最近気になったきっぷの話題2つ/横浜駅での途中下車と東京大循環

今日は最近気になったきっぷと制度の話をいくつか書いてみます。制度として知ってはいても,なかなかその実例にあたるケースは少ないので,きっぷと共にご紹介します。
1.新横浜駅と横浜駅に関わる途中下車
東海道新幹線と在来線の東海道本線は多少場所が離れていても同じに扱います,ただし,在来線と離れた区間にある駅を発駅,着駅,接続駅とする場合は別ですというのが,幹在同一原則(旅客営業規則,(以下,規)16条の2)です。前から気になっていたのですが,大阪,名古屋方面から新横浜で新幹線を途中下車したきっぷで横浜で途中下車できるのでしょうか。答えを先に書きますが,これはNGです。新横浜と横浜を結ぶ横浜線が横浜から分岐していれば話は簡単ですが,一つ東京寄りの東神奈川から分岐するためとても厄介なことになるのです。以下の3つの取扱いがあるので注意が必要です。

周辺の線路図
(1)新横浜で途中下車したことにして,新横浜~横浜間を別途精算する場合
横浜駅で出場する際に下のきっぷを渡して,この場合は新横浜から,東神奈川からどちらになるのですか?と確認したところ,間髪入れず新横浜からですとの回答です。精算にSuicaを出したのでIC運賃で165円(10月の運賃改定前)を引去りされ,きっぷには「新横浜駅下車代 『横浜』」のハンコを押されました。このときは相生からたっぷり飲んで酔っていたので,そんなものかと思って帰ってきました。

(2)新横浜からさらに東京方向へ進み東神奈川まで来たことにして,東神奈川~横浜間を別途精算する場合
下のケースは東神奈川で途中下車して,Suicaで入場した場合です。当然,横浜で降りたときの引去り額は136円(現行運賃)です。不鮮明ですが「(幹)」と「乗変」の間の途中下車印が東神奈川のものです。

小田原~東神奈川間には下の選択乗車が設定されているので,小田原~新横浜~東神奈川~鶴見~品川のルートがとれ,東神奈川で途中下車することができます。

選択乗車の規定(規157条)
(1)の場合は,別途運賃を払ったり,地下鉄など他の手段で新横浜まで戻れば,引続きこのきっぷで旅行を続けることができます。一方,(2)の場合は新横浜から品川方向に進んでしまっているので,戻ることはできません。従って,以降の行程をどう乗るかで使い分けることができるのです。しかし,横浜駅の取扱いはどうやら明示的に(2)だと主張しないと(1)にされてしまうようで,ご丁寧にもそのためのゴム印まで用意しているので要注意です。旅客にとってはどちらでもよい話ですが,通常,これらの乗車券は新幹線経由(乗車券のタイトルの下の四角のうち左の4つが塗りつぶされている)が多いので,運賃収入はJR東海の取り分です。JR東日本としては横浜線の利用分を回収しようということでしょうか。
(3)横浜で下車後,きっぷを回収する場合
(1),(2)は途中下車の話ですが,きっぷは東京都区内ゆきだけど,横浜で降りた後はもう乗らない,というケースです。この場合は,(2)と考えて136円が必要だけど,前途の放棄を条件に便宜的に免除する場合があるようです。しかし厳密に考えると(2)として東神奈川まで来た後,東海道線を上る方向から下る方向に使用開始後の区間変更をし,残り100km以下のため払戻しはなし,ということのようです。このときのきっぷが往復割引適用の場合は,往復割引が成立しなくなるので一旦,無割引きで運賃計算のうえ区間変更の取扱いをするルール(旅客営業取扱基準規程279条)です。結果的にひどく割高になってしまうので,この取扱いはできず,(2)と同様の取扱いしかできません。
(おまけ)
12月になって再度,相生への出張があり,またまた(1)と同じ体験をしました。今度は時間があったので数日後に新横浜に行き,菊名,大口,東神奈川,新子安と降りてみました。知れば知るほどこの問題はグレーで,いつか情報を整理してまとめたいと思います。一つだけ事実を書くと,新子安駅では自動改札機が途中下車に対応していました。

このときのきっぷ。ハンコだらけになりました
(以下2023.4.9追記)
去る(2023年)3月20日,この問題に決着をつけるべく,関西方面に行った帰りに周到に準備して再度,小田原以西から東京方面のきっぷで横浜駅で途中下車--正確には東神奈川で途中下車したことにして,別途精算--しました。準備した内容は以下の2点です。
先ず1つは,きっぷの熱海~東京間を在来線経由にする,です。旅客営業規則(以下,規)--そもそもこのルールは国鉄の分割・民営化以前に制定されたものなので,会社別の収益の配分という概念はないはずです--157条(21)には単に小田原以遠(早川方面)としか書いていなくて,熱海方面が新幹線だろうと在来線だろうと関係ありません。そもそもこの2つの区間には幹在同一原則(規16条の2)があるので区別しないはずです。ところが横浜駅ではこの幹在同一原則を無視し,伊豆方面からの(在来線経由の)きっぷならよいけど,静岡,名古屋方面からの(新幹線経由の)きっぷはダメと案内していました。ご念のいったことに,この元記事を書いた2019年はこの違いを書いた説明図まで用意していました。
新幹線経由であればJR東海の収益になるし,在来線経由であればJR東日本の収益になるので,気持ちとしては理解できますが,そんなものはJR旅客会社間の内輪の都合で,旅客営業規則ベースの客の知ったことではありません。それでも最大限JR東日本の言い分に配慮し,今回は敢えて熱海~東京間を在来線経由を指定してきっぷを買いました。下のきっぷのタイトルの下の四角4つがそれを表します。上のきっぷ3つは四角4つが黒くて,これは新幹線経由を表します。ちなみに,その隣の4つの四角は米原~新大阪間の幹(黒い四角)在(白い四角)を表します。これなら,たまさか発駅が神戸市内でも,収益面では伊豆方面と何の違いがあるかというわけです。

2つ目は新横浜と東神奈川で途中下車です。新横浜は新幹線改札の自動改札で「出場」の印字を付けた後,外改札で一旦出場し,入場しました。余談ですが,この外改札からの再入場に自動改札機が対応していなくて,有人通路を通らざるを得ず,なぜかふつうの改札鋏のスタンプを押されました。そして東神奈川でも自動改札機で途中下車しました。部外者の僕にはそれが磁気的にどう記録されるか分からないので,念を入れて,改札の係のかたにハンコの途中下車印も押してもらいました。東神奈川で途中下車できたものが,東神奈川から精算できないなどいうことは考えられません。
一方,東神奈川で途中下車したなら,きっぷを買うか,Suicaで入場して横浜へ来ればよく,敢えてそのきっぷを出して精算するというのは合理的ではありません。誰何されたら,鶴見方面へ行くつもりで入場したけど,夜も遅くなってきたので止めた,と答えるつもりでした。ある面,なにか下心ありが見え見えなのですが,それは気にしないことにします。

ふつうなら米原から新横浜への新幹線では晩酌の一つもしてゆっくりするのですが,今日はこのためにコーヒーしか飲まずに来ました。今日こそは横浜駅にギャフンと言わせてやるとやる気満々で比較的すいている北改札の有人通路へ向かいます。ところがこの日のご担当は何ごともなく,ふつうに東神奈川からの精算でOKでした。このこと自体は誤った規則の運用が改まったことで善いことなのですが,3年越しで準備していたのに拍子抜けです。
改札氏と会話したついでに2,3伺うと,東神奈川からの精算とすると東神奈川へ戻るにも運賃が必要で割高になってしまう,ゆえに新横浜下車代を推奨しているとの説明でした。横浜から東京へ行くのにわざわざ新横浜に出て新幹線に乗るとも思えず,そのためには再度新横浜までの運賃が必要でよほど割高で,今ひとつ説得力がありません。3年前には規定を無視した説明図まであったはずですが,東神奈川からの精算も是とする取扱いは,氏が着任した2年前から変わっていないそうです。3年前にJR東日本のインターネットのお問合せにだいぶ噛みついたので,そのときの対応で改善されたのかもしれません。問合わせの回答としては適当にはぐらかされた印象ではあったのですが。
それでもなんでも,2023年現在は横浜駅の現場も(1)~(3)どれでも適用可能の考えになっているようです。会社のエゴで旅客営業規則を捻じ曲げていたととらえていたので,これが改善されたのは嬉しい限りです。
(2023.4.9の追記終わり)
2.70条特定区間の活用
旅客営業規則には東京大循環(規70条)というルールがあって,下の区間を通過する場合は経路を指定せず,旅客はどの経路でも選ぶことができます。この区間内は経路を特定して乗車券を発売すると,旅客,JRともに窮屈なため選択乗車を認めるものです。上の(2)の乗車券で,品川~東京間は有楽町経由で計算しますが,山手線を遠回りして池袋,田端経由も利用できるのです。

70条特定区間
このときはたまたま相生に行った翌日に高田馬場に行く用事があり,帰りの乗車券を東京都区内着とせず舞浜(東京都区内から1駅千葉県に入った駅)着としました。値段は東京駅(相生から665.0km)も舞浜(同677.7km)も同じで,ちょっときっぷの買い方を工夫するだけで,随分余計に乗車することができました。用事があったのは高田馬場ですが,調子に乗って大崎,五反田,目黒に赤羽や尾久でも途中下車ができました。どの駅でも何の問題もなく途中下車はでき,JR東日本では途中下車印押捺を強く指導しているようで,ほとんどの駅では頼まなくても下車印を押されました。
3.自動改札の話題
自動改札機はきっぷを入れると瞬時にOK,NGを判定して,磁気記録を残したり,回収したりをしてくれます。自動改札機のロジックには興味津々なのですが,一歩間違えば不正乗車になってしまうので,おいそれと試すことができません。2.の東京大循環で,最短の以外の経路を乗った場合,自動では途中下車の判定をしてくれないようです。というのも,大崎での入場時に自動改札は通ることができません--係員にお知らせくださいになる--でした。なお,出場時は,途中下車のつもりがきっぷを食われてしまうと厄介なので,はじめから有人通路を使ったので,未テストです。

反対にこちらはよくできている例です。上の3枚のきっぷを同時に熱海駅の新幹線改札の自動改札機に通したところ,無事に通ることができました。乗車券が焼津で切れているので,無理ではないかと思っていたのですが,幹在同一原則が判定ロジックに織込まれているようです。なお,この焼津切りにはわけがあり,興味があるかたはこちらの記事をご覧ください。
妙に細かい話で1回分の記事にしてしまいましたが,やっぱりJRの制度研究って面白いねと思っていただければ幸甚です。(2019.11.2記)
参考記事:
・幹在同一原則
・70条特定区間(東京大循環)
・特定市内駅と駅に関わる規則・追補(焼津切りのわけ)
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2019年秋のアクティビティ/近場の神奈川県内での鉄ちゃん2題

特段理由はないのですがこの秋はあまり遠出はせず,近場でのアクテビティで週末を過ごすことが多かったです。今日はそのなかで鉄分の多かった2題を書きます。
1.歩きでの鎌倉行と北鎌倉でちょっと鉄ちゃん
徒歩で歩くことは旅行--非日常の体験--の基本で,僕は列車の旅と同様に好きです。自宅のある横浜市南部の磯子から鎌倉は歩いて約3,4時間の行程で,これまでにも幾度か歩いています。今年(2019年)も9月15日(日)にざっと32㎞を歩いて巡ってきました。

復刻塗装の江ノ電バス @温室前 2019.9.15(以下,特記あるまで同じ)
磯子の山の上の自宅を5:42に出発です。最初のうちは釜利谷街道という街道筋を南に下ります。温室前のバス停では,初便になるバスが時間調整をしています。通勤途上でいつも見かけるバスでも,徒歩き(かちあるき)旅行で見ると,いつもと違った雰囲気です。

横浜にもこんな農業地域がまだ残る
鉄道でいえば京急の能見台駅の裏山にあたる氷取沢からは山に分け入り,「円海山周辺市民の森」として整備されたハイキングコースになります。このコースの一部は京急金沢文庫駅から鎌倉天園に至るハイキングコースにもなっており,行き交う人も多いです。

円海山周辺市民の森の案内板(90度右に回転しているので注意)(拡大はこちら)
港南台の裏山にあたる円海山は横浜市最高峰(153.3m)と言われたところで,北側に開けた展望は370万人都市・横浜を一望することができます。なお,以前は山頂広場に展望台もありましたが,現在は閉鎖されて,少し西に下った所の農地のあたりが景色を見たり休憩するにはよいです。

円海山からの眺望とそのズームアップ
ここから暫く進むと三浦半島の背骨の分水嶺を越え,旧国名では武蔵から相模になります。ハイキングコースの案内板によれば,この道はたたら師(製鉄職人)が通った鉄の道(鉄道!?)との記述もあります。

武相国境の案内
ハイキングコースは横浜横須賀道路と絡み合い,緑濃い山とコンクリート製の人工構造物の対比が面白い景色です。また,左手には金沢自然公園と金沢動物園もあり,初めて歩く人には休憩場所としてもお薦めです。今日は時間も早いし,休憩どきでもないので公園とは反対側のバックストレッチのコースで先を急ぎます。

大丸山の山頂広場
さらに南進するとまたまた横浜最高峰の大丸山(156.8m)があり,ここは山頂に登ることができます。不思議な話ですが,測量技術が進歩してそれぞれの標高が正しく測れるようになるまでは,円海山が横浜市最高峰と言われていたようです。なお,最高「峰」でなく最高地点は鎌倉の大平山(159.4m)の途中の尾根だそうです(Wikipediaによる)。大丸山は東京湾側に眺望が開けていて,浦賀水道を行き交う船や房総半島の山々がよく見えます。

大丸山からの東京湾の眺望
ハイキングコースは更に南進し,市境広場に出ます。広場の名前は市境ですが,実際は金沢区と栄区の境界で,その先も横浜市です。環状4号線の武相トンネルの上を通って相模湾側に達すると,尾根道は右に横浜霊園,左に鎌倉霊園の間を進みます。前者は森の間から広大な園地が見えますが,後者は森になっていて,あまり墓地が眼に入ることはありません。

ハイキングコースは通行止め
ところで,今日は6日前に台風が来たばかりのため,これまでのコース上にも折れた枝などが散乱し,通行止めの箇所がたびたびありました。この先,鎌倉天園までが市境を含む隘路ですが,途中に倒木があって通ることができません。栄公園事務所の応急処置の通行止め看板はありましたが,通行止め解除はいつになるのでしょうか。今般の台風では東京湾の対岸の千葉では大変な被害が出ているので,ハイキングコースの復旧よりは千葉の被災地の復旧支援の方が先だと思います。そんな訳でここは仕方なく引き返し,朝比奈峠を越える県道を歩いて越えます。

ハイキングコースが通れないので県道を歩く
本来のハイキングコースをまっすぐ進むと鎌倉天園・六国峠に至り,相模湾から富士山や関東6国を望むところに茶屋があります。その後は道が幾つかに分かれ,瑞泉寺,覚園寺,建長寺,今泉町に降りることができます。なお,建長寺に降りる場合は寺領を通るため,拝観料500円が必要です。また,建長寺,今泉町への途中には鎌倉カントリークラブの裏のピクニック広場や先ほど出た大平山などもあります。楽しいハイキングコースなのですが,鎌倉市のサイトの情報では今でも通行止めが続いているようです。もし出掛ける場合は最新の情報を確認してください。

ようやく鶴岡八幡宮に到着
そんなこんなで今日は大幅に時間を食ってしまい,八幡宮までで約6時間です。素通りでは失礼なので,軽くお参りして,北鎌倉へと歩を進めます。今日,鎌倉に来たのはハイキングもありますが,北鎌倉で鉄ちゃん(僕は「鉄ちゃん」という言葉を狭義に使っていて,鉄道写真を撮ることの意です)するのも目的です。八幡宮から北鎌倉は建長寺の山の裾を鎌倉街道沿いに歩き,約20分です。

先ずはE217系の横須賀線電車
北鎌倉駅の約500m手前,鎌倉街道が横須賀線を渡る踏切の脇がちょっとした休憩スペースになっていて,その端っこが好撮影地です。緑豊かな円覚寺周辺の木立ちがバックになり,僕のお気に入りのポイントです。着くのが遅くなったのが幸いして光線の加減はとても良い感じ,定員2~3人のところ今日は僕1人です。3年前にもここでの鉄ちゃんで記事を書いているので詳細は省略しますが,こちらの記事の2の地点です。

湘南新宿ラインからのE231系
横須賀線は山手線の次のE235系の投入先とアナウンスされていて,もうじきE217系の置換えが始まります。745両と数が多いので全てが置換わるには何年もかかるでしょうが,そのうちにE217系も稀少車になります。葬式鉄でごった返す前にゆっくりと写真を撮るのは早めがよさそうです。

こちらは一応,最新鋭のE233系
以前はここはE217系しか来ない場所でしたが,湘南新宿ラインが通じてからはE231/3系の湘南色帯の電車も増えて,彩を添えてくれます。また,マニアは金沢八景の総合車両製作所(元の東急車輌)からの甲種回送も写材とするようですが,この場所は下り向きなので,ふつうは追いかけになってしまいます。

今日のゴールは港南台の日帰り温泉
約1時間ここで過ごし,帰途に就きます。港南台に行くなら鎌倉街道をまっすぐ上ればよいのですが,単調なバス通りを嫌い,今泉台の住宅地を突っ切るショートカットルートをとります。山の道は谷を間違えると大けがをしますが,住宅地の中を遠回りしてしまい,残念ながらショートカットにはなりませんでした。歩くこと約2時間,15:30前,ようやく港南台・日野のおふろの王様に着きました。途中さんざん道草を食いましたが,今日1日,概ね10時間で32㎞の大散策でした。
2.台風一過の小田原・石橋山でちょこっと東海道線を撮る

E231系の普通列車 @早川~根府川 2019.10.5(以下,同じ)
秋のアクティビティ,もう一つは早川の先,石橋・玉川橋梁での東海道線の鉄ちゃんです。ここは以前,お天気のよい日に列車で通ったら車窓から相模湾のかなたに房総半島まで見渡せたのが印象に残り,いつか来たいと思っていた所です。(2019年)10月5日(土),今朝は天気もよく,横浜から富士山もよく見えます。これなら相模灘の視界もよかろうと,小田原の先,石橋山までプリ子とお出掛けです。この界隈では根府川の白糸川橋梁が超・有名撮影地ですが,有名すぎるのと風よけのネットが張られてしまったので,あまり好みではありません。代わりの場所をネットで検索したら,この場所がヒットしたのでした。

小田原あたりからの三浦半島,房総半島の位置関係(Google Mapから調製)
今日はクルマでの撮影行ですが,途中の道が強烈に狭いので,鈴廣のかまぼこ販売所近くの迷惑にならない所に車を止め,山は歩いて登ります。山自体はいくらもかからず登れますが,きちんと調べればある程度広い道路もあり,撮影地の近くまで乗りつけることも可能です。

この山では新幹線も撮影可能 @小田原~熱海
歩く道々では新幹線もよく見え,似たような写真が撮れます。ただし,すぐ後ろにトンネルがあるので6両位しか入らず,ちょうど画面の真ん中に墓地が入ってしまうので,好みは分かれるところです。

貨物列車は上りのこの1本だけ
電車だけではつまらないので,僕としては貨物列車を狙いたいところですが,日中の時間は隙間で,滞在1時間半位(14:20~15:50)の間で下りの貨物列車は1本もありませんでした。

185系踊り子号の置換えはもう秒読み
待っているうちに,185系15両フル編成の踊り子号がやってきました。新幹線のところで書いたようにここは長大編成にはやや窮屈で,15連の列車では後部がトンネルに隠れてしまいます。置換えと言えばJR世代の251系も,新しいリゾート列車の開発がアナウンスされ,この先長くはありません。時刻表を見ると251系の上り列車があるので,この列車までねばって帰ることにします。

251系スーパービュー踊り子号も来ましたが,追いかけです
そう言えば,こういう撮影地での列車待ちの際にJR東日本アプリの列車位置表示は絶大な威力を発揮するのですが,僕のスマホはAndroid4.4機,半年くらい前からこのアプリはAndroid5未満をサポートしないのでとても不便です。僕もソフトウェア技術者の端くれなので,多くのバージョンで稼働保証をすることの大変さは理解しますが,JR東日本アプリのような利用者層の広いソフトで稼働条件が厳しいのはいかがなものかです。新しいOSの載る機械に更新すればよいのですが,来年には5G通信の商用化がアナウンスされているので,この時期にスマホを更新する気にもなれず痛し痒しです。

撮影地への途中で。今日は三浦半島の西海岸,葉山あたりまでよく見える
章の最初に車内から見える房総半島について書きました。ここからは平塚,藤沢と続く海岸線や江の島くらいまでは見渡せますが,三浦半島先端の城ケ島や房総半島までを入れての写真は撮れません。歩いている途中で撮った写真でそれに近いものがあったので,最後につけておきます。
9月からブログの更新ピッチを月2回から月3回に増やしていますが,1.5倍は結構きつく,しょっちゅうブログ記事を書いている感じです。いつまで記事の品質を落とさずにこのピッチを続けられるか分かりません。今日は最低限度はクリアかといったところですが,お付合いいただきありがとうございました。(2019.11.10記)
相鉄・JR直通線開業の初乗りとその制度的楽しみ

2019年11月30日,相鉄・JR直通線が開業しました。国鉄・JR完乗タイトルを維持している僕としては,春のおおさか東線以来のJRの新線で,待ちに待った開業です。例によって初日に乗りに行ったので,今日はその報告と関連の話題です。
1.プロローグ
今回開業の相鉄・JR直通線(以降,直通線と書きます)は,横浜から神奈川県の中央部,海老名と湘南台へ路線を延ばす相鉄にとっては念願の都心進出を果たす待望の路線です。自分の住む神奈川県内でもあるので,わが家のジュニアはそれをテーマに高校の卒業論文を書きました。ローカルな話題ではありますが,わが家としてはホットな話題でもありました。
相鉄にとっては上にも書いたように待望の路線ではありますが,2022年度下期には新横浜,東急東横線・目黒線経由都心への直通計画もあります。JRと東急はどちらも直流1500Vの20m4扉車を運用しますが,車体の幅から信号保安方式,運転操作機器の設計などがまるで違います。決して大きくない私鉄の相鉄にとってそれら双方の基準に合わせた車両を準備するのは大変な負担だと思います。JRで行けば3年早く都心進出が図れる,その時間を買いたかったのかもしれません。

相鉄・JR直通線、相鉄・東急直通線の概要 相鉄・JR直通線、相鉄・東急直通線サイトから
一方,JRでは羽沢横浜国大となる横浜羽沢駅を含む羽沢貨物線は1980年から営業していました。貨物列車の他,最混雑時間帯の湘南ライナーなど僅かに旅客列車も走ります。今回の旅客営業開始で鶴見~西大井(厳密にはその先の蛇窪信号場)間の列車の本数が増え,とくに西大井から大崎に向かう列車は横須賀線の下り線を横切るので,輸送力の限界も近いと思われます。列車ダイヤをつくる担当者は相当苦労されたのではないでしょうか。

蛇窪信号場。右に行く大崎方面の上り線が左の品川からくる下り線と交差する
今回の新線開業は家から近いこともあり,妙に期待が膨らみます。10日前の会社帰りに相鉄の横浜駅を覗くと既に開業ダイヤの時刻表の配布が始まっていました。A5変形サイズ48ページ,もちろん全駅全列車掲載の立派なものです。冊子の時刻表を何年も作らない名鉄あたりには爪の垢の一つも煎じて飲んで欲しいところです。この時刻表は時刻の表示ポリシーが変わっていて,到着時刻の秒は切上げです(一般の時刻表は切捨て)。駅での無理な駆込み抑止には効果がありそうですが,実際は接続するのに,乗換えができないように表示されてしまうケースが稀にあります。右下の時刻表で,快速の2016レから特急の3134レは時刻表上接続しませんが,特急の到着が51分15秒,快速の発車が51分45秒(いずれも正しい時刻は分かりません)のようなタイミングで実際は接続をとるようです。2018年12月版の紙の時刻表,最新のWebで閲覧する時刻表には該当ページに注記が付いていますが,なぜか今回の紙の時刻表は注記を書いたペラ紙が挟んであるだけです。

相鉄の無料時刻表。右は到着時刻が切上げゆえの矛盾の例
もう一つの初乗りの事前の愉しみは用意するきっぷです。せっかくの直通運転の初日,相鉄~JRの連絡乗車券にしようと思いました。JRの駅の場合,昔はおなかに連絡社線の路線図に1.5cm大のボタンがたくさん配された券売機がありましたが,もう15年くらい見ていません。連絡定期券は発券できるので駅の有人窓口のマルス端末なら発券できそうと思いましたが,大都市近郊ではたくさんある連絡社線の条件を全てを設定するのが難しく,対応しない由でした。同様に,相鉄も旅客営業案内パンフレットに連絡乗車券は発売しないと明記しています。出鼻をくじかれてしまいましたが,ここは大人しくSuica乗車とふつうのきっぷを使うことにします。

用意したきっぷ。当日朝,別のJR駅の指定券券売機で購入
2.開業初日の乗車記
待ちに待った11月30日,土曜日なので朝一番の用事を済ませると,早々にわが家最寄りの磯子駅に赴きます。先ずは指定席券売機で羽沢横浜国大からのきっぷを買います。現地で買ってもよいのですが,自販機のペラ券でしょうから,大きくて記念になりそうな定期券サイズを用意します。乗った列車は7:39の大宮ゆき,横浜で相鉄に乗換えて直通線の起点の西谷には8:13に着きました。西谷からの直通線は8:18に武蔵浦和ゆきがありますが,事前の情報では,1日6本の新宿より北まで行く列車はJR持ちです。今日はせっかくなので相鉄車に乗ることにして,1本おとして8:38の新宿ゆきに期待します。

西谷駅の様子 2019.11.30(以降,特記のあるもの以外同じ)
西谷は横浜西郊の住宅街のふつうの駅で,特徴といえば新幹線が駅の真上を跨いでいることくらいです。この西谷がたまたまJRの横浜羽沢駅から近いので,無理やり線路をつなげることになりました。もともと対向ホーム2面2線だったと記憶しますが,用地を捻出するところから大変な事業だったろうと思います。駅の周りの雰囲気を見ようと東半分を巡りますが,狭い路地のふつうの住宅街です。路地の電柱には保土ヶ谷区役所があつらえた飾り(幟?ペナント?)がついていて,それが僅かばかりの開業祝いです。

西谷駅の周囲の様子と開業祝いの電柱の飾り
そうこうするうち時間になり,急いで駅に戻ると狭いホームは既にかなり混んでいます。ホームの先端は鉄ちゃんの少年,おじさん,相鉄社員に警備の巡査と,今から写真を撮りに行ける状況ではありません。仕方なく,隣のホームに入った電車の車内からで諦めです。幸い8:38の列車は相鉄車で12000系12004Fです。車内は開業初日なので珍しもの好きの老若男女が多いですが,混雑しているという程の乗りではありません。

8:38の3128レは相鉄12000系 @西谷
さて,ここからは初乗り区間,左右の車窓をじっくり見たいところです。列車は西谷のホームを出はずれると直ぐに下り勾配になり,西谷トンネルに入ります。西谷~羽沢横浜国大の営業キロは2.1kmですが,そのほとんどがトンネルで景色は見えません。

西谷を出ると直ぐにトンネルになる(写真は下り列車)

初乗り区間では停車駅案内など全てが楽しみ
ものの2分くらいで羽沢横浜国大着。ここは西谷からのシールドトンネルの出口,ホームは地下,駅舎は地上という変わった位置にあります。せっかくの初乗りなのでここでも列車を捨て,しばらく時間を使います。

羽沢横浜国大駅の西谷方。シールドトンネルの出口の雰囲気だ

羽沢横浜国大駅の鶴見方。こちらは地上に向かって開いている
新しい駅舎は落ち着いた色調ですが,採光もよく明るいコンコースです。今日は開業初日でたくさんの人がいますが,明日以降はどうなるのでしょうか。370万人都市横浜の市内で,国立大学のキャンパスも近いので今後は発展するのでしょうが,今朝はふつうのお客さんは少ないようです。精算機の横に行列ができているので何かと思えば,スタンプを押す人の列です。20人位並んでいましたが,私鉄であっても駅のスタンプは外せないので,10分位かかって一つ押します。

羽沢横浜国大駅のスタンプ。開業の文字と日付入り
改札を出るとコンコースは記念きっぷを買う人の列でごった返しています。列は記念入場券セット(相鉄全駅4,450円),硬券入場券(140円),出札補充券(180円)の3つがあり,駅舎の外まで続いています。硬券くらい買ってもよいと思いましたが,時間とお金の節約のため,全てパスです。ところで出札補充券とは出札窓口で常備券が用意できないときに売るきっぷと心得ていますが,どんなきっぷを売るのでしょうか,初めて聞きました。

羽沢横浜国大駅の駅母屋の外観
駅の入口では駅長と思しきかたが行列の整理,また別の駅員さんが3つの列の案内をしています。それをよそ眼に駅前の通りを渡って駅の写真を撮ります。返す刀で,陸橋の反対側の横浜羽沢(貨物)駅のほうも探検してみます。この駅ができたときにはまだ荷物列車が健在で,そのための上屋付の広いホームが残っているのが懐かしいです。荷物列車と言っても分かる人は少なくなってきたと思いますが,1986年までは国鉄ブランドで列車を使って宅配便のような事業を行っていたのでした(新聞輸送は今でも一部で残っている)。

横浜羽沢駅では何やらセレモニーの準備中
横浜羽沢駅を跨ぐ陸橋を歩いて行くと,ちょうどEF210が牽く貨物列車が入ってきます。これはラッキーとばかりカメラを構えますが,駅の入口のほうで止まってしまいます。着発線荷役で暫く止まって出てゆくのかと思うのですが,一向に動きません。そのうちに人の動きが慌ただしくなり,貨物の駅でも何やらセレモニーをやるようです。家に帰って調べると,横浜羽沢駅は直通線開業に合せてリニューアルし,今日から着発線荷役(E&S)を始めるとのことで,そのセレモニーの準備だったようです。

横浜線から見た連絡線の線路。住宅地のため防音壁で覆われている 2019.12.14
なんやかやで1時間以上を過ごし,9:48の新宿ゆき列車で羽沢横浜国大を後にします。この電車は埼京線のE233系7000番台です。雑誌(鉄道ジャーナル2019年12月号)の情報ではJRのE233系は直通線開業のために7本増備して38編成中6本使用,相鉄の12000系は6本を用意し4本使用だそうですが,見ているとE233系のほうが断然多いような感じがします。羽沢横浜国大駅は3年後開業の東横線への直通線が本命のようで,JRへの直通列車は分岐側の線路をしずしずと渡って,羽沢貨物線の本線に合流します。横浜羽沢駅を出るとほどなくトンネルに入り,またまた景色の見えない区間になります。車内では開業初日のため準備をしたのか,直通線や羽沢貨物線,新鶴見機関区などの沿線の案内が流暢に続いています。まさかこんな放送があるとは思わなかったので,録音しておけばよかったです。

羽沢横浜国大からトンネルを抜けると鶴見は間近か
大口あたりで横浜線と交差するはずですがコンクリートの防音壁で囲まれているため,景色はトンネル内と変わりません。横須賀線,京浜東北線,東海道線の下をくぐり,京急の生麦駅から花月園前駅のあたりで地上に出ます。

鶴見駅の貨物線。ここを直通線から来た列車は通る 2019.5.24
このあとは鶴見駅の東側をホームのない線路で通過し,東海道線,京浜東北線を大きな橋でオーバークロス,すぐまた横須賀線をアンダークロスと縦に複雑な線路を通って新鶴見信号場(元の新鶴見操車場)の西端の本線を進みます。

新鶴見機関区。横須賀線とは反対の西側を通る
その先はJR貨物の一大拠点の新鶴見機関区を右に見て走ります。区を抜けた後の留置線では交直流のEH500が休んでいるのが間近かに見えます。ここを過ぎると武蔵野貨物線のトンネルの入口を見て右にカーブし,新幹線と並行するようになります。この先で減速,ポイントを渡って横須賀線の本線と合流します。鶴見からここ(新鶴見信号場の武蔵小杉方出口)までは横須賀線が走る線路と今回新たに旅客定期列車が走るようになった線路の2つの複線があることになります。線路名称上は多分,どちらも東海道本線(品川~鶴見(品鶴線))なので,僕にとっては乗りつぶしの距離には影響しません。

新鶴見信号場の出口を過ぎると武蔵小杉
新鶴見信号場は広大で,本線に戻ると加速する間もなく武蔵小杉のホームが見えてきます。羽沢横浜国大から約16分,直通線初乗りの旅は完了です。武蔵小杉でも写真を撮るべく,ホームで暫く過ごします。ホームの出発案内を見ていたら,「横浜の真ん中と東京の真ん中を結ぶ...相鉄・JR直通線が今日からSTRAT!」のテロップが流れていました。横須賀線,湘南新宿ライン,直通線いずれも10~30分間隔で東京圏の鉄道としては頻度はそれほど高くないですが,3つ合わせると結構な頻度で,武蔵小杉のホームにいるとひっきりなしに列車が来る感じです。

前面非貫通,クルマのラジエターグリルのようなお顔が異彩を放つ相鉄12000系 @武蔵小杉
直通線の列車は全て10両編成ですが,ここを通る他の列車はラッシュ時は付属編成付の15両編成が多いです。月曜日にならないと分かりませんが,もれ聞くところでは武蔵小杉からの列車のラッシュはかなり激しいようなので,短い10両編成による混乱が心配されます。尤も,編成は短くても本数としては純増,グリーン車なしで10両まるまるが使えるので,輸送力は大きくなっているはずです。

武蔵小杉の発車案内。くだんのテロップが流れているが,後半が上手く撮れなかった
武蔵小杉からの帰りですが,最初は川越直通列車で川越,八高線経由,次は新宿まで行って八王子から大口で羽沢貨物線のトンネルの写真を撮って帰るなどを計画していました。今日はさんざん道草を食ってしまったので,蛇窪信号場の写真だけ撮って品川まわりで帰ることにします。品川~大崎間の復乗が認められるのは田町方面に行く場合に限られるので,大井町方面に下る場合は横須賀線を待たなくてはいけません。10:27の成田空港ゆきに乗れば10分ちょっとで品川着,京浜東北線に乗換え,鶴見を目指します。下の3.(2)のZ字ルートではなく右巻き「の」の字ルートですが,大都市近郊区間相互発着の大回り特例のおかげで,このルートでも羽沢横浜国大~鶴見の運賃は170円(この記事の運賃は全てきっぷ運賃)です。

花月園踏切で
鶴見到着後は,少し南の花月園踏切で何本か直通線の列車を鉄ちゃんして帰ります。開業初日の今日は近所の親子連れから大きなカメラの趣味者まで7~8人の先客がいます。少し割込ませていただいて,上の写真,とびらの写真,鶴見は間近かの写真などを撮ります。この場所は午後順光の場所で,あと2時間後くらいのほうが光線の加減はよさそうですが,午後は予定もあるので12時半過ぎ引上げます。
3.相鉄・JR直通線にかかわる制度の楽しみ
以上が当日の乗車記ですが,制度研究好きの僕としては相鉄,JRにいろいろな特別な制度ができたのが興味深いです。
(1)相鉄の加算運賃
瀬戸大橋線や京急の空港線など線路の建設費用の償却や施設のリース料に大きな費用のかかる路線にはその区間を通過する旅客に対し加算運賃が設定できることになっています。相鉄も加算運賃の老舗で,いずみ野線は1976年から設定しています。今回開業の西谷~羽沢横浜国大間も30円の加算運賃が設定されました。試みに海老名からの運賃を見ると,横浜までは24.6㎞320円ですが,西谷から羽沢横浜国大に抜けてしまうと19.8㎞で4.8㎞短くなり,通常なら290円です。ところが30円の加算により横浜までと同じ320円となり,西谷からJRに抜けられても減収にはならないよう上手く考えられています。

西谷~羽沢横浜国大の乗車券。30円の加算運賃がのっている
(2)分岐駅の鶴見に止まらないことによる区間外乗車特例
羽沢横浜国大から来た線路は鶴見で一旦,東海道本線と合流するので,運賃計算は鶴見から分岐することとして計算します。しかし,羽沢横浜国大から来た列車は武蔵小杉まで止まらないので,横浜方面に行く旅客は鶴見~武蔵小杉間を往復するしかありません。このためこの区間には特定の分岐区間の区間外乗車特例(詳しくはこちら)が設定されて,その分の運賃は不要です。

羽沢横浜国大~鶴見の経路
話を簡単にするために上では横浜方面と書きましたが,羽沢横浜国大から当の鶴見に行く場合はどうなるのでしょうか。武蔵小杉から乗った列車も鶴見には止まらず,次の停車駅は横浜です。この横須賀線の鶴見~横浜間にも区間外乗車特例が設定されているので,この区間の運賃も不要です。結局,羽沢横浜国大~鶴見間8.8kmの乗車券でZ字形に38.6㎞も乗ることになります。JR1お得というか,大変な無駄を強いられるというか,面白いきっぷです。尤も本当に用事のある人は,大人しく相鉄線で横浜を回るのでしょう。
(3)「の」の字乗車の不思議
上の例で,武蔵小杉で降りた後,横須賀線で戻らずに南武線,川崎経由で鶴見に来たとしましょう。この場合は営業キロ27.6kmの片道乗車券の扱いになり,大都市近郊区間の選択乗車特例(140円旅行の根拠)でやはり羽沢横浜国大~鶴見間の170円の乗車券でよいことになります。ところが鶴見発で同じルートを逆向きに乗った場合は,相鉄線方面行きの列車で鶴見に戻ってきてしまうので,その時点で運賃の通算は終了,鶴見~川崎~武蔵小杉~鶴見ゆき18.8km310円ナリとなります。このほかに元々の鶴見~羽沢横浜国大の運賃170円が必要なので,計480円です。キツネにつままれたような話ですが,同じ区間でも向きによって運賃が異なるのは,「の」の字乗車の常です。

鶴見駅に横須賀線ホームはない 2017.1.28
(4)羽沢横浜国大~東戸塚の扱い
鶴見~横浜羽沢~東戸塚の羽沢貨物線のうち東側半分の羽沢横浜国大までは旅客線になりました。横浜羽沢と羽沢横浜国大は同一駅の扱いですが,後者の線路は相鉄線方面に抜けているので,東戸塚方へは抜けていません。このときの横浜羽沢~東戸塚の扱いですが,答えからいえば今までと変わりありません。時刻表の表示上は縦線2本の他線区経由ですが,運賃計算上は普通に横浜経由と同じ扱いだそうです。鶴見~東戸塚間には厳密に言えば東海道本線と横須賀線の通る線路が別々にありますが,ちょっと離れていますがそれと同様にもう1本の線路があると考えるようです。
実際のJRの線路が延びた区間は横浜羽沢駅から羽沢横浜国大駅への渡り線だけでしたが,自分の住む横浜市内だったこと,運転形態から規則(旅客営業取扱基準規程)に新しいルールができたことでこの度の開業はとても楽しみでした。お天気にも恵まれ,初乗りも鉄ちゃんも気持ちよく楽しむことができました。JRの路線ではありませんが,3年後の東横線との直通を期して,今日の稿を終わります。(2019.12.1記,2019.12.14写真追加)