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2021-05

キハ40の思い出・その1

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標津線西春別と思われる 1989.1(?)

 (2021年)3月13日(土)はJRグループのダイヤ改正でしたが,この改正で秋田のキハ40系(正しくはキハ40系という系列はなくキハ40,キハ47,キハ48の40番台形式の気動車を総称する俗称。以降,「系」は省略)がGV-E400系に置換えられ,JR東日本の定期列車から引退しました。この改正の前にキハ40の最後の活躍と五能線の長時間鈍行に乗りに行く計画をたてましたが,自分の住む神奈川県に新型コロナ感染症対策の緊急事態宣言が出ているので旅行を諦めたことは前に書きました。こんなことを考えているうちに,キハ40についてのいろいろが思い出されて,ブログ記事にまとめたくなりました。自分は鉄道車両研究をする研究者ではないので,番台区分などを網羅的に調べる訳ではありません。ひたすら思い出ベースで書きますが,そうだったよね~と各位の思い出と重ね合わせて読んでいただければ幸甚です。なお,キハ40はJR東日本からは引退しましたが,JR東日本とJR東海を除く各社では健在で,残っている両数も多いのでまだ3年や5年は見られるものと思います。

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キハ12と手を組んで。登場初期の頃 @広尾線大樹(?) 1980.3.13

 キハ40は1977(昭和52)年から1982年に製作された国鉄の一般形気動車です。国鉄ローカル線の無煙化に貢献したキハ10系グループは登場から約25年となり更新時期を迎えていました。キハ10系は気動車が電車や客車より1段格下と見られていた頃の設計で,車体断面は1回り小さく,台車もゴムブロック製枕バネのチープなつくりでした。これらを置換えるものとして,車体は電車と同じ車両定規の広幅断面,台車も寒地向けは空気バネ台車となり,国鉄ローカル線の車両のアコモデーションの改善に寄与しました。ちなみに,キハ10系(キハ50なども含む)の製作総数は728両,キハ40は888両だそうです。

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秋田局管内の五能線は早くからキハ40が投入されていた @鯵ヶ沢 1984.3.6

 アコモデーションは格段に良くなったのですが,車両重量が重くなったのにエンジンが非力なのがこの気動車の泣き所でした。国鉄の気動車のエンジンはルーツをたどると戦前にまで遡るDMH17シリーズ(C形で180PS/1,500rpm)が量産され続けていましたが,この状況を打開すべく1966年にDML30HSA(500PS/1,600rpm)が開発されました。このエンジンは従来の2倍以上の大出力を持つ期待のエンジンで,キハ181系やキハ65に使われましたが,強馬力過ぎてトラブルが多発しました。このDML30HSAのシリンダ数を半減,更に出力に余裕を持たせて再設計したエンジンがDMF15HSA(ターボ過給機付,インタクーラーなし,220PS/1,600rpm)で,キハ40の登場時の主機はこのエンジンでした。キハ40といって思い出すのは,先ず発進時のトロさです。

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興浜南線雄武で休むキハ40 

 車内はボックスシート主体の構成でしたが,シートピッチが115系1000番台と同じ,少し広くなった1470㎜で,だらしなく座る高校生には嬉しかったです。編成の中間に運転台が入ると,左の運転席は締切られますが,右の助士席側は一種のフリースペースで,助士席の椅子に座ることもできました。キハ40の運転台は踏切事故対策でとても高い位置にあり,この席に座るのが楽しくて仕方ありませんでした。今は大抵はロープで仕切られて,客は立ち入るべからずですが,当時は車掌さんが通りかかっても特段咎められることもありませんでした。マニアには至福の席ですが,田舎の不良高校生が下校時にタバコを吸うには絶好の場所で,ちょっと憶えは不確かですが灰皿もあったと思います。

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キハ40の運転台窓は貫通路の窓よりずいぶん高い位置にある @白糠線北進 1980.3

 キハ40の暖房は,主機の暖気を利用した温風ヒーターで効きが悪かった印象です。電車では座席の下に電熱ヒータがあるので,お尻がポカポカ気持ちよいですが,キハ40の場合は温風ヒーターなので車内が暖まってくるまで時間がかかるのです。とくに,夜行列車から乗換えた始発列車などでは,寒かったな~という思い出が多いです。札幌~網走間夜行の「大雪」に接続して遠軽を3時台に出る名寄本線の列車があり,随分寒い思いをしたと思います。

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石北本線遠軽で

 冬場は温風ヒーターでも暖房があるからマシで,夏場の暑さはかなわなかったです。床下には熱を発するディーゼルエンジンがあり,クーラーはなしでした。当時のローカル線や国鉄の財政状況からは一般形気動車にクーラーは付けられなかったのでしょう。

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キハ40の製作当初のバリエーション

 キハ40は北海道は最果ての釧網本線から,九州の指宿枕崎線まで日本全国で活躍しました。そのため投入される地域ごとに仕様の違いがあり,3形式8区分(片運転台の2形式5区分にはそれぞれトイレなしもあり)が製作されました。その2でも触れますが,今では無数にと言ってよいほどの番台区分がありますが,製作当初はこの8区分でした。これらについて少し触れてみたいと思います。

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渚滑線北見滝の上で

 先ずキハ40ですが,この形式は両運転台で基本となる形式です。キハ40には1~という基本の番号区分がありません。キハ40という形式は実は2代目で,1960年から1963年に鋼体化改造の61系客車にエンジンを取付けて気動車としたものが初代キハ40で,番号の重複を避けているのです。キハ40には暖地型,寒地型,酷寒地型があり,酷寒地型は北海道用と同義です。

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初代キハ40。のちに改番されてキハ08になった @加悦SLの広場 1984.3

 寒地型の500番台はこの形式のために開発された枕バネは空気バネ,軸バネはエリゴバネ(コイルバネに雪等による凍結を防ぐためのゴムを巻いたバネ)のDT44/TR227系を履き,デッキ付きです。暖地型の2000番台は在来のキハ25や103系電車と似たDT22/TR51系を履き,扉は両端に寄っていますがデッキはありません。寒地型と暖地型でこうまで差別しないでもよいではないかと思ってしまいます。また,酷寒地型は100番台で区分され,窓は1段式で2重窓の北海道仕様,台車はエアサス,エリゴバネのDT44/TR227系です。また,素人目や外観からは分かりませんが,各種の耐寒耐雪装備も強化されているはずです。ところで,キハ40には製作当初は1000番台がありませんでした。キハ40シリーズ全体に1000番台はトイレなしとのお約束のようで,国鉄の末期に烏山線用の7両にトイレ撤去改造を行い1000番台としました。

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キハ40の暖地型2000番台 @新見(?) 1979.7

 次にキハ47ですが,この形式は片運転台,車両の中央に寄せて2つの両開き扉をもつ近郊仕様の気動車です。デッキがないので酷寒地型はなく,自分の憶えでは新潟地区の500番台が最北の配置で,これとても500番台22両,1500番台21両の少数派です。一方,中部地方以南ではこの形式が基本で,トイレ付・なし合わせて327両が作られました。

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新潟から四国へ移動した寒地型のキハ47-500番台。追いかけ,橋の陰でひどい写真ですが悪しからず @土讃線(?) 1986.夏休み

 最後にキハ48ですが,この形式は片運転台,デッキ付で急行型のような外観の気動車です。扉解放時の寒さ対策のためデッキ付で,主に東北地方や高山本線などで運用されました。そういう仕様なので暖地型はなさそうですが,トイレ付6両,トイレなし4両とごく少数が製作され,敦賀と美濃太田に配置されました。美濃太田には寒地型の500番台も多数配置され,どういう基準で暖地型,寒地型の配置を区分していたのかはっきりしません。酷寒地型は更に少なく,トイレ付4両,トイレなし3両のたった7両しか製作されませんでした。製造業に身を置く者としては,たった7両のために図面を起こして,えらくコスト高なことだと思います。

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たった3両の稀少車1300番台 @張碓

 番台の区分とは少し異なりますが,キハ40の初期ロットはざくざく量産された頃の車両と窓割りが異なっていました。ふつうのキハ40はトイレに近いほうのボックスシートの端は2人掛けの座席になっていて,他と違うサイズの窓があります(上の2000番台の写真参照)。一方,初期ロットの車両はこの2人掛けの座席がなく,窓の大きさが揃っています。大した違いではありませんが,初期車の方が均整がとれていて美しいと思います。

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キハ40-108 @名寄本線興部 19984.3

 今日はキハ40の昔話にお付き合いいただきました。次回は主機換装でパワーアップしたキハ40や最近の話題でキハ40について語りたいと思います。(2021.3.13記)

その2へつづく
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