2020年夏のアクティビティ3--青春18きっぷで福島へ小撮影行・後編

(前編から)
巣ごもりで大きな旅行のできない今年(2020年)の夏ですが,8月には用心を重ねて福島に撮影行に行ってきました。今日はその後編,2日目のアクティビティと復路をお届けします。

福島駅前には作曲家,古関裕而のモニュメントが 2020.8.21(以下全て同じ)
1日目は磐越西線の磐梯山の麓で写真を撮りましたが,2日目は福島の周辺で活動します。東北本線の金谷川~松川間は43.10のダイヤ改正を機に線路が改良された区間で,上り線は単線の高架で小高い丘の間の田んぼを一跨ぎしています。昔から有名な撮影地で,一度行ってみたいと思っていましたが,僕は今回が初めてです。ここで写真を撮ってから,少し遠回りをして青春18きっぷでの「乗り鉄」を楽しんで帰宅するのが今日の行程です。

この日も朝は早い。5:45の始発1120Mで福島を出発
5:00過ぎ,目覚ましで起きてホテルを出発します。ホテルは朝食サービスの東横インですが,この時間では準備ができていません。福島の駅前に着くと中合デパートの建物が駅前の一等地にありますが,店じまいセールも終わったところで,時代の流れを感じます。信号を渡り駅前広場に出れば,今,放映中のNHK朝の連続ドラマ「エール」の主人公の古関裕而が福島の生まれだそうでピアノを弾く姿のモニュメントがあります。

撮影地に着くとすぐに旅客列車が。2126M
ホームに入れば始発の矢吹ゆき1120Mは玄関ホームからの発車です。目覚ましの缶コーヒーを飲んでいるうち10分で金谷川に着きます。もたもたしていると列車が来てしまうので,早々に撮影地のほうへ歩きます。事前に地図を印刷してきましたが,ここは分かり易い1本道です。先ずは高架を見上げる県道から何枚かを撮ります。

朝日を受けてEH500牽引の貨物がやってきた。8068レ
ここに着いて15分後くらいに最初の貨物列車が来ます。ここは直線ですが金谷川の駅の出口がカーブで速度制限があり,思ったよりゆっくり走ってくるので写真は撮り易いです。連写モードではメモリーが無駄なくらいバシャバシャ撮れます。

こちらは少し引いて山を大きくしてみます。94レ(デジタル編集あり)
20数両繋いだ貨物列車は長く,後ろのほうは高架の向こうに隠れてしまいます。どうせ隠れてしまうならと,引っ張って後ろの山を大きく入れたのが94レの写真です。この山は吾妻連峰で,冬場は雪をいただきとてもきれいです。また,吾妻連峰はもっと西の印象で,ここの線路は思ったより東西に寝た方向に走っています。

朝の通勤時間帯で電車も多い。2128M
7:00を過ぎ,電車も増えてきます。少し場所を変えて高い位置に登ってみます。この撮影地は線路横,あるいはもう少し高い位置からが有名ですが,登り方が分からないので,とりあえず下で小1時間撮りました。上への登り口は探すまでもなく,保線用通路のような形で接道しています。

この電車は線路とほぼ同じ高さで。1122M
軽トラ1台が通れるくらいの通路を登ってゆくと小広くなっていて,10人位はゆうに入れそうな広さがあります。今日は僕1人ですが,北斗星の末期や臨時列車が走る時は大混雑になるのでしょう。

こちらは少し登って高い位置から。3064レ
ところでこの場所ですが今の時間はほぼ正面からの陽射しです。本来ならもう少し遅いほうがよいのですが,狙いは貨物列車なので,貨物の多い時間を選んだらこの時間になったのです。

570Mは仙台からの701系
徐々に陽が南に回ってきて,3074レの時間にはぎりぎり側面にも陽があたるようになります。この列車は今日のとびらの写真ですが,コンテナの色が揃っていて編成もきれいです。3074レに続き,5分も間をおかず3086レがやってきます。この列車の後は昼前まで貨物列車がありません。

8:00ちょうど頃,朝の貨物の最後の3086レ
最後にもう1本電車を撮って,ここでの鉄ちゃんは終了とします。

これで今朝のアクティビティは完了。2132M
滞在時間2時間半くらいで,貨物列車5本を撮ることができました。天気もよく大満足です。難を言えば少し霞がかかって,吾妻連峰がはっきり見えていないことですが,空気が澄んで雪がきれいな時期に再訪したいと思います。

金谷川駅
駅に戻ればここは福島大学のキャンパスも近く学生が多い町です。この時間は無人ですが,駅員の配置もあるようです。

金谷川駅で。3089レ?
金谷川から福島に戻りますが時間は未だ9:30です。もともとは11:00前に戻る予定だったので,1時間半くらい時間ができました。さて何をするかです。以前から福島の先の桑折あたりの新幹線と在来線が並んでいる景色が気になっていたので,この辺で乗ったで降りたですることにします。福島9:53の1183M白石ゆきに乗れば10:06に桑折に着きます。

桑折駅4景。駅舎,レンガ積み燃油庫,駅裏は新幹線が走る,ホームに残る安全塔
桑折は思っていたとおり新幹線がすぐ裏を通り,掛川並に乗換えは便利そうですが,この駅が新幹線駅になる目はないでしょう。新幹線の写真を撮るつもりでここまで来ましたが,なかなか写真になるところはありません。そもそもこの辺りでは「はやぶさ」はトップスピードの320km/hで走っていると思われ,速くてまともに写真が撮れません。また,桑折駅の近くには旧・伊達郡郡役所などの史跡もありタウンウォーキングも楽しそうですが,既に30度を超えているようなので駅近くにとどめます。近くの果物畑では桃が色づいていますが,ここの桃は品質が良く皇室献上の品だそうです。

藤田の駅近くの踏切で
次には桑折発10:52の快速でまた1駅下り,藤田に行きます。ここは駅舎を建て替えたばかりのようで,クーラーの効いた駅舎が嬉しいです。ここでも新幹線の写真を撮ろうと付近を歩きますが,ここというポイントはありません。代わりに在来線の踏切でなんとか写真が撮れそうなので,貨物列車を2本撮ります。

スタンプの成果。桑折駅,藤田駅
そのほか桑折,藤田とも駅舎をデザインしたスタンプがあり,スタンプ2つもこのちょい旅の成果です。

金谷川~福島~桑折~藤田~福島の4列車まとめて
1129M@金谷川,1183M@福島,3573M@桑折,3582M@藤田
藤田を11:46の快速に乗り,12時過ぎに福島に戻ります。何回か前の記事で列車の併合の写真を撮りたくて拝島に行ったことを書きましたが,東北新幹線の福島と盛岡では1日に何回も行われています。これを思い出し,「つばさ・やまびこ」の併合シーンを撮りに新幹線ホームに急ぎます。入場券を買ってホームに上がればちょうど「やまびこ・つばさ138号」の時間で,先着の「やまびこ」が入ってくるところです。続いて昆虫の口のようなカバーを開いた「つばさ」が入ってきて,手旗による誘導もなく3回止まって,併合完了です。

「やまびこ・つばさ」の併合シーン @福島
福島では軽くそばの昼ご飯のつもりですが,新幹線改札内の駅そば屋が空いているで,ここできつねそばをいただきます。食後はあとで乗る原ノ町ゆきのバス乗り場の位置を確認します。この乗り場は福島駅新幹線側の西口高速バス乗り場の一番はずれ,最も不便な所でした。その道々の福島駅裏には放射線の線量計がありで0.128μSv/hを示しています。それがどのくらい深刻な値なのか分かりませんが,改めて原発事故の影響を想起するとともに,早くそんなことを気にしないでもよい日常が戻ることを祈念します。

駅裏「コラッセひろば」の放射線線量計
駅に戻って,次は12:51の奥羽本線の鈍行で峠を目指します。奥羽本線の福島~米沢は最急勾配38パーミル,スイッチバックが4駅連続,機関車も4110,E10,EF16,EF64,EF71と専用かそれに近い形式で運転された鉄道の難所です。山形新幹線開業前は独身貴族だったこともあり,ED78,EF71の写真を撮りに通いました。できれば米沢まで行きたいところですが,時間の関係もあり今日は峠までです。

奥羽本線441M @福島
福島を出た列車は左にカーブし西に進路をとります。右側には交流機関車各形式が憩う福島機関区がありましたが,今は整地され,そのうち宅地にでもなるのでしょう。笹木「野」,庭「坂」とこれから郊外の峠道に向かうことを思い起こさせる駅に止まります。以前は719系2ユニット連結の4両編成もあったと思いますが,最近のダイヤでは2両編成しかないのか各駅のホームは鉄の柵で短く仕切られています。

庭坂~赤岩間で福島盆地・信夫山方面を望む
庭坂を出た列車は築堤を大きく右にカーブして,松川の谷の出口にとりつき,以降は松川に沿って登ってゆきます。赤岩は駅としてはあるものの全列車通過で,次は板谷です。板谷はスイッチバック時代のスノーシェッドの中の棒駅,次の峠も同じような棒駅ですが,峠の力餅屋さんの立ち売りがあるところが違いです。次の大沢まで行くと上り列車とすれ違ってしまうので,今日は峠で折返す行程です。

峠駅の案内板と上りの434M(ブレブレですみません)
峠駅の近くには秘湯の温泉が2軒あり,最近の温泉ブームもあってか大きな案内板も建っています。また,力餅屋さんは代がわりかアルバイトか若いお兄さんに変わっていますが,今でも立売りが健在で嬉しいです。峠駅の滞在時間は6分で,駅周辺の移り変わりを確かめ,力餅を買って慌ただしく引上げます。そうこうするうち踏切の警報が鳴りだし,慌てて撮ったら列車の写真はブレブレでした。

峠の力餅
峠の力餅は,高校生の頃に僕が初めて買ったときは350円だったと記憶しますが,今日は1,000円になっていました。消費税の転嫁や,短い停車時間での販売などキリがよいほうがよいのは確かですが,随分高くなりました。中味も箱も厚みが増したような気がするのと,意匠も箱に印刷から掛け紙に戻ったのは好感です。

福島~南相馬都市間バス。東北アクセス便とその車内
さっき登ってきた線路を戻り,13:54,幸い時刻表どおりの福島着です。次に乗るのは14:00の原ノ町方面のバスで,乗り場は先ほど確認した一番不便なところ,せっせと歩いて何とか間に合わせます。このバス路線についてもう少し正確に書くと,運行事業者は南相馬市に本社を置く東北アクセス,飯舘村の道の駅「いいたてむら までい館」,原ノ町駅を通って南相馬市内の福島ロボットテストフィールド前への約65kmの路線です。西口高速バス乗り場から発車し,バスも高速タイプですが高速道路は走らず,ただの都市間バスです。昔,JRバスに福浪線(福島~浪江)というのがあり,UFOの里という停留所がありました(JRバス川俣線として今もある)。近くに来たのでもう一度行ってみようと時刻表をめくっているうちにこの路線を見つけたのですが,なかなか興味深い路線です。

道の駅「いいたてむら までい館」で
この福島~原ノ町間は地場の老舗の福島交通も路線を持っており,こちらは福島駅では表口の東口発,途中,川俣町内を含む各停留所に停車し,1:52をかけて走ります。一方,東北アクセス便はほぼ同じルートで「までい館」でのトイレ休憩も含めて1:45で走り切ります。そして面白いのが運賃で,両社とも福島駅~原ノ町駅間を1,100円に設定しています。ところが,一般の路線バスでは福島駅~川俣営業所でも1,350円かかります。福島市内の医大病院~川俣営業所は都市間バス運賃との整合を図るため710円,福島駅から乗った場合は川俣町内では下車できないなどの制限があります。地方のバスは整理券式でどんどん運賃が上がって高いもの,中長距離の高速バスは安いものというのは少しでもバス好きなら常識ですが,1つの路線で両方の性質を持つ福島~南相馬線はバス運賃の矛盾を体現しているようです。福島駅の乗り場も,よく言えば中間の停留所へのお客さんの誤乗を防ぐためともいえますが,体よく鬱陶しい東北アクセスを排除しているように思えてなりません。客の立場では鈍行便と特急便で時間は7分しか変わらず,同じ停留所から乗れたほうが都合よいと思います。下は関連の区間の運賃ですが見れば見るほど謎は多く,いいたてまでい館が絡む運賃は福島交通と東北アクセスで倍半分になっています。場所が場所だけに復興支援の意味もあり,これには陸運局も頭を痛めたのではないでしょうか。

制度研究趣味には誠に楽しいバスですが,乗っている限りはふつうの都市間バスです。この東北アクセス便は座席にPRESIDENTと大書きされた,零細な観光バス会社のような車内の三菱エアロです。もうひとつの東北アクセスのバスの特徴はレジ(登録番号)で,この車は3333です。福島の市内を抜ければ緑豊かな丘陵地が続きますが,田畑は少なく,ときどき見かける黒いビニール袋は除染作業で発生した廃棄物のようで,復興は道半ばであることを知らされます。

原ノ町駅と駅前の黒潮海苔店
南相馬市内に入ると東北アクセスの本社の南相馬バスターミナル,市役所などに寄りながら,ほぼ時刻表どおり原ノ町駅に着きます。原町は地名は「はらまち」ですが,駅の名前は「原ノ町」,平成の大合併で市の名前は南相馬市でややこしいです。原ノ町は一昨年の春にも来ていますが,駅前のホテルが改築され,また一歩復興が進んだ感じがします。道路の向かいには黒潮海苔店という海産物屋とファミマが並んでいるので,家への土産と午後のおやつ,ビールと肴などを調達します。

整然と並んだスタンプ台とご意見箱
改札を入りスタンプを押しますが,このスタンプ台は「わたしの旅スタンプ台」ですが,とてもきれいです。最近でも丸亀,加茂など,まだあったんだ...と思うことがありますが,原ノ町のものはスタンプ自体も含めて手入れが行き届いているようです。原ノ町では,40年くらい前,東北周遊券1枚を握っての旅,十和田5号に乗ったり,十和田6号から降りたりで,跨線橋だけはよくお世話になりました。跨線橋は建て替わってはいないようですが,上部を開放して意匠が変わり,随分明るくなったようです。ここからは常磐線をひたすら上る帰宅の旅で,原ノ町からは16:27のいわきゆき682Mに乗ります。通常だと下校の高校生で混み合う時間ですが,コロナ禍の夏休み期間で車内は空いています。ボックスを占拠するのは気が引けたので,車端の3人掛席に斜めに座ってビール片手に海の車窓を楽しみます。

常磐線682M @原ノ町
16:46,浪江着,ここからはこの3月に復旧開業した区間ですが,既に3月に一度乗っています。この界隈の駅舎は,幹線上の小駅の典型で,どこもよい風情の駅が続きます。その記憶があったので,駅舎の写真を撮ろうと思いますが,反対ゆき列車でカブったりでなかなかうまく撮れません。駅舎ではありませんがレンガ積燃油庫も健在で,久ノ浜と草野で写真が撮れました。

常磐線久ノ浜と草野のレンガ積燃油庫
17:45,いわき着,ここでは10分の接続で水戸ゆきに乗換えです。水戸ゆきの578MはE501系の5両編成,先ほどのE531系と比べると,何か安作りのようで見劣りがします。いわきも大きな市だし,その先も磯原(北茨城市),高萩,日立と市が連なり,工場からの通勤時間帯なので立っている人も増えてきます。日立多賀では品川行きの「ひたち26号」を先に通し,6分止まります。7時の声を聞き陽もおちて,やることがなくなってきます。

常磐線578M(右) @いわき
ここも約1時間半の乗車で19:27,勝田着。列車は水戸ゆきですが,次の列車が勝田始発なのでここで列車を捨て,6分後の上野ゆき462Mに乗継ぎます。462MはE531系10両編成,夜の上り列車には空席も目立ちます。原ノ町で買った肴でまたまたビールで一杯です。

常磐線462M @勝田
石岡では今日の常磐線で2回目の特急退避,「ときわ88号」を待って7分止まります。ビールを求めて改札を出ると,徳富蘇峰が揮毫したという「石岡駅」が迎えてくれ,何か得した気になります。これだから乗ったで降りたではやめられません。土浦では増結のため6分の停車と意外とちんたら走ります。最後に松戸でも「ひたち28号」に道を譲り,上野には21:43の到着です。

石岡駅改札上の駅名標
上野からの上野東京ライン,京浜東北線は若干遅れているようです。横浜からの根岸線は時刻はほぼ予定どおりですが,列車は何本か前の2163Cです。約15分の乗車で,22:44磯子着,今日も無事の帰着に感謝です。

今日の行程
カメラを新調したこともあり今回は撮影重視の1泊2日の小旅行でした。僕にとっては全体で「鉄道趣味」であって,最近はやりの撮り鉄とか乗り鉄のような細かなジャンル分けは好きではありませんが,撮り鉄の楽しさに目覚めた2日間でした。今シーズンの青春18きっぷはあと1日分残っています。さあどこに行こうか。(2020.10.22記)
スポンサーサイト
2020年夏のアクティビティ3--青春18きっぷで福島へ小撮影行・前編

今年の夏は巣ごもりで大きな旅行はできませんが,徐々に足を延ばす距離が増えてきます。8月20日(木)~21日(金)は平日ですが,夏休み中にシステムの入替えで出勤した振替の連休をいただき,ちょっと福島へ写真を撮りに行ってきました。今日はその前編,往路と1日目のアクティビティをお届けします。
今年の春に全線復旧開業なった常磐線に乗りに行き,帰りに喜久田へ寄ったことは以前に書きました(そのときの記事)。この時から磐梯山の麓を行く磐越西線の写真をとりたいと思っていたので,今日はそれを実行です。あまり使うアテもなく買った今年の夏の青春18きっぷ,多少もったいないですが片道ずつ2日分の消化です。

今朝も出発は早い。朝5時前の東京湾 2020.8.20(以下全て同じ)
(2020年)8月20日,今朝も出発は早く,朝4:58磯子駅の根岸線列車で出発です。駅に向かって歩いて行くと,いつもの東京湾は朝焼け,今日も天気に恵まれよい1日になりそうです。列車は450B,大船からの1番列車です。僕の勤める会社もそうですが,3密を避けての時差出勤が推奨される折から,1番列車の割には混んでいます。7人掛けの座席に1人おきに4人ずつがきれいに座っていて,どこに割込むか難しいです。

根岸線450B @磯子
この時間は東海道線も少なく,横浜で乗換えても待ち時間が長いだけなので,このまま上野まで上ります。横浜でお客さんの入替りがあり,むしろ車内はすいた後,品川まで徐々に混んでくるのはいつもと変わりません。6:01上野着,東北本線の宇都宮ゆきに乗換えです。朝6時の上野駅は人影もまばらです。

上野駅の通路の様子。人影もまばら
上野東京ラインの列車はまだ始まらず,上野始発の527Mは高いホームの6番線からの発車です。上野では朝ごはんを仕入れに駅の外のコンビニを目指しますが,手近に見当たらないので,NEWDAYSで我慢です。菓子パンと缶コービーを買ってホームに戻れば,もう発車の時刻です。上野を出れば尾久の客車区など見たいものはありますが,車内が混雑しないうちに朝ごパンを食べてしまいます。

東北本線527M @上野
列車はさいたま,小山などの都市圏の通勤通学客を拾ったり吐き出したりしながら進みます。ボックス席は埋まっていますが,ホームの向こうの上り列車に比べれば天国です。現地に着いてしまえば1人での行動なので移動中の車内が一番のリスクですが,この程度をリスクと言っていたら日常の通勤電車も同じです。

小金井~黒磯の635Mは205系4両編成 @小金井
約1時間半の乗車で7:31小金井着。次の黒磯ゆき635Mは小金井の小山車両センター出区の運用なので,始発の小金井からこの列車に乗ることにします。京葉線仕様(メルヘン顔というらしい)の205系の短編成改造車ですが,ようやくこの電車も馴染んできました。半面,4両編成では輸送力過小な感じがするので,編成はそのままでもう少し増発できるとよいと思います。尤も,僕が乗るのは大抵東北への移動の途中で,混雑する列車ばかりを見ているのかもしれません。車窓左手には日光,那須の山々がきれいですが,ロングシートでもあり写真は撮りづらいです。

黒磯で見かけた貨物列車,多分94レ
東北本線中距離電車区間・宇都宮線の北限,黒磯には8:56に着きます。ここでは12分の程よい接続で9:08の新白河ゆきに乗換えです。旧・交流側ホームに行くと隣りの側線にEH500牽引の貨物列車が休んでいます。半逆光ではありますが,コンテナ満載の金太郎に惚れ惚れ,この2日でどれだけ写真が撮れるか期待に心がはずみます。

黒磯~新白河の4129MはE531系5両編成 @黒磯
続いてもう1本EH500の貨物列車が来たのですが,最近新調したカメラに慣れていなくて,見事に失敗しました。黒磯からの4129MはきれいなE531系で,関東と東北の境の那須高原を快適に走ります。

那須の山々を望む @豊原~白坂
一昨年の夏,このあたりに写真を撮り来ましたが,なかなか納得のゆく写真が撮れませんでした。好天の下,那須五岳をバックにした写真もよさそうです。車内も程よい入りで,青春18きっぷ族と思われる大きなカバンを持った若い旅行者が目につき,時節柄もあってか地元のお客さんは少ないようです。

新白河のホーム。中線は真ん中で分断されている
9:32,新白河着。東北新幹線開業前は磐城西郷(にしごう)という小駅でしたが,新幹線駅となったおかげで駅や駅前広場が整備されました。数年前の黒磯駅の交直切替え設備の再整備で運転系統が変わり,新白河以南が東北関東の境界の高原の列車,以北は福島・郡山都市圏の列車で分断されるダイヤになりました。その結節点の新白河駅は乗換えの便を考え,幅が広いとはいえないホームを縦に分断し,多少は歩くけど階段なしで乗換えができるようになっています。この項を書くので調べましたが,平成の大合併を経た今でも西郷村は健在で,新白河駅は今でも西郷村の東の端っこにあります。

新白河~郡山の2131M @新白河
新白河からは福島県中通り地方の中心部となり,平日の今日の郡山ゆきは用務客でそこそこの入りです。郡山での接続もよく,5分の接続で3223M快速「あいづ1号」に乗換えます。この列車は今日2本目の快速で末位は3ですが,指定席連結の1本目なので1号です。全部の快速に指定席をつけたらと思いますが,指定席付きの列車は運用をたどると1本が3往復する運用,他は普通列車と掛け持ちの運用になっていて,難しそうです。

郡山~会津若松の3223M「あいづ1号」 @郡山
「あいづ1号」は721系4両編成,ボックス席はほどほどに埋まっていますが,会津若松までの1時間ちょっとは先頭にかぶりついてロケハンかたがた車窓に目を凝らします。喜久田あたりで一旦,磐梯山が見えますが,その先,中山峠が近づくと山の中に隠れてしまいます。以前はスイッチバックだった中山宿駅跡を過ぎ,数百m走った中山峠のトンネルの入り口に今の中山宿駅があります。トンネルを抜け坂を下ると上戸駅があり暫く猪苗代湖畔を走った後は湖畔の平地を快調に飛ばします。

磐越西線上戸~会津若松の地図(Google Mapから調製)
磐梯山は明治の噴火で山の1/3がなくなったと言われますが,当時の岩肌も今は緑に覆われ,この辺りから見る山容は秀麗と思います。猪苗代から翁島までは1直線ですが,その先は磐梯山の麓ような所をジグザグにカーブしながら磐梯町に下りて行きます。途中には更科信号場があり,列車は上りの普通列車と交換です。

更科信号場では上り列車と交換
磐梯町から先は会津盆地の中を走り,会津若松運輸区が見えれば終点・会津若松です。会津若松に着くと,ホームはずれには数両のチキ車を繋いだED75が休んでいます。現在,HOゲージのED75製作中なので,この機関車を形式写真風に撮ります。お休み中でパンタはたたんだ状態,逆光ではありますが,今ではED75自体が稀少なので大きな拾い物です。

JR東日本に5両残るED75のうちの1両,ED75-757の工臨 @会津若松
そうこうするうち今度は新津方面からGV-E400系がやってきました。こちらは今回の改正で登場の電気式ディーゼルカーで,メカ好きの僕としては興味があるのですが,まだ乗ったことはなく,見るのも初めてです。なんやかやで駅を出るのが遅れ,お昼を過ぎてしまいます。

磐越西線非電化区間のGV-E401 @会津若松
今日の午後は会津若松のレンタカーを予約していますが,今回は費用節約のため大手のレンタカー会社でないので,8月の炎天下を営業所まで10分ほど歩きます。レンタカーのクルマは10年以上前の13万キロ走ったベルタ,ただし土地柄からか4WD,ナビは別料金です。見ず知らずの土地でのナビなしは辛いので,550円を追加で払って後付けのナビを付けてもらいます。軽自動車販売店兼業のレンタカー屋さんは応対もまずまずで,全体としてみたら値段相応の感想です。

会津若松の駅前風景。鉄道の街,城下町の風情
今回はwebサイトや地図で情報収集したつもり,列車で来る道中もロケハンしてきたつもりですが,なかなかよい撮影地が見つかりません。列車は幾本もないのでミスる訳にもゆきません。真横からの写真になってしまいますが,先ずは磐梯町駅からそう遠くない所で1本を撮ります。

翁島~磐梯町で,3235M
更科信号場のジグザグに走るあたりで狐塚とか六郎原という撮影名所が何箇所かあるようなのですが,情報も古く,夏場は茂みが深くて探せません。仕方なく,磐梯町駅の先,川桁駅の近くまで戻って,来しなの列車でここが良さそうと思った地点に行ってみます。田んぼの向こう,緩くカーブした低い築堤は悪くはないのですが,午前順光のポイントで,お顔が影になってしまうのが残念です。さらに,カメラを新調したばかりなので,逆光補正の勝手も今一つつかめません。

磐梯町~川桁で,3238M(デジタル編集してます。今日のとびらも同じ場所)
この場所で列車3本,小1時間粘った後は,初志貫徹を目指し更科信号場のほうへ移動です。途中コンビニがあったので小休止,お手洗いを借りて,遅い昼ごはんにします。県道7号線を走っていると磐梯山眺望箇所という看板と共に停車スペースがあるので,ここでも磐梯山の写真を撮ります。

磐梯山眺望箇所
次に行ったところは翁島の先,磐梯町へのジグザグルートの入口のあたりです。ここは磐梯山を入れると真横かつ足元が隠れてしまいますが,山を気にしなければそこそこよい写真が撮れます。架線柱が片持ち式で線路の向こう側,光線はほぼ正面からで条件もよいので,ここで上下各1本を撮ります。

磐梯町~翁島で,3239M(デジタル編集してます)
そろそろ5時,引上げにかかりますが,会津若松に帰る道中で最後に1本を撮ります。往路の列車で会津若松に近く田んぼのなかと目星を付けておいた広田の手前に向かいます。後ろは宅地,またまたお顔に陽があたりませんが,ヘッドマーク付の快速列車です。地方都市の17:00を過ぎ,急にあたりの道路が混んできますが,ガソリンを入れてレンタカー屋に着けばぴったり6時です。

広田~東長原で,3240M
レンタカーを返した後は,急いで駅に戻り,18:13の郡山ゆきに乗ります。急いでいても,無事故で運転お疲れさまのビールと肴は忘れません。夕方でもそれほど混んでいない列車の旅は快適で,先ほど写真を撮っていた所の景色などを楽しみます。また,会津盆地から猪苗代に向けてのジグザグ坂は,後ろに遠く会津若松の街の灯が見えて,なかなかの車窓と思っています。

帰りの列車2本,会津若松~郡山の1238M @会津若松,郡山~福島の2151M @郡山
郡山からは14分の接続での2151Mで東北本線を福島まで下ります。明日は金谷川~松川のお立ち台で貨物列車の写真を撮るつもりです。福島へ行く列車のなかで目を凝らしてみていますが,ロケハンというほどの情報は得られません。そもそもこの松川~金谷川の区間は43.10のダイヤ改正を前に複線化線路改良が図られた区間で,上りと下りの線路が随分離れた所を通っているのです。

今日の行程表

今日のGPS logの会津地方拡大。列車で乗った分とレンタカーの航跡がごっちゃですが悪しからず
20:33,福島着。今夜は福島駅前のホテルに泊まります。チェックイン後に駅近の盛り場に出ますが,昔,山形新幹線開業前にED78,EF71の写真を撮りに通った頃に何度か来た店が残っていたので,思わず入ります。今日1日のなかで一番感染リスクが高そうなので,速攻で食べて飲んでホテルに引上げです。今日は青春18きっぷ1日分で乗った距離は440.3km,写真の成果は上のとおりです。レンタカーまで動員した割には...のような気もしますが,天気にも恵まれまずは満足です。さて明日は金谷川で写真を撮って,バスや列車で帰る予定が楽しみです。(2020.10.11記)
(後編につづく)
2020年夏のアクティビティ2--京成沿線おでかけきっぷで京成ざんまいの1日

コロナ禍で外出もままならない2020年夏ですが,用心を重ねて少しずつの外出をします。2020年夏,京成電鉄は沿線の需要喚起に「京成沿線おでかけきっぷ」という企画券を発売しました。このきっぷをジュニアが見つけ,発売初日に買ってきたので,僕もご相伴にあずかり1枚を買います。このきっぷは京成線全線乗り放題のきっぷが3人日分でセットになったものです。JRグループの青春18きっぷと同様に,1人で3回使っても,3人一緒の旅行を1日してもよいルールですが,特急料金さえ払えばスカイライナーも利用可のところが青春18きっぷの「普通列車用乗車券」と違うところです。

京成沿線おでかけきっぷ(見易いように編集してあります)
さて,このきっぷを使ってどこに行くか,何をするかです。京成線はこれまでに大抵のところは行っていますが,金町は行った憶えがありません。この際なので再度,乗り直しをしようと全線に乗り,余った午後はどこか景色のよさそうなところで鉄ちゃん(僕は「鉄ちゃん」という言葉を狭義に使うことが多く,鉄道写真を撮ること)する計画をたてました。以前,西武線の1日全線完乗をしたときはさんざん乗継ぎを計画しましたが,京成線は全線といってもしれた量なので適当に時刻表をめくって計画しただけです。

朝は京急線で泉岳寺まで上る @上大岡 2020.8.9(以下,特記以外全て同じ)
(2020年)8月9日日曜日,朝は自宅最寄りの京急線屏風浦駅を6:42の列車で出発,上大岡で特急に乗換え東京に上ります。列車は青砥ゆきなのでこのまま乗っていてもよいのですが,往復とも押上線を通ってしまうと青砥~上野間が残ってしまうので,朝のうちに上野に行っておきます。品川~上野をJRで移動すると10.4km198円ですが,泉岳寺乗換えとすれば9.5㎞と10㎞以内に収まり168円です。気になりだすとこの0.9㎞が惜しくなり,今日は時間もあるので,泉岳寺~高輪ゲートウェイの乗換えにします。

高輪ゲートウェイ駅の発車案内
泉岳寺から高輪ゲートウェイは歩いて10分弱,近いとも遠いとも言いづらい距離です。高輪ゲートウェイの周辺は再開発・街づくりの最中で,1ブロックの区画割が大きいので歩くと遠くに感じるようです。また,東西方向は仕方ないとして,高輪ゲートウェイ駅がもう少し北にあればよいのにと思いますが,高輪ゲートウェイ~田町間で京浜東北線北行と山手線を交叉させる都合もあり,これ以上北に駅を設置できなかったのでしょう。高輪ゲートウェイでの山手線と京浜東北線は路線別複々線,駅入り口には東京,上野方面はどっちが先発かを示す大きなLED表示があります。

京成上野駅と入口のモニュメント
案内に従い,京浜東北線電車に乗れば20分で上野に着きます。不忍(しのばず)口改札を出て道路を渡れば,地下の京成上野駅(以下,駅名の「京成」は略)はすぐです。きっぷに使用日のゴム印をもらい入場し,801列車,8:05の臼井ゆきに乗ります。3500形は僕が高校生の頃の製造で随分古い電車,ある面,幸先のよいスタートです。写真を撮りそびれましたが,今では抜取り式のブレーキ弁も目にする機会が減りました。

京成上野~高砂,801レ,3545F @上野
京成線乗りつぶし,今日の列車は鈍行に限ると決めた訳ではないのですが,たまたま選んだ列車が1運行の普通列車です。最初の停車駅の日暮里はJR各線と接続するターミナル駅で,最近2階建ての高架になり趣が変わりました。更に3つ進んで千住大橋では特急の退避です。

日暮里駅
青砥では押上線からのアクセス特急を先に出し,京成唯一の複々線区間を進みます。ここで京成のフラッグシップのスカイライナーとすれ違います。今日1日,京成線を旅行しましたが,スカイライナーの写真はこの1枚だけでした。

京成スカイライナー @高砂~青砥
8:33,高砂着,ここでは金町線に乗換えです。高砂駅は変わったつくりで,本線の跨線橋の向こうに金町線ホームがあるのですが,間に改札外のコンコースがあります。

高砂駅の2つの改札
2つの改札を通って,金町線ホームに行けば8:37の金町ゆきは3600形3621Fで,またまた旧い形式の電車です。今度は運転台の写真を撮ろうと思いますが,3600形は見た目は3500形と似ていますが,運転台はワンハンドルマスコンで新しい造りでした。あとで調べると,この3621Fは6連の3600形を8連化した際に余剰になったクハをVVVF制御で電装した編成でした。この辺のやりくりは,京成の一時の財政状況の厳しさが表れています。

金町線はこの編成で往復,871b~870b,3621F @金町
金町線は高架の高砂を出ると地平に出て,高砂の車庫からの線路と合流します。東京の下町の住宅街を進み,次の唯一の中間駅,柴又で上り列車と交換します。柴又からも専用軌道の路面電車のような風情の景色の中を走って,終点金町に着きます。その間2.5kmはほとんどの部分が単線です。そして面白いのが列車ダイヤで,両端の高砂,金町とも棒線,交換できるのが中間の柴又だけのため,休日ダイヤでは5:49から21:40まで上りと下りの時刻表が全く同じです。僕はいろいろな時刻表を見てきましたが,これはかなり面白い時刻表と思います。金町では折返し間合いの10分の間に改札を出て,駅の周辺を軽く探検します。

金町線の時刻表(見えないですね。拡大はこちら)
金町線から戻れば次は千葉線に乗りに津田沼を目指します。乗った列車は8A11という上野からの特急列車です。京成はロングレール化が進んでいないようで,軽快な短い刻み音を立てて走ります。江戸川,国府台と堤防上にあるような駅に挟まれた江戸川を渡れば千葉県です。海神の先でJR総武本線をくぐり,その海側をしばらく走れば津田沼です。

高砂~津田沼は特急で,8A11,3791F
津田沼からは千葉線に乗換え,ちはら台を目指します。千葉線は系列の新京成と一体で運用され,休日の日中は新京成線からの千葉ゆきと津田沼始発のちはら台ゆきが10分間隔で交互に走ります。次の列車は9B01,9:35のちはら台ゆきです。この列車は京成の主力,3000形の6両編成です。

津田沼~ちはら台はこの編成で往復,9B01~10B00,3011F
千葉線はJR総武本線と京葉線に挟まれ鉄道網が稠密な地域を淡々と進んでゆきます。対東京輸送はJRに分があるようで,京成の列車は全て各駅停車,ときどき上野直通の列車がダイヤに色を添える程度です。コロナ禍期間中の土曜の午前,列車はガラガラです。いかにも私鉄風な駅を小まめに止まって,9:52,千葉中央に着きます。

ちはら台駅の駅前風景
千葉中央から先は元千葉急行電鉄の線路を京成が引継いだ千原線です。千葉急行時代に一度乗ったと記憶しますが,今日は昼間に「乗り鉄」目的でゆっくりの乗車です。千葉市から市原市にかけての内陸に開けた住宅地を淡々と進みますが,新しい路線なので路盤などは立派ですが,商業地は少なく収入の基盤は脆弱そうです。また,線路は複線分の用地が確保されていますが,レールが敷いてあるのは1線だけで全線単線,これは今日まで知りませんでした。

ちはら台から南を望む
千原線の走る区間は,小湊鐡道が海土有木から千葉へ直結する構想で免許を受けていた区間ですが,1970年代に第3セクターの千葉急行電鉄が設立され,ニュータウンの開発が進んでいた千原台までを開業しました。その先の免許も千葉急行を救済した京成が引継いでいますが,具体的な延伸の話はないようです。ちはら台駅のホームに立つとまだ見ぬ南のほうへ掘割は続いていて,海土有木への夢を感じさせてくれます。こんな経緯もあって千原線はニュータウンの中心地から外れたところを走っており,これがまた利用客の伸び悩みを招いているようです。

JR幕張車両センターでは新鋭E235系をチラ見
ちはら台では8分の折返しで,乗って来た電車で津田沼へ戻ります。今朝も早かったので,帰りの車中はゆっくり過ごします。途中,幕張ではJRの線路越しに幕張車両センターが見えますが,総武・横須賀線用のE235系がちらりと見えます。そういえば,この京成3000系は運転席直後に2人掛けの座席があり,座ったままのカブリツキができます。京急の1000形もステンレス車からはカブリツキ席は省略の設計で,京成の電車のgood pointです。

津田沼~ユーカリが丘の普通列車(左),911レ,3018F
10:48,1時間ちょっとの千葉線,千原線の旅を終え,3面6線を有するターミナルの津田沼着。乗りつぶしとしては成田空港方面がまだ残っていますが,昼から午後にかけての暫くは鉄ちゃんで時間を過ごします。このきっぷを買った時,京成沿線でよい写真が撮れるところはどこかジュニアに尋ねたところ,挙げたのはユーカリが丘と大佐倉でした。ユーカリが丘は山万ボナの走る新興住宅地,大佐倉は確かに大手私鉄の沿線なのに田んぼが開けたところの印象です。若干忙しいきらいはありますが,これらの撮影地を2つとも訪ねることにします。

京成線内で見る青い京急電車 606F @志津付近?
津田沼では4分の接続で臼井ゆきの普通列車に乗換え,この列車も3000形6両編成です。3000形は6連29本,8連19本の48本が在籍し,すっかり京成の顔です。快適な3000形で暫くゆっくりし,11:09,ユーカリが丘に着きます。まだお昼には少し早いですが,今日は成田で鰻を食べる予定なので,駅のコンビニで菓子パンを仕入れます。余りお行儀はよろしくないですが,撮影場所までの道々で食べてしまいます。

ユーカリが丘~臼井で。先ずは古参の3500形
この撮影地ですが成田に向かって線路の右側ですが,その方向に歩いて行くと用水路がありこれを越えることができないようです。右に車の通る道が見えるのでこちらに迂回すると,今度は小高い丘のなかの道になってなかなか線路の近くに出ることができません。8月の炎天下を小1時間も歩いてようやくこのポイントにたどり着きました。

ユーカリが丘~臼井で。こちらは主力の3000形
このポイントで鉄ちゃんをしますが,来る列車はどれも京成の通勤車ばかり,今一つ変化がないのが残念です。ところで今回のカメラですが,安倍総理が10万円のお小遣いをくれると言うので,10万円以下で買える廉価版ですがデジタル一眼レフを新調しました。この練習も兼ねているので通勤車ばかりでも,撮影自体を楽しめます。露出をカメラ頼りにしたりマニュアルにしたり,連写モードで撮ってみたりと,いろいろな機能を試します。いろいろやってかなりデジタル一眼は習得できましたが,ある面,高倍率コンパクトデジカメはよくできているとも思いました。今日の写真のうち大佐倉の上はコンパクトデジカメで撮ったものです。なお,このブログの写真は解像度をおとしているので,差が出ないきらいはあります。

ユーカリが丘から大佐倉への移動の列車。1163K,3721F @ユーカリが丘,12A01,3411F @佐倉
炎天下のなかで小1時間粘って,ユーカリが丘~臼井の築堤を後にします。帰りは線路の反対側のルートを通り,ものの15分くらいで駅に着きました。来た列車は13:18の都営地下鉄からの快速・佐倉ゆきです。

佐倉ふるさと広場の風車小屋
佐倉の手前では印旛沼をかすめて走り,佐倉ふるさと広場の風車小屋も見えます。ここまで来ると京成線も田んぼの緑が美しい景色になります。佐倉では上野からの成田空港ゆき特急に乗換え,大佐倉には13:32に着きます。京成の列車の種別ですが特急を軸に,より停車駅の少ない快速特急,停車駅の多い通勤特急のほか,一段格下は快速で,ただの急行がなく,おもしろい設定です。

大佐倉~酒々井で。線路の南側から。3700形
今日2か所目の撮影ポイントは大佐倉の駅から東へ10分くらい歩いた,やはり築堤です。今日の2か所はジュニアから得たお立ち台情報ですが,どちらも田んぼの中を真っすぐに走る低い築堤です。わが家は団地・マンション住まいが長いので,ジュニアは緑の景色に憧れるのでしょうか。

大佐倉~酒々井で。線路の北側から。3400形
ユーカリが丘で予定より時間を使ったので,陽が反対側に回ってしまいました。幸い車道のトンネルがあるので,線路の北側にも回って幾本か撮ります。ここでも小1時間,鉄ちゃんをし,14:52の列車で大佐倉を後にします。

大佐倉~成田の列車,13A09,3030F @大佐倉
ここからはまた京成線乗りつぶしに戻って,成田を目指します。成田周辺にはJRと共用の成田空港と芝山鉄道の芝山千代田の2つの終点があり,帰りは成田空港からアクセス線~北総線経由で高砂に出ます。この予定をたてると,アクセス線のアクセス特急と芝山鉄道線がどちらも40分ヘッドの運転で,これら相互間の接続がおそろしく悪いのです。途中,成田で食事をする時間をとって,接続の悪いところをうまく吸収しました。

京成電鉄駅めぐりスタンプ帳
そう言えば,京成の主な駅にはシャチハタ式のかなり大きなスタンプが用意されています。またスタンプ帳も駅めぐりスタンプ帳なる冊子が用意されていて,駅で配布しています。駅により山積みになっている駅もあれば,お一人様1冊と厳しくしく制限して窓口で手渡しの駅もあります。28駅全駅完押を目指したくなるのですが,さすがに乗りつぶし+鉄ちゃん2か所をこなしたうえに28駅の途中下車はできません。スタンプは次回のお楽しみにとっておきます。

芝山千代田往復の列車と運転台,1447レ~1446b,3517F @成田
さて,成田周辺の乗りつぶしですが,先ずは15:12の列車で芝山千代田を目指します。電車は3500形の3517F,上野方は3501~3504のトップナンバーを含む編成です。ブレーキハンドルは付いていませんが,ここではゆっくり旧い2ハンドルの運転台の写真を撮ることができます。列車は成田を出ると空港に近い草地の中を結構なスピードで進みます。駒井野信号場で現在の成田空港駅に繋がる本線を左に分け,間もなく地下に入って東成田に止まります。ここは元の成田空港で人気(ひとけ)がありませんが,地図で見ると成田空港の第1ターミナルと第2ターミナルのほぼ真ん中に位置しています。

芝山千代田駅
京成の乗りつぶしとしては東成田まででよいのですが,せっかくここまで来たので日本一短い私鉄を謳う芝山鉄道にも乗っておきます。東成田から3分の乗車で15:21,芝山千代田に着きます。改札は交通系ICカードが使えず,精算の人が列を作っています。2.2km200円は賃率にしたら90円以上で,地方の3セク鉄道の数倍です。空港の騒音などの見返りに延ばした政策鉄道,いくらも客はいないけど乗入れ先の京成の都合で輸送力過剰など,経営的には厳しいのでしょう。子供には記念のカードのプレゼントもあるようですが,大人の趣味者がもらうのは少し恥ずかしくこらえておきます。

駅前のエプロンには余剰となった飛行機が。フライングホヌもいる
芝山千代田では15:37まで16分の折返し時間があるので,周囲を見て歩きます。今はコロナ禍で国際線の減便が著しく,空港じゅうに仕事をなくした飛行機が翼を寄せあって並んでいます。電車の中からはOne World塗装のJALのB777が眼を惹きましたが,地上からよく見るとANAのエリアにはフライングホヌも羽を休めています。こんな写真を撮っているうちに遅くなり,帰りの電車には駆込んで乗ることになってしまいました。そのうえ駅入り口の段差で転んで擦りむき,肘は血だらけです。

京成成田駅前。書院風の造りが門前町らしい
帰りは10分の乗車で,15:47,成田着です。今日はもともと成田で1時間以上の時間をとって鰻を食べる予定でした。2か所の鉄ちゃんで時間を使い過ぎてしまったので,鰻の代わりに駅前のそば屋で食事にします。

JRの成田駅前。JRバス多古線のバスが集う
食後はJRの成田のほうへ出向き,写真を撮ったり,土産を買ったりで過ごします。成田は空港以前に成田山新勝寺の門前町で,大きな参道の商店街があります。最近はインバウンドの観光客に人気のようで,去年のゴールデンウィークに来た時にはここは日本かと思うような賑わいでした。今日はそれらの賑わいはなく,静かな近郊のターミナルの夕方の街並みです。

再度,本線の特急で成田空港へ,15A17,3421F @成田
駅に戻れば16:23の列車で成田空港を目指します。先ほどと同じ線路を下り,駒井野信号場では左の本線に入ります。地下を少し走って空港第2ビル,その後も僅かの乗車で終点,成田空港です。成田空港では12分の接続で16:44のアクセス特急に乗換えです。本当は空港のデッキに出て飛行機の写真を撮ったりしたいのですが,コロナ禍のなか空港のロビーなどをうろつくのもリスクと自重します。ふつう8月の空港は夏休みの海外旅行でごった返しますが,今日は人影もまばらです。

遠くに成田線の電車が見える @成田湯川~印旛日本医大
列車は16:44,時刻表どおり発車します。今度はJRの線路と並行する線路を走り,新勝寺の裏あたりでJRの線路を分けると,スカイアクセス線のルートに入ります。ここからは高規格の都心への最短ルートを走りますが,アクセス特急は最高120km/hの運転です。ここの路線名のスカイアクセス線は旅客案内上の名前で,正式には高砂から成田空港まで全体で京成「成田空港線」です。ただし,京成は第2種事業者で線路の保有は北総鉄道,成田高速鉄道アクセスなどの第3種事業者4社です。そんな区間でもおでかけきっぷで乗れるのは良心的と言えますが,印旛日本医大以西の北総鉄道区間での途中下車はできず,通過利用に限るという制限が付いています。

アクセス特急,1604K,3056F @青砥
アクセス特急ですが,空港周辺の草地を抜けると,我孫子からの成田線を跨いだ先で成田湯川に止まります。その先は2つの印旛沼の間を抜け,田んぼの中を走って印旛日本医大に達します。その先は北総線と同じ線路となり,千葉ニュータウンの丘陵地を西に走ります。スカイライナーなら高速運転が楽しめそうですが,アクセス特急はここではただの北総線の優等列車,千葉ニュータウン中央,新鎌ヶ谷,東松戸と主要な駅に止まります。

とうきょうスカイツリーが見えれば終点,押上は間もなく
矢切の渡しの近くで江戸川を渡り,17:25高砂着。続けて青砥にも止まり,本線から来た上野ゆき特急と接続をとります。この特急は成田駅を16:43に出てきた特急で,アクセス線の短縮効果は大きいような,たいしたことはないような,微妙です。青砥からは押上線に入り,乗りつぶしとしては今日は初めて乗る区間です。四ツ木~八広では荒川を渡り,この辺まで来るととうきょうスカイツリーが目の前に見えます。これを右に見て地下に入れば押上で,今日の京成線の旅は終了ですが,列車は羽田空港ゆきなのでそのまま都営浅草線に進みます。浅草線は通勤も含めよく乗りますが,一部の駅を通過するエアポート快速はなかなか乗る機会がないのです。泉岳寺まで地下鉄の優等列車を楽しんだ後は,後続の三崎口ゆき快速特急に乗継ぎます。これに乗れば,30分ちょっとで今日のスタートの屛風浦に帰着です。

今日の行程表
京成の沿線の旅客サービス,需要喚起のためのおでかけきっぷでしたが,ちょっと遠くの乗入れ先から利用し,旅客の入れ込みには貢献しました。僕の印象では京成は,成田空港の開業直後はスカイライナーも振るわず経営も厳しかったですが,今では優良な子会社も増え,しっかり利益も上がっているようです。金町線のところで書いた車両のやりくりなどは苦しい台所事情の表れのようですが,最近は3000形もコンスタントに増備を重ねています。今日は1日,全線完乗+鉄ちゃん2か所で元気な今どきの京成を楽しむことができました。

オーソドックスな京成沿線の楽しみ 2020.8.14
ところで,このきっぷの残り2人日分ですが,後日,家族3人で柴又帝釈天と成田山新勝寺へ行き,帰りには鰻も食べて,おでかけきっぷ本来の消化をしました。コロナ禍は早くの終息を祈るばかりですが,このような企画きっぷの発売が各社でも続くことを期待します。(2020.10.8記)