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2022-09

1990年代の欧州鉄道旅行・その1-4--1992年5月のフランス,オランダ,ドイツから帰国まで

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その1-3から

 今日は1992年のゴールデンウィークのヨーロッパ旅行から,その1-3でお届けした氷河特急に乗った次の日から帰国までをお届けします。具体的にはツエルマットを朝出てTGVでパリに上り,ユトレヒトの鉄道博物館を見たあと,旅行出発地のフランクフルトに戻ります。筆を起こす前は消化試合のレポートと思っていましたが,博物館を訪れたり,鉄ちゃん(鉄道写真を撮ること)をしたりと意外と充実した内容でした。

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この日の行程表

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BVZの登山列車 1992.5.1(特記あるまで同じ)

 (1992年)5月1日はスイスのリゾート地ツエルマットから出発です。列車はツエルマット9:10のブリーク-フィスプ-ツエルマット鉄道(BVZ)のブリークゆきです。昨日,氷河特急で登った線路を普通列車で下ってゆきます。一部にラックレールを使って急勾配をしずしずと下る区間があり,45kmに1時間24分もかかります(表定速度32.1km/h)。終点のブリークではシュピーツ方面の列車に乗換えです。

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レッチェベルク線からの車窓

 ブリークからシュピーツまでは線路戸籍上は私鉄のレッチェベルク鉄道(BLS)ですが,ここはアルプスを貫く幹線鉄道で国鉄と遜色ない列車が走っています。ブリークからBVZの列車で先ほど走ってきたローヌ谷の北岸を川に沿って走りますが,ぐんぐん高度を上げ,フィスプの街などが眼下に広がります。ここは今回の旅行でもとくに記憶に残るよい景色でした。

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レッチェベルク線の列車と車窓

 このフィスプからシュピーツはベルンアルプスの峠越え区間で,2007年にレッチェベルクベーストンネルが開通して新線に切り替わっています。当時は1時間以上かかっていましたが,今の時刻表を見るとIC列車で35分で走り切ります。幸いなことに旧線もローカル線として残っているので,いつか訪ねてみたいと思います。

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シュピーツで顔を並べるGBSとBLSの列車。右のBLSは国鉄の列車のよう

 シュピーツからはGBSの列車でツバイジンメンに向かいますが,記録によれば時間潰しにツーンまでを往復したようです。ツバイジンメンゆきの列車はいかにも私鉄らしい顔をした2色塗りの電車です。終点ツバイジンメンではモントルー・オーベルラン・ベルノワ鉄道(MOB)の電車に乗換え,モントルーを目指します。MOBは狭軌の青い電車でベルナーアルプスの西の端を走り,ゴールデン・パスと呼ばれる観光鉄道になっています。下の写真はふつうの電車ですが,小田急のロマンスカーのような展望席を備えた列車も走っています。スイスの観光鉄道も3日目になり,感覚が麻痺してしまって,絶景車窓の印象はありません。その3に書いたような氷河地帯とは違う,緑の牧草地に牛が点々といるようなのどかな車窓だったと思います。

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MOBの電車

 ツバイジンメンからちょっきり2時間でレマン湖のほとりのモントルーに着きます。ブリークからのIC列車なら120km1時間20分の行程ですが,ベルナーアルプスを2回越えて5時間半がかりです。

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レマン湖の景色

 旅行も終盤に差し掛かってきたので,荷物の中から汚れ物の衣料や時刻表など重さの嵩むものをまとめて,駅前の郵便局から自宅に送ります。DHLのような国際小荷物のサービスは当時もあったのでしょうが僕は知らなくて,ふつうに郵便局に行って発送したら自分のほうが先に着いていました。モントルーからは再びスイス国鉄の幹線でローザンヌを目指します。

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スイス国鉄の列車。この頃の欧州ではこんな客車が主流 @モントルー(?)

 約20分の乗車で列車はローザンヌに着きます。ローザンヌからはフランス国鉄の誇る高速列車TGVでパリを目指します。TGV南東線は基本的にはパリ~リヨン間の運転ですが,一部の列車はジュネーブを経てローザンヌまで乗り入れています。欧州では新幹線といっても軌間や架線電圧など主要な規格が共通なので,国境を跨ぐような乗り入れが簡単にできるのは便利です。

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TGVの電車。ホームからはみ出すので写真が撮りづらい @ローザンヌ

 TGVは,ドイツのICEより随分早く,1981から走っているヨーロッパの高速列車の老舗です。雨の降る夕方のローザンヌを出れば,3時間46分でパリ・リヨン駅に着きます。TGVは新幹線をしのぐ世界最速の列車,どんなものだろうと期待して乗りましたが,車体の断面が小さく窮屈だったのが印象です。パリはヨーロッパのターミナルの典型で路線別にターミナルがあり,リヨン駅から北駅までを地下鉄で繋ぎます。初めての海外旅行の大都市の夜なので,物盗りに用心しながらの移動で写真は残っていません。

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パリ~アムステルダムを結ぶ夜行列車 @パリ北駅

 パリ北駅では夜行列車に備え夕食を摂りますが,またまたマクドナルドです。知らない外国人にフランと両替してくれとせがまれますが,僕もパリ滞在は2時間なので最低限しか持ち合わせがなく,面倒なので言葉が分からないフリをして無視します。パリ~アムステルダム間は541km,ゆっくり走る夜行列車でちょうど1晩(8時間55分)の行程ですが,今は高速列車タリスが3時間20分で結んでいて夜行列車はないようです。段々,ヨーロッパの鉄道旅行にも慣れてきて,この晩はクシェットというJRの開放式B寝台のような簡易寝台に泊まります。

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オランダの電気機関車 1992.5.2(特記あるまで同じ)

 翌5月2日は夜行列車の着時刻としては申し分ない8:05にアムステルダム中央駅に着きます。アムステルダムは旅行の最初にも来たので,ドイツ,オーストリア,スイス,フランスとぐるりと一回りしたことになります。前回はゆっくりできなかったので,朝の時間はアムステルダムからデンハーグ,ロッテルダム,ユトレヒトなどオランダの中心部の都市を郊外電車で巡ります。

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オランダの郊外電車。ちょっとクハ481-200似

 オランダはこの当時でも比較的電車列車が多い国で,今日のとびらに使ったドッグノーズと呼ばれるタイプの電車が頻繁に走っています。ドッグノーズはやや旧式になっていて,最近は鼻が短くなり客室が長くなったタイプが多くなっているようです。また,ベネルクスとまとめて呼ばれるように隣国ベルギーとの結びつきが強く,IC列車にはベルギー国鉄の車両も混じっています。

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ベルギーから来たIC列車

 オランダでは鉄道博物館に行く計画をたてていて,10時過ぎにユトレヒトに着きます。ユトレヒト駅から鉄道博物館へはバスで移動です。見知らぬ海外の街で,言葉も通じないなかでの市内バスでの移動は骨が折れます。バスに乗れば有名なユトレヒト教会の大聖堂なども見えます。長崎のハウステンボスのドウムはこの教会を模した建物ですが,確かにそっくりです。

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ユトレヒトの大聖堂前を行くバス

 この博物館は鉄道専門で,オランダの鉄道創業時の車両から現代に至るまで,いろいろな車両を展示しています。今ならデジカメでバシャバシャ写真を撮ると思いますが,当時は銀塩フィルムなのでとくに気に入ったものしか写真がありません。

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オランダ鉄道博物館の入口風景

 下は多分,鉄道の草創期の機関車だと思いますが,手入れも行き届いていて気持ちがいいです。

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オランダの鉄道草創期の蒸気機関車

 もう一つは戦前に流行ったドイツのガラス電車のような展望電車です。と思っていたのですが,記事を書くために確認したら,この車両は1954年製,Camel(らくだ)の愛称を持つ鉄道幹部の視察用の車両だそうです。車内にはキッチンと会議室があり,部内の利用のほか,要人の移動にも用いられたそうです。

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NS20 Camel

 博物館で約3時間を過ごし,その後はドイツのケルンまでユーロシティ(EC)列車で移動です。何度も書きますが,この頃のヨーロッパはどこに行っても優等のEC,IC列車は客車が主体で,客車党の僕にはたまりません。下の写真のドイツの103型電気機関車は僕でも知っているドイツの名機ですが,赤色1色の東西ドイツ統一カラーはどうもぞっとしません。

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多分EC147列車。赤色一色塗装の103型牽引

 何時間でも乗っていたいようなECで約2時間でケルンに着きます。ここケルンもまた大聖堂が有名ですが,中央駅のすぐ横に建っています。ふつうの人なら大聖堂を見たり観光をするところですが,15:42にケルン中央駅に着いた後は駅撮りで鉄ちゃんをします。

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大聖堂の脇を行くオリジナル塗色の103型 @ケルン中央駅

 ケルン中央駅は大聖堂のほかライン川を渡る大きな鉄橋の袂にあり,重厚な鉄橋を入れて列車の写真を撮ることができます。ここでは随分粘ってたくさんの写真を撮ります。

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まずはお気に入りのオリジナル塗色の103型の牽くIC列車 @ケルン中央駅

 103型は登場から20年経っても第1線の現役ですが,後継の120型がトラブルに悩まされ,量産,増備が進まなかったことも一因です。なお,120型は開発初期のインバータ制御を採用した客貨に使える汎用機で,その後の鉄道電気技術の基礎をなしたとはWIKIPEDIA日本語版の評です。下はその120型牽引のIC列車です。

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120型の牽くIC列車。横を走るのはSバーン(近郊電車) @ケルン中央駅

 最後はちょっと変な顔をした電車列車です。この列車はルフトハンザ・エアポート・エクスプレスで,鉄道線路上を走りますが,ルフトハンザの航空便の扱いで旅客サービスなどはルフトハンザのCAが担当します。フランクフルト~デュッセルドルフ間は約200kmで空港アクセスを考えれば航空便と遜色ない所要時間で走れ,逼迫していたフランクフルト空港の発着便数の確保にも寄与できる画期的な試みの列車です。

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ルフトハンザ・エアポート・エクスプレスの403型電車 @ケルン中央駅

 橋の袂にはフリードリヒ3世とウィルヘルム2世の騎馬像が対で立っていて,出入りする列車を見守ります。この頃には陽が傾いてきて暗めですが,レタッチソフトで明るさを補正しています。

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少し引いてフリードリヒ3世の騎馬像と共に @ケルン中央駅

 さんざん写真を撮った後はヨーロッパ旅行最後の晩のホテルに落ち着きます。時間的には中央駅の周辺で大聖堂などをちらりと見た後,夕食を食べてホテルに戻ったはずですが,旅行も8日目で疲れてきたのか,まったく記憶がありません。

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120型の牽くIC列車が古城のふもとを行く @ザンクトゴアール 1992.5.3(以下同じ)

 翌5月3日は今回のヨーロッパ旅行の最終日,ケルンからフランクフルトに戻り,20:50のJAL408便で帰途に就きます。ケルンからフランクフルトは約210kmありますが,ドイツの中でも最大級の幹線で頻繁にEC,ICが走るので安心です。しかもこのライン川に沿う区間はその1-1で紹介したトーマスクック時刻表の編集長が選んだ景勝路線になっています。この日はもともと10:00頃に出発のつもりでしたが,前夜が早寝だったせいか早起きし,1時間早くの出発です。

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同じ場所ですがこちらは103型 @ザンクトゴアール

 この場所はこの時もっていったガイドブック--確か「ブルーガイド/ヨーロッパ鉄道の旅(実業之日本社)」だったと思います--の表紙の写真になっていて,ぜひとも行ってみたいと思ったのです。ザンクトゴアール駅に着くと,ガイドブックの写真とはアングルが違いますが,駅撮りでも十分満足なので,ホーム端で何カットか撮ります。この路線はICEの走る高速新線に対して在来線ですが,速度は200km/h近く出ています。日本の新幹線のようなホームの安全柵もないので,多少怖いです。

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こちらは反対のホーム端 @(多分)ザンクトゴアール

 この辺りはライン川の中流域にあたりますが,滔々と流れていて,ときどき観光船や貨物船が往き来します。巨大な岩が有名で世界遺産にもなっているローレライの岩もこの近くです。列車で1駅下ったオーバーウェセルでも降りて約1時間を過ごしたと記録にはあります。記憶にないのですが,ストリートビューで照合すると下の写真はオーバーウェセル駅の近くで撮ったようです。

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手前に見えるのはオーバーウェセル駅。逆向きですが列車も見えます

 ローレライの岩はザンクトゴアールとオーバーウェセルの間にありますが,残念ながら右に曲がった川の陰で写っていません。代わりに103型の牽くIC列車が糸くずのように写っています。

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ザンクトゴアール~オーバーウェセル間のライン川

 2駅で2時間くらい時間を潰しながらフランクフルトへの歩を進めます。マインツからはEC列車に乗り,空港駅には15:30前に着きます。これからチェックインして出発まで5時間以上もありますが,この頃は海外旅行も珍しく,免税店での土産の買い物にもそれなりに時間がかかるのです。飛行機に乗れば鶴丸のJAL,もう日本に着いたような気になって,寛ぎます。年間最高18回も海外出張に行っていた父がJALで帰るときの蕎麦が楽しみと言っていましたが,よく分かる気がします。

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1992年のヨーロッパ旅行のコース。○数字は泊まった場所,茶色は夜行列車

 最後にこの旅行のまとめです。全行程をまとめて地図に描くと上のようになり,計算していませんが,5,000kmは下らないでしょう。泊まったのはホテルに5泊,夜行列車に3泊です。この間にトーマスクック時刻表の編集長お薦めの景勝路線(多分)5か所を制覇することができました。当時と今では高速新線の開通,TGV,ICE網の整備が進み,夜行列車が減りました。同じ行程はたどれないにしても,景色はそんなには変わらないはずなので,ヨーロッパ鉄道三昧の旅を計画する際のお役に立てればよいと思います。僕は1998年に結婚するまでの間にあと3回ヨーロッパ旅行をしました。この先もときどき暇を見つけて,写真を整理し,旅行記に纏めてアップしたいと思います。(2022.1.4記)

その2-1につづく
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