ毎日運転の臨時列車で,あと2駅,群馬県最北の土合を目指します。この電車は新潟地区の新鋭のE129系です。雑誌の記事では毎月のようにE129系の新製,115系の廃車が報じられていますが,新潟の115系はあとどのくらいもつのでしょうか。

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上越線8745M。トンネルの中の土合で。2016年製,ピカピカの新車だ

 土合はぐんまパスで行ける最北ですが,新清水トンネルの坑内にホームがあり,鉄道趣味者なら1度は訪れてみたい駅です。僕も昔から何度も通ったことはありましたが,用事もないので降りたことはありませんでした。トンネルの先の新潟県側で雪を見るのも魅力ですが,敢えてパスの圏外に行くこともなく今日は土合で降りることにします。

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土合駅下りホーム~駅本屋間の階段と「日本一のモグラ駅」の案内板

 土合では4人が降車,ぐんまパスの利用者かは分かりませんが皆な鉄道旅行趣味者のようで,次の列車で水上に帰ったようでした。土合の下りホームから駅舎までは合計486段の階段があり,日本一のモグラ駅との案内板もありますが,階段が5段ずつと区切りが短く,勾配も緩やかなので,そんなにつらくはありません。階段を登り切って着いた駅舎は,とんがり屋根が瀟洒で,谷川岳の登り口としての賑わいがしのばれます。

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土合駅で。周辺の鳥瞰図,手小荷物窓口の面影が残る駅舎内,白銀の世界の駅前広場

 滞在36分,17:19発またも降雪期のみ毎日運転の臨時列車8740Mで土合を後にし,水上を目指します。この列車も新鋭E129系ですが,こちらは2連です。水上からは,この駅から乗車のお客さんも加わり,115系4両でも立ち客が出るほどの混み様です。水上ではNEWDAYSが開いていたので,晩酌用にビールと肴を仕入れます。

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帰りの上越線の電車。8740M@土合。750M@水上。写真からも混雑の様子が窺える

 18:19渋川着。ここで18:37の吾妻線に乗換え,大前を目指します。一昨年の飯山線旅行でもこの乗継ぎでしたが,終電を嫌って,川原湯温泉で引返したのでした。その時にサーベイしたので,大前からの最終電車に乗ると終電で磯子に辿り着けると分かっていたので,今日はそれにチャレンジです。夜で景色も見えないし,大前に行っても面白いことはないのですが,吾妻線の線路は八ッ場ダムの関係で数年前に付け替えられたため,国鉄・JR全線完乗の身としては新線にも乗っておきたいのです。吾妻線は盲腸線といっても結構長く,1時間以上かかって19:55,終点の大前着です。

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大前にて。駅名標には小さな字で海抜840.37mと添えられ道祖神もある。予報では-8度と,道理で寒いわけだ

 大前でも19分の折返し時間がありますが,午後の下仁田のように見るところもなく,上の写真だけ撮って暇を持て余します。折返しの546Mは20:14の発車で,ここから自宅最寄りの磯子まで約5時間の夜の鈍行列車の旅です。毎年12月30日の旅行の車内では年賀状書きをするのが年中行事となっていますが,今日はまとまった時間の乗車が少なく,あまり捗っていないのでした。仕事をしていれば1:51の乗車はあっという間で高崎着です。

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帰りの電車。高崎線860M,京浜東北線2373A。どちらも@上野

 高崎では駅ナカのファーストフード店と駅ソトのコンビニをハシゴして,遅い夕食と食後の一杯の酒肴を仕入れます。高崎線の上り電車は最終の1本前で,ガラガラの想定でしたがボックス占拠はできず,見知らぬおじさんと一緒です。それでもお腹は空くので,遠慮しつつ,高崎で仕入れた食料をほおばります。東海道線の電車は終わっているので,上野からは往きと同じに京浜東北線で1時間がかりです。トイレに行きたくなると困るので,桜木町行きの電車で先行する計画を立てました。E233系の車内は暖かく快適でトイレの心配もなく横浜着,次の最終電車までの間に駅前の横浜中央郵便局に行って年賀状を投函します。

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予定どおり最終の2301Aで磯子着。発車案内は下りの回送のみ,本日の運転も無事終了だ

 横浜からは根岸線の最終で磯子を目指しますが,東横線の終車接続をとるため,5分の遅れです。ほぼその遅れのまま1:14頃,磯子着です。今日1日で22時間52分,距離にして703.1㎞の旅になりました。青春18きっぷで大回りしても,140円旅行で大回りしても,日がな1日乗ると大体700kmです。今日は比較的余裕のある乗継ぎ,折返しが多かったので,まあこんなものでしょう。ちなみにスマホの歩数計では23,000歩を記録しているので,電車に乗ったきりと思いきや,結構駅の内外を歩いているものです。

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この日の航跡ときっぷ。周遊ルートではなく,各方面への往復が主体です。きっぷは本文中に書いた2つのパスの併用です

 北関東は意外と鉄道旅行の環境が整っていて,茨城県には一昨年行った「ときわ路」パスがあり,群馬県には今回の「ぐんまワンデー世界遺産パス」があります。計算してみると,今日はこのパスで8,940円分乗ることができました。午後に乗った上信電鉄だけでも往復で2,220円かかるので,ぐんまパスの2,100円は随分とお買い得です。今はワイド周遊券のようなきっぷが少ないので,地方の民鉄とJRがタイアップしたこのような県別パスあると,範囲は狭まりますが鉄道旅行の選択肢が増えます。こんな企画きっぷの期待を述べて,今日の報告を終わります。(2017.1.7記)

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