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2022-09

1990年代の欧州鉄道旅行・その1-1--欧州旅行事始め(1992年)

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 今日はタイトルのとおりで少し古い旅行記をアップします。コロナ禍による取材難,ネタ不足に苦しむ今日この頃です。去年はHOゲージの模型に手を出して,その製作記を何本か上げましたが,半田付けをしないで組めて,かつ組んで面白いキットはそう頻繁に転がっている訳ではありません。手許には最近落札したEF71,オユ10,キハ22のバラキットがありますが,半田付けの腕を磨いてからでないと組めず,お蔵入りになっています。

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ヨーロッパの鉄道旅行(イメージ)オーストリアのIC列車 インスブルック中央駅? 1992.4.27

 僕は結婚前の1990年代,幾度かヨーロッパに列車に乗る旅行に行きましたが,今日から暫くこの時の写真を載せてゆきたいと思います。20世紀の鉄道写真でもありますが,取扱う範囲が異なるので別連載をたてることにします。20世紀の鉄道写真は写真主体で文章は少なめですが,写真を見ているとあれやこれやを思い出すので,このシリーズは少し文章を多めにします。ヨーロッパ?海外なんて興味ないよ...というかたも少なからずいらっしゃると思いますが,自分もそうでした。食わず嫌いせずにしばらくお付き合いください。

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ヨーロッパの街歩き(イメージ)インスブルック中央駅駅前 1992.4.27

 僕が大学を卒業したのは1984年,日本も豊かになってクラスメイトの半分くらいは卒業旅行に海外に行きました。へそ曲がりの僕は,未だ日本には見ていないよい場所があると,2~3月は日本中の列車の旅を楽しみました。日本には世界に誇る新幹線があり,海外では鉄道運輸業は斜陽産業になっている感があり,海外の鉄道に目が向かなかったこともあったと思います。

 その後,1991年,ドイツで新幹線ICEが開業したというニュースがありました。僕も30歳になり,ある程度収入も増えて独身貴族を謳歌していた時期,また円が強くなって,海外旅行に行き易くなっていたこともありました。ドイツのICE...?,今まで興味を持って見ていなかったけど,一丁乗りに行ってみるかと,海外旅行を決意したのでした。

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ドイツのInter City Express(ICE) フランクフルト中央駅 1992.4.26

 ヨーロッパの鉄道の旅の計画には先ずはトーマスクックの時刻表です。海外の鉄道時刻表といえばトーマスクックですが,この会社が出す時刻表には2種類があり,ヨーロッパの各国を網羅する赤い表紙の「ヨーロッパ鉄道時刻表」とヨーロッパ以外の世界中の国々を網羅する青い表紙の「海外?鉄道時刻表」がありました。トーマスクック社は近代的な旅行代理業の始祖ともいわれますが,2000年代に入り経営が悪化,複雑な経緯を経ますが2013年夏にこれらの時刻表は廃刊になってしまいました。現代では鉄道時刻表は各事業者がWebサイトで開示しているのでニーズの減少は否定できませんが,ヨーロッパでは鉄道も復権し,ヨーロッパ鉄道時刻表のニーズも一定程度あるのか,European Rail Timetable Limitedという会社が設立され,赤本のほうは現在も刊行されています。

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復刊後の「ヨーロッパ鉄道時刻表」(2015年夏版の日本版,ダイヤモンド社・ダイヤモンドビッグ社)

 さてトーマスクックの赤本は買ったもののどこに行くかです。旅行の契機になったドイツのICEの他はとくにmustで行くべき所はありません。時刻表をパラパラめくっていると「編集長お薦めの景勝路線」という記事があり,10カ所の景勝ルートが地図に示されていました。何も当てがないと旅程が組みづらいですが,こういうチェックポイントがあれば時刻表を手繰る闘志も沸きます。この1992年の回と限らず,以降の訪欧も含めこれらの景勝路線を巡るのが旅行の目標になりました。ちなみに今でも「ヨーロッパ景勝ルート」という記事はあり,170幾つか挙げるうちの25には編集スタッフお薦めのサインが付いるそうです。

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ヨーロッパ景勝ルート(同上10ページから抜粋)

 僕が最初に見たときのベスト10をネットなどで探しましたが見当たらず,ネットで見つけた25を参考に再現したのが,下の地図です。30年前の記憶を頼りに再現したものなので,真偽は甚だ怪しいです。クック時刻表編集長のセレクションとの合致は甚だ怪しいですが,景勝路線には違いないので,これから旅程をたてる人の参考になれば幸甚です。なお,これらのルートはふつうに乗れる鉄道路線で,観光が主目的の登山鉄道や保存鉄道からは選んでいないようです。

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ヨーロッパの(鉄道)景勝路線(サイト管理人の記憶による。ゆえに甚だ怪しい)

 次にきっぷの話を少ししておきます。旅行のときに使ったきっぷは全て「EURAILPASS(ユーレイルパス)」です。ヨーロッパ各国(2021年現在33か国)の主な鉄道を15日間自由に乗り降りできるパスです。僕が使った頃は,大人(26歳以上)は1等用しかなく(今は大人の2等用もある),たった5万円前後でヨーロッパ中の列車--しかも1等--に乗れる夢のようなパスです。旅先で鉄道のきっぷを買うことは,言葉の壁があったり,制度を分かっていなかったり,窓口が長蛇の列だったりで,とても面倒です。この負担のかなりの部分が解消できることもパス利用のメリットです。この当時は,指定席や寝台の指定を受けるときは別途,設備に応じた料金が必要でしたが,座席の指定を受けなければ,国際特急のユーロシティ(EC)や国内特急のインターシティ(IC)も含め,パスだけで乗れました。最近はユーロスターの開業やICE,TGV網の発達で,追加料金が必要な列車が増えてしまいました。

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ユーレイルパス(15日大人用)

 前置きが長くなってきましたが,最後にヨーロッパに行く足,航空便です。せめて往復の飛行機の中は日本語でゆっくりしたい...という希望もあり,4回の旅行中3回はJALを使いました。この当時はANAは未だ新興で,ナショナルフラッグキャリアといえばJALの時代です。ソビエト連邦が崩壊したのが1991年末のことだったので,1992年の旅行のときからフランクフルト直行便を使っていますが,ロシアのシベリア上空を横切るルートは開設後間もない時期でした。それ以前は,アラスカのアンカレジで給油して北極上空を通るか,バンコク,ニューデリー,ベイルートなどを各駅停車のごとくチマチマ飛んで行くしかありませんでした。このシベリアルートの開通が僕にとってもヨーロッパを近くしたのかもしれません。

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この日の行程表

 さて,いよいよ旅行記ですが,スタートは1992年4月25日土曜日です。成田からのフライトはJAL407便フランクフルトゆきです。今でも407便は健在ですが,当時は少し遅い時間帯で出発は13:00,到着は18:00,機材はまだ-400(ダッシュ四百)のジャンボジェットが入っていなくて,-300,ストレッチドアッパーデッキという2階席が延長され,出力増強型のJT9D-7R4G2エンジンの機体でした。以前は撃墜の危険すらあったロシア上空を通過することで,12時間以上も飛び続け,成田から西ヨーロッパまでの直行を可能にした意義は大きかったと思います。

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フランクフルト中央駅の威容。左後ろの石造りの建物が駅母屋 1992.4.26

 ヨーロッパの到着地としてフランクフルトを選んだのは以下の理由からです。JALの欧州便のなかで407便は遅い出発で,成田に出向くことを考えると便利。旅行のきっかけがICE乗車なので先ずはドイツに行く。フランクフルトは空港直下まで列車が乗入れるので,市内へのアクセスが楽。13:00に成田をたてば途中の経路はずっと昼間で,ウラル山脈やセントピーターズバーグ,ヘルシンキなどの通過地点の案内もあり,ほぼ寝ることもなくフランクフルトに着きます。

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ヨーロッパ初日の晩は日本で確保したホリディイン 1992.4.26

 ドイツ語は分からないので,ピクトグラムに従って駅に着ば,先ずはパスのバリデーションです。ユーレイルパスは使用開始時にバリデーションといって使用開始の認証を受けることが必要なのです。フランクフルト空港駅から中央駅までは近郊電車のSバーンで10分で着きます。現地の時間では夜7:00ですが,7時間の時差を考えると身体は夜中の2:00で眠いので,夕食は駅構内のマクドナルドで軽く済ませます。マクドナルドは世界中にチェーン展開し,どこでも勝手が分かるので,現地に不慣れな旅行者にはありがたい存在です。

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フランクフルトの市内バス 1992.4.26

 翌4月26日(日)は時差ぼけ解消にぐっすり寝て,朝,8:00頃から行動開始です。ホテルから駅までの足は忘れてしまいましたが,中央駅の近くをぶらぶらタウンウォーキングをします。たまたま目にしたバスが上の写真ですが,日本では富士重工5Eあたりが格好よい頃,超低床で窓の大きなバスは新鮮に映ります。街の中には古い教会などもあり,無造作に歴史ある建物があるのがヨーロッパの街の特徴でもあります。

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フランクフルト中央駅の信号扱所(?) 1992.4.26

 昨日は眠くてよく見ませんでしたが,フランクフルト中央駅は巨大な建物です。東京界隈では上野駅の表口が大きな駅舎と思いますが,その威容は比較になりません。駅前を行き交う市電などの写真を撮って駅に入ります。フランクフルトからハンブルクまで先ずはICEの体験です。ICEは登場して1年も経っておらず,車両の内外はピカピカです。体格のよいドイツの人に合わせて作ってあるので,座席などの設備は僕には大き過ぎる位のゆったりサイズです。ICEは乗ってしまえば新幹線と同じで,景色は飛ぶようだし,窓も開きません。期待をしてきた割にはあまり記憶にもとどまらずに3時間半の旅は終了です。

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ハンブルグ中央駅 1992.4.26

 ハンブルクに着けば,名物ハンブルグステーキと言いたいところですが,言葉も分からないし,小遣いもふんだんではないので,次の目的地アムステルダムを目指します。1時間の乗継ぎの間合いに撮った駅の写真が上ですが,ここもまたとてつもなく大きな駅です。ハンブルクから乗る列車はドイツのふつうの国内のインターシティ(IC)列車です。この頃のヨーロッパでは長距離列車は機関車牽引の客車列車が主体で,客車好きの僕には嬉しい列車が続きます。


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ドイツのIC列車 場所不詳 1992.4.26

 ハンブルクからアムステルダムへはオスナブルク乗換えで約5時間の行程です。途中,バート・ベントハイムでドイツ・オランダの国境を越えます。この当時既に西ヨーロッパの各国間でのパスポートコントロールを省略するシェンゲン協定はありましたが,国境ではちゃんとパスポートを提示したと記憶します。日本人にとっては陸路で国境を越えることはあまりないので,パスポートを見せるだけでも緊張します。ドイツ語とオランダ語ではさっぱり分からないし,英語でも込み入った会話は不安です。

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ドイツ(左)とオランダ(右)の機関車が並ぶ 場所不詳(バート・ベントハイムだろうか) 1992.4.26

 アムステルダム中央駅には概ね時刻表どおり19:00前に着きます。20:56のミュンヘンゆきの夜行急行まで約2時間あるので,駅前で食事をしたり,東京駅のモデルになったという赤レンガ駅舎を観察したりします。今ならデジカメでバシャバシャ写真を撮りますが,当時は銀塩フィルムでフイルム代も高く,アムステルダムの街の写真が1枚もないのが残念です。

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「Bayern Nach Express(バイエルン夜行)」の客車 @ミュンヘン中央駅(翌朝) 1992.4.27

 アムステルダムからは南ドイツのミュンヘンまで夜行列車で移動します。初めての海外の夜行なのでちょっと張り込んで,日本でいうならA寝台個室に泊まります。用意された寝台車はオハ61のようなニス塗りの内装の旧式な車両ですが,個室内に洗面台もあって古き佳き時代のロネには違いないようです。この頃にはCity Night Lineのような次世代の夜行列車サービスも登場していましたが,なぜかこれらの列車には縁がなく,以降も含めて夜行列車は座席車かクシェット--日本の開放型B寝台のような蚕棚形式の簡易寝台車--ばかりで,本格的な寝台車は数えるほどしか経験がありません。

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4月26日の概略行程図

 翌4月27日(月),目覚めれば列車はミュンヘン近郊を走ります。この後はチロルの山を越えてオーストリアに入り,ウィーンの街を楽しみます。以降は次回をお楽しみに。(2021.5.3記)

その1-2につづく
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