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2021-05

HOゲージ/16番--EF71の製作・後編

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前編から

 今年(2020年)の夏,巣ごもり生活対策で始めたEF71の製作,その後編をお届けします。後編は課題だった車体足の製作,側面の明り窓の製作,屋上機器などの最後の組立てが中心です。

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現役時代のEF71 @福島駅 1989.8.4頃

 ここでEF71という機関車の実機について触れておきます。1963年登場のED75は国鉄の交流電気機関車としては完成の域に達し,九州向けのSG搭載型のED76とともに増備が進められました。1965年にはED93という試作機で全サイリスタ制御の実用化が図られました。この全サイリスタ制御をED75にフィードバックしたものがED75-500ですが,残念ながらこのタイプは北海道電化の試験用に1両だけの製作にとどまりました。これに代えサイリスタ位相制御の機関車は,SG付の北海道向けのED76-500,ED93を量産化し軸重可変機構付の中間台車を履き低規格路線向けのED77,回生ブレーキと急勾配対策の諸装置を付加し板谷峠向けのED78,更にその動軸増加のパワーアップ版のEF71が製作されました。EF71は1968年と1973年に計15両が製作され,38パーミルの急勾配区間のある奥羽本線の福島~山形間で使用されました。この区間が交流電化に変更された1968年10月(ヨンサントオ)のダイヤ改正から,1991年8月の山形新幹線開業準備のための改軌までの約23年間活躍しました。用途廃止後は1号機が利府の新幹線総合車両センターに保存されていましたが,最近(2019年12月)解体され現存する車両はありません。

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新幹線開業を前に最後の活躍 @峠~大沢 1991.7

 さて,模型の製作記に戻りますが,先ずは車体足の製作です。このEF71の製作に触発され,僕はED75のキットもオークションで買ってしまいました。この落札には理由があり,もちろんED75も欲しかったのですが,それ以上にED75の台車の車体足が欲しかったのです。ED75のDT129系の足回りは完成されたもので,EF71もDT129M/N台車を履きます。厳密にはEF71のものには急勾配上で停車した際の保安装置であるシリンダロック機構が付いているのですが,模型では無視です。ED75のキットを買えば,なくて困っていた車体足も入手できると考えたのでした。落札したED75のキットは宮沢模型製で,その車体足は台車から伸ばしたステーで支持する変わった方式でした。本物のように車体側に固定すると台車と当たる可能性があるので,走行性を重視するならこの方式も頷けます。想定と違ったのは確かですが,これで晴れてEF71にも車体足が付けられます。

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ED75の部品を使って車体足の型をとる 2020.7.18(以下,年は省略)

 ED75のダイキャストの車体足のコピーを作るのは,Bトレインショーティの改造で身につけたレジンキャストを使います。今日の記事では明り窓のほうでたっぷりレジンキャストの解説はするので,ここでは簡単に済ませます。レジンキャストは鋳物のようなものなので,型さえ作ってしまえば2つ作るも4つ作るもあまり変わりありません。このため,EF71用の車体足はスカートの内側に隠れてしまう車端側も用意します。まだまだ技術不足で歩留まりも悪いですが,ものによってはスカート内側の狭い箇所に取付けるため,多少の不良は目をつぶります。むしろ幅が狭い方が都合がよいのです。

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出来上がった車体足。まだまだ技術不足でお湯がまわっていないものもある 7.18

 せっかくできた自作の車体足,さっさと取付けてしまいます。接着剤は木工用の白ボンドです。白ボンドは乾くのに時間がかかりますが,その分微調整がしやすいので僕は愛用しています。車端側の車体足はスカートの内側,スノープラウのステーもあって窮屈な場所ですが,お湯のまわりが悪くて前後寸法の短いものを選んで接着します。この機関車は僕の技術の範囲でしかできていないので,取り立てて取り柄はないですが,車端側の車体足がちょっとしたチャームポイントです。

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車端側の車体足。チャームポイントなどといっても完全に自己満足 8.9

 次の工程は側面に並んだ明り窓です。キットの仕様は窓部分はプレスで抜いてあり,Hゴム部分を別のエッチング部品を半田付するようです。ところが前所有者殿はHゴムの半田付を端折っていました。数も多く面倒な作業なので,端折りたくなるのも分かります。そのままプラのガラスを貼っただけでは殺風景なので,Hゴム支持の様子を作り込まねばなりません。

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真鍮線で作ったHゴム部品とそのコピー 8.9

 当初は真鍮線でHゴムと縦の桟を表現したものを作って,それをレジンでコピーしようと考えました。真鍮線をラジオペンチで慎重に曲げれば,それなりに母型として使えそうなものもできました。1こ作るのに20~30分かかるので,最初は3つ,5回モールドすれば15こできると考えました。やっているうちに歩留まりが悪いことが分かったので2こ追加で作り,3回のモールドで15こを用意できると計算しました。

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Hゴム部品を作るための失敗作の山 7.30

 さてキャスティングですが本格的なレジンキャスティングは準備が大変なので,百均で売っているUV硬化レジンで済ますことを考えました。ところが上の写真のような繊細な部品はUV硬化レジンには馴染まないようで,これは失敗でした。次は型を取るのが大変,また型どり用シリコンは1㎏缶で,実際使うのは僅かなのでもったいないと考えました。会社の帰りに大きな工芸用品店を覗くと2,000円くらいで100gの型とりシリコンがあったので,これを使ってみました。この商品は水色の弾力のあるシリコン型になるのですが,どうも思った太さに鋳れません。そうこうするうち,HO模型製作の大先輩と会話し,そんなの透明レジンでキャスティングすれば簡単とのアドバイスをもらいました。結局この案採用で,透明レジンで作業を進めます。

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レジンの明り窓1--母型をつくる 7.24

 最初はHゴム部分のみの部品製作でしたが,今度はHゴム+窓ガラスに範囲を変えて取組みます。先ずは現物を使って母型を作ります。窓をプラの帯板とマスキングテープで塞ぎ,内側から粘土を圧入して1日待ちます。車体の外側にはみ出さないよう注意していても,窓のまわりは真っ白け,塗装が傷まないか心配になります。幸いなことに,外側にはみ出した粘土は廃歯ブラシで優しく払えばきれいにとることができました。

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レジンの明り窓2--シリコン型の型どり 7.26

 粘土で作った母型を使ってシリコン型をとります。大枚をはたいた手芸用シリコンは使い物にならず,改めて,模型用のシリコン1㎏を用意します。ここでまた失敗,石粉粘土で作った母型は油粘土のグリップが甘かったか軽くてシリコンの液のなかに流れ出てしまいます。母型は窓5こ分をとって,3こと2こに分けてセットしたのですが,3この方はお釈迦,2この方だけかろうじて片面の型がとれます。明り窓の所要は14こですが,2こずつの注型では生産性が悪いです。先ずはこの片面しかとっていない型を使って,母型を4つコピーします。

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レジンの明り窓3--シリコン型A面の製作,今度は流れ出ないようしっかり固定 7.28

 ここまでえらく遠回りしてしまいましたが,ここからが通常のレジンキャスティングの工程です。先ずは型どりブロックの中に敷いた油粘土の上に母型とレジンを流すランナーを組合せて配置します。実はこの設計と配置が大事なのですが,僕も初心者なのでこんなもんだろうという感じに配置します。シリコン型は6~8時間でできますが,僕は大事をとって半日弱寝かせます。

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レジンの明り窓4--シリコン型B面の製作 7.28

 片面ができれば,今度はできた面を下にして,もう反面の型を作ります。このとき離型剤をしっかり塗って,キャスティング作業時のあわせのためのダボ穴を作ります。本当は1面目の型を作る前にダボ穴の準備をするのが正しい作り方ですが,今回はその作業を失念したのでした。

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レジンの明り窓5--お湯の通り道を整形してシリコン型を完成 7.29

 両面の型ができればキャステイングに入る前に型の調整をします。主なところはランナーを配置しましたが,部材にお湯(レジン)がまわるよう,お湯の通り道を彫刻刀やカッターで調整します。また,僕の場合は漏斗状のお湯の流し口や上に向かって空気抜き兼様子確認用の通路も用意します。最後に後から作ったB面の型にも離型剤を塗って,鋳型の製作は完了です。

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レジンの明り窓6--キャスティング作業 7.29

 型ができれば,次は実際のキャスティング作業です。キャスティングといっても実際に鋳る部材は明り窓8枚だけなので,大した量ではありません。キャスティングはA液とB液を化学反応させて凝固・硬化させるので,混合比が正確でないと正しい鋳造品は得られません。一般には0.1gまで測れる秤を使えと言われていますが,僕の場合は,百均の金属製の計量スプーンを使っています。ただし,A液B液の混合比は重量比で表示されますが,計量スプーンで正確に測れるのは体積です。このため取説に書いてある比重を使って体積比を求め(要は逆数をとる),この割合で2液を混合します。2液を混ぜたら素早く型に流し込み,20~30分待ちます。

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レジンの明り窓7--透明レジンのキャスティングの成果物 7.29

 今回,僕が作っているのはELの明り窓の部品で,形としては薄っぺらなものです。透明レジンにとって薄い形状のものは不利だそうで,実際,透明な鋳造品は得られません。湿度が嫌い(当日の湿度は67%)だとか型をドライヤーで温めるとよいという情報を得て,いろいろ試してみますが,どうしても改善しません。最悪,また冬に挑戦するとして,今回の製作はこのまま進めます。

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レジンの明り窓8--ようやく明り窓部品の完成(灰色塗装後に撮影) 8.8

 出来上がった明り窓はHゴム部分も含んだサイズなので,Hゴム部分に灰色9号を筆塗りします。またレジンのガラス部分は白いままだと客車の洗面所の曇りガラスのようで見栄えが悪いので,裏から黒を塗っています。人によりとらえ方は違うと思いますが,白よりはこの方が見栄えがすると思います。サッシの縦桟の部分は幅0.5㎜×厚さ0.2㎜の洋白帯材を2㎜に切って貼ってあります。これがまたクセモノで,質感はとても良いのですが,小さすぎて取り回しが難儀です。

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レジンの明り窓9--自作の明り窓部品への色差し 8.8

 ところで,レジンキャスティングでの自作と並行して,明り窓部品の調達も諦めた訳ではありませんでした。別のスレッドで詳しく書きますが,会社の夏休みのある日,模型屋巡りもしました。東京・落合のKATOのショウルームで分売パーツを当たったところ,明り窓だけの取扱いはありません。最近KATOではHOのEF81を売り出したばかりで,分売パーツのEF81ボデー(7,000円)は明り窓14こも付いた状態で売られていました。僕の価値観では明り窓だけのためにボデーをまるまるは買えません。しかし,これまでにかかった時間,出来あがった部品の品質,かかった費用のどれをとってもEF81のボデーを部品取りにするほうに分があり,残念です。

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さんざん苦労して作った明り窓。出来はイマイチだけど洋白製の桟で一矢か 8.12

 また,明り窓に格闘している間にパンタグラフを塗装します。パンタグラフは一般には銀色に塗装しますが,全検出たてホヤホヤを除き,そんな銀色のパンタグラフの機関車など見たことありません。僕の印象ですが,洗車という観点では福島機関区の機関車は特にひどかったと思います。そんな訳で,この機関車のパンタは一旦銀に塗った後,佐世保海軍工廠色という濃い目のグレーを吹いています。こうしてしまえば,上側金属,下側プラのTOMIXのパンタでもそこそこ見栄えがするようになります。

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パンタグラフの塗装。ED75のものとまとめて作業 7.24

 模型製作の続きですが,明り窓部品ができれば,早速車体に取付けます。取付けは例によって白ボンドです。ボンドがある程度乾いたら,ずっと保留にしていた,屋上部品,パンタグラフの取付けです。屋上といってもEF71は2つのパンタからの高圧配線が1本あるだけなので,碍子7こをねじ止めするだけで簡単です。パンタグラフはTOMIXのプラ製なのでネジはありません。付属の碍子を通して車体に取付ければ,結構固くはまります。元々は昔のプラモデルのように取付足の先を溶かして固定しようと思っていたのですが,その要はなさそうです。

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桟をつけた明り窓と屋上部品,パンタグラフの取付け 8.12

 EF71製作も最終段階です。碍子,パンタの次は屋上の高圧配線です。これは0.4mmの燐青銅線を配線のとおりに曲げ,ネジの頭のくぼみにはめてゆきます。はめただけでは弱いので,少量の白ボンドで補強します。燐青銅線は見た目は銅に似ており,この配線のリアリティは抜群です。碍子をねじ止めした際に黒塗装が剥げてしまったところ,配線の補強の白ボンドのアタマに黒を筆塗りして補修します。最後にメーカーズプレートを接着すれば完成です。

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16番EF71完成 8.12

 巣ごもり対策で始めた模型いじりですがようやく1両完成です。Bトレ用の小物部品を買いに模型店を覗くと20万円近くするHOの機関車が目を引きます。いつも眺めるだけでしたが,今回ようやく手に入れることができました。非電装,よく見るとアラも目立ちますが,自分で手をかけただけに愛着もあります。なお,手元の集計ではかかった時間は約80時間でした。
 ところでせっかくの鉄道模型,どうやってしまうかが問題です。ネットを探すとアクリルケースを1㎜単位でオーダーできることが分かりました。一緒に入れてある架線柱に高さを合わせたのがちょっと失敗でしたが,ジャストサイズのケースに納めれば見た目もよいです。その名も透明堂,3辺をmm単位で指定して,ネットバンクで送金すれば約1週間でケースが届きます。ちなみにこのEF71用は送料込みで3,810円,某有名模型店の車両ケースよりは相当安かったです。

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ケースに入れれば馬子にも衣裳で見た目もよくなる 8.12

 明り窓で足踏みしてまるまる1か月半くらいを無駄にしたおかげで,3か月がかりの製作でしたが,今年の夏は巣ごもりなのでそれもまた佳しです。キットの基本部分だけならそんなに高いとは思いませんでしたが,その他の部品代や塗料を考えると結構お金を使ってしまいました。巣ごもりで旅行に行けないので,その代わりと考えればトントンです。家にはまだ作りかけのED75もありますが,当分はHOのキット製作がマイブームになりそうです。(2020.8.10記)
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