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2022-09

オリンピック休みに少しの鉄分補給に出掛けてきました・その2--山陰本線の益田~米子間鈍行

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その1から

 今日はオリンピックの連休に出掛けた旅行の2日目の午前,山陰本線益田から米子への鈍行,424D~324D~134Kの旅をお届けします。僕は鉄道趣味のなかでもとくに長距離鈍行列車,長時間鈍行列車は好きな分野で,毎年ダイヤ改正の度にランキングを作っています。このランキングは距離で200km以上,時間で4時間半以上を掲載基準としています。この列車は2020年3月ダイヤでは距離で191.5km,時間で4時間28分の運転でギリギリで条件を満たせないでいました。毎年とても残念に思っていたのですが,なぜか今年2021年ダイヤでは所要時間が6分延びて,4:34の運転になり,晴れて条件クリアとなりました。また,2017年にはこの列車の前身の列車に乗っていて,その時はキハ40での運転だったので,キハ40使用の長時間鈍行にぜひ乗ろうと,この列車の乗車が今回の旅行の大きな目的です。

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2017年に134Kの前身の132Kに乗ったときはキハ47だった @宍道 2017.9.3

 (2021年)7月24日(土)6:30過ぎ,益田駅前のホテルで目覚めます。新しそうな駅前の都市ホテルですが,大風呂の設備が嬉しく,朝からひと風呂浴びます。天気は晴れ,今日も楽しい列車の旅を期待しますと言いたいところですが,世の中はCovid-19禍,検温チェックにマスク装着で,長距離の移動に人目をはばかりながらの出発です。

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朝の益田駅。12分の間に各方面の列車が出発 2021.7.24(以下全て同じ)

 7:00過ぎに駅に着けば,改札口周辺はガラガラで,本当に人出が制限されているようです。発車案内を見れば,12分の間に益田からの3方面へ列車が発車し,学期中であれば通学の高校生でごった返す時間のはずです。

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駅構内には柿本人麻呂公像が

 改札を入ると万葉歌人の柿本人麻呂公が旅する旅客を見守るごとく,ホームに佇んでいます。人麻呂公は政府の役人で石見の国に赴任し,益田の近くで没したこの地にゆかりの人です。

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駐泊の気動車は仕業点検のさなか

 期待の長時間鈍行乗車なので早めに駅に来ましたが,列車未だ入っていません。ホームの先の留置線ではキハ120が1両,朝の仕業点検をしています。エンジン始動から運転状態の確認,ブレーキの動作,ライト点灯,ドア開閉...床下機器類を中心に一回り目視と運転士さん1人でこなしてゆきます。気動車は電車と違い機械系の装備も多く,点検も大変そうです。

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益田は山陰本線の結節点。松江・米子方面と下関方面の列車が離合

 7:30前,駅舎前の1番線に424Dになる列車が浜田方面から入ってきます。あれれ。列車は新しいステンレスのキハ126です。そんなはずではなかった...キハ40を期待してきたのに,キハ126はかなりガッカリです。考えてみると三江線が廃止になり,キハ120の運用に余裕ができるので,古いキハ40を運用から外し,燃費もアコモデーションもよい新型車両を使うということでしょうか。

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益田~石見津田ではさっそく海沿いを走る

 隣の2番線は山陰本線長門市方面の列車で,こちらはキハ47です。こっちのほうがいいなと思いつつ,ま,新しいほうが乗る分には気持ちいいと気を取り直して,新しい気動車に乗ります。7:39,時刻になれば,ローカルのワンマン気動車はとくに儀式もなく発車です。益田を出ると列車は石見津田まで7分止まりません。益田の市街地をぐるりと巻いた後,日本海の車窓が開け,ほどなく,昨日,写真を撮った鉄橋を渡ります。

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鎌手~岡見で。山陰海岸は入り組んでいる

 山陰本線は海の車窓がきれいで,今日はたっぷりそれを楽しむつもりですが,一番きれいなのはどこかなどの事前勉強はしていません。適当にきれいな車窓があれば,写真を撮るだけです。全般に山陰海岸は入り組んでいて,上のような景色が多い印象です。

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特急退避の折居で。すぐ裏には日本海

 かつては貨物も扱っていた岡見を出ると列車は山側に向きを変え,発電所を迂回するように長いトンネルに入ります。乗車時は原子力発電所を迂回するものと思っていましたが,調べると三隅発電所は火力でした。岡見へは美祢線の美祢から山口線経由で,往路(美祢~岡見)は炭酸カルシウムを,復路はフライアッシュ(石炭灰)を運ぶ貨物列車が走っていましたが,2013年の豪雨災害で運休になった後,2014年に正式に廃止になったそうです。JR貨物は老朽化したDD51の代替機を投入しても採算が取れないと消極的だったそうで,モーダルシフトが叫ばれる今から考えると残念な話です。

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折居では特急退避。3001D「おき1号」

 折居では約3分止まって,下りの特急と交換です。益田では逆光でまともな写真が撮れませんでしたが,ここでようやくチラ見せの海をバックに列車のスナップが撮れます。

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浜田マリン大橋

 海側の車窓に名前だけは壮大な浜田マリン大橋を見て,8:30,浜田に着きます。浜田はこの周辺のJR線を管轄する浜田鉄道部もある要衝で,列車は17分止まります。

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こじんまりとまとまった浜田の駅舎と駅前広場

 昨日は広島から新広益線のバスに乗りましたが,陽陰連絡のバスとしては広浜線のほうが由緒正しく,明治時代の鉄道敷設法別表にも掲げられています。昭和の戦前期に途中の今福までは工事も進み,ほぼ完成していたにもかかわらず,戦争により中断。その後に鉄道建設公団により工事が再開されるも,今度は国鉄赤字ローカル線問題で工事は凍結となりました。幻の広浜鉄道というそうですが,変転の歴史,未成線マニアには聖地のような趣です。未成線といえば未成線サミットというイベントがあり,第3回の今年は浜田で開催だそうです。

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浜田駅に掲げられた今福線の遺構マップ

 列車に戻ると浜田でお客さんの多くは入れ替わり,前側の車両はガラガラです。ここで今日の気動車キハ126のおさらいをしておきます。キハ126は2000年代初めに山陰方面の高速道路整備に対抗するための山陰本線高速化事業の一環で設計,製作された気動車です。主機は特急187系と同じコマツSA6D140H・450PS,車体は裾絞りのないストレート断面の軽量ステンレス製です。車内はボックスシート主体で構成され,乗り鉄派には嬉しい設計ですが,1次車のシートは金属パイプ製の肘掛けと座席フトンの間に得体の知れないスペースがあってチープな印象です。製作費用は島根県,鳥取県から無利子貸与の援助を受け,全車とも新潟鉄工所,新潟トランシス製です。

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キハ126(1次車)の車内。製作は全車新潟鉄工所・新潟トランシス

 浜田からは列車番号は324Dになり,運転士さんも交代します。車窓は相変わらずの山陰海岸ですが,波子(はし)のあたりでは,僅かばかりの砂浜,海水浴場が開けます。

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波子海水浴場。真ん中左の白い塔は県立石見海浜公園の歩道橋。凝った意匠ではあります @波子付近

 9:13,江津着,7分止まって下りの快速と交換です。この時間を利用して列車の写真を撮ったり,駅構内を眺めたりします。三江線がなくなってしまったので江津はただの中間駅ですが,2両編成の気動車に似つかわしくない長いホームは大駅の風情です。この周辺には風力発電所が多く,石州瓦のきれいな日本家屋の向こうたくさんの風車が見えます。

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石州瓦の日本家屋の向こうに風車の車窓 @黒松~石見福光

 9:51,馬路着。ここは石見銀山が近いようですが,今日は観光客もなく,静かな無人駅です。「マジ」と大書きされた案内板が眼を惹きます。続いて10:09,大田市着。何気なくホームを見ると,跨線橋の登り口になにやら案内板があります。1890(明治23)年鉄道庁神戸工場製の鋳鉄製の跨線橋の柱は現存する中で最古だそうです。

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現存最古の鋳鉄製門柱 @大田市駅

 大田市を出ても山陰海岸の車窓は続きます。下の写真は波根(はね)~田儀(たぎ)あたりで撮ったものですが,とても澄んだきれいな海であることが分かります。

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波根~田儀で。山陰海岸の海は澄んでいる

 この辺りからは車窓は広い日本海ではなく,日御碕半島の島影が見えるようになります。

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海の向こうに日御碕半島 @田儀~小田

 陸地のなかを走るようになり,右手に出雲車両支部が見えると西出雲です。ここから暫くは電化区間となります。都会らしい景色になり,高架に登ると10:49,時刻表どおり出雲市着です。

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倉敷から来た長距離鈍行の283Mは食パン顔の改造先頭車編成 @出雲市

 この列車としては行程のほぼ7割消化で,運転士さんも交代,列車番号も134Kに変わります。2分止まって,倉敷から来た283Mを受けると直ぐ発車です。山陰本線も電化区間では列車の頻度も高まり,次の直江ではさっそく4分止まって「やくも3号」と交換です。1駅おいて,宍道でも4分止まって「スーパーおき3号」と交換です。

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宍道駅木次線ホームの賑わい

 宍道は木次線を分けるジャンクションですが,18分後に木次線の列車があるので,ホームは大賑わいです。JR西日本は三江線に続き,木次線も廃止したい考えのようで,今のうちに乗っておこうという乗り鉄が押し寄せているようです。帰浜後にジュニアから聞いた情報ではこの日,備後落合で積み残しが出るほどの混雑だったそうです。

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宍道を出ると車窓は宍道湖になる

 宍道を出ると線路は宍道湖に沿うようになり,穏やかな汽水湖(淡水に海の海水が混じった湖)の景色がしばらく続きます。宍道の次の来待は来待石の産地で,ホームの上にはモニュメントがあります。来待~玉造温泉は山陰本線では数少ない複線区間です。

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来待石のモニュメントのある来待駅のホーム

 複線区間はたった1駅間で単線に戻り,県庁所在地らしいビルの並ぶ景色になると,再び高架を登って11:33,松江着です。

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宍道湖の向こうにビル群が見えれば松江は近い @玉造温泉あたり

 松江では7分止まって,この列車最後の大休止です。ふと下りのホームを見ると見慣れないブルーの気動車がいます。「あめつち」は2018年運転開始なので既に3年経っていますが,僕にとっては新しい観光列車のイメージです。それにしてもJR西日本はこの手のキハ47改造のリゾート列車が好きです。

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松江では「あめつち」と交換

 11:40,松江を出ると列車は最終区間に入り,景色は中海沿いの山陰地方のなかでは割と人家や工場の多い地域です。いささか疲れてもきたので,ボーッとして過ごします。山陰本線は昔,昭和50年代ごろまでは長距離鈍行の宝庫で,とくに824レは門司を朝5:00台の始発で出て,延々山陰本線を東進し,夜中の23:00過ぎに福知山に着く有名な列車でした。824レには残念ながら乗ったことはありませんが,1979(昭和54)年の夏休みに高校の鉄道研究会の合宿の散会後,出雲市の先の江南(8:47)から豊岡(17:31)まで544レという客車鈍行に乗りました。当時の客車鈍行は荷物車も連結していて,駅ごとに荷扱いの長時間停車があり,スタンプ蒐集には都合がよかったです。

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山陰本線の古い駅スタンプ。乃木,宍道,荒島

 さて,この列車はワンマン運転ですが,行き違いなどがなければ大抵の駅は45秒の停車(一部30秒停車もあり)です。以前は,ワンマン運転の停車時間は30秒が一般的だったと思うので,この15秒の差が全体で6分の差になり,長時間鈍行誕生のきっかけになっているのかもしれません。なお,これはこの地区の2020年ダイヤを知らないので,全くのあて推量です。

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終点米子を前に。運賃表示器にはびっしり45の駅が並ぶ

 12:03,安来着。朝の益田からここまでが島根県で,最後の1駅,米子は鳥取県です。横に長い島根県を端から端まで鈍行で走ってきた感じです。12:13,列車は時刻表どおり米子に着きます。運転台後ろの運賃表示器は,50この表示枠にほぼ一杯,45の駅が並びます。米子駅はたった2両の気動車がさびしく見える大駅で,ホームは長く,跨線橋がなんと3本も架かります。4時間34分の鈍行列車のゴールに相応しい佇まいです。

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米子駅の佇まい。跨線橋が3本も架かる長いホームは地域隋一の大駅

 お目当ての長時間鈍行の旅は無事終了ですが,今日の旅程はまだまだ敦賀まで続きます。ちょうどお昼でもあるので,駅の内外を眺めたり,食事をしたりで過ごします。

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米子駅は建替え工事中。駅ビル近くに掲げられた感謝状

 米子は鉄道管理局併設の大きなビル型駅舎ですが,現在,駅舎の改築工事中です。新潟や旭川などもこのようなタイプの駅ビルでしたが近年は建て替えが進み,残るのは釧路ぐらいかと思います。玄関ホームの1番線にはJR西日本スタッフから駅舎建物への「感謝状」なる掲示があり,Covid-19禍の移動のなか心が和みます。

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整備の進む駅前広場,新旧の支社建物が並ぶ

 駅前に出ると再開発の工事中で,改札口は至って小さい臨時の出口です。その前にはセブンイレブンブランドの駅売店兼土産物屋が陣取ります。気分は駅そばのような軽いもので食事をしたいのですが,そんなお店は見当たらないので,セブンイレブンでお握りとパンにします。外は32度の暑さですが,今のご時勢,列車内での喫食ははばかられるので,建物の蔭で立ったまま胃袋に押込みます。

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米子駅建替えと南北自由通路整備のPRポスター

 米子では43分の乗継ぎでしたが,時間も余っているので,駅内外や南北自由通路整備のポスターを見たりで時間を過ごします。今日はこれから山陰本線を東進,綾部からは舞鶴線,小浜線で敦賀まで行きます。続きはちょっと先にアップ予定の「その3」をお楽しみに。(2021.10.9記)

その3につづく) 
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