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2021-05

知って楽しいJRの旅客営業制度2--きっぷの有効期間と途中下車

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 旅客営業制度の解説2回目は前回少し触れた,乗車券の通則の有効期間と途中下車について書きます。

1.きっぷの有効期間(旅客営業規則(以下「規」)154条)
 長距離のきっぷでは「発行日共3日間有効」などと書かれたきっぷを目にするので,誰でも長距離のきっぷは何日間か使えることはご存知でしょう。しかし,最近は新幹線網が発達し,1枚のきっぷで何日も旅行する機会は少なくなりました。きっぷの有効期間の制度は蒸気機関車+客車列車の頃からある制度で,その頃は1日にそう何百kmも列車で旅行することはできませんでした。このため200km増えるごとに有効期間は1日増えるルールとしたのです。今でも列車に乗ってゆっくり旅をする需要はあるし,JRとしてもそのようなお客さまは歓迎でしょう。このルールを改訂してもJRにもメリットはないので,実態とは少し変わってきましたが,それなりに有用なルールです。

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 詳しくは後で説明しますが乗車券には往復乗車券,連続乗車券という種類があります。これらの有効期間は,それぞれ片道の2倍,各券片の合算の期間になります。そして,大都市近郊区間内でクローズする乗車券はこのルールの例外で,距離が何kmあっても有効期間は1日です。

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古い往復割引きの乗車券。1977。この当時,1000km超の往復割引の乗車券は有効期間が1か月だった

2.途中下車(規156条)
 あまり知られていませんが,乗車券はそもそも途中下車ができるものです。反対に途中下車ができないのは以下の4種類のきっぷです。
 (1)100km以下の乗車券
 (2)大都市近郊区間相互発着の乗車券
 (3)回数券
 (4)特別企画乗車券などで途中下車が禁止されているもの

 ところが,日頃目にするきっぷのほとんどが(1),(2)なので,途中下車はできないという誤解をする人が多いのです。これらのきっぷには「下車前途無効」と書いてありますが,この漢字が6文字も連続する難しいきっぷ用語で敢えて「途中下車はできません」と表示しているのです。僕の勤める会社は東京の本社のほか愛知,兵庫,広島に工場があります。広島までの往復乗車券で途中の愛知や兵庫の工場に寄ることはできるのかと頻繁に訊かれますが,これも全く問題ありません。

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自動印字(品川)と自動押印(相生)の下車印(左),ひし形(広島)は特別下車印といいます(右)

 途中下車をした場合は,そこまでは使用済の証として楕円形に駅名を書いた「途中下車印」(略して下車印)というハンコを捺すことになっています。下車印の押印は省略されることも多いですが,JRとしても有利なことなのでもっと積極的な押印が望まれます。また,たくさんの下車印を集めるのはタダのお土産として旅行に記念にもなると思います。最近の新幹線用の大型の自動改札機では,下車印の代わりに赤く大きく印字されるものもあります。

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途中下車印だらけの北海道ワイド周遊券(今は商品自体がありません)

3.大都市近郊区間相互発着の例外(規156条(2))
 前回も触れたとおり,大都市近郊区間内でクローズする場合は,経路を指定しないので大回りができる,途中下車ができない,有効期間が1日で3点セットのルールが適用されます。旧国鉄の制度担当者はきっと東大法学部卒のエリートでアタマがよい人だったのだろうと思います。反対に大都市近郊区間からはみ出すような長距離のきっぷでは有効期間の許す限り途中下車もできるのは是非憶えておきたいものです。

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一般的に地紋が赤のきっぷは途中下車できません(ずいぶん古いきっぷです)

 ところで,最近はSuicaの利用範囲の拡大により,東京近郊区間がどんどん大きく広がっています。僕の考えでは水戸~松本(356.1km!)のような長距離のきっぷが有効期間1日,途中下車不可というのは納得しがたいです。先般の運賃改正から,IC乗車券運賃,きっぷ運賃の2本立てになったので,この際,紙のきっぷには旧来の制度を適用し,IC乗車券の時だけ拡大した大都市近郊区間を適用すればよいのではないかと思っています。

 身延線や御殿場線などのJR東海の営業エリアや新幹線を使うと大都市近郊区間のきっぷではなくなるため,有効期間は本則どおり,途中下車もできるようになります。実際に使えるケースは限られますが,ちょっと得した気分になります。

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1駅金手へ延長すると有効期間2日,途中下車可になる。甲府で止めれば大回り乗車が可能

4.継続乗車(規155条)
 ところで,あちこち観光をしながらゆっくり旅行していたら有効期限が切れてしまった...こういう時はどうなるのでしょうか。有効期限が切れたら先の分は乗車することができず,きっぷはただの紙切れというのは間違いです。きっぷを買った時点で成立した旅客運送契約はきっぷに示された着駅まで有効なのです。しかし,途中下車しながらゆっくり行くことはできず,最大限急いで行ってくださいというのが,「継続乗車(昔は「継続乗車船」といった)」です。また,残りの区間が長く継続乗車をしている間に終電になってしまった時にもちゃんと取扱いルールがあります。この場合は,乗継ぐ列車を指定したハンコ(「乗継」/乗車日/乗車列車/駅名が書かれている)を押して,一旦,出場させてもらうことになります。残念ながら,この取扱いは規定集で読んだだけなので,実際にどのように運用されているのかは分かりません。

5.着駅の表示と途中下車
 最近のきっぷは印刷発行機が主流になったので,きっぷの着駅はxxゆきと表示されますが,以前は常備券方式だったので,着駅はまとめて表示することが多かったです。例えば,下のきっぷは東京から381~400kmまでの乗車券ですが,尾張一宮で途中下車し,あとから以西の区間に乗れるのでしょうか。きっぷの着駅をまとめて表示しているのはJR(国鉄)の事情なので,旅客運送契約としては岐阜までであり,当然,途中下車はできます。続きを乗車する意思表示をせず,きっぷを差し出してしまったら,前途は無効です。

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東京~岐阜の乗車券。1984

6.乗車券は同じ運賃で最も遠くまで
 上の反対で,きっぷを買う時「尾張一宮」までと言って,「尾張一宮ゆき」と表示されたきっぷを持っていて,気が変わって岐阜まで行こうと思ったらどうなるのでしょう。最初から「岐阜ゆき」にしておけば値段は変りませんが,一般的には乗り越し分の240円を請求されてしまいます。だって東京からの値段は変わらないじゃないかと言ってゴネればまけてもらえる可能性もありそうですが,元のきっぷの着駅と値段を比較して...などという面倒な精算は窓口業務に馴染みません。だから僕は運賃計算をする時間の許す限り,乗車券は同じ値段で行ける最も遠くの駅までを買うよう心がけています。(2017.4.16記)

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無効印などの手間をかけずにきっぷが手許に残るのも収集家には嬉しい

知って楽しいJRの旅客営業制度バックナンバー
1.大都市近郊区間と140円旅行
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