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2019-08

2019年初夏のアクティビティ/近場での写真撮り2題・京急800と箱根登山103-107の引退

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 この6月~7月は近場の神奈川県内に何度か列車の写真を撮り(鉄ちゃん)に出かけました。今日はその時の成果を2つまとめてアップします。

1.6月16日(日)京急「800形ありがとう号」
 6月16日はわが家の近くを走る京急の800形のラストランの写真撮りに出かけてきました。京急800形は1978(昭和53)年~1986(昭和61)年に製作された18m4扉,界磁チョッパ制御の電車です。古くは川崎~逗子間の急行にも運用されましたが,近年は専ら普通列車に運用されました(僅かに2002年頃の空港線系統の特急など優等列車の運用もあったそうです)。前面のイメージから「だるま」の愛称で親しまれていましたが,今般6月16日のさよなら列車をもって運行を終了することになりました。扉が片引きなのは京急のポリシーなので仕方ないとして,最高速度が100km/hであることと4つ扉であることから使いづらかったのでしょう。とくに最近はホームドアの設置が進み,他の車両とドア位置が異なるのは致命的に不便です。まだ使えそうではありますが,今のところ譲渡先もないようです。

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たくさんのマニアに見送られて @屏風浦 2019.6.16(特記あるもののほか以下同じ)

 800形の座席は扉間6人掛け,運転席後ろ2人,車端3人掛けですが,どこもキツキツでした。また冷房が8,000Kcal×4台で非力のうえにドアの真上にあるため冷えないときて,乗る身からすればあまり良いことはありませんでした。そうは言っても,リバイバル塗装にさよなら記念乗車券,最後はラストラン列車とくると写真くらいは撮っておこうという気になります。ジュニアは800形にご執心で,ここ3か月くらい運用を調べては追いかけ回していたようです。

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ラストラン列車を送るつもりで,「追いかけ」です @屏風浦

 ところでこの800形のリバイバル塗装の823編成ですが,前回アップした5月25,26日にも見ていました。どちらもあわてて撮ったもので,スナップ未満です。

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5/25横浜駅で,5/26八丁畷駅で

 せっかくの機会なので最終日の800形のちゃんとした写真も載せておきます。

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800形ラストラン貸切列車 @屏風浦(写真:ジュニア)

 この日はカメラを持出したついでに,近所で少し鉄ちゃんしてみました。去年のダイヤ改正以降,都営地下鉄車が京急線内に閉じ込められる運用が1つできました。たまたまその列車(940T)が来ました。

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京急線内の急行運用に就く都営5300形 @屏風浦第1踏切

 もう暫く粘っていると青い2100が来たので,それも載せておきます。マルちゃんのQTTAの広告とヘッドマーク(シール)付きです。側面の広告はいまいちですが,前面のヘッドマークはサマになっています。

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京急ブルースカイトレイン2133F @屏風浦第1踏切

2.7月7日(日)箱根登山鉄道あじさい電車と103-107ラストラン
 箱根登山鉄道は沿線にあじさいが多く,梅雨の時期になるとあじさい電車を走らせます。以前から一度写真を撮りに行きたいと思っていましたが,今年は6月22,23日の週末も29,30日の週末も7月6日も雨です。情報収集しているうちに,モハ1形の103-107の編成が7月19日で引退と知り,いよいよもって時間がなくなってきました。次の3連休は予定があるので,7月7日はお天気は曇りがちですが箱根まで一っ走り鉄ちゃんに行ってきました。今回は珍しく足はわが家の愛車のプリ子(NHW20のプリウス)です。

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到着後最初に来た列車は104ほかの3連 @二ノ平踏切 2019.7.7(以下同じ)

 箱根登山鉄道のあじさいはほぼ全線にわたってあるようですが,どこで撮るのが良いのかさっぱり分かりません。また,今日は足がプリ子なので,安心して置ける駐車場所の確保も必要です。そんな訳でひと先ず彫刻の森美術館の駐車場に入れて,その近くで撮影地を探すことにします。最初に行った彫刻の森駅前の二ノ平踏切が気に入ったので,ここでの撮影と決めます。

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緑色の109ほかの3連 @彫刻の森~小涌谷

 ここは彫刻の森の駅から美術館へのルート上に位置するため,ふつうの観光のお客さんも多く,踏切が鳴ると,急にカメラを構えて飛び出してくることがあります。上の104の写真もそうで,いきなり傘ごと割込まれました。良識ある鉄道趣味者としてはどけとも言えず,むしろ鉄道マニア同志のほうが先着優先の暗黙の了解があってくみし易いです。

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2000形+3000形 @小涌谷~彫刻の森

 二ノ平踏切は小涌谷方にあじさいの株が多数あるのに対し,彫刻の森方はすぐ先が駅でいまいちです。線路の谷側には線路に沿って小涌谷方面へくだる道があるので,この道を歩いてゆきます。途中のカーブのここは...という所は大きなカメラを持った先客が構えているので,パスします。この辺の撮影スポットは定員2,3名の狭いところが多いです。

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上と同じ電車,新鋭3000形を先頭に @彫刻の森~小涌谷

 途中,線路脇が広くなった保線の作業場所のようなエリアがありますが,ここでは線路内に立ち入らずに写真を撮るのは難しそうです。更に道をくだって行くと牛乳屋踏切という人道の小さな踏切があります。この踏切の近所でも,あじさいを入れた写真を撮ることができます。

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1000形3両編成(レーティッシュ塗装) @二ノ平踏切

 彫刻の森美術館の駐車場は美術館の観覧なしの場合,1時間500円です。線路に並行したこの道路は広くはありませんが,交差点の近くなど所どころが多少広くなっていて,交通を妨げずに車が置けます。駐車料金節約のため,プリ子をここに移動して,もうしばらく撮影を続けます。

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2000形+3000形 @二ノ平踏切

 箱根登山鉄道の電車はどれも赤系統の色をしていて,提携先のスイスのレーティッシュ鉄道の塗色をまとった編成がいくつかあります。もともと編成数も多くないので,どれが標準でどれが特殊なのかいまいち分からないです。

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2000形3連(氷河急行塗装)。右の赤いオブジェは彫刻の森の屋外展示 @彫刻の森~小涌谷

 ところでもうじき引退の103-107編成ですが,今日はプレ・ラストランの団体列車として走るそうで,14:30過ぎに登ってくることが分かりました。今日動いていてよかった...なので,この1本はおとす訳にゆきません。来て最初に撮った104他の編成が来ると電車が一巡してしまいますが,103-107が来るまでは粘ります。

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今日稼働中の最後の編成1000形3連 @二ノ平踏切

 ところで103と104ですが,写真での見かけはあまり変わりません。しかし,103の駆動装置はモハ1形オリジナルの吊掛け駆動,104のそれは平行カルダンで,2000年代初めに台車ごと振替えられたものです。今回103-107は廃車になっても,104-106-109の編成は残るようです。夏にクーラーがないのはきついですが,近いうちに104の編成にも乗っておきたいと思います。

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これで見納めの103-107 @二ノ平踏切

 14:35過ぎ,まわりのかたの情報どおり,103-107ラストラン号は登ってきました。折返しの列車も撮りたいところですが,今日は強羅駅でイベントがあるそうで,戻りは16:00過ぎの由です。雨も降ってきたし,腹も減ったので,上の1枚で満足して引き上げることにします。そういえばこの7月7日は伊豆急の生え抜きの100系クモハ103--奇しくも車号も同じ!--もラストランだったそうで,こちらは撮り逃がしてしまいました。(2019.7.21記)
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2019年5月のアクティビティ/近場での写真撮り2題・Y160記念列車とスーパーレールカーゴ

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 この5月は近場の横浜市内に何度か列車の写真を撮り(鉄ちゃん)に出かけました。今日はその時の成果を2つまとめてアップします。

1.5月25日(土)「Y160」記念列車ほか
 毎年5月最後の週末に横浜セントラルタウンフェスティバルが開催されます。このイベントは,市の賑わいの中心がみなとみらいや横浜駅周辺に移るのに危機感を持つ旧市街(馬車道,関内,山下公園通り,横浜中華街,元町・山手)の商店街が横浜開港博Y150の後も続ける街興しのイベントと心得ています。イベントに協賛し,JR東日本横浜支社は毎年凝った記念列車を走らせます。何が凝っているかというと,毎年583系,485系,189系などの引退まじかの車両を使い,走るルートも普段は乗れない貨物線を通るのです。わが家では初年のY151記念列車に乗り,時間の許す限り記念列車の写真を撮っています。
 
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Y160記念列車(の送り込み)。根岸線のヌシE233系と共に @根岸 2019.5.25(特記あるまで以下同じ)

 今年のY160記念列車は185系を使用,25日・土曜日は高島貨物線や羽沢貨物線を通って熱海を往復,26日・日曜日も高島貨物線や羽沢貨物線を通って東田子の浦を往復するものでした。185系も一部に廃車が出始めましたが,まだ来年は残っていそうです。むしろ,183系タイプの国鉄型車両がもうないので起用のようです。横浜界隈では珍しくもないのですが,僕は意外と習慣性が強いので,毎年やっていると今年も...になるのです。

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上の写真のオリジナル。想定は右のイメージ

 毎日,通勤で乗っている根岸線ですが,なかなか絵になる撮影地がありません。考えられる撮影地は大体行ったし,2日限りの臨時列車なので混雑も予想されます。そこで今年は根岸駅での駅撮りにしてみました。「...E233と共に」とそれらしい勿体はつけましたが,実際は大カブリです。6両編成ちょうどで計算していたのですが。

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Y160記念列車 @花月園前踏切

 この列車は貨物線経由でゆっくり走るので,まだ撮れるだろうと後続の根岸線列車で追いかけます。横浜での乗換えの要領が悪く,京急の花月園前駅に着いたのは9:20ごろでした。踏切に行くとあたりに写真を撮る人はいません。列車は石川町を8:39に出た後,桜木町の先から高島貨物線に入り,鶴見に出て,東海道貨物線を浜川崎まで走り,折返して,鶴見に戻ってからまた折返して新鶴見信号場へ行き,またまた折返して羽沢貨物線経由熱海に向かいます。鶴見はつごう3回も通るので,9:30なら十分間に合うと思っていたのです。

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Y160記念列車 @花月園前踏切(上と同じ場所)

 9:40位まで待っても来ないので諦めて,大宮の総合車両センターの公開に行こうと京急線で品川に出ることにします。JRの鶴見駅の方を見ていると,海側の線路にまだ185系が止まっているのが見えます。えらくのんびりしたダイヤだな...と思いつつ,慌てて花月園前に引返します。花月園前を出発するときにSuicaで入場してしまい,このままでは出られないので,一旦,鶴見で出場し,往復266円の大出費です。

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時間つぶしに隣の京急も @花月園前踏切

 携帯で情報収集すると,この列車の鶴見発車は10:14と分かりました。更に20分くらい待ってようやく上の写真を撮ることができました。1本の列車を同じ場所で2カットは邪道かなとは思いましたが,踏切の警報機の入っているものも同じ場所です。とりあえずは満足して引揚げです。明日は貨物列車の写真を撮る予定なので,ロケハン(ロケーションハンティング:もともとはスタジオ外のロケーション撮影の場所を探す映画・TVの業界語らしい)かたがた川崎駅まで歩きます。

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鶴見から川崎への道中で @古市場踏切

 今日の午後は大宮の工場の公開に行くつもりで家を出ましたが,段々面倒臭くなってきます。川崎のスポーツクラブで少し泳いだ後は,帰りもこの近くで鉄ちゃんに予定変更です。最初に来たのは並木踏切,日野車体の工場跡を大規模開発したマンションの横の踏切です。ここでは貨物線は既に高架になっていますが,複々線の広い線路敷で東海道線,京浜東北線がすっきり撮れます。ここの踏切障害検知装置は上から3次元レーザーレーダーで人や車を検知する方式のため列車の足許の邪魔なものがないのが良いです。

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こちらは並木踏切。左上の箱が3Dレーザーレーダーの装置

 数百メートル鶴見方面に下ると今度は古市場踏切があります。こちらは貨物線も渡るので3複線の大きな踏切で,こちらの障害検知装置は在来の光学式です。光線は順光なのですが,段々陽が傾いてきて,建物の影が少々残念です。

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たまたま通りかかった185系の回送

 電車はひっきりなしに来るので写材には困りません。とくに185系や「踊り子」号に思い入れはないのですが,下の2枚を載せておきます。

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8030M「踊り子110号」

 この場所は午後は下り列車が順光で,上り列車はお顔が蔭になってしまいます。

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3008M「スーパービュー踊り子8号」

 251系は4編成しかないバブル世代の電車ですが,新しい伊豆方面のリゾート列車もアナウンスされたので,この先は安泰ではありません。バックの半欠け鉄橋がイマイチですが,251系の写真も撮れたので満足して今日は引揚げです。


2.5月26日(日)「スーパーレールカーゴ(SRC)」と東海道線のフレートライナー
 次は翌26日に行った「スーパーレールカーゴ」と貨物列車の撮影行についてです。「スーパーレールカーゴ(SRC)」とはJR貨物のM250系という貨物電車のことです。ふつう貨物列車は貨車を機関車が牽引しますが,SRCは電車のような電動貨車のユニットを編成両端に配し,中間は付随車の貨車で編成されます。高速性能に優れ,貨物列車で唯一の130km/h運転を行い,東京(貨物ターミナル)~大阪(安治川口)間を6:11で結んでいます。東阪間6:11というのは在来線で最速で,新幹線開業前,東阪間の日帰りを可能にした特急「こだま」でも6:30運転でした。積み荷は全て飛脚の佐川急便のコンテナで「SAGAWA」のヘッドサインを掲げています。

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露払いの2058レ @鶴見駅 2019.5.26(特記あるまで以下同じ)

 かねてからこのSRCの写真を撮りたかったのですが,1日1往復のみ,朝の上りは5:20東京貨物ターミナル着で,陽の長い季節でないと写真が撮れません。1年で最も陽が長いのは夏至の日(今年は6月22日)ですが,この日でも5分程度しか差はありません。この差であれば1日,2日ではなく,ちゃんと陽が射す明るい日であることの方が大事です。

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(参考)横浜の夏至近くの日の出の時刻(Casioのサイトの情報から調製)
夏至よりも何日か早い6/13,14の方が1分弱日の出が早い

 当日は3:40に起きて,わが家最寄りの磯子駅を4:21の始発で出発です。今までにも140円旅行などで早朝の列車は使っていますが,本当の始発のこの列車は滅多に使いません。列車は時間どおり走り4:45鶴見着です。SRCの鶴見通過は5:00過ぎのはずですが,昨日行った古市場踏切まで行けるか微妙です。京浜東北線のホームからでも写真は撮れますが,南行電車とカブるリスクはあります。

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もう1本の露払い64レは大カブり @鶴見駅

 日の出から30分以上経っていますが,ISO800で1/320,f:5(僕のカメラでは開放に近い)程度の露出しか出ません。見るとホームにはもう1人,同好の士がいます。京浜東北線の発車案内を見ると4:57の桜木町ゆきの後は5:10の大船ゆきまでありません。所定の時間ならカブる心配はなさそうですが,大阪から長駆走ってくる貨物列車です,思ったとおりに来てくれますか。

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お目当ての50レ。スーパーレールカーゴ @鶴見駅

 SRCの写真は撮れましたが,まだ東海道線の上り貨物列車のラッシュアワーは続きます。せっかく早起きしたので,昨日ロケハンした古市場踏切へ行き,何本かの貨物列車を鉄ちゃんします。ここは鶴見駅から歩くと20分以上かかりますが,京急電車で1つ北の鶴見市場駅からなら5,6分です。時間がもったいないので,ここは迷わず電車利用です。

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EF210牽引の70レ @古市場踏切

 踏切に着くとちょうど52レが通過するところで,この1本は見送りです。その後の5:47頃通過の1066レから6:57頃通過の66レまで,1時間10分の間に6本の貨物列車を撮ることができました。途中,6:50頃には寝台特急「サンライズ出雲・瀬戸」も通るのですが,スピード感が貨物列車にあっていたためか,失敗してしまいました。

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EF66-100牽引の66レ @古市場踏切

 こうして見ていると妙にEF66が多く,最近はEF210・桃太郎に押されて数を減らしていると思っていたのに実感が湧きません。よくよく調べるとEF66の3,900kWに対し,EF210は3,390kW(EF210には30分定格という仕様もあり3,540kW)と高速かつ重量の東海道のフレートライナーにはEF66の方が適しているのです。ついでにSRCは編成出力で3,520kWで,ほぼ機関車1両分の出力を4両に分散し,プッシュプルで走行性能が高い分だけ高速化が図れているのです。

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隅田川~東京(タ)間のローカル貨物の78レ @八丁畷駅

 今朝は3:40起き,いい加減眠くなってきたので,引揚げです。帰りは旧東海道の八丁畷--八丁のあぜ道--を歩いて,京急の八丁畷駅に出ます。八丁畷駅は知る人ぞ知る面白いつくりで,京急の上下線間の跨線橋がJR南武支線のホームになっています。Suica/Pasmoの普及でJR,私鉄間の改札なし乗換駅は減りましたが,ここは構造上,連絡改札を設けることができません。南武支線のホームに立つと多数のICカードタッチ器があり,不慣れな客は戸惑ってしまいます。手持ちのダイヤを見ると尻手方面から浜川崎方面への貨物列車があるようなので,これを鉄ちゃんします。

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1216は2018年の新製車でいっとき真っ白で走った話題の電車 @八丁畷駅

 帰途に就くべく京急の下りホームに行くと,上り列車が絶好の日の当たり具合です。歩道橋の影が少々目障り,建込んだ住宅の背景はどこでも同じなのですが,カメラを持出したついでに数本の電車を鉄ちゃんします。駅撮りにしては上出来ですが,手前の下り線を通る列車は高架の川崎駅からフルノッチで加速し,地平に降りたところで多分120km/hのトップスピードと思われ,黄色の線の内側でも怖いくらいです。

 この5~6月は節約モードで遠出はせずにいましたが,ちょっとした鉄ちゃん行には出掛けていました。これらの写真のアップの機会がなく残念だったのですが,2本まとめればそれなりの記事になりました。さて,夏はどこに行こうか,計画を始める今から楽しみです。(2019.6.23記)

知って楽しいJRの旅客営業制度10--新幹線特急券に関する規則

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 JRの旅客営業制度の考察,10回目は新幹線の特急券に関する制度について説明します。頻繁に鉄道旅行をしていた学生時代,特急料金が高い,直ぐ着いてしまう,窓が開かず風情がないなどの理由で新幹線を嫌っていました。その頃の体験から今でも新幹線は好きではないのですが,避けては通れない項目なので勇気を振り絞って解説を試みます。

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田端付近の高架を行く「つばさ」+「やまびこ」 @田端 2018.11.25

1.新幹線の特急料金
 先ず新幹線の特急料金は在来線の特急料金のような距離帯ごとの設定ではなく,駅から駅への区間ごとに定められ,三角表で示されます。そうは言っても全てを区間ごとに定めている訳ではなく,概ね距離帯ごとの設定になっています。試みに三角表で示される特急料金を読取って,距離別にプロットしたものが下のグラフです。これをじっくり眺めると,面白いことがいろいろ分かりました。

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各新幹線の特急料金を距離×ねだんでプロットしたもの(拡大はこちら
東海道:東京,山陽:新大阪,九州:博多,東北:上野,上越:大宮,北陸:高崎,北海道:新青森を起点とした各駅

・グラフの読み方として,各点を結ぶ近似の線を考えたときに横に寝てくれば割安,縦に立上がれば割高です。
・割安なのは国鉄時代からの東海道・山陽と東北・上越ですが,微妙に傾きが違い,東海道・山陽のほうが若干割安です。
・国鉄時代からの経緯からか,東海道と山陽は会社が違っても傾きは同じです。
・国鉄時代からの新幹線(東海道,山陽,東北,上越)ではほぼ100km刻みで設定されています。
・いわゆる整備新幹線(九州,北陸,北海道)では刻みが細かく角度が急で,北海道は国鉄時代からの新幹線の2倍以上です。
・東海道の熱海と三島は在来線からの移行を促すためか,100kmを超えているにも拘らず100kmまでと同じねだんです。時刻表等では開示されていませんが,実キロでは熱海は95.4km,三島は111.3kmです。

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北陸新幹線開業の日の金沢で 2015.3.14

2.新幹線特急料金は通算する
 新幹線の特急料金は同じ運転系統で新幹線改札を出なければ通算されます。同じ運転系統とは「ひかり」と「こだま」や「はやぶさ」と「やまびこ」のことで,東北新幹線と上越新幹線を大宮で乗継ぐような場合は通算にはなりません。基本的には東京から相生に行くのに,東京~新神戸間を「のぞみ」,新神戸~相生間を「こだま」に乗るような緩急接続に対応する考えです。余談ですが,このケースのときに姫路で「のぞみ」から「こだま」に乗換えることもできますが,「こだま」が同じ列車で相生に着く時間は同じでも,姫路乗換えだと「のぞみ」利用区間が長くなるため100円高くなるので注意が必要です。また,東北新幹線から北海道新幹線への直通利用時は東北新幹線の新青森までと北海道新幹線の特急料金の合算が原則ですが,指定席料金見合いの部分が二重になるので520円引きし,七戸十和田と奥津軽いまべつ発着の場合は特定特急券の料金で計算するなど,とても芸が細かくなっています。

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同じ列車の中で席をきざんだ例(広島~東京を3区間に分ける)

 このルールを利用すると,以下のようなこともできます。一つは長距離の利用で空席がない場合でも,区間を分けると席がとれる場合があります。以前,週末の夕方に徳山から東京に帰るときのことです。窓口で広島~東京(直通)の席を所望すると満席でしたが,広島~岡山,岡山~新大阪,新大阪~東京に区切って照会したら,同じ列車で席を確保できました。もちろん荷物を持って車内を行ったり来たりしなければなりませんが,乗れないに比べれば随分ましです。コンピュータの世界では断片化(フラグメンテーション)といいますが,空席が断片化してしまって,席はあるのに通しでの空席がないために起きる現象です。短距離利用の旅客に,乗車駅まで他の旅客が座っていた席を売ればある程度防げるはずですが,列車のなかである部分はぎちぎちだけど,ある席は最初から最後まで客が来なかったということにもなります。JRも旅客が快適に過ごせて,かつ無駄の発生しない座席割当てロジックに日夜改良しているのでしょうが,完璧にはならず難しい命題です。

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ブツ切りにした特急券(金沢~高崎を5区間に分ける)

 もう一つは途中下車の擬似体験です。北陸新幹線金沢開業の日に僕は金沢から高崎まで新幹線に乗りました。せっかくの開業初日の新幹線,いろいろな駅に寄ってみたいのですが,各駅ごとに降りたら特急料金がバカ高くなってしまいます。仕方がないので,新高岡,黒部・宇奈月温泉,上越妙高,長野で区間を切って特急券を買いました。実際にやってみると,途中下車どころか新幹線改札を出ることすらできません。また,駅によっては次の列車まで1時間待つこともあり,暇を持て余してしまいます。駅の外では新駅開業記念のお祭りをやっていたりで,とても寂しかった憶えがあります。

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外では獅子舞をしているが新幹線改札から出られない @新高岡 2015.3.14

 なお,特急券を買った駅の窓口氏はこんなブツ切りはダメと文句を言いたそうで,上司にお伺いをたてに行きましたが,「今回限りですよ」とクギをさして発券してくれました。これは140円旅行と同じで,規定の正しい運用とは言えませんが,Noというルールがある訳でもありません。窓口氏の「今回限り」というのは,後日他の駅で「xx駅ではやってくれた」と言われるのを避けるための方便で,「他の担当者でも同様の対応をするとは保証しません」と同義と心得ています。

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N700系で東海道区間285m/h運転の「のぞみ」 @米原 2018.8.14

3.新幹線特急料金の加算(1)プレミアムの付く列車
 新幹線特急料金の三角表は運転系統ごとに一つで速達列車でも各駅停車でも特急料金は変わりませんでした(※)。1992年3月の300系「のぞみ」の設定の時から「のぞみ」はプレミアムの付く列車として「ひかり」,「こだま」より割高な特急料金が設定されました。自分の勤める会社では,経費がかかりすぎるという理由で「のぞみ」は出張旅費で利用できないルールでした。時代はくだり,現行のダイヤでは1時間に「のぞみ」10-「ひかり」2-「こだま」2本が運転され,むしろ1時間に2本しかない「ひかり」に乗る方が難しい時代になりましたが,特急料金はプレミアムの付いたままです。自由席では列車を特定することができないため,「のぞみ」,「ひかり」,「こだま」は同じ特急料金ですが,「のぞみ」には自由席車は3両しか連結されていません。また,一部区間だけ「のぞみ」の指定席を使う場合のために,区間ごとの加算額を定めた三角表も設定されています。

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終焉間際の300系電車 @品川 2012.2.17 写真:ジュニア

 一方,東北方面では2011年3月のダイヤ改正から東北新幹線の宇都宮~盛岡間で320km/h運転をする「はやぶさ」が運転を始め,併結する「こまち」も含め加算料金が設定されました。こちらは「のぞみ」と異なり,全車指定席なので自由席特急券はありません。また,この加算料金が設定されているのは,大宮~盛岡間だけです。北陸新幹線の「かがやき」,山陽~九州新幹線の「みずほ」もプレミアムな列車ですが,「かがやき」は全車座席指定であるだけで特急料金の加算はなく,「みずほ」は山陽新幹線区間のみに加算料金が設定され,九州新幹線区間だけなら「さくら」,「つばめ」と同額です。

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東北~北海道新幹線「はやぶさ」 @新函館・北斗 2016.3.26

4.新幹線特急料金の加算(2)東北新幹線の東京駅加算
 東北新幹線の東京駅開業は1991年6月20日でしたが,上野駅から都心の地下を掘り進み,秋葉原から地上に上がって,元の東海道線優等列車ホームの場所に新幹線ホームを作る工事は費用もかかる難工事でした。その後にもう1本ホームが増設されましたが,このときは赤レンガ駅舎寄りにあった中央線を3階に重層化し,在来線ホーム全てを1本ずつ西に移す工事を,列車を走らせながら完遂しました。費用がかかったことは確かですが,この費用を回収するためか,東北新幹線の東京~上野間には加算料金が設定されています。具体的には,JR東日本の新幹線各駅からの東京駅までの特急料金は上野駅までの特急料金に一律に210円アップです。自分のような神奈川県方面の者にとっては,上野駅の乗換えは少々面倒ですが,上野東京ラインができて便利になったので,最近は専ら上野駅利用です。なお,品川駅に関しては,JR事情で後から駅ができただけなので,このような料金差はありません。

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東北新幹線東京駅開業の朝とその日の特急券 1991.6.20
鉄道趣味に無駄遣いはつきものですが,これは究極の無駄遣いかも

5.新幹線特急券の指定席,自由席,立席(りっせき)と繁忙期,閑散期
 第9回で特急券の指定席と自由席,立席特急券,繁閑による加減について説明をしました。新幹線特急券でも基本は指定席,自由席と立席特急券は指定席から520円引きの考え方は同じです。また,繁忙期,閑散期の加算,減算も同様に計算します。

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東北新幹線「こまち」 @福島 2019.7.13

6.新幹線の特定特急券
 特急料金を特別に割引く特定特急券の制度は新幹線にもあり,基本的にはお隣の駅までの自由席を860円にするものです。実際にはいろいろな例外があり,一つは駅間が長く50kmを超える新横浜~小田原と米原~京都は980円,相生~岡山と小倉~博多は970円です。JR東海と西日本で10円の差があるのは面白いですが,統一してほしいところです。もう一つは,新富士,東広島,くりこま高原などの新設駅ができた場合で,これらの駅を挟む2駅間でも50km以下860円,50km超980円(JR西日本は970円)です。また,九州新幹線も例外が多く,そもそも特定特急料金は850円,博多~久留米は間に開業時からある新鳥栖駅があっても850円,整備新幹線区間の新八代~川内間には特定特急券の設定がありません(本則どおり1,230円の自由席特急券が必要)。また,北海道新幹線は全ての列車が全車指定席なので,立席扱いの特定特急券となり,値段は区間によりそれぞれ設定されています。この制度はあくまでお隣の駅までが制度のスタートなので,高崎~軽井沢間41.8kmなどの2駅乗っても50kmに満たない区間でも特定特急券にはなりません。冗長になるので本文中には表示しませんが,区間ごとの一覧表をこちらにまとめました。

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新幹線特定特急券
新幹線の1駅くらいなら在来線で行くことが多いので僕としては非常に珍しい1枚です

7.ミニ新幹線(山形・秋田新幹線)の特急料金
 山形・秋田新幹線(以降本項では両新幹線といいます)は在来線を改軌し,新幹線車両が直通できるようにしたものです。法律や旅客営業制度上は在来線の扱いで,線内で閉じた利用のときは在来線のA特急料金を適用します。しかし,新幹線と直通するメリットは大きくその利便を特急料金に反映させることは合理的です。単純に福島や盛岡までの新幹線特急料金と加算すると割高になってしまい,そもそも特急料金には指定席料金が含まれるという考えなのでこの分は二重取りになってしまいます。次回に詳細を説明するつもりですが,新幹線~在来線の乗継割引を適用しては逆に割引き過ぎになってしまいます。これらをバランスするため,両新幹線には特別な料金テーブルが設定されています。時刻表の営業案内にはいろいろなねだんが表になっていますが,実は単純で,東北新幹線から両新幹線にまたがって利用する場合の特急料金の基準額(指定席特急料金)を加算し,自由席や繁閑による加減は一律です。なお山形新幹線では自由席車を自由席特急料金で利用できますが,秋田新幹線では「こまち」は全車座席指定のため特定特急券という言い方をします。

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山形・秋田新幹線の特急料金のまとめ(福島または盛岡までの新幹線特急料金に表の金額を加減する)

8.新幹線特急券のネットやICカードへの対応
 このシリーズは基本的に旅客営業規則の規定を中心に解説してきましたが,今回は少し外れたところでネットへの対応について簡単に触れます。JR東海とJR西日本では東海道・山陽新幹線の利用者を対象にEXICサービスを展開しています。このサービスは大きく分けて2種類あります。1つは特急券と乗車券を包括して割引くEX予約で,きっぷを発券することなくICカードだけで乗車できる場合(本人のみのとき)と,一旦紙の特急券を発券する場合(会員以外が利用するときや複数人で利用するとき)があります。もう1つは予約の受付けだけをネットで行い,特急料金部分だけを対象とし,区間によっては割引価格になるe特急券サービスです。いずれの場合も,スマホを含むインターネット端末でいつでもどこでも予約ができるのと,紙のきっぷを発券するまでは何度でも無料で変更できるのは大きなメリットです。

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EX予約で包括料金適用の特急券・乗車券

 EX予約の包括料金は乗車券の区間が新幹線の利用区間と同一区間になるので,新幹線に乗る前や降りた後で同一市内の駅に行く場合はその区間の運賃が別途必要になります。一方,e特急券では乗車券はふつうの乗車券なので200km超の区間では○○市内から××市内ゆきになります。どちらが安いかは微妙で,EX予約のサイトには運賃・料金の比較機能のEX予約運賃ナビという機能も用意されています。また,これらの運賃・料金は繁閑による増減がないので,とくに繁忙期は有利になります。EX予約はクレジットカードが前提なので未成年者には敷居が高いですが,とても便利かつお得なので利用をお薦めします。

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「タッチでGo!新幹線」サービス利用開始登録票

 一方,JR東日本では概ね東京近郊区間と重なる東京~那須塩原,上毛高原,安中榛名間に「タッチでGo!新幹線」サービスを展開しています。これは予め利用登録をした交通系ICカードを使って,新幹線改札もICカードで通過し,カード残額から運賃・料金を引きおとすサービスです。交通系ICカードであればSuicaである要はなく,運賃・料金はEXICサービスと同様に新幹線駅から新幹線駅までの包括料金です。各新幹線は東京近郊区間に含まれないこともあり,入場駅~新幹線乗車駅,新幹線利用区間,新幹線下車駅~出場駅までの3つの区間に区切って運賃計算が行われます。スタートしたばかりのサービスなので,まだ詳細にサーベイはしていませんが,多少の割引きがあっても,総額では変わらないということもありそうです。また,利用できるのは自由席車のみなので,全車指定席の「はやぶさ」や「かがやき」は利用できません。

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各社のネットサービス画面(JR西日本5489サービス,JR九州ネット予約)

 気やすくネットやICカードへの対応を書き始めたもののサービスが多種多様で残念ながらすべてをフォローしきれません。また,この一連の連載は旅客営業規則,旅客営業取扱基準規程本文の規定を中心に書いており,これらに拠らない特別企画乗車券((企)きっぷ)は取扱う範疇の外としています。世はネットの世の中なので避けては通れないのですが,後日の課題としたいと思います。

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東北新幹線「はやぶさ」 @新花巻 2019.7.13

9.これからの新幹線特急券
 さて,毎回最後に書いているこの制度の今後です。「のぞみ」や「はやぶさ」などの速度の違い,ミニ新幹線の利便など,上に述べたルールにはそれなりの存在理由があります。それは分かるのですが,結果としてゴチャゴチャになって,僕の様な制度研究好きでも理解できない状況になっています。約款や料金表は分かり易く公平であることが大事なので,ここでは在来線も含めて大ナタを振るっての大改革があってもよさそうです。新幹線から在来線まで含めて優等列車を格付けし,格と距離だけのテーブルにするとかです。昔と違ってコンピュータが発達しているので,少々複雑なロジックでもコンピュータなら瞬時に計算できるので,これからはコンピュータを前提とした制度でもよいと思います。
 大きな整理は時間がかかるとして,分割民営化の悪弊の会社間のちょっとした違いの是正はJR各社にやる気さえあればできることです。例えば,新幹線特定特急料金の10円の差の解消などです。

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北海道新幹線開業の日に。右下はその日のきっぷ

 そして最後はこれまた国家ぐるみの大きな課題ですが,北海道新幹線の高い料金です。札幌までの全線が開業したとしても,このような料金水準で客がつくのでしょうか。鉄道交通は線で繋がるがるので,点と点を結ぶ航空では難しい盛岡~札幌や東京~長万部の移動には効果があると思いますが,これらの流動がどれだけあるのかです。大赤字の新幹線を維持するために,一つ一つを見れば小さな赤字の道内のローカル輸送を切り捨てるのでは本末転倒です。制度の話から,整備新幹線が必要なのかという話に飛んでしまいましたが,鉄道の今後を考えるうえで大事なことであり,各所で適切な議論がされることを望みます。

※ 1964年10月の東海道新幹線開業から1975年3月の山陽新幹線博多開業の前までは「ひかり」は超特急,「こだま」は特急の2本建でした。
(2019.6.16記)
知って楽しいJRの旅客営業制度バックナンバー
1.大都市近郊区間と140円旅行
2.きっぷの有効期間と途中下車
3.乗車券の経路と種類
4.運賃計算の基本と割引き,加算
5.区間外乗車のいろいろ・その1
6.区間外乗車のいろいろ・その2
7.特定市内駅と駅に関わる規則
8.新幹線と周辺の乗車券の規則
9.急行券・特急券と周辺の規則

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