2018年夏のアクティビティ6--青春18きっぷでふらり那須へ。EH500撮影と北温泉の旅

暦は秋ですが,今年は夏休みにたくさんの小旅行をしたので,夏のアクティビティが続きます。今一つ季節感が合いませんが,お許しください。今日は(2018年)8月18日(土)に行った,那須の報告をします。今年の夏シーズンは青春18きっぷを2セット買いましましたが,家族3人で10回は多くてだぶつき気味です。その消化にどこに行こうかと考え,貨物列車の写真を撮って,温泉に浸かってゆっくりしようと考えたのでした。春にも青春18きっぷの消化に草津温泉に行きましたが,東京からの日帰り圏は温泉も多く,行きたいところはたくさんあって目移りします。また,鉄道写真を撮るなら機関車をといつも思っているので,その2つの両立する行程にしました。

東北本線の貨物列車ダイヤ。2018貨物時刻表(鉄道貨物協会 2018.3刊)の付録から調製
細かくて見えません。こんなものとご理解ただくための参考です。
機関車の写真というと貨物列車になりますが,横浜のわが家の近くではEF210を主体とした直流機が多いので,少し遠出してEH500牽引の貨物列車に狙いを定めます。東北本線の上り貨物列車は大宮着時刻で4:30~5:30がラッシュですが,横浜の南部からではそんな時間には着けません。また,黒磯~白河の関東~東北,昔で言えば東国~みちのくの境界域は起伏に富んだ高原で昔から好きな区間,一度,写真撮りに行きたいと思っていた所です。そんな訳で目的1は黒磯~白河間のどこかで貨物列車の写真撮りと決まりました。その近所で行きたい温泉となると,映画「テルマエロマエ」のロケに使われた北温泉があります。ここはプールのような巨大な露天風呂がある温泉です。これで目的2も決まりました。この2つを両立しようとするとバスでも回れないことはないですが,時間の自由度から現地の足はレンタカーとしました。

往路の列車まとめて 根岸線 868A @横浜,湘南新宿ライン 4520Y @横浜,東北本線 645M @宇都宮 2018.8.18(以下全て同じ)
前置きが長くなりましたが,8月18日朝は自宅最寄りの磯子駅を8:26の根岸線で出発です。横浜からは湘南新宿ライン回りの快速4520Yで1直線で,宇都宮には11:06に着きます。宇都宮~黒磯間は数年前から運転系統が分断されたので,205系4連のローカル列車に乗換え,もうお昼の12:02に那須塩原到着です。ここからの足はネットで予約したトヨタレンタカーです。那須高原のリゾートエリアの玄関なので,駅前には1日2,000円台で借りられる地場のレンタカー屋さんもあります。その前を通過して明るく大きなトヨタレンタカーに行くと,応対も丁寧で用意の車はまだ2,000㎞も走っていないピカピカのカローラでした。全国ネットの大手はよいけど,値段が倍はないよな...と思いつつ,出発進行です。

黒磯~新白河間のローカル列車,変4137M @高久(駅撮り)
事前にインターネットで撮影地をサーベイしたところ黒田原の先に有名なお立ち台があるのでそこを目指しますが,着く前に1本列車が来てしまいそうです。この辺の東北本線は明治の昔に勾配を嫌って敷かれた線路なので,丘陵地を縫い,並行する道路がありません。駅に行けば線路にとりつくことはできるので,先ずは高久駅に立ち寄ります。12:45頃に高久駅に着くとちょうど下りの旅客列車の時間です。それで撮ったのが上の写真です。この列車は所定は気動車ですが,今日は検査か,夏休みの多客期の対応か5両編成の電車の代走でした。

札幌(タ)~隅田川の3054レ @高久(駅撮り)
13時過ぎ,お目当てのEH500牽引のコンテナ列車が来ましたが,なぜかボケボケの大失敗です。インターネットで世界に発信するような作ではないのですが,撮影場所の情報としてのご参考です。言い訳を言えば,ここは森の陰から急に列車が出てくるので,事前に準備するのが難しかったです。ホームなので「列車が通過します...」の案内放送があったはずですが,ホームの北側の端だったので聞こえませんでした。

高久の駅前風景
気を取り直して高久駅を後にし,もともとの計画の丘を目指します。途中,コンビニで食事をし,14:00前に目的地に着きます。ここは山の斜面を走る列車をやや高い位置から見下ろすロケーションで,北斗星やカシオペアの走っていた頃は賑わったようです。丘の入口に着くとたくさんの人が登った痕のようなけもの道の入口に「警告 ごみを捨てると法律により処罰されます」の立て札が立っています。こんな所を登れるのかと思いながらけもの道を分け入りますが,15mも行くと道が分からなくなります。線路の側へ降りるほうが近そうなのでそちらも試しますが,深い藪で進行不能です。せっかく来たけどここはダメと諦めます。そうこうするうちに,列車の時間なのでなんとか写真になりそうな所を見定めます。

辿り着けなかったお立ち台の入口と警告の立て札。左手に線路の架線だけ見えます
ふつうに売っている時刻表では貨物列車の時刻は分からないので,貨物列車の撮影行では時刻を調べるのに難儀します。最近は年に1度の全国ダイヤ改正ごとに鉄道貨物協会から貨物時刻表が発売されるのでずいぶん楽になりました。2,500円と安くはありませんが,多数の写真,機関車の運用などの情報と共に,1時間目ダイヤですが上に示した列車ダイヤの付録もあり,鉄道趣味者を意識した内容なので最近は毎年買っています。ただし,1時間目ダイヤではこんな時間に列車がある程度のご参考なのと,JR貨物は結構きめ細かく列車の運転,運休を設定しているので,土曜日やお盆などの期間は列車が走らないことも多々あります。

黒磯~新白河間のローカル列車,変4139M @黒田原~豊原
この時間あたりに上りの貨物列車が2本あるはずなのですが,今日は来ないようです。1本は手許のダイヤで点線表示なので臨時列車,もう1本も7000番台なので定期列車ではありません。お盆の直後の土曜日なので運休なのでしょう。追いかけですが,また旅客列車を1本撮れたので佳しとします。この場所は5両編成のローカル列車にはちょうどよいですが,長大なコンテナ列車には不向きなので,次の場所へ移動です。

途中立寄った黒田原駅
次は豊原駅へ行くつもりですが,一旦,黒田原駅に出ます。黒田原は那須町の中心で駅近くには町役場もあります。栃木県には新幹線駅を中心とした那須塩原市もあり,分かりづらいです。那須は那須連山とか那須五岳と呼ばれる複数の山からなりますが,その中心の茶臼岳も那須町のほうにあります。黒磯駅を出ると交流電化になり,すぐに大きな鉄橋を渡るので,ここから福島県だと僕は今日まで思っていました。これから行く豊原駅まで栃木県で,那須町の町域であるとは現地で各駅停車?で細かく巡らないとなかなか分かりません。

黒磯~新白河間のローカル列車,変4141M @豊原駅
今日は車があるので駅撮りの要はなく,駅間の足場が悪いところに行った方がよいのですが,前にも書いたようにこのあたりは並行する道路がありません。車のナビで見てもここだという所がないので,今度は豊原駅を目指します。昔,東北新幹線開業前,「ひばり」や「はつかり」が頻繁に走っていた頃,雑型客車の鈍行で夕暮れの那須高原を下り,豊原か白坂で退避になった記憶があります。みちのくの入口の人里離れた所の印象はその頃と変わりません。

変4141M豊原駅発車 @豊原駅
またまた旅客列車の写真ですが,今日3回目です。日中の黒磯~新白河のローカル列車は1本の電車(いつもは気動車)がピストン運行するダイヤで,3本とも同じ車両です。

札幌(タ)~隅田川の3050レ @豊原駅の裏手
徐々に日が傾いてきましたが,ここで漸く今日2本目の貨物列車の写真を撮ります。光線の加減は文句ないのですが,黄色の線路の保護柵(マニアはホチキスというらしい)が少々うっとうしいです。3050レは貨物列車としては最上級の列車番号で,札幌を今日1番の0:20に出てきた列車です。10分もしないうちに今度は仙台から大阪ゆきの4088レもやってきます(今日のとびらの1枚です)。どちらも機関車はEH500ですが,後者は1次量産車の4号機です。前面窓下に黒い帯が入り,こちらの方が締まった印象で僕の好みです。

那須連山を望む。県道28号線から
時刻は15:35となり,上りの貨物列車は1時間以上ないので,今日の鉄ちゃんは引揚げとします。ここから北温泉は車なら1時間とかかりません。県道21号線から那須街道を那須岳(茶臼岳)山頂を目指して登ります。途中にはサンバレー那須のような大規模ホテル,ペンション街,温泉神社にビジターセンターがあり,まさに那須のメインストリートです。駒止の滝の駐車場に車を止め,暫しの滝見物の後は車の入れない道を約5分川に向かって下ります。

目の前を余笹川の支流が流れる野趣あふれる露天風呂
北温泉の外来入浴は17:30,受付は16:30迄と看板にあり,若干の遅刻ですが,大目に見てもらえてお風呂に向かいます。大露天風呂--旅館内の案内は温泉プール--のほかにも幾つかの風呂がありますが,今日は露天の風呂を使わせてもらいます。ここは余笹川の支流が目の前にあり,野趣に富みます。夜になったら,さぞかし星空がきれいだろうと思います。

映画「テルマエロマエ」のロケに使われた温泉プール。手前の方に何人か服のままの人がいます
せっかく来たのであの巨大な露天風呂にも入りたかったのですが,今日は膝くらいまでしか湯が張ってないとのこと,ふつうは水着で入るようなので諦めです。冬でもよいので湯がなみなみと張ってあるときに来たいと思います。さて,温泉にも浸かりましたが,夏の陽は長くもう一遊びできそうです。車もあるので那須岳の頂上近く,車で行ける終点まで登ることにします。

北温泉~駒止めの滝駐車場の途中で。山の間から関東平野を望む
北温泉から那須ロープウェイの那須高原駅を通って,道路の終点の峠の茶屋までは車なら15分位です。夕やみに霞む関東平野を眺め,とりあえずは満足して引揚げです。20日前に立山ロープウェイのバックヤード見学ツアーに参加したので,ロープウェイにも興味を惹かれますが,時間も時間なのでここは写真だけで先を急ぎます。

那須ロープウェイ。天気のよい昼間にまた来たい
この先は那須岳の裾野の下り坂をすべるように下って,18:47那須塩原駅前に戻ります。車を返すとちょうど18:55に上り列車があるので,この列車で宇都宮を目指します。

今日のドライブルート。バスではこうは巡れません
宇都宮は餃子で有名な街,お腹も空いたので夕食を食べて帰ることにします。電車のなかでサーベイすると駅近くにも何軒か美味しそうな餃子屋があるようです。適当にあたりをつけて店に行くとどこも大行列,20~30分も並ぶようです。餃子は食べたいけど,そこまでする時間も食通でもないので,駅近の行列のできてない餃子屋に入ります。結果からいえば,値段が高いので人気がないようで,味の方はそこそこ満足でした。

今日の夕ご飯。焼き餃子にとんこつ味水餃子ほか
宇都宮で小1時間を過ごし,20:36の快速「ラビット」で帰途につきます。グリーン車に乗りたいところでますが,普通車でもボックス占拠できるくらいにガラガラです。隣を見ると18きっぱー風のおじさんが持帰りの餃子でうまそうにビールをやっているので,次はそれにしようと思います。この「ラビット」は上野ゆきなので蓮田で1635E沼津ゆきに乗換えます。この1635Eは宇都宮~沼津間235.9㎞を走り,上野東京ライン系統で熱海~黒磯間の268.1kmに次ぐ長距離鈍行です。蓮田~横浜の区間利用ではあまり関係ありませんが。その後も列車は順調に走り,23:10磯子駅に帰着です。僕としてはこの時間だと23:15にバスがあり,大助かりです。

帰りの列車4本まとめて。東北本線 674M @宇都宮,同3558M「ラビット」 @宇都宮,上野東京ライン 1635E @蓮田,根岸線 2115A @横浜
青春18きっぷの消化といいながら,一人でレンタカーを使うなど,若干贅沢し過ぎの感はありますが,今日も楽しい1日でした。春シーズンの草津温泉に続き,青春18きっぷで行く近場の温泉の旅が癖になりそうです。身延線南部の下部温泉,上越国境周辺の温泉などこの次はどこに行こうか楽しみです。(2018.10.28記)
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2018年夏のアクティビティ5--夏休みに近江鉄道を訪ねる

今年(2018年)の夏休みは北近畿~京都に家族で旅行(記事はこちら)に行きましたが,8月4日(土)は朝の京都で解散,比較的自由に横浜に帰る行程になりました。昨年末,近江鉄道が所有する電気機関車を廃車するという話題を聞き一度訪ねたいと思っていたので,今日は近江鉄道に寄りながら横浜へ帰ることにします。せっかくなので,話題の機関車を見るだけでなく,全線を乗ってみることにします。

今日も緑一色の113系で移動 草津線5336M 2018.8.4(以降全て同じ)
京都,五条のホテル前で家族と別れ,8:50の地下鉄でスタートです。京都9:08の新快速で草津に上り,草津線に乗換えて近江鉄道本線(愛称:水口・蒲生野線)の終点,貴生川に向かいます。新快速はJR西日本の稼ぎ頭なので洗練された223系ですが,草津線のほうは古色蒼然の113系です。113系でも草津線で運用されるのは比較的後期に製作された耐寒装備強化シートピッチ拡大形2700番台が110km/h対応の改造を経て7700番台となった電車で,シートも転換クロスシートに改装されていました。Nナントカという延命更新ですが,東京人の僕には詳細は分かりません。

近江鉄道の全線乗り放題きっぷ「1デイスマイルチケット」
9:31,貴生川に着くと,近江鉄道線のホームでは水色の塗装が鮮やかな西武スタイルの電車が迎えてくれます。ここから日がな日中一杯をかけて近江鉄道乗りつぶしの旅スタートです。近江鉄道には金,土,日限定の「1デイスマイルチケット」880円という全線乗車券があります。このきっぷは,飲酒の機会が増える金曜晩の需要喚起か,他社では週末限定のパスが多いなか面白い発売条件です。貴生川からの普通運賃が22.4kmの八日市までで790円なのでとてもお得な価格設定です。なお,近江鉄道の運賃は貴生川から米原まで47.7km乗っても1,030円なので相当な長距離逓減運賃です。

西武新101系改造の100形1104+104 @貴生川
出札口で「1デイスマイルチケット」を買い,全線版の冊子の時刻表をもらいます。結構しっかりしたつくりなので値段を訊くと,「無料です,当然でしょう」との返事です。この駅員さん以外も近江鉄道の従業員は総じて利用者への応対がよいと感じました。ホームに入ると,先ほどから見えていた水色の電車が止まっています。新101系の鼻筋の通った湘南(西武)スタイルの電車ですが,色が変わると印象もずいぶん変わります。この104は2017年10月に導入した電車で,内装はピカピカ,大きな液晶の運賃表示器,ドア周囲の注意表示など新車の感じがします。

蒲生野の車窓風景 @朝日野あたり
水口は今は甲賀市ですが元々東海道水口宿のあったところ,今でも国道1号線が通る街です。その水口をはじめとして沿線には人家が途絶えることはなく,古くから人の住む集落と田んぼが混ざった車窓が集きます。畿内のせいか,人家も田畑も豊かな印象です。40分の乗車で八日市着。八日市は元々市でしたが,平成の大合併で市域を東へ拡大し東近江市となり,三重県と接する御在所山まで全部が東近江市です。その人口11万の市の玄関なので,近江鉄道のなかでも随一の駅です。

八日市駅前の様子
八日市では7分の接続で11:15の八日市線(愛称:万葉あかね線)に乗換えます。ホームにはまっ黄色の彫りの深い軽快気動車のようなお顔をした806が止まっています。開業120周年のヘッドマークがついていますが,120年といえば京急も120年で,意外と歴史のある私鉄と感じます。

八日市線はこの806+1806で往復 @近江八幡
八日市線は東近江市の中心の八日市とJRの近江八幡を結び,東近江市から市外への公共アクセスを担います。近江鉄道の休日日中のダイヤはどの線も60分サイクルを基準に組立てられていて,とても分かり易いですが,ここは60分に2本で倍の本数があります。夏休み期間中の土曜日なので,ちょっとしたお出かけの家族連れも多いです。車窓は本線と変わらず,住宅地と田畑が混ざった近郊の外縁部の風景です。

武佐では新幹線と交差
近江八幡は駅前にシネコン併設のイオンの大きなショッピングセンターがあり賑わっているようですが,今日はJRの駅をちょっと覗くだけです。近江八幡滞在は10分,来た時の折返し電車で八日市に戻ります。近江八幡~八日市は20分弱,八日市に戻ると12:02,列車の運転上も,乗りつぶしの行程上もほどよいダイヤです。八日市では往きしなにチェックしておいたスタンプをいくつか押して,12:11の列車で彦根方面に上ります。

新幹線とほど近い五箇荘駅
八日市から愛称は湖東近江路線に変わりますが,正式な線名は本線で先ほどの続きになります。車窓も今までとあまり変わりませんが,圧倒的に違うのは五箇荘以北で,高宮までの約11kmは新幹線と並行して走ります。新幹線の山側の座席でここを通るとつい近江鉄道の電車を探してしまいますが,滅多にお目にかかれません。しかし,こちらから見ていると新幹線は本当によく来ます。また,新幹線は高架橋にせよ築堤にせよ町を分断してしまいますが,現地に立つとそれを実感します。

尼子あたりでは完全に新幹線と並走。近過ぎて電車は見えない
24分の乗車で12:35高宮着,多賀大社への参宮路線である多賀線(愛称:彦根・多賀大社線)に乗換えです。今日の多賀線の電車は822+1822,西武の赤電カラーの電車です。西武の400系は子供時代に練馬の祖父の家に行くときにお世話になりましたが,当時は新鋭だった湘南スタイルの700系や101系よりも,食パン顔のこの電車のほうが好きでした。そんな訳で彫りの深い軽快気動車みたいな800系よりも,改造の手間を省いた820系のほうが好もしく思えます。ただ,建築限界にあたるためダイヤモンドカットで面取りした妻の裾部はなんともです。

西武赤電カラーの822,高宮で。広い構内には改造待ちの3000系6連2本が
高宮でも11分と程よい接続で,12:46の電車に乗れば2駅7分で終点の多賀大社前に着きます。高宮での60分ヘッドの本線列車との接続にあわせたダイヤなので,ここでの折返し時間は32分と少々長めです。ちょうどお昼なので駅前を見渡すと,土曜日限定,週に3時間しか営業しない半ばボランティアの蕎麦屋がありました。当地産のそば粉使用ということで,量は少なめでしたがコシもあって美味しくいただきました。ここまで来たのだから多賀大社までお参りに行きたいところですが,気温37度ではたくさんを歩く気になりません。また,今日は彦根でのアクティビティもあるので,予定どおり折返しの13:25の列車で高宮に戻ります。

多賀大社前の駅前風景と観光協会の蕎麦屋の看板
高宮では5分の接続で13:35の本線,米原ゆきに乗換えです。9分の乗車で13:44彦根着,電車はここで12分の停車です。今日は彦根でゆっくりしたいので,ともかく米原まで乗って14:07米原到着,と同時に近江鉄道全線完乗です。近江鉄道はかつては貨物輸送も盛んで多数の電気機関車を保有していますが,現在は用途廃止となって彦根駅の構内に留置されています。今回の近江鉄道訪問はこれらを見るのが目的だったので,米原滞在12分,折返し列車で彦根に戻ります。

まずはロコ1100形1101。1930年日本車輛/東洋電機が阪和鉄道向けに製作した入換え用の機関車
近江鉄道が所有する電気機関車は日本の電気機関車の黎明期の車輛で産業遺産としても価値が高いものと思います。昨年暮に保有する機関車のうちの何両かを廃車すると発表し,撮影会も開かれました。その後,年末にはED31のうちの幾つかが解体されたそうです。リリースでは希望者がいれば譲渡も検討とのことで,つぶしてしまう前に志あるかたの手に渡るとよいと思います。これらの機関車は彦根駅の一番外側に置いてあり,構外からでも写真を撮ることはできます。また,今日は閉館のようですが,構内には「近江鉄道資料館」と書かれた建物もあります。

ED14-4。1926年米国GE製。国鉄のぶどう色に復元されたそうですが今は赤銅色といった感じ

ED14-2。1926年米国GE製。こちらは近江鉄道カラー
昭和初期の日本にはまだ電気機関車を作る技術がなく,技術移入を目的に多くの種類の電気機関車が少数ずつサンプルとして輸入されましたが,ED14はそのうちの一つです。当初は東京機関区に配置され東海道線の貨物用に運用されましたが程なくして甲府に移り,以降,国鉄の豊橋や作並で使われました。1960年~1966年に払下げられ,一部は親会社の西武を経由しましたが,輸入された4両全てが近江鉄道に集まりました。

ED31-4。1923年石川島造船所/芝浦製作所が伊那電気鉄道向けに製作したもの
ED31はまだ鉄道省がサンプル機を輸入していた頃の1923年(大正2年)に国内で製作された意欲的な車両です。石川島造船所は軽便用の小型の蒸気機関車を除くと機関車の製造実績はこの6両しか見当たりません。どういう経緯でこの6両だけを製作したのか,また,機関車の製造から手を引いてしまったのか興味は尽きません。戦時中に伊那電気鉄道とともに国有化され,以降も伊那松島機関区にあって飯田線で活躍しましたが,1955~60年に5両が近江鉄道に来ました(一部は西武での使用を経て)。残りの1両は1955年に上信電鉄に譲渡され,ボデーをふつうの箱型に載せ換える改造を経て,こちらも保管されています。

近江鉄道資料館
せっかく彦根まで来たので今後の解体予定や譲渡先探しの状況などをお聞きしようと思いましたが,今日は土曜日,担当の車両課のかたは不在でした。そもそもまじめに会話をするならアポを取るべきです。また,知人に輸送費なども聞いてみましたが,いろいろ考えると初期費用だけで百万円台の上のほうはかかりそう,また,保存するとなれば場所や維持費もかかります。最近はクラウドファウンディングという手法もありますが,到底,個人でできるものではなさそうです。そんなこんなで彦根で午後のひと時を過ごし,14:56の電車で再び米原へ向かいます。

夏の土曜日の15:00前,近江ビア電号が準備をしていました @彦根
米原着15:07,今日の近江鉄道紀行はここまでとなります。「1ディスマイルチケット」のおかげでお財布にも優しく,どこの乗継ぎも程よく,楽しい地方私鉄乗りつぶしをすることができました。最後には貴重な電気機関車の写真も撮ることもでき,1day tripとしては充実の内容だと思います。

西武新101系改造の901。車端の優先席はクロスシート @米原
ところで,米原にはもう一つ,鉄道技術総合研究所(JR総研)の施設があり,300Xなどの高速試験車が保管されているのが新幹線からも見えます。観光案内所で尋ねると10分もかからないというので,ここに行ってみることにします。確かに10分もかからない距離ですが,真夏なのでちょっと歩いても汗ダクです。

JR総研の新幹線高速試験車両保存場「300X」の955形,「スター21」の952形,「WIN350」の500系900台が並ぶ
公開日以外は外から眺めるだけですが,普段は人が近づけないし,屋根もあるので保存状態もよいようです。以前,新幹線から見て気になっていたので,とりあえずは満足です。また,保存場の隣はモデルカーやレーシングカーの設計・製作を行う童夢の本社で,ここもいくつかのレーシングカーなどを展示しています。JR総研の帰りにはショウルームに展示されるクルマをガラス越しに見てきました。

童夢のショウルーム
閑話休題,この近辺のJR各駅の駅スタンプはなかなか秀逸な絵柄が多いです。スタンプの絵柄は細かく繊細な方が見栄えがよいですが,今日押した5駅はいずれも合格です。JR西日本ではシャチハタ式の大きなスタンプ機が設置されているので,インクの写りもよく,ずれたり曲がったりすることもなくきれいに押せるのは助かります。ただ,僕の場合はふつうのメモ用紙に押すので,このスタンプ機は用紙のセットに難儀します。この点,彦根(不確か)のようにスタンプ機と裸のスタンプが併設されているのは親切です。

今日訪れたJR5駅のスタンプ
米原~大垣の関ケ原越えは,冬の積雪で新幹線のダイヤ乱れの原因になることが多い区間ですが,伊吹山の麓ののどかな田んぼの中を走るよい景色です。実は僕はここの景色が好きで,今日も敢えて新幹線は使わずに,普通列車で車窓を堪能します。ここは概ね30分ヘッドの運転ですが,土曜の夕方とあって中京地区からの行楽帰りのお客さんで座席はほぼ一杯です。米原ではビールと肴も用意したのですが,かなり遠慮気味に今日の反省会です。

関ケ原から伊吹山を望む @近江長岡~柏原
16:35大垣着,6分の接続で新快速 豊橋ゆきに乗換えです。この列車には金帯の制帽をかぶった運転士が乗込むので珍しく思いましたが,ただの添乗で,JR東海では運輸区の助役や区長も制帽が違うようで驚きでした。また今日は岐阜で花火大会があるようで,浴衣姿のお嬢さんも多く,時間の割には混んでいます。

東海道線5346F @大垣
17:13名古屋着,29分の接続で「のぞみ244号」に乗換えです。指定の席に行けばジュニアと合流,またまた家族旅行に戻ります。ジュニアは京都市内で二条城,嵐山,伏見稲荷などに行ったそうです。高校生にもなると自分で行程を組み立てて観光もしてくるし,親はなくても子は育つです。成果報告などしていれば新横浜はあっという間で,横浜で食事をして帰宅です。ブログ記事では2回に分かれましたが,2泊3日,天気にも恵まれ,今年も楽しい家族旅行でした。(2018.9.22記)