オリンピック休みに少しの鉄分補給に出掛けてきました・その5--播州赤穂から横浜への鈍行紀行

(その4から)
2021年のオリンピック休みに出掛けた青春18きっぷ旅行,最後は播州赤穂から横浜への青春18きっぷの旅です。その4で詳述したとおりこの日は早起きして日本最長鈍行の新快速に乗り,播州赤穂に行きました。その後は基本的には横浜・磯子の自宅へ帰る旅で,真昼間の東海道線を東上する旅は大学時代から数知れずです。時刻表を紐解くと,少々着くのが遅いですが,中央線塩尻経由でも磯子まで帰れることが分かりました。消化試合の帰途の旅に少しでも彩を加えるべく,迷わず塩尻経由を採用です。それでは712.9kmの鈍行の旅をお楽しみください。

今日の行程
(2021年)7月25日午前10時の赤穂から旅行はスタートです。赤穂は忠臣蔵と赤穂浪士,製塩産業,温泉が名物の城下町です。観光産業が盛んなようで,正倉院の高床式倉庫を思い起こさせる白い大きな駅舎内には観光案内所も入っています。ここを覗くといろいろな塩を置いているので,家への土産に赤穂の天塩となぜかアンデスの岩塩を買います。かなり変わった土産物ではありますが,わが家は甘いお菓子の類は余っているのです。

発車を待つ948M @播州赤穂 2021.7.25(以下全て同じ)
本来なら駅を出て城下町のタウンウォーキングをするところですが,既に気温は30度位ありそうで屋外を歩く気になりません。土産物のほかは駅前のコンビニで遅い朝ごパンを買って,そそくさと列車に落ち着きます。電車は先ほど敦賀から乗ってきた最長新快速の折返しですが,昨晩が敦賀滞泊だったので,網干入庫の運用です。10:12,時間になれば列車は発車し,21分で網干に着きます。網干では12分待って始発の長浜ゆき3452Mに乗換えます。本来なら駅舎に上がってスタンプを押したりするところですが,朝から最長新快速で緊張していたので,少々お疲れモードです。

網干~米原は新快速3452M @網干
網干からの新快速も223系12両編成で,朝乗った最長新快速とほとんど変わりありません。朝の旅行はまさにマニアのこだわりです。同じ線路を延々3時間戻る訳で,ご苦労なことです。

瀬戸内海に海王丸がたたずむ。手前のヨットがちょっと邪魔ですが @須磨あたり
もちろん車窓も同じなので,基本的には省略です。その4に一部使いましたが,往きの列車で思うような写真が撮れなかった箇所の写真を撮りながら,ほとんどの時間は車内でゆっくりします。明石海峡大橋の近くの海沿いでは,帆船・海王丸が見えます。

JR総研の実験センターが見えれば米原だ
13:20過ぎ,JR総研の実験センターが見えれば,播州赤穂まで往復460kmの旅も終わり米原です。米原からはJR東海のエリアになり,先ずは13:30の3218Fで大垣を目指します。階段が列車の前寄りにあるので後ろの方が空いているようです。何気なく周囲を見回すと,先ほどまで乗っていたJR西日本の223系とJR東海の313系はどちらも3扉転換クロスシートを備えますが,車内のテイストは随分違います。一方,下り方先頭車の偶数形式のクハにトイレがついているあたりは共通の設計で,妙なところに感心します。従来と同じ国鉄伝来(?)の設計で変える必要もないからなのでしょう。

米原~大垣の関ケ原越えは3218Fで @米原
毎度書きますが,この米原~大垣の関ケ原越えの区間は好きな区間で,左側の座席でゆっくり伊吹山を楽しみます。手前には新幹線の線路があり,ここから伊吹山と新幹線の写真が撮れたらとカメラを構えますが,一度としてそんな光景に出会ったことはありません。

近江長岡~柏原あたりから見る伊吹山
伊吹山ばかり注視していましたが,大垣に着く前には左側に金生山も見えます。この山は石灰山でその積出しのために美濃赤坂支線も敷かれていますが,元の山容が分からないほど削り取られてしまって痛々しい姿です。まさに身を削りながら地域に貢献する姿になぜか惹かれます。

荒尾あたりから見る金生山
35分の乗車で14:05大垣着。接続はよく,14:11に新快速・豊橋ゆきがあります。この列車に乗れば33分で名古屋です。

大垣〜名古屋は新快速5336Fで @大垣
このまま東海道線を上れば20:30には横浜に着きますが,時刻表を繰れば中央線回りでも今日中に帰れるので,今日は塩尻回りで帰宅です。中津川~塩尻間の列車が少ない--日中は2,3時間に1本--ので慌てて行っても仕方なく,名古屋できしめんを食べたり,夕食の買い出しをします。

名古屋の定番,住よしのきしめん
名古屋駅のきしめんはホームで食べるグルメの定番ですが,場所によってお店が異なり,「住よし」と「かきつばた」があります。今日はホーム東京寄りの住よしにします。ここは注文してから天ぷらを揚げるそうですが,忙しい僕にはそれを待つ時間はなく,ふつうのきしめんです。ところで,本稿を書くためにググったら,名古屋駅には11か所もきしめんスタンドがある(ブランドも他にもある)そうで,店舗間の競争も激しいのでしょう。どちらかというとエキナカのグルメは充実の傾向ですが,ホームの立食いスタンドは減少傾向の印象なので,どのお店にも頑張ってほしいものです。

中津川ゆきの快速5733M。赤灯は前側4両のみ点灯 @名古屋
名古屋では40分あるので,改札の外の高島屋に夕食の買い出しにでかけます。既にきしめんを食べるので10分弱を使っているので,結構慌ただしく,あれこれ迷っている時間はありません。適当に気に入ったかに寿司と焼き鯖寿司を買ったら1,700円にもなってしまいました。尤も,さすが高島屋,隣では1本4,000の鯖寿司を売っており,ちょっと驚いて帰ってきました。

瑞浪から見た行く手の線路
ホームに戻れば中津川ゆきの快速5733Mは入線しています。一番前の車両に乗れば,奇数向きのクモハ,日曜日の昼下がりの時間帯で車内はガラガラです。この編成ですが名古屋で僕が乗車ったときは4両編成に見えましたが,中津川に着いてみれば8両編成で,あとから後ろに4両増結したようで,トリッキーな運用です。名古屋を出てしばらくは鶴舞,千種,大曾根と地下鉄のターミナルが続きお客さんを拾いながら進みますが,多治見に着けば車内は元通りのガラガラです。

中津川の駅前風景。幟が裏向きですみません
瑞浪を過ぎると列車は30分に1本になり,景色も木曽谷の入口らしくなってきます。16:39,列車は時刻表どおり中津川に着きます。中津川からの塩尻ゆきは21分の接続で,少し時間があるので駅前に出てみます。中津川ではアメリカのレスリングの選手が合宿をしているようで,歓迎の幟がオリンピック休みの週末であることを思い出させます。

2両編成の身軽な1837M @中津川
塩尻ゆきの1837Mは霜取りパンタ付きのクモハ313を先頭にした身軽な2両編成で,17:00ちょうどに中津川を発車します。Covid-19禍の日曜日でも夕方の人の動く時間帯なので,2両編成の列車は6割がたの入りです。南木曽までに幾度か木曽川を渡りますが,それより北は50km位にわたり川を渡ることはなく,木曽川の南岸を遡ってゆきます。

木曽川の谷を川と国道19号線と中央本線が並んで走る @南木曽~十二兼
緑の山谷のなかを走り,少し人家が見えると駅になります。中山道の宿場のあった須原では4分止まって,上りの「しなの」と交換です。「しなの」は2分ほど遅れてやってきましたが,余裕時分が多いのか,程なく遅れは回復します。

中山道・旧・須原宿のあたり @須原
木曽川には水力発電所が多く,読書,大桑,須原,桃山,寝覚...とたくさんの発電所が立地します。下の写真の桃山発電所もそうですが,この辺は中部電力のエリアだと思いますが,関西電力の発電所も多いです。倉本と上松の間には「しなの」では車窓案内も入る寝覚ノ床があります。確か小さな赤いほこらがあったと記憶しますが,夏の緑の濃い時期で見逃してしまいました。寝覚ノ床を過ぎると上松で,次の木曽福島は木曽谷のなかでは最も大きな特急の止まる駅です。

関西電力桃山発電所 @須原~倉本
漆器工場の多い木曽福島から更に3駅,藪原までが木曽川沿いで,藪原~奈良井間で分水を越え,信濃川水系の奈良井川沿いになります。トンネルもあり,川の流れを見ていれば分水であることは確かですが,どちらも長野県だし深い谷のなかなので,あまり分水らしい感じはしません。奈良井は中山道の宿場の風情が残る町として人気になり,観光客も少し乗ってきます。川は変わっても地域の名前は木曽で木曽平沢は相変わらず木曽を冠した駅です。

寝覚ノ床 @倉本~上松
18:30を過ぎ,少々お腹も空いてきます。塩尻からの中央東線はロングシートの可能性もあり,結構混んでいそうなので,車内が空いている今のうちに高島屋で買ったカニ寿司をいただきます。昔,関所のあった贄川を過ぎると信州,洗馬あたりで松本平の端っこに出ます。18:50,時刻表どおり塩尻に着けば中央西線の旅は終了です。何度も通ったことのある路線ですが,今日はゆっくりすべてが山の中の木曽路を楽しむことができました。

塩尻からは200km超の長距離鈍行446Mで大月へ @下諏訪
塩尻では9分の接続で大月ゆきの446Mに乗換えです。この446Mはいろいろな変遷を経て,2014年に今の区間に設定された長距離鈍行で,初めて見たときは新鮮な驚きでした。今は逆方向に高尾~長野間の列車が設定されているので,少々,残念な形になっています。高尾に入らないので編成は短い3両,いつ乗ってもほどほどに混んでいます。少々帰りが遅いですが,青春18きっぷでの旅行にも使いでのある列車なので,今日も18きっぱーと思しき大きな荷物のお客さんがたくさん乗っています。美ヶ原・蓼科方面の山々が夕日に染まり,諏訪盆地のあたりで陽は暮れてしまいます。今までにも何度かこの列車は乗ったことがあり,基本的には夜の移動なので詳細は省略です。

夕暮れの美ヶ原・蓼科方面 @岡谷~下諏訪
446Mはとくに理由もなく3分くらい遅れて大月着,所定では5分の接続で東京直通の快速列車に乗換えです。乗換え時間は少ないですが,このような接続で無情に行ってしまうわけもなく,全員の乗換えが終わってから少し遅れての発車です。大月~東京間の快速列車ですが,せっかくの中央本線の旅行にオレンジ帯のE233系はぞっとしませんが,最近少し見直しています。10両もつながっているのでいつでも空いているし,使い古した211系に比べればきれいで明るいです。今夜も前のほうの1号車に乗れば,大月発車時点でお客さんは他に1人です。

大月~八王子間の2280M~2280T @八王子
周囲に誰もいないので,家で食べようと思っていたもう1つの焼き鯖寿司をいただくことにします。ロングシートのE233系ではちょっとですが,中央線の通勤電車にも2024年頃にはグリーン車が連結されるので,その時にはよくなるでしょう。以前はこの列車は四方津退避でしたが,今日のダイヤでは相模湖退避に変わっています。面倒な高尾乗換えもなく,八王子には時刻表どおり22:20の到着です。

高尾の天狗を見れば東京に戻ってきた気になる。赤いライティングが少々不気味
横浜線の列車は22:18に行ったばかりで,22:32の2248Kまで時間があります。冷房の効いた電車で小1時間ゆっくりすれば東神奈川着です。この時間になると列車も少なく,東神奈川でも9分待ちです。23:36の大船ゆきに乗れば,18分で自宅最寄りの磯子駅に帰着です。

帰りの列車2本まとめて。横浜線2248K @東神奈川(エンドチェンジ中),根岸線2263C @磯子
〆てみれば今日は青春18きっぷ1日分で18時間19分988.4kmを旅行しました。午前中に乗った新快速が速いので距離を稼げたようです。自分が知る限りでは,大垣夜行,寝台付鈍行「ながさき」が健在の頃に両者を繋いで約1,100km,「ムーンライトながら」が走る晩にジュニアが敢行した姫路往復1,200kmが青春18きっぷ1枚で乗れる限界で,自分の経験としては多分史上2位になると思います。

今日の行程。その4で書いた3207M~3407Mの分も含む
3日の旅行では元々の用事のあった益田の用事をこなし,念願だった,日本最長鈍行を含む長距離鈍行2本半に乗れました。ちなみにかかった費用は5万円でお釣りがくる程度で,意外と安かったです。通常の旅行では夕食はホテルの近くの居酒屋でお酒付きでたっぷり食べるのですが,今回はそれを控えたのが費用節約に貢献したようです。Covid-19禍のなか,こんな出歩いていてよいの...と人目をはばかりながらの旅行でしたが,なんとか鉄分の補給になりました。こんな心配をせずに旅行ができるよう,早くの疫魔の終息を祈るばかりです。(2022.1.9記)
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