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2018-09

2018年夏のアクティビティ3--横浜発青春18きっぷで飯田線を乗りとおす旅

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 前回の記事で,信濃大町からの帰りは青春18きっぷで鈍行の計画だったけど,台風がきたためやむなく岡谷から高速バスで帰ったと書きました。この日は青春18きっぷで信濃大町~岡谷と新宿~磯子しか乗れず,大変もったいないことになりました。このリベンジではないですが,青春18きっぷを1日使いたおすことを考え,(2018年)7月30日(月)は飯田線を通しで乗る日帰り旅行に行ってきました。

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横浜発飯田線通し乗車のルート(拡大はこちら。地図自体は別物です)

 東京から青春18きっぷを使いたおす旅程を考えたとき,飯田線は乗車距離,秘境駅が連なるローカルな雰囲気,車窓のアルプスの景色から行きたい所の候補の上位に上がります。僕自身,2015年夏に豊橋~辰野を全通する519Mに乗っているし(そのときの記事はこちら),そのさらに数年前にも逆回りの544Mで上諏訪~豊橋を乗っています。これらは飯田線全通と同時に「6時間鈍行」乗車という目的もありましたが,今回は長時間鈍行にはこだわらず,敢えて天竜峡でスジが切れている列車を選びました。それでは以下に横浜発飯田線を乗りとおす旅をご報告します。

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アプローチの列車3つまとめて。根岸線 506B @磯子,横浜線 537K @東神奈川,中央線 517H @八王子 2018.7.30(以下,全て同じ)

 7月30日朝,今日も出発は早く,自宅最寄りの磯子駅を5:30の根岸線電車です。月曜日の朝,いつもの出勤時と同じような景色ですが,会社は1週間の夏休み,気分はワクワクです。東神奈川で横浜線に乗換え,八王子を目指します。わが家から中央線方面へ旅行すると横浜線利用が多いのですが,トイレのない通勤電車での小1時間は意外と面倒です。八王子からはまだ中野まで各駅停車の517Hに乗換え,7:01高尾に着きます。いつの間にかこれらの列車は全てE233系になってしまいました。こんな写真に意味あるの?と思いつつも,最近は乗った電車は全てスナップを撮るのがお約束になってしまいました。

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高尾~甲府の521M @塩山

 高尾からは中央線の中距離電車の区間に入り,車窓も山の景色がきれいになります。3月にも高尾~長野の長距離鈍行441Mで乗車記(記事はこちら)を書いたので端折っての記述になります。高尾を出た電車はぐんぐん坂を上って小仏峠を越えます。峠を越えると相模湖で,ここから暫くは相模川・桂川に沿って走ります。大月を出ると川は支流の笹子川となり最後には笹子峠の長いトンネルになります。

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初狩ではリニア実験線のトンネルが見える

 笹子峠を越えると列車は日川に沿って走り,勝沼ぶどう郷からは甲府盆地の広々とした景色が広がります。盆地の向こうには南アルプス,右手の車窓には奥秩父の山々を望む景勝区間です。今日もお天気がよく山の景色が楽しめます。

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勝沼ぶどう郷到着前には保存機のEF64も見える

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お約束(?)の甲府盆地越しの南アルプス

 この521Mは特急の退避が少なく,甲斐大和もそのまま発車,塩山まで逃げ切ります。塩山で構内をブラブラしていたら,この駅で下車観光をする「TRAIN SUITE四季島」のお出迎えの子供駅長の募集をしていました。

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「TRAIN SUITE四季島」のおもてなしの募集案内

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右側の車窓は奥秩父の山々が @東山梨あたり

 約1時間半の乗車で8:38甲府着。ここが中央線の区間のほぼ真ん中で,8:53の431Mに乗換え,ここから岡谷までも約1時間半です。中央線で運用される長野の211系はセミクロスシートとロングシートが共通に使用されますが,今日は2本ともロングシートの2,3000番台車です。

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日野春では「あずさ3号」を退避

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信濃境~富士見では1980年の付替え前の旧線路跡と八ヶ岳を望む

 列車は長野県に入り,富士見をサミットにだらだら坂を諏訪盆地へ向けて下ってゆきます。左手に入笠山を見ながら走り,青柳ではこの列車2回目,「スーパーあずさ5号」の退避です。新しい「あずさ」のE353系ですが,都営の5500形と似てると思うのは僕だけでしょうか。

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入笠山。この山はスキー場もあり人の手が入っています @すずらんの里あたり

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青柳では「スーパーあずさ5号」を退避。左下は都営5500形

 上諏訪からは諏訪湖の北岸を走り,10:30,磯子駅から5時間ちょうどで岡谷に到着です。ここからはJR東海の313系でとりあえずは辰野を目指します。この岡谷~辰野間はJR東日本の中央本線ですが,列車は飯田線へ直通し,一体で運用されています。今日は飯田線の長丁場に備え辰野で昼食を食べるので,岡谷からの1412Mは辰野の隣の宮木で降ります。

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辰野ではJR東日本からJR東海へ引継ぎ。左が1412M

 辰野は会社の仕事で1年間の滞在を2回の経験があり,多少,地の利があります。今年の夏はことのほか暑いので,辰野では鰻丼を食べると決めていました。ここ天竜川の最上流域は昔,簗(やな)があったのか,おいしい鰻料理店が何軒かあります。町役場の前の鰻料理店は関東風に蒸すのでもなく,関西風に骨がじゃりじゃりでもなく,炭火で皮が香ばしく焼けて絶品と思っています。旅行としてはこれからが佳境ですが,時間もあるので信州土産をマーケットで買って,ゆっくり辰野駅に戻ります。

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うなぎ鯉料理「小佐加」と上うな丼

 辰野からはJR東海となり,電車は313系R編成の2両編成です。313系は車体は同じでも,ロングシート,セミクロスシート,転換クロスシートのアコモデーションがあり,更にワンマン機器の有無などでいろいろな区分がありますが,R編成はセミクロス,ワンマン機器ありの2両編成で配置は大垣です。辰野ではこれから乗る飯田線上り列車が中央本線下りの2番線,反対の飯田線下り列車が飯田線用の駅舎前1番線を使い,通常とは逆の右側通行が今も続いています。

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いよいよ飯田線に踏み入れる 214M @辰野

 214Mの所定の辰野発は12:43,今日は中央線の遅れた特急の接続をとったとかで約7分遅れでの運転です。旅客の流動の少ない昼下がりですが,夏休み期間中ということもあり,ちょっとしたお出かけや部活,補講の高校生などで2両編成の電車は立っているお客さんもいます。駅間が短く利用し易いこともあり,飯田線の伊那地域はいつ乗ってもそれなりの利用があります。車窓は緑の伊那谷が開け,向こうには南アルプスの3000m峰が見えるのですが,あいにく僕にはどれがどの山だかは分かりません。

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伊那谷上流部を行く。向こうの山は南アルプスの3000m峰 @伊那新町あたり

 伊那市ではたくさんの高校生の降り乗りがありましたが,差し引きゼロでまだ立ち客がいます。駒ケ根も人口32,000人ながら市で,車窓右側の中央アルプスの入り口でもあります。駒ケ根の先も飯島,松川,高森(3つとも行政の町の名)と田畑の中に家や工場がたつ景色は途切れません。

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右手車窓の中央アルプスの方角を望む。どれが駒ケ岳...? @伊那福岡あたり

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こちらは左手車窓で南アルプス @伊那田島あたり

 リンゴ畑の河岸段丘を進み,列車は14:40過ぎ,伊那谷の中心の飯田に着きます。ここで高校生やちょっとしたお出かけのお客さんの大半は降りてしまいますが,列車はまだしばらく下山村までは飯田の市街地を走ります。時又は天竜川下りのターミナルになっていますが,この辺から徐々に秘境駅ゾーンになってきて,車内は空いてきます。15:15,列車は多少の遅れを持ったまま終点の天竜峡着,ダイヤ上は2分の接続で飯田線の旅,後半戦の554Mに乗換えです。554Mの電車は岡谷~宮木で乗った1412Mの編成が約1時間半先着して待っている形で,またまた313系の2両編成です。

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くだものの里,伊那大島のホームはきれいに手入れされている

 天竜峡を出ると川幅はぐっと狭まり,列車は秘境駅が連続する区域に入りってゆきます。天竜峡の隣り千代と次の金野はさっそく2駅連続で秘境駅です。3つ目の唐笠は天竜川下りのターミナルがあるため秘境駅ではありませんが,前の2駅と変わらぬ川の景色です。ところが,今日も唐笠から秘境を楽しむパッケージツアーご一行様が乗込んできて,車内は秘境どころではなくなってしまいました。このツアーご一行様は為栗で降りてゆきましたが,駅前に観光バスの入れる場所はなく,この先どうするのでしょうか。代わって為栗からは,秘境駅めぐりと思しきお父さんと中学生くらいの2人連れが乗ってきて,彼らは小和田で降りてゆきました。

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為栗駅からの天竜川の眺め

 飯田線の北側,上伊那,下伊那地方は山あいといっても人口が多く開けた地域だし,南側も東栄より南は中京地区の一番奥といえる地域ですが,その間の東栄から天竜峡は本当に秘境です。こんな所になんで鉄道を敷いたのだろうと思います。飯田線はもともと北から伊那電気鉄道,三信鉄道,鳳来寺鉄道,豊川鉄道という4つの私鉄で,第2次大戦中の1943年に国有化されました。このうちの三遠信秘境ゾーンを含む天竜峡~三河川合間は三信鉄道によって開業しました。三信鉄道は南北両側から部分開業を重ねながら工事が進められ,1937年の大嵐~小和田間の開業で全通しました。当時は天竜川の電源開発も鉄道敷設の目的だったようで,飯田線からも泰阜(やすおか)発電所や平岡発電所などのダムと発電所が見えます。三信鉄道の工事は資金難のうえに昭和の恐慌,中央構造線に近いため地盤が弱いと日本の鉄道史に残る難工事だったそうです。そんなところなので今の時代でも保線は大変そうで,JR東海の関係者の苦労が偲ばれます。

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向市場~城西間の第6水窪川橋梁(渡らずの橋)
数軒の住宅のある右岸の近くまで行くが。左にカーブをきって元いた左岸に戻る

 列車は小和田から暫くは静岡県に入り,ここから中部天竜の先の出馬まで全部,浜松市の市域です。この界隈の水力発電所でもひときわ大きい佐久間発電所を過ぎると中部天竜に着きます。列車はここで反対列車の待合わせで3分止まりますが,その他にここでは車掌の乗務が終了します。ここからはワンマン運転となり,列車番号も554Mから554Gに変わります。中部天竜以南のほうが乗降は多いはずですが,秘境ゾーンでワンマン運転中に万一のことがあったらいけないという配慮なのでしょうか。

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中部天竜からはワンマン運転,方向幕もワンマン表示付にかえる @中部天竜

 中部天竜を出ると岡谷以来沿ってきた天竜川と別れ,支流の大千瀬川,更には相川を遡って南西を目指します。その後,出馬~東栄間で分水嶺を越え,豊川水系宇連川の支流に沿うようになり,行政上も愛知県になります。昔は林業も盛んだったようで,木材の積出し基地なども見えます。

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反対列車はガラス越し写真。下り225M @七久保

 ところで今日の飯田線旅行はスタート時から7分の遅れです。このため下り列車との交換は大抵が向こうの列車が待ちです。また,ワンマン区間の無人駅では,ホームに降りたあと冷気保持のため扉を内側から閉められてしまうと,運転席直後のドアはホーム側からは開けられません。今日は行違い列車の写真を全部撮るぞと意気込んでいたのですが,どれもこんなような写真です。

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新城を過ぎれば終点豊橋まであとわずか @東上あたり

 夏の陽も傾き,豊川を過ぎると列車は最終区間に入ります。豊川以北から来る列車は快速扱いとなり,下地,船町の2駅は通過です。名鉄線と合流し,豊橋郊外の住宅地をしばらく走って,18:25頃,終点の豊橋到着です。辰野を出たのが12:50頃だったので,スジは切れていましたが,所要時間5時間35分はどの直通列車よりも短い所要時間でした。飯田線乗とおしの余韻に浸りたいところですが,帰りの列車の予定もあり,そそくさと飯田線のホームを引上げます。

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豊橋~浜松間の978Mはクモハ313-1

 豊橋からは,楽しい飯田線に比べれば単調な夜の東海道線を上る消化試合です。とくに豊橋~浜松は中京地区と静岡地区の境目で列車は少なく,編成は短く,競艇場などのギャンブル施設が並び,どうも好きになれない区間です。新幹線に乗れないきっぷで東海道線を上っていて,この区間だけ立ち席になることもしばしばです。今日は平日なので周囲が通勤のお客さんなのと,数多い313系のトップナンバーにあたったことで少しは気分が晴れます。

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浜松~熱海の466M

 浜松では12分の間に駅そばの夕食を食べ,熱海ゆき466Mに乗換えます。466Mは211系3両+313系3両の6両編成です。浜松~熱海は152.5㎞あり,この列車は2時間31分かかります。以前,この区間で便所なし列車にあたったことがありますがこれは最悪で,たとえ半分でも313系がついているとホッとします。ロングシートではありますが,段々車内も空いてきたし,便所もあるので,豊橋名物の竹輪と浜松で買ったうなボーン(ウナギの骨のお菓子)でビールを飲みながら,今日の反省会です。

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帰りの列車2本まとめて。東海道線 728M @熱海,根岸線 2330C @大船

 熱海では会社境界でもあるので,ちょっと長めの19分の乗継ぎです。今日は青春18きっぷなので気晴らしに駅の外に出てみると,駅ビルと駅前広場が随分変わっているのでびっくりしました。夜だし本題から外れるので写真は割愛しますが,駅前にあった軽便SLが隅っこに移動し,バス乗り場も広々したようです。駅前のコンビニで夜食を買って,東海道線の本則どおりの728Mを名乗る上り列車に乗ります。大船乗換えで,自宅最寄りの磯子には23:28着です。

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今日の行程表

 今日は私鉄やバスなど追加費用のかかる乗り物は全く使わず,純粋に青春18きっぷで18時間弱,683kmの旅でした。何度行っても飯田線はローカル線踏破の醍醐味の味わえるところです。東京からでも頑張れば日帰りで行けるので,これぞ青春18きっぷの旅がしてみたいかたにはお薦めだと思います。(2018.9.5記)
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2018年夏のアクティビティ2--立山黒部アルペンルートバックヤード見学ツアー

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 今年(2018年)の6月末ですがジュニア(このブログでは愚息のことをそう呼んでいます)がネットサーフィンしているうちに,立山黒部アルペンルート(以降,アルペンルート)の「関電トンネルトロリーバスと立山ロープウェーバックヤード見学ツアー」のお知らせを発見しました。暇さえあればあちこちのサイトを見ているので,こういうイベントの情報量は僕以上です。抽選制で募集人数が15名と少ないので,まあ当たらないだろうと思いながら応募したところ見事に当選しました。夏休みの僕の九州旅行の予定はキャンセルして,ジュニアと2人で参加することになりました。当日伺ったら,6~7十通の応募があったそうで,10倍くらいの狭き門だったようです。

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アルペンルートの全体図(拡大はこちら
拡大版の下についている数表はご参考です。時間単価は運賃を所要時間で割ったもの。とても運賃が高いのでせいぜい楽しまないと,という趣旨で計算してみました

 イベントの開催は7月29日(土)ですが,集合の関係で7月28日(金),会社の暑気払い終了後の出発です。いつものお約束どおり200円安い上野からの北陸新幹線で,富山着21:34,そのまま駅前のホテルに落ち着きます。ジュニアは昼前に自宅を出て午後には富山に入り,富山地鉄の電車に乗ったり,写真を撮ったりして楽しんだようです。

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昼間は富山地鉄の鉄ちゃんで楽しむ 2018.7.28(写真:ジュニア)

 イベント当日7月29日,富山の出発は7:08の地鉄電車です。きっぷを買っていませんが,昨日着いたジュニアの報告いわく,6:50から開く電鉄富山駅の案内所で買う由です。時間に駅に着くと既に何人かが列を作っています。アルペンルートのきっぷはバーコードがエンコードされた横長の独特なものですが,発券に時間がかかるため,窓口の女性のほかにオーダー取りの係がいて手際よく捌いています。窓口の業務開始時間,要員配置とも,よく考えられたシステムではありますが,ピーク時は若干不安がありそうです。また,きっぷ自体も無味乾燥なものなので,写真を入れたり記念品としての価値は高められないものかと思います。尤も,アルペンルートのきっぷは5日間有効なので,不正使用を防ぐため持帰りは認めないルールなのでしょうか。

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アルペンルートのきっぷ

 さて,富山からの電車ですが,元京阪の10037です。僕はアルペンルートは3度目ですが,ジュニアは初めてです。アルペンルートは区間ごとにいろいろな種類ののりもので,乗っているだけでも楽しいのですが,今日は台風接近のため天気も悪いうえに,ジュニアは体調不良気味とあって,記述も端折りがちです。

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たくさんのヘッドマークの並ぶ電鉄富山駅 2018.7.29(以下全て同じ)

 立山8:20のケーブルカー,美女平8:35頃の高原バスで室堂を目指します。高原バスは9:00便を予定していましたが,朝から臨時便が運転されているようです。このバスは天気によっては雲海の上を走る絶景が楽しめますが,今日は雲海というよりはただの曇り空のようです。また,室堂近くでは残雪も見られ,標高2450mを実感します。

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高原バスからの車窓

 過去2回のアルペンルート旅行はいずれも室堂泊まりとしました。ここは立山の主峰の雄山が眼前にそびえ,みくりが池周辺の清冽な散策コースなどが気持ちのよいところです。今日は雨模様で,雨の苦手な僕はターミナルの展望台から眺めるだけです。ジュニアは雨の中を10分くらい歩いてきましたが,ようやくエンジンがかかって,不調はどこかへ飛んでいったようです。また,僕は会社帰りの直行のため,半袖のポロシャツにスラックスという気温16度の山岳リゾートには全く場違いな恰好になってしまいました。

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室堂風景。雄山は雲の中

 室堂からは10:15の立山黒部貫光のトロリーバスに乗り,大観峰着10:25です。今日のバックヤードツアーの集合および受付けはここで10:20~10:50なので,先ずは遅刻せずに集合場所に辿り着きました。途中ののりものは,2両編成のふつうの電車,ケーブルカー,ふつうのバス(場合により続行便あり),トロリーバス(4,5両続行運転)ですが,それぞれ輸送のロットの大きさ,運転間隔が異なるので,この一連のダイヤ調整は難しそうです。そうは言っても,ケーブルカーの輸送力に制約があるので,それ以上の人数を運ぶことはできず,アルペンルート全体の需給調整が図られているのでしょう。きっぷも富山側からだとケーブルカーの便の予約ができるので,そこで調整すればあとは成行きで回るということのようです。

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ロープウェイ見学の説明図(拡大はこちら

 さて,バックヤードツアーの前半,立山ロープウェイの施設見学です。受付で説明図,見学証とともにヘルメットを渡され,さあ現場だと気合が入ります。説明者とアシスタント(駅長さんとの由)の自己紹介のあと,一般のロープウェイでいうと山頂駅にあたる大観峰駅の見学です。一般の鉄道と違い,ロープウェイの仕組みは情報ソースが少ないので,自称「のりもの趣味者」の僕も全くの素人です。

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ロープウェイの運行を支える部品群

 立山ロープウェイは厳しい気象条件ゆえ4線式といって一番太いロープ(支索)が2本で,かごは両腕でぶら下がる方式です。支索の寿命は20年位あるけれど,接触する部分が傷むので寿命の半分くらいで少し送り出して,接触部分を移動する作業をするそうです。山頂側は固定されていますが,麓側は単に錘(おもり)をぶら下げて引っ張っているだけで,その重さは85tもあるそうです。また,停電時に備えて予備エンジンも機械室に備えられていますが,この予備エンジンは自家発電するのではなく,クラッチを介して直接メカ的にえい索を駆動するのにはびっくりです。

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支索の予備部分を巻いているリール

 予備エンジン他,機械室内には興味深いものがいろいろあったのですが,ここと運転室は禁撮影で写真にできないのが残念です。機械室の後は運転室を奥から覗かせていただきます。制御機器も昨年更新したばかりで真新しく,運転操作は確認操作が増えたりして,以前の1ボタンより敢えて手間がかかるようにして--安全のための確認行為を増やして--いるそうです。

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説明を受けながらロープウェイにも乗車

 山頂側の説明が一とおり済むと,ロープウェイに乗って麓側の黒部平駅に移動です。アルペンルートは冬季は休業になりますが,駅には人が常駐,除雪や点検を兼ねて,毎日,運転もするそうです。秋が終わると厳重に戸締りをして冬籠りに入るものと思っていましたが,意外とロープウェイの維持管理は大変です。大変といえば,かごの屋根に乗って設備を目視で点検する作業も定期的にやっており,命がけの割にその手当はびっくりするほど安いことでした。

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支索を張る85tの錘

 黒部平に着いた後もロープウェイのバックヤード見学は続き,くだんの錘などを見学します。ちょうど,われわれが見ているときにロープウェイは動いていて,かごのいる場所により荷重のかかり方が変わるために,錘が上下するのが見てとれました。大観峰の駅は下から見ると立山の絶壁にたたずんで見えますが,四六時中下から85tの力で引っ張られていると思うと,相当堅牢な基礎工事がしてあるのでしょう。

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黒部平駅から大観峰駅を見上げる

 黒部平駅での説明が済むとバックヤードツアーは一旦散会,自由行動になります。黒部平駅は駅も小さく,雨も強くなってきたので,早々に黒部ケーブルカーに乗ります。黒部平は最初に掲げた全体図のとおりでちょっと小高くなったところにありますが,そこから黒部第四(通称:黒四)ダムの近くの黒部湖駅までの路線は全線トンネルの中です。

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黒四ダムから立山を望む

 黒部ケーブルカーの終点,黒部湖駅から関電トロリーバスの黒部ダム駅までは,ダムの堰堤上を含め約15分歩きます。幸い雨があがったので,ここではよい観光ができそうです。来た方をよく見ると山の中腹に先ほどの大観峰駅が見えています。こうして見ると,よくあんな所に駅を作ったなと思います。ダムの反対側には記念室やレストハウスもありますが,先ずは目玉の観光放流を見学します。のりものとはちょっと違いますが,実は僕は水門にも興味があり,放水を止めるときはあの水の重みに耐える水門は一体どんな機械構造になっているのかと思います。ダムに行くといつもは挨拶程度でも記念室を覗くのですが,今日は時間もないので新しく作ったという模擬坑道だけをちらっと見ます。

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黒四ダムの観光放流。天気が良いと虹になって見える

 腹も減ったので,レストハウスで昼食にします。食堂内の掲示によれば注文を受けてから出てくるまでに30分かかるとの由です。アルペンルート内の人の流動は自然とコントロールされていると上に書きましたが,食堂も例外ではなく,今日のようなハイシーズンの日でも何となく席は見つかり,時間どおり食事も終わりました。

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関電トンネル工事を再現した模擬坑道

 黒四ダムは日本を代表する発電用ダムであり,たくさんの映画や文学でも紹介されているので,詳しい説明は割愛します。ただダムの建設された昭和20~30年代といえばトンネルボーリングマシンもなく,建設事業は専ら人海戦術でやっていた時代です。どれだけの血と汗によりできたかと思うと,頭がさがります。

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関電トロリーバス 300形 @扇沢駅

 13:35黒部ダム発のトロリーバスで集合し,バックヤードツアーの後半スタートです。こちらのトロリーバスも終点の扇沢付近を除いてほぼ全線がトンネル内で景色は見えません。路線のほぼ中央に幅の広い部分があって,その入口と出口に信号機があり,そこで上り下りの列車(バス)が交換するのは,線路こそないものの単線の鉄道路線の信号場そのものの感じです。トロリーバスは日本語では無軌条電車といい,バスのような恰好をしていますが,法律的には鉄道の仲間です。現在,日本で運行されているトロリーバスは,先ほど室堂~大観峰で乗った立山トロリーバスとここ黒部ダム~扇沢間の関電トロリーバスの2か所だけです。昭和40年代頃まではレール設備の要らない路面電車として全国の大きな都市で運転されていましたが,架線(トロリー)の下しか走れないことから邪魔者扱いされて,廃止されて久しいです。関電のトロリーバスも今年限りで,トロバスラストイヤーキャンペーンということで,今回のバックヤードツアーも含めいろいろな催しが企画されています。

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トロリーバスの仕組みの説明板(上:車両の仕組み,下:路線図)(拡大はこちら

 バスが扇沢駅に着くと関西電力の説明者が登場し,挨拶の後,トロリーバスの仕組みから説明が始まります。上に書いたようなことがふつうの人にも分かり易く説明されます。参加人数が14名と少なく,午前もロープウェイで一緒だった人達なので,見学も和気あいあいと進みます。

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トロリーバス300形の運転台

 パネルを使った説明の後は実車の見学で運転台やエンジンルームを見せていただきます。運転台は写真のとおりで,ハンドルがでんと構えていますがインパネは電車のような飾り気のない4連のメーターです。今日は台風が接近していることもあり午前の部では開けられなかったそうですが,今は小康状態なので後部のエンジンルームも解放されました。ここは,トロリーバスとふつうのディーゼルエンジンのバスで圧倒的に違う場所で,中は見事に電気部品ばかりです。ハンドルには三菱のマークがついていますが,主要なVVVF装置などは東芝製だそうです。

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トロリーバスのエンジンルームと古い東芝マークのつくレトリバー(ポールを支える紐の巻取り器)

 ところで,関西電力のこの事業所ですが意外とコスト削減が徹底していて,300形に付くレトリバーは先代のものを付替えたものだそうです。昔のサザエさんのテレビで懐かしい東芝マークがついているので,気になりました。また,正面の社紋--これが意外と高いらしい--も使いまわしだそうで,300形に付いているものを取外して新しいバスに取付ける,外したままだと恰好悪いので「トロバスラストイヤー」のステッカーを貼っているそうです(見学者を笑わすジョークかも)。説明を聞いているうちに,次のトロリーバス便の時間になります。説明は一時中断し,参加者は思い思いの場所で下ってくるバスの「走り」の写真を撮ります。

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山を下ってくるバスを「走り」で撮影。こうしてみると旧式の単行電車のよう

 ところで,関電のトロリーバスは今年限りといっても,廃止ではなく,車両の更新を機に蓄電池バスにするという前向きな話です。鉄道車両,JR東日本のaccumやJR九州のDENCHAのように,停車中に蓄電池に充電し,走行中は架線から集電する必要がなくなるので,トロリーバスは止めるということです。最近の蓄電池技術の進歩の賜物であると同時に,運用者から見ても架線の保守が不要になるのはメリット大と思います。

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来年から使われる蓄電池バス

 検修員の慣熟などのために新しい車両の納入も既に始まっており,今日は新旧2台を並べて展示しています(冒頭の写真参照)。見た目はJ-Busの新エルガ/ブルーリボンIIとそっくりですが,屋根の上のポールが目を引きます。これはaccumが烏山で駅に設置された鋼体架線から充電するのと同じで,急速充電用の集電装置だそうです。駅に停車中の約15分で,往復分程度の充電はできるそうです。もう一つは登録番号ですが,トロリー(?)バスとして通常運行するためには不要で,写真ではカバーがついていますが,万一,公道を走る時のことを考えて白ナンバーを取得しているそうです。いっそのことトロリーバスとしての営業は止めて,ふつうのバス事業に転換してしまえばとも思いますが,走る場所が専用トンネルで公道ではないので,道路運送法の免許はおりなかったそうです。

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トロリーバスの安全を守る検修設備

 約1時間の見学はあっという間で散会の時間です。関電トロリーバスの開業は新幹線と同じ1964(昭和39)年ですが,新幹線と同じで死亡事故0を続けているそうです。ちょっと誇らしげな無事故のお話を伺い,ここでもお土産をちょうだいして,一連のバックヤードツアーは終了です。事業所内で一番のスピーカーを選任したのか,ロープウェイのかたもトロリーバスのかたも説明が上手で,どんな層の見学者も大満足で見学ができたと思います。Webページで失礼ではありますが,ツアーを企画した大町市のご担当も含め,大変感謝いたします。

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扇沢ターミナル

 扇沢からはアルペンルートの最終コースでアルピコ交通の路線バスで信濃大町に出ます。所要時間35分の市内バスですがアルペンルートの一部を構成するためか,都市間バス仕様のセレガです。気持ちとしては途中の温泉にでも浸かりたいところですが,今日は経費節減のため横浜まで青春18きっぷで帰る予定,しかも台風接近中ということもあり,寄り道はなしです。信濃大町では13分の乗継ぎでちょうど「リゾートビューふるさと」が来るので,この列車を使います。旅行シーズンの土曜日なのでバスが時刻表どおり走るか分かりません。指定席券はとっていなかったのですが,バスは概ね時間どおり着き,指定席券も2人並びでとれました。

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信濃大町からは「リゾートビューふるさと」で松本へ

 台風の影響か下り列車に若干の遅れがあり,交換待ちで10分くらい遅れて17:25頃に松本に着きます。台風による計画運休のため,接続の所定17:18の「あずさ30号」が東京まで行く今日最後の「あずさ」との案内です。こちらはその「あすさ」を見送り,続行して出る所定17:21の普通列車甲府ゆきに乗ります。台風の状況が気になり携帯で運行状況をチェックすると,早々と高尾~小淵沢間運転見合わせとの情報です。塩尻を出たところで車掌さんに今後の見通しを聞くと,この列車の1本前の甲府ゆきも小淵沢で運転打切りになったので,この列車もおそらく...とのことです。甲府まではなんとか行けて,最悪,甲府からは高速バスもやむなしと思っていたのですが,甲府まで辿り着けなくなりそうです。調べると,岡谷~新宿線の高速バスが18:00にあることが分かりました。これに乗れるとよいと思い,やきもきしながら長い塩嶺トンネルを通過,岡谷には17:53頃着きます。岡谷からの高速バスは駅前広場から出るのを知っていたので,一目散にそちらへ走ると,京王のエアロが止まっています。運転士さんが出発前の一息で車外に出ているので,新宿まで乗りたい旨を伝えます。高速バスにも「運転打切り承知」のような条件があるようで,それでよければとのこと,今度は慌ててきっぷ売り場に走ります。きっぷ売り場の女性は慣れたもので,しっかり2回回数券で発券してくださり,2人でちょうど6,000円でした。

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台風の中がんばってくれた京王バス @双葉SA

 岡谷~新宿線の高速バスは諏訪ICまでは下道(したみち,一般道)を走り,要所要所で停車しながらお客さんを拾います。全てのお客さんに「運転打切り承知」の確認をしますが,「それじゃあやめとく」という人はいません。高速に入っても,乗りのお客さんはいて,半分くらいの乗りになりました。乗ったバスがたまたま東京側の京王バスなので,一旦走り出したら車庫まで走り切ってしまいたいので,アルピコやJRなど長野側のバスよりよかったかも...と思います。途中,一部に50km/h規制区間もありましたが,なんとか小仏峠を越えて中央道八王子着,もう大丈夫,帰れなくなることはないと安心します。台風の土曜日とあって車はとても少なく,新宿駅南口周辺の人混みもなく,バスは所定より早いくらいで新宿に着きました。ひとたび災害があってからでは遅いので,計画運休は仕方ないのですが,高尾以西の中央線はよく止まります。

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このときの携帯画像
小淵沢は中央線のホームは上り下りの本線の2本しかありませんが,都合5本も列車が集まり,僕らの乗っていた444Mも満線で随分待っていたようでした。
高速バスは暴風域の赤い円のなかを走ってくれました。このバス(もう1便19:00便もあるが走ったかは分からない)に乗らないと帰れなかったかもしれません。


 さて,新宿に着きましたが,今日は青春18きっぷで信濃大町~岡谷間60.1㎞1,120円分しか乗っていません。ジュニアに至っては通学定期券があるので,この後もこの日の分を使うことはありません。「列車の運行不能・遅延等による払戻し及び有効期間の延長はいたしません。」とご案内券に書いてあることは知っていましたが,それなら1,120円払うから使わなかったこと,誤入鋏にしてくれと新宿駅で交渉してみました。こういうネゴは窓口ではややこしいので駅長事務室の案内を乞うたところ,改札の若手の駅員氏が取り次いでくれることになりました。僕は部外者なのでJRの組織はよく分かりませんが,改札の窓口の上司筋なので改札の係長と助役まで少なくも2段かけあってくれたようですが,「ご事情はよく分かりますが,上司がnoというものをyesという訳にはゆきません」と。どうにかならんものかとは思いますが,無理も承知なのでほどほどのところで引上げます。それがJRの指導上よい応対なのかは分かりませんが,後味悪いと思うこともなく,駅員氏,若いのにやるもんです。

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台風のなか無事帰着

 台風の後ではありますが,湘南新宿ラインが時刻表どおり動いているので22:00の小田原ゆきに駆込みます。横浜で乗換えて自宅最寄りの磯子駅には22:54に着きました。台風の影響で景色がいまいちでしたが,その分見学に集中できたかもしれません。高速バス利用はとんだご散財でしたが,これも貴重な体験です。日中のアルペンルートとそのバックヤードツアーは大変貴重な経験かつ楽しく,台風のおまけもついて良い旅行になりました。また次回もと言いたいところですが,こんな旅行は簡単にはできず,長く記憶にとどまることでしょう。(2018.8.25記)

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2018年9月15日
Uncle TOMの のりもの大好き 主宰者

2018年夏のアクティビティ1--神乗継ぎで信越と南会津の青春18きっぷの旅・その2

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只見線の気動車 @小出 2018.7.22(特記以外すべて同じ)

 今日はさる(2018年)7月22日に行った青春18きっぷの旅のその2を書きます。その1では「ムーンライト信州」で出発し,飯山線観光列車「おいこっと」を楽しみ,ほくほく線を動員して何とか小出発13:11の只見線の午後の列車に間に合わせました。その2では只見線から南会津の山の中をバスで抜けて,東武の新しい特急車リバティに乗って帰ります。

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当日のルート(再掲,日付が変わり青春18きっぷを利用開始した立川から記録)

その1からつづく)
 7月22日(日)13:11,只見線2424Dで後半の旅程スタートです。只見線は雪のシーズンに訪れたことが多く,夏は初めてかもしれません。列車は魚沼平野の穀倉地帯をキハ48特有の重たい響きと加速でのんびり走ります。異変が起きたのは越後須原からです。大阪の旅行会社の40人からの団体が乗り込み,景色を楽しむ人,おしゃべりをする人で急に賑やかになります。以前,飯田線でも秘境を楽しむツアー客と遭遇しましたが,只見線もそういうところになったようです。1日に幾本もない列車をやっとの思いで乗るからこそありがたいのであり,観光バスで駅まで乗りつけて,幾分も待たずに乗ったのでは,ローカル列車のありがたみがわきません。

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大白川の駅名標。両隣の駅が廃止になってしまった

 くだんの団体は入広瀬で降り,車内に再び平穏が戻ります。次の大白川から只見までの20.8kmは1971年に開通した比較的新しい区間です。間には六十里越トンネル(6,359m),田子倉トンネル(3,712m)の長大トンネルがあり,地質が似ているためその工事での経験は青函トンネル工事にも活かされたそうです。また,以前は中間に田子倉駅がありましたが,乗り降りする人を見たことがない秘境駅で,2013年に廃止されてしまいました。車内では大白川を出るとすぐ,代行バスにはトイレがないこと,只見駅での接続時間が少ないことを告げるトイレ促進案内が入りますが,1駅でも30分かかるので,希望者全員が用を足しても未だお釣りがくるようでした。

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只見線只見~会津川口間の代行バス。地元のタクシー会社へ委託し,日野メルファで走る @只見

 只見からは2011年7月の大雨による災害のため現在はバス代行です。いくつかの橋梁流失もあり,復旧の費用も大きいことからそのまま廃止も心配されましたが,最近になって上下分離方式での復旧が合意されたのは喜ばしいです。バスからも被害の状況が見えますが,一部の個所では復旧工事も始まっているようでした。前回(2015年末)もそうでしたが,代行バスはほぼ満員で,8割超が乗り鉄風,残りは用事があって乗っている人と本当に地元のお客さんの様子です。

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会津川口で只見線列車を見送る

 所要時間50分で,ほぼ時刻表どおり会津川口着。ここで代行バスのお客さんは皆,只見線の列車に乗換えです。接続の430Dが出てしまうと会津川口駅に残ったのは助役氏と僕だけです。秘境駅でなくとも,このローカルな感覚は格別です。駅のホームで写真を撮ったので記念に入場券を事後購入,助役氏と2,3言葉を交わします。さて,ここからが今回の旅行の目玉の一つで,南会津の山を越えて会津田島に向かいます。

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会津川口~昭和温泉は会津バスのローカル路線を利用

 話を旅程計画時に戻します。先ほど会津川口で見送った430Dに乗れば,会津若松,郡山経由でその日のうちに自宅まで帰れることは分かっていますが,只見線は会津盆地内では妙に遠回りをして時間がかかるのでどうも乗り気になりません。一方,東武の新しい特急車リバティが鬼怒川を越えて会津田島まで乗入れるようになったので,何とかこれに乗れないかと考えたのでした。昔は桧枝岐を通って荒海の方へ抜けるバス路線もあったと記憶しますが,今は時刻表の索引地図では只見線の各駅に入るバス路線は一つもありません。何か手はないものかと,地元の自治体が運行するコミュニティバスなどを探しているうちに,このルートを見つけたものです。一般にこういう路線は,路線はあっても日に数便しかなく,利用できるケースは非常に少ないですが,今回は絵に描いたようにピタッと繋がりました。この一連の乗継ぎが神乗継ぎの3です。

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昭和温泉しらかば荘。バス乗継ぎの間にひと風呂楽しむ

 さて,会津川口からのバスは列車に接続した通学の足ですが,今日は夏休み期間中,客は僕一人です。バスは富士重工の5Eの中型モデルの前1扉車,相当な年代物で手巻き式の方向幕などが懐かしいです。道路はちょっきり番号の国道400号で,ところどころに改良工事が未施工で狭隘なところがありますが,概して片側1車線の3級?の国道です。信号も乗降もなく,遅れる要素はないので時刻表どおり15:59に昭和温泉に着きます。次に乗る会津田島ゆきは16:36で37分の時間があります。さてどうするか。ゆっくりひと風呂浴びるには1時間欲しいところですが,温泉はバス停の真ん前,せっかくなので烏の行水でも浸かることにします。温泉は無色透明のナトリウム塩化物泉で,施設のサイトによれば掛け流しだそうです。浴場は宿泊施設の大きさなりで,広くはありませんが露天風呂もあります。ちなみに外来入浴の料金は500円です。慌ただしくはありますが,鄙びた一軒宿の温泉を楽しみ,バス停に戻ります。バス停の前には,村民いこいの湯という湯小屋も建っていますが,村民専用,外来者はしらかば荘へとの案内です。

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昭和温泉しらかば荘前のバス停

 昭和温泉から会津田島は金子観光のバスです。このバスは地元の建設業者が副業でバス事業を行っているものですが,自治体が委託するコミュニティバスではなく,路線免許を取得しているれっきとした路線バスです。

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昭和温泉~会津田島の金子観光のバス

 今日の運転手さんはよく話をするかたで,路線バスでも補助は受けていること,今日はたまたま昭和村の「からむし織の里フェア」,会津田島の祇園祭の日であることなど,いろいろおしえていただきました。道路は変わらず国道400号線です。昭和村・下郷町境の舟鼻峠はサミットには新しいトンネルが掘られていますが,周辺の道路は狭隘な部分もあります。冬季も除雪はされるそうですが,バスの運行には適さず,この路線も冬季は運休になります。

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祇園祭のさなかの田島町内

 田島ダムを左後ろに見ると田島(行政上は南会津町)は間近で,県立南会津病院を通り,田島の町に到着です。今日は祇園祭の祭礼で交通規制中とのことで,列車の時間が気になりますが,数分の遅れで会津田島駅到着です。会津田島では10数分の間に駅前のコンビニで夕食と晩酌の酒と肴を買込みます。

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ホームの反対には静態保存機のC11-254が @会津田島

 駅舎内も祭礼の人でざわついていましたが,改札を抜けると一段落です。ホームの反対には静態保存のSLがあり,ゆっくり見たいところですが,今日はお預け,写真だけです。もちろん,東武の新特急車リバティも写真を撮りますが,こちらは金色の贅沢そうな色合いをしていますが,お顔は仮面ライダーのようでちょっと恐い印象です。 

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会津田島からは東武の特急リバティで @会津田島

 さて,この電車に乗りたい...と期待をしてきたのですが,乗ってしまえばただの新しい電車です。デッキや便洗面所なども一通り検分しましたが,特別な印象はありませんでした。さすが東武,手慣れたもので,そつなく仕上がっているということでしょうか。強いてあげれば,照明の電球色と木目の内装で暖かく落ち着いたインテリアといったところです。野岩鉄道線はもともと国鉄線として計画されていた線区なので,開業後,日をおかずに乗ったと記憶しています。男鹿川のきれいな渓谷を楽しみたいところですが,谷あいの日暮れは早く,新藤原あたりで景色は楽しめなくなります。

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帰りの列車をまとめて掲載。常磐線 1260M,東海道線 1945E,根岸線 2033B

 今日は青春18きっぷなのでリバティに乗ることだけを考えれば栃木で降りて両毛線で小山に出るのが経済的です。しかし,一旦落ち着いてしまうと,あれこれ乗換えるのも面倒くさく,指定券は北千住までを用意しました。後から考えると,リバティは栃木まででも,東武で栗橋に出ればルート的なロスはなかったと思います。ちょっと無駄遣いを後悔しつつ,北千住で常磐線,上野で上野東京ラインに乗換えます。少し前に川崎の近くで異音検知があったとかで,多少ダイヤが乱れていましたが,横浜で根岸線に乗換え,磯子着は22:28です。

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今日の指定席券2つ。えきねっと発券

 東武特急に約180km乗ったので,青春18きっぷの利用実績としては少ない(519.1km)ですが,夜行日帰り1日の旅行としては充実の1日でした。タイトルに神乗継ぎと書きましたが,こんな行程は滅多にありません。次回はいつどこに行こうか,また思い悩んでしまいます。最後に今日の指定席券ですが,JR東日本の予約サイトの「えきねっと」の事前予約を使いました。発売開始日の10時キッカリにみどりの窓口で発券してもらう(「10時うち」というらしい)ほどの稀少な席ではないけれど,それなりに人気のある列車では有効な手配方法と思います。(2018.8.14記)

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