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2018-04

Bトレインショーティー--辰野~塩尻間のミニエコー・クモハ123を鉄コレからつくる

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 今日は約1年半振りにBトレインショーティーの話題をお送りします。Bトレインショーティーはショーティーサイズのかわいさと安価で集め易いことから1,000両以上を集めましたが,近年は1両1,000円以上するので1年くらい買っていません。先日,東京駅の地下通路で鉄コレを定価で開封販売していたので,ちょっとNゲージいじりの意欲が沸いてきました。以前,会社の仕事で辰野で過ごしたことがあるので,ミニエコーことクモハ123-1を2つ買ってしまいました。実車は1両しかないのですが,1つはNゲージとして,1つはBトレに改造です。外出がおっくうになる冬の日,一日がかりでの改造作業をレポートします。尤も,今回はかなり杜撰な作業なので,参考にはしても,真似はしないほうがよいかもしれません。

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クモハ123-1。ミニエコーの実車 @塩尻 2008.10.19

 クモハ123は輸送規模のごく小さいローカル線用に,荷物営業を止めたため比較的車齢が若いのに余剰になっていた荷物電車クモニ143を改造した1M式の電車です。この-1は1986年に国鉄長野工場で改造された電車で,JR東日本にはこの1両だけが在籍しました。JR他社でも,クモヤやクモユニなど出自は異なりますが,同趣旨の改造が施工され,全国で11両が改造されました。タネ車も施工工場も異なるため,同じクモハ123でもいろいろなタイプがあるのもこの形式を面白くしています。このクモハ123-1ですが,タネ車の鋼体の骨を避ける設計としたためか,幅の狭い窓がずらりと並んでいるのが外観上の特徴です。また,写真がないのが残念ですが,両端の扉間13mぐらいが長大ロングシートなのも壮観でした。

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当時の写真です(プリントからスキャン) @小野~塩尻 1995年ごろ

 この電車が塩嶺トンネルの開通でローカル然としてしまった中央本線の辰野~塩尻間の善知鳥峠をのんびり走るのが好きで,仕事のない休日にわけもなく松本に遊びに行きました。

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Bトレの115系。車端の窓などをかなりデフォルメしている

 フルサイズのNゲージ模型からBトレを作るとき,まずポイントになるのが車体の設計です。バンダイのBトレの商品は実車のイメージを壊さないよう,結構,デフォルメしています。ところがNゲージ車両から車体を切り出す場合,スケール通りの窓割りの一部分から作ることになります。以前,グリーンマックスのキットから3分割で側面を切り出したことがありますが,直線を出すのと強度を保つのに苦労しました。従って,今回も部品構成は2点で進めることにします。

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クモハ123-1のボデー。狭い窓がずらりと並ぶ

 インターネットでクモハ123を検索するといくつかの先人の作例がヒットします。どれも労作ではあるのですが,クモハ123の狭い窓がずらりと並んだ雰囲気が出せないようです。そこでここは一案,思い切ってドアを片面1か所として,なるべく窓の並ぶ面を多くとってみました。これでユニットサッシ3こ分,戸袋を入れて4窓が並ぶようにできました。ドアのない助手席側は,緑の塗分けにかからないようにATS標記の所で切ることにしました。

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まずは鉄コレを分解。部品一覧。意外とあるものです

 設計が決まればさっそく製作に着手です。最初の作業はタネ車の分解です。廉価版鉄道模型の鉄コレとはいえ,僕らが子供の頃のNゲージの通常製品と変わらない――それ以上かも?――の出来の完成品をバラしてしまうのは抵抗があります。しかし,今回は同じものをもう一つ買ったので,遠慮は要りません。昔から鉄道模型は接着剤止めは少なく,この製品も5分もかからず分解できます。

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最近の車体切継ぎはタミヤの精密のこぎりが活躍

 車体の切断ですが,最近はケガキをする代わりにセロテープを貼って切断の位置決めをしています。これは,手間を省ける,インクや鉛筆の跡が残らない,のこぎりの刃による傷つきを防げるの3つのメリットがあると思っています。また道具は,以前はカッターナイフを使っていましたが,今はプラモデルのタミヤの精密のこぎりを使っています。値段も高くなく,切断部の仕上がりがきれいなので,こんなサイズの模型いじりにはお薦めです。

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最後の切断部は現物合わせ

 車体はほぼ60㎜のショーティーサイズになるように上で設計した位置でのこぎりで切ります。今回は箱型に一体成型の鉄コレのボデーを使うので,上の写真のようにL字型の部品構成です。最後に残った赤枠部の切断線は,相手方と組んでぴったりの長さになるように現物合わせで位置を決めました。

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出来上がったシーティーサイズの車体

 最後は切断面のゆがみに合わせてやすりで整形して,接着面を整えます。新しく粘度の低いプラモデル用接着剤(セメント)をたっぷりと,かつ表面に出ないように浸み込ませて,2つの部品を接着すれば車体の完成です。

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下回りの基礎になる床板の短縮

 Nゲージ模型からの短縮の場合,車体だけではなく全ての部品を長手方向に切り詰める必要があります。先ずは床板の短縮です。車端のスカートやボルスターを活かしたいので両エンドとも30㎜弱の位置で切って,継いでいます。この車両は連結することは少なそうですが,レール方向の荷重に備えて,内装部品もそれなりの長さで切断し,たっぷり接着剤をつけて補強にしています。

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屋根板の短縮

 次は屋根板の短縮です。この電車はパンタを2台載せていますが意外と内側に引っ込んだ位置にあるため,パンタ周辺の機器を全て活かして,ショーティーサイズに収めるのは難しいです。このため両方の車端から7㎜程度を切り取って,パンタが実際より外側に来るように配置しました。このせいで屋根板にモールドされていたホイッスルや空気配管,高圧ケーブルは涙を呑のんで捨てました。扉を1こ捨てたくらいなので,その程度の小パーツは諦めです。中央側の切断位置は少しでも切継痕が隠れるよう,パンタ台の直後としています。いつもならパテ盛りで接合部を滑らかにして,再塗装するのですが今日は1日で完成を目指しているので,面倒な作業は省略です。また,ヒューズ箱はケーブル類は無視してパンタの脇に移設,別パーツの列車無線アンテナ,信号炎管もパンタの近くに取付けるよう,それぞれに合わせてピンバイスで孔をあけておきます。とびら写真のおでこ部分を見ても分かるように車端部の屋根はかなり賑やかになっています。反対の車体中央側は,これまた窮屈ですが避雷器とベンチレータを2個ずつ置けるよう,孔をあけておきます。これらは真円でなく長孔なので,2つのドリル孔をやすりでつないであけます。

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窓ガラス部品の短縮

 最後はガラス部品の短縮で,これは簡単にカッターナイフで切ることができます,出来上がった部品はなぜか同じではなく向きがあるので,マジックで向きを書いて間違わないようにしておきます。ガラス部品の下部には床板を受けるつめが付いていますが,幸い両側とも1個づつを残すことができたので,床板の固定には困りません。

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部品集結

 車体,床板,屋根板,ガラスの全ての短縮が終われば,部品は揃います。あとは元通り組立てれば完成です。なお,わが家のBトレはNゲージ化することは少なく,Bトレオリジナルの首を振らない台車を使うのですが,今回は特別にタネ車の台車を使っています。また,この電車はパンタを1こだけ上げて運用されていたので,パンタは1こは鉄コレのもの,もう1こはBトレのパーツ箱から出してきたPS23に似たものを使っています。鉄コレのパンタはどうも今イチなのですが,Nゲージ部品のパンタではバランスが悪く,どうしたものかです。このての改造車では下回りの固定に難儀することが多いのですが,ガラス部品の項に書いたとおり,今回は苦労なく取付けられました。

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クモハ123のショーティ出来上がり

 これらの部品を組立てて,出来上がったのが上の写真です。2月11日(日)のほぼ1日をかけて作りましたが,1日の模型いじりとしては手頃な作業でした。毎度書くとおり,せっかく出来上がっているNゲージ車両を敢えてチョン切るのはいかがなものですが,出来栄え云々よりは工作自体を楽しむものと思います。最初にも書いたように拙い作業ですが,こんなに簡単にできるなら一丁挑戦してみようというかたがいれば嬉しいです。(2018.2.17記)
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2018年春のアクティビティ1--中央本線高尾~長野間の長距離鈍行441Mに乗ってきました

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中央本線の普通列車(イメージ) @鳥沢~猿橋 2018.2.10

 少し古い話ですが青春18きっぷシーズンたけなわの(2018年)3月10日(土),1日のお休みをもらい中央本線高尾~篠ノ井線長野間245.0kmを走る長距離鈍行441Mの旅に行ってきました。この列車は去年のダイヤ改正で設定された列車ですが,走る時間帯と景色の良さから是非とも乗りたいと思っていたので,念願成就です。また,14:02の高尾発までの間に,甲府に墓参り,3月16日限りで置換えになるE351系の写真撮りと,この日は盛りだくさんの1日でした。なお,使ったきっぷは,おなじみの「青春18きっぷ」です。また,甲府以東の写真は午前中の行程で撮った写真も混ざっていて,必ずしも時間順ではありません。

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441Mのルート(高尾発車時,GPSトラッカーが不調で最初の6分,小仏トンネルまでが記録できていません)

 中央本線の441Mというと,昔の新宿から長野への夜行普通列車を思い出します。僕が知ったときは片道のみの運転でしたが,残念ながら僕は1度も乗ることなく,昭和の末期に廃止になったようです。新宿を中央本線の最終として出て,夜行というには距離が近く松本や長野に朝早く着いてしまうため,日野春で1時間くらいの長時間停車をしていました。中部山岳地帯の登山の足としても愛され,山男ご用達の名物列車でした。 

 今の441Mは2016年ダイヤの高尾~松本間の441Mと甲府~長野間の439Mが合体してできたものです。439Mは441Mの1本前を走る列車でしたが,松本で37分の長時間停車をして,441Mに追いつかれていました。これが2017年のダイヤ改正で建て替えられて,441Mが長野まで入るようになったものです。時刻もほとんど変わっていません。長野の211系の運用のはずみで誕生したようなものなので,今後いつまた分離されるか分からず,早いうちに乗っておこうと思ったのでした。尤も,僕は長距離鈍行マニアなので1本の列車にこだわりますが,一般人にとっては乗換えが1度増えるだけで,汽車旅の基本的な要素は変わるものではありません。

 午前中の用事を済ませ(後述)13:49に高尾駅に着きます。441Mは殆ど複線電化区間を走るので,長距離鈍行につきもの長時間停車がほとんどありません。このため,帰りの新幹線利用区間のきっぷと,非常食のパンとおにぎりを買い,慌ただしくホームへ急ぎます。

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441Mの旅,いざ出発。高尾で 2018.3.10(以下同じ)

 14:02定時に出発。担当は女性の車掌さんで,相模湖,上野原,大月...長野と終点長野までの主な停車駅の到着予定時刻,列車の編成と設備などの念入りな案内放送が入ります。去年の宗谷本線のワンマン列車のテープ放送と違い,いやがおうにも期待が高まります。電車は長野の211系6両のN611編成,残念ながらロングシートの車両です。土曜日の昼下がりなので,カジュアルな服装の行楽客も多く,立ち席まで含めた定員の7割くらいの乗りのようです。先は長いし,すぐに空くことも分かっているので,とりあえずは立ち席で我慢です。

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最初の停車駅相模湖でさっそく「かいじ109号」を退避

 高尾を出ると中央線の景色は山岳路線の趣になり,南浅川に沿っての上りになります。マス釣場を過ぎると川幅も狭まり,この列車最初の峠,東京・神奈川都県境の小仏峠の長いトンネルになります。トンネルを抜けると,相模湖駅に着きます。列車はポイントを渡って副本線に入り,「かいじ109号」に道を譲ります。高尾出発前に特急を通して退避をしない列車もあるのですが,今日は急ぐ旅ではないので,いきなりの通過待ちも楽しいものです。

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四方津で。朝は山の端に雲がたなびいていました(朝の525Mで)

 著名な鉄道旅行文学家の宮脇俊三さんが作品のなかで,この区間の車窓について梅雨時の山間にしっとりとした雲が漂う風情がよいと賞賛されていました。僕も何度かそういう車窓を見たことがありますが,今日はただの曇り空です。朝に通ったときは,少し雲が漂っていたので,その時の写真をつけておきます。車内も相模湖でかなりの人数が降りた後,藤野,上野原でもまとまった降車があり,この辺では立っている人はもういません。

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鳥沢の鉄橋のパノラマ。(これも朝の525Mで)

 大きな渡河も峠越えもありませんが,藤野と上野原の間で列車は山梨県に入ります。並行して流れる川も変わりませんが,一般に神奈川県では相模川,山梨県では桂川と呼び名だけが変わります。鳥沢から猿橋にかけての区間はヨン・サン・トオのダイヤ改正にあわせ複線電化で新ルートに付替えられた区間です。鳥沢駅を出るとまもなく列車は高く長い鉄橋を渡ります。昭和40年代に付替えられたルートは,川だけでなくあたりの集落も一跨ぎし,鉄橋を渡るとすぐにこれまた長い猿橋トンネルに入ります。鉄橋のほうは鉄道写真の名所にもなっていて,今日はこの列車の乗車前に行ってきました(後述)。

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初狩のスイッチバック跡は今は保線基地として活用

 大月は富士山,富士五湖方面へのジャンクションですが,この列車は30秒の停車で先を急ぎます。中央線の鈍行列車は大月,甲府,小淵沢などの主要駅で長時間停車がある列車も多いですが,この441Mは岡谷と松本の3分が最長で,結構真面目に走ります。線形が不利であるにも拘わらず表定速度は50.5kmでています。

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リニア実験線のトンネルが垣間見える @初狩駅(昼の上りの540Mで)

 大月の先の初狩と笹子はどちらも元はスイッチバック駅で,線路改良で勾配の途中にホームが作られた駅です。この2駅はスイッチバックの線路が残されて,保線基地として活用されています。また,初狩駅の笹子方のホーム端からはリニア実験線のトンネルを見ることができ,あちこちキョロキョロ忙しいです。

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空いていれば,ロングシートも悪くない...?(朝の525Mで)

 このあたりは東京方面と甲府方面への人の流れの境で,車内もかなり空いてきます。長距離鈍行の旅もロングシートではちょっとではあるのですが,レール方向を向いて座ることを活かして,上のように景色をパノラマ風に楽しむのは「あり」です。441Mは先頭の6号車は青春18きっぷ族風の旅行者が多く,見るからに混んでいますが,僕の乗る5号車より後ろは座席定員の半分くらいになってしまいました。

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甲斐大和で2度目の退避。ホームでは思い思いの時間を過ごす

 笹子川に沿って遡り,笹子を過ぎると長いトンネルでこの列車2度目の峠越えで笹子峠を越えます。笹子トンネルは長さ4,656mですが,1902年の開通当時は日本最長の鉄道トンネルでした。トンネルを抜けると甲斐大和で,ここで列車は2回目の退避で「スーパーあずさ19号」に道を譲ります。高尾から1時間,乗客もちょっと飽きてきて,一服する人,E351系の写真を撮る人など,ホームも一瞬の賑わいです。

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勝沼ぶどう郷~塩山間では甲府盆地が一望できる

 甲斐大和は日川の谷の奥にあり,しばらくは崖っぷちを進みます。谷の向こうの中央高速から線路がよく見えますが,残念ながら写真を撮る足場がありません。甲斐大和~勝沼ぶどう郷(以降,勝沼)間の新大日影第2トンネルを抜けると谷間から抜け,甲府盆地の景色が開けます。勝沼も元スイッチバックで,勾配上にホームが設けられた駅です。勝沼から次の塩山までは,鉄道は勾配に弱いので,盆地の縁に沿って甲府盆地におりてゆく線形になっています。一般に根室本線狩勝峠,肥薩線矢岳越え,今日これから行く篠ノ井線姨捨が日本3大鉄道車窓と言われますが,ここもそれらに次ぐ絶景と思います。天気がよければ盆地の向こうに雪を頂いた南アルプスの山々が望め,朝の列車ではとくにきれいです。今日は快晴になりましたがその真上に太陽があり逆光で,僕のウデとカメラではきれいな写真は撮れませんでした。

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果物畑の向こうに甲武信ヶ岳などの奥秩父の山々が見える @春日居町

 塩山を過ぎると列車は甲府盆地に降りきり,線形もよく快調に飛ばして走ります。右側の車窓には奥秩父の山々がきれいに見え,光線の加減で今日はこちらの方が写真映えするようです。15:41甲府着,気持ちのうえでは行程の1/3消化で,運転士さんも交代です。

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甲府駅から見る南アルプスの山々(11:05頃,列車は「あずさ12号」)

 甲府は山梨県の中心ですが,地理の教科書に出てくる典型的な盆地の地形のまん中でもあります。南西方面には南アルプスがそびえ,鳳凰三山や甲斐駒ケ岳(かいこま)が美しく望めます。駅ビル・セレオの屋上には山々を望むスペースもあります。長時間停車の少ないこの列車は,2分の停車で先を急ぎます。

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甲府の隣,竜王までくると八ヶ岳が見えはじめる

 甲府の次は燃料中継用のタンクの並ぶ竜王です。ここは元々は貨物の拠点でしたが,構内が広いので最近はパークアンドライドの拠点にもなっているようで,一部の「かいじ」は竜王ゆきで運転されます。たった1駅ですがだいぶ西に来た感じで,貨物ヤードの奥には八ヶ岳が見えてきました。

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新府はさながら富士山展望台のよう

 韮崎を過ぎると勾配はきつくなり,甲信国境に向かって上ってゆきます。韮崎~小淵沢間は,新府,穴山,日野春,長坂と旧国名や東西南北がつかない由緒正しい駅名が続き,本線の風格が漂います。車窓左手には南アルプスのパノラマが眼前に展開し,中央線でも屈指の景勝区間だと思います。今日はまだ少し早く枯れ山ですが,あと半月くらい遅くなると桃の花が咲き,さながら桃源郷です。何枚も写真は撮りましたが,ここに載せられるような作はできませんでした。

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小淵沢付近から望む八ヶ岳。右手は小海線の大築堤

 小淵沢は山梨県最後,かつJR八王子支社としても最後の駅です。車窓は左に南アルプス,右に八ヶ岳と大変忙しくなってきます。県境を越えて信濃境までくると建物の北側の日陰には雪が残り,随分上ってきた感じがします。県境を越えても線路は上りで,富士見は小海線以外で唯一JR駅の標高ランキングベスト10に入る955mにあります。また,信濃境~富士見間は1980年の複線化の際に曲線緩和のために線路が付替えられた区間で,立場川橋梁では右手に旧線の橋を見ることもできます。

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信濃境で。ようやく南アルプスが写真の撮りやすい向きになった

 富士見高原から諏訪湖畔に向けてのだらだら坂を下る区間は意外と線路の周りは開けていて,工場などもちらほら見えます。左手の入笠山のほうにはスキー場も見えます。

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茅野を過ぎると今度は右手に蓼科山が

 茅野までくると列車は諏訪盆地に入り,茅野,諏訪,岡谷と昔から繊維,精密機械工業と観光で栄える市が続きます。この3市はいずれも人口5万人台で,この他に人口2万人の下諏訪町もあります。平成の大合併の時代を経てもそれぞれが独立の市のままなのは,それぞれに企業が立地して税収も豊かなのでしょう。

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普門寺信号場からしばらくは単線になる

 茅野を出ると,その先の普門寺信号場~岡谷間は未だに単線です。この区間のダイヤはネットダイヤに近く,JR長野支社の運転関係のかたの苦労がしのばれます。少しでも列車が遅れると影響が波及し,収拾も難しく,ここでの遅れを持った特急列車が東京近郊の中央線のダイヤ乱れの原因になることもしばしばです。まん中に諏訪湖があり人口密集地でもあるので,複線化のための用地確保が難しいのでしょうか。

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岡谷へ向かう高架線から。諏訪湖の向こうに富士山も見える

 茅野からは車内も混みはじめ,立っているお客さんもいます。そういえば僕は左右の車窓の写真を撮るため,韮崎から岡谷まで殆ど立ちっぱなしでした。周囲のお客さんからは落ち着かない客と思われたことでしょう。岡谷では飯田線からの接続をとるため3分の停車です。

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岡谷の市内を一跨ぎする長野道の高架橋 @岡谷

 岡谷からは1983年に開通した塩嶺トンネルルートの新しい高架線を進みます。トンネルに入る前には長野道の高い高架橋をくぐりますが,この高架橋は本当に大きく高く,いつ見ても目障りな存在でした。開業から30年経った今では逆に街のシンボルになり,橋が見えるとようやく岡谷まで来た感じがします。

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松本平に抜けると遠くに北アルプスが見えるようになる @塩尻付近

 長い塩嶺トンネル(峠の正しい名前は塩尻峠)を抜けると列車は松本平の広い盆地に出ます。今日は諏訪までは絶好の天気でしたが,松本平は曇りがちの天気です。傾いた弱い陽射しの向こうには穂高岳や槍ヶ岳などの北アルプスの山々が望めます。

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貨物の拠点の南松本駅の向こうには美ヶ原の山々が

 塩尻からは平日であれば退勤どきにあたるので,東京の通勤ラッシュとは比ぶべくもありませんが,土曜日の今日も結構な乗車です。列車は盆地のなかの真っ直ぐな線路をそこそこのスピードで走ります。コンテナが集まる南松本では後ろに美ヶ原方面の山々が見えますが,山の上の方は雪のようで白くなっています。

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新旧の「スーパーあずさ」が集う松本運転所

 17:31,時間どおり松本着,行程の8割がた消化です。松本駅のホームから松本運転所の構内風景が望め,3/17のダイヤ改正で運用を終えるE351系と新鋭E353系が並んでいます。3分の停車の間に乗り鉄の皆さんもホームに降り,ちょっと一息+電車の写真撮りを楽しんでいました。

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北アルプスに陽はおちて

 17:34,松本を出ると列車は長野へ向けてのラストスパートの区間に入ります。明科までの2駅は犀川の東岸を走り,西岸を走る大糸線とも並行しています。明科駅と大糸線の穂高駅の間は5~6kmしか離れていません。陽が高ければ,犀川の向こうに北アルプスが広がるきれいな景色が楽しめるはずです。1988年に新白坂トンネルの開通で線路が付替えられた明科~西条間をはじめ新しいトンネルが続き速度も上がります。

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日本3大車窓の一つ,姨捨駅から善光寺平を望む

 全長2,656mの冠着トンネルを抜けると列車は善光寺平に出ます。サミットから少し下った標高676mの所に姨捨駅はあります。ここもスイッチバックで列車はゆっくりと駅に進入,少し後退してから,先へと進みます。列車はもう少し下ったスイッチバックの桑ノ原信号場で「しなの24号」と交換します。残念なことにここは運転停車です,姨捨で交換だったらよかったのにと思います。

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終点,長野で。4時間51分お疲れさま

 桑ノ原(信)を出ると稲荷山まで25パーミルの下り坂を軽快に駆け下ります。ここから先は信越本線に入り,長野の都市圏に入ります。新設の今井を過ぎ,北陸新幹線と並行して走り,18:53,時間どおり終点の長野着です。本当は僕独自の集計(興味があればこちらを参照ください)で日本で第5位の長距離鈍行完乗の余韻に浸りたいところですが,先を急ぐため,3分の乗継ぎでしなの鉄道の電車で上田を目指します。

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しなの鉄道の社内補充券

 18:56,列車は定時に長野を出発です。セミクロスシートの115系ですが,ほぼ座席が埋まった状態です。夜で景色も見えないので家路を急ぐ旅ですが,しなの鉄道利用での注意点を2つ書いておきます。一つ目はしなの鉄道の115系はトイレが使用できません。今日は上田まで43分の利用なのでどうということはありませんが,長時間乗るときには要注意です。もう一つは地方のローカル線では普通のことですが,ワンマン列車です。上につけてあるのは乗車後早々に買ったきっぷですが,この2674Mの場合,車掌が乗務するのは戸倉までで以降はワンマンだそうです。当初,意識しませんでしたが車掌の乗務する区間が少ないとなると上のきっぷは貴重なものかもしれません。昔の社内補充券は日付や金額も含めてパンチ穴で表示する方式でしたが,このきっぷは地図式なのに列車番号など手書きの部分も多く,少々中途半端な様式と思います。尤も今どきは,車掌用の穴あけパンチを製作する会社がないのかもしれません。

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浦和~横浜で乗った1635E。実は宇都宮~沼津235.9kmを走る長距離鈍行

 上田~高崎は新幹線でワープし,高崎で駅そばで腹ごしらえのあと,また在来線で横浜を目指します。たまたま今日は接続がよく,高崎線区間は快速アーバンが利用できます。この列車は上野ゆきなので,浦和で後続の上野東京ライン沼津ゆきに乗換えます。この列車も235.9kmを走る長距離鈍行なのですが,浦和~横浜のちょい乗り,夜なので景色は見えずです。

 ところで,最初に書いたように今日は朝から甲府へ墓参りでした。自宅最寄りの磯子駅を出たのは6:23の660Aです。中央線は525Mで下りましたが,この列車を勝沼で捨て,軽く駅撮り鉄ちゃんです。ダイヤを検討した結果,勝沼で1本おとせば,5Mと5006Mの2本を撮れるための選択でした。

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置換えまであと1週間のE351系。5006M「スーパーあずさ6号」 @勝沼ぶどう郷

 予定どおり2本の写真を撮って,1本後の527Mで甲府を目指します。甲府では約1時間の間に墓参りを済ませ,11:09の540Mで元来た道を戻ります。

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甲府で。甲斐駒を背に甲府番のEF64が憩う

 朝は雨上がりの曇り空でしたが,昼前からは快晴になり,午後のメインイベント441M乗車への期待が高まります。たまたま通りがかった甲府駅東寄りの踏切からは甲斐駒が太陽に輝き,構内はずれには甲府番のEF64が光っていました。昔はこの場所にはEF64の36~39号機,ときには茶ガマの37号機がいることが多かったと記憶しますが,今日は1000番台の機関車です。

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鳥沢の鉄橋(新桂川橋梁)で。14M「スーパーあずさ14号」

 鳥沢着12:16。ここでも列車を2本おとして約1時間を作り,有名な鳥沢の鉄橋でE351系の写真を撮ります。今日はE351系で運転される最後の土曜日,有名な撮影場所は大混雑と覚悟して来たのですが,朝の天気が悪かったせいか思ったより人出は少なかったです。鉄橋の猿橋側まで行くつもりでしたが,面倒くさくなり,鳥沢側のいわゆるお立ち台での撮影です。まあまあ満足に撮れたつもりですが,お顔のところに斜めのケーブルが入っていたのはご愛嬌です。

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もう1本欲張った16M「あずさ16号」は見事に大カブリ

 橋の手前で撮ったので駅に戻るには多少時間があり,架橋記念碑の前でもう1本と思ったのですが,上のとおりの大カブリでした。駅に戻り,13:20の高尾ゆきで441Mの起点の高尾を目指します。13:49高尾着。中央線の電車の運用は意外と余裕がとってあって,鳥沢~高尾で乗った544Mの折返しが441Mかと思っていたら,先ほどの1時間前の540MのN611編成でした。さらに朝の勝沼への525Mもこの編成だったので,今日は都合3回お世話になりました。以降は始めに戻って441Mの旅です。

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今日の行程

 話を戻して,横浜から根岸線に乗換え,磯子帰着は23:09です。時間で16時間46分,距離では青春18きっぷで619.4km,しなの鉄道と新幹線分を足すと728.7kmの大旅行でした。乗った列車は13本ですが,見事に事前に作った行程表どおりでした。大抵,列車が遅れたり,気が変わったりで,行程表のとおりにはならず,こういうことは珍しいです。今日は441Mを乗り通すことを軸に,周辺でのアクティビティ2つもこなすこともでき,大満足の1日になりました。441Mですが,この列車1本でこれだけの記事になるほどです。長距離鈍行の旅に出掛けるなら,ぜひお薦めの1本です。(2018.3.17記)

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