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2019-01

愛知DCフリーきっぷで師走にちょっと愛知旅行・前編

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 昨年(2018年)10~12月,愛知県でデスティネーションキャンペーン(DC)が開催されました。たまたまネットサーフィンしていて見つけたのですが,このDCに関連して「愛知DCフリーきっぷ」が発売されました。日頃は生意気盛りのジュニアにこのきっぷを使ってどこか行くかと訊くと珍しくYesと言います。師走の繁多ななかではありますが,12月22日~23日(土~日)にちょっと愛知県を旅行してきました。

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「愛知DCフリーきっぷ」

 先ずこの「愛知DCフリーきっぷ」ですが,愛知県内のJR東海のほか,名鉄などの県内の私鉄が2日間乗り放題で4,000円です。ただし,愛知県内に宿泊するパッケージ商品か,新幹線のインターネットサービスのエクスプレス予約の早特商品を利用することが条件です。関東地方では群馬や茨城で週末限定ですが同様の商品が条件なしで1日2000円で売られていることを考えると厳しい条件です。アンチJR東海の僕から見ると,JR東海を儲けさせるだけのような気もしてきます。

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「愛知DCフリーきっぷ」の案内台紙

 出発は12月22日(土),新横浜9:32の「のぞみ161号」です。1時間半かからずに10:54には名古屋に着きます。ここでEX予約の「ご利用票」を見せて,フリーきっぷを購入します。「ご利用票」には早特の表示はどこにもなく,窓口氏によれば,金額を見て早特適用かどうか判定するそうです。

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先ずは近鉄電車で桑名へ @桑名 2018.12.22(以下全て同じ)

 今日の行程は基本的にジュニアにお任せです。親に似て天邪鬼なのか,愛知DCのフリーきっぷなのに先ずは三重県に行きたいと言います。近鉄名古屋駅に行くとぼつぼつの時間で松阪ゆきの急行があるので,この列車に乗ります。電車は2626,最近は関東でも東武のTJライナー,西武のSトレインなどに採用されるロングシート,クロスシート転換タイプのL/Cカー(改造車)です。

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桑名からの戻りはJR関西線で @桑名

 軽く桑名を往復すると時間はお昼どきです。名古屋駅名物の「住よし」のきしめんスタンドに寄り,腹ごしらえです。ちょうど行ったのが,「しなの」と「ひだ」の出る長距離列車ホームだったこともあり,きしめんスタンドは大盛況でした。

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名古屋駅「住よし」のきしめんスタンド

 次にどこに行くかと問えば,今度はまたしても愛知県外の岐阜です。名鉄名古屋駅に着いたらさっそく名鉄の冊子の全線時刻表を求めます。改札口の駅員氏に訊ねると,品切れ,ここ何年も作っていませんと。今日明日と名鉄電車にはたくさんお世話になるはずなのに,時刻表なしでは計画がたてられず,がっかりです。窓口の駅係員はしっかり時刻表を見ていましたが,どうやら2011年以来発行されていないようです。僕の地元の京急では毎年のダイヤ改正の度に時刻表が発売されるので,名鉄のように広い路線網があるのに時刻表がないとは信じられません。なお,名鉄の各駅でもポケット版の発車時刻表は置いてあるのですが,列車として一覧したいニーズには応えられません。ところ変われば文化も変わるというか,名古屋は車文化が発達していて鉄道のほうは時刻表を作るだけの需要がないということのようです。

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名鉄の路線図。時刻表を買うまでの繋ぎにこの1枚を印刷して家から持参したのですが,これがなければお手上げでした

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名鉄岐阜で。今日明日は名鉄電車にはたくさんお世話になりそう

 ホームに行けば特急岐阜ゆきがちょうど出るところで,この列車に飛び乗ります。ジュニアにとっては初めての名鉄電車,40分弱で岐阜に着きます。岐阜もジュニアにはあまり縁のない街で,今日は時間もあるので少し街歩きをします。僕としては金華山(岐阜城)がお薦めなのですが,そんな遠くまで行けないというので,駅近くの金(こがね)神社に詣ります。

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岐阜駅前の金の信長公と金神社。まことに金の好きな街です

 金神社に着くと隣りの公園には名鉄の丸窓電車モ510形が静態保存されていました。この電車は1926年に当時の美濃電気軌道が導入したものですが,名鉄に継承され,岐阜地区の600V電化の各線区が廃止された2005年まで現役で走り続けた長寿の電車でした。戸袋窓の形から丸窓電車と親しまれ,名鉄も部品確保に苦労しながらも稼働状態を維持してきたそうです。

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金公園に保存される丸窓電車。厳重に金網で囲われていますが,傷みは激しい様子

 岐阜駅に戻り次は14:15のJRで鵜沼を目指します。ここは高山本線ですが,美濃太田までは岐阜の近郊路線のようで30分に1本は列車があります。車両はキハ25ですが,JR東海の標準車体?で,見た目は313系電車と変わりありません。おでこの前照灯がないのが一目で分かる違いですが,街の明かりの少ないローカル線を走ることでもあり,そんなところを差別しないでもよいではないかと思います。走りだせば,頂上に天守を載せた金華山が左手に見えます。一度登ってみたいと思っているのですが,なかなか機会に恵まれません。

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岐阜~鵜沼はJRの気動車で @岐阜

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車窓左手には金華山(329m)がそびえる @長森付近

 途中,蘇原では「ひだ10号」と交換します。キハ85は,登場直後の「ひだ」に乗りましたが,舶来の強馬力エンジンで電車並みの加速性能とよい展望が印象の気動車でした。登場から今年で30年,後継車の開発もリリースされたので,今のうちに乗っておきたい車両の一つです。

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30D「ひだ10号」 @蘇原

 30分もかからず14:41鵜沼着。さてこれからどうするのかと思えば,ジュニアはちょっと岐阜らしい景色のところで写真を撮りたいと。道々の車窓を見ていたか,ネットで情報を仕入れたか分かりませんが,名鉄で1駅戻って,鵜沼宿に行こうと言います。

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名鉄各務ヶ原線の電車 @羽場~鵜沼宿

 鵜沼宿で列車を降り線路沿いに歩いて行くと,確かに写真を撮りやすそうな畑が広がっています。しかも,ここはすぐ横をJR高山本線が通っているので,名鉄と2線掛持ちができます。天気はあいにくの曇り空ですが,なかなかうまい場所を見つけるものだと感心です。

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高山本線のローカル列車 @鵜沼~各務ヶ原

 冬場で畑作はお休みのところと近郊農業の野菜の畑が混在しますが,ジュニアいわくは作物のある畑が岐阜らしくて良いそうです。白い柵が目障りですが,株か大根の畑の写真もアップしておきます。

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またまた名鉄各務ヶ原線 @鵜沼宿~羽場

 ここで約1時間を過ごしますが,途中には「ひだ」も来て,写材には事欠きません。陽が出ていればほぼ順光なので,曇り空だけが残念です。

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「ひだ12号」 @鵜沼~各務ヶ原。準備ができていなくて追いかけです...

 16:00前,陽もおちてきたので,一通りの写真を撮り満足して鵜沼宿の駅に引上げます。ここからは名鉄で名古屋に帰りますがちょっと寄り道です。犬山で降りて,既に閉園時刻後ですが明治村の玄関まで岐阜バスで往復します。

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山~明治村間の岐阜バス @犬山駅。「休憩中」の方向幕表示がおもしろい

 このフリーきっぷを知った時から明治村に行きたいと思ったのですが,ここは広大な野外博物館,見るなら1日がかりと分かったので今回は諦めたのでした。それを知ってのお慰めと,フリーきっぷで岐阜バスに乗りたいという希望からの小1時間のバスの旅です。

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名鉄の空港特急 @中部国際空港

 犬山から名古屋に戻っても未だ18:00です。ホテルに入ってもすることがないので,今度は中部国際空港・セントレアに行くことにします。電車は急行河和ゆきなので,太田川で常滑線の特急に乗換え,空港着は18:36です。せっかくの空港なので,展望デッキに出て外を眺めます。ここは海の上の吹きさらしなので強烈に寒く,長居はできません。カメラの電池もパワーがなくなってきたので,数枚の空港夜景の写真を撮って引上げです。

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セントレア夜景

 ところで,今日の夕食は何にしようか?名古屋といえば,ひつまぶし,エビフライ,みそカツ,コーチンと名物はたくさんあります。ジュニアに問えば「矢場とん」のみそかつが食べたいと言います。「矢場とん」なら,名古屋の地下街や名鉄百貨店にあるのですが,調べるとセントレアの空港ビル内にもあるようです。いろいろ見ているうちに,今夜は時間もあるから矢場町の本店に行こうということになりました。

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「矢場とん」のみそかつ定食と本店ビル。余計なものも写っていますが悪しからず

 名古屋の中心部に戻り,地下鉄で矢場町に出ます。「矢場とん」の矢場は固有名詞とは思っていましたが,本店が矢場町にあるからなのですね。知りませんでした。20:00ちょうど頃にお店に着くと,カウンターなら即案内できますと言うので,そこに落ち着きます。大量の八丁味噌だれの中にかつが浮いている感じの本場のみそかつで大満足です。名古屋城を見て,名鉄のローカル線に乗って...明日の作戦をたてながら,名古屋駅前のホテルに着き,愛知DCフリーきっぷの旅1日目は無事終了です。(後編に続く)(2019.1.6記)
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東海道徒歩き(かちあるき)(8)見附宿~吉田宿

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 新年明けましておめでとうございます。本年も「のりもの大好き」ブログをよろしくお願いいたします。
 さて今日は新年特大号という訳ではありませんが,写真も文も少し多めで,(2018年)11月16日(金)~17日(土)に歩いた東海道徒歩き第8回,見附宿~吉田宿をお届けします。天気が悪かったりしてなかなか思いどおりにはゆかないのですが,東海道徒歩きは気候の良い春と秋の年2回を基本に考えています。この秋は3連休が何度もあったのに計画が遅れて,11月16日(金)は会社を休んで徒歩きをしました。

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往路の列車3本まとめて。根岸線 463A @磯子,東海道本線 321M @小田原,同 741M @三島 2018.11.16(以下同じ)

 11月16日,出発は自宅最寄りの磯子を5:35の根岸線です。もう少し遅い6:12を予定していたのですが,なぜか4:30過ぎに目が醒めてしまい,なかなか寝付けなかったので30分繰上げての出発です。前回の掛川への移動もこの列車でした。大船から321MでJR東海の管内まで直通しますが,今日は平日ダイヤなのでモーニングライナーへの接続はありません。三島からは島田ゆきの741Mに乗りますが,この列車は静岡で1本前を走っていた739Mに追いつきます。JR東海の静岡周辺のダイヤはトリッキーな接続が数多くあります。この741Mの場合は3+3(2?)連で静岡まで来て,11分の停車の間に後ろの編成を開放するので,先を急ぐ客のための配慮なのでしょうか。このような事情は時刻表からは読み取れず,その列車に乗らないと分かりません。

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東海道本線5052レ。すれ違いざまの前面展望ですがまずまずの出来? @掛川~愛野

 これまた前回の経験からこのあたりの時刻に上りの貨物列車があったはずと構えていると,案の定,EF210牽引の貨物列車とすれ違いました。5月に撮った時はEF66だったので,EF66→EF210の置換えは確実に進んでいるようです。そんなことでバタバタしていて,静岡~磐田間に乗った739Mは写真を撮りそこねました。

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磐田駅の旧跨線橋の支柱

 9:36,磯子から4時間がかりで磐田着です。そろそろ新幹線を使いたくなる距離ですが,今回は往復とも在来線です。磐田駅に着いてホームを歩いているとたまたま「鉄道院」の銘が入った古い跨線橋の柱が目に留まりました。昭和61年まで使われていた先代の跨線橋の支柱は明治44年製だそうで,懇切な説明板と共に保存されているのが嬉しいです。駅を出ると駅前の大クスノキの前では遠足の幼稚園児が記念撮影をしています。

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磐田の大クスノキと遠足の園児

 前回の終点は見附宿本陣跡あたりですが,そこから駅に行く途中に東海道のルートを随分歩いたので,今日のスタートをどこにするかが悩ましいです。駅前のバスターミナルを覗き,スタートは市役所前と見定めてバスに乗ります。市役所前バス停で降りるとまだ戻り足りないようなので,もう1停留所,南高校の先まで歩いて戻ります。結局,またその道を戻るので時間も惜しいし,ばかばかしくなって,明らかに憶えのある郵便局まで戻ったところで今日のスタートとします。郵便局の横には見附名所の見附小学校をかたどった公衆便所があり,これが見附宿らしいので満足です。

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郵便局前の公衆便所。見附小学校のミニチュアが楽しい。前回も写真を載せたが反対側から見たもの

 見附宿~磐田というと今はサッカーの盛んな所との印象が強いですが,実は歴史のある街のようです。通りの右側には遠江国分寺跡という門柱があります。聖武天皇の天平年間はここが遠江の中心だったのかもしれません。

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遠江国分寺跡の入り口

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「大正時代の中泉」の案内板

 さらに歩を進めると「大正時代の中泉」という案内板があり,それによれば中泉軌道という鉄道も走っていたようです。磐田駅が見えるあたりまで戻って右折し,天竜川のほうを目指します。今年の夏には飯田線で天竜川はさんざん見ましたが,この辺の天竜川は川幅も広く第1級の川です。川にかかる道路橋も十数連のトラス鉄橋です。徒歩きルートしてはトラス鉄橋の県道261号線が正ですが,この橋は道幅が狭いので自動車専用で,すぐ横にかかる国道1号線のほうの橋を渡ります。

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天竜川にかかる県道261号線のトラス橋

 橋を渡ると浜松市で,この辺は中野町です。ここ中野町にも浜松からの軽便鉄道が走っていたようで,案内板には駅の跡などが記されています。中野町は橋がなかった頃は交通の結節点で,明治天皇玉座跡の碑などもたっています。また,浜松市の側から見るとここは東のはずれで都市化されておらず,明治の頃の建物がそこここに残っています。

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天竜川橋紀功碑。町の家も旧街道のたたずまい

 中野町から浜松市中心部への道は県道314~312号線になります。片側1車線のふつうの県道ですが,郵便局が目につくのは旧街道の証左です。以前は旅先の郵便局で貯金をし,取扱局印を集めていました。最近は郵便局の窓口の混雑がひどく1局寄ると10分くらいかかる,土曜日に取扱いをしなくなったなどの理由で旅行貯金は低調です。それでも郵便局巡りの癖は残っていて,貯金はしなくても,郵便局を見ると写真を撮りたくなります。

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今日見かけた郵便局まとめて4局。浜松橋羽(はしわ)郵便局,浜松植松郵便局,浜松連尺郵便局,篠原郵便局

 郵便局以外にも,ところどころに並木の松が残っていたりして,見る者が見れば旧街道を感じる県道です。ところで,今歩いている見附宿~浜松宿ですが14.5kmもあり,東海道の1区間としては長い方で,少々飽きてきます。

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この辺の旧街道は現在は県道312号線。浜松市天竜川町あたりで

 浜松の市街が近づくと道路は今度は国道152号線になります。国道152号線というと茅野~高遠間の杖突峠や「塩の道」の秋葉街道も国道152号線で,その起点は長野県上田市です。なんでそんな道が東海道?という気もしますが,僕にとっては馴染み深い国道です。

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浜松アクトタワーを目標に進む。ここは国道152号線

 浜松の中心部に着くと時間は13:30過ぎ,いい時間なので昼食にします。浜松は鰻で有名な街,今夜の宿も浜松ですが,夜は高そうなので今のうちに鰻料理を食べることにします。ネットで調べると旧街道の近くにも盛り場がありそうなので,その中で気に入った店を見つけて,ひつまぶしをいただきました。

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お昼は浜松市内でひつまぶし

 食事の時に飲んだビールの酔い醒ましに遠鉄電車の写真を撮ったりしてゆっくりし,14:00過ぎに今日の後半戦,舞阪宿への徒歩きスタートです。ここのラップも長く11.1㎞あります。浜松市街の中心部を左に曲がると旧街道は今度は国道257号線になります。この道もところどころに並木の松が残っています。浜松駅から舞阪駅近くの馬郡までは遠鉄バスが日中20分間隔で走っているので,久しぶりにバスを入れての写真も増えます。

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加美あたりか。遠鉄バスと松並木の名残

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こちらは増楽郵便局。当地では歩きの小学生もヘルメットをかぶるようです

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高塚駅近くで。国道257号線でもしっかり「東海道」の標識が

 この辺りはJRの線路も並行していて高塚駅も近いので,ちょっと回り道して駅に寄ります。目的はスタンプですが,高塚駅は15:30~15:45は休憩時間で窓口は閉まっています。陽も傾きかけてきたので,残念ですがここは写真だけで先を急ぐことにします。

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高塚駅。改築されたばかりのようできれいな駅舎だ

 再び国道に戻り歩を進めると,篠原町に至ります。ここは交番の前が一里塚跡で,もともと交通の要衝のようです。また,道路の方は再び県道になり,今度は316号線です。

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篠原町で。交番と一里塚跡

 また,この辺りは国道とJRの線路が接近していて,踏切が鳴っているので,写真を撮りに行きます。ちょうど来たのが桃太郎牽引の貨物列車で,思わぬ拾いものをしました。

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東海道本線1072レ @舞阪~高塚

 JRの駅でいうと舞阪駅のあたりが馬郡で,バスは馬郡ゆきとして走っています。

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県道316号線を行く遠鉄バス

 バスが20分間隔なのであちこちでこんな写真を撮っているうちに短い秋の陽は落ちてきました。舞阪駅を通り過ぎると旧街道は国道と合流し,今度は国道301号線となります。舞阪~弁天島間は松並木が随分残っていて,旧街道の風情が楽しめるのですが,今日は寄り道をし過ぎて,完全に陽が落ちてしまいました。

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舞阪~弁天島の松並木

 この道は国道301号線ですが,歩道橋の表記は1号線のままです。なんでも浜松市が管理するエリアでは国道番号の修正作業が進んでいないそうで,正しい国道番号の標識が1か所もないそうです(Wikipediaによる)。露出の加減で写真ではまだ明るく見えますが,実際は殆ど夜です。この辺りは浜名湖が太平洋に向けて開けたあたりで,細い砂州のうえを国道と東海道本線,新幹線が寄り添っています。列車の写真は撮れないので,明日に向けて撮影地のサーベイをしながら歩きます。手許の地図によれば,弁天島の駅前が舞阪宿の本陣跡のようで今日の行程はここまでとします。

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今日のゴール弁天島駅まであとわずか

 弁天島から電車に乗れば浜松までは13分です。ホテルにチェックイン後は,昼間にサーベイしておいた安くてうまそうな居酒屋で夕食にします。時間はまだ早いので外出ついでに銭湯へ行き,旅の疲れを癒します。

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ホテルの風呂は狭いので今夜は銭湯に浸かる。巴湯

 翌17日(土)はホテルの朝食も早々に,7:00過ぎの電車で出発です。泊まったホテルは浜松駅から歩いても7,8分ですが,僕の徒歩きは沿線の私鉄を大事にしているので,遠鉄にも敬意を表します。第一通りから新浜松まで0.5㎞,1分ですが電車にも乗りました。というのも遠鉄の浜松中心部は高架になっていて,外からではなかなか写真が撮りづらいのです。

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遠鉄の電車。1000形のトップナンバーがやってきた @第一通り 2018.11.17(以下同じ)

 浜松からは昨日のルートを東海道線の電車で下り,7:30過ぎに弁天島駅に着きます。東海道,舞阪宿の先は4.6kmで新井宿,その先も6.8kmで白須賀宿,5.9㎞で二川宿,7.7kmで吉田宿と昨日と同じ約25㎞の間に倍の4区間があります。途中で切上げるのもやり易いですが,目標としては吉田宿(豊橋)を目指します。

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第3浜名湖橋梁を行く新幹線,東京側から。追いかけですみません

 昨日の最後にも書きましたが,この辺は国道,東海道本線,新幹線が寄り添って走り,バックの浜名湖もきれいで絵になる区間です。東海道新幹線の写真の1番は富士山をバックにした富士川橋梁ですが,浜名湖をバックにした新幹線はそれに次ぐくらいよく目にします。という訳で,先は長いのに朝から鉄ちゃんで大道草です。インターネットでサーベイすると在来線も新幹線も第3浜名湖橋梁が良いようです。

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東海道本線920M @第3浜名湖橋梁東京側

 ここは足場もよく,高頻度の新幹線とたまにしか列車の来ない東海道本線の掛持ちができます。と呑気に構えていたら在来線の上り電車の時刻を見逃しそうになりました。本当はもう少し高い位置まで上って撮るつもりだったのですが,間に合わず,足回りが橋桁の陰の失敗作です。僕は知らなかったのですが,この920Mは373系使用で逃した魚は大きかったです。

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東海道本線5052レ @第3浜名湖橋梁東京側

 これに懲りて貨物列車の時は十分に準備をして臨み,それで撮ったのが上の作です。少々トリミングしていますがまずまず会心の作です。この後の貨物列車は下りなので,場所を変えて,この鉄橋の反対側に行きます。こちら側は足場が悪いので,もう少し下って浜名湖ボートレース場へ行く陸橋から在来線,新幹線を狙います。こちら側はお顔に陽があたらず本来は午後向きの撮影地ですが,それまで待ってはいられないのでここで何本か写真を撮ります。

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東海道本線5087レ(?) @第3浜名湖橋梁名古屋側

 長大な貨物列車の後ろが入らないのが残念ですが,穏やかな浜名湖も入り,なかなかの場所です。新幹線の方は厳重な金網があって,1眼レフでは写真が撮りづらいです。今回は僕は徒歩き用の小さいほうのコンパクトデジカメなので金網の目の間からで下の写真を撮ることができました。悪質なマニアがいるようで,金網を破いた補修跡があるのは悲しいことです。なお,この場所はボートレース場への陸橋上なので,ひっきりなしに車が通り,轢かれないよう注意も必要です。

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浜名湖を背景に。東海道新幹線N700系。反逆光だけど流線型の新幹線ではあまり関係ない @第3浜名湖橋梁名古屋側

 橋の両側で1時間以上鉄ちゃんをし,成果もそこそこ得られたので,徒歩きに戻ります。道路に戻るとドラッグストアがあるので飲食物を補充,新居町の駅ではスタンプを押しますが,基本的には先を急ぐモードです。新居町駅の先には新居の関所跡が復元されて観光施設になっています。徒歩きの旅人としては是非とも見学したい場所ですが,今日はたっぷり道草を食っているので,写真を撮るだけで素通りです。

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新居関所跡。ここは東海道本線の車窓からも見える

 今回の徒歩きの行程のうち,昨日の浜松,舞阪は今一つ本陣跡がはっきりしませんでした--というか見逃しました--が,新居宿は本陣跡にそれと分かる石柱が立っていました。ちなみにここは湖西市で,国道の整備を国が行うため,しっかり301号線の標識が建っています。

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新居宿本陣跡

 東海道で新居宿の次は白須賀宿です。東海道本線は浜名湖の湖岸を北西に進むのに対し,旧街道は海岸に沿って西進します。明治の技術では途中にある潮見坂を登れなかったのか,宿場の人たちが汽車の煙を忌避したのか,理由は分かりませんが東海道本線の鷲津駅とは随分離れたルートになっています。このあたりの旧街道は国道1号線でも県道417号線でもないただの道?です。車も少なく,松並木が延々ときれいに残っていて,徒歩きとしてはとても気持ちのよいところです。

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新居~白須賀への旧街道。このあたりではスズキの車が多いのは気のせいか

 松並木を抜けると旧街道の雰囲気の漂う街並みに入ってゆきます。行政の力や法律で残る景観保存地区もよいですが,僕としてはこのように自然に古い町並みが残っている方が好もしく思います。土曜日の昼前ですが恐ろしく静かな町です。

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白須賀宿の入口あたりの街並み。景観保存地区ではなさそうだが古い家が多い

 天気もよいし,街並みも旧街道らしく,楽しいタウンウォーキングを続けます。旧街道は針路を北西にとると汐見坂という上り坂があり,坂を登りきるとおんやど白須賀なる休憩施設があります。その近くの展望台からは太平洋を見ることができ,大海原が陽射しを受けて銀色に輝いています。つい先日買ったお茶漬け海苔のおまけで出てきた東海道五十三次カードがたまたま白須賀汐見阪の図で,この構図は江戸の昔からのもののようです。

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白須賀の台地から太平洋を望む

 白須賀宿の中心部は県道173号線ですが,自動車がすれ違うのにも苦労するような細い道です。そんな道でも歴史のある道なので,左側には郵便局,右側に本陣跡と宿場町らしいものが次々に出てきます。

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白須賀郵便局

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白須賀宿本陣跡

 白須賀宿の出口のあたりには境宿という道標がたっています。この石造りの夢舞台東海道の道標ですが箱根を越えたところから何十本と見てきた静岡県の案内で,多分これが最後と思われます。

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静岡県内の「夢舞台東海道」の案内標もこれが最後

 境宿の先で旧街道は県道173号線の新道と合流し,その先では国道1号線と合流します。この県道173号線の区間に短い橋が架かっていますが,橋の名は境橋,橋を越えると愛知県です。箱根を越えたのが2015年9月21日だったので,静岡県を踏破するのに3年以上かかってしまいました。

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静岡~愛知県境の境橋と愛知県・豊橋市の看板

 県境の少し先からは片側2車線の国道1号線ですが,周囲は近郊農業のキャベツ畑です。太陽光発電のエネルギーファームの向こうには雪を頂いた富士山も見えています。ところで11月の徒歩きですが,陽が短いのが難点ですが,ふつうの格好で歩けるのでとても気持ちよいです。暑いシーズンだと日焼け止めを塗ったうえに敢えて長袖のパーカーを羽織り,1日に5本くらいの飲み物を飲んでと,暑さ対策と水分補給が大変ですが,この心配がないのは助かります。

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エネルギーファームの向こうには富士山が

 秋の穏やかな陽射しの中を国道1号線を歩いて行きます。国道1号線を歩く場合,日本橋起点のキロポストが100m刻みで立つので,励みになります。あまり目立つもののない道ですが,286㎞の地点には「286km0」と書かれた超特大のキロポスト?の歩道橋があり笑いを誘います。キロポスト以外に何の意味があってこんなところに歩道橋がと思っていたら,裏側にバス停があり,バスの乗降の便のためのようです。ところがこのバス停,豊橋市のはずれのため運行は平日のみ1日に1本です。

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286㎞のキロポスト上にある歩道橋とその近くのバス停

 道路は幹線道路ですが周囲はキャベツ畑が広がり,のどかな景色です。しばらく行くと新居宿で分かれた新幹線が寄り沿うようになります。

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秋晴れのキャベツ畑を新幹線と共に歩く

 国道1号線と新幹線が接するほどに近づいたところで旧街道はガードをくぐり,新幹線の北側に出ます。新幹線の先で今度は踏切を渡り,東海道本線の北側に出ます。ここの踏切でまた鉄ちゃんをしますが,たまたま来た列車は373系の回送列車,朝は373系で失敗をしたので,ここでリベンジです。

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二川の手前の踏切で。この回送はどういうスジなのだろう

 踏切を渡ると旧街道は線路と並行して,二川駅を目指します。この道は県道404号線ですが,相変わらず細い道です。それでも「東海道」の標識が建っているのは嬉しいです。踏切から二川駅までは二川宿の中心部で,本陣資料館をはじめとして旧宿場町の街並みが楽しめます。

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「東海道」の標識の建つ細い県道の横を東海道本線の電車が走る

 13:30とお昼時なので,江戸屋長左エ門なる食事処に飛び込み,遠州灘の刺身定食をいただきます。二川宿から吉田宿までは7.7km,今回のゴールも見えてきたので,食後の休憩などでゆっくりします。

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二川宿本陣跡は資料館になっている

 食事処を出ても宿場町の街並みはしばらく続きます。そろいの暖簾など町内会が一体となった取組みも盛んなようです。二川は町並みの保存状態もよく,本陣跡は資料館となっており,駅からも近いので,徒歩きではなく旧街道を観光するのであればお薦めの宿場と思います。

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東海道本線1070レ @豊橋~二川

 二川宿を出ると旧街道は東海道線の線路よりだいぶ北側を進むようになります。今日はこれが最後とばかりに旧街道と線路が離れる地点の近くで鉄ちゃんをします。今度も反逆光でお顔に陽があたっていませんが,まあこんなもんでしょうという写真を撮って満足します。

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道を間違って迷い込んだ自衛隊の高山射撃場

 線路と別れ高台の方に登ると多数の無線アンテナが建つ岩屋緑地になります。緑地の出口のところで道を間違えてしまい,本来のルートより東へ進むと自衛隊の高山射撃場に行き当たりました。たまたま昨晩のニュースで,自衛隊の演習場で誤射した砲弾の破片が近くを走っていた軽トラに当たったと報道していました。思わずここは大丈夫だろうなと訝ってしまいます。

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東八町近くには木戸のモニュメントが
 
 道の間違いに気づくまでに時間がかかったので40分くらいロスしてしまいましたが,ようやく豊橋市内の中心部にやってきました。豊橋は市電の残る街,東八町の交差点で何本かの電車の写真を撮ります。16:30前ですが陽も傾いてきたので,先を急ぐことにします。

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豊橋鉄道モ781。特徴ある車号が元名鉄をものがたる @東八町

 今日の帰りはできれば17:02の972Mと予定していたので,段々時間がなくなってきます。ビルの影が濃くなった街の中をせっせと歩きます。札木の電停横を渡ると立派な鰻料理店と吉田宿本陣跡の標石があります。持参の地図ではルートはもう少し続くのですが,本陣まで来たので今日はここまでとし,札木から電車で駅へ急ぎます。

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吉田宿本陣跡。今は立派な鰻料理屋になっている

 豊橋駅に着くと,きっぷを買って,たちまちの晩酌の酒肴と家への土産の竹輪を買ってと大忙しです。それでも札木から電車を使ったのが奏功して,予定の17:02の972Mに乗ることができました。このあとは浜松,沼津乗換えで東海道線を上る帰宅の旅です。沼津での接続が悪く,30分以上の時間があるので,駅前のファーストフード店とコンビニで夕食と食後酒を仕入れます。また,沼津からの336M~1652Eは日付が変わった0:29までかかって宇都宮まで235.9kmを走る長距離鈍行列車です。

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帰りの列車4本まとめて。東海道本線972M @浜松,同828M @浜松,同336M~1652E @沼津,根岸線 2218A @大船

 大船で根岸線に乗換え,自宅最寄りの磯子駅には22:29に着きます。東海道徒歩き,その8も無事完遂です。今回もお天気に恵まれ楽しい徒歩きでした。次回は来年の春に名古屋への道を歩きます。吉田宿(豊橋)~宮宿(名古屋)は63.8kmあり,名鉄の線路とも並行しているので,多数の寄り道が想定されます。1回で宮宿までたどり着けるか微妙ですが,気長に歩いてゆこうと思います。

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今回のルート(札木~駅前の電車も記録)
(2018.12.15記)

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>>>東海道徒歩き(かちあるき)(3)藤沢宿~小田原宿
>>>東海道徒歩き(かちあるき)(4)小田原宿~三島宿
>>>東海道徒歩き(かちあるき)(5)三島宿~江尻宿
>>>東海道徒歩き(かちあるき)(6)江尻宿~日坂宿
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