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2023-12

旅心をそそる長距離鈍行列車・長時間鈍行列車リスト/2020年3月14日改正ダイヤ

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 今年(2020年)も3月14日にJRグループのダイヤ改正が実施されます。今年は新線の開業はありませんが2011年3月の東日本大震災から区間運休・バス代行が続いていた常磐線富岡~浪江間が復旧,列車の運転を再開します。復興の一歩前進をお祝いしたいと思います。そのダイヤですが,水戸か勝田発で仙台ゆき列車が設定されれば200km超えの長距離鈍行などと期待していましたが,蓋を開けてみれば東北本線福島~盛岡間のようなぶつ切りダイヤです。輸送量と輸送力のバランスや車両運用の単純化,ダイヤ乱れの波及の抑制という意味でこの方が効率的なのですが,長距離鈍行マニアとしては少し残念です。

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ひと足先の2016年12月10日復旧区間の山下駅 2018.3.25

 さて,長距離・長時間鈍行列車ですが,長年にわたり表の末尾にランクインしていた宮崎から隼人へ吉都線~肥薩線回りで走っていた列車が,吉松で分断されて圏外になりました。同区間を走る上りは残っていますが所要時間4:03で基準を満たしません。36分も後に出た普通電車に追いつかれてしまう鈍足ぶりと,南九州の山あいを辿るルートから1度乗りたいと思っていたので,残念です。反対に,芸備線~福塩線の1840D~1730Dと土讃線の4243D~4247D~4757Dが今年新たにランクインしました。芸備線~福塩線の列車は三次で1時間9分,土讃線の列車は阿波池田と高知でそれぞれ32分の長時間停車があり,表定速度は20km/h台です。こんな列車でもこのご時世に新規のエントリーは嬉しいものです。

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昔の土讃線の鈍行列車 1983.2

 これらを除けば2019年版と変わり映えしませんが,2020年版の長距離鈍行列車・長時間鈍行列車ランキングをお届けします。今年も一部の写真のキャプションは乗車記へのリンクになっています。興味があればこちらもご覧ください。

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拡大はこちら

 今年も1位は関西のアーバンネットワーク,敦賀から米原経由で播州赤穂まで275.5kmを走る3327M~3527Mです。2016年のダイヤ改正で赤穂線に乗入れる新快速が激減し,敦賀発の西行はこの1本だけが残りました。東行は播州赤穂発は長浜ゆきが最長になり,敦賀まで行く列車の西端は姫路,この他に網干~近江塩津間の列車もあります。なお,3327M~3527Mですが敦賀発の車両は姫路どまりで,播州赤穂まで行く車両は米原で連結するので,全区間を直通する車両はないそうです。

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敦賀で発車を待つ新快速列車。今のダイヤなら3193Mに相当 2015.7.20

 2位は上野東京ラインの熱海~黒磯間268.1kmを走る1644Eです。この区間を走る列車も平日は北行のみで,南行の黒磯発は土休日ダイヤにしかありません。平日ダイヤでの東北本線の北限は氏家始発という1日1本しかない列車です。上野東京ラインも北側が東北本線と高崎線系統,南側が伊東線とJR東海沼津まで乗入れとバリエーションがあるのでまとめ方に苦労します。この系統の長距離鈍行は東海道線と東北本線・高崎線のスジを繋ぎ合わせたもので,車両運用の都合から朝と夜の乗りづらい時間に偏っているのも特徴です。また,JR東日本の首都圏エリアのグリーン料金は51km以上青天井なので,これらの列車に乗るときはグリーン車利用がお得です。

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熱海~黒磯間268.1kmを走っていた1586E(2019年ダイヤで消滅)と同区間のグリーン券 @東京 2017.7.31/2015.3.22

 3位は北海道,宗谷本線の旭川~稚内間259.4kmを走る321D~4323D~4325Dです。長時間停車のうちに2回列車番号が変わりますが,実態として1本の列車です。新旭川~稚内は長大な盲腸線,一度乗ったら同じ線を戻ってくるという乗りづらさも魅力的です。以前は15位の根室本線のほか,函館本線や石北本線にも長時間鈍行がありましたが,今ではこの列車が北海道を代表する鈍行列車になりました。

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宗谷本線の4323D~4325Dとサボ @幌延 2017.8.3

 4位は中央本線(東線)・篠ノ井線の高尾~長野間245.0kmを走る441Mです。この列車は比較的新しく2017年の設定で,これまた下りのみ片道の運転です。長野がたが夜にかかってしまいますが,関東山地や南アルプスの山の景色がたっぷり楽しめ,首都圏発の鈍行列車を楽しむ旅行にはぜひお薦めの列車です。

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中央線441M。東京からの鈍行列車を楽しむにはお薦めの1本 @高尾 2018.3.10

 5位と10位は1,2位のバリエーションといえる列車です。5位は関西のアーバンネットワークの北陸本線~山陽本線の列車ですが,湖西線でショートカットするため,距離的には短くなります。また,10位の湘南新宿ラインは,上野東京ラインより運用範囲が一回り小さいため前橋~小田原間の208.3kmが最長です。

 7位は東海道線の早朝の静岡~岐阜間の列車で,これも下りのみの設定です。浜松と豊橋を突き抜けて走る列車は菊川,掛川~岐阜間の列車が幾本かありますが,静岡からのものはこの1本だけです。変な推測ですが,静岡地区がトイレのない211系ばかりだった昔,酔った客の多い夜遅くの名古屋/浜松方面からの列車にトイレ付きの編成を充当し,その戻りの運用が今も残っているのでしょうか。

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東海道線3109F @静岡 2019.3.23

 鈍行列車そのものと景色を楽しむなら,8位の飯田線を全通する列車がお薦めです。距離では200㎞そこそこですが,運転時間は6~7時間かかり,南アルプス・中央アルプスの山々と天竜川の車窓,人里離れた秘境地帯とたっぷり楽しめます。岡谷から入っても,豊橋から入っても,首都圏から青春18きっぷで回ることができます。

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距離では8位だが時間では1位になった飯田線544M(旅行記は519M) @伊那市(?) 2010.8.15

 18位は第3セクター鉄道の三陸鉄道です。去年のダイヤ改正時にJR東日本山田線・宮古~釜石間の移管を受け,盛~久慈間を全通する列車が設定されました。このランキングでは民鉄・3セクは見ていなかったのですが,時刻表で本文中に掲載されることでもあり掲載しています。それ以前は民鉄・3セクにそんな長距離・長時間列車はありませんでした。古くを遡ると,東武~野岩鉄道~会津鉄道の浅草~会津田島間に4:30超えの快速列車が走っていたそうです(サイト訪問者の情報による)。この三陸鉄道の列車ですが,運転時間が4:38と4:33でぎりぎりでの基準クリアなので,今後のダイヤ改善で圏外にならないか心配です。

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三陸鉄道5205D~5009D~5111D @盛 2019.7.14

 16位の羽越本線831Dは,新津~酒田の運転時間が4:30を超えたり,切ったりしている列車です。近年は毎年チェックしていて,今年は4分スピードアップされましたが,基準を何とかクリアです。車両が電気式ディーゼルのGV-E400系になって大幅スピードアップが図られ,今年は陥落と予想していました。たった4分しかスピードアップできなかったのは,単線・複線の混じる区間でダイヤ修正が難しかったか,沿線の学校などとの調整が間に合わなかったか,そんなことはないと思いますがJRのご担当が手を抜いたか,どうしてでしょう。

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写真がないので831Dと似た区間を走る9822M「きらきらうえつ」 @羽後本荘 2019.7.15
(臨時列車ですがこの日は秋田~新潟273.0㎞所要4:24の長距離列車でした)

 毎年,時刻表をチェックといえば15位の根室本線の新得~釧路間列車も気になる存在です。2016年ダイヤでは最長鈍行だっただけに,台風被害の復旧と運転再開を期します。また,このランキングを作るための時刻表のチェックですが,大判の時刻表を一とおり目を通す必要があります。今年の例でいえば東海道線の早朝の品川~小田原間に列車が1本増発されました。ふつうでは気づかない発見ができるのも,辛くても年中行事にしている理由です。

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根室本線の長距離鈍行と専用サボ(いずれも2429D時代のもの)@落合 2015.5.3

 最後にリストの掲載基準ですが,距離で200km以上,時間で4時間30分以上,掲載順は距離順です。対象は定期列車だけですが,土休日運休の列車は対象,土休日のみ運転の列車は対象外です。また,同一区間を運転する列車が条件を満たせば,反対方向の列車も載せています。僕が時刻表を手繰って確認しただけなのでヌケやモレがあってもご容赦ください。また,一部の写真が毎年同じで申し訳ありません。(2020.3.7記,2020.3.14誤記修正)

最新版はこちらから参照ください。
また,最新版の一番後ろに各年版へのリンクがあります。
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コメント

車両運用上直通する列車

コメントどうもありがとうございます。
ご指摘のような列車も長距離鈍行としてカウントすると,リストはもっと面白くなりそうですね。新庄発弘前ゆきの列車などワクワクします。残念ながら,これらの列車を時刻表からは読み取ることができないので,リストには載りません。多分,配置区所の車両運用のハシゴを丹念に読み解けばこれらを追うことができそうですが,自分にはその手の情報はありません。輸送障害などで列車が遅れたとき,他の車両を用意して遅れた列車の折返しなどに充当してダイヤを回復するのよくあることです。時刻表上も1本の列車としてしまうとこの自由度が失われるので,最近は画一的な運行区間でブツ切りにしてしまうのだと思います。
最後の控えめなご指摘ですが,どうもありがとうございます。そのとおりで2013年から間違ったままでした。近々,2020年版を作るのでそのとき直します。

2013年の大量分断では消滅しなかった東北本線の黒磯発一ノ関行きはまず2014年に日中の小牛田増解結廃止に伴い小牛田分断になった時に小牛田止まりになり、さらに2017年に黒磯駅直流化に伴う新白河分断の時に新白河発になり、現在は新白河発小牛田行きです。しかし今度の改正で仙台支社は2013年以来の大規模改正でさらに分断が増えるので危ないですね。仙台支社は2013年以降福島や郡山で化ける列車が結構ありますがどうなるのか。化けて直通する列車といえば、石北本線の北見峠越えの列車は現在は両方向とも時刻表上遠軽駅で系統分割されていますが実際はまだ直通しているはずですし、宗谷本線の稚内発名寄から快速なよろ4号旭川行きも2017年に快速なよろ4号時刻繰り下げ時に名寄で系統分割されましたが約1時間停車して直通します(情報がないのですが、これらの列車は1時間程度停車するので一旦締め出されるかもしれません)また、秋田では夕方に新庄発秋田行きが快速弘前行きになる運用があってこれが290kmくらいあるので化ける列車を含めるとこれが最長の可能性があります。昼前にも1本湯沢発秋田行きが弘前行きになる運用があります。また、午前中に蟹田発青森行きが青森発秋田行きになる列車もあります。津軽線と奥羽本線の直通は時刻表上は蟹田発津軽新城行き1本のみですが化ける列車が何本かあります。新潟では朝の吉田発長岡行きが越後湯沢行き(水上まで延長運転の日あり)になる変わった列車があります。吉田から東三条まで弥彦線がまっすぐ結んでいるのに新潟まで遠回りします。これもかなり前は時刻表上でも直通になっていたみたいですが。長岡駅は時刻表上ほとんどの列車が分断されていますが何本か化ける列車があります。新潟では恐らく2015年頃から2018年まで新井発快速新潟行きが吉田行きに化けるのもありました。東京の辺りでは2017年までは当時あった立川発松本行きの2本目が松本で明科行きに変わっていました。前回の改正でできた四国の多度津発伊野行きはもともと多度津発阿波池田行きが須崎行きに化ていたのですが、阿波池田で時刻表上直通になったと同時に短縮されたので残念です。なぜJRはこのように化ける列車が少なくないのか不思議です。直通案内する方がわかりやすいのに。もしかして普通列車を不便に見せかけることで、普通列車が便利だと特急や新幹線に乗らない人を、どうせ乗り換えるなら特急や新幹線にしようと思わせる特急誘導なのでしょうか。少し疑心暗鬼になってしまいますが他に良さそうな説明が思いつかないので。
あと因みにですが亀山-新宮の距離は180.2kmなので表は間違っているみたいです。

たまたま出くわす車両運用の妙

コメントどうもありがとうございます。

自分は時刻表上で「マークがついているものは1列車としていますが,時刻表上判別できないものは別列車としています。
一方,おっしゃるような車両運用の都合でそのまま運転される列車にあたると何か得をしたような気分になりますね。最近も年末の北海道旅行の際(1/22の記事参照)に,福島で郡山からの1139Mと仙台への3575Mが同じ編成でした。この加減で200kmまたは4時間30分以上の組み合わせが出たら悩ましいですね。表には載せませんが,本文にマボロシの長距離鈍行とでもして載せましょうか。

こんにちは
毎年楽しく拝見させていただいてます。

探してみると時刻表に載らない隠れ長時間鈍行も幾つかあるようです。
リストにも載っている羽越線酒田-新津の列車はそのまま磐越線津川まで乗り入れたかと思います。
あと東北本線の黒磯から福島-仙台-一ノ関と行先を変えながら走る列車は無くなったという話は聴きませんがどうなったのか知りませんが、興味が尽きませんね。

Re: タイトルなし

ご指摘どうもありがとうございます。ここは1分早くなったのですが,それを直したとき間違ったようです。失礼しました。

> 表の長野発大月行きの大月着時刻が間違っています。(昨年度版は合っています)

表の長野発大月行きの大月着時刻が間違っています。(昨年度版は合っています)

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