お正月に青春18きっぷで信州一周の日帰り旅行

今年(2020年)の年末年始の連休は,年末に北海道へ旅行に行ったので正月は大人しくしている予定でした。一方,その旅行のために買った青春18きっぷは2日分残っていますが,今年はカレンダーの並びが悪く1月第2の週末には使えません。家族は3賀日中から仕事なので,1月3日(金)は青春18きっぷの消化に,軽く信州へ鈍行乗継ぎの日帰り旅行に行ってきました。中央本線から小海線に入って,長野に出てから篠ノ井線,松本経由で1回りするコースはアルプスの山並みも美しく,首都圏発青春18きっぷで1日乗りたおすモデルコースにもなりそうです。

根岸線522Bと車内 @磯子 2020.1.3(以下,同じ)
出発はわが家最寄りの磯子駅を5:16に出る522B大宮ゆきです。もう少し家でゆっくりしたいところですが,日帰り旅行を計画するとどうしても欲張りになり,早朝発になります。1月の5時は真っ暗,3賀日中とあって電車に乗れば誰もいないガラガラです。

横浜線515K(手前) @東神奈川
東神奈川からの横浜線は余裕をとって5:48の551Kで予定を組みましたが,1本早い5:35の515Kに乗れるので,1本先行します。この1本は実は価値があり,この後の中央本線も1本先行できます。八王子には6:30着,中央線ホームに行けば6:35の429M八王子始発の松本ゆきがちょうど入ってきます。ここからの区間はボックスシートの座席でゆっくりしたいところですが,あいにく今日はロングシートの車両です。

鳥沢の鉄橋から。ようやく山裾の集落にも陽がさす @鳥沢~猿橋
高尾を出るとE電区間(今では死語?)も終わり,列車は上り坂をぐいぐい登ります。この辺りで浅川の谷間に朝焼けが広がります。今朝も関東地方の天気は良く,朝の山々がすがすがしい景色です。鳥沢の鉄橋ではいつもと反対側の景色を見て,やっと朝の山のきれいな写真が撮れます。大月を過ぎ,笹子峠を越えると列車は甲府盆地に出ますが,しばらくは日川の深い谷を進みます。長い新大日影第2トンネルを抜けると,左下に保存機のEF64を見て勝沼ぶどう郷駅に着きます。

甲府盆地と南アルプスの車窓 @勝沼ぶどう郷~塩山
ここから次の塩山駅まで,眼前に甲府盆地が広がり,その向こうには雪を頂いた南アルプスの山々がそびえる車窓は絶景です。根室本線狩勝峠,肥薩線矢岳と後ほど行く姨捨が日本3大車窓と言われますが,ここはNo4と思っています。またこの辺りでは反対側も大菩薩嶺などの関東山地の山々が見えて,こちらもきれいな山の景色です。

こちらは右手,果物畑の向こうに関東山地の山々が広がる @山梨市
8:09,甲府着。7分止まって,多くのお客さんが入替り,乗務員も交代します。甲府を出ると右に甲府運輸区を見て竜王,塩崎と盆地の中を快走します。塩崎あたりから上り坂がきつくなり,信濃境に向けて南アルプスの北辺を登って行きます。また,右手には八ヶ岳の大きな山容が広がります。

甲府の街中を抜けると八ヶ岳が見える @塩崎~韮崎
この先,小淵沢からの小海線は10:06までなく,元々は1本後の431Mの予定だったので途中どこかで列車1本分降りることができます。どこで降りようか悩ましいですが,今日は日野春と決めます。

新府駅はさながら富士山展望台のよう
甲府~小淵沢間には塩崎の後も韮崎,新府,穴山,日野春,長坂と新とか東西南北や旧国名の付かない端正な名前の駅が続きます。また,このうちの韮崎,新府,穴山,長坂はかつてはスイッチバックの駅でした。左手の車窓には鳳凰3山をはじめとする南アルプスの山々が広がります。列車は8:41に日野春に着き,ここで「あずさ1号」を退避します。

「あずさ1号」。見づらいですが後ろには富士山 @日野春
429Mは8:49に日野春を出ますが,僕はこの列車を捨て次の9:30の431Mまでゆっくりします。両隣は元スイッチバック駅ですが,日野春は駅の周囲が多少平らのようで,蒸気機関車時代に機関車が一息つくための給水塔の遺構が残ります。

日野春駅の給水塔。列車がいればよい写真なのですが...
駅を出れば天然記念物で国蝶のオオムラサキの記念碑の建つ展望台があり,南アルプスが一望できるようになっています。また,今日のとびらの写真も日野春駅で撮ったもので,写っている列車は八王子から日野春まで乗ってきた429Mです。

日野春駅前の南アルプス展望台で
日野春からは2駅13分のチョイ乗りで,9:43に小淵沢に着きます。ここでは10:06の小諸ゆきまで,約20分の接続です。

日野春~小淵沢のチョイ乗りの431M @日野春
小淵沢駅は最近改築されたきれいな駅舎で,3階には展望台もあります。南は南アルプス,北は八ヶ岳と山の景色がきれいです。上下の写真とそんなに変わらないので写真は省略します。

小海線はキハ110系の2両編成 @小淵沢
小淵沢からは「八ヶ岳高原線」の愛称を持つ小海線で小諸を目指します。小海線は日本の鉄道の最高地点を通るほか,高地駅ベスト10中9駅を擁する高原列車です。SL時代は高原のポニーC56が人気,無煙化後は空気ばねのキハ57がいたりしましたが,今はJR世代のキハ110系とハイブリッドのキハE200系で運用されます。

小淵沢駅ホームに建つ小海線の案内板

下のほうには駅の標高案内(拡大はこちら)
10:06,小海線のディーゼルカーは小淵沢を出ると大きな築堤を半円を描いて進み進路を東にとります。この築堤は列車の撮影ポイントとしても有名で,列車からは南に南アルプス,北東に八ヶ岳が見えます。

小海線車内から八ヶ岳を望む @小淵沢~甲斐小泉
清里は夏場は高原のリゾート地として若者が集いますが,正月は主に帰省のお客さんです。また清里駅にはSL C56が静態保存されています。

清里駅のC56。ホームとつながっており屋根付きで保存状態もよさそう
この辺りからは線路脇の日陰には雪が残っています。清里の先も上り勾配は続き,踏切がある所がサミットでJR最高地点です。またこの辺りは空気が澄んで天体観測にはよい環境で,国立天文台の電波望遠鏡の大きなアンテナが並んでいます。

JR最高地点の標柱 @清里~野辺山
県境を越え,駅としては最高地の野辺山からは長野県になります。次の信濃川上からは千曲川に沿うようになり,終点の小諸まで約50kmを流れと一緒に下ります。車窓は谷が狭まったり,開けて畑になったりしますが,日本の里山風景の中を進みます。羽黒下あたりからは佐久平になり景色も開け,遠くには浅間山も見えます。

小海線の後半は佐久平を進む @太田部
元・中込機関区の小海線営業所のある中込は佐久市の中心で乗り降りも多いです。佐久平で北陸新幹線と交差,三岡ではハイブリッドディーゼルカーと交換しますが,このあたりは地方都市の趣です。乙女では早ばやしなの鉄道線と合流し,12:20,時刻表どおり小諸に着きます。小諸駅ではしなの鉄道の湘南色の115系が迎えてくれます。

湘南色の115系と乗って来た225Dのキハ110 @小諸
小諸では35分あるので,お昼に駅そばでも食べようと計画してきましたが,小ぢんまりとした小諸駅にはそんなお店はなさそうです。小諸は新幹線に見放されてしまったため,駅前は静かな城下町の佇まいです。お正月で人影も少ない商店街を暫く行くとふつうのそば屋が開いていたので,なんとか信州のそばにありつきます。

小諸は新幹線がない代わりに高速バスで東京と繋がる @小諸
駅に戻り,しなの鉄道線980円のきっぷを買ってホームに入ると,645M長野ゆきは涼やかな水色の帯が懐かしい新長野色の115系です。

しなの鉄道線645M @小諸
元・信越本線のしなの鉄道線は滋野,田中,大屋と人の名前のような駅名が続きます。名前だけでなく駅舎も国鉄時代からの重厚な本線の駅舎を引継いで魅力的です。

重厚な本線の駅らしい田中の駅舎と信濃国分寺の駅前
反対に3セク化後に新設の信濃国分寺は焼肉の牛角と回転ずしのかっぱ寿司が駅前に並び,新旧の対比が面白いです。左の車窓は滔々とした千曲川の流れ,蓼科方面の山々を望みます。

スカ色の115系(@上田)と保存車の169系(@坂城)
しなの鉄道線では小諸で湘南色,白と緑の旧長野色を見,今乗っている電車は新長野色といろいろな塗色の電車が走っています。他にも上田ではスカ色の115系を見,他にももう1本スカ色の電車があるようです。眼を楽しませてくれるのはありがたいですが,それらの塗料の確保と維持の費用はバカにならないのではと心配します。なお,しなの鉄道でも115系の更新計画が発表されていて,2019年度から8年がかりで新車52両に置換えるそうです。

折返しの安茂里駅
13:48,篠ノ井着,ここからはJR東日本籍の信越本線です。昔はたくさんのEF64がたむろしていた篠ノ井機関区の跡には,オリジナル塗装のEF64が4両整然と止まっています。この先の行程は篠ノ井線を松本まで上りますが,ここで待っていても仕方ないのでもう少し長野方面に下ります。今日は寒く電池の消耗が激しいようなので予備の電池を買いたく,折返しは駅前にコンビニのある駅にしようと思います。迷っているうちに1985年開業と比較的新しい安茂里に着いたので,ここで降りることにします。

篠ノ井線2240M @安茂里
安茂里は隣りの長野に比べると圧倒的に小さな駅ですが,今日の青春18きっぷ旅行という意味では最も遠くの駅です。駅を降りるとちょっとしたショッピングモールがあり,マツモトキヨシまであって電池は難なく入手できます。14:11,篠ノ井線2240Mは身軽な2両編成でやってきて,帰途に就きます。篠ノ井を出ると線路端にはたくさんの鉄道マニアがいて,何やら珍しい列車が来るのを待っているようです。

篠ノ井線沿線にマニアが集う @篠ノ井~稲荷山
稲荷山では対向列車の遅れを待ち,5分くらい遅れての発車です。稲荷山を出ると勾配は急になり,姨捨,冠着に向かってぐんぐん登ってゆきます。左の眼下に善光寺平を眺めながら登って,速度を緩めると引上げ線に止まり,スイッチバックして姨捨に到着です。この列車は行き違い列車退避のためしばらく止まるので,たっぷり日本3大車窓を楽しみます。

姨捨駅からの眺め。この眺めがホームから見られるのが素晴らしい
冬なのに雪がないのが少々残念ですが,今日は黒姫山のほうまでよく見えます。下りの「しなの」がやってきたので,追いかけですが列車の写真も撮ります。8分くらい遅れて姨捨を発車,列車はさらに峠を登り,サミットの冠着トンネルに入ります。トンネルを抜けると冠着駅,少し下ると僅かばかりの平地が現れ聖高原です。ここでも鉄道マニアはたくさんいますが,一体どんな列車が走るのでしょう。後で聞いたのですがこの日はJR貨物からのお年玉で,オリジナル塗装のEF64の4重連が走ったそうです。それは篠ノ井駅で見た機関車で,そんなに貴重なものなら安茂里など行かずに篠ノ井で写真を撮っておけばよかったです。

姨捨の坂を駆け降りる「しなの」
2両編成の電車は帰省の戻りか定員の7割くらいの入りで,立っている人も多いです。右手の車窓には北アルプスのパノラマが広がるはずですが,今日はあいにくの曇り空です。西条を出ると1988年に線路が付替えられた区間になり,3本で計7kmの長いトンネルが続き,明科に着けばもう松本平です。

松本から塩尻間乗車の1536M @松本
松本では乗継ぎ時間は35分あるので信州名物のおやきを買いに駅ビルに走ります。おやきは小麦粉から作った生地に野沢菜などの具を入れた素朴な長野の郷土料理です。以前は駅ビルでそのまま食べられるものを売っていたと記憶しますが,今は冷凍ものが主流です。たった1個をチンしてもらって,持ち帰ります。

塩尻からはE127系のチョン行列車で善知鳥峠を越える @辰野
松本からの上り列車は「しなの」の遅れの影響で6分遅れで発車します。3賀日中でも夕方の時間で人の動きはあり,先ほどの篠ノ井線の2両編成に続き,この列車も座れません。少し挽回し,4分遅れの16:15,塩尻に着きます。塩尻では善知鳥(うとう)峠を越える旧線回りの辰野ゆきに乗換えです。昔はクモハ123の単行のミニエコーがまさにチョン行で走っていましたが,今は大糸線や篠ノ井線と同じE127系の2両編成,輸送力過剰なので車内はガラガラです。

塩尻から善知鳥峠へのアプローチもなかなかの景色 @塩尻~小野
塩尻を出た列車はまっすぐ塩嶺トンネルへ向かう新線を左に見て,リンゴ畑の中をぐるりと巻いて距離を稼ぎながら高度を上げます。先ほどの姨捨には及びませんが,ここから松本平を見おろし遠くに北アルプスを望む車窓も日本10大車窓に入ると思います。東塩尻信号場の跡を通過するとサミットのトンネルに入ります。峠の東側は比較的なだらかで,新しいステンレスの電車は軽快にレールを刻みます。小野,信濃川島と止まって,20分で辰野に着きます。

辰野~岡谷間はJR東海の電車で繋ぐ。229M @辰野
辰野から先も線路名称は中央本線ですが運転系統はJR東海の飯田線と一体化されていて,駒ケ根から来る229Mに乗換えます。この列車も2分ぐらい遅れてきますが,大きな問題ではありません。列車は天竜川に沿って上り,途中,川岸に止まって,約10分で岡谷駅の玄関ホーム脇の0番線に到着です。

岡谷~上諏訪間の442M @上諏訪
岡谷では11分の接続で17:10発の442M大月ゆきに乗換えます。442Mは6分くらい遅れてやってきて,下諏訪では下りの「あずさ」を待たせて交換です。この岡谷~茅野(正確には上諏訪~茅野間にある普門寺信号場)間は未だに単線で,中央本線の隘路です。ネットダイヤに近い運転間隔なので,ちょっとした遅れでも影響が上下線に波及します。ここでの遅れを背負ったままの「あずさ」が高尾以東のE電区間に割込んでくることもしばしばあります。諏訪大社もある信仰の山と諏訪湖の間の住宅密集地ではありますが,何とか複線化できないものでしょうか。

上諏訪温泉片倉館
このまま帰れば22:00過ぎには磯子まで帰れますが,せっかく諏訪まで来たので温泉に浸かって帰ります。以前,辰野在勤時は下諏訪の町営温泉,湖畔の湯がお気に入りでしたが,今日は上諏訪の片倉館に行くことにします。片倉館は諏訪地方の繊維産業の栄華を今に伝える温泉施設で,国の重要文化財にも指定されています。寒い長野で機織りの女工さんの慰安の施設だけど,長湯できないように湯舟が深いとの説もある千人風呂--実際は50人がよいところ--は一見の価値があります。今日は到着が17:30なので食堂(17:00まで)や休憩室(18:00まで)は見ずに,お風呂だけゆっくり浸かって小1時間を過ごします。

上諏訪~大月の446M。上と同じような写真ですみません @上諏訪
この時間の中央本線の鈍行は接続が悪く,妙に時間がかかったり,スジが切れていたりするので,帰りは19:26の大月ゆきにします。それまでの間に駅前の再開発ビルに行って食事を済ませます。以前ここには丸光(更生後はまるみつ)百貨店があって,デパート内温泉がありました。まるみつの閉館後8年を経て,きれいな再開発ビルのアーク諏訪が2019年2月に開館しましたが,残念ながらこのビルには温泉はないようです。1階に食品スーパーツルヤが入っているので,惣菜や弁当,飲み物を買い,イートインエリアでさっそくいただきます。

大月からの2130M。空が澄んで半月がきれい @四方津
19:26の時間にあわせてホームに行けば,ダイヤも回復し時間どおりに列車はやってきます。この大月ゆき列車は,長野発,篠ノ井線から中央本線に直通し210.3kmを走る長距離鈍行です。以前から贔屓にしているのですが,乗ってしまえば景色も見えない夜の移動で消化試合です。退避待ちの「あずさ」の遅れで大月には少々遅れて着きますが,接続の2130Mは待っていてくれます。たくさんの乗換え客と一緒に跨線橋を渡り,2130Mに落ち着きます。2130MはE233系10両編成の東京直通列車です。以前は大月~東京間のオレンジ色の列車を嫌っていましたが,新しくてきれい,空いていて大抵座れる,高尾での乗換えが不要なので,最近はこれも意外とよいと思っています。難点はトイレがないことで,大月到着前に済ませる,途中の特急退避のときに駅のトイレを使うことになります。今日のように諏訪で気持ちよく飲んだ晩などは精神的に面倒ですが,近いうちに中央線のE233系にもグリーン車が連結されるので,これも昔話になります。

横浜線2230K(@橋本)と根岸線2205A(@磯子)
2130Mも退避待ちの「あずさ」の遅れで少し遅れての到着ですが,八王子でトイレを済ませ,横浜線に乗換えます。暖房のよく効いた車内で小1時間,東神奈川に着けばゴールは間近です。最後は根岸線・磯子ゆきに乗換え,予定どおり23:48,スタートの磯子駅に帰ってきます。

今日の行程表
締めてみれば,乗車距離513.5km(この他しなの鉄道43.1km),時間で18時間32分の大旅行でした。

今日のGPS log
勝沼~小淵沢の中央本線のアルプスの車窓,しなの鉄道の115系,本場の信州そばとおやき,姨捨のパノラマ,上諏訪の温泉と青春18きっぷ1枚でたっぷり楽しむことができました。ふつうの人には少々乗り疲れ感があるかもしれませんが,当初の目論見どおり首都圏発で山の景色を楽しむ日帰り旅行のモデルコースと言えそうな1日でした。(2020.2.9記)
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旅心をそそる長距離鈍行列車・長時間鈍行列車リスト/2020年3月14日改正ダイヤ

今年(2020年)も3月14日にJRグループのダイヤ改正が実施されます。今年は新線の開業はありませんが2011年3月の東日本大震災から区間運休・バス代行が続いていた常磐線富岡~浪江間が復旧,列車の運転を再開します。復興の一歩前進をお祝いしたいと思います。そのダイヤですが,水戸か勝田発で仙台ゆき列車が設定されれば200km超えの長距離鈍行などと期待していましたが,蓋を開けてみれば東北本線福島~盛岡間のようなぶつ切りダイヤです。輸送量と輸送力のバランスや車両運用の単純化,ダイヤ乱れの波及の抑制という意味でこの方が効率的なのですが,長距離鈍行マニアとしては少し残念です。

ひと足先の2016年12月10日復旧区間の山下駅 2018.3.25
さて,長距離・長時間鈍行列車ですが,長年にわたり表の末尾にランクインしていた宮崎から隼人へ吉都線~肥薩線回りで走っていた列車が,吉松で分断されて圏外になりました。同区間を走る上りは残っていますが所要時間4:03で基準を満たしません。36分も後に出た普通電車に追いつかれてしまう鈍足ぶりと,南九州の山あいを辿るルートから1度乗りたいと思っていたので,残念です。反対に,芸備線~福塩線の1840D~1730Dと土讃線の4243D~4247D~4757Dが今年新たにランクインしました。芸備線~福塩線の列車は三次で1時間9分,土讃線の列車は阿波池田と高知でそれぞれ32分の長時間停車があり,表定速度は20km/h台です。こんな列車でもこのご時世に新規のエントリーは嬉しいものです。

昔の土讃線の鈍行列車 1983.2
これらを除けば2019年版と変わり映えしませんが,2020年版の長距離鈍行列車・長時間鈍行列車ランキングをお届けします。今年も一部の写真のキャプションは乗車記へのリンクになっています。興味があればこちらもご覧ください。

拡大はこちら
今年も1位は関西のアーバンネットワーク,敦賀から米原経由で播州赤穂まで275.5kmを走る3327M~3527Mです。2016年のダイヤ改正で赤穂線に乗入れる新快速が激減し,敦賀発の西行はこの1本だけが残りました。東行は播州赤穂発は長浜ゆきが最長になり,敦賀まで行く列車の西端は姫路,この他に網干~近江塩津間の列車もあります。なお,3327M~3527Mですが敦賀発の車両は姫路どまりで,播州赤穂まで行く車両は米原で連結するので,全区間を直通する車両はないそうです。

敦賀で発車を待つ新快速列車。今のダイヤなら3193Mに相当 2015.7.20
2位は上野東京ラインの熱海~黒磯間268.1kmを走る1644Eです。この区間を走る列車も平日は北行のみで,南行の黒磯発は土休日ダイヤにしかありません。平日ダイヤでの東北本線の北限は氏家始発という1日1本しかない列車です。上野東京ラインも北側が東北本線と高崎線系統,南側が伊東線とJR東海沼津まで乗入れとバリエーションがあるのでまとめ方に苦労します。この系統の長距離鈍行は東海道線と東北本線・高崎線のスジを繋ぎ合わせたもので,車両運用の都合から朝と夜の乗りづらい時間に偏っているのも特徴です。また,JR東日本の首都圏エリアのグリーン料金は51km以上青天井なので,これらの列車に乗るときはグリーン車利用がお得です。

熱海~黒磯間268.1kmを走っていた1586E(2019年ダイヤで消滅)と同区間のグリーン券 @東京 2017.7.31/2015.3.22
3位は北海道,宗谷本線の旭川~稚内間259.4kmを走る321D~4323D~4325Dです。長時間停車のうちに2回列車番号が変わりますが,実態として1本の列車です。新旭川~稚内は長大な盲腸線,一度乗ったら同じ線を戻ってくるという乗りづらさも魅力的です。以前は15位の根室本線のほか,函館本線や石北本線にも長時間鈍行がありましたが,今ではこの列車が北海道を代表する鈍行列車になりました。

宗谷本線の4323D~4325Dとサボ @幌延 2017.8.3
4位は中央本線(東線)・篠ノ井線の高尾~長野間245.0kmを走る441Mです。この列車は比較的新しく2017年の設定で,これまた下りのみ片道の運転です。長野がたが夜にかかってしまいますが,関東山地や南アルプスの山の景色がたっぷり楽しめ,首都圏発の鈍行列車を楽しむ旅行にはぜひお薦めの列車です。

中央線441M。東京からの鈍行列車を楽しむにはお薦めの1本 @高尾 2018.3.10
5位と10位は1,2位のバリエーションといえる列車です。5位は関西のアーバンネットワークの北陸本線~山陽本線の列車ですが,湖西線でショートカットするため,距離的には短くなります。また,10位の湘南新宿ラインは,上野東京ラインより運用範囲が一回り小さいため前橋~小田原間の208.3kmが最長です。
7位は東海道線の早朝の静岡~岐阜間の列車で,これも下りのみの設定です。浜松と豊橋を突き抜けて走る列車は菊川,掛川~岐阜間の列車が幾本かありますが,静岡からのものはこの1本だけです。変な推測ですが,静岡地区がトイレのない211系ばかりだった昔,酔った客の多い夜遅くの名古屋/浜松方面からの列車にトイレ付きの編成を充当し,その戻りの運用が今も残っているのでしょうか。

東海道線3109F @静岡 2019.3.23
鈍行列車そのものと景色を楽しむなら,8位の飯田線を全通する列車がお薦めです。距離では200㎞そこそこですが,運転時間は6~7時間かかり,南アルプス・中央アルプスの山々と天竜川の車窓,人里離れた秘境地帯とたっぷり楽しめます。岡谷から入っても,豊橋から入っても,首都圏から青春18きっぷで回ることができます。

距離では8位だが時間では1位になった飯田線544M(旅行記は519M) @伊那市(?) 2010.8.15
18位は第3セクター鉄道の三陸鉄道です。去年のダイヤ改正時にJR東日本山田線・宮古~釜石間の移管を受け,盛~久慈間を全通する列車が設定されました。このランキングでは民鉄・3セクは見ていなかったのですが,時刻表で本文中に掲載されることでもあり掲載しています。それ以前は民鉄・3セクにそんな長距離・長時間列車はありませんでした。古くを遡ると,東武~野岩鉄道~会津鉄道の浅草~会津田島間に4:30超えの快速列車が走っていたそうです(サイト訪問者の情報による)。この三陸鉄道の列車ですが,運転時間が4:38と4:33でぎりぎりでの基準クリアなので,今後のダイヤ改善で圏外にならないか心配です。

三陸鉄道5205D~5009D~5111D @盛 2019.7.14
16位の羽越本線831Dは,新津~酒田の運転時間が4:30を超えたり,切ったりしている列車です。近年は毎年チェックしていて,今年は4分スピードアップされましたが,基準を何とかクリアです。車両が電気式ディーゼルのGV-E400系になって大幅スピードアップが図られ,今年は陥落と予想していました。たった4分しかスピードアップできなかったのは,単線・複線の混じる区間でダイヤ修正が難しかったか,沿線の学校などとの調整が間に合わなかったか,そんなことはないと思いますがJRのご担当が手を抜いたか,どうしてでしょう。

写真がないので831Dと似た区間を走る9822M「きらきらうえつ」 @羽後本荘 2019.7.15
(臨時列車ですがこの日は秋田~新潟273.0㎞所要4:24の長距離列車でした)
毎年,時刻表をチェックといえば15位の根室本線の新得~釧路間列車も気になる存在です。2016年ダイヤでは最長鈍行だっただけに,台風被害の復旧と運転再開を期します。また,このランキングを作るための時刻表のチェックですが,大判の時刻表を一とおり目を通す必要があります。今年の例でいえば東海道線の早朝の品川~小田原間に列車が1本増発されました。ふつうでは気づかない発見ができるのも,辛くても年中行事にしている理由です。

根室本線の長距離鈍行と専用サボ(いずれも2429D時代のもの)@落合 2015.5.3
最後にリストの掲載基準ですが,距離で200km以上,時間で4時間30分以上,掲載順は距離順です。対象は定期列車だけですが,土休日運休の列車は対象,土休日のみ運転の列車は対象外です。また,同一区間を運転する列車が条件を満たせば,反対方向の列車も載せています。僕が時刻表を手繰って確認しただけなのでヌケやモレがあってもご容赦ください。また,一部の写真が毎年同じで申し訳ありません。(2020.3.7記,2020.3.14誤記修正)
最新版はこちらから参照ください。
また,最新版の一番後ろに各年版へのリンクがあります。
知って楽しいJRの旅客営業制度11--急行料金の割引き(乗継割引き)

「くろしお」,「南紀」も新幹線から乗継げば割引きの対象 1982.2
JRの旅客営業制度の考察,11回目は急行料金の割引きについて説明します。旅客営業規則では特急も含めて急行というので,特急券の割引きも含めて扱います。また,「割引き」というタイトルはつけましたが,そんな制度がたくさんあるはずもなく,実態としては乗継割引きの解説です。今回は余裕があるので,古いきっぷなども載せながら,昔話も付け加えます。

乗継割引き適用の特急券。「乗継」と大きく印字される

昔は常備券でも「乗継」と印字されたものがあった
(豊岡のものはJR化後ですが「こくてつ」の地紋)
1.乗継割引きの基本(旅客営業規則(以下,規)57条の2,126条の2)
新幹線と在来線,新幹線または「サンライズ瀬戸」と四国の急行列車相互間を乗継ぐ場合で下の条件を満たすときは,在来線の急行券が半額になるものです。
(1)乗継ぐ列車の組合わせと乗換駅

乗継割引きのまとめ
(2)2列車に乗る日は,新幹線~在来線のときは当日限り,在来線~新幹線のときは当日または翌日に限る。
(3)乗車区間の乗車券と両方の列車の特急券を同時に買う場合に限る。
(4)新幹線の両側で在来線と乗継ぐ場合は特急料金が高いほうの1列車に限る。例えば,益田~(おき)~新山口~(新幹線)~米原~(しらさぎ)~金沢の場合は「しらさぎ」だけが半額。
(5)基本的に1人用個室以外の個室の設備を使う特急券は割引きの取扱いをしない。

割引きの条件となる新幹線の特急券にも「乗継」の証明をする
2.新幹線~在来線の乗継ぎ割引について
(1)乗継割引きの経緯
乗継ぎ割引のそもそもは,新幹線ができたときに東京から山陽・九州方面への直通旅客が,直通列車がなくなったうえに新大阪や岡山での乗換えをしいられるようになったこと,更に新幹線の高い特急料金の負担があることから,これらの救済のためにスタートした制度と心得ています。家にある時刻表の営業案内を紐解くと,東海道新幹線開業の1964年10月号には乗継割引きの記述はありませんが,全国の特急列車網を整備したエポックメーキングなヨン・サン・トオダイヤ改正の1968年10月号にはその記述があります。新幹線~在来線の乗継ぎでは多かれ少なかれ同様の事情ですから,東京駅を除く新幹線駅全てと大阪駅を対象としていました。制度の趣旨に照らして,東京~九州間の寝台特急は割引くに当たらずと考えたのでしょうか,この時から割引きはありませんでした。

43-10のダイヤ改正号の時刻表(復刻版) 日本交通公社 1984年7月刊
列車に乗る日が在来線~新幹線の場合は翌日でもよいのは,九州発の寝台特急から新大阪や岡山で乗継ぐケースを想定していたのでしょう。往きと帰りで異なる面白い制度ではあります。
時代は下り,東北,上越の新幹線ができると乗継割引きの制度は受継がれ,東京,上野,大宮を除く各駅での在来線への乗継ぎが割引きになりました。福島からの「つばさ」や盛岡からの「たざわ」,「はつかり」などでも盛んに使われたことと思います。新幹線網の整備が進むとこれらの特急は(整備)新幹線やミニ新幹線に取って代わられました。

東北新幹線が盛岡までの頃の「はつかり」の特急券
(2)乗継割引きの応用~長距離の寝台特急を追いかける
新幹線~九州特急を除く在来線特急というのは意外と応用範囲が広く,国鉄~JRの意図とは多少異なりますが,こんな使い方もできました。今でも条件を満たせば可能ですが,そもそもこれらの列車はなくなってしまったものが多く,昔話です。
北海道夜行の「北斗星」は上野発時刻が早く,仕事を終えてからでは間に合わない時間でした。このため,新幹線で郡山,福島,仙台へ追いかけてつかまえることがありましたが,この時の「北斗星」は乗継割引きでした。逆に,上野まで「北斗星」に乗っていたのでは会社の始業に間に合わないので,郡山から新幹線で会社に駆込んだこともありました。今でも「サンライズ出雲・瀬戸」を熱海でつかまえる乗継ぎは可能ですが,新幹線で行っても東京を出る時間は10分しか変わらないので,実用的ではありません。

新幹線で追いかけて乗った「北斗星」の特急券

「サンライズ瀬戸」の特急券・寝台券
このときは呉在勤で,岡山から新幹線で呉に戻った。飛行機の初便より少し早かった
(3)乗継割引きの応用~新幹線で行って在来線で帰る
乗継割引きの趣旨に沿った利用とは到底言えませんが,往路は新幹線で,帰りはゆっくり在来線でというときの在来線に乗継割引きが使えます。静岡への用事のときに,往きは新幹線,帰りは在来線の特急「東海」(今は廃止)を使うことができました。岡山に行く用事がある時,往きは「サンライズ出雲・瀬戸」で,帰りは新幹線というのもありです。在来線を先に乗る場合は,翌日の乗継ぎでも適用になるので,岡山でほぼ1日を過ごすことができます。今でも京都~姫路間で「はくと」などという利用が考えられますが,新快速が15分間隔で走るなか,敢えて「はくと」に乗ることもなく,これも実用的ではありません。

「東海」の「乗継」の特急券。ただし,この時は駒ケ根からの帰り
3.本州~四国間の乗継割引きについて
本州~四国の乗継割引きは歴史的に2つの制度があります。一つは「サンライズ瀬戸」号を利用し,坂出または高松で乗継ぐ場合で,本四備讃線開通前の寝台特急「瀬戸」時代からの規定を引継ぐものです。
もう一つは2.の新幹線~在来線のルールの一部として,坂出と高松での乗継ぎを認めるものです。ただし,岡山~坂出,高松間を特急で来た場合は,その分で乗継割引きの権利は行使済なので,その次に乗る特急の分は割引きになりません。
なお,新幹線から岡山乗継ぎで「しおかぜ」または「南風」に乗り,宇多津,丸亀,多度津で四国島内系統の「しまんと」または「いしづち」に乗継ぐ場合の「しまんと」,「いしづち」はとくにNGとの規定がありません。これを規定するのは規57条2という1つ特急券で複数列車の乗継ぎを例外的に認める条文なので,適用可能と考えています。尤も,時刻表を見ると,ここ数年で「しおかぜ」,「南風」系統の列車が充実し,岡山直通列車が増えたのでそもそもこのニーズはなさそうです。

昔の高松駅風景 1979.8.13
4.本州~北海道間の乗継割引きについて
かつては,四国同様に対北海道でも,乗継割引きの制度がありました。青森まで特急列車で来た場合,青函連絡船や海峡線の列車を介して,函館からの特急列車が割引きになるものです。また,新幹線~在来線の割引きとは趣旨が違うので,東北新幹線~盛岡~(はつかり)~青森~(海峡線)~函館~(北斗)~札幌の場合,「はつかり」と「北斗」は両方とも半額でした。北海道新幹線ができた今では,新函館北斗まで直接新幹線で行けるようになったので,通常の新幹線~在来線乗継ぎのルールの中で運用できます。


寝台特急「ゆうづる」と「おおとり」の乗継ぎ
奇跡的に(?)このときの写真もありました 1986.12.28

函館接続の特急用の常備券
5.乗継割引きの今
乗継割引きの制度の始まりは2.に書いたとおりですが,新幹線網が整備され,新幹線の利用がふつうになると,新幹線利用による割高感の救済は無用の心配になってきます。このため現在は乗継割引きは消極的になっていて,JR各社でも温度差があります。

JR九州でも乗継割引きがあった頃の特急券
先ず,JR九州ですが,JR九州管内では乗継割引きはありません。鹿児島中央まで新幹線が通じたので途中で乗継ぐという概念がなくなった,JR九州内は全てがB特急のうえ短距離の特急料金も用意し全般として特急料金が割安になった等の理由から,制度としての役割を終えたと判断したようです。かつては,「かもめ」や「有明」の車内で本州発の乗車券を見せて特急券を買うと,車掌が「博多までは新幹線で来たのですね」と確認のうえで,半額で車内券を売っていました。それほど積極的に適用していましたが,反面,それが煩雑になったとも考えられます。

以前なら適用可だったと思うが,この時点(2014年)で適用不可だった「あけぼの」
次にJR東日本は,乗継ぎに関して厳密に順路であることを意識して,適用可能な駅を列挙する方式に改めました。以前は仙台への往復に関して,往路は新幹線で,復路は常磐線の「ひたち」でという乗継割引きが可能でした。このような制度の趣旨と合わない乗継割引きを排除するよう,適用可能な駅を絞っています(1.の表参照)。上のきっぷの当時は,新青森接続で弘前や大館に行く「つがる」は乗継割引き適用でしたが,「あけぼの」は名指しで除外されていました。
JR東海とJR西日本は従来と変わらぬ制度を維持していますが,山陽新幹線の九州内の小倉,博多は除外,北陸新幹線もJR東日本方式を踏襲しています。北陸新幹線の場合は在来線が3セク化されてるので,3セク会社の特急料金は割引きにならず,上越妙高の場合は直江津以遠,金沢の場合は津幡以遠のJR部分の特急料金が半額になります。なお,金沢も指定にあるので,北陸新幹線で来て,サンダーバードで小松や福井へ行く場合も乗継割引き適用です。

サンライズ出雲・瀬戸 @横浜 2019.1.3
6.乗継割引きの運用
(1)同時購入条件の運用
乗継割引きの適用を受けるには,乗車券と特急券を同時に買わなければならいことになっています。5.に書いたJR九州の例は少々やり過ぎの感もありますが,比較的柔軟に運用されているようです。さすがに1.の表で条件となる列車の特急券なしに割引く例は考えられませんが,一般に同時でなくても,条件となる新幹線特急券を提示すれば割引いてもらえます。また,旅客営業取扱基準規程97条2で,乗継割引きを請求したのに満員等で売れない場合は「乗継請求」というハンコを押すことになっていますが,見たことがありません(そういう請求をした憶えもないですが)。

発行日付から「はつかり」分は後から青森で買っている
(2)快速列車の乗継割引き
この記事を書いて思い出したのですが,快速列車の指定席で乗継割引きの適用を受けたことがありません。先般乗った「きらきらうえつ」も新潟乗継ぎで条件に合います。しかし,乗継割引きは条文のタイトルが「乗継急行券の発売」で,条文も「急行列車相互間に乗継ぎをする場合で...」という書き出しです。従って,快速列車ははじめから相手にされておらず,快速列車の乗継割引きという概念はありません。

「伊那路」はA特急料金だがデッキなしの373系で運転 2015.7.29
7.乗継割引きのこれから
毎回最後に書いているこの制度のこれからですが,5.に書いた現状を考えれば消極的にならざるを得ません。JR東海だけ見ると,この会社にはB特急の制度がないので,新幹線で来ていただいたお客さんに限り在来線特急券を割引きサービスします...という考え方はあります。これとて鈍足な「伊那路」や「富士川」をB特急にすればよい訳で,JR九州同様に乗継ぎ割引きの制度を全廃としても大きな問題はなさそうです。旅客営業の制度で割引きといえば往復割引きか乗継割引きくらいしか思い当たらないので,趣味的には乗継割引き適用になるとワクッとします。先は心配ながらも,制度のあるうちは密かな楽しみかな...というのが乗継割引きのこれからです。(2020.2.8記)
知って楽しいJRの旅客営業制度バックナンバー
1.大都市近郊区間と140円旅行
2.きっぷの有効期間と途中下車
3.乗車券の経路と種類
4.運賃計算の基本と割引き,加算
5.区間外乗車のいろいろ・その1
6.区間外乗車のいろいろ・その2
7.特定市内駅と駅に関わる規則
8.新幹線と周辺の乗車券の規則
9.急行券・特急券と周辺の規則
10.新幹線特急券に関する規則