2020年春のアクティビティ1--青春18きっぷでダイヤ改正のおさらいに福島へ・前編

(2020年)3月14日はJRグループの全国ダイヤ改正でしたが,1週間後の土曜日に今年のダイヤ改正で動きのあった福島県に青春18きっぷで行ってきました。今日と次回はそのときの旅行の様子をご報告します。
今年のダイヤ改正では新線の開業はなく,比較的地味なダイヤ改正でした。そのなかで,東日本大震災の津波と原子力発電所事故の影響で運休・バス代行が続いていた常磐線が復旧し,日暮里~岩沼の全線で運転を再開したのがトピック,かつ明るい話題でした。JRの新線の開業であれば初日に行きたいですが,復旧開業,また今回の開業区間は線路の付替えはないようです。それであれば,天気もよくなさそうだし,混雑する初日にこだわることもないと,1週間遅れでの訪問にしました。きっぷは,特急も使いたいので週末パスか,青春18きっぷか迷いましたが,甲府への墓参りの都合もあり青春18きっぷ利用です。

朝は根岸線526Bでスタート。毎々似た写真ですみません @磯子 2020.3.21(以下,同じ)
3月21日(土),出発は自宅最寄りの磯子駅を5:57の根岸線上り列車です。横浜からの上野東京ラインは宇都宮線内快速ラビットの1番列車の3620Eで,上野駅で降りてしまうのがもったいないような列車です。

東海道線~東北本線3620E @横浜
上野に着けばすぐの接続で常磐線勝田ゆきがありますが,先の接続が悪いので朝ごはんの仕入れなどに時間を使います。土曜日の朝7:00前,COVID-19騒ぎで外出自粛令も出ているので,上野駅前も人影まばらです。

人影まばらの上野駅正面口前
朝ごはんと飲み物を買って水戸ゆき331Mの出る10番線に向かいます。10番線は上野東京ラインのホームと並ぶ行き止まり式のホームで,旧型電機のスノープラウのような車止めが眼を惹きます。電車はガラガラで日暮里,北千住,松戸と駅を経るごとに少しずつのお客さんを拾います。

常磐線331M @土浦
今日はダイヤ改正のおさらいというタイトルなので,先ずは龍ケ崎市駅で駅名標の写真を撮ります。ここは佐貫と称していましたが,3月14日から市の名前の龍ケ崎市駅になりました。この駅は市の西のはずれで,市の中心は関東鉄道で2駅行った竜ケ崎駅の近くです。関東鉄道はややこしくなるのを避けるためか駅名は変えずに佐貫のままで,また竜の字は簡単な方を使います。なお,正式な市の名前はJRのほうの難しい字を使うようです。

龍ケ崎市駅で。真新しい駅名標。右下は高浜駅のスタンプ
8:05,土浦着。ここでは5分止まって,前寄り5両の付属編成を開放します。土浦を出ると家並みも途絶え,関東平野の田んぼの景色が多くなります。1週間待った甲斐あり今日は快晴で,左の車窓には筑波山が大きな山容を見せています。

快晴の関東平野に筑波山がきれい @神立~高浜
高浜では副本線に入り「ときわ51号」を退避します。駅本屋まで行きスタンプはないか尋ねると,古いけどね...と言いながら「わたしの旅」シリーズのJR更新版のスタンプを出してくれました。僕にとっては古いのは構わないのですが,経年以上に印面が傷んでいます。この日は常陸大子でもこの手のスタンプを見ましたが,水戸支社のものはどうもゴムの材質がいまいちだったようです。

541Mは水戸~勝田の1駅だけ乗車 @水戸
列車は9:30からの営業の準備中の偕楽園駅をかすめ,9:00ちょうどに水戸に着きます。水戸からはいわきゆきの541Mで勝田まで進みます。勝田は水戸のお隣ですが,列車で6分もかかり,住所はひたちなか市です。ガラスを多用した駅舎は最近改築されたようで明るいです。

勝田駅のコンコース(改札内)
勝田の先,浪江までは今改正で運転再開した仙台直通のひたち(3号)に乗ります。水戸から乗れば楽なのですが,勝田からだと147.5kmと特急料金の切れ目なので譲れません。列車を待つ間にホームから周囲を見れば,任を解かれた651系の4両編成が留置されています。タキシードボディのすごいヤツで一世を風靡しましたが,常磐線のローカル輸送で余生を送り,最後まで勝田で活躍した1本なのでしょう。

勝田に留置される651系
「ひたち3号」は先頭の10号車が指定ですが,90%以上の乗車,いわきでも降り乗りも少ないです。常磐線特急もいわきを過ぎれば消化試合モードで4両の付属編成で十分,E657系の10両編成では輸送力過剰と思っていたのでびっくりです。もちろん全線開通から1週間なので体験乗車組も多いのでしょうが,この盛況が続くとよいと思います。

双葉~浪江の車窓
いわきを過ぎ,久ノ浜の手前あたりから右側の車窓に太平洋が見え始めます。今日は快晴,波も穏やかで,大災害をもたらす海とは別物のようです。遠くには赤い煙突のカーフェリーが南を目指しているのも見えます。

浪江の駅前風景
10:57富岡発,ここからが今回の改正での運転再開区間です。富岡駅を出ると列車は大きく左にカーブし内陸に入り込み,その後は右に曲がり,約4km内陸を海岸線に沿って北上するようになります。元々そのような線形だったと記憶しますが,海沿いに立地する原子力発電所を迂回するような形で線路は敷かれています。

当地の放射線量。Nexco東日本のホームページから 2020.3.28
今回の復旧区間は津波被害は少ないものの原発事故の影響が大きく,区間内の夜ノ森,大野,双葉の3駅は帰還困難地域の中です。駅の周辺は特定復興再生拠点の指定を受けて立入りができ,この列車も特急ですが,復興支援の願いを込めてか富岡,大野,双葉,浪江と多くの駅に止まります。車窓は9年前の地震発生時のままで,地震後の片付けもままならず,人や車の通りも殆どない不思議な景色です。この稿を書くにあたり調べましたが,現在でも当地の放射線量は少なくなく,Nexco東日本はホームページで高速道路沿線の線量を開示しています。大野や双葉あたりでは広野や南相馬の20倍くらいの線量が今でもあることは分かりますが,それがどういうものなのか僕は分からないのでコメントできません。いずれにせよ,この地域で人々が安心して暮らせる日の再来を祈るばかりです。

浪江駅で。下は各駅に掲出されている運転再開を祝う幕
11:14,時刻表どおり浪江着。浪江には2年前(そのときの記事はこちら)にも来ています。今改正で代行バス乗継ぎの結節点としての役割がなくなったので,無人駅になったようです。駅の待合室には「浪江駅のみなさんへ」という中学校の壁新聞やメッセージボードもあります。この先は接続がよく食事ができないので駅近くで食事の予定でしたが,駅の周囲には食事のできるところが見当たりません。

頼りになるのはコンビニエンスストア。セブンイレブン浪江権堂店
時間は小1時間あるのでこっちの方だろうと当たりをつけて駅前の通りを歩いて行きます。以前はJRバス福浪線の走っていた国道114号まで出ると,セブンイレブンがあります。中に入れば,周囲にお店もなく,お昼どきなので大繁盛です。お弁当や飲み物を買って,近所の空き地でいただきます。道路を歩いていると東北アクセスなるあまり知らない会社のバスがよく通ります。原発の廃炉や廃棄物処理などの送迎でしょうか。調べれば宮城,福島にまたがって事業を行うバス事業者だそうで,業界の景色も変わったようです。

東北アクセスのバス
浪江は原発も近いですが,津波の被害もあったようで,周辺は新築の家が多いです。駅の標高は10mそこそこですが,駅近くには蔵も備えた木造の家も残っていたりで不思議なところです。12:00前後に駅に戻れば,いわきゆきの普通列車まであと少しです。

駅近くに残る不思議な店
やってきた674MはE531系の5両編成ですが,2020年製で,今改正に合わせて増備された車両です。浪江からの乗りも多かったですが,元々のお客さんも多く,往きの特急同様に復旧開業お試し乗車のお客さんが多いようです。とくに先頭部は混んでいて,カブリツキエリアはビデオを回すひと3人で埋まっています。

常磐線674M。2020年製,ピカピカの新車だ @浪江
線路を見ると除染のためバラストを入替えたのか路盤は新しく,架線柱や法面のコンクリートなども新しくなっています。双葉~大野間は元々複線でしたが,列車の本数も限られているので単線での復旧です。ルートが変わっていないので1週間遅くなりましたが,やはり新しい線路に乗るのは気持ちよいです。

新しい路盤の線路を行く @双葉~大野
富岡までは人垣の隙間から前面展望を楽しみましたが,それより南は後ろの車両に移りゆっくり景色を眺めます。この辺の線路は比較的内陸の高い場所なので津波被害はなかったようです。ときどき視界が開けると海が見え,海岸から近いところでは津波被害の復旧作業が進んでいます。

夜ノ森駅。駅の出入り口は75km/h制限のつくYポイント
また,この辺りの駅舎はどこも幹線然としたしっかりとした駅舎で,震災にも耐えて残っています。以下少し写真が増えますが,海岸の景色と駅舎を互い違いに見ながらの旅行です。

竜田駅。隣では6月の供用に向け新駅舎を建設中

木戸駅。ホーム後ろ側の保護柵がいかめしい

がれき除去,堤防整備が済んで耕作待ちの耕作地 @木戸~Jビレッジ

Jビレッジ駅。今改正を機に臨時乗降場から常設の駅に格上げになった

末続駅。駅舎前にはよく手入れされたプランターが並ぶ

何事もなければ穏やかな大海原 @末続~久ノ浜
674Mは運転再開なった常磐線と海の景色を満喫して13:09,いわきに着きます。今回の旅行の第1の目的は達したので,後は久々に乗る磐越東線やバス代行中の水郡線などを楽しみながら半日かけて横浜に帰ります。(2020.3.28記)
(後編に続く)
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